JP4994073B2 - ガスバリア積層フィルムとその製造方法。 - Google Patents

ガスバリア積層フィルムとその製造方法。 Download PDF

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本発明は、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、EL(エレクトロルミネッセンス)用基板、カラーフィルター等に使用するガスバリア積層フィルムに関する。
プラスチックフィルムを基材とし、その表面に酸無機薄膜を形成したガスバリア性プラスチックフィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、例えば、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装に広く利用されている。また、このガスバリア性プラスチックフィルムについては、包装用途以外にも、近年、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、EL用基板、カラーフィルター等で使用する透明導電シートや真空断熱材などの新しい用途も注目されている。
食品等の包装に用いられるガスバリア性フィルムとしては、たとえば、真空蒸着法、スパッタ法やプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法による、酸化シリコン膜や酸化アルミ膜が一般的である。
また、近年、EL用基板や液晶表示素子において、軽量化および薄膜化、またフレキシブル化の観点から提案されている無機材料の高性能ガスバリア膜として、窒化シリコン膜を、真空蒸着法、スパッタ法やCVD法によりコーティングする構成が提案されている。
その中で、近年、窒化珪素薄膜の形成については、たとえば、1600〜1800℃程度に加熱したタングステン線等からなる発熱体に、シラン(SiH4)ガスおよびアンモニア(NH3)ガスを原料ガスとして供給して分解活性化させることにより、基板上に窒化シリコン膜を堆積させる触媒化学気相成長(Cat−CVD法、またはHot Wire CVD法などのCVD法)が注目を集めている(例えば特許文献1及び2参照)が、一方で、この方法は下記のようないくつかの課題を有している(例えば非特許文献1及び2参照)。
特開2004−217966号公報 特開2004−315899号公報 Y. Ogawa, Protection of Organic Light-Emitting Diodes over 50000 Hours by Cat-CVD SiNx/SiOxNy Stacked Thin Films, Proceedings of 4th International Conference on Hot-Wire CVD (Cat-CVD) Process, October 4-8, 2006, SaB08 T. Osono, High-rate deposition of SiNx films over 100 nm/min by Cat-CVD method at low temperatures below 80℃, Proceedings of 4th International Conference on Hot-Wire CVD (Cat-CVD) Process, Thin Solid Films 501, 2006, p.55-57
上記触媒化学気相成長法においては、高いガスバリア性を得ることができる反面、薄膜の形成速度が非常に遅いため、工業的に生産を行う場合、形成速度を向上し、かつ低速において形成した膜と同レベルの性能を有する薄膜を得ることが課題であった。
本発明は、触媒気相成長法と物理気相成長法により連続してガスバリア層を積層形成することにより、基材フィルム表面にプライマー処理を施すことなくガスバリア性に優れ、かつ密着性に優れたガスバリア積層フィルム、及び該フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明は、
(1)基材フィルムの少なくとも一方の面に、厚さ0.1〜500nmの無機及び/又は有機の薄膜層(A層)、及び厚さ0.1〜500nmの無機薄膜層(B層)を、順次形成してなるガスバリア積層フィルムであって、上記A層が加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法により形成され、かつB層が物理気相成長法により形成されたガスバリア積層フィルム、及び
(2)(1)基材フィルムの少なくとも一方の面に、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法により、厚さ0.1〜500nmの無機及び/又は有機の薄膜層(A層)を形成する工程、及び
(2)工程(1)で得られた該薄膜層(A層)上に、厚さ1〜100nmの無機薄膜層(B層)を物理気相成長法により積層する工程、
を有するガスバリア積層フィルムの製造方法、
に関する。
本発明は、触媒気相成長法と物理気相成長法により連続してガスバリア層を積層形成することにより、基材フィルム表面にプライマー処理を施すことなく、ガスバリア性に優れ、かつ密着性に優れたガスバリア積層フィルム、及び該フィルムの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ガスバリア積層フィルム]
本発明のガスバリア積層フィルムの基材フィルムとしては、加工性の点から、熱可塑性高分子フィルムが好ましく、その原料としては、通常の包装材料等に使用しうる樹脂であれば特に制限なく用いることができる。
具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体またはこれらの共重合体であるポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリメタクリル樹脂、フッ素樹脂、アクリレート樹脂、生分解性樹脂等が挙げられる。これらの中では、フィルム強度、コストなどの点から、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル樹脂、ポリエーテルサルホン、環状ポリオレフィンが好ましく、より好ましくはポリエステルである。上記基材フィルムは、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有することができる。
基材フィルムの表面粗度(Rms)は1.5nm以下が好ましい。Rmsが1.5nm以下であると、薄膜が均一な厚さに形成され、また薄膜を形成する粒子が緻密に充填されやすいため、高度の酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性を得ることができ、この結果、薄膜の厚さを薄くすることができる。
上記基材フィルムとしての熱可塑性高分子フィルムは、上記の原料を成形してなるものであるが、基材フィルムとして用いる場合は、未延伸であってもよいし延伸したものであってもよい。また、他のプラスチック基材と積層されていてもよい。かかる基材フィルムは、従来公知の方法によっても製造することができ、例えば、原料樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押出して、急冷することにより実質的に無定型で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。この未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の延伸方法により、フィルムの流れ方向、又はフィルムの流れ方向とそれに直角な方向に延伸することにより、少なくとも一軸方向に延伸したフィルムを製造することができる。本発明においては、基材フィルムとしては機械強度の点から二軸延伸されたものが好ましい。
延伸倍率としては、上記観点から、縦軸方向に好ましくは2〜6倍、より好ましくは2〜4倍、横軸方向に好ましくは2〜5倍、より好ましくは2〜4倍である。また、上記基材フィルムは、その120℃での熱水処理後の熱収縮率が、0.01〜5%であることが好ましい。
基材フィルムの厚さは、本発明のガスバリア積層フィルムの基材としての機械強度、可撓性、透明性等の点から、その用途に応じ、通常5〜500μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは10〜15μmの範囲で選択され、厚さが大きいシート状のものも含む。また、フィルムの幅や長さについては特に制限はなく、適宜用途に応じて選択することができる。
本発明においては、上記基材フィルムの少なくとも一方の面に、触媒化学気相成長法による無機及び/又は有機の薄膜層(A層)と物理気相成長法による無機薄膜層(B層)を順次形成する。触媒化学気相成長法は成膜速度が最大でも100nm/minと遅いため、この方法のみではA層とB層を連続して形成することは生産上の観点から好ましくない。そのため、本発明においては、上記A層は触媒化学気相成長法を用いて形成し、B層は物理気相成長法を用いて、これらを順次形成する。
このように、これらの工程を連続して行うことにより、触媒化学気相成長法のみにおいて2層を形成する場合よりも、非常に高速でガスバリア性フィルムを製造することが可能となる。これは、触媒化学気相成長法により形成するA層は基材フィルムとの密着性、表面形状、亀裂の目止め効果を付与する層であるため薄膜でよいことから、物理気相成長法の成膜速度において運転する真空装置内において、物理気相成長法の前工程として触媒化学気相成長法によりA層を形成し、連続してガスバリア性フィルムを形成することができるからである。
触媒化学気相成長法によるA層の成膜速度は、膜の緻密性や基材フィルムへの熱ダメージの点から5〜100nm/minの範囲内であることが好ましく、より好ましくは20
〜50nm/minである。また、物理気相成長法による成膜速度は、生産速度の点から、300nm/min以上であることが好ましい。
A層の無機薄膜層を構成する無機物質としては、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、水素化炭素等、あるいはこれらの酸化物、炭化物、窒化物またはそれらの混合物が挙げられるが、ガスバリア性の点から、好ましくは酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、炭化水素(例えば、ダイアモンドライクカーボンなどの炭化水素を主体とした物質)であり、酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウムが、高いガスバリア性が安定に維持できる点でより好ましく、酸化珪素及び窒化珪素が更に好ましい。
本発明においては、無機物質としては、ガスバリア性と基材フィルムやB層との密着性の点から、酸素及び窒素を含有する珪素化合物(SiOxy)が好ましく、ここで、xは好ましくは0.5〜2.0であるが、より好ましくは1.0〜1.8である。yは好ましくは0.1〜0.7であるが、より好ましくは0.3〜0.5である。
A層の有機薄膜層を構成する有機物質としては、金属触媒体により接触分解を行える有機化合物原料であれば特に制限なく使用できる。例えば、フッ素系モノマー(テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロベンゼン等)、オレフィン系モノマー(エチレン、プロピレン、ブチレン等)、スチレン系モノマー(スチレン、ジビニルベンゼン、クロロスチレン等)、アクリル系モノマー(アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド等)、ジエン系モノマー(ブタジエン、イソプレン等)の他、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、それらの混合物等から得られる。
上記有機物質としては、ガスバリア性や基材フィルムやB層との密着性の点から、好ましくはアクリル系モノマー、ビニル系モノマーである。上記A層としては、バリア性の点から、無機薄膜層であることが好ましい。また、A層は、通常無機及び/又は有機の薄膜層一層からなるが、複数の層から構成されていてもよい。
無機及び/又は有機の薄膜層(A層)は、B層として形成する薄膜層のバリア性を向上させる点から、本発明においては、触媒化学気相成長(Cat−CVD)装置を使用して行う。この方法においては、真空下で加熱触媒体である金属触媒線を加熱し、1種又は2種以上の材料ガスをこの金属触媒線と接触させ熱分解することにより基材フィルム上に主原料ガスを構成する元素を主要骨格物質とする無機及び/又は有機の薄膜を形成することができる。
具体的には、触媒化学気相成長法においては、基材温度を好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下に冷却する。これにより、基材フィルムのガラス転移温度以下にて堆積することができ、金属触媒体からの輻射熱による基材フィルムのダメージを解消できる。また、反応圧力としては、空気中の不純物の膜への混入防止と成膜速度の点から、20Pa以下の減圧下で行うことが好ましい。加熱触媒体である金属触媒体としては、タングステン、白金、ニッケル等従来の触媒が使用できるが、材料ガスが接触分解される温度においてその金属触媒体自身が溶融又は揮発せず、さらにシリサイド化が抑制され、ハロゲンによる腐食が抑制される点から、タングステンが好ましい。金属触媒体の線の形状は、直線状であってもよく、または直円筒状のコイルであってもよく、そのほかの形状であってもよく、さらに線以外の構造であってもよい。また、加熱触媒体の総面積は、膜の形成速度、及び加熱触媒体から基材フィルムへの熱輻射量、加熱触媒体の供給電力などの点から、600〜1000cm2が好ましく、800〜900cm2であることがより好ましい。金属触媒体の温度は、材料ガスが接触分解される温度であって、さらに基材フィルムに熱ダメージを与えない温度が好ましく、500〜2500℃が好ましく、1600〜2000℃であることがより好ましい。
使用しうる材料ガスは、目的とする薄膜物質により異なるが、少なくとも1種以上のガスからなることが好ましく、例えば珪素化合物薄膜の形成においては、珪素を含む第一材料ガスに対してアンモニア、窒素、酸素、水素やアルゴンなどの希ガスを第二材料ガスとして使用することが好ましい。
珪素を含む第一材料ガスとしては、モノシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等を単独、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。また、材料ガスは、室温での状態は気体状でも液体状でもよく、液体状の原料は原料気化機により気化して装置内へ供給することができる。上記第一材料ガスの中でも、加熱触媒体の劣化や反応性・反応速度の点から、モノシランガスが好ましい。
モノシランガスを使用した場合の加熱触媒体の表面及びその近辺での主な反応は、SiH4→Si・+4H・及びSiH4+H・→SiH3・+H2であり、SiH3・ が主要な堆積種であると考えられている。また、アンモニアの主な反応は、NH3→N H2・+H・であり、NH2・が主要な堆積種であると考えられている。水素の主な反応は、H2→2H・であり、H・は、主に気相反応、基材フィルムの表面反応を補助するために使われると考えられる。
材料ガスとして水素を用いなくてもH・は発生するが、水素を材料ガスとして真空装置内に流入させることで、H・を大量に発生させることができ、従来に比して絶大な効果を発揮している。そして、主にSiH3・とNH2・が基材フィルム表面での熱エネルギー、堆積種の熱エネルギー、H・等の反応補助成分の存在により反応し、窒化シリコン膜となると推測されるが、詳しい気相反応や基板表面反応はわかっていない。なお、前記において、・印はラジカルの状態を示す。
材料ガス流量比はモノシラン1に対して、アンモニアが好ましくは1〜30、より好ましくは2.0〜10、水素が好ましくは5〜400、より好ましくは20〜80、酸素が好ましくは0.1〜2.0、より好ましくは0.2〜0.8である。このようにすることで、水蒸気や酸素等の透過を阻止する能力の高い透明で密着性の良好な窒素及び酸素を含有する珪素化合物膜を成膜することができる。
すなわち、シランに対するアンモニアの流量比が上記範囲内であれば、窒化シリコン膜の着色がなく、また、アンモニアが加熱触媒体上での水素の分解を顕著に妨げることもなく、得られる珪素化合物膜の水蒸気や酸素等に対するバリア性も良好である。また、シランに対する、水素の流量比が上記範囲内であれば、水蒸気や酸素等のバリア性が良好である。また、真空装置内で堆積種の濃度の低下も見られず、堆積速度も良好である。
上記A層の厚さは、0.1〜500nmであるが、好ましくは1〜300nm、より好ましくは5〜200nmである。A層が複数の層からなる場合は、単層で上記厚さを有することが好ましい。上記範囲内であれば、A層を構成する無機あるいは有機の薄膜層自体の内部応力による基材フィルムからの剥離もほとんどなく、また、均一な厚さを保つことができ、更に層間の密着性においても優れている。
本発明のガスバリア積層フィルムにおいては、上記A層の上に、厚さ0.1〜500nmの無機薄膜層をB層として形成する。該無機薄膜層(B層)を形成する無機物質としては、上記A層を形成する無機物質として述べたものが同様に使用できるが、本発明においては、ガスバリア性とA層との密着性の点から、酸化化合物膜が好ましく、A層及びB層共に酸素及び/又は窒素を含有する珪素薄膜であることがより好ましい。また、該無機薄膜層の形成方法としては、ガスバリア性の高い均一な薄膜が得られるという点で物理気相成長法が好ましい。この物理気相成長法には、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等が含まれ、生産速度の点で真空蒸着が好ましい。このように、A層とB層を連続して積層することにより、A層において基材フィルムに起因して、あるいは成膜過程において膜の亀裂が発生した場合でも、これがB層にまで連続して発生することが抑制でき、かつ基材フィルムと珪素化合物膜の密着性が向上することによりガスバリア性が向上する。
上記B層は、1層で使用してもよいが、2層あるいはそれ以上の複数層として使用することもできる。
B層として形成する無機薄膜の厚さは、一般に0.1〜500nmであるが、好ましくは1〜300nm、より好ましくは5〜200nmである。上記範囲内であれば、十分なガスバリア性が得られ、また、無機薄膜に亀裂や剥離を発生させることなく、透明性にも優れている。
本発明においては、A層とB層を積層した後、最上層に用途に応じて保護膜や導電膜等の機能性膜を形成することも可能である。最上層に形成する機能性膜の厚さは、その用途に応じて選定することが可能であるが、膜応力によるガスバリア層への亀裂の発生や透明性低下等の問題を抑制するため一般に0.1〜500nmの範囲内であることが好ましい。
本発明のガスバリア積層フィルムは、上記A層とB層とからなる構成層単位を、基材フィルム上に1個あるいは2個以上有することができるものであるが、生産性の点から、好ましくは上記構成層単位を、無機薄膜上に順次1〜3個、更に好ましくは1個又は2個有する。
本発明においては、前記基材フィルムに、A層との密着性向上のため、アンカーコート剤を塗布してアンカーコート層を設けることが好ましい。アンカーコート剤としては、溶剤性又は水性のポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ニトロセルロース系樹脂、シリコン系樹脂、アルコール性水酸基含有樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート基含有樹脂、アルコキシル基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂及びアルキルチタネート等を単独、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、密着性、耐熱水性の点から、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、シリコン系樹脂、アルコール性水酸基含有樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、及びイソシアネート基含有樹脂及びこれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、更には、ウレタン樹脂、アクリル樹脂の1種類以上と、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート基含有樹脂の1種類以上を組み合わせたものが好ましい。
アンカーコート層の厚さは0.005〜5μm程度、更に0.01〜1μmであることが好ましい。上記範囲内であれば、滑り性が良好であり、アンカーコート層自体の内部応力による基材フィルムからの剥離もほとんどなく、また、均一な厚さを保つことができ好ましい。
また、基材フィルムへのアンカーコート剤の塗布性、接着性を改良するため、アンカーコート剤の塗布前にフィルムに通常の化学処理、放電処理などの表面処理を施してもよい。
本発明のガスバリア積層フィルムとしては、上述の構成層に必要に応じ更に追加の構成層を積層した各種ガスバリア積層フィルムを用途に応じて使用できる。積層方法は接着剤を使用するドライラミネート法や接着性樹脂を使用する押出ラミネート法を使用することができる。
通常の実施態様としては、上記無機薄膜面及び/又は基材フィルム面上にプラスチックフィルムを設けた積層体が各種用途に使用される。上記プラスチックフィルムの厚さは、積層フィルムの基材としての機械強度、可撓性、透明性等の点から、通常5〜500μm、好ましくは10〜200μmの範囲で用途に応じて選択される。また、フィルムの幅や長さは特に制限はなく、適宜用途に応じて選択することができる。例えば、無機薄膜層の塗布面及び/又は基材フィルム面上にヒートシール可能な樹脂を使用することにより、ヒートシールが可能となり、種々の容器として使用できる。ヒートシール可能な樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、生分解性樹脂等の公知の樹脂が例示される。
また、上記以外のガスバリア積層フィルムの実施態様としては、無機薄膜層面上に印刷層を形成し、更にその上にヒートシール層やプラスチックフィルムを積層する積層フィルムが挙げられる。印刷層を形成する印刷インクとしては、水性及び溶媒系の樹脂含有印刷インクが使用できる。ここで、印刷インクに使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル共重合樹脂又はこれらの混合物が例示される。更に、印刷インクには、帯電防止剤、光線遮光剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、消泡剤、架橋剤、耐ブロッキング剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
また、印刷層とヒートシール層やプラスチックフィルムとの間に紙又は他のプラスチックフィルムを少なくとも1層積層することが可能である。プラスチックフィルムとしては、本発明のガスバリア積層フィルムに用いられる基材フィルムとしての熱可塑性高分子フィルムと同様のものが使用できる。中でも、積層フィルムの十分な剛性及び強度を得る観点から、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂又は生分解性樹脂が好ましい。
本発明のガスバリア積層フィルムにおいて、120℃、30分の加圧熱水処理後における基材フィルムと無機薄膜層(B層)との密着強度は、上記熱処理の有無に拘わらず、通常100g/15mm以上、好ましくは200g/15mm以上、より好ましくは400g/15mm以上、更に好ましくは500g/15mm以上である。これは触媒気相化学成長法により無機及び/又は有機の薄膜層(A層)を形成することにより達成される。本発明のガスバリア性積層体およびガスバリア性フィルムの加圧熱水処理前後の収縮率は、通常3%以下、好ましくは2%以下である。
EL用基板や液晶表示素子の場合、積層フィルムの実施態様としては、耐熱性の点から基材フィルムはポリエチレンナフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン等の耐熱樹脂が好ましい。また、ガスバリア性の点からA層とB層を連続して積層することが好ましくその積層数に制限はないが、生産性の面から、A層とB層の合計で10層以下とすることが好ましい。
本発明のガスバリア積層フィルムの具体的な構成としては、例えば
(1)基材フィルム/A層/B層
(2)基材フィルム/A層/B層/A層/B層
(3)基材フィルム/A層/B層/A層/B層/A層/B層
(4)基材フィルム/A層/B層/接着剤層/基材フィルム/A層/B層
基材フィルム/A層/B層/接着剤層/基材フィルム/A層/B層/基材フィルム/A層/B層
等の積層構成を挙げることができる。
本発明のガスバリア積層フィルムは、40℃、90%RH条件下での透湿度が、0.1g/m2/24hr以下であることが好ましく、0.05g/m2/24hr以下であることがより好ましく、更に好ましくは0.01g/m2/24hr以下である。また、バリア性の高いフィルム同士をラミネートする際には、接着剤の硬化によりラミネートフィルム間に気泡が残存する可能性があるため、接着層を塗布した後に恒温下において長時間エージングを行うなどの工程を行うことが好ましい。さらに、ドライラミネート法の他に、真空プレス法などを用いることにより気泡を効果的に減少することもできる。
[ガスバリア積層フィルムの製造方法]
本発明は、また、(1)基材フィルムの少なくとも一方の面に、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法により、厚さ0.1〜500nmの無機及び/又は有機の薄膜層(A層)を形成する工程、及び
(2)工程(1)で得られた該薄膜層(A層)上に、厚さ1〜100nmの無機薄膜層(B層)を物理気相成長法により積層する工程、
を有するガスバリア積層フィルムの製造方法に関する。
基材フィルム、厚さ0.1〜500nmの無機及び/又は有機の薄膜層(A層)、厚さ0.1〜500nmの無機薄膜層(B層)、及び得られるガスバリア積層フィルムについては、前述のとおりである。また、触媒化学気相成長法及び物理気相成長法についてもその詳細は既に述べた通りである。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、各例で得られたガスバリア積層フィルムの性能評価は、下記のように行った。
(1)水蒸気透過率(透湿度)
JIS Z 0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に順じ、次の手法で評価した。
透湿面積10.0cm×10.0cm角の各積層フィルムを2枚用い、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、48時間以上間隔で質量増加がほぼ一定になる目安として14日間まで、質量測定(0.1mg単位)し、水蒸気透過率を下記式から算出した。
水蒸気透過率(g/m2/24h)=(m/s)/t
m;試験期間最後2回の秤量間隔の増加質量(g)
s;透湿面積(m2
t;試験期間最後2回の秤量間隔の時間(h)/24(h)
(2)層間の密着強度
JIS Z1707に準じ、各積層フィルムを幅15mmの短冊状に切り出し、その端部を一部剥離させ、剥離試験機(島津製作所製、製品名EZ−TEST)により300mm/分の速度でT型剥離を行い、密着強度(g/15mm)を測定した。
(3)基材フィルムの二乗平均粗さ(Rms)
走査型プローブ顕微鏡(セイコーインスツルメンツ社製SPI3800)の非接触モード(ダイナミックフォースモード)で測定した。走査速度、1測定領域中の測定点数、傾斜補正は、表面状態を明確に測定できる条件を選択した。フィルムの表面形状の表面粗さ(Rms)は、走査型プローブ顕微鏡SPI3800付属ソフトの「CROSSSECTION」解析のAREA解析で求めた。
(4)基材フィルムの熱収縮率(%)
積層体に使用する基材フィルム100mmΦ片を切り出し、オートクレーブにより120℃ の熱水中で30分間加熱した後、取り出し、外径を10点測定し、熱収縮によるの寸法変化の最大値をDmaxとする。寸法変化率は次式より算出する。
〔(100−Dmax)/100〕×100
実施例1
ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下「PET」と略す。三菱化学(株)製「ノバペックス」)を溶融押出してシートを形成し、延伸温度95℃、延伸倍率3.3で流れ方向に延伸した後、延伸温度110℃、延伸倍率3.3で幅方向に延伸することにより、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(表面粗度(Rms):1.0nm、120℃の熱収縮率:
1.0%)を得た。そのフィルムの片側表面に、触媒化学気相成長(Cat−CVD)装置を使用して二軸延伸PETフィルム基板と加熱触媒体の距離を20cm、堆積前の二軸延伸PETフィルム基板の温度を10℃、加熱触媒体の材質をφ0.5×2650mmのタングステンとし、加熱触媒体の温度を1750℃に設定した。その後、モノシランガス(SiH4),酸素ガス(O2),アンモニアガス(NH3)及び水素ガス(H2)をそれぞれ1:0.7:2.2:40の混合比にて導入し、20.0Pa(0.15Torr)の真空下で、10nm/minの成膜速度において接触熱分解することにより二軸延伸PETフィルム基板上に薄膜厚さ約30nmの珪素化合物膜(SiOxy、x:1.5、y:0.4)を形成し、第一層(A層)とした。なお、珪素化合物膜の組成はX線光電子分光分析(島津製作所製、製品名ESCA−3400)を用いて測定した。以下の実施例においても同様である。堆積終了時の基板の温度は65℃以下であった。
この無機薄膜の上に、真空蒸着装置を使用して1.3×10-3Pa(1×10-5Torr)の真空下で、300nm/minの成膜速度においてSiOを高周波加熱方式で蒸発させ、薄膜厚さ約30nmの酸化珪素膜(SiOx、x:1.6)を形成し第二層(B層)とした。更に、該ガスバリア性フィルムの塗布面側に、ウレタン系接着剤(東洋モートン社製「AD900」と「CAT−RT85」とを10:1.5の割合で配合)を塗布、乾燥し、厚さ約3μmの接着樹脂層を形成し、この接着樹脂層上に、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP、東洋紡績(株)製「パイレンフィルム−CT P1146」)をラミネートし、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、第一層の厚さを50nm、第二層の厚さを50nmとした以外は同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、第一層の厚さを100nm、第二層の厚さを100nmとした以外は同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、基材フィルムとして、流れ方向及び幅方向の延伸倍率がいずれも3.3で厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(以下「PEN」と略す。帝人デュポンフィルム(株)製「テオネックス」、表面粗度(Rms):0.9nm、120℃の熱収縮率:1.0%)を用いた以外は同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例5
実施例4において、第一層の厚さを50nm、第二層の厚さを50nmとした以外は同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例6
実施例4において、第一層の厚さを100nm、第二層の厚さを100nmとした以外は同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例7
実施例1において、二軸延伸PETフィルムと第一層の間に、0.1μmの厚さでアンカーコート層をグラビアコート法により塗布した以外は同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
また、アンカーコート液は以下のように調製した。
<アンカーコート(AC)>
下記アクリル樹脂水性液20質量%、ウレタン樹脂水性液20質量%、オキサゾリン基含有ポリマー(日本触媒製エポクロスWS−500)60質量%を混合して用いた。
アクリル樹脂水性液: アクリル酸エチル40質量部、メタクリル酸メチル30質量部、メタクリル酸20質量部、グリシジルメタクリレート10質量部の混合物をエチルアルコール中で溶液重合し、重合後水を加えつつ加熱しエチルアルコールを除去した。アンモニア水でpH7.5に調節し、アクリル樹脂水性液を得た。
ウレタン樹脂水性液: まず、テレフタル酸664質量部、イソフタル酸631質量部、1,4−ブタンジオール472質量部、ネオペンチルグリコール447質量部からなるポリエステルポリオールを得た。次いで、得られたポリエステルポリオールに、アジピン酸321質量部、ジメチロールプロピオン酸268質量部を加え、ペンダントカルボキシル基含有ポリエステルポリオールAを得た。更に、該ポリエステルポリオールA1880質量部にヘキサメチレンジイソシアネート160質量部を加え、ウレタン樹脂水性液を得た。
実施例8
実施例7において、第一層の厚さを50nm、第二層の厚さを50nmとした以外は同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例9
実施例7において、第一層の厚さを100nm、第二層の厚さを100nmとした以外は同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例10
実施例3において形成した積層フィルムの第二層上に、ウレタン系接着剤(東洋モートン社製「AD900」と「CAT−RT85」とを10:1.5の割合で配合)を塗布、乾燥し、厚さ約3μmの接着樹脂層を形成し、この接着樹脂層上に、酸化珪素膜を形成した厚さ12μmの二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム(PVA、三菱樹脂(株)製「テックバリアS」)の酸化珪素膜側をラミネートした以外は同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例11
実施例6において形成した積層フィルムの第二層上に、ウレタン系接着剤(東洋モートン社製「AD900」と「CAT−RT85」とを10:1.5の割合で配合)を塗布、乾燥し、厚さ約3μmの接着樹脂層を形成し、この接着樹脂層上に、酸化珪素膜を形成した厚さ12μmの二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム(三菱樹脂(株)製「テックバリアS」)の無酸化珪素膜側をラミネートした以外は同様にして積層フィルムを作製した。積層フィルムを得た。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、二軸延伸PETフィルム上、第一層を設けることなく第二層と同様の条件で、真空蒸着装置を使用して、厚さ約100nmの酸化珪素膜(SiOx、x:1.6)を形成した以外は同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、二軸延伸PETフィルム上に、同様の条件で触媒化学気相堆積装置を使用して、厚さ約100nmの珪素化合物膜(SiOxy、x:1.5、y:0.4)を形成し、第二層を設けなかった以外は同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
比較例2において、触媒化学気相堆積装置においてモノシランガス(SiH4),アンモニアガス(NH3),水素ガス(H2)の各材料ガスをそれぞれ1:2.2:40の混合比にて導入し、二軸延伸PETフィルム基板上に厚さ約100nmの珪素化合物膜を形成した以外は同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例4
比較例1において形成した第一層となる酸化珪素膜上に、実施例1の第一層(A層)と同様の条件で、触媒化学気相堆積装置を使用して第二層である厚さ約100nmの珪素化合物膜(SiOxy、x:1.5、y:0.4)を形成した以外は同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例5
比較例1において形成した第一層となる酸化珪素膜上に、第一層と同一条件にて珪素膜を形成した以外は同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例6
実施例1において形成した第一層となる珪素化合部膜上に、触媒化学気相成長(Cat−CVD)装置を使用して第二層となる酸化珪素膜を形成した。形成条件は、二軸延伸PETフィルム基板と加熱触媒体の距離を10cm、二軸延伸PETフィルム基板の温度を0℃、加熱触媒体の材質をφ0.5×2650mmのタングステンとし、加熱触媒体の温度を1750℃に設定した。その後、モノシランガス(SiH4),酸素ガス(O2)及び水素ガス(H2)をそれぞれ30:21:40の混合比にて導入し、20.0Pa(0.15Torr)の真空下で、100nm/minの成膜速度において接触熱分解することにより第一層の珪素化合物膜上に薄膜厚さ約30nmの酸化珪素膜を形成し、第二層とした。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004994073
本発明のガスバリア積層フィルムは、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、EL(エレクトロルミネッセンス)用基板、カラーフィルター等に好適に使用できる。

Claims (10)

  1. 基材フィルムの少なくとも一方の面に、厚さ0.1〜500nmの無機及び/又は有機の薄膜層(A層)、及び厚さ0.1〜500nmの無機薄膜層(B層)を順次形成してなるガスバリア積層フィルムであって、上記A層が加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法により形成され、かつB層が物理気相成長法により形成されたガスバリア積層フィルム。
  2. 無機及び/又は有機の薄膜層(A層)及び無機薄膜層(B層)が、酸素及び/又は窒素を含有する珪素化合物である、請求項1記載のガスバリア積層フィルム。
  3. 40℃、90%RH条件下での透湿度が、0.1g/m2/24hr以下である、請求項1又は2に記載のガスバリア積層フィルム。
  4. 基材フィルムが、流れ方向に2〜6倍及び幅方向に2〜5倍の延伸倍率で延伸処理され、熱水処理前後の熱収縮率が0.01〜5%である、請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア積層フィルム。
  5. 基材フィルムの厚さが5〜500μmである、請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア積層フィルム。
  6. 基材フィルムが、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル樹脂、ポリエーテルサルホン、及び環状ポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも一種からなり、その厚さが5〜150μmである、請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア積層フィルム。
  7. 基材フィルムと無機及び/又は有機の薄膜(A層)との間にアンカーコート層を有する、請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア積層フィルム。
  8. 前記アンカーコート層が、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、シリコン系樹脂、アルコール性水酸基含有樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、及びイソシアネート基含有樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む、請求項1〜7のいずれかに記載のガスバリア積層フィルムとその製造方法。
  9. (1)基材フィルムの少なくとも一方の面に、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法により、厚さ0.1〜500nmの無機及び/又は有機の薄膜層(A層)を形成する工程、及び
    (2)工程(1)で得られた該薄膜層(A層)上に、厚さ1〜100nmの無機薄膜層(B層)を物理気相成長法により積層する工程、
    を有するガスバリア積層フィルムの製造方法。
  10. 前記材料ガスが、珪素化合物を含む、請求項9記載のガスバリア積層フィルムの製造方法。
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