JP2020147020A - バリア性積層フィルム及びバリア性積層フィルムの製造方法、並びにバリア性積層フィルムを備える包装材料 - Google Patents

バリア性積層フィルム及びバリア性積層フィルムの製造方法、並びにバリア性積層フィルムを備える包装材料 Download PDF

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【課題】ガスバリア性及び強度を有するバリア性積層フィルムを提供する。【解決手段】バリア性積層フィルムは、基材と、基材上に設けられ、金属又は無機化合物を含む蒸着層と、を備える。基材は、ポリエステルを主成分として含む。少なくとも1つの方向において、前記基材の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、基材及び基材上に設けられた蒸着層を有するバリア性積層フィルム及びバリア性積層フィルムの製造方法に関する。また、本発明は、バリア性積層フィルムと、バリア性積層フィルムに積層された熱可塑性樹脂層と、を備える包装材料に関する。
従来、飲食品、医薬品、化学品、化粧品、その他等の種々の物品を充填包装するために、種々の包装材料が開発され、提案されている。そのような包装材料においては、包装目的、充填する内容物、包装製品の貯蔵・流通、その他等によって異なるが、包装材料として、種々の物性が要求される。例えば、それらの物性の一つとして、酸素および水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性がある。
従来から、酸素および水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性材料が、種々、開発され、提案されている。例えば、アルミニウム箔、あるいは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂のコーティング膜を有するナイロンフィルムあるいはポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物フィルム、ポリアクリロニトリル系樹脂フィルム等のガスバリア性材料が、開発され、提案されている。
更に、近年、プラスチック製の基材の上に、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着層を設けた構成からなる透明バリア性フィルム、あるいは、アルミニウム等の金属の蒸着層を設けたバリア性フィルム等も提案されている。例えば、特許文献1は、ナイロンフィルム上に無機酸化物の蒸着層を形成することによってバリア性フィルムを作製することを提案している。
特開2007−303000号公報
包装材料には、先端が尖った鋭利な部材が包装袋に接触した場合にも袋が破けてしまうことを抑制する特性、いわゆる耐突き刺し性が求められる。特許文献1に記載のナイロンフィルムは、高い耐突き刺し性を有するフィルムとして知られている。一方、ナイロンは、水分を吸収し易く、且つ耐熱性に乏しい。従って、ナイロンフィルムを、包装材料の外面を構成するフィルムとして使用するのは困難である。例えば特許文献1において、ナイロンフィルムの外面側には、ポリエステル系樹脂などを含む基材フィルムが接着剤層を介して積層されている。このように包装材料がナイロンフィルム及び基材フィルムという2つのプラスチックフィルムを含むので、包装材料のコストが高くなってしまう。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るバリア性積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、基材と、前記基材上に設けられ、金属又は無機化合物を含む蒸着層と、を備え、前記基材は、ポリエステルを主成分として含み、少なくとも1つの方向において、前記基材の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である、バリア性積層フィルムである。
本発明によるバリア性積層フィルムにおいて、前記基材の突き刺し強度が9.5N以上であってもよい。
本発明によるバリア性積層フィルムにおいて、前記基材は、流れ方向及び垂直方向において0.0017N以上のループスティフネスを有し、且つポリエステルを主成分として含んでいてもよい。
本発明によるバリア性積層フィルムにおいて、前記基材は、ポリブチレンテレフタレートを主成分として含んでいてもよい。
本発明によるバリア性積層フィルムにおいて、前記蒸着層上に設けられたガスバリア性塗布膜を更に備えていてもよい。
本発明によるバリア性積層フィルムにおいて、前記蒸着層は、無機化合物を含む透明蒸着層であってもよい。
本発明によるバリア性積層フィルムにおいて、前記蒸着層は、酸化アルミニウムを含む透明蒸着層であり、前記透明蒸着層は、遷移領域を含み、前記遷移領域は、前記蒸着フィルムを前記透明蒸着層側から飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いてエッチングを行うことで検出される元素結合Al24Hのピークの位置と、前記透明蒸着層と前記第1プラスチックフィルムとの界面との間の領域であり、前記透明蒸着層の厚みに対する前記遷移領域の厚みの比率が、5%以上60%以下であってもよい。
本発明は、基材を準備する工程と、前記基材上に金属又は無機化合物を蒸着させて前記基材上に蒸着層を形成する蒸着工程と、を備え、前記基材は、ポリエステルを主成分として含み、少なくとも1つの方向において、前記基材の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である、バリア性積層フィルムの製造方法である。
本発明によるバリア性積層フィルムの製造方法は、前記基材にプラズマ処理を施して前記基材にプラズマ処理面を形成するプラズマ前処理工程を更に備え、前記蒸着工程は、前記基材の前記プラズマ処理面上に前記蒸着層を形成してもよい。
本発明によるバリア性積層フィルムの製造方法において、前記蒸着工程は、物理蒸着によって前記蒸着層を前記基材の前記プラズマ処理面上に形成してもよい。
本発明によるバリア性積層フィルムの製造方法において、前記プラズマ前処理工程は、酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスをプラズマ原料ガスとして供給する工程を含み、前記酸素ガスと前記不活性ガスとの混合比率(酸素ガス/不活性ガス)が、6/1〜1/1の範囲内であってもよい。
本発明によるバリア性積層フィルムの製造方法において、前記蒸着層は、無機化合物を含む透明蒸着層であり、前記フィルム製造方法は、前記蒸着層上にガスバリア性塗布膜用コート剤を塗布し、加熱乾燥することによって、ガスバリア性塗布膜を形成する工程を更に備えていてもよい。
本発明によるバリア性積層フィルムの製造方法において、前記ガスバリア性塗布膜が、金属アルコキシドと水溶性高分子の混合溶液を塗布し、加熱乾燥してなる層であってもよい。
本発明によるバリア性積層フィルムの製造方法において、前記ガスバリア性塗布膜が、金属アルコキシドとシランカップリング剤と水溶性高分子の混合溶液を塗布し、加熱乾燥してなる層であってもよい。
本発明は、基材と、前記基材上に設けられ、金属又は無機化合物を含む蒸着層と、を有するバリア性積層フィルムと、前記バリア性積層フィルムに積層された熱可塑性樹脂層と、を備え、前記基材は、ポリエステルを主成分として含み、少なくとも1つの方向において、前記基材の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である、包装材料である。
本発明による包装材料において、ボイル用包装袋又はレトルト殺菌用包装袋に用いられてもよい。
本発明によれば、ガスバリア性及び強度を有するバリア性積層フィルムを提供することができる。
本発明の実施の形態におけるバリア性積層フィルムの一例を示す断面図である。 バリア性積層フィルムのその他の例を示す断面図である。 ループスティフネス測定器の一例を示す平面図である。 図3のループスティフネス測定器の線V-Vに沿った断面図である。 ループスティフネス測定器に試験片を取り付ける工程を説明するための図である。 試験片にループ部を形成する工程を説明するための図である。 試験片のループ部に荷重を加える工程を説明するための図である。 試験片のループ部に荷重を加える工程を説明するための図である。 PBTを含む基材の一例を示す断面図である。 バリア性積層フィルムの蒸着層を、飛行時間型二次イオン質量分析計により分析した結果の一例を示す図である。 基材に蒸着層を成膜する成膜装置の一例を示す図である。 バリア性積層フィルムを備える包装材料の一例を示す断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態に係るバリア性積層フィルム及びバリア性積層フィルムの蒸着層を成膜する成膜装置について詳しく説明する。なお、この実施例は、単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。
<バリア性積層フィルム>
図1は、本発明の実施の形態によるバリア性積層フィルム5の一例を示す断面図である。バリア性積層フィルム5は、基材1と、基材1上に設けられた蒸着層2と、を備える。
図2は、本発明の実施の形態によるバリア性積層フィルム5のその他の例を示す断面図である。バリア性積層フィルム5は、基材1と、基材1上に設けられた蒸着層2と、蒸着層2上に設けられたガスバリア性塗布膜3と、を備える。
図示はしないが、バリア性積層フィルム5は、基材1の上に、蒸着層2の上に、又はガスバリア性塗布膜3の上に設けられた印刷層を更に備えていてもよい。印刷層は、バリア性積層フィルム5を備える後述する包装材料8から構成される包装袋に製品情報を示したり美感を付与したりするための層である。印刷層は、文字、数字、記号、図形、絵柄などを表現する。印刷層を構成する材料としては、グラビア印刷用のインキやフレキソ印刷用のインキを用いることができる。グラビア印刷用のインキの具体例としては、DICグラフィックス株式会社製のフィナートを挙げることができる。
以下、バリア性積層フィルム5の各構成要素について説明する。
[基材]
バリア性積層フィルム5に用いる基材1は、主成分としてポリエステルを含むポリエステルフィルムである。基材1は、例えば51質量%以上のポリエステルを含む。ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸と、エチレグリコール、1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールから選ばれる少なくとも1種の脂肪族アルコールとからなる芳香族ポリエステルを主体とするポリエステルが好ましい。例えば、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも記す)などである。例えば、基材1は、51質量%以上のPETを主成分として含んでいてもよく、51質量%以上のPBTを主成分として含んでいてもよい。
バリア性積層フィルム5を含む包装材料によって構成された包装袋に、先端が尖った鋭利な部材が接触した場合に、袋が破けてしまうことを抑制するためには、バリア性積層フィルム5の基材1が、耐突き刺し性などの耐性を有することが好ましい。そこで、本実施の形態においては、基材1として、高スティフネスPETフィルム又はPBTフィルムのいずれかを用いることを提案する。これにより、例えば、基材1の突き刺し強度を高くすることができる。例えば、基材1の突き刺し強度を9.5N以上にすることができ、より好ましくは10N以上にすることができる。また、基材1の引張伸度に対する引張強度の比率を高くすることができる。例えば、少なくとも1つの方向において、前記基材の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上になる。これにより、バリア性積層フィルム5を含む包装用材料に、先端が尖った鋭利な部材が接触した場合にも袋が破けてしまうことを抑制するための剛性を持たせることができる。
以下、高スティフネスPETフィルム及びPBTフィルムについて詳細に説明する。まず、高スティフネスPETフィルムについて説明する。
高スティフネスPETフィルムとは、流れ方向(MD)及び垂直方向(TD)において0.0017N以上のループスティフネスを有し、且つ51質量%以上のPETを含む延伸プラスチックフィルムである。高スティフネスPETフィルムの厚みは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは7μm以上である。また、高スティフネスPETフィルムの厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。
ループスティフネスとは、フィルムのこしの強さを表すパラメータである。以下、図3〜図8を参照して、ループスティフネスの測定方法を説明する。
なお、以下に説明する測定方法は、延伸プラスチックフィルムなどの単層のフィルムだけでなく、蒸着フィルム、積層フィルムなどの、複数の層をフィルムに関しても使用可能である。蒸着フィルムとは、上述のバリア性積層フィルム5のような、単層のフィルムと、単層のフィルム上に形成されている蒸着層と、を含むフィルムである。積層フィルムとは、後述する包装材料8のような、積層された複数のフィルムを含むフィルムである。
図3は、試験片40及びループスティフネス測定器45を示す平面図であり、図4は、図3の試験片40及びループスティフネス測定器45の線IV-IVに沿った断面図である。試験片40は、長辺及び短辺を有する矩形状のフィルムである。本願においては、試験片40の長辺の長さL1を150mmとし、短辺の長さL2を15mmとした。ループスティフネス測定器45としては、例えば、東洋精機社製のNo.581ループステフネステスタ(登録商標)LOOP STIFFNESS TESTER DA型を用いることができる。なお、試験片40の長辺の長さL1は、後述する一対のチャック部46によって試験片40を把持することができる限りにおいて、調整可能である。
ループスティフネス測定器45は、試験片40の長辺方向の一対の端部を把持するための一対のチャック部46と、チャック部46を支持する支持部材47と、を有する。チャック部46は、第1チャック461及び第2チャック462を含む。図3及び図4に示す状態において、試験片40は、一対の第1チャック461の上に配置されており、第2チャック462は、第1チャック461との間で試験片40を未だ把持していない。後述するように、測定時、試験片40は、チャック部46の第1チャック461と第2チャック462との間に把持される。第2チャック462は、ヒンジ機構を介して第1チャック461に連結されていてもよい。
延伸プラスチックフィルム、蒸着フィルム、積層フィルムなどの測定対象のフィルムを、フィルムが包装製品に加工される前の状態で入手可能な場合、試験片40は、測定対象のフィルムを切断することによって作製されてもよい。また、試験片40は、袋などの、包装材料から作製された包装製品を切断し、測定対象のフィルムを取り出すことによって作製されてもよい。
ループスティフネス測定器45を用いて試験片40のループスティフネスを測定する方法について説明する。まず、図3及び図4に示すように、間隔L3を空けて配置されている一対のチャック部46の第1チャック461上に試験片40を載置する。本願においては、後述するループ部41の長さ(以下、ループ長とも称する)が60mmになるよう、間隔L3を設定した。試験片40は、第1チャック461側に位置する内面40xと、内面40xの反対側に位置する外面40yと、を含む。試験片40が包装材料からなる場合、試験片40の内面40x及び外面40yは、包装材料の内面及び外面に一致する。続いて、図5に示すように、第1チャック461との間で試験片40の長辺方向の端部を把持するよう、第2チャック462を試験片40の上に配置する。
続いて、図6に示すように、一対のチャック部46の間の間隔が縮まる方向において、一対のチャック部46の少なくとも一方を支持部材47上でスライドさせる。これにより、試験片40にループ部41を形成することができる。図6に示す試験片40は、ループ部41と、一対の中間部42及び一対の固定部43とを有する。一対の固定部43は、試験片40のうち一対のチャック部46によって把持されている部分である。一対の中間部42は、試験片40のうちループ部41と一対の中間部42との間に位置している部分である。図6に示すように、チャック部46は、一対の中間部42の内面40x同士が接触するまで支持部材47上でスライドされる。これにより、60mmのループ長を有するループ部41を形成することができる。ループ部41のループ長は、一方の第2チャック462のループ部41側の面と試験片40とが交わる位置P1と、他方の第2チャック462のループ部41側の面と試験片40とが交わる位置P2との間における、試験片40の長さである。上述の間隔L3は、試験片40の厚みを無視する場合、ループ部41の長さに2×tを加えた値になる。tは、チャック部46の第2チャック462の厚みである。
その後、図7に示すように、チャック部46に対するループ部41の突出方向Yが水平方向になるよう、チャック部46の姿勢を調整する。例えば、支持部材47の法線方向が水平方向を向くように支持部材47を動かすことにより、支持部材47によって支持されているチャック部46の姿勢を調整する。図7に示す例において、ループ部41の突出方向Yは、チャック部の厚み方向に一致している。また、ループ部41の突出方向Yにおいて第2チャック462から距離Z1だけ離れた位置にロードセル48を準備する。本願においては、距離Z1を50mmとした。続いて、ロードセル48を、試験片40のループ部41に向けて、図7に示す距離Z2だけ速度Vで移動させる。距離Z2は、図7及び図8に示すように、ロードセル48がループ部41に接触し、その後、ロードセル48がループ部41をチャック部46側に押し込むよう、設定される。本願においては、距離Z2を40mmとした。この場合、ロードセル48がループ部41をチャック部46側に押し込んでいる状態におけるロードセル48とチャック部46の第2チャック462との間の距離Z3は、10mmになる。ロードセル48を移動させる速度Vは、3.3mm/秒とした。
続いて、図8に示す、ロードセル48をチャック部46側に距離Z2だけ移動させ、ロードセル48が試験片40のループ部41を押し込んでいる状態において、ループ部41からロードセル48に加えられている荷重の値が安定した後、荷重の値を記録する。このようにして得られた荷重の値を、試験片40を構成するフィルムのループスティフネスとして採用する。本願において、特に断らない限り、ループスティフネスの測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%である。
高スティフネスPETフィルムの好ましい機械特性について更に説明する。
高スティフネスPETフィルムの突き刺し強度は、好ましくは9.5N以上であり、より好ましくは10.0N以上である。
流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。垂直方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。
流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張伸度は、好ましくは130%以下であり、より好ましくは120%以下である。垂直方向における高スティフネスPETフィルムの引張伸度は、好ましくは120%以下であり、より好ましくは110%以下である。
好ましくは、上述のとおり、少なくとも1つの方向において、高スティフネスPETフィルムの引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である。例えば、垂直方向(TD)における高スティフネスフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは2.0〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.2〔MPa/%〕以上である。流れ方向(MD)における高スティフネスフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは1.8〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.0〔MPa/%〕以上である。
引張強度及び引張伸度は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA−1150を用いることができる。試験片としては、高スティフネスPETフィルムを幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は100mmであり、引張速度は300mm/分である。試験の際の環境温度は25℃であり、相対湿度は50%である。高スティフネスPETフィルムを備えるバリア性積層フィルム5の引張強度及び引張伸度、PBTフィルムの引張強度及び引張伸度、及びPBTフィルムを備えるバリア性積層フィルム5の引張強度及び引張伸度も、高スティフネスPETフィルムの場合と同様に測定される。
流れ方向における高スティフネスPETフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。垂直方向における高スティフネスPETフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。熱収縮率を測定する際の加熱温度は100℃であり、加熱時間は40分である。
流れ方向における高スティフネスPETフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5MPa以上である。垂直方向における高スティフネスPETフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5GPa以上である。
高スティフネスPETフィルムの製造工程においては、例えば、まず、ポリエチレンテレフタレートを溶融及び成形することによって得られたPETフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ90℃〜145℃で3倍〜4.5倍に延伸する第1延伸工程を実施する。続いて、プラスチックフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ100℃〜145℃で1.1倍〜3.0倍に延伸する第2延伸工程を実施する。その後、190℃〜220℃の温度で熱固定を行う。続いて、流れ方向及び垂直方向において、100℃〜190℃の温度で0.2%〜2.5%程度の弛緩処理(フィルム幅を縮める処理)を実施する。これらの工程において、延伸倍率、延伸温度、熱固定温度、弛緩処理率を調整することにより、上述の機械特性を備える高スティフネスPETフィルムを得ることができる。
次に、上述の高スティフネスPETフィルムを基材1として備えるバリア性積層フィルム5の好ましい機械特性について更に説明する。
バリア性積層フィルム5の流れ方向(MD)及び垂直方向(TD)におけるループスティフネスは、好ましくは0.0017N以上である。
バリア性積層フィルム5の突き刺し強度は、好ましくは9.5N以上であり、より好ましくは10.0N以上である。
流れ方向におけるバリア性積層フィルム5の引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。垂直方向におけるバリア性積層フィルム5の引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。
流れ方向におけるバリア性積層フィルム5の引張伸度は、好ましくは130%以下であり、より好ましくは120%以下である。垂直方向におけるバリア性積層フィルム5の引張伸度は、好ましくは120%以下であり、より好ましくは110%以下である。
好ましくは、少なくとも1つの方向において、バリア性積層フィルム5の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である。例えば、垂直方向(TD)におけるバリア性積層フィルム5の引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは2.0〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.2〔MPa/%〕以上である。流れ方向(MD)におけるバリア性積層フィルム5の引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは1.8〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.0〔MPa/%〕以上である。
流れ方向におけるバリア性積層フィルム5の熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。垂直方向におけるバリア性積層フィルム5の熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。熱収縮率を測定する際の加熱温度は100℃であり、加熱時間は40分である。
流れ方向におけるバリア性積層フィルム5のヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5MPa以上である。垂直方向におけるバリア性積層フィルム5のヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5GPa以上である。
高スティフネスPETフィルムを構成するPETは、バイオマス由来のPETを含んでいてもよい。この場合、高スティフネスPETフィルムは、バイオマス由来のPETのみで構成されていてもよい。若しくは、高スティフネスPETフィルムは、バイオマス由来のPETと、化石燃料由来のPETと、で構成されていてもよい。高スティフネスPETフィルムがバイオマス由来のPETを含むことにより、従来に比べて化石燃料由来のPETの量を削減することができるため、二酸化炭素の排出量を減らすことができ、環境負荷を減らすことができる。なお、バイオマス由来のPETは、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするものである。化石燃料由来のPETは、化石燃料由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするものである。
大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばとうもろこし中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、PET中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明において、「バイオマス度」とは、バイオマス由来成分の重量比率を示すものである。PETを例にとると、PETは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものである。PETのエチレングリコールとしてバイオマス由来のもののみを使用した場合、PET中のバイオマス由来成分の重量比率は31.25%であるため、PETのバイオマス度の理論値は31.25%となる。具体的には、PETの質量は192であり、そのうちバイオマス由来のエチレングリコールに由来する質量は60であるため、60÷192×100=31.25となる。また、化石燃料由来のPETにおけるバイオマス由来成分の重量比率は0%であり、化石燃料由来のPETのバイオマス度は0%となる。本発明において、高スティフネスPETフィルムのバイオマス度は、5.0%以上であることが好ましく、10.0%以上であることがより好ましい。また、高スティフネスPETフィルムのバイオマス度は、30.0%以下であることが好ましい。
バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。バイオマスエタノールの原料として、とうもろこし、さとうきび、ビート、マニオクなどを挙げることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。なお、インディアグライコール社のバイオマスエチレングリコールは、さとうきびの廃糖蜜を原料としたものである。
次に、PBTフィルムについて説明する。PBTフィルムとは、51質量%以上のPBTを含む延伸プラスチックフィルムである。以下、基材1がPBTを含むことの利点について説明する。
PBTは、耐熱性に優れる。このため、食品などの内容物を収容する包装袋にボイル処理やレトルト処理を施す際に基材1が変形したり基材1の強度が低下したりすることを抑制することができる。レトルト処理とは、内容物を包装袋に充填して包装袋を密封した後、蒸気又は加熱温水を利用して包装袋を加圧状態で加熱する処理である。レトルト処理の温度は、例えば120℃以上である。ボイル処理とは、内容物を袋10に充填して袋10を密封した後、袋10を大気圧下で湯煎する処理である。ボイル処理の温度は、例えば90℃以上且つ100℃以下である。
また、PBTは、高い強度を有する。このため、包装袋を構成する包装材料8がナイロンを含む場合と同様に、包装袋に耐突き刺し性を持たせることができる。PBTフィルムの突き刺し強度は、好ましくは9.5N以上であり、より好ましくは10.0N以上である。
流れ方向におけるPBTフィルムの引張強度は、好ましくは150MPa以上であり、より好ましくは180MPa以上である。垂直方向におけるPBTフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。
流れ方向におけるPBTフィルムの引張伸度は、好ましくは220%以下であり、より好ましくは200%以下である。垂直方向におけるPBTフィルムの引張伸度は、好ましくは120%以下であり、より好ましくは110%以下である。
好ましくは、少なくとも1つの方向において、PBTフィルムの引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である。例えば、垂直方向(TD)におけるPBTフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは2.0〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.2〔MPa/%〕以上であり、更に好ましくは2.5〔MPa/%〕以上である。
また、PBTは、ナイロンに比べて水分を吸収しにくいという特性を有する。このため、PBTを含む基材1を包装材料8の外面に配置した場合であっても、基材1が水分を吸収して包装材料8のラミネート強度が低下してしまうことを抑制することができる。
次に、上述のPBTフィルムを基材1として備えるバリア性積層フィルム5の好ましい機械特性について更に説明する。
バリア性積層フィルム5の突き刺し強度は、好ましくは9.5N以上であり、より好ましくは10.0N以上である。
流れ方向におけるバリア性積層フィルム5の引張強度は、好ましくは150MPa以上であり、より好ましくは180MPa以上である。垂直方向におけるバリア性積層フィルム5の引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。
流れ方向におけるバリア性積層フィルム5の引張伸度は、好ましくは220%以下であり、より好ましくは200%以下である。垂直方向におけるバリア性積層フィルム5の引張伸度は、好ましくは120%以下であり、より好ましくは110%以下である。
好ましくは、少なくとも1つの方向において、バリア性積層フィルム5の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である。例えば、垂直方向(TD)におけるバリア性積層フィルム5の引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは2.0〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.2〔MPa/%〕以上であり、更に好ましくは2.5〔MPa/%〕以上である。
以下、PBTを含む基材1の構成について詳細に説明する。本実施の形態における、PBTを含む基材1の構成としては、下記の第1の構成又は第2の構成のいずれを採用してもよい。
〔PBTを含む基材の第1の構成〕
第1の構成に係る基材1におけるPBTの含有率は、51質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、さらには70質量%以上、特には75質量%以上が好ましく、最も好ましくは80質量%以上である。PBTの含有率を51質量%以上にすることにより、基材1に優れたインパクト強度および耐ピンホール性を持たせることができる。
主たる構成成分として用いるPBTは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸が90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり、最も好ましくは100モル%である。グリコール成分として1,4−ブタンジオールが90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは97モル%以上であり、最も好ましくは、重合時に1,4−ブタンジオールのエーテル結合により生成する副生物以外は含まれないことである。
基材1は、PBT以外のポリエステル樹脂を含んでいてもよい。これにより、例えばフィルム状の基材1を二軸延伸させる場合の成膜性や基材1の力学特性を調整することができる。
PBT以外のポリエステル樹脂としては、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル樹脂のほか、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂や、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール等のジオール成分が共重合されたPBT樹脂を挙げることができる。
これらPBT以外のポリエステル樹脂の添加量は、49質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。PBT以外のポリエステル樹脂の添加量が49質量%を超えると、PBTとしての力学特性が損なわれ、インパクト強度や耐ピンホール性、絞り成形性が不十分となることが考えられる。
基材1は、添加剤として、柔軟なポリエーテル成分、ポリカーボネート成分、ポリエステル成分の少なくともいずれかを共重合したポリエステル系およびポリアミド系エラストマーを含んでいてもよい。これにより、屈曲時の耐ピンホール性を改善することができる。添加剤の添加量は、例えば20質量%である。添加剤の添加量が20質量%を超えると、添加剤としての効果が飽和することや、基材1の透明性が低下することなどが起こり得る。
第1の構成に係るフィルム状の基材1を作製する方法の一例について説明する。ここでは、キャスト法によってフィルム状の基材1を作製する方法について説明する。より具体的には、キャスト時に同一の組成の樹脂を多層化してキャストする方法について説明する。
PBTは結晶化速度が速いため、キャスト時にも結晶化が進行する。このとき、多層化せずに単層でキャストした場合には、結晶の成長を抑制しうるような障壁が存在しないために、結晶が大きなサイズに成長してしまい、得られた未延伸原反の降伏応力が高くなる。このため、未延伸原反を二軸延伸する際に破断しやすくなる。また、得られた二軸延伸フィルムの降伏応力が高くなり、二軸延伸フィルムの成形性が不十分になってしまうことが考えられる。
これに対して、キャスト時に同一の樹脂を多層化すれば、未延伸シートの延伸応力を低減することができる。このため、安定した二軸延伸が可能となり、また、得られた二軸延伸フィルムの降伏応力が低くなる。このことにより、柔軟かつ破断強度の高いフィルムを得ることができる。
図9は、基材1の層構成の一例を示す断面図である。樹脂を多層化してキャストすることによって基材1が作製される場合、図9に示すように、基材1は、複数の層1aを含む多層構造部からなる。複数の層1aはそれぞれ、主成分としてPBTを含む。例えば、複数の層1aはそれぞれ、好ましくは51質量%以上のPBTを含み、より好ましくは60質量%以上のPBTを含む。なお、複数の層1aにおいては、n番目の層1aの上にn+1番目の層1aが直接積層されている。すなわち、複数の層1aの間には、接着剤層や接着層が介在されていない。
多層化によりPBTフィルムの特性が改善される原因については、下記のように推測する。樹脂を積層する場合、樹脂の組成が同一の場合であっても層の界面が存在し、その界面により結晶化が加速される。一方、層の厚みを越えた大きな結晶の成長は抑制される。このため、結晶(球晶)のサイズが小さくなるものと考えられる。
多層化により球晶のサイズを小さくするための具体的な方法としては、一般的な多層化装置(多層フィードブロック、スタティックミキサー、多層マルチマニホールドなど)を用いることができる。例えば、二台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂を、フィードブロックやスタティックミキサー、マルチマニホールドダイ等を用いて多層に積層する方法等を使用することができる。なお、同一の組成の樹脂を多層化する場合、一台の押出機のみを用いて、押出機からダイまでのメルトラインに上述の多層化装置を導入することも可能である。
基材1は、少なくとも10層以上、好ましくは60層以上、より好ましくは250層以上、更に好ましくは1000層以上の層1aを含む多層構造部からなる。層数を多くすることにより、未延伸原反の状態のPBTにおける球晶のサイズを小さくすることができ、その後の二軸延伸を安定に実施することができる。また、二軸延伸フィルムの状態のPBTの降伏応力を小さくすることができる。好ましくは、未延伸原反のPBTにおける球晶の直径は、500nm以下である。
PBTの未延伸原反を二軸延伸して二軸延伸フィルムを作製する際の、縦延伸方向(以下、MD)における延伸温度(以下、MD延伸温度とも記す)は、好ましくは40℃以上であり、より好ましくは45℃以上である。MD延伸温度を40℃以上にすることにより、フィルムの破断が生じることを抑制することができる。また、MD延伸温度は、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは95℃以下である。MD延伸温度を100℃以下にすることにより、二軸延伸フィルムの配向が生じないという現象を抑制することができる。
MDにおける延伸倍率(以下、MD延伸倍率とも記す)は、好ましくは2.5倍以上である。これにより、二軸延伸フィルムを配向させ、良好な力学特性や均一な厚みを実現することができる。MD延伸倍率は、例えば5倍以下である。
横延伸方向(以下、TDとも記す)における延伸温度(以下、TD延伸温度とも記す)は、好ましくは40℃以上である。TD延伸温度を40℃以上にすることにより、フィルムの破断が生じることを抑制することができる。また、TD延伸温度は、好ましくは100℃以下である。TD延伸温度を100℃以下にすることにより、二軸延伸フィルムの配向が生じないという現象を抑制することができる。
TDにおける延伸倍率(以下、TD延伸倍率とも記す)は、好ましくは2.5倍以上である。これにより、二軸延伸フィルムを配向させ、良好な力学特性や均一な厚みを実現することができる。MD延伸倍率は、例えば5倍以下である。
TDリラックス率は、好ましくは0.5%以上である。これにより、PBTの二軸延伸フィルムの熱固定時に破断が生じることを抑制することができる。また、TDリラックス率は、好ましくは10%以下である。これにより、PBTの二軸延伸フィルムにたるみなどが生じて厚みムラが発生することを抑制することができる。
図9に示す基材1の層1aの厚みは、好ましくは3nm以上であり、より好ましくは10nm以上である。また、層1aの厚みは、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下である。
また、基材1の厚みは、好ましくは9μm以上であり、より好ましくは12μm以上である。また、基材1の厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。基材1の厚みを9μm以上にすることにより、基材1が十分な強度を有するようになる。また、基材1の厚みを25μm以下にすることにより、基材1が優れた成形性を示すようになる。このため、基材1を含む包装材料8を加工して包装袋を製造する工程を効率的に実施することができる。
〔PBTを含む基材の第2の構成〕
第2の構成に係る基材1は、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを含む単層フィルムからなる。例えば、基材1は、グリコール成分としての1,4−ブタンジオール、又はそのエステル形成性誘導体と、二塩基酸成分としてのテレフタル酸、又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、それらを縮合して得られるホモ、またはコポリマータイプのポリエステルを含む。第2の構成に係る基材1におけるPBTの含有率は、51質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、さらには80質量%以上が好ましく、最も好ましくは90質量%以上である。また、第2の構成に係る基材1は、ポリブチレンテレフタレートと添加剤のみで構成されていることが好ましい。
基材1に機械的強度を付与するためには、PBTのうち、融点が200℃以上且つ250℃以下、IV値(固有粘度)が1.10dl/g以上且つ1.35dl/g以下のものが好ましい。さらには、融点が215℃以上且つ225℃以下、IV値が1.15dl/g以上且つ1.30dl/g以下のものが特に好ましい。これらのIV値は、基材1を構成する材料全体によって満たされていてもよい。IV値は、JIS K 7367−5:2000に基づいて算出され得る。
第2の構成に係る基材1は、PETなどPBT以外のポリエステル樹脂を30質量%以下の範囲で含んでいてもよい。基材1がPBTに加えてPETを含むことにより、PBT結晶化を抑制することができ、PBTフィルムの延伸加工性を向上させることができる。基材1のPBTに配合するPETとしては、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを用いることができる。例えば、グリコール成分としてのエチレングリコール、二塩基酸成分としてのテレフタル酸を主成分としたホモタイプを好ましく用いることができる。良好な機械的強度特性を付与するためには、PETのうち、融点が240℃以上且つ265℃以下、IV値が0.55dl/g以上且つ0.90dl/g以下のものが好ましい。さらには、融点が245℃以上且つ260℃以下、IV値が0.60dl/g以上且つ0.80dl/g以下のものが特に好ましい。
PETの配合量を30質量%以下にすることにより、未延伸原反及び延伸フィルムの剛性が高くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、延伸フィルムがもろくなり、延伸フィルムの耐圧強度、衝撃強度、突刺し強度などが低下してしまうことを抑制することができる。また、未延伸原反を延伸する際の延伸不調が発生することを抑制することができる。
基材1は、必要に応じて、滑剤、アンチブロッキング剤、無機増量剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、着色剤、結晶化抑制剤、結晶化促進剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、基材1の原料として用いるポリエステル系樹脂ペレットは、加熱溶融時の加水分解による粘度低下を避けるため、加熱溶融前に水分率が0.05重量%以下、好ましくは0.01重量%以下になるように十分予備乾燥を行った上で使用するのが好ましい。
第2の構成に係るフィルム状の基材1を作製する方法の一例について説明する。
上述の構成の基材1のフィルムを安定的に作製するためには、未延伸原反の状態における結晶の成長を抑制することが重要になる。具体的には、押出されたPBT系溶融体を冷却して成膜する際、該ポリマーの結晶化温度領域をある速度以上で冷却する、すなわち原反冷却速度が重要な因子となる。原反冷却速度は、例えば200℃/秒以上、好ましくは250℃/秒以上、特に好ましくは350℃/秒以上である。高い冷却速度で成膜された未延伸原反は、低い結晶状態を保っているため、延伸時のバブルの安定性が向上する。さらには高速での成膜も可能になるので、フィルムの生産性も向上する。冷却速度が200℃/秒未満である場合、得られた未延伸原反の結晶性が高くなり延伸性が低下することが考えられる。また、極端な場合には、延伸バブルが破裂し、延伸が継続しないことも考えられる。
PBTを主成分として含む未延伸原反は、雰囲気温度を25℃以下、好ましくは20℃以下に保ちながら、二軸延伸を行う空間まで搬送されることが好ましい。これにより、滞留時間が長くなった場合であっても、成膜直後の未延伸原反の結晶性を維持することができる。
未延伸原反を延伸させて延伸フィルムを得るための二軸延伸法は、特には限定されない。例えば、チューブラー法又はテンター法により、縦方向及び横方向を同時に延伸してもよく、若しくは、縦方向及び横方向を逐次延伸してもよい。このうち、チューブラー法は、周方向の物性バランスが良好な延伸フィルムを得ることができ、特に好ましく採用される。
チューブラー法において、延伸空間に導かれた未延伸原反は、一対の低速ニップロール間に挿通された後、中に空気を圧入しながら延伸用ヒーターで加熱される。延伸終了後、延伸フィルムには、冷却ショルダーエアーリングによりエアーが吹き付けられる。延伸倍率は、延伸安定性や延伸フィルムの強度物性、透明性、および厚み均一性を考慮すると、MD、およびTDそれぞれ2.7倍以上且つ4.5倍以下であることが好ましい。延伸倍率を2.7倍以上にすることにより、延伸フィルムの引張弾性率や衝撃強度を十分に確保することができる。また、延伸倍率を4.5倍以下にすることにより、延伸により過度な分子鎖のひずみが発生することを抑制し、延伸加工時に破断やパンクが発生することを抑制できるので、延伸フィルムを安定に作製することができる。
延伸温度は、40℃以上且つ80℃以下が好ましく、特に好ましくは45℃以上且つ65℃以下である。上述の高い冷却速度で製造した未延伸原反は、結晶性が低いため、延伸温度が比較的に低温の場合であっても、安定して未延伸原反を延伸することができる。また、延伸温度を80℃以下にすることにより、延伸バブルの揺れを抑制し、厚み精度の良好な延伸フィルムを得ることができる。また、延伸温度を40℃以上にすることにより、低温延伸による過度な延伸配向結晶化が発生することを抑制して、フィルムの白化等を防ぐことができる。
上述のようにして作製される基材1は、例えば、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを含む単一の層によって構成されている。上述の作製方法によれば、高い冷却速度で未延伸原反を成膜するので、未延伸原反が単一の層によって構成される場合であっても、低い結晶状態を保つことができ、このため、安定して未延伸原反を延伸することができる。
基材1がPBTを含むことにより、バリア性積層フィルム5及びバリア性積層フィルム5を含む包装材料8の耐熱性を高くすることができる。例えば、バリア性積層フィルム5及び包装材料8の引張弾性率を十分に高くすることができる。特に、高温の雰囲気下、例えば100℃の雰囲気下におけるバリア性積層フィルム5及び包装材料8の引張弾性率(以下、熱間引張弾性率とも記す)を十分に高くすることができる。
[蒸着層]
次に、蒸着層2について説明する。
蒸着層2は、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止、遮断するガスバリア性能を有する薄膜である。蒸着層2は、アルミニウムなどの遮光性を有する金属を含む金属層であってもよく、透明性を有する無機化合物で形成された透明蒸着層であってもよい。例えば、蒸着層2は、透明性を有する無機酸化物で形成された透明蒸着層である。
以下、蒸着層2が透明蒸着層である場合について説明する。蒸着層2を形成する無機酸化物は、例えば、少なくとも酸化アルミニウム又はアルミニウムの窒化物、炭化物、水酸化物の単独又はその混合物を含む、アルミニウム化合物を主成分として含む。例えば、無機酸化物は、酸化アルミニウムを主成分として含む。
また、蒸着層2は、珪素化合物を主成分として含む層であってもよい。例えば、無機酸化物層は、ケイ素酸化物(酸化珪素)を主成分として含む。
さらに、蒸着層2は、上述の酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物を主成分として含み、更に、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素酸化窒化物、ケイ素炭化物、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、またはこれらの金属窒化物、炭化物及びその混合物などを含む層であってもよい。
蒸着層2の厚みは、3nm以上50nm以下が好ましく、より好ましくは9nm以上30nm以下である。
(ガスバリア性塗布膜)
ガスバリア性塗布膜3は、蒸着層2が透明蒸着層である場合に、蒸着層2を機械的・化学的に保護するとともに、バリア性積層フィルム5のバリア性を向上させるためのものであり、蒸着層2に接するように積層される。ガスバリア性塗布膜3は、金属アルコキシドと水酸基含有水溶性樹脂、及び必要に応じて添加されるシランカップリング剤とを含む樹脂組成物からなるガスバリア性塗布膜用コート剤によって形成される硬化膜である。
前記樹脂組成物中の水酸基含有水溶性樹脂/金属アルコキシドの質量比は、5/95以上、20/80以下が好ましく、8/92以上、15/85以下がより好ましい。上記範囲よりも小さいと、バリア性被覆層のバリア効果が不十分になり易い傾向になり、上記範囲よりも大きいと、バリア性被覆層の剛性と脆性とが大きくなり易くなる。
ガスバリア性塗布膜3の厚みは、100nm以上、800nm以下が好ましい。上記範囲よりも薄いと、ガスバリア性塗布膜3のバリア効果が不十分になり易くなり、上記範囲よりも厚いと、剛性と脆性とが大きくなり易くなる。
金属アルコキシドは、一般式R1nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、水素原子または炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。1分子中の複数のR1、R2のそれぞれは、同一であっても、異なっていてもよい。)・・・(I)で表される。
金属アルコキシドのMで表される具体的な金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、スズ、鉛、ボラン、その他等を例示することができ、例えば、MがSi(ケイ素)であるアルコキシシランを使用することが好ましい。
上記一般式(I)において、ORの具体例としては、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基、3−メタクリロキシ基。3−アクリロキシ基、フェノキシ基、等のアルコキシ基またはフェノキシ基等が挙げられる。
上記において、Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、p−スチリル基、3−クロロプロピル基、トリフルオロメチル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、メタクリル基、γ−アミノプロピル基等が挙げられる。
アルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、フェニルフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等の各種アルコキシシランやフェノキシシラン等が挙げられる。本実施の形態において、これらのアルコキシシランの縮重合物も使用することができ、具体的には、例えば、ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエトキシシラン等を使用することができる。
シランカップリング剤は、金属アルコキシドと水酸基含有水溶性樹脂による硬化膜の架橋密度を調整して、バリア性及び耐熱水処理性のある膜とするために用いるものである。
シランカップリング剤は、一般式:RnSi(OR)4−n ・・・(II)
(ただし、式中、RおよびRはそれぞれ独立して有機官能基を表し、nは1から3である。)
で表される。
上記一般式(II)中、Rとしては、例えば、アルキル基やアルキレン基等の炭化水素基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、ウレイド基、ビニル基、アミノ基、イソシアヌレート基またはイソシアネート基を有する官能基が挙げられる。具体的には、2つまたは3つ存在するRの少なくとも一つは、エポキシ基を有する官能基であることが好ましく、3−グリシドキシプロピル基および2−(3,4エポキシシクロヘキシル)基であることがより好ましい。なお、Rは、それぞれ同一であっても、異なってもよい。
上記一般式(II)中、Rとしては、例えば、炭素数1〜8の有機官能基であり、好ましくは分岐を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基または炭素数3〜7のアルコキシアルキル基である。例えば、炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。また、炭素数3〜7のアルコキシアルキル基としては、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、エチルブチルエーテル、メチルsec−ブチルエーテル、エチルsec−ブチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、エチルtert−ブチルエーテル等の直鎖又は分岐鎖状エーテルから1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。なお、(OR)は、それぞれ同一であっても、異なってもよい。
上記一般式(II)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、n=1の場合、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。n=2の場合、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられ、n=3の場合、3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ジメチルメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
特に、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを用いたバリア性被覆層の硬化膜の架橋密度は、トリアルコキシシランを用いた系での架橋密度より低くなる。そのため、ガスバリア性及び耐熱水処理性のある膜として優れながら、柔軟性のある硬化膜となり、耐屈曲性にも優れるため、当該バリアフィルムを用いた包装材料はゲルボフレックス試験後でもガスバリア性が劣化し難い。
シランカップリング剤は、n=1、2、3、のものを混合して用いることもでき、その量比及びシランカップリング剤の使用量は、バリア性被覆層の硬化膜の設計により決められる。
水酸基含有水溶性樹脂は、金属アルコキシドと脱水共縮合し得るものであり、ケン化度は、90%以上、100%以下が好ましく、95%以上、100%以下がより好ましく、99%以上、100%以下が更に好ましい。ケン化度が上記範囲よりも小さいと。バリア性被覆層の硬度が低下し易くなる。
水酸基含有水溶性樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニルアルコ一ル共重合体、2官能フェノール化合物と2官能エポキシ化合物との重合体、等が挙げられ、各々を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、共重合させて用いてもよい。これらの中で、特に、柔軟性と親和性に優れることから、ポリビニルアルコールが好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂が好適である。
具体的には、例えば、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコ一ル系樹脂や、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体をケン化して得られたエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することができる。
このようなポリビニルアルコール系樹脂としては、株式会社クラレ製のPVA-124(ケン化度=99%、重合度=2,400)」、日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)」等を挙げることができる。
(バリア性積層フィルムの好ましい構成)
次に、蒸着層2が酸化アルミニウムを含む透明蒸着層である場合の、厚み方向におけるバリア性積層フィルム5の好ましい構成について、図10を参照して説明する。図10は、バリア性積層フィルム5のガスバリア性塗布膜3側の表面に対し、Cs(セシウム)イオン銃により一定の速度でソフトエッチングを繰り返しながら、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いて、酸化アルミニウムを含む蒸着層2に由来するイオンと、基材1に由来するイオンを測定した結果を示す図である。バリア性積層フィルム5の蒸着層2は、図10に示すグラフ解析図によって特定される遷移領域を含んでいる。
遷移領域とは、バリア性積層フィルム5をガスバリア性塗布膜3側からTOF−SIMSを用いてエッチングを行うことで検出される、水酸化アルミニウムに変成する元素結合Al24Hのピークの位置T2と、蒸着層2と基材1との界面T1との間の領域である。蒸着層2と基材1との界面T1は、元素C6のグラフの強度が、基材1における元素C6の強度の半分になる位置として特定される。図10において、符号W1は、遷移領域の厚みを表す。
蒸着層2の厚みに対する遷移領域の厚みW1の比率(以下、遷移領域の変成率とも称する)は、5%以上60%以下であることが望ましい。変成率を5%以上60%以下にすることにより、バリア性積層フィルム5を含む包装材料にボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理を施した場合に、水蒸気に対するバリア性積層フィルム5のバリア性が低下してしまうことを抑制することができる。レトルト処理とは、バリア性積層フィルム5を備える包装材料によって構成された包装袋に内容物を充填して包装袋を密封した後、包装袋を加圧状態で加熱する処理である。レトルト処理の温度は、例えば120℃以上である。ボイル処理とは、内容物を包装袋に充填して包装袋を密封した後、包装袋を大気圧下で湯煎する処理である。ボイル処理の温度は、例えば90℃以上且つ100℃以下である。なお、遷移領域の変成率が5%以上60%以下であるバリア性積層フィルム5を含む包装材料は、ボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理が施されない用途の包装袋で用いられる場合であっても、酸素や水蒸気などのガスに対するバリア性を維持する上で有効に機能し得る。
基材1と蒸着層2の界面は、熱によって機械的及び化学的なストレスを受ける。従って、密着性やバリア性の低下を抑制するためには、基材1と蒸着層2の界面において強固に蒸着層2で基材1を被覆することが重要である。
水酸化アルミニウムは、その化学構造によりポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムとの密着性がよく、またそれ自体がネットワークを作り緻密なため、高い水蒸気バリア性を有する。しかし、熱ストレスに対して、水酸化アルミとプラスチックフィルムとの水素結合に基づく結合構造は微視的に崩れやすい。また、水酸化アルミニウムのネットワークに対しても、水分子と水酸化アルミニウムの粒界面の親和性から膜中に浸透しやすい。
本実施の形態では、酸化アルミニウムを含む蒸着層2における水酸化アルミニウムが形成する、基材1との界面における遷移領域を極力狭くするために、元素結合Al24Hに注目し、その存在量を制御する。これにより、熱ストレスによって元素結合Al24Hから発生する水酸化アルミニウムを抑え、相対的に水酸化アルミニウムが少ない酸化アルミニウムの層の比率を上げることにより、熱ストレスによる水分子による微視的な蒸着層2の破壊、プラスチックフィルムとの界面破壊を抑制することを意図している。それにより従来にない密着性、バリア性を有するバリア性積層フィルム5を提供することができる。
酸化アルミニウムを含む蒸着層2は、酸素プラズマ前処理された基材1の表面に蒸着層2を成膜することで形成することができる。蒸着層2を成膜する蒸着法としては、物理蒸着法、化学蒸着の中から種々の蒸着法が適用できる。物理蒸着法としては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、クラスターイオンビーム法からなる群から選ぶことができ、化学蒸着法としては、プラズマCVD法、プラズマ重合法、熱CVD法、触媒反応型CVD法からなる群から選ぶことができる。本実施の形態においては、物理蒸着法の蒸着法が好適である。
図10のグラフを得るための方法の一具体例について説明する。まず、Csを用いて、ガスバリア性塗布膜3の最表面からエッチングを行い、ガスバリア性塗布膜3と蒸着層2と基材1等のフィルムとの界面の元素結合及び蒸着層2の元素結合の分析を実施する。これにより、図10に示すグラフを得ることができる。
次に、図10のグラフの解析方法の一具体例について説明する。ここでは、ガスバリア性塗布膜3が酸化ケイ素を含む場合について説明する。
まず、グラフにおいて、ガスバリア性塗布膜3の構成元素であるSiO2(質量数59.96)の強度が、ガスバリア性塗布膜3における強度の半分になる位置を、ガスバリア性塗布膜3と蒸着層2の界面として特定する。次に、基材1の構成材料であるC6(質量数72.00)の強度が、基材1における強度の半分になる位置を、基材1と蒸着層2の界面として特定する。また、2つの界面の間の、厚み方向における距離を、蒸着層2の厚みとして採用する。
次に、測定された元素結合Al24H(質量数118.93)のピークを求め、そのピークから界面までを遷移領域とする。ただし、ガスバリア性塗布膜3の成分がAl24H(質量数118.93)と同じ質量数の材料で構成される場合、118.93の波形を分離する必要がある。
ガスバリア性塗布膜3と蒸着層2の界面に、反応物AlSiO4と、水酸化物Al24Hとが生じる場合、それらと、基材1と蒸着層2の間の界面に存在するAl24Hを分離することができる。このように、波形の分離については、ガスバリア性塗布膜3の材料に応じて適宜対応することができる。
波形分離においては、例えば、TOF−SIMSで得られた、質量数118.93のプロファイルを、Gaussian関数を用いて非線形のカーブフィッティングを行い最小二乗法Levenberg Marquardt アルゴリズムを使用して重複ピークの分離を行うことができる。
なお、上述の解析は、バリア性積層フィルム5が基材1、蒸着層2及びガスバリア性塗布膜3を備える場合を想定しているが、同様の解析は、バリア性積層フィルム5が基材1及び蒸着層2を含むがガスバリア性塗布膜3を含まない場合にも適用できる。バリア性積層フィルム5がガスバリア性塗布膜3を含まない場合であっても、蒸着層2の遷移領域の変成率を所定の範囲内にすることにより、バリア性積層フィルム5を含む包装材料にボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理を施した場合に、水蒸気に対するバリア性積層フィルム5のバリア性が低下してしまうことを抑制することができる。バリア性積層フィルム5が基材1及び蒸着層2を含み、蒸着層2側から飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いてエッチングを行う場合、蒸着層2の遷移領域の変成率が45%以下であることが好ましい。
<バリア性積層フィルムの製造方法>
次に、バリア性積層フィルム5の製造方法の一例について説明する。
まず、基材1を準備する。続いて、基材1の面上に、酸化アルミニウムを含む蒸着層2を成膜する。図11は、成膜装置60の一例を示す図である。以下、成膜装置60及び成膜装置60を用いた成膜方法について説明する。
図11に示すように、成膜装置60においては、減圧チャンバ62内に隔壁85a〜85cが形成されている。該隔壁85a〜85cにより、基材搬送室62A、プラズマ前処理室62B、成膜室62Cが形成され、特に、隔壁と隔壁85a〜85cで囲まれた空間としてプラズマ前処理室62B及び成膜室62Cが形成され、各室は、必要に応じて、さらに内部に排気室が形成される。
プラズマ前処理室62B及びプラズマ前処理室62Bにおけるプラズマ前処理工程について説明する。プラズマ前処理室62B内には、前処理が行われる基材1を搬送し、かつプラズマ処理を可能にするプラズマ前処理ローラー70の一部が基材搬送室62Aに露出するように設けられている。基材1は、巻き取られながらプラズマ前処理室62Bに移動する。
プラズマ前処理室62B及び成膜室62Cは、基材搬送室62Aと接して設けられており、基材1を大気に触れさせないままに移動可能である。また、前処理室62Bと基材搬送室62Aの間は、矩形の穴により接続されており、その矩形の穴を通じてプラズマ前処理ローラー70の一部が基材搬送室62A側に飛び出しており、該搬送室の壁と該前処理ローラー70の間に隙間が開いており、その隙間を通じて基材1が基材搬送室62Aから成膜室62Cへ移動可能である。基材搬送室62Aと成膜室62Cとの間も同様の構造となっており、基材1を大気に触れさせずに移動可能である。
基材搬送室62Aは、成膜ローラー75により再度基材搬送室12Aに移動させられた、片面に蒸着層2が成膜された基材1をロール状に巻き取るため、巻取り手段としての巻き取りローラーが設けられ、蒸着層2が成膜された基材1を巻き取り可能とするようになっている。
酸化アルミニウムを含む蒸着層2を有するバリア性積層フィルム5を製造する際、前記プラズマ前処理室62Bは、プラズマが生成する空間を他の領域と区分し、対向空間を効率よく真空排気できるように構成されることで、プラズマガス濃度の制御が容易となり、生産性が向上する。その減圧して形成する前処理圧力は、0.1Pa〜100Pa程度に設定、維持することができ、特に、酸化アルミニウムを含む蒸着層2の好ましい遷移領域の変成率とするため酸素プラズマ前処理の処理圧力としては、1〜20Paが好ましい。
基材1の搬送速度は、特に限定されないが、生産効率の観点から、少なくとも200〜1000m/minにすることができ、特に、酸化アルミニウムを含む蒸着層2の遷移領域の変成率とするため酸素プラズマ前処理の搬送速度としては、300〜800m/minが好ましい。
プラズマ前処理装置を構成するプラズマ前処理ローラー70は、プラズマ前処理手段によるプラズマ処理時の熱による基材1の収縮や破損を防ぐこと、酸素プラズマPを基材1に対して均一にかつ広範囲に適用することを目的とするものである。前処理ローラー70は、前処理ローラー内を循環させる温度調節媒体の温度を調整することにより、−20℃から100℃の間で、一定温度に調節することが可能であることが好ましい。
プラズマ前処理手段は、プラズマ供給手段及び磁気形成手段を含む。プラズマ前処理手段はプラズマ前処理ローラー70と協働し、基材1表面近傍に酸素プラズマPを閉じ込める。
プラズマ前処理手段は、前処理ローラー70の一部を覆うように設けられている。具体的には、前処理ローラー70の外周近傍の表面に沿ってプラズマ前処理手段を構成するプラズマ供給手段72と磁気形成手段73を配置する。プラズマ供給手段72は、プラズマ原料ガスを供給するプラズマ供給ノズルを含む。磁気形成手段73は、プラズマPの発生を促進するためマグネット等を有する。また、プラズマ前処理手段は、前処理ローラー70との間で電圧が加えられる電極71を有する。なお、図11においては、電極71とプラズマ供給手段72とが別個の部材である例が示されているが、これに限られることはない。図示はしないが、電極71とプラズマ供給手段72とが一体的な部材によって構成されていてもよい。
前処理ローラー70と磁気形成手段73との間に挟まれた空間にプラズマPを発生させ、前処理ローラー70と基材1の表面近傍にプラズマ密度の高い領域を形成することで、基材1の内側の面に酸素プラズマ前処理を施してプラズマ処理面を形成することができる。
プラズマ前処理手段のプラズマ供給手段72は、減圧チャンバ62の外部に設けたプラズマ供給ノズルに接続された原料ガス揮発供給装置68と、該装置から原料ガスを供給する原料ガス供給ラインを含む。供給されるプラズマ原料ガスは、酸素単独又は酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスが、ガス貯留部から流量制御器を介することでガスの流量を計測しつつ供給される。不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素なる群から選ばれる、1種または2種以上の混合ガスが挙げられる。
これら供給されるガスは、必要に応じて所定の比率で混合されて、プラズマ原料ガス単独又はプラズマ形成用混合ガスに形成され、プラズマ供給手段に供給される。その単独又は混合ガスは、プラズマ供給手段のプラズマ供給ノズルに供給され、プラズマ供給ノズルの供給口が開口する前処理ローラー70の外周近傍に供給される。そのノズル開口は前処理ローラー70上の基材1に向けられ、基材1の表面全体に均一に酸素プラズマPを拡散、供給させることが可能となるように配置、構成される。これにより、基材1の大面積の部分に均一なプラズマ前処理を施すことができる。
酸化アルミニウムを含む蒸着層2の遷移領域の変成率を上述のように5%以上60%以下とするため、酸素プラズマ前処理としては、酸素ガスと前記不活性ガスとの混合比率(酸素ガス/不活性ガス)は、6/1〜1/1が好ましく、5/2〜3/2がより好ましい。混合比率を6/1〜1/1とすることで、基材1上での蒸着層2の膜形成エネルギーが増加し、更に5/2〜3/2とすることで、水酸化アルミニウムの形成が基材1の界面近傍で形成される、すなわち該遷移領域の変成率が低下する。
電極71は、前処理ローラー70の対向電極として機能する。前処理ローラー70との間に供給される高周波電圧、低周波電圧等による電位差によって供給されたプラズマ原料ガスが励起状態になり、プラズマPが発生し、供給される。
具体的には、電極71は、プラズマ電源としてプラズマ前処理ローラーを設置し、対向電極との間に周波数が10Hzから2.5GHzの交流電圧を印加し、投入電力制御または、インピーダンス制御等を行い、プラズマ前処理ローラー70との間に任意の電圧を印加した状態にすることができるものである。成膜装置60は、基材1の表面物性を物理的ないしは化学的に改質する処理ができる酸素プラズマPを正電位にするバイアス電圧を印加できる電源82を備えている。
単位面積あたりのプラズマ強度は、好ましくは50〜8000W・sec/m2である。50W・sec/m2以下では、プラズマ前処理の効果がみられず、また、8000W・sec/m2以上では、基材1の消耗、破損着色、焼成などプラズマによる基材1の劣化が起きる傾向にある。特に、単位面積あたりのプラズマ強度は、100〜1000W・sec/m2が好ましい。基材1に垂直にバイアス電圧を持ち上記プラズマ強度を与えることにより、安定的に酸化アルミニウムを含む蒸着層2との密着性等を向上させることができる。
磁気形成手段73としては、マグネットケース内に絶縁性スペーサ、ベースプレートが設けられ、このベースプレートにマグネットが設けられたものを用いることができる。マグネットケースに絶縁性シールド板が設けられ、この絶縁性シールド板に電極が取り付けられ得る。マグネットケースと電極は電気的に絶縁されており、マグネットケースを減圧チャンバ62内に設置、固定しても電極は電気的にフローティングレベルとすることが可能である。マグネットを設けることにより、基材1表面近傍での反応性が高くなり、良好なプラズマ前処理面を高速で形成することが可能となる。
好ましくは、マグネットは、基材1の表面位置での磁束密度が10ガウスから10000ガウスになるよう構成されている。基材1表面での磁束密度が10ガウス以上であれば、基材1表面近傍での反応性を十分高めることが可能となり、良好な前処理面を高速で形成することができる。
次に、成膜室62C及び成膜室62Cにおける成膜工程について説明する。成膜装置60は、減圧された成膜室62C内に配置された成膜ローラー75と、成膜ローラー75に対向して配置された蒸着膜成膜手段74のターゲットと、を有する。成膜ローラー75は、プラズマ前処理装置で前処理された基材1の処理面を外側にして基材1を巻きかけて搬送する。成膜工程においては、蒸着膜成膜手段74のターゲットを蒸発させて基材1の表面に酸化アルミニウム膜を成膜する。
蒸着膜成膜手段74は、例えば抵抗加熱方式であり、アルミニウムを蒸発源としてアルミニウムの金属線材を用い、酸素を供給ししてアルミニウム蒸気を酸化しつつ、基材1の表面に酸化アルミニウムを含む蒸着層2を成膜させる。
上記のように成膜される酸化アルミニウムを含む蒸着層2の厚みは、3〜50nmが好ましく、より好ましくは9〜30nmである。この範囲であれば、バリア性を保持することができる。但し、酸化アルミニウムを含む蒸着層2が非常に薄い場合は、TOF−SIMS測定による遷移領域の変成率の算出が困難になる。
次に、蒸着層2の上にガスバリア性塗布膜3を形成する方法について説明する。まず、上記金属アルコキシド、シランカップリング剤、水酸基含有水溶性樹脂、反応促進剤(ゾルゲル法触媒、酸等)、及び溶媒としての水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロパノール等のアルコール等の有機溶媒を混合して、樹脂組成物からなるガスバリア性塗布膜用コート剤を調製する。
ガスバリア性塗布膜3がシランカップリング剤を含む場合、以下のようにガスバリア性塗布膜用コート剤を調製してもよい。まず、アルコキシシランなどの金属アルコキシドとシランカップリング剤とを混合する。金属アルコキシドとシランカップリング剤とは、好ましくは10℃以下で混合される。これにより、形成されるガスバリア性塗布膜3における膜構造が緻密なものとなり易くなる。続いて、金属アルコキシドとシランカップリング剤の混合物と、ポリビニルアルコール系樹脂などの水酸基含有水溶性樹脂とを混合する。
ガスバリア性塗布膜用コート剤を調製した後、蒸着層2の上に、常法により、上記のガスバリア性塗布膜用コート剤を塗布し、乾燥する。この乾燥工程によって、縮合または共縮合反応が更に進行し、塗膜が形成される。第一の塗膜の上に、更に上記塗布操作を繰り返して、2層以上からなる複数の塗膜を形成してもよい。
さらに、20〜200℃、好ましくは50〜180℃の範囲の温度、かつ基材1を構成する樹脂の軟化点以下の温度で、3秒〜10分間加熱処理する。これによって、蒸着層2の上に、上記ガスバリア性塗布膜用コート剤からなるガスバリア性塗布膜3を形成することができる。このようにして、基材1、蒸着層2及びガスバリア性塗布膜3を有するバリア性積層フィルム5を作製することができる。
<包装材料>
次に、包装袋を構成するための包装材料8について説明する。包装材料8は、上述のバリア性積層フィルム5と、バリア性積層フィルム5に積層された熱可塑性樹脂層7と、を備える。図12に示す例においては、バリア性積層フィルム5の蒸着層2側の面に、接着層6を介して熱可塑性樹脂層7が積層されている。熱可塑性樹脂層7が、包装材料8の内面(包装材料8によって構成される包装袋の内面)を構成する。図示はしないが、バリア性積層フィルム5と接着層6との間に印刷層を設けてもよい。
(熱可塑性樹脂層)
熱可塑性樹脂層7は、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂層やフィルムであれば良く、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、α−オレフィン共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エラストマー等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂ないしはこれらのフィルムを使用することが好ましく、中でも、食品等の内容物に接する層であるため、衛生性、耐熱性、耐薬品性、保香性に優れたポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂ないしはこれらのフィルムを使用することがより好ましい。
また、その厚さとしては3μm以上且つ100μm以下が好ましく、15μm以上且つ70μm以下がより好ましい。
熱可塑性樹脂層7は、好ましくは未延伸のフィルムからなる。なお「未延伸」とは、全く延伸されていないフィルムだけでなく、製膜の際に加えられる張力に起因してわずかに延伸されているフィルムも含む概念である。
包装材料8から構成された包装袋には、ボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理が高温で施されることがある。好ましくは、熱可塑性樹脂層7として、これらの高温での処理に耐える耐熱性を有するものが用いられる。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例A1]
基材1として、0.0017N以上のループスティフネスを有し、石油由来のPETからなる高スティフネスPETフィルムを準備した。具体的には、高スティフネスPETフィルムとして、東レ株式会社製のXP−55を用いた。高スティフネスPETフィルムの厚みは16μmであった。また、高スティフネスPETフィルムのループスティフネスの測定値は、流れ方向及び垂直方向のいずれにおいても0.0021Nであった。また、流れ方向における高スティフネスPETフィルムのヤング率は4.8GPaであり、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムのヤング率は4.7GPaであった。
また、流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度は292MPaであり、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度は257MPaであった。また、流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張伸度は107%であり、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張伸度は102%であった。この場合、流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は2.73〔MPa/%〕であり、垂直方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は2.52〔MPa/%〕である。
また、流れ方向及び垂直方向における高スティフネスPETフィルムの熱収縮率はいずれも0.4%であった。
続いて、高スティフネスPETフィルムの突き刺し強度を、JIS Z1707 7.4に準拠して測定した。測定器としては、A&D製のテンシロン万能材料試験機RTC−1310を用いた。具体的には、固定されている状態の高スティフネスPETフィルムの試験片に対して、外面30y側から、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を、50mm/分(1分あたり50mm)の速度で突き刺し、針が高スティフネスPETフィルムを貫通するまでの応力の最大値を測定した。5個以上の試験片について、応力の最大値を測定し、その平均値を高スティフネスPETフィルムの突き刺し強度とした。測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%とした。結果、突き刺し強度は10.2Nであった。
[実施例A2]
基材1として、上述の第1の構成で説明した、複数の層を含み、キャスト法で作製されたPBTフィルムを準備した。各層におけるPBTの含有率は80%であり、層の数は1024であり、PBTフィルムの厚みは15μmであった。また、流れ方向におけるPBTフィルムの引張強度は191MPaであり、垂直方向におけるPBTフィルムの引張強度は289MPaであった。また、流れ方向におけるPBTフィルムの引張伸度は195%であり、垂直方向におけるPBTフィルムの引張伸度は100%であった。この場合、流れ方向におけるPBTフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は0.98〔MPa/%〕であり、垂直方向におけるPBTフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は2.89〔MPa/%〕である。
また、流れ方向及び垂直方向におけるPBTフィルムの熱収縮率はいずれも0.4%であった。
[実施例B1]
基材1上に蒸着層2を形成し、蒸着層2上にガスバリア性塗布膜3を形成してバリア性積層フィルム5を作製した例について説明する。
まず、基材1として、上述の実施例A1で用いた、厚さ16μmの高スティフネスPETフィルムを巻き取ったロールを準備した。続いて、図11に示す上述の成膜装置60を用いて、基材1に酸素プラズマ処理を施した後、酸素プラズマ処理面上に、酸化アルミニウムを含む厚さ12nmの蒸着層2を形成した。以下、酸素プラズマ処理及び成膜処理について詳細に説明する。
酸素プラズマ処理においては、基材1のうち蒸着層2が設けられる面に、プラズマ前処理室62Bにおいて下記条件下でプラズマ供給ノズル72からプラズマを導入し、搬送速度400m/minで搬送される基材1にプラズマ前処理を施した。これにより、基材1のうち蒸着層2が設けられる面に酸素プラズマ処理面を形成した。
〔酸素プラズマ前処理条件〕
・プラズマ強度:200W・sec/m2
・プラズマ形成ガス比:酸素/アルゴン=2/1
・前処理ドラム−プラズマ供給ノズル間印加電圧:340V
・前処理区画の真空度:3.8Pa
成膜処理においては、プラズマ前処理室62Bから連続的に搬送された基材1が搬入される成膜室62Cにおいて、アルミニウムをターゲットとして用いて、基材1の酸素プラズマ処理面上に、厚さ12nmの酸化アルミニウムを含む蒸着層2を真空蒸着法により基材1上に形成した。真空蒸着法の加熱手段としては、反応性抵抗加熱方式を採用した。成膜条件は下記の通りである。
〔酸化アルミニウム成膜条件〕
・真空度:8.1×10-2Pa
・搬送速度:400m/min
・酸素ガス供給量:20000sccm
続いて、蒸着層2上にガスバリア性塗布膜3を形成した。具体的には、まず、水385g、イソプロピルアルコール67g及び0.5N塩酸9.1gを混合し、pH2.2に調整した溶液に、金属アルコキシドとしてテトラエトキシシラン175gと、シランカップリング剤としてグリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.2gを10℃となるよう冷却しながら混合させて溶液Aを調製した。
水溶性高分子として、ケン価度99%以上の重合度2400のポリビニルアルコール14.7g、水324g、イソプロピルアルコール17gを混合した溶液Bを調製した。
続いて、A液とB液を重量比6.5:3.5となるよう混合した。このようにして得られた溶液を、ガスバリア性塗布膜用コート剤とした。
上記の蒸着層2上に、上記で調製したガスバリア性塗布膜用コート剤をスピンコート法によりコーティングした。その後、180℃で60秒間、オーブンにて加熱処理して、厚さ約400nmのガスバリア性塗布膜3を蒸着層2上に形成した。このようにして、基材1、蒸着層2及びガスバリア性塗布膜3を有するバリア性積層フィルム5を得た。
実施例B1のバリア性積層フィルム5に対して、変成率の測定、酸素透過度の測定、水蒸気透過度の測定及びループスティフネスの測定を行った。
(変成率)
真空引きされた環境下で、バリア性積層フィルム5のガスバリア性塗布膜3の表面にCs(セシウム)イオン銃により一定の速度でソフトエッチングを繰り返しながら、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いて、ガスバリア性塗布膜3に由来するイオンと、蒸着層2に由来するイオンと、基材1に由来するイオンを測定した。例えば、基材1の樹脂フィルム由来のC(質量数72.00)、蒸着層2の酸化アルミニウム蒸着膜由来のAlH(質量数118.93)イオンの質量分析を行った。
TOF−SIMSに用いられる飛行時間型二次イオン質量分析計としてはION TOF社製、TOF.SIMS5を用い、下記測定条件で測定を行なった。これによって、図10に示すようなグラフを得た。
(TOFSIMS測定条件)
・一次イオン種類:Bi3++(0.2pA,100μs)
・測定面積:150×150μm2
・エッチング銃種類:Cs(1keV、60nA)
・エッチング面積:600×600μm2
・エッチングEtレート:3sec/Cycle
・真空引き時間:1×10−6mbar以下で15時間以上
飛行時間型二次イオン質量分析計を用いた測定は、真空引きを開始した後、30時間以内に実施した。
グラフにおいて、ガスバリア性塗布膜3の構成元素であるSiO2(質量数59.96)の強度が、ガスバリア性塗布膜3における強度の半分になる位置を、ガスバリア性塗布膜3と蒸着層2の界面として特定した。また、基材1の構成材料であるC6(質量数72.00)の強度が、基材1における強度の半分になる位置を、基材1と蒸着層2の界面として特定した。また、2つの界面の間の、厚み方向における距離を、蒸着層2の厚みとして採用した。
次に、測定された元素結合Al24H(質量数118.93)を表すピークを求め、そのピークから界面までを遷移領域とした。ただし、ガスバリア性塗布膜3の成分がAl24H(質量数118.93)と同じ質量数の材料で構成される場合、118.93の波形を分離する必要がある。
ガスバリア性塗布膜3と蒸着層2の界面に、反応物AlSiO4と、水酸化物Al24Hとが生じる場合、それらと、基材1と蒸着層2の間の界面に存在するAl24Hを分離することができる。このように、波形の分離については、ガスバリア性塗布膜3の材料に応じて適宜対応することができる。
波形分離においては、例えば、TOF−SIMSで得られた、質量数118.93のプロファイルを、Gaussian関数を用いて非線形のカーブフィッティングを行い最小二乗法Levenberg Marquardt アルゴリズムを使用して重複ピークの分離を行ってもよい。
実施例B1のバリア性積層フィルム5から2つのサンプルを準備し、2つのサンプルのそれぞれについて、蒸着層2の変成率を、(遷移領域の厚みW1/蒸着層2の厚み)×100(%)として算出した。結果、第1のサンプルにおける変成率は36.2%であり、第2のサンプルにおける変成率は28.8%であった。
(ループスティフネス)
また、実施例B1のバリア性積層フィルム5から、上述の矩形状の試験片40を作成し、流れ方向及び垂直方向におけるループスティフネスを測定した。測定器としては、東洋精機社製のNo.581ループステフネステスタ(登録商標)LOOP STIFFNESS TESTER DA型を用いた。測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%とした。結果、バリア性積層フィルム5の流れ方向におけるループスティフネスは0.0021Nであり、垂直方向におけるループスティフネスは0.0.0021Nであった。
(酸素透過度)
上述のように作製したバリア性積層フィルム5と、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)とを、2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により貼り合わせて、包装材料8を作製した。CPPフィルムとしては、東レフィルム加工株式会社製の未延伸ポリプロピレンフィルム ZK207を用いた。
続いて、包装材料8を、48時間エージング処理した後、レトルト処理前の酸素透過度を評価するためのサンプルを包装材料8から作製した。
また、包装材料8を用いて、B5サイズの四方シールパウチを作製した。続いて、四方シールパウチの上部の開口部から四方シールパウチの内部に水100mLを注入した後、上部にシール部を形成して四方シールパウチを封止した。続いて、四方シールパウチに対して、121℃、40分間のレトルト処理を施した。
続いて、レトルト処理が施された後の四方シールパウチの片面を構成している包装材料8を切り出して、レトルト処理後の酸素透過度を評価するためのサンプルを作製した。
続いて、レトルト処理前のサンプル及びレトルト処理後のサンプルを、基材1が酸素供給側となるようにセットして、23℃、100%RH雰囲気下の測定条件で、JIS K 7126 B法に準拠して酸素透過度を測定した。測定器としては、酸素透過度測定装置(モダンコントロール(MOCON)社製〔機種名:オクストラン(OX−TRAN)2/21〕)を用いた。結果、レトルト処理前のサンプルの酸素透過度は0.24cc/m2/24hr/atmであった。また、レトルト処理後のサンプルの酸素透過度は0.20cc/m2/24hr/atmであった。このように、レトルト処理前及びレトルト処理後のいずれの状態においても、酸素透過度を0.50cc/m2/24hr/atm未満にすることができた。
(水蒸気透過度)
酸素透過度の測定の場合と同一のサンプルを用いて、水蒸気透過度の測定を行った。具体的には、各サンプルを、基材1がセンサー側となるようにセットして、37.8℃、100%RH雰囲気下の測定条件で、JIS K 7126 B法に準拠して水蒸気透過度を測定した。測定器としては、水蒸気透過度測定装置(モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN)3/33〕)を用いた。結果、レトルト処理前のサンプルの水蒸気透過度は0.61g/m2/24hrであった。また、レトルト処理後のサンプルの水蒸気透過度は1.05g/m2/24hrであった。このように、レトルト処理前及びレトルト処理後のいずれの状態においても、水蒸気透過度を1.5g/m2/24hr未満にすることができた。
[実施例B2]
蒸着層2上にガスバリア性塗布膜3を形成しなかったこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、基材1と、基材1上に設けられた蒸着層2と、を備えるバリア性積層フィルム5を作製した。続いて、実施例B1の場合と同様にして、実施例B2のバリア性積層フィルム5から2つのサンプルを準備し、2つのサンプルのそれぞれについて、蒸着層2の変成率を、(遷移領域の厚みW1/蒸着層2の厚み)×100(%)として算出した。結果、第2のサンプルにおける変成率は37.8%であり、第2のサンプルにおける変成率は42.2%であった。
また、実施例B2のバリア性積層フィルム5から、上述の矩形状の試験片40を作成し、実施例B1の場合と同様にして、流れ方向及び垂直方向におけるループスティフネスを測定した。結果、バリア性積層フィルム5の流れ方向におけるループスティフネスは0.0021Nであり、垂直方向におけるループスティフネスは0.0021Nであった。
[比較例B1]
基材1として、流れ方向及び垂直方向のいずれにおいても0.0017N未満のループスティフネスを有し、石油由来のPETからなる二軸延伸PETフィルムを用いたこと以外は、実施例B1の場合と同様にして、基材1と、基材1上に設けられた蒸着層2と、蒸着層2上に設けられたガスバリア性塗布膜3と、を備えるバリア性積層フィルム5を作製した。続いて、実施例B1の場合と同様にして、比較例B1のバリア性積層フィルム5から、上述の矩形状の試験片40を作成し、流れ方向及び垂直方向におけるループスティフネスを測定した。結果、バリア性積層フィルム5の流れ方向におけるループスティフネスは0.0014Nであり、垂直方向におけるループスティフネスは0.0016Nであった。
1 基材
2 蒸着層
3 ガスバリア性塗布膜
5 バリア性積層フィルム
6 接着層
7 熱可塑性樹脂層
8 包装材料
60 成膜装置
62 減圧チャンバ
62A 基材搬送室
62B プラズマ前処理室
62C 成膜室
63 巻き出しローラー
64 ガイドローラー
65 巻き取りローラー
68 原料ガス揮発供給装置
69 原料ガス供給ノズル
70 プラズマ前処理ローラー
71 電極
72 プラズマ供給ノズル
75 成膜ローラー
76 成膜手段
80 真空ポンプ
81 電力供給配線
82 電源
85a〜85c 隔壁

Claims (16)

  1. 基材と、
    前記基材上に設けられ、金属又は無機化合物を含む蒸着層と、を備え、
    前記基材は、ポリエステルを主成分として含み、
    少なくとも1つの方向において、前記基材の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である、バリア性積層フィルム。
  2. 前記基材の突き刺し強度が9.5N以上である、請求項1に記載のバリア性積層フィルム。
  3. 前記基材は、流れ方向及び垂直方向において0.0017N以上のループスティフネスを有し、且つポリエステルを主成分として含む、請求項1又は2に記載のバリア性積層フィルム。
  4. 前記基材は、ポリブチレンテレフタレートを主成分として含む、請求項1又は2に記載のバリア性積層フィルム。
  5. 前記蒸着層上に設けられたガスバリア性塗布膜を更に備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルム。
  6. 前記蒸着層は、無機化合物を含む透明蒸着層である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルム。
  7. 前記蒸着層は、酸化アルミニウムを含む透明蒸着層であり、
    前記透明蒸着層は、遷移領域を含み、
    前記遷移領域は、前記バリア性積層フィルムを前記透明蒸着層側から飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いてエッチングを行うことで検出される元素結合Al24Hのピークの位置と、前記透明蒸着層と前記基材との界面との間の領域であり、
    前記透明蒸着層の厚みに対する前記遷移領域の厚みの比率が、5%以上60%以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルム。
  8. 基材を準備する工程と、
    前記基材上に金属又は無機化合物を蒸着させて前記基材上に蒸着層を形成する蒸着工程と、を備え、
    前記基材は、ポリエステルを主成分として含み、
    少なくとも1つの方向において、前記基材の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である、バリア性積層フィルムの製造方法。
  9. 前記基材にプラズマ処理を施して前記基材にプラズマ処理面を形成するプラズマ前処理工程を更に備え、
    前記蒸着工程は、前記基材の前記プラズマ処理面上に前記蒸着層を形成する、請求項8に記載のバリア性積層フィルムの製造方法。
  10. 前記蒸着工程は、物理蒸着によって前記蒸着層を前記基材の前記プラズマ処理面上に形成する、請求項9に記載のバリア性積層フィルムの製造方法。
  11. 前記プラズマ前処理工程は、酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスをプラズマ原料ガスとして供給する工程を含み、
    前記酸素ガスと前記不活性ガスとの混合比率(酸素ガス/不活性ガス)が、6/1〜1/1の範囲内である、請求項9又は10に記載のバリア性積層フィルムの製造方法。
  12. 前記蒸着層は、無機化合物を含む透明蒸着層であり、
    前記バリア性積層フィルムの製造方法は、前記蒸着層上にガスバリア性塗布膜用コート剤を塗布し、加熱乾燥することによって、ガスバリア性塗布膜を形成する工程を更に備える、請求項8乃至11のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルムの製造方法。
  13. 前記ガスバリア性塗布膜が、金属アルコキシドと水溶性高分子の混合溶液を塗布し、加熱乾燥してなる層である、請求項12に記載のバリア性積層フィルムの製造方法。
  14. 前記ガスバリア性塗布膜が、金属アルコキシドとシランカップリング剤と水溶性高分子の混合溶液を塗布し、加熱乾燥してなる層である、請求項12に記載のバリア性積層フィルムの製造方法。
  15. 基材と、前記基材上に設けられ、金属又は無機化合物を含む蒸着層と、を有するバリア性積層フィルムと、
    前記バリア性積層フィルムに積層された熱可塑性樹脂層と、を備え、
    前記基材は、ポリエステルを主成分として含み、
    少なくとも1つの方向において、前記基材の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である、包装材料。
  16. ボイル用包装袋又はレトルト殺菌用包装袋に用いられる、請求項15に記載の包装材料。
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