JP5262407B2 - 多層液体容器 - Google Patents
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Description
この容器は、最内層をポリエチレン系樹脂(PE樹脂)で構成することにより、容器としての落下衝撃強度を強くし、液体保存容器として十分な強度を保ちながら、同時に成分吸着や内容液との相互作用を低減化する一定の効果が認められる。しかし、最内層がポリエチレン系樹脂であるために、従来のガラス製容器に比べて成分吸着や内容液との相互作用を防止する効果は劣り、充分な問題解決には至っていない。
請求項1:
環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂のシーラントが一面に積層された多層フィルムからなる容器の一部に、排出路に直交する断面が積層構造を有する排出口が少なくとも1つ以上溶着された多層液体容器であって、
前記排出口の排出路を形成する最内層が環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂で構成され、かつ表層の主要部がメタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂で構成されるとともに、
前記排出口が前記シーラントと溶着される溶着部において、 前記排出口の最内層の環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂の一部が前記排出口の表層に前記多層フィルムの端縁に沿う帯状に露出して、表層の従属部となった環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂の少なくとも一部と表層の主要部のメタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂との双方が前記シーラントと帯状に溶着されてなることを特徴とする多層液体容器。
請求項2:
前記排出口の前記溶着部側の端部の表層に、メタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂が存在しないことを特徴とする請求項1記載の多層液体容器。
請求項3:
前記溶着部において、メタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂による溶着幅と環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂とによる溶着幅の比率が、95:5〜5:95である請求項1又は2記載の多層液体容器。
請求項4:
前記メタロセン系触媒により重合されたポリエチレンが、直鎖状のポリエチレンであって、その密度が880〜970kg/m3であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層液体容器。
請求項5:
前記排出口のメタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂が、メタロセン系触媒により重合されたポリエチレン単独、又はメタロセン系触媒により重合されたポリエチレンと、環状オレフィン系樹脂、中密度ポリエチレンもしくは高密度ポリエチレンとの混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層液体容器。
請求項6:
前記排出口のメタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂が、密度935〜970kg/m3の高密度ポリエチレンを40質量%以下の範囲で含有することを特徴とする請求項5記載の多層液体容器。
請求項7:
前記排出口の最内層の、環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂が、トルエンを溶媒としたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析によるポリスチレン換算の数平均分子量3,000以下の樹脂成分含有量が1質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層液体容器。
請求項8:
前記排出口の最内層の、環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂の環状オレフィン系樹脂が、次の一般式(1)及び/又は(2)で示される請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層液体容器。
請求項9:
前記排出口の積層構造において、環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂層のメタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂層側に凹部及び/又は凸部が形成されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の多層液体容器。
請求項10:
前記排出口にゴム栓を備えるキャップが溶着された請求項1〜9のいずれか1項に記載の多層液体容器。
請求項11:
前記容器が105℃以上の高温滅菌処理が可能である請求項1〜10のいずれか1項に記載の多層液体容器。
図1は、本発明の多層液体容器1の平面図である。
図2及び3は、本発明の多層液体容器1の第1の形態例の排出口近傍の断面図である。
本発明の多層液体容器1は、排出口2が少なくとも1つ以上溶着された、フィルムやチューブの周辺を溶着した袋状容器、あるいはブロー成形した容器である。
なお、本明細書においては、フィルムもシートも区別することなくフィルムと呼ぶものとにする。また、「主成分」とは、50質量%以上含む成分を意味する。
また、COP樹脂とPO樹脂等とを共押出成形で積層する場合は、これらを直接積層してもよいが、三井化学社製のアドマー、三菱化学社製のモディックなどに代表される接着性樹脂を用いることもできる。
その場合、COP樹脂を主成分とするシーラント111,121は、15〜150μm、より好ましくは50〜100μmである。シーラント111,121の厚みが15μm未満では、排出口2との溶着強度が十分でないことがある。また、排出口2を溶着する時にシーラント111,121が加熱・加圧により薄くなり、ピンホールによる液漏れの原因となることがある。シーラント111,121の厚みは150μmを超えてもよいが、厚くなると容器の柔軟性に劣ることがある。また、コスト的にも好ましくない。
酸素バリア性や水蒸気バリア性などのバリア性を付与する層として、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール又はそのコーティングフィルム、MXDナイロン、ポリ塩化ビニリデン又はそのコーティングフィルム、フッ素系フィルム、アルミナ蒸着ポリエステルやナイロン、シリカ蒸着ポリエステルやナイロンなどの樹脂層を使用することができる。
溶着する方法は、ヒートシールが一般的であるが、超音波シールや高周波シールを用いてもよい。多層フィルム11,12は、真空成形や圧空成形で膨らみが形成されていてもよい。
排出口2の溶着方法は、多層液体容器1が袋状容器である場合は、多層フィルム11,12のシーラント111,121同士を重ね合わせて、その間に排出口2を挿入してヒートシールで溶着する。
また、多層液体容器1がブロー成形の場合には、成形時に排出口2を金型内に挿入するインサート成形により、多層液体容器1の成形時に溶着する。あるいは開口部を有する多層容器を成形し、あとから開口部に排出口2を挿入してヒートシールで溶着する。
そして、COP樹脂を主成分とする樹脂の使用量を抑えるため、及び、排出口2の溶着部3の脆性を改良するために、多層液体容器1の多層フィルム11,12と溶着される排出口2の表層22は、密度880〜970kg/m3であるメタロセン系触媒によって重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂で大部分が構成される。一方、溶着部3の溶着性を確保するために、一部は、COP樹脂を主成分とする樹脂で構成される。
即ち、表層の主要部がメタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂で構成されるとともに、排出口2が多層フィルム11,12のシーラント111,121と溶着される溶着部3において、COP樹脂を主成分とする樹脂の一部が排出口2の表面に多層フィルム11,12の端縁に沿う帯状に露出する。そして、露出して表層の従属部となったCOP樹脂を主成分とする樹脂の少なくとも一部とメタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂との双方が前記シーラント11,12と帯状に溶着される。従って、図2及び3においては、COP樹脂を主成分とする樹脂の帯状の部分は、多層液体容器の収納部側(図の下方)に延設されていてもよい。
なお、本明細書においては、排出口の表層について、「主要部」とは、排出口の表層の表面積の50%以上を占める部分を意味し、「従属部」とは、排出口の表層の表面積の50%未満を占める部分を意味する。
一方、メタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂の帯状の部分(幅IIを有する部分)が存在すると溶着部3の落下時の衝撃を該樹脂層による溶着部(幅IIを有する部分)が吸収又は分散する。これにより落下時の衝撃に対する強度(落下強度)が向上する。
即ち、本発明は、溶着部3に2種類の溶着部が存在するので、溶着強度が高く、かつ排出口2の溶着部3の破損を防止することが可能となり、液漏れの心配がなくなる。
メタロセン系触媒以外の触媒により重合されたPE樹脂は、分子量分布も広く、低軟化点の成分や低分子量成分が多量に存在する。COP樹脂と溶着を行なうに際し、これらが溶着面にブリードアウトして溶着性に影響するので、溶着性が低下する原因となる。一方、メタロセン系触媒によりPE樹脂を重合すると、該PE樹脂の溶着界面に存在する低軟化点成分や該PE樹脂の表面にブリードアウトして溶着性に影響する低分子量成分が極めて少なくなる。その結果として、直鎖状で、分子骨格に環状炭化水素基による嵩高い分子構造を有するCOP樹脂の分子鎖と該PE樹脂の分子鎖のからみ合いを構築し易くなる。
この時、該PE樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンであると、適度にα−オレフィンの側鎖が導入されているため、分子間にα−オレフィンの側鎖が入り込み易くなるので、より強固な溶着強度を得ることが可能になる。
また、メタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂に含有させるHDPEは、密度が935〜970kg/m3であると、排出口2に適度な硬さと高い耐熱性を付与することが出来るので好ましい。
本形態例においては、図2及び3に示すように、排出口2の溶着部3側の端部にメタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂が存在しない様に、排出口2が形成される。この様に形成された排出口2が多層フィルム11,12に溶着されると、多層液体容器1の内溶液収納部から排出口2の流路内において、内溶液と排出口2とが、メタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂と接することがない。つまり、内溶液の接触面がCOP樹脂のみで構成されるので、内容成分が、多層フィルム11,12や排出口2に吸着されたり、多層フィルム11,12や排出口2を透過したりすることがない。したがって、内溶液の成分含有量が低下したり、多層フィルム11,12や排出口2との相互作用等により内容液が劣化や汚染されることがないので好ましい。
本発明においては、例えば、表層22の主部に使用されるメタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂がHDPE、MDPEやLDPE単独の場合又はその混合割合が高い場合には、排出口2の最内層21とメタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂層との溶着強度が十分ではなくなることがある。
この様な場合は、最内層21のメタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂層側に凹及び/又は凸部を形成することが好ましい。この凹部や凸部は、図4に示すように、複数の環状の凹部と凸部からなる凹凸6であることが好ましいが、一本の環状の凹部や凸部であってもよい。あるいは、この凹凸6は、環状でなくてもよいし、連続しない単なる凹部と凸部がランダムに設けられていてもよい。また、最内層21のメタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂層側であれば、どこに設けても良い。この凹凸6により、排出口2の最内層21とメタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂層との接着強度が十分ではない場合であっても、最内層21とメタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂層とが剥離して脱落することを防止できる。
本形態例は、多層液体容器1の収納部側の下端表層もメタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂とする態様である。この場合は、排出口2の下端部のメタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂層が内溶液に接する可能性があるが、多層液体容器1の多層フィルム11,12が溶着部3で排出口2の下端に密着しているので、実質的にメタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂の影響は小さい。しかし、内溶液が充填された多層液体容器の保存期間が長い場合も考慮すると、吸着や透過による影響が大きい成分を含有しない内溶液に対して適用することが好ましい。この様にCOP樹脂を主成分とする樹脂層がメタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂層からなる表層間に表出すると、COP樹脂を主成分とする樹脂層による溶着部の脆さがメタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂層により効果的にカバーされる。したがって、落下強度が大幅に向上し、スルーホールの発生を有効に防止することが出来る。
これらのうち、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、テトラシクロドデセンといった、分子骨格中にノルボルネン骨格を含むノルボルネン系モノマーの1種又は2種以上を重合して得られるポリノルボルネン系樹脂、又はその水素添加物、及びそれらを1種又は2種以上を混合したものが、本発明における多層フィルム11,12のシーラント111,121及び排出口2の最内層21として好適である。
上記一般式(2)で示されるCOP樹脂の場合には、フィルムの製膜時に発生するゲルを防止するために、PE樹脂等を10〜40質量%程度の割合でブレンドして使用することが好ましい。上記一般式(2)で示されるCOP樹脂の場合には、エチレンの含有量が少なく、環状オレフィンの含有量が多いと耐熱性に優れるので好ましい。
多層フィルム11,12の作成:
三菱化学社製のPP系エラストマーからなる最外層112,122:160μm、三菱化学社製のモディックからなる図示しない接着性樹脂層:30μm、ガラス転移温度102℃の日本ゼオン社製のCOP樹脂ゼオノア70%(質量比)とガラス転移温度136℃の日本ゼオン社製のCOP樹脂ゼオネックス30%(質量比)のブレンドからなるシーラント111,121:60μmを積層した総厚み:250μmの樹脂層を水冷多層インフレーション法により製膜し、図2に示す多層フィルム11,12とした。
排出口2の作成:
ガラス転移温度102℃の日本ゼオン社製のCOP樹脂ゼオノア60%(質量比)とガラス転移温度136℃の日本ゼオン社製のCOP樹脂ゼオネックス40%(質量比)をブレンドし、排出口2の最内層21の樹脂とした。密度935kg/m3のメタロセン系LLDPE(宇部丸善ポリエチレン社製)を単独で使用し、排出口2の表層22の主要部の樹脂とした。最内層21及び表層22の主要部の樹脂を二色成形法で積層成形し、溶着部3に相当する部分に排出口2の端部側の表層に最内層の樹脂が露出している図2に示す排出口2を作成した。排出口は、全長40mm、溶着部に相当する個所で直径が17mmの略円筒状とした
多層液体容器1の作成:
多層フィルム11,12間に排出口2を1個挟んで周縁部を溶着し、図1に示す幅115mm、長さ170mmの多層液体容器1を作成した。溶着幅は、両側縁で5mm、最も狭いところで、3mmとし、溶着の条件は、排出口2の周辺及びそれ以外とも、260℃で4秒間溶着を行った。排出口2の反対側には、フックに吊るすための孔7を設けた。
溶着部3の構成:
多層フィルム11,12と排出口2の溶着部3は、図2に示す態様とし、溶着部3の全体の幅Iを10mm、メタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂との溶着幅IIを9mm、COP樹脂を主成分とする樹脂との溶着幅IIIを1mmとした(II:III=90:10)。
溶着強度の測定:
多層フィルム11,12と排出口2の溶着部3の溶着強度の測定に際しては、排出口2と多層フィルム11,12とを多層液体容器1から切り出した。多層フィルム11,12の排出口2の中央付近で流路に沿う方向に5mm間隔の切れ目を2本入れて、多層フィルム11,12の5mm幅の自由端を作成した。多層フィルム11,12のそれぞれの5mm幅の自由端を測定機のチャックに固定してフィルム11,12を引っ張り、JIS−Z0238に準拠して測定した。測定値は、15mm幅に換算した。
結果は、45N/15mmであり、極めて高い溶着強度を有していた。
一方、多層フィルム11,12同士の側縁の溶着部についても同様に測定した。但し、側縁の溶着部は、溶着部に直交する方向に15mm幅で切り出して測定した。結果は、溶着強度は30N/15mmであった。
落下衝撃試験:
多層液体容器1に排出口2から100mlの精製水を充填し、115℃にて高温滅菌処理を40分間実施した後、4℃環境下で24時間保管して、その状態で1.5mの高さからコンクリート上に自然落下させて試験を行なった。落下試験は排出口2を下にして常に排出口2からコンクリートに落ちるように実施し、同一の多層液体容器1を繰り返し5回落下させて試験を実施した。結果は、破袋、液漏れはなく、十分な落下強度を有していることが判った。
多層フィルム11,12の作成:
実施例1と同様とした。
排出口2の作成:
図3に示す排出口2としたこと以外は、実施例1と同様とした。
多層液体容器1の作成:
実施例1と同様とした。
溶着部3の構成:
溶着部3の全体の幅Iを10mm、メタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂との溶着幅IIを6mm、最内層であって最外層に表出したCOP樹脂を主成分とする樹脂層21との溶着幅IIIを4mmとした(II:III=60:40)。
溶着強度の測定:
溶着部3の溶着強度を実施例1と同様に測定した。結果は、42N/15mmであり、極めて高い溶着強度を有していた。
一方、多層フィルム11,12同士の側縁の溶着部についても実施例1と同様に測定したところ、溶着強度は32N/15mmであった。
落下衝撃試験:
実施例1と同様の方法で試験を行なった。
結果は、破袋、液漏れはなく、十分な落下強度を有していることが判った。
多層フィルム11,12の作成:
実施例1と同様とした。
排出口2の作成:
実施例1と同様のCOP樹脂で予め肉厚1mmの図2の符号21に示されるCOP樹脂製の円筒状物を射出成型した。密度930kg/m3のメタロセン系LLDPE(東ソー社製)に、密度963kg/m3のHDPE(東ソー社製)を、LLDPE:HDPEが80:20(質量比)の割合となるように配合し、金型に上記円筒状物を配置すると共に、インサート成形法でCOP樹脂製の円筒状物を被覆し、実施例1と同様な図2に示す排出口2を作成した。
多層液体容器1の作成:
実施例1と同様とした。
溶着部3の構成:
実施例1と同様とした。
溶着強度の測定:
溶着部3の溶着強度を実施例1と同様に測定した。結果は、40N/15mmであり、極めて高い溶着強度を有している。
一方、多層フィルム11,12同士の側縁縁の溶着部についても実施例1と同様に測定したところ、溶着強度は30N/15mmであった。
落下衝撃試験:
実施例1と同様の方法で試験を行なった。
結果は、破袋、液漏れはなく、十分な落下強度を有していることが判った。
多層フィルム11,12の作成:
実施例1と同様とした。
排出口2の作成:
図4に示すリング状の脱落防止用凹凸6を最内層21のCOP樹脂を主成分とする樹脂層の表層22側に設けたこと以外は、実施例1と同様に排出口2を作成した。
多層液体容器1の作成:
実施例1と同様とした。
溶着部3の構成:
実施例1と同様とした。
溶着強度の測定:
溶着部3の溶着強度を実施例1と同様に測定した。結果は、35N/15mmであり、極めて高い溶着強度を有していた。
多層フィルム11,12同士の側縁の溶着部についても実施例1と同様に測定したところ、溶着強度は30N/15mmであった。
落下衝撃試験:
実施例1と同様の方法で試験を行なった。
結果は、破袋、液漏れはなく、十分な落下強度を有していることが判った。
多層フィルム11,12の作成:
実施例1と同様とした。
排出口2の作成:
表層22の主要部の樹脂として、実施例1で用いた密度935kg/m3のメタロセン系LLDPE(宇部丸善ポリエチレン社製)を用いたこと以外は、実施例3と同様にインサート成形で成形し、図2に示す排出口2を作成した。
多層容器1の作成:
実施例1と同様とした。
溶着部3の構成:
実施例1と同様とした。
溶着強度の測定:
溶着部3の溶着強度を実施例1と同様に測定した。結果は、44N/15mmであり、極めて高い溶着強度を有していた。
一方、多層フィルム11,12同士の側縁の溶着部についても実施例1と同様に測定したところ、溶着強度は30N/15mmであった。
落下衝撃試験:
実施例1と同様の方法で試験を行なった。
結果は、破袋、液漏れはなく、十分な強度を有していることが判った。
多層フィルム11,12の作成:
密度936kg/m3のHDPE(東ソー社製)からなる最外層112,122:15μm、
密度925kg/m3のLLDPE(プライムポリマー社製)からなる最外層112,122に隣接する図示しない第1の中間層:150μm、
密度910kg/m3のLLDPE(日本ポリエチレン社製)からなる図示しない第1の中間層とシーラント111,121とに接する図示しない第2の中間層:25μm、
ガラス転移温度102℃の日本ゼオン社製のCOP樹脂ゼオノア60%(質量比)とガラス転移温度136℃の日本ゼオン社製のCOP樹脂ゼオネックス40%(質量比)のブレンドからなるシーラント111,121:60μmとを積層した総厚み250μmの図2に示す多層フィルム11,12を多層Tダイ共押出法により製膜した。
排出口2の作成:
実施例3と同様とした。
多層液体容器1の作成:
実施例1と同様とした。
溶着部3の構成:
実施例1と同様とした。
溶着強度の測定:
溶着部3の溶着強度を実施例1と同様に測定した。結果は、40N/15mmであり、高い溶着強度を有していた。
一方、多層フィルム11,12同士の側縁縁の溶着部についても実施例1と同様に測定したところ、溶着強度は33N/15mmであった。
落下衝撃試験:
滅菌を121℃、30分間とした以外は、実施例1と同様の方法で試験を行なった。
結果は、破袋、液漏れはなく、十分な強度を有していることが判った。
多層フィルム11,12の作成:
実施例6と同様とした。
排出口2の作成:
実施例1と同様とした。
多層液体容器1の作成:
実施例1と同様とした。
溶着部3の構成:
実施例1と同様とした。
溶着強度の測定:
溶着部3の溶着強度を実施例1と同様に測定した。結果は、42N/15mmであり、極めて高い溶着強度を有していた。
一方、多層フィルム11,12同士の側縁縁の溶着部についても実施例1と同様に測定したところ、溶着強度は33N/15mmであった。
落下衝撃試験:
実施例1と同様の方法で試験を行なった。
結果は、破袋、液漏れはなく、十分な強度を有していることが判った。
多層フィルム11,12の作成:
密度935kg/m3のLLDPE(東ソー社製)からなる最外層112,122:40μm、密度925kg/m3のLLDPE(プライムポリマー社製)と密度905kg/m3のLLDPE(日本ポリエチレン社製)を9:1(質量比)でブレンドしてなる図示しない中間層:150μm、ガラス転移温度102℃の日本ゼオン社製のCOP樹脂ゼオノア60%(質量比)とガラス転移温度136℃の日本ゼオン社製のCOP樹脂ゼオネックス40%(質量比)のブレンドからなるシーラント111,121:60μmとを積層した総厚み250μmの図5に示す多層フィルム11,12を多層共押出Tダイ法により製膜した。
排出口2の作成:
実施例1と同様とした。
多層液体容器1の作成:
実施例1と同様とした。
溶着部3の構成:
多層フィルム11,12と排出口2の溶着部3は、図5に示す態様とした。溶着部3の全体の幅Iを10mm、COP樹脂を主成分とする樹脂との溶着部を溶着部3の中間に設け、その幅IIIを3mmとした。メタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂との溶着幅IIは、図5に示すように5mmと2mmの上下に分割し、その合計を7mとした(II:III=70:30)。
溶着強度の測定:
溶着部3の溶着強度を実施例1と同様に測定した。結果は、45N/15mmであり、極めて高い溶着強度を有していた。
一方、多層フィルム11,12同士の側縁の溶着部についても実施例1と同様に測定したところ、溶着強度は30N/15mmであった。
落下衝撃試験:
実施例1と同様の方法で試験を行なった。
結果は、破袋、液漏れはなく、十分な落下強度を有していることが判った。
多層フィルムの作成:
実施例1と同様とした。
排出口の作成:
最内層21のCOP樹脂を主成分とする樹脂が表層22に露出することなく積層されたこと以外は、実施例1の排出口と同様とした。
多層容器の作成:
実施例1と同様とした。
溶着部3の構成:
多層フィルムと排出口の溶着部の全てを最外層22のメタロセン系触媒によって重合されたPEを主成分とする樹脂との溶着としたこと以外は、実施例1と同様とした。
溶着強度の測定:
溶着部3の溶着強度を実施例1と同様に測定した。結果は、21N/15mmであり、溶着強度は低かった。
一方、多層フィルム同士の周縁の溶着部についても同様に測定したところ、溶着強度は30N/15mmであった。
落下衝撃試験:
実施例1と同様の方法で試験を行なった。
結果は、落下1回では破袋、液漏れともなかったが、3回目の落下で排出口周縁部からの液漏れが発生した。
11,12 多層フィルム
111,121 多層フィルムのシーラント
2 排出口
21 排出口の最内層
22 排出口の表層
3 溶着部
4 ゴム栓
5 キャップ
6 凹凸
7 孔
Claims (11)
- 環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂のシーラントが一面に積層された多層フィルムからなる容器の一部に、排出路に直交する断面が積層構造を有する排出口が少なくとも1つ以上溶着された多層液体容器であって、
前記排出口の排出路を形成する最内層が環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂で構成され、かつ表層の主要部がメタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂で構成されるとともに、
前記排出口が前記シーラントと溶着される溶着部において、 前記排出口の最内層の環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂の一部が前記排出口の表層に前記多層フィルムの端縁に沿う帯状に露出して、表層の従属部となった環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂の少なくとも一部と表層の主要部のメタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂との双方が前記シーラントと帯状に溶着されてなることを特徴とする多層液体容器。 - 前記排出口の前記溶着部側の端部の表層に、メタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂が存在しないことを特徴とする請求項1記載の多層液体容器。
- 前記溶着部において、メタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂による溶着幅と環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂とによる溶着幅の比率が、95:5〜5:95である請求項1又は2記載の多層液体容器。
- 前記メタロセン系触媒により重合されたポリエチレンが、直鎖状のポリエチレンであって、その密度が880〜970kg/m3であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層液体容器。
- 前記排出口のメタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂が、メタロセン系触媒により重合されたポリエチレン単独、又はメタロセン系触媒により重合されたポリエチレンと、環状オレフィン系樹脂、中密度ポリエチレンもしくは高密度ポリエチレンとの混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層液体容器。
- 前記排出口のメタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂が、密度935〜970kg/m3の高密度ポリエチレンを40質量%以下の範囲で含有することを特徴とする請求項5記載の多層液体容器。
- 前記排出口の最内層の、環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂が、トルエンを溶媒としたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析によるポリスチレン換算の数平均分子量3,000以下の樹脂成分含有量が1質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層液体容器。
- 前記排出口の積層構造において、環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂層のメタロセン系触媒により重合されたポリエチレンを主成分とする樹脂層側に凹部及び/又は凸部が形成されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の多層液体容器。
- 前記排出口にゴム栓を備えるキャップが溶着された請求項1〜9のいずれか1項に記載の多層液体容器。
- 前記容器が105℃以上の高温滅菌処理が可能である請求項1〜10のいずれか1項に記載の多層液体容器。
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