JP5260447B2 - エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
中でも、耐光性に優れる透明なエポキシ樹脂は、光半導体用の封止材料、光学材料、コーティング材料、光学部品用接着剤等への用途が期待されている。
しかし、近年の小型化または薄型の電子部品に使用するには粘度が高く、部品間の微細な隙間に樹脂が完全に充填しなかったり気泡を巻き込んだりする成形不良を起こし、絶縁不良や耐湿性の劣化を起こすという問題点がある。
また、芳香族(ビスフェノール型)エポキシ樹脂は、紫外線により変色する等、耐光性に関して低いレベルにあり、光学素子用封止剤等の光学樹脂としての使用や屋外での使用には制限がある。
しかし、水素化エポキシ樹脂は耐熱性が低く、粘度に関しても不十分である。さらに、ビスフェノール型および水素化エポキシ樹脂は、エピクロルヒドリンを用いてグリシジル化反応することにより得られるため、このとき副生する塩素系不純物が、硬化物の透過率の耐熱性や耐光性を劣化させる原因となっている。また、これらのエポキシ樹脂は、酸無水物硬化剤やカチオン硬化反応における酸との反応性が低いという問題がある。
しかし、上記文献に記載の脂環式エポキシ樹脂は、耐クラック性が充分ではない。
また、これらの脂環式エポキシ樹脂は、アミン系硬化剤やフェノール系硬化剤との反応が遅く、使用できないものが多い。
すなわち、本発明は、一般式(1)または(2)で表されるエポキシ樹脂;これらのエポキシ樹脂にさらに硬化剤(H1)および/または硬化触媒(H2)を含有するエポキシ樹脂組成物;並びにこのエポキシ樹脂組成物より得られる硬化物である。
本発明の第1発明のエポキシ樹脂(A)は下記一般式(1)で表される。
また、nは1〜10の整数を表す。
さらに好ましくは、エチレン基、プロピレン基、1−メチルエチレン基、1−メチルプロピレン基、2,2−ジメチル−プロピレン基、ブチレン基、1,3−ジメチル−プロピレン基、3,3−ジメチル−ペンチレン基、2−エチル−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、メチルシクロヘキシレン基、イソプロピリデンジシクロヘキシレン、シクロヘキサンジメチレン基である。
−(OR1)nO−中のR1は、炭素数1〜6の直鎖状のアルキレン基、炭素数3〜8の分岐状のアルキレン基、炭素数4〜10(環に結合したアルキル置換基の炭素数も含む)のシクロアルキレン基である。R1はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
製法(1):金属触媒の存在下で、下記一般式(3)で表される不飽和化合物(C)、またはこれを含む溶液を、過酸化水素、有機過酸化物、無機過酸化物などの酸化剤で酸化反応させる方法。
製法(1)のうち、好ましいのは、酸化剤として過酸化水素を使用した場合である。最も好ましい組合せは、酸化剤として安価で取り扱いの容易な過酸化水素を使用し、金属触媒としてヘテロポリ酸系触媒またはシリカチタニア系触媒を使用した場合であり、不飽和基を高選択的に酸化し、かつ副生物が少なく、しかも得られたエポキシ樹脂は色相が良好である。
製法(1)において原料となる上述の一般式(3)で表される不飽和化合物(C)は、エポキシ樹脂(A)を表す前記の一般式(1)中のエポキシ基がビニル基に置き換えられた化学構造の化合物である。原料としての不飽和化合物(C)としては、例えば、1,2−エチレングリコールビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、1,3−プロピレングリコール−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、1,4−ブチレングリコール−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロピレングリコールビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、1,6−シクロヘキサンジオール(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、4,4’−ヒドロキシ−イソプロピリデンジシクロヘキシル−ビス(4−ビニル−1(2)シクロヘキシル)エーテルジプロピレングリコール(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、シクロヘキサンジメタノール−(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテルなどが挙げられる。
これらのエーテル化反応の反応条件は、例えば特開平5−263188号公報などに記載されているが、酸触媒としては、三フッ化ホウ素・THF錯体、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三塩化アルミ等のルイス酸、ヘテロポリ酸、ベンゼンスルホン酸等の強プロトン酸やメタロシリケート、強酸性陽イオン交換樹脂等の固体酸などが使用でき、反応温度は、前者のルイス酸や強プロトン酸を使用する場合は40〜160℃が好ましく、後者の固体酸を使用する場合は100〜180℃が好ましい。
ニ欠損構造を有するヘテロポリ酸触媒は、その欠損部に周期律表の4族、5族、6族、7族、9、10族の遷移金属元素または希土類元素より選ばれた1種類または2種類の金属元素が配置される。
金属触媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、これらを併用してもよい。
過酸化水素は、1重量%〜60重量%の過酸化水素水として使用されるのが好ましい。
有機過酸化物としては、例えば過安息香酸、過ギ酸、過フタル酸、過プロピオン酸、過酢酸あるいはトリフルオロ過酢酸などが挙げられる。
無機過酸化物としては、過酸化リチウム、過酸化カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム等が挙げられる。
これらの酸化剤のうち、安全面および環境面から、過酸化水素が好ましい。
相間移動触媒としては、第四級アンモニウム塩および第四級ホスホニウム塩などが挙げられる。
溶媒は、有機基質及び目的生成物の種類、その溶解性、沸点等により適宜選択できる。溶媒としては、通常の化学反応に使用される芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ケトン、アミド、ニトリル、および鎖状もしくは環状エーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は一種で、又は二種以上混合して用いられる。
(1)の場合は、通常のエポキシ樹脂用硬化剤と硬化促進剤の組み合わせなどが挙げられる。
(2)の場合は、硬化剤(H1)として触媒効果を有するアミン系硬化剤やイミダゾール類を用いた場合が挙げられる。
(3)の場合は、硬化触媒(H2)として、光カチオン重合開始剤および熱カチオン重合開始剤を用いた場合が挙げられる。
例を挙げれば;2価フェノール類のジグリシジルエーテル、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノンおよびレゾルシンなどのジグリシジルエーテル;3価以上のフェノール類のポリグリシジルエーテル、例えば、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラックおよびo−クレゾールノボラックなどのポリグリシジルエーテル;並びに、テトラブロモビスフェノールAなどのハロゲン化ビスフェノール類のグルシジルエーテル;がある。これらの通常のエポキシ樹脂は1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(A)の配合量はエポキシ樹脂全体中、50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%の範囲である。
硬化反応のエネルギー源としては加熱または光照射が挙げられる。
硬化物を得るための方法としてはトランスファー成形、圧縮成形、注型等、塗布およびディッピングなどの方法が用いられ、加熱硬化の際の温度としては、通常50〜230℃の範囲である。
全光線透過率の優れた硬化物を作るには、色数の低い硬化剤である酸無水物硬化剤や脂環式アミンを使用すると好ましい。さらに硬化反応中の着色を抑制するため、窒素雰囲気下で硬化させたり、硬化温度をできるだけ下げ、酸化防止剤を添加してもかまわない。
<全光線透過率の測定方法>
2枚のガラス板(大きさ:40mm×20mm)の間にスペーサーを用いて、1mmの隙間を形成し、成形型とした。
これにエポキシ樹脂配合物を注型して120℃×3時間、さらに160℃×5時間かけて硬化させた。成形型より硬化物を取り出し、試験片とした。
この硬化物片を用いて、JISK7361(1997)に準拠し、全光線透過率を測定した。
撹拌装置、温度制御装置及びコンデンサーを設置した反応槽に、「VCH」(4−ビニルシクロヘキセン;サンペトロケミカル社製)540部(5モル部)と酢酸450部(7.5モル部)を加え、100℃に加熱した。8時間熟成した後、60℃に冷却し、水300部を添加後、1時間静置後分液することで、過剰の酢酸を除去した。さらに、40℃130Paに加熱減圧し、未反応のVCHを除去し、4−ビニルシクロヘキシル酢酸エステルが438部(2.6モル部)得られた。
さらに35%水酸化ナトリウム水溶液を205部加え、6時間還流させた。静置分液後、4−ビニルシクロヘキサノールを189部を得た。
トルエン200部を仕込み、金属ナトリウム100部を加えた後、60℃に昇温し、2,2、2−ジメチル−1,3−ジブロモプロパン345部(1.5モル部)を2時間かけて滴下した。水100部を加えて残存する塩を除去した。水洗を2回繰り返した後、分離した有機相を150℃に加熱し、130Paで蒸留精製し、2,2−ジメチル−1,3−プロピレングリコールビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル(C−1)を384部得た。
2,2−ジメチル−1,3−ジブロモプロパンの代わりに、1,4−ジブロモブタンを324部(1.5モル部)とした以外は製造例1と同様にして1,4−ブチレングリコール−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル(C−2)を367部得た。
2,2−ジメチル−1,3−ジブロモプロパンの代わりに、ジ(2−メチル−3−ブロモプロピル)エーテルを390部(1.5モル部)とした以外は製造例1と同様にしてジプロピレングリコール−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル(C−3)を350部得た。
撹拌装置、温度制御装置及びコンデンサーを設置した反応槽に、「VCH」(4−ビニルシクロヘキセン;サンペトロケミカル社製)540部(5モル部)と47.5%臭化水素酸920部(5.4モル部)を加え、100℃に加熱した。4時間熟成した後、水200部を添加後、1時間静置後分液することで、過剰の臭化水素酸を除去した。
さらに、40℃130Paに加熱減圧し、未反応のVCHを除去し、4−ビニル−1(2)−ブロモシクロヘキシルが774部(4.1モル部)得られた。
そこにジエチルエーテル200部、マグネシウム粉末を102部(4.2モル部)加え、40℃に加熱後、6時間反応させた。2−エチル−1,6−ジクロロヘキサン267部(1.5モル部)を3時間かけて滴下した。トルエン200部を加えて生成物をトルエン相に抽出し、静置後トルエン相を分離した。分離したトルエン相を150℃に加熱し、130Paで蒸留精製し、目的化合物である2−エチレン−1,6−ヘキシレン−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)(D−1)を389部得た。
[実施例1]
本発明のエポキシ樹脂の製造法として例示した製法(1)〜(3)のうちの製法(1)に従い、下記の方法でエポキシ樹脂(A−1)を製造した。
攪拌装置、温度制御装置及び還流冷却器を設置した反応槽に、表1に記載した種類と量(重量部)のタングステン化合物、30%過酸化水素水およびリン酸アンモニウムをこの順で仕込み、300rpmで撹拌しながら、80℃に温調した。
表1に記載した種類および量(重量部)の溶媒、製造例1で得られた不飽和化合物(C−1)および相間移動触媒の混合溶液を上記の80℃の温調液に2時間かけて滴下した。
滴下終了後、温度を80℃に保ちながら、4時間反応させた。室温まで冷却し、静置後、2相に分離した反応混合物から生成物を含む上層(有機相)を分液した。
得られた有機相は2回水洗後、有機相に対して約10重量%の30%水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、約30分撹拌した。静置後、上層(有機相)を取り出した。得られた有機相を、アルミナを敷いたフィルターに通した後、100℃260Paで脱溶剤を行い、それぞれ無色透明の生成物を得た。
実施例1で得られた生成物を元素分析した結果、C71.6%、H10.2%、O18.2%であり、エポキシ当量が176g/eqであった。これらの結果より、実施例1で得られた生成物は、目的のエポキシ樹脂(A−1)であることを確認した。
元素分析は、パーキンエルマー社の全自動元素分析装置を用いた。炭素(C)および水素(H)は、試料を1800℃の純酸素中で完全燃焼し、クロマトグラフィーで定量した。酸素(O)は、熱分解して発生した酸素を、炭素触媒を用いて一酸化炭素に変換し、測定した。
<エポキシ当量の測定方法>
エポキシ当量は、JIS K−7236に従って測定した。
製造例2で得られた不飽和化合物(C−2)に対して、タングステン化合物、過酸化水素水、溶剤の種類と量を変える以外は実施例1と同様に製造して、無色透明の生成物を得た。
得られた生成物を同様に分析した結果、C71.0%、H10.0%、O18.9%であり、エポキシ当量が169g/eqであった。これらの結果より、実施例2で得られた生成物は、目的のエポキシ樹脂(A−2)であることを確認した。
同様に、エポキシ樹脂の製造法として例示した製法(2)に従い、下記の方法でエポキシ樹脂(A−3)を製造した。
表1に記載した種類および量の溶媒に過安息香酸を仕込み、製造例3で得られた不飽和化合物(C−3)を3時間かけ、滴下した。50℃で6時間熟成し、反応終了した。析出した安息香酸を除去した後、さらに15℃で398部の炭酸ナトリウムを加え、半中和した後、10%水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、約30分撹拌した。
静置後、上層(有機相)を取り出した。得られた有機相を1000部の脱イオン水で洗浄し、洗浄後の粗液を60℃130Paで減圧し、低沸分の除去を行い、さらにこの蒸留残渣を90℃40Paでカラム蒸留を行った。
得られた留分250部に対して、還元剤としてチオ硫酸ナトリウムを20部加えて40℃で1時間攪拌して還元処理し、さらに活性炭素10部を加え、60℃で1時間攪拌した後、セライト545(昭和化学社製)を敷きつめた濾紙を通してろ過した。酸化剤の還元−活性炭吸着−ろ過処理を5回繰り返して行い、無色透明の生成物を得た。
得られた生成物を同様に分析した結果、C69.1%、H9.9%、O20.9%であり、エポキシ当量が191g/eqであった。これらの結果より、実施例3で得られた生成物は、目的のエポキシ樹脂(A−3)であることを確認した。
製造例4で得られた不飽和化合物(D−1)に対して、実施例3と同様に製造して、無色透明の生成物を得た。
得られた生成物を同様に分析した結果、C80.8%、H10.9%、O8.3%であり、エポキシ当量が193g/eqであった。これらの結果より、実施例4で得られた生成物は、目的のエポキシ樹脂(B−1)であることを確認した。
[比較例1]
「リカレジンHBE−100」:
水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ(株)製:エポキシ当量204g/eq)
「セロキサイド2021」:
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製:エポキシ当量130g/eq)
「セロキサイド2081」:
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとε−カプロラクトンの付加物;可とう性脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製:エポキシ当量200g/eq)
上記「HBE−100」とセロキサイド2021Pを重量比80:20で混合したもの
<全塩素含量の測定方法>
全塩素含量は、JIS K7243−3に従って測定した。
JISK7117−2に従い、エポキシ樹脂を25℃に保持した後、B型回転粘度計を用いて粘度を測定した。
反応性は、硬化剤または硬化触媒の種類と硬化条件を変えて、加熱乾燥後の表面タックで評価した。
下記の3種類の酸無水物硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤を、それぞれ当量のエポキシ樹脂と配合した後、合計10g秤量し、その中に硬化促進剤として「2E4MZ−CN」(イミダゾール系触媒;四国化成社製)を1g加え、混合後、直径3cmのシリコン製カップに入れ、それぞれ下記条件で乾燥器に静置した。
硬化触媒としては、酸発生剤を、エポキシ樹脂に対して3重量部配合したものを10g秤量し、混合後、硬化剤を使用したときと同様に硬化させた。
指蝕により表面にタックがないものは○、一部でもタックがあるものは×とし、結果を表2に記載した。
「リカシッドMH」(メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、新日本理化(株)製:酸無水物当量168g/eq)を用い、120℃×3時間、150℃×3時間で硬化させる。
(2)アミン硬化剤
「ラロミンC260」(BASF社製:活性水素当量57g/eq)、110℃×4時間、150℃×4時間。
(3)フェノール硬化剤
「レヂトップPSM−4324」(群栄化学工業(株)製;水酸基当量105g/eq)、160℃×1時間。
(4)酸発生剤
「サンエイドSI−100」(三新化学工業(株)製)を用い、90℃×3時間、160℃×3時間で硬化させる。
実施例5〜8および比較例5〜8
表3記載の配合成分と部数(重量部)で配合し、遠心混練が可能な脱泡機を用いて混練、脱泡し、エポキシ樹脂組成物を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物は、それぞれ表4記載の評価試験に必要な大きさの試験片が得られるように注型した。
厚みを均一にしたシート状の試験片は、2枚のガラス板とそれに挟まれたスペーサーから構成される成形型に注型した。120℃×3時間、さらに160℃×5時間かけて加熱硬化させ、エポキシ樹脂硬化物からなる試験片を得た。
リカシッドMH :表2中の酸無水物系硬化剤と同じ
<硬化促進剤>
U−CAT 18X:アミン系硬化促進剤(サンアプロ社製)
硬化物の物性の測定および性能評価は下記方法でおこなった。得られた硬化物の物性および試験結果を表4に示す。
ガラス転移温度の測定方法は、熱機械分析装置(TMA)を用いた。
測定サンプルは、25℃において(長さ)18mm×(巾)2mm×(厚さ)0.2mmの大きさの硬化樹脂を使用した。その硬化物の長さと幅はノギスにて測定し、厚さは膜厚計にて測定し、それぞれ0.001mmの桁まで測定した。
SII社製のTMA/SS6000を使用して、測定サンプルに10mNの荷重をかけ、測定セル内を30℃で30分間保持した後、測定セル温度を30℃から200℃まで10℃/minで昇温した。得られたTMA曲線の変曲点前後に接線を引き、この接線の交点をTgとした。
(1)シリコーン製の直径30mmの円筒形の型に、内径3mm、外径10mm、厚さ1mmの真鍮製のワッシャーを入れる。
(2)実施例および比較例記載のエポキシ樹脂組成物を、深さ3mmになるように上記のシリコーン型に流し入れ、120℃×3時間、150℃×3時間で硬化させる。硬化後シリコーン型から硬化物を取り出し、これをワッシャー入りの試験片とした。
(3)10個の試験片を高温恒湿器中に、30℃、70%RHで168時間静置する。
(4)試験片を高温恒湿機から取り出し、100℃に余熱しておいた はんだリフロー試験機(日本アントム社製UNI−6116G)に入れ、50℃/分で230℃まで昇温し、230℃で1分加熱する。
(5)上記の熱サイクルを2回繰り返す。
(6)10サンプル中、剥がれやクラックが入っているサンプル数で評価した。
すべての10サンプルで剥がれもクラックが入っていないものを○、10サンプル中1サンプルでも剥がれかクラックが入ったものを×とした。
20mm×40mm×1mmの試験片を用いて全光線透過率(%)をJIS K7361(1997)に準拠して測定した。
試験片をステンレス製のバットにのせて、120℃の乾燥機に100時間静置した後、乾燥機から取り出し、室温まで放熱した。
加熱後の透過率保持率を初期の全光線透過率と比較することで耐熱性を評価した。
下記の数式で算出する。
透過率保持率(%)=加熱後の全光線透過率×100/初期の全光線透過率(%)
20mm×40mm×1mmの試験片を、ピーク波長が340nmの紫外蛍光ランプを光源とする岩崎製の促進耐光試験機に入れる前後の耐光性を評価した。
まず、促進照射前の全光線透過率(%)をJIS K7361(1997)に準拠して測定した後、促進試験のため、55℃においてエポキシ樹脂試験片に紫外線を300時間照射する。照射後、全光線透過率を測定した。
紫外線照射後の透過率保持率を初期の全光線透過率と比較することで耐光性の評価を行った。
透過率保持率(%)=紫外線照射後の全光線透過率×100/初期の全光線透過率(%)
(1)直径30mmの円筒形のシリコーン製の型に、内径3mm、外径10mm、厚さ1mmの真鍮製のワッシャーを入れる。
(2)実施例および比較例記載のエポキシ樹脂組成物を、深さ3mmになるように上記のシリコーン製の型に流し入れ、120℃×3時間、150℃×3時間で硬化させる。硬化後シリコーン型から硬化物を取り出し、これをワッシャー入りの試験片とした。
(3)10個の試験片を気相式熱衝撃試験機WINTECH(エタック社製)に入れ、−40℃×15分に冷却後、150℃×15分に昇温する。
(4)上記の熱サイクルを50回繰り返す。
(5)10サンプル中、剥がれやクラックが入っているサンプル数で評価した。
すべての10サンプルで剥がれもクラックが入っていないものを○、10サンプル中1サンプルでも剥がれかクラックが入ったものを×とした。
なお、実施例1〜4のうち、実施例1と実施例2のエポキシ樹脂は、着色が少ない。また、実施例1〜4のエポキシ樹脂は、比較例1のエポキシ樹脂に比べ、色数および粘度が低い。また、比較例2と3はアミン硬化剤とフェノール硬化剤に対してはタックが残る問題点があるのに対して、実施例1〜4のエポキシ樹脂は代表的な硬化剤系すべてにおいて反応できる点において硬化性が優れている。
さらに、表4からわかるように、実施例5〜8の硬化物は全ての評価項目において優れている。一方、例えば、比較例5はガラス転移点、耐熱性、耐光性と耐クラック性で劣り、比較例6は耐ハンダリフロー性および耐クラック性で劣り、比較例7は耐熱性、耐ハンダリフロー性および耐クラック性で劣り、比較例8はガラス転移点、耐熱性、耐光性および耐クラック性等で劣っている。
Claims (7)
- 下記一般式(1)で表されることを特徴とするエポキシ樹脂(A)。
- 下記一般式(2)で表されることを特徴とするエポキシ樹脂(B)。
- 下記一般式(3)で表される不飽和化合物(C)を過酸化水素で酸化反応させて得られる請求項1記載のエポキシ樹脂。
- 下記一般式(4)で表される不飽和化合物(D)を過酸化水素で酸化反応させて得られる請求項2記載のエポキシ樹脂。
- 請求項1〜4のいずれか記載のエポキシ樹脂、並びに硬化剤(H1)および/または硬化触媒(H2)を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項5記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られるエポキシ樹脂硬化物。
- 全光線透過率が80%以上である請求項6記載のエポキシ樹脂硬化物。
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