JP2010235821A - エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、新規なエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物に関する。さらに詳細には、特定の脂環式構造を有するエポキシ樹脂、該エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、その硬化物、並びに前記エポキシ樹脂から得られる塗料、接着剤および成形体に関するものである。
従来、エポキシ樹脂は、注型、封止および積層板等の電気・電子分野、さらには粘接着剤、塗料および複合材料等の分野に広く使用されている。特に液状のエポキシ樹脂は、常温での作業性に優れるため建築物の防食塗料材料や注型用材料として、或いは、半導体素子に樹脂をコーティングして封止に用いる液状封止材料、ベアチップ封止材料や、ダイボンディング材料および銀ペースト用導電接着材料として半導体封止用に好適に使用されている。例えば、周知のビスフェノール型エポキシ樹脂は、常温で液状であり、硬化剤や添加剤等との混合が容易であることから広く使用されているが、近年の小型または薄型の電子部品に使用するには粘度が高く、部品間の微細な間隙に樹脂が完全に充填しなかったり、気泡を巻き込んだりする成形不良を起こし、絶縁不良や耐湿性の劣化を起こすという問題点がある(特許文献1)。そのため、反応性希釈剤と併用されることが多々あるが、反応性希釈剤で低粘度化した場合は、耐熱性や耐湿性の劣化を起こすことが多い。また、芳香族エポキシ樹脂は、紫外線により変色する等、耐光性に関して低いレベルにあり、光学素子用封止剤等の光学樹脂としての使用や屋外での使用には制限がある。一方、低粘度で高い耐熱性を有し、耐光性レベルが高いエポキシ樹脂として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート構造をもった脂環式エポキシ樹脂が知られている(非特許文献1)。しかし、これらの脂環式エポキシ樹脂は、耐クラック性や耐水性が充分ではない。また、アミン系硬化剤やフェノール系硬化剤では反応が遅く、使用できないものが多い。すなわち、従来のエポキシ樹脂は、低粘度、かつ、耐熱性、耐光性、耐クラック性および耐水性を満足するものはなく、これらを満足する液状の新規エポキシ樹脂が望まれていた。さらに、従来の方法で製造したエポキシ樹脂は、機械物性や電気特性などの長期信頼性に影響を与える不純物を含むため、これらの不純物含量の低いエポキシ樹脂が求められていた。
「エポキシ樹脂ハンドブック」新保正樹、日刊工業新聞社 昭和62年発行
本発明の課題は、低粘度で、着色が少なく、硬化性に優れたエポキシ樹脂、並びに耐熱性、光線透過率、耐光性、耐クラック性および耐水性のいずれにも優れたエポキシ樹脂硬化物を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(A);前記エポキシ樹脂(A)、並びに硬化剤(H1)および/または硬化触媒(H2)を含有するエポキシ樹脂組成物;前記エポキシ樹脂より得られる硬化物、塗料、接着剤および成形体である。
本発明のエポキシ樹脂は、低粘度であり、着色が少なく、かつ、さまざまな硬化剤との硬化性に優れる。さらに、本発明のエポキシ樹脂を用いた場合、耐熱性、光線透過率、耐光性、耐クラック性および耐水性のいずれにも優れるエポキシ樹脂硬化物が得られる。また、本発明のエポキシ樹脂は、不飽和化合物の酸化反応で得られるが、タングステン化合物と相間移動触媒の存在下で、過酸化水素で酸化反応させる方法で得られた場合は、不純物としての金属、過酸化物および開環物等の含有量が特に少ない。
本発明のエポキシ樹脂(A)を表す一般式(1)において、R1としては炭素数1〜20の直鎖または分岐アルキレン基が挙げられる。直鎖アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基およびエイコシレン基等が挙げられる。分岐アルキレン基としては、イソプロピレン基、イソブチレン基および2-エチルヘキシレン基等が挙げられる。
エポキシ樹脂(A)の具体例としては、エチレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、プロピレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)、ブチレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)、ペンチレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)、2−エチルヘキシレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)等が挙げられる。耐熱性の観点から、エチレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、プロピレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)、ブチレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂(A)は、過酸化物価が30meq/Kg以下であることが好ましく、さらに好ましくは20meq/Kg以下、特に好ましくは10meq/Kg以下である。30meq/Kg以下であると、金属の腐食や樹脂強度の低下が少なく、耐光性が良好であるため、防食塗料材料、光半導体用封止剤および光学部品用接着剤等の用途に特に適する。また、10meq/Kg以下であると、耐光試験後の透過率の低下がさらに少なくなる。過酸化物価(meq/Kg)の測定方法としては、日本油化学協会編「基礎油脂分析試験法」(1999年発行)に記載の方法に基づき、試料にヨウ化カリウムを加えた場合に遊離されたヨウ素のミリ当量数を試料1kg当たりに換算して求める方法などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂(A)は、金属含量が20ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがさらに好ましい。20ppm以下であると、着色がすくなく、電気特性等が良好になり、アンダーフィル剤、半導体用封止剤、ビルドアップ基板用樹脂および光半導体用封止剤等の用途に特に適する。含有する金属としては、各種の金属が挙げられるが、通常、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属、アルミニウムおよびカルシウムなどのアルカリ土類金属、並びにタングステン、モリブデンおよびチタンなど酸化触媒由来の金属などが挙げられる。金属含量(ppm)の測定方法としては、ICP発光分析などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂(A)は、ハーゼン色数(APHA)が50以下であることが好ましく、30以下であることがさらに好ましい。50以下であると、顔料や染料を混合した場合の色再現性がよく、可視光透過性が高い。また、光を透過できるため、光硬化も可能である。そのため、マイクロレンズ、光半導体用封止剤、光学部品用接着剤、光ファイバー用コーティング剤および光造形用樹脂等の用途に適する。色数(APHA)は、ASTM−D−1209に準拠して、APHA標準液と目視比較することにより求めることができる。また、本発明のエポキシ樹脂(A)は通常は25℃で液状であり、粘度は25℃で200〜500mPa・sである。粘度はB型回転粘度計を用いて測定できる。
本発明のエポキシ樹脂(A)の製造法としては、以下の製法(1)〜製法(3)の3種の方法等が挙げられる。
製法(1):タングステン化合物(D)と相間移動触媒(E)の存在下で、一般式(2)で表される不飽和化合物(B)を過酸化水素(C)で酸化反応させる方法
式中、R1は炭素数1〜20の直鎖または分岐アルキル基を表し、一般式(1)におけるR1と同様の基である。
製法(2):タングステン化合物(D)と相関移動触媒(E)をあらかじめ反応させて得られたヘテロポリ酸を触媒として、前記不飽和化合物(B)を過酸化水素(C)で酸化反応する方法
製法(3):前記不飽和化合物(B)または不飽和化合物(B)を含む溶液を有機過酸化物(例えば過安息香酸、過ギ酸、過フタル酸、過プロピオン酸、過酢酸あるいはトリフルオロ過酢酸など)で酸化した後、揮発分を共弗除去し、得られた粗エポキシ樹脂を蒸留精製し、さらには残存する酸化剤を還元剤(例えばヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、ボラン、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、チオ硫酸ナトリウム)で還元する方法であり、必要により前記還元−活性炭吸着−ろ過を繰り返し行い精製する方法
製法(4):チタンゼオライトと分子状酸素を用いて不飽和化合物(B)を酸化する方法
これらのうち好ましいのは製法(1)および製法(2)、特に好ましいのは製法(1)である。製法(1)の方法は、安価で取り扱いのし易い過酸化水素を使用し、不飽和基を高選択的に酸化し、かつ副生物が少なく、精製工程も比較的容易である。しかも得られたエポキシ樹脂(A)は、色相が良好で、金属含量も少なく、かつ過酸化物が少ない。また、通常、酸化反応で得られたエポキシ樹脂は、原因は不明であるが、室温での保管中(特に太陽光下)に次第に過酸化物価が上昇する傾向が見られ、金属の腐食や樹脂強度の劣化の原因となりやすいが、製法(1)で得られたエポキシ樹脂は、製法(2)や製法(3)などで得られたエポキシ樹脂に比べて過酸化物価の上昇が特に少ない傾向にあり、さらに好ましい。また、製法(1)は製法(2)に比べると反応活性がより高く、反応系中の水分によるエポキシ環の開環物がより少なく、しかもヘテロポリ酸に由来する金属の残存がないという観点からもさらに好ましい。また、製法(1)は、製法(4)に比べて、分子状酸素による酸化反応ではないので、不飽和基のエポキシ基への転化率が高く、かつ反応がエポキシ基でとどまりやすく開環してグリコールにまでなりにくいという観点で好ましい。
以下において、製法(1)について詳述する。
製法(1)において原料となる一般式(2)で表される不飽和化合物(B)は、前記一般式(1)におけるエポキシ基がビニル基である化合物であり、例えば、エチレングリコール−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、プロピレングリコール−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテルおよびブチレングリコール−ビス(4−ビニル1(2)−シクロヘキシル)エーテルなどが挙げられる。
製法(1)において原料となる一般式(2)で表される不飽和化合物(B)は、前記一般式(1)におけるエポキシ基がビニル基である化合物であり、例えば、エチレングリコール−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、プロピレングリコール−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテルおよびブチレングリコール−ビス(4−ビニル1(2)−シクロヘキシル)エーテルなどが挙げられる。
不飽和化合物(B)の製造法としては、4−ビニル−1−シクロヘキセンのシクロ環の二重結合に、酸触媒下でアルキレングリコールのプロトンを付加させてエーテル化する方法、並びに4−ビニル−1−シクロヘキサノールとアルキレングリコールを酸触媒下で減圧脱水し、エーテル化する方法などが挙げられる。これらのエーテル化反応の反応条件は、例えば特開昭61−51570号公報などに記載されているが、酸触媒としては、三フッ化ホウ素・THF錯体、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三塩化アルミ等のルイス酸、ヘテロポリ酸、ベンゼンスルホン酸等の強プロトン酸、メタロシリケート、強酸性陽イオン交換樹脂等の固体酸などが使用でき、前者の反応温度は40〜160℃が好ましく、後者の場合は100〜180℃が好ましい。
製法(1)において使用されるタングステン化合物(D)としては、タングステン酸(D1)、タングステン酸塩(D2)およびこれらの併用が挙げられる。
タングステン酸(D1)としては、タングステン酸(H2WO4)ケイタングステン酸(H4[SiW12O40].xH2O)、リンタングステン酸 (H3[PW12O40].xH2O)、リンバナドタングステン酸(H3+m[PVmW12-mO40].xH2O)、ケイモリブドタングステン酸(H4[SiMomW12-mO40].xH2O)、リンモリブドタングステン酸(H3[PMomW12-mO40].xH2O)(ただし、mは1〜11の整数を、xは1以上の整数を示す。)等が挙げられる。これらのタングステン酸(D1)のうち好ましいのはタングステン酸(H2WO4)、ケイタングステン酸(H4[SiW12O40].xH2O)およびリンタングステン酸(H3[PW12O40].xH2O)である。
タングステン酸塩(D2)としては、上記タングステン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、銅塩、金塩、ガリウム塩およびアンモニウム塩が挙げられる。タングステン酸塩(D2)の好ましい例としては、上記の好ましいタングステン酸のナトリウム塩、カリウム塩、バリウム塩、セシウム塩、カルシウム塩およびアンモニウム等が挙げられる。
タングステン化合物(D)の使用量は、二重結合に対してタングステン原子の当量が0.001当量〜0.1当量であり、好ましくは0.01当量〜0.05当量である。
製法(1)で必須の過酸化水素(C)は、1重量%〜60重量%の過酸化水素水として使用されるのが好ましい。
製法(1)では、タングステン化合物(D)と過酸化水素(C)以外に、さらに反応収率を向上させるために、相間移動触媒(E)を併用する。相間移動触媒(E)としては、第四級アンモニウム塩(E1)および第四級ホスホニウム塩(E2)などが挙げられる。
第四級アンモニウム塩(E1)としては、アルキル基の炭素数が1〜18の、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、ハロゲン化ベンジルトリアルキルアンモニウム、リン酸水素化テトラアルキルアンモニウム、リン酸水素化ベンジルトリアルキルアンモニウム、硫酸水素化テトラアルキルアンモニウムおよび硫酸水素化ベンジルトリアルキルアンモニウムなどが挙げられる。
第四級ホスホニウム塩(E2)としては、例えばアルキル基の炭素数が1〜18の、ハロゲン化テトラアルキルホスホニウム、ハロゲン化テトラフェニルホスホニウム、リン酸水素化テトラアルキルホスホニウム、リン酸水素化テトラフェニルホスホニウム、硫酸水素化テトラアルキルホスホニウムおよび硫酸水素化テトラフェニルホスホニウムなどが挙げられる。
これらの相間移動触媒(E)のうちの好ましいのは、反応速度の観点から、硫酸水素化トリオクチルメチルアンモニウム、硫酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム、硫酸水素化ラウリルトリメチルアンモニウム、硫酸水素化ステアリルトリメチルアンモニウム、硫酸水素化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、硫酸水素化ステアリルジメチルアンモニウム、硫酸水素化トリカプリルメチルアンモニウム、硫酸水素化ジデシルジメチルアンモニウム、硫酸水素化テトラブチルアンモニウム、硫酸水素化ベンジルトリメチルアンモニウムおよび硫酸水素化ベンジルトリエチルアンモニウムである。
製法(1)では、さらにリン酸塩(F)を共存させると、活性の高いリンタングステンクラスターが反応系中に得られ、反応速度が向上するため、併用することが好ましい。この目的で使用できるリン酸塩(F)としては、アニオン成分がPO43−で表される化合物であればよく、有機リン酸塩(F1)および無機リン酸塩(F2)が挙げられる。
有機リン酸塩(F1)としては、リン酸三(テトラアルキルアンモニウム)、リン酸水素二(テトラアルキルアンモニウム)およびリン酸二水素(テトラアルキルアンモニウム)などが挙げられる。
無機リン酸塩(F2)としては、ポリリン酸、ピロリン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素アンモニウムおよびリン酸二水素アンモニウムなどが挙げられる。
リン酸塩(F)のうちの好ましいのは、酸化反応中のpHが安定化するという観点から、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムおよびリン酸アンモニウムであり、特に好ましくはリン酸アンモニウムである。
製法(1)における各原料の投入方法は、全ての原料を一括して系内に投入してもよいし、任意の2つ以上を混合し、その混合物を系内に投入してもよいし、それらを滴下してもよい。
酸化反応は、溶媒の存在下または非存在下のいずれで行ってもよい。溶媒は、有機基質及び目的生成物の種類、その溶解性、沸点等により適宜選択できる。溶媒としては、通常の化学反応に使用される芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ケトン、アミド、ニトリル、および鎖状もしくは環状エーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は一種で、又は二種以上混合して用いられる。
酸化反応温度は、反応基質や反応の種類などに応じ、反応速度及び反応選択性を考慮して適宜選択できるが、例えば、0〜100℃、好ましくは50〜80℃程度である。反応は常圧で行ってもよく、加圧下に行ってもよい。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などの何れの方法で行ってもよい。
酸化反応によって得られた化合物は、抽出、分液、ろ過、遠心分離および/または蒸留などの通常の方法によって精製分離される。製法(1)における酸化反応用触媒は、水に対する溶解性が高く、疎水性の有機溶媒への溶解性が低いため、抽出、分液、吸着およびろ過などによる方法が好ましい。特に好ましいのは、アルカリ水溶液で水洗した後、分液し、有機相の不純物を吸着剤で吸着してろ過する方法である。アルカリ水溶液としては、5〜50重量%の水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液が使用できる。吸着剤としては、アルミナおよびシリカなどが挙げられる。
製法(1)により、過酸化物価が30meq/Kg以下で、金属含量が20ppm以下、かつハーゼン色数が50以下のエポキシ樹脂(A)を安価で汎用性の高い酸化触媒で高選択的に比較的容易な工程で製造することが可能である。
本発明のエポキシ樹脂(A)は、前記製法(2)、前記製法(3)または前記製法(4)でも製造することができる。ただし、製法(3)は、粗エポキシ樹脂の蒸留精製の後、残存する酸化剤の還元を行い、必要により更に還元−活性炭吸着−ろ過を繰り返し行い精製することが好ましく、比較的煩雑な精製工程が必要であり、前記製法(1)の方が好ましい。なお、製法(3)では、酸化剤の還元−活性炭吸着−ろ過の繰り返しを行わなければ、過酸化物価が30meq/Kgを超えやすく、しかも着色が比較的強いエポキシ樹脂が得られやすい傾向にある。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂(A)、並びに硬化剤(H1)および/または硬化触媒(H2)を含有するエポキシ樹脂組成物である。
硬化剤(H1)としては通常のエポキシ樹脂用硬化剤が挙げられ、例えば、アミン系硬化剤、カルボン酸系硬化剤、塩基性活性水素化合物、イミダゾール類、ポリメルカプタン系硬化剤、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂および潜在性硬化剤などが挙げられる。
アミン系硬化剤としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびテトラエチレンペンタミンなどのポリメチレンジアミン;メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、N−アミノエチルピペラジンおよびジアミノジシクロヘキシルメタンなどの脂環式ポリアミン;メタキシリレンジアミンなどの芳香環を含む脂肪族ポリアミン;芳香族ポリアミン;アミンアダクト(ポリアミンエポキシ樹脂アダクト);およびケチミン;などが挙げられる。
カルボン酸系硬化剤としては、アジピン酸などのポリカルボン酸系硬化剤;並びに、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ナジック酸および無水トリメリット酸などの酸無水物系硬化剤が挙げられる。
塩基性活性水素化合物としては、ジシアンジアミドおよび有機酸ジヒドラジドなどが挙げられる。イミダゾール類としては、2−メチルイミダゾールなどが挙げられる。ポリメルカプタン系硬化剤、多価フェノール類および潜在性硬化剤としては、例えば特開2007−262204号公報記載のものが挙げられる。本発明のエポキシ樹脂組成物には、これら硬化剤(H1)の1種または2種以上を混合して用いることができる。
硬化剤(H1)のうち、透明性の観点から、酸無水物系硬化剤が好ましく、さらにはテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。
硬化触媒(H2)としては、通常のエポキシ樹脂に使用される、硬化促進剤、光カチオン重合開始剤および熱カチオン重合開始剤などが挙げられる。
硬化促進剤としては、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類およびルイス酸などが挙げられる。光カチオン重合開始剤および熱カチオン重合開始剤としては、炭化水素基を有するオニウム塩、アレン−イオン錯体、シラノールまたはフェノール類/キレート化合物触媒、スルホン酸エステルおよびイミドスルホネートなどが挙げられ、その他、国際公開パンフレットWO2005−090325号記載のものが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらにその他の添加物を含有してもよい。その他の添加物としては無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、流動性向上剤、離型剤(カルナバワックスおよびOPワックスなど)、カップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなど)、着色剤(カーボンブラックなど)、難燃剤(三酸化アンチモンなど)、低応力化剤(シリコンオイルなど)および滑剤(ステアリン酸カルシウムなど)などを使用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化剤(H1)はエポキシ基に対して通常0.5〜3当量部の配合比率であり、硬化触媒(H2)は、エポキシ樹脂100重量部に対して通常0.2〜5重量部の配合比率である。
また、エポキシ樹脂組成物には、本発明のエポキシ樹脂以外に、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂を併用してもよい。例を挙げれば;2価フェノール類のジグリシジルエーテル、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノンおよびレゾルシンなどのジグリシジルエーテル;3価以上のフェノール類のポリグリシジルエーテル、例えば、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラックおよびo−クレゾールノボラックなどのポリグリシジルエーテル;並びに、テトラブロモビスフェノールAなどのハロゲン化ビスフェノール類のグルシジルエーテル;がある。これらの通常のエポキシ樹脂は1種または2種以上を混合して用いることができる。本発明のエポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(A)の配合量はエポキシ樹脂全体中、50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%の範囲である。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、前記エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られるエポキシ樹脂硬化物である。硬化反応のエネルギー源としては加熱または光照射が挙げられる。硬化物を得るための方法としてはトランスファー成形、圧縮成形、注型等、塗布およびディッピングなどの方法が用いられ、加熱硬化の際の温度としては、通常140〜230℃の範囲である。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は全光線透過率が80%以上であることが好ましい。全光線透過率が80%以上の硬化物を作るには、色数の低い硬化剤である酸無水物硬化剤や脂環式アミンを使用すると好ましい。さらに硬化反応中の着色を抑制するため、窒素雰囲気下で硬化したり、硬化温度をできるだけ下げ、酸化防止剤を添加してもかまわない。
本発明の塗料は前記エポキシ樹脂を含有する塗料である。本発明の塗料は前記エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物をそのまま基材に塗布しても使用できるが、さらに、着色剤、増粘剤、防腐剤および乳化剤のいずれか少なくとも1種を含有することができる。これらの量は、エポキシ樹脂組成物100重量部に対し、それぞれ1〜30重量部が好ましい。
着色剤としては無機顔料および有機顔料とがあり、無機顔料としては二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩および硫酸塩などを、有機顔料としてはアゾ顔料および銅フタロシアニン顔料などを挙げることができる。増粘剤としてはメチルセルロースおよび炭酸カルシウムなどの高粘度を付与できるものが好適に挙げられる。防腐剤としては有機錫、銅、砒素および塩素化合物などが使用でき、具体的にはペンタクロロフェノール、ペンタクロロフェノールラウレート、銅−8−ヒドロキシキノリン、ビス(トリ−n−ブチルチン)オキシドおよび第4級アンモニウム塩などが挙げられる。乳化剤としてはベントナイトおよび充填土などが挙げられる。
本発明の塗料には、さらに、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、通常のエポキシ系塗料に使用される、可塑剤、チクソトロピー性付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、分散剤および溶剤等を配合することができ、具体的には特開2000−198906号公報に記載のものが挙げられる。
本発明の塗料は、低粘度であり、金属やプラスチック等、種々の基材への濡れ性に優れる。また、光透過性が高く、耐光性に優れるため、透明コーティング剤や屋外用部品の塗料などに好適に使用される。
本発明の接着剤は前記エポキシ樹脂を含有する接着剤である。本発明の接着剤は、前記エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物をそのまま使用できるが、さらに、増粘剤および乳化剤のいずれか少なくとも1種を含有することができる。これらの量は、エポキシ樹脂組成物100重量部に対し、それぞれ1〜30重量部が好ましい。
接着剤には、さらに必要に応じて、各種の添加剤を配合することができる。例えば、可塑剤、チクソトロピー性付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、分散剤および溶剤等を配合することができる。本発明の接着剤は硬化後に、光透過性および耐クラック性に優れるため、液晶用シール剤や光学部品接着剤など、特に透明接着剤として好適に使用される。
本発明の成形体は前記エポキシ樹脂組成物を成形および硬化して得られる成形体である。成形体は、エポキシ樹脂の成形が可能な装置、例えばトランスファー成形装置、プレス成形装置、注型成形装置、射出成形装置、又は押出成形装置を用いて成形できる。また、本発明の成形体には、離型処理を行った平らなプラスチックや金属などの基板上にエポキシ樹脂組成物を塗布し、硬化後基板をとりはずしたシート状およびフィルム状のものも含まれる。
成形体用のエポキシ樹脂組成物としては、前記エポキシ樹脂組成物をそのまま使用してもかまわないが、さらに必要に応じて、各種の添加剤を配合することができる。例えば、可塑剤、チクソトロピー性付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、分散剤および溶剤等を配合することができる。
本発明のエポキシ樹脂を用いた成形体は、耐光性および耐クラック性に優れるため、熱環境の厳しい車載用の電子、電気周辺材料や屋外用成形体および発光素子用の封止剤として好適に使用される。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。実施例および比較例における物性等の測定方法は以下の通りである。
<元素分析>
元素分析は、パーキンエルマー社の全自動元素分析装置を用いた。炭素(C)および水素(H)は、試料を1800℃の純酸素中で完全燃焼し、クロマトグラフィーで定量した。酸素(O)は、熱分解して発生した酸素を、炭素触媒を用いて一酸化炭素に変換し、測定した。
<エポキシ当量の測定方法>
エポキシ当量は、JIS K−7236に従って測定した。
<過酸化物価の測定方法>
過酸化物価は、日本油化学協会編「基礎油脂分析試験法」に記載の方法に基づき、ヨウ化カリウムを加えた場合に遊離されたヨウ素の測定サンプル1kgに対するミリ当量数を求めた。
<1ヶ月後過酸化物価の測定方法>
エポキシ樹脂100gを密閉できる透明なガラス容器に入れ、室内の直射日光のあたる場所に1ヶ月静置後、上記過酸化物価を再度測定した。
<全塩素含量の測定方法>
全塩素含量は、JIS K7243−3に従って測定した。
<金属含量の測定方法>
エポキシ樹脂の10%トルエン溶液を作製し、ICP発光分析により分析した。装置はパーキンエルマー社のOptima4300DVを用いた。定性分析で検出された金属種において、それぞれ市販の金属標準液を使用して作製した検量線を用い、定量分析を行った。定量した各種金属含量の合計から、エポキシ樹脂中の金属含量を求めた。
<開環物含量(G)の測定方法>
エポキシ樹脂製造中にエポキシ基が開環する場合がある。反応系中の水によって生成するジオール(G1)や、過酢酸から副生した酢酸によって生成する酢酸付加物(G2)などである。これらの開環物含量は、ガスクロマトグラフィ(GC)における、開環物(G)とエポキシ樹脂(A)のピークの比より求めた。
開環物含量(%)=開環物(G)×100/エポキシ樹脂(A)+開環物(G)
GC装置と分析条件は下記の通りである。
機器:島津製作所製 GC−2014
検出器:FID
カラム:キャピラリカラム Rtx−5(長さ30m、内径0.25mm ID、液相
の膜厚:0.25μM、Restek社製)
サンプル注入量:1.0μL
INJ温度:200℃
キャリアーガスHe圧力:129kPa
キャリアーガスHe全流量:23.0mL/min
キャリアーガスHeカラム流量:1.8mL/min
線速度:37.8cm/sec
スプリット比:10.0
DET温度:300℃
メイクアップガスHe圧力:10.0kPa
H2圧力:60kPa
Air圧力:50kPa
カラム温度:50℃〜10℃/min昇温;最高到達温度300℃、保持時間5分
<色数(APHA)の測定方法>
ASTM−D−1209に準拠して、APHA標準液と目視比較することにより求めた。
<粘度の測定方法>
100mlのガラス製アンプル瓶(高さ100mm×直径30mm)にエポキシ樹脂を約70ml入れ、25℃に保持後、B型回転粘度計(東京計器社製)を用いて測定した。
<硬化性の評価方法>
硬化剤の種類による硬化性の評価は、それぞれ下記の硬化剤とエポキシ樹脂を当量になるよう合計10g秤量し、その中に硬化促進剤として2E4MZ−CN(四国化成社製)を1g加え、混合後3cmΦのシリコンカップに入れ、それぞれ下記条件で乾燥機に静置した。表面にタックがないものは○、一箇所でもタックがあるものは×とした。
酸無水物硬化剤;リカシッドMH/メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製:酸無水物当量168g/eq)、120℃3hr、150℃3hr。
アミン硬化剤;ラロミンC260(BASF社製:活性水素当量57g/eq)、110℃4hr、150℃4hr。
フェノール硬化剤;レヂトップPSM−4324(群栄化学工業(株)製;水酸基当量105g/eq)、160℃1hr。
<ガラス転移点(Tg)の測定方法>
ガラス転移温度の測定方法は、熱機械分析装置(TMA)を用いた。測定サンプルは、25℃において(長さ)18mm×(巾)2mm×(厚さ)0.2mmの大きさの硬化樹脂を使用した。その硬化物の長さと幅はノギスにて測定し、厚さは膜厚計にて測定し、それぞれ0.001mmの桁まで測定した。SII社製のTMA/SS6000を使用して、測定サンプルに10mNの荷重をかけ、測定セル内を30℃で30分間保持した後、測定セル温度を30℃から200℃まで10℃/minで昇温した。
<耐ハンダリフロー性の評価方法>
30mm直径のシリコーン容器に、内径3mm、外径10mm、厚さ1mmの真鍮製のワッシャーを入れ、実施例および比較例記載のエポキシ樹脂組成物を厚さ3mmになるように流し入れ、120℃×3時間、150℃×3時間で硬化させる。30℃、70%RHで168時間放置後、100℃に余熱しておいたはんだリフロー試験機に入れ、50℃/分で230℃まで昇温し、230℃で1分加熱する。これを2回繰り返す。10サンプル中、剥がれやクラックが入っているサンプル数が0の場合を○とし、1個でも剥がれやクラックが入っている場合は×とした。
<全光線透過率の測定方法>
厚さ1mmの硬化物片を用いて、JIS K7361(1997)に準拠し、全光線透過率を測定した。
<接着性の評価方法>
接着性の評価は、はく離強度を測定して比較した。100mm×25mm×2mmの寸法のアルミニウム板(JISA1050)を2枚用意し、JIS K6850に準拠して、それぞれの金属片の端部から12.5×25mmの面積にエポキシ樹脂組成物を塗布し、2枚の金属片のエポキシ樹脂組成物を塗布した箇所を重ね合わせて接合して試験片を作成する。この試験片について、50mm/minの速度で引張りせん断試験を行い、剥離強度を測定した。
<耐水性の評価方法>
本発明の煮沸吸水率の測定方法は、JIS−6911に準じ、直径50mmのシリコーン容器を用いて直径50±1mm、厚さ3±0.2mmの円形に成形したものを用い測定した。
<体積固有抵抗値の測定方法>
体積固有抵抗値はJIS K6911に基づいて測定した。
<耐光性の評価方法>
厚さ1mmの硬化物片を、ピーク波長が340nmの紫外蛍光ランプを光源とする岩崎電気(株)製の促進耐光試験機を用いて評価した。55℃においてエポキシ樹脂片に紫外線を300時間照射する。照射後、JIS K7361(1997)に準拠し、全光線透過率を測定した。紫外線照射後の透過率保持率を比較することで耐光性の評価を行った。
透過率保持率=紫外線照射後の全光線透過率×100/初期の全光線透過率(%)
<耐クラック性の評価方法>
30±0.5mm直径のシリコーン容器に、内径3mm、外径10mm、厚さ1mmの真鍮製のワッシャーを入れ、本発明の樹脂組成物を厚さ3mmになるように流し入れ、120℃×3時間、150℃×3時間で硬化させ気相式熱衝撃試験機WINTECH(エタック社製)で−40℃×15分、150℃×15分を50サイクル繰り返し、10サンプル中、クラックが入っているサンプル数で評価した。
<吸湿後体積固有抵抗値評価方法>
JIS K6911に基づいて作製した体積固有抵抗値測定用サンプルを、プレッシャークッカー試験機(平山製作所社製)に入れ、121℃、100%RH、0.2MPaで72時間後の体積固有抵抗値を測定した。
元素分析は、パーキンエルマー社の全自動元素分析装置を用いた。炭素(C)および水素(H)は、試料を1800℃の純酸素中で完全燃焼し、クロマトグラフィーで定量した。酸素(O)は、熱分解して発生した酸素を、炭素触媒を用いて一酸化炭素に変換し、測定した。
<エポキシ当量の測定方法>
エポキシ当量は、JIS K−7236に従って測定した。
<過酸化物価の測定方法>
過酸化物価は、日本油化学協会編「基礎油脂分析試験法」に記載の方法に基づき、ヨウ化カリウムを加えた場合に遊離されたヨウ素の測定サンプル1kgに対するミリ当量数を求めた。
<1ヶ月後過酸化物価の測定方法>
エポキシ樹脂100gを密閉できる透明なガラス容器に入れ、室内の直射日光のあたる場所に1ヶ月静置後、上記過酸化物価を再度測定した。
<全塩素含量の測定方法>
全塩素含量は、JIS K7243−3に従って測定した。
<金属含量の測定方法>
エポキシ樹脂の10%トルエン溶液を作製し、ICP発光分析により分析した。装置はパーキンエルマー社のOptima4300DVを用いた。定性分析で検出された金属種において、それぞれ市販の金属標準液を使用して作製した検量線を用い、定量分析を行った。定量した各種金属含量の合計から、エポキシ樹脂中の金属含量を求めた。
<開環物含量(G)の測定方法>
エポキシ樹脂製造中にエポキシ基が開環する場合がある。反応系中の水によって生成するジオール(G1)や、過酢酸から副生した酢酸によって生成する酢酸付加物(G2)などである。これらの開環物含量は、ガスクロマトグラフィ(GC)における、開環物(G)とエポキシ樹脂(A)のピークの比より求めた。
開環物含量(%)=開環物(G)×100/エポキシ樹脂(A)+開環物(G)
GC装置と分析条件は下記の通りである。
機器:島津製作所製 GC−2014
検出器:FID
カラム:キャピラリカラム Rtx−5(長さ30m、内径0.25mm ID、液相
の膜厚:0.25μM、Restek社製)
サンプル注入量:1.0μL
INJ温度:200℃
キャリアーガスHe圧力:129kPa
キャリアーガスHe全流量:23.0mL/min
キャリアーガスHeカラム流量:1.8mL/min
線速度:37.8cm/sec
スプリット比:10.0
DET温度:300℃
メイクアップガスHe圧力:10.0kPa
H2圧力:60kPa
Air圧力:50kPa
カラム温度:50℃〜10℃/min昇温;最高到達温度300℃、保持時間5分
<色数(APHA)の測定方法>
ASTM−D−1209に準拠して、APHA標準液と目視比較することにより求めた。
<粘度の測定方法>
100mlのガラス製アンプル瓶(高さ100mm×直径30mm)にエポキシ樹脂を約70ml入れ、25℃に保持後、B型回転粘度計(東京計器社製)を用いて測定した。
<硬化性の評価方法>
硬化剤の種類による硬化性の評価は、それぞれ下記の硬化剤とエポキシ樹脂を当量になるよう合計10g秤量し、その中に硬化促進剤として2E4MZ−CN(四国化成社製)を1g加え、混合後3cmΦのシリコンカップに入れ、それぞれ下記条件で乾燥機に静置した。表面にタックがないものは○、一箇所でもタックがあるものは×とした。
酸無水物硬化剤;リカシッドMH/メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製:酸無水物当量168g/eq)、120℃3hr、150℃3hr。
アミン硬化剤;ラロミンC260(BASF社製:活性水素当量57g/eq)、110℃4hr、150℃4hr。
フェノール硬化剤;レヂトップPSM−4324(群栄化学工業(株)製;水酸基当量105g/eq)、160℃1hr。
<ガラス転移点(Tg)の測定方法>
ガラス転移温度の測定方法は、熱機械分析装置(TMA)を用いた。測定サンプルは、25℃において(長さ)18mm×(巾)2mm×(厚さ)0.2mmの大きさの硬化樹脂を使用した。その硬化物の長さと幅はノギスにて測定し、厚さは膜厚計にて測定し、それぞれ0.001mmの桁まで測定した。SII社製のTMA/SS6000を使用して、測定サンプルに10mNの荷重をかけ、測定セル内を30℃で30分間保持した後、測定セル温度を30℃から200℃まで10℃/minで昇温した。
<耐ハンダリフロー性の評価方法>
30mm直径のシリコーン容器に、内径3mm、外径10mm、厚さ1mmの真鍮製のワッシャーを入れ、実施例および比較例記載のエポキシ樹脂組成物を厚さ3mmになるように流し入れ、120℃×3時間、150℃×3時間で硬化させる。30℃、70%RHで168時間放置後、100℃に余熱しておいたはんだリフロー試験機に入れ、50℃/分で230℃まで昇温し、230℃で1分加熱する。これを2回繰り返す。10サンプル中、剥がれやクラックが入っているサンプル数が0の場合を○とし、1個でも剥がれやクラックが入っている場合は×とした。
<全光線透過率の測定方法>
厚さ1mmの硬化物片を用いて、JIS K7361(1997)に準拠し、全光線透過率を測定した。
<接着性の評価方法>
接着性の評価は、はく離強度を測定して比較した。100mm×25mm×2mmの寸法のアルミニウム板(JISA1050)を2枚用意し、JIS K6850に準拠して、それぞれの金属片の端部から12.5×25mmの面積にエポキシ樹脂組成物を塗布し、2枚の金属片のエポキシ樹脂組成物を塗布した箇所を重ね合わせて接合して試験片を作成する。この試験片について、50mm/minの速度で引張りせん断試験を行い、剥離強度を測定した。
<耐水性の評価方法>
本発明の煮沸吸水率の測定方法は、JIS−6911に準じ、直径50mmのシリコーン容器を用いて直径50±1mm、厚さ3±0.2mmの円形に成形したものを用い測定した。
<体積固有抵抗値の測定方法>
体積固有抵抗値はJIS K6911に基づいて測定した。
<耐光性の評価方法>
厚さ1mmの硬化物片を、ピーク波長が340nmの紫外蛍光ランプを光源とする岩崎電気(株)製の促進耐光試験機を用いて評価した。55℃においてエポキシ樹脂片に紫外線を300時間照射する。照射後、JIS K7361(1997)に準拠し、全光線透過率を測定した。紫外線照射後の透過率保持率を比較することで耐光性の評価を行った。
透過率保持率=紫外線照射後の全光線透過率×100/初期の全光線透過率(%)
<耐クラック性の評価方法>
30±0.5mm直径のシリコーン容器に、内径3mm、外径10mm、厚さ1mmの真鍮製のワッシャーを入れ、本発明の樹脂組成物を厚さ3mmになるように流し入れ、120℃×3時間、150℃×3時間で硬化させ気相式熱衝撃試験機WINTECH(エタック社製)で−40℃×15分、150℃×15分を50サイクル繰り返し、10サンプル中、クラックが入っているサンプル数で評価した。
<吸湿後体積固有抵抗値評価方法>
JIS K6911に基づいて作製した体積固有抵抗値測定用サンプルを、プレッシャークッカー試験機(平山製作所社製)に入れ、121℃、100%RH、0.2MPaで72時間後の体積固有抵抗値を測定した。
[製造例1]<原料の不飽和化合物(B−1)の製造例1>
撹拌装置、温度制御装置及びコンデンサーを設置した反応槽に、1,2−プロピレングリコールを76部(1モル部)、固体酸触媒としてナフィオン(デュポン社製)50部仕込み、300rpmで撹拌しながら、110℃に加熱した。4−ビニル−1−シクロヘキセン(サンペトロケミカル社製)を108部(2モル部)2時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃で3時間熟成し、ナフィオンをろ過除去した。ろ液を150℃に加熱し、130Paで未反応物を減圧除去し、プロピレングリコール−ビス(4−ビニル−1−シクロヘキシル)エーテル(B−2)を280部得た。
撹拌装置、温度制御装置及びコンデンサーを設置した反応槽に、1,2−プロピレングリコールを76部(1モル部)、固体酸触媒としてナフィオン(デュポン社製)50部仕込み、300rpmで撹拌しながら、110℃に加熱した。4−ビニル−1−シクロヘキセン(サンペトロケミカル社製)を108部(2モル部)2時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃で3時間熟成し、ナフィオンをろ過除去した。ろ液を150℃に加熱し、130Paで未反応物を減圧除去し、プロピレングリコール−ビス(4−ビニル−1−シクロヘキシル)エーテル(B−2)を280部得た。
[製造例1]<原料の不飽和化合物(B−2)の製造例2>
撹拌装置、温度制御装置及びコンデンサーを設置した反応槽に、1,4−ブチレングリコールを90部(1モル部)、固体酸触媒としてナフィオン(デュポン社製)50部仕込み、300rpmで撹拌しながら、110℃に加熱した。4−ビニル−1−シクロヘキセン(サンペトロケミカル社製)を108部(2モル部)2時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃で3時間熟成し、ナフィオンをろ過除去した。ろ液を150℃に加熱し、130Paで未反応物を減圧除去し、ブチレングリコール−ビス(4−ビニル−1−シクロヘキシル)エーテル(B−2)を302部得た。
撹拌装置、温度制御装置及びコンデンサーを設置した反応槽に、1,4−ブチレングリコールを90部(1モル部)、固体酸触媒としてナフィオン(デュポン社製)50部仕込み、300rpmで撹拌しながら、110℃に加熱した。4−ビニル−1−シクロヘキセン(サンペトロケミカル社製)を108部(2モル部)2時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃で3時間熟成し、ナフィオンをろ過除去した。ろ液を150℃に加熱し、130Paで未反応物を減圧除去し、ブチレングリコール−ビス(4−ビニル−1−シクロヘキシル)エーテル(B−2)を302部得た。
[実施例1および2]<前記製法(1)によるエポキシ樹脂の製造>
攪拌装置、温度制御装置及び還流冷却器を設置した反応槽に、表1に記載した種類および量(部)のタングステン化合物(D)、過酸化水素(C)およびリン酸塩をこの順で仕込み、300rpmで撹拌しながら、80℃に温調した。表1に記載した種類および量(部)の溶媒、不飽和化合物(B)および相間移動触媒(E)の混合溶液を上記の80℃の温調液に2時間かけて滴下した。滴下終了後、温度を80℃に保ちながら、4時間反応させた。室温まで冷却、静置後、2相に分離した反応混合物から生成物を含む上層(有機相)を分液した。得られた有機相は2回水洗後、有機相に対して約10重量%の30%水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、約30分撹拌した。静置後、上層(有機相)を取り出した。得られた有機相を、アルミナをしいたフィルターに通した後、100℃260Paで脱溶剤を行い、それぞれ無色透明の生成物を得た。実施例1で得られた生成物を元素分析した結果、C70.4%、H0.1%、O29.5%であり、エポキシ当量が162g/eqであった。これらの結果より、実施例1で得られた生成物は、目的のエポキシ樹脂(A−1)であることを確認した。実施例2で得られた生成物を同様に分析した結果、C71.0%、H0.1%、O18.9%であり、エポキシ当量が169g/eqであった。これらの結果より、実施例2で得られた生成物は、目的のエポキシ樹脂(A−2)であることを確認した。以下の実施例および比較例も同様にして目的のエポキシ樹脂であることを確認した。
攪拌装置、温度制御装置及び還流冷却器を設置した反応槽に、表1に記載した種類および量(部)のタングステン化合物(D)、過酸化水素(C)およびリン酸塩をこの順で仕込み、300rpmで撹拌しながら、80℃に温調した。表1に記載した種類および量(部)の溶媒、不飽和化合物(B)および相間移動触媒(E)の混合溶液を上記の80℃の温調液に2時間かけて滴下した。滴下終了後、温度を80℃に保ちながら、4時間反応させた。室温まで冷却、静置後、2相に分離した反応混合物から生成物を含む上層(有機相)を分液した。得られた有機相は2回水洗後、有機相に対して約10重量%の30%水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、約30分撹拌した。静置後、上層(有機相)を取り出した。得られた有機相を、アルミナをしいたフィルターに通した後、100℃260Paで脱溶剤を行い、それぞれ無色透明の生成物を得た。実施例1で得られた生成物を元素分析した結果、C70.4%、H0.1%、O29.5%であり、エポキシ当量が162g/eqであった。これらの結果より、実施例1で得られた生成物は、目的のエポキシ樹脂(A−1)であることを確認した。実施例2で得られた生成物を同様に分析した結果、C71.0%、H0.1%、O18.9%であり、エポキシ当量が169g/eqであった。これらの結果より、実施例2で得られた生成物は、目的のエポキシ樹脂(A−2)であることを確認した。以下の実施例および比較例も同様にして目的のエポキシ樹脂であることを確認した。
[実施例3]<前記製法(2)によるエポキシ樹脂の製造>
撹拌装置、温度制御装置を設置した反応槽に、表1に記載した種類および量(部)のタングステン化合物(D)と水50部を仕込み、表1に記載した種類および量(部)の相間移動触媒(E)を加え、40℃で3時間撹拌後、室温まで冷却した。ここへジクロロメタン70部を加え1時間攪拌した後に静置し、ジクロロメタン相を分液し、ロータリーエバポレーターでジクロロメタンの除去を行った。こうして相間移動触媒とタングステン化合物をあらかじめ反応させた酸化触媒を得た。攪拌装置、温度制御装置及び還流冷却器を設置した反応槽に、上記で得られた酸化触媒0.5部と表1に記載した量の過酸化水素(C)を仕込み、300rpmで撹拌しながら、40℃に温調した。表1に記載した量の溶媒に不飽和化合物(B)を溶解させた溶液を滴下し、滴下終了後、更に5時間反応させた。室温まで冷却、静置後、2相に分離した反応混合物から生成物を含む上層(有機相)を分液した。得られた有機相は10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、5%炭酸水素ナトリウム水溶液および水で2回水洗後、ロータリーエバポレーターで低沸点成分を除去し、目的のエポキシ樹脂(A−3)を308部得た。
撹拌装置、温度制御装置を設置した反応槽に、表1に記載した種類および量(部)のタングステン化合物(D)と水50部を仕込み、表1に記載した種類および量(部)の相間移動触媒(E)を加え、40℃で3時間撹拌後、室温まで冷却した。ここへジクロロメタン70部を加え1時間攪拌した後に静置し、ジクロロメタン相を分液し、ロータリーエバポレーターでジクロロメタンの除去を行った。こうして相間移動触媒とタングステン化合物をあらかじめ反応させた酸化触媒を得た。攪拌装置、温度制御装置及び還流冷却器を設置した反応槽に、上記で得られた酸化触媒0.5部と表1に記載した量の過酸化水素(C)を仕込み、300rpmで撹拌しながら、40℃に温調した。表1に記載した量の溶媒に不飽和化合物(B)を溶解させた溶液を滴下し、滴下終了後、更に5時間反応させた。室温まで冷却、静置後、2相に分離した反応混合物から生成物を含む上層(有機相)を分液した。得られた有機相は10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、5%炭酸水素ナトリウム水溶液および水で2回水洗後、ロータリーエバポレーターで低沸点成分を除去し、目的のエポキシ樹脂(A−3)を308部得た。
[実施例4]<前記製法(3)によるエポキシ樹脂の製造>
表1に記載した種類および量の不飽和化合物(B)と溶媒を仕込み、30℃に温調しながら3時間かけ、30%の過酢酸の酢酸エチル溶液を滴下した。30℃で6時間熟成し、反応終了した。さらに15℃で398部の炭酸ナトリウムを加え、半中和した後、10%水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、約30分撹拌した。静置後、上層(有機相)を取り出した。得られた有機相を1000部の脱イオン水で洗浄し、洗浄後の粗液を60℃130Paで減圧し、低沸分の除去を行い、さらにこの蒸留残渣を90℃40Paでカラム蒸留を行った。得られた留分250部に対して、還元剤としてチオ硫酸ナトリウムを20部加えて40℃で1時間攪拌して還元処理し、さらに活性炭素10部を加え、60℃で1時間攪拌した後、セライト545(昭和化学社製)をしきつめた濾紙を通してろ過した。酸化剤の還元−活性炭吸着−ろ過処理を5回繰り返して行い、目的のエポキシ樹脂(A−4)を115部得た。
表1に記載した種類および量の不飽和化合物(B)と溶媒を仕込み、30℃に温調しながら3時間かけ、30%の過酢酸の酢酸エチル溶液を滴下した。30℃で6時間熟成し、反応終了した。さらに15℃で398部の炭酸ナトリウムを加え、半中和した後、10%水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、約30分撹拌した。静置後、上層(有機相)を取り出した。得られた有機相を1000部の脱イオン水で洗浄し、洗浄後の粗液を60℃130Paで減圧し、低沸分の除去を行い、さらにこの蒸留残渣を90℃40Paでカラム蒸留を行った。得られた留分250部に対して、還元剤としてチオ硫酸ナトリウムを20部加えて40℃で1時間攪拌して還元処理し、さらに活性炭素10部を加え、60℃で1時間攪拌した後、セライト545(昭和化学社製)をしきつめた濾紙を通してろ過した。酸化剤の還元−活性炭吸着−ろ過処理を5回繰り返して行い、目的のエポキシ樹脂(A−4)を115部得た。
比較例に用いたエポキシ樹脂は以下の通りである。
[比較例1]
「EPICLON 850」:
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ(株)製:エポキシ当量187g/eq)
[比較例1]
「EPICLON 850」:
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ(株)製:エポキシ当量187g/eq)
[比較例2]
下記「SR−16HL」と上記「EPICLON850」を重量比20:80で混合したもの。(略号SR/EP)
「SR−16HL」:1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(阪本薬品工業(株)製:エポキシ当量125g/eq)
下記「SR−16HL」と上記「EPICLON850」を重量比20:80で混合したもの。(略号SR/EP)
「SR−16HL」:1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(阪本薬品工業(株)製:エポキシ当量125g/eq)
[比較例3]
「セロキサイド2021P」:
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製:エポキシ当量130g/eq)
「セロキサイド2021P」:
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製:エポキシ当量130g/eq)
[比較例4]
「セロキサイド2081P」:
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとε−カプロラクトンの付加物;可とう性脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製:エポキシ当量200g/eq)
「セロキサイド2081P」:
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとε−カプロラクトンの付加物;可とう性脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製:エポキシ当量200g/eq)
実施例および比較例のエポキシ樹脂とその組成分析結果および液物性を表2に示す。
実施例5〜8および比較例5〜8
表3記載の配合成分を常温で配合し、遠心混練・脱泡機(あわとり練太郎)を用いて混練、脱泡し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物は、それぞれ前記の評価試験に必要な大きさの試験片が得られるように注型した。円型のものは必要直径を有するシリコーン容器に注型し、厚みを均一にするものは、ガラス板とスペーサーから構成される成形型に注型した。120℃×3時間、さらに160℃×5時間かけて加熱硬化させ、エポキシ樹脂硬化物からなる試験片を得た。
表3記載の配合成分を常温で配合し、遠心混練・脱泡機(あわとり練太郎)を用いて混練、脱泡し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物は、それぞれ前記の評価試験に必要な大きさの試験片が得られるように注型した。円型のものは必要直径を有するシリコーン容器に注型し、厚みを均一にするものは、ガラス板とスペーサーから構成される成形型に注型した。120℃×3時間、さらに160℃×5時間かけて加熱硬化させ、エポキシ樹脂硬化物からなる試験片を得た。
表3中の商品名は以下の通りである。
<硬化剤>
リカシッドMH:酸無水物系硬化剤(新日本理化社製)
<硬化促進剤>
U−CAT 18X:アミン系硬化促進剤(サンアプロ社製)
リカシッドMH:酸無水物系硬化剤(新日本理化社製)
<硬化促進剤>
U−CAT 18X:アミン系硬化促進剤(サンアプロ社製)
得られた硬化物の物性および試験結果を表4に示す。
実施例1〜4のエポキシ樹脂は、表2のように、過酸化物価、金属含量および開環物の量がいずれも低く、全塩素含量が0ppmである。従来の比較例のエポキシ樹脂はこれらのいずれかの不純物含量が高い。なお、実施例1〜4のうち、実施例1および2のエポキシ樹脂は特に好ましい製造方法で得られたものであるので、着色が少なく、金属含量や開環物も特に少なく、かつ製造直後の過酸化物価が低く、1ヶ月経過後の過酸化物価も低い。また、実施例1〜4のエポキシ樹脂は、比較例1および2のエポキシ樹脂に比べ、色数および粘度が低い。また、実施例1〜4のエポキシ樹脂は、比較例3および4と違い、代表的な硬化剤系すべてにおいて反応できる点において優れている。表4からわかるように、実施例5〜8の硬化物は全ての評価項目において優れているが、比較例5〜8の硬化物は少なくとも1つ若しくはそれ以上の評価項目において実施例の硬化物よりも劣っている。例えば、比較例5は耐光性と耐クラック性で劣り、比較例6はガラス転移点、耐ハンダリフロー性、耐水性および耐光性で劣り、比較例7は耐ハンダリフロー性、接着性、耐水性および耐クラック性で劣り、比較例8はガラス転移点、耐ハンダリフロー性、接着性、耐水性および耐クラック性等で劣っている。また、実施例5〜8のいずれの硬化物も、比較例5〜8の硬化物に比べて吸湿後体積固有抵抗値において優れている。
本発明のエポキシ樹脂は、低粘度で、着色が少なく、硬化性に優れたエポキシ樹脂であり、耐熱性、光線透過率、耐光性、接着性、耐クラック性、透明性および耐水性が優れており、さらに、ハロゲン、金属、過酸化物およびエポキシ開環物等の不純物が少ないことから、光学素子用封止剤、クリヤー塗料、光学部品接着剤、半導体封止剤、アンダーフィル剤、電子、電気部品用接着剤、液晶用シール剤、光ファイバー、コーティング剤および光造形用などの樹脂原料などに有用である。
Claims (11)
- 過酸化物価が30meq/kg以下である請求項1記載のエポキシ樹脂。
- 金属含量が20ppm以下である請求項1または2記載のエポキシ樹脂。
- ハーゼン色数(APHA)が50以下である請求項1〜3のいずれか記載のエポキシ樹脂。
- 請求項1〜5のいずれか記載のエポキシ樹脂(A)、並びに硬化剤(H1)および/または硬化触媒(H2)を含有するエポキシ樹脂組成物。
- 請求項6記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られるエポキシ樹脂硬化物。
- 全光線透過率が80%以上である請求項7記載のエポキシ樹脂硬化物。
- 請求項1〜5のいずれか記載のエポキシ樹脂を含有する塗料。
- 請求項1〜5のいずれか記載のエポキシ樹脂を含有する接着剤。
- 請求項6記載のエポキシ樹脂組成物を成形および硬化して得られる成形体。
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JP2011046823A (ja) * | 2009-08-27 | 2011-03-10 | Sanyo Chem Ind Ltd | エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物 |
US8975433B2 (en) | 2011-03-03 | 2015-03-10 | Taoka Chemical Co., Ltd. | 2-cyanoacrylate-purifying method |
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JP2019041874A (ja) * | 2017-08-30 | 2019-03-22 | 富士フイルム株式会社 | 内視鏡用接着剤及びその硬化物、並びに内視鏡及びその製造方法 |
CN113874441A (zh) * | 2019-06-14 | 2021-12-31 | Dic株式会社 | 环氧树脂组合物、固化物、纤维增强复合材料、预浸料及丝束预浸料 |
-
2009
- 2009-03-31 JP JP2009086409A patent/JP2010235821A/ja active Pending
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