JP5257645B2 - 偏光フィルムの製造方法および偏光板の製造方法 - Google Patents

偏光フィルムの製造方法および偏光板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5257645B2
JP5257645B2 JP2007277785A JP2007277785A JP5257645B2 JP 5257645 B2 JP5257645 B2 JP 5257645B2 JP 2007277785 A JP2007277785 A JP 2007277785A JP 2007277785 A JP2007277785 A JP 2007277785A JP 5257645 B2 JP5257645 B2 JP 5257645B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
boric acid
film
treatment
polarizing film
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007277785A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009104062A (ja
Inventor
成年 林
公彦 矢可部
篤 肥後
明生 難波
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2007277785A priority Critical patent/JP5257645B2/ja
Priority to TW097134404A priority patent/TWI465781B/zh
Priority to TW103133981A priority patent/TW201502606A/zh
Priority to KR1020080089134A priority patent/KR101522577B1/ko
Publication of JP2009104062A publication Critical patent/JP2009104062A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5257645B2 publication Critical patent/JP5257645B2/ja
Priority to KR20140130635A priority patent/KR20140131892A/ko
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Description

本発明は、耐久性に優れた偏光フィルムの製造方法、およびこの偏光フィルムの少なくとも一方の面に透明保護フィルムを積層した偏光板の製造方法に関する。
偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものとして広く用いられている。そして、ヨウ素を二色性色素とするヨウ素系偏光フィルムや、二色性直接染料を二色性色素とする染料系偏光フィルムなどが知られている。これらの偏光フィルムは通常、その片面または両面に接着剤を介してトリアセチルセルロースなどの透明保護フィルムを貼合して、偏光板とされる。
偏光フィルムの製造方法として、たとえば特開平10−153709号公報(特許文献1)には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬して膨潤させた後、ヨウ素で染色し、次いで延伸し、さらにヨウ素を定着させるためにホウ酸処理(換言すれば、架橋による耐水化処理)し、水洗した後、乾燥する方法が記載されている。水による膨潤処理は、染色に先立ってフィルムを均一に膨潤させ、染色時間の短縮、染色ムラの改善などを目的として行われる。このとき、染色ムラなどの観点から、特許文献1では、膨潤処理浴にホウ酸を含有させている。また、この特許文献1では、染色後にホウ酸を含む水溶液にフィルムを浸漬して延伸を行い、その後さらにホウ酸水溶液に浸漬し、架橋による耐水化処理(この文献では、定着ないし固定と呼称)を行っている。
特開平7−198939号公報(特許文献2)には、優れた光学特性を有し、かつ、耐湿熱性も高い偏光板の製造を目的として、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの総重量に対して、ホウ素原子を4.5〜7.0重量%含有させる工程を2つ以上有し、それぞれの工程においてホウ素系化合物濃度が異なる処理液に浸漬することを特徴とする偏光フィルムの製造方法が記載されている。
特開平10−153709号公報 特開平7−198939号公報
偏光フィルムの耐久性を評価する試験として、偏光板をガラス板や液晶パネルに貼合した状態で、試験槽に高温の空気を循環させ、試験槽内を70℃で約1時間放置した後、試験槽に低温の空気を循環させて試験槽内を−35℃で約1時間放置する操作を繰り返すヒートサイクル試験が、当分野において従来より行われている。このような高温に晒す状態と低温に晒す状態をそれぞれ1時間ごとに合計200サイクル繰り返すヒートサイクル試験にかけると、偏光フィルムの延伸方向に沿って破断が生じることがあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ヒートサイクル試験において破断しない耐久性に優れた偏光板およびそれに用いられる偏光フィルム製造する方法を提供することである。
本発明によれば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向している偏光フィルムであって、ホウ素の含有量が3〜3.9重量%の範囲にあり、該偏光フィルムの延伸軸方向を短辺として2mm×8mmの大きさで80℃にて200分間加熱したときに、延伸軸と直交する方向の収縮力が2.8N以下である偏光フィルムが製造される。
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、膨潤処理工程、染色処理工程およびホウ酸処理工程の順で処理し、かつこれらの処理工程のうち少なくとも1つの工程で一軸延伸して上述した偏光フィルムを製造する方法であって、ホウ酸処理工程が、水100重量部に対してホウ酸を3〜4.5重量部含む水溶液中にて50〜70℃の温度で行われる第1のホウ酸処理と、第1のホウ酸処理に用いた水溶液よりもホウ酸含有量の低い水溶液中にて、第1のホウ酸処理よりも低い温度で行われる第2のホウ酸処理とを含む偏光フィルムの製造方法提供する。
また本発明の偏光フィルムの製造方法において、第2のホウ酸処理は、第1のホウ酸処理で用いた水溶液中の水100重量部に対するホウ酸含有量よりも0.5重量部以上低いホウ酸含有量の水溶液中で、第1のホウ酸処理での温度よりも5℃以上低い温度で行われることが、好ましい。
本発明はまた、上述した方法で製造される偏光フィルムの少なくとも一方の面に透明保護フィルム貼合して、偏光板を製造する方法についても提供する。
本発明によれば、ヒートサイクル試験において破断しない耐久性に優れた偏光板、およびそれに用いられる偏光フィルムが製造できる。
<偏光フィルム>
本発明により製造される偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向している偏光フィルムであって、ホウ素の含有量が3〜3.9重量%の範囲にあり、該偏光フィルムの延伸軸方向を短辺として2mm×8mmの大きさで80℃にて200分間加熱したときに、延伸軸と直交する方向の収縮力が2.8N以下である。
光フィルムに用いられるポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、具体的には、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものである。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、85モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは99〜100モル%である。ポリ酢酸ビニル系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体などがある。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、不飽和アミン類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、通常1000〜10000、好ましくは1500〜5000である。これらのポリビニルアルコール系樹脂は、変性されていてもよく、たとえばアルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用し得る。
光フィルムは、上述したようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、二色性色素が吸着配向している。二色性色素としては、たとえばヨウ素、二色性染料などが用いられる。二色性染料には、たとえば、C.I.DIRECT RED 39などのジスアゾ化合物からなる二色性直接染料、トリスアゾ、テトラキスアゾなどの化合物からなる二色性直接染料が包含される。このような二色性色素は、偏光フィルムを製造する際の従来公知の処理である二色性色素を含む処理浴中でポリビニルアルコール系樹脂フィルムの染色処理によって吸着配向することができる(詳細については後述)。
本発明により製造される偏光フィルムは、ホウ素の含有量が3〜3.9重量%の範囲内であることを特徴の1つとする。ホウ素の含有量が3重量%未満である場合には、十分な耐水性が得られず、また、ホウ素の含有量が3.9重量%を超える場合には、偏光板化してヒートサイクル試験を行ったとき、偏光フィルムの延伸方向に破断が発生しやすくなる。耐水性を有効に発現させながらヒートサイクル試験における破断を抑えるためには、偏光フィルムにおけるホウ素の含有量を3.4〜3.9重量%の範囲内とすることが好ましい。なお、偏光フィルムにおけるホウ素の含有量は、たとえば高周波誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分光分析法により、偏光フィルムの重量に対するホウ素の重量分率(%)として算出することができる。ホウ素は、偏光フィルム中に、ホウ酸またはそれがポリビニルアルコールのユニットと架橋構造を形成した状態で存在すると考えられるが、ここでいうホウ素の含有量は、ホウ素(B)としての値である。
また本発明により製造される偏光フィルムは、偏光フィルムの延伸軸方向を短辺として2mm×8mmの大きさで80℃に加熱したときに、延伸軸と直交する方向の収縮力が2.8N以下であることも特徴の1つとする。当該収縮力が2.8Nを超える場合には、偏光板化してヒートサイクル試験を行ったとき、偏光フィルムの延伸方向に破断が発生しやすくなる。この収縮力は理想的にはゼロであるが、この収縮力をゼロにすることは難しいので、偏光フィルムの延伸軸方向を短辺として2mm×8mmの大きさで80℃に加熱したときにおける延伸軸と直交する方向の収縮力は、実用的には0.1〜2.8Nの範囲内であることが好ましい。なお、上記延伸軸と直交する方向の収縮力の測定は、延伸軸方向を短辺として2mm×8mmの偏光フィルムの測定サンプルを切り出し、当該測定サンプルを熱機械分析装置(Thermo−Mechanical Analyzer:TMA)にセットして、寸法を一定に保持したまま、80℃で200分間加熱したときに発生する、長さ8mm方向の収縮力として測定される。熱機械分析装置(TMA)の市販品として、たとえば、エスアイアイナノテクノロジー(株)から販売されているEXSTAR−6000が挙げられる。
本発明により製造される偏光フィルムの厚みは特に制限されず、通常1〜50μmであるが、市販のポリビニルアルコール系フィルム(ビニロンVF−PS#7500、クラレ製)の原反厚みは75μmであるため、実質的には20〜35μmである。
<偏光フィルムの製造方法>
本発明は、上述した偏光フィルムを製造する方提供するものである。すなわち、本発明の偏光フィルムの製造方法は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、膨潤処理工程、染色処理工程およびホウ酸処理工程の順で処理し、かつこれらの処理工程のうち少なくとも1つの工程で一軸延伸して偏光フィルムを製造する方法であって、ホウ酸処理工程が、水100重量部に対してホウ酸を3〜4.5重量部含む水溶液中にて50〜70℃の温度で行われる第1のホウ酸処理と、第1のホウ酸処理に用いた水溶液よりもホウ酸濃度の低い水溶液中にて、第1のホウ酸処理よりも低い温度で行われる第2のホウ酸処理とを含むことを特徴とする。上述した偏光フィルムは、このような本発明の偏光フィルムの製造方法によって製造することができる。
(膨潤処理工程)
本発明の偏光フィルムの製造方法では、まず、偏光フィルムの原反となるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの未延伸フィルムに、膨潤槽で膨潤処理を施す。このポリビニルアルコール系樹脂フィルムの未延伸フィルムは、通常、ロール状で供給され、厚みが20〜100μmの範囲内、好ましくは30〜80μmの範囲内であり、また、工業的に実用的な幅が1500〜6000mmの範囲内である。
膨潤処理は、フィルム表面の異物除去、フィルム中の可塑剤除去、後工程での易染色性の付与、フィルムの可塑化などの目的で行われる。膨潤処理の条件は、これらの目的が達成できる範囲で、かつフィルムの極端な溶解、失透などの不具合が生じない範囲で決定される。具体的には、上述したポリビニルアルコール系樹脂フィルムの未延伸フィルムを、たとえば温度10〜50℃、好ましくは20〜50℃の処理浴に浸漬することにより、膨潤処理が行われる。膨潤処理の時間は、通常5〜300秒であり、好ましくは20〜240秒である。
膨潤処理工程では、フィルムが幅方向に膨潤してフィルムにシワが入るなどの問題が生じやすいので、エキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップなど、公知の拡幅装置でフィルムのシワを除きつつフィルムを搬送することが好ましい。浴中のフィルム搬送を安定化させる目的で、膨潤浴中での水流を水中シャワーで制御したり、EPC装置(Edge Position Control装置:フィルムの端部を検出し、フィルムの蛇行を防止する装置)などを併用したりすることも有用である。この工程では、フィルムの搬送方向にもフィルムが膨潤拡大するので、搬送方向のフィルムのたるみをなくすために、たとえば、膨潤槽の前後にある搬送ロールの速度をコントロールするなどの手段を講ずることが好ましい。具体的には、膨潤槽の入口側搬送コントロールの周速に対する出口側搬送ロールの周速の比(以下、ロール速度比と呼ぶことがある)を、処理浴の温度に応じて1.2〜2倍程度にするのが好ましい。また、所望であれば、この工程で一軸延伸を施すこともできる。
膨潤槽で使用する処理浴には、純水のほか、上記特許文献1に記載されたようなホウ酸や塩化物、その他の無機塩、水溶性有機溶媒、アルコール類などを0.01〜10重量%の範囲で添加した水溶液が好適に用いられ得る。ただし、この膨潤槽では、実質的に溶解成分のない純水が好ましく用いられる。
(水浸漬処理工程)
膨潤処理後のポリビニルアルコール系フィルムは、水切りを行った後、水浸漬槽で水浸漬処理が施されていてもよい。この水浸漬処理は、フィルム幅方向における吸水状態を整え、フィルムの機械的物性、さらには最終的に得られる偏光フィルムの光学特性の均一性を上げるために行われる。この工程では、フィルムを機械方向(MD、すなわちフィルムの搬送方向)に対して1倍以上、1.05倍以下の延伸倍率となるように処理することが好ましい。延伸倍率が1倍ということは、フィルムが機械方向に対して伸びも縮みもしないことを意味する。フィルムが走行方向に弛まない程度の張力をかけて一連の工程が行われるので、この工程での延伸倍率が1倍を下回るということは通常ないが、その延伸倍率が1.05倍を超えると、得られる偏光フィルムにおける光学特性の均一性が悪くなる傾向にある。
水浸漬槽内に収容される処理浴の温度は10〜50℃であることが好ましい。処理浴の温度が10℃未満である場合には、温度制御に大規模な冷却設備が必要となるため不経済であり、逆に処理浴の温度が50℃を超える場合には、フィルムが溶解してしまう虞がある。また、この水浸漬処理に用いる処理浴は、実質的に溶解成分のない純水であることが好ましい。この処理浴がホウ酸などの薬剤を含む場合には、フィルムの均一性が損なわれる虞があるためである。
(染色処理工程)
上述した膨潤処理工程、および場合によってはその後の水浸漬処理工程を経た後、二色性色素を含む染色槽でフィルムを染色する染色処理工程が行われる。このような染色処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させる目的で行われ、その条件はこのような目的が達成できる範囲で、かつフィルムの極端な溶解、失透などの不具合が生じない範囲で決定される。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、たとえば10〜50℃、好ましくは20〜40℃の温度で、かつ、水100重量部に対して、ヨウ素を0.003〜0.2重量部およびヨウ化カリウムを0.1〜10重量部含む水溶液中に、10〜600秒間、好ましくは30〜200秒間浸漬することにより、染色処理が行われる。ヨウ化カリウムに代えて他のヨウ化物、たとえばヨウ化亜鉛などを用いてもよく、また、他のヨウ化物をヨウ化カリウムと併用してもよい。さらに、ヨウ化物以外の化合物、たとえばホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルトなどを共存させてもよい。なお、ホウ酸を添加する場合でも、処理浴がヨウ素を含む点で、この後のホウ酸処理と区別される。水100重量部に対し、ヨウ素を0.003重量部以上含んでいる浴であれば、染色浴とみなすことができる。
一方、二色性色素として水溶性二色性染料を用いる場合は、たとえば20〜80℃、好ましくは30〜60℃の温度で、かつ、水100重量部に対して二色性染料を0.001〜0.1重量部含む水溶液中に、10〜600秒間、好ましくは20〜300秒間浸漬することにより、染色処理が行われる。使用する二色性染料の水溶液は、染色助剤などを含有していてもよく、たとえば、硫酸ナトリウムのような無機塩、界面活性剤などを含有していてもよい。二色性染料は1種類だけ用いてもよいし、所望される色相に応じて2種類以上の二色性染料を併用することもできる。
また、染色工程においても、膨潤工程と同様に、エキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバーなどを、処理浴中および/または浴出入り口に適宜設置してもよい。また、染色工程においては、同時にフィルムに機械方向に一軸延伸を施すようにしてもよい。延伸倍率は、たとえば1.1〜3倍の範囲が好ましい。
(ホウ酸処理工程)
本発明により製造される偏光フィルムは、上述したようにホウ素の含有量が3〜3.9重量%の範囲であるが、このようなホウ素含有量とするために、上記染色処理工程を経たポリビニルアルコール系樹脂フィルムにホウ酸処理が施される。このホウ酸処理は、ホウ酸水溶液を含む処理浴を収容したホウ酸槽に二色性色素で染色されたポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われるが、本発明の偏光フィルムの製造方法においては、このホウ酸処理工程を、第1のホウ酸処理と、当該第1のホウ酸処理に用いた水溶液よりもホウ酸濃度の低い水溶液中にて、第1のホウ酸処理よりも低い温度で行われる第2のホウ酸処理との大きく分けて2段階で行うことを特徴とする。
第1のホウ酸処理は、水100重量部に対してホウ酸を3〜4.5重量部含む水溶液中で行われる。第1のホウ酸処理に用いる処理浴中のホウ酸の含有量が水100重量部に対して重量部未満である場合には、十分な架橋効果が得られず、また、4.5重量部を超える場合には、フィルムが脆くなり、機械的強度が劣るためである
また、第1のホウ酸処理は、通常50〜70℃、好ましくは53〜65℃の温度で行われる。50℃より低いと十分なホウ酸架橋反応は進行せず、また、70℃より高いとホウ酸処理浴中でフィルムの切断が起き易くなり、加工安定性が著しく低下する虞がある。処理時間は、通常10〜600秒、好ましくは20〜300秒、より好ましくは20〜100秒である。
なお、上述した染色処理工程における二色性色素としてヨウ素を用いた場合、この第1のホウ酸処理に用いる処理浴は、ホウ酸に加え、水100重量部に対してヨウ化物を5〜20重量部、好ましくは8〜15重量部含有させる。この場合、ホウ酸処理浴中におけるヨウ化物が水100重量部に対して5重量部未満である場合には、偏光フィルムの直交色相が中性色とならない虞があるためであり、また、ホウ酸処理浴中におけるヨウ化物が水100重量部に対して20重量部を超える場合には、共存するホウ酸架橋反応を阻害し好ましくない。ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛などが挙げられる。また、ヨウ化物以外の化合物、たとえば塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどを共存させてもよい。必要に応じて、ホウ酸とともに、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどの架橋剤を使用することができる。
この第1のホウ酸処理において、搬送方向に延伸を施してもよい。この場合、延伸倍率は、通常1.2〜3倍であり、またロール間で多段に延伸を施してもよい。
本発明の偏光フィルムの製造方法において、第1のホウ酸処理は一段でもよく、多段で行われてもよい。第1のホウ酸処理を多段で行う場合、処理浴中におけるホウ酸の含有量および温度は、上述した範囲内で互いに異なるように設定されていてもよい。
本発明の偏光フィルムの製造方法における第2のホウ酸処理は、上述した第1のホウ酸処理に用いた水溶液よりもホウ酸含有量の低い水溶液中にて、第1のホウ酸処理よりも低い温度で行われる。第2のホウ酸処理を、第1のホウ酸処理に用いた水溶液と同じかまたは高いホウ酸含有量の水溶液を含む処理浴中で行った場合には、偏光フィルム中のホウ素含有量と収縮応力を所定の範囲内にすることができず、また、第2のホウ酸処理を第1のホウ酸処理と同じかまたは高い温度で行った場合にも、偏光フィルム中のホウ素含有量と収縮応力を所定の範囲内することができない。
第2のホウ酸処理は、第1のホウ酸処理で用いた水溶液中の水100重量部に対するホウ酸含有量よりも0.5重量部以上(より好ましくは1重量部以上)低いホウ酸含有量の水溶液中で、第1のホウ酸処理での温度よりも5℃以上(より好ましくは10℃以上)低い温度で行われることが、好ましい。具体的には、第2のホウ酸処理に用いる水溶液中のホウ酸含有量は、水100重量部に対して通常1〜4重量部、好ましくは1〜3重量部の範囲内であって、かつ、第1のホウ酸処理に用いられた水溶液中のホウ酸含有量よりも低くなるように選ばれる。また、第2のホウ酸処理における温度は、その下限がホウ酸が完全に溶解する温度以上である必要があり、ホウ酸含有量に依存する。具体的には、第2のホウ酸処理は20〜45℃の範囲内であって、かつ、第1のホウ酸処理の温度よりも低い温度で行われる。
なお、第2のホウ酸処理の時間は通常1〜300秒程度、好ましくは2〜100秒である。第2のホウ酸処理でも、第1のホウ酸処理と同様、処理浴にヨウ化物が添加されていてもよく、この場合、偏光フィルムの直交色相を中性色にする観点から、ヨウ化物の含有量は水100重量部に対して5〜20重量部の範囲内であることが好ましい。また第2のホウ酸処理の際にも第1のホウ酸処理の場合と同様に搬送方向に延伸を施してもよく、この場合、延伸倍率は通常1.1〜1.3倍である。
また、第2のホウ酸処理も、上述した第1のホウ酸処理と同様、一段でもよく、多段で行われてもよい。第2のホウ酸処理を多段で行う場合にも、処理浴中におけるホウ酸の含有量および温度は、上述した範囲内で互いに異なるように設定されていてもよい。
(水洗処理工程)
ホウ酸処理工程の後、通常、水洗処理が施される。水洗処理は、たとえば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、水に浸漬する方法、水をシャワーとして噴霧する方法、あるいは浸漬と噴霧を併用する方法などによって行われる。水洗処理における水の温度は、通常2〜40℃であり、処理時間は、通常2〜120秒である。水洗処理は1段でもよいが、多段でもよい。多段の場合はいずれかの槽において無機塩の水溶液で水洗処理してもよい。無機塩としては、たとえばヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどから選択される。これらの無機塩は1種類でもよく、また複数種併用してもよい。また、この水洗槽で延伸されてもよく、たとえば1.05〜1.2倍に延伸されてもよい。また、この水洗槽では張力が付与されており、その張力は、たとえば300〜1000N/mである。
なお、本発明の偏光フィルムの製造方法におけるフィルムの搬送速度は、適宜選択されるが、たとえば、水洗処理後のフィルム走行速度として、5〜30m/分である。30m/分より速いと、ロール上でフィルムがすべるため、安定した延伸ができないなどの不具合が発生する。
(乾燥処理工程)
水洗処理後のフィルムは、通常、乾燥炉に導かれ、乾燥処理が施される。この乾燥は40〜100℃の温度、好ましくは50〜100℃の温度に保たれた乾燥炉の中で、30〜600秒程度行われる。乾燥炉は複数あってもよく、また、各々の温度が同一でも異なっていてもよい。複数の乾燥炉を用いて乾燥する場合は、好ましくは乾燥炉前段から乾燥炉後段に向かって温度が高くなるように温度勾配をつけるのがよい。
(一軸延伸)
本発明の偏光フィルムの製造方法では、上述した膨潤処理工程、染色処理工程およびホウ酸処理工程のうちの少なくとも1つの工程において一軸延伸を行う。この一軸延伸は、1つの工程で行ってもよいし、いずれか2つの工程で行ってもよいし、また全ての工程で行ってもよいが、染色処理工程およびホウ酸処理工程で一軸延伸を行うことが好ましい。延伸は、たとえば、槽入口側の搬送ロールと槽出口側の搬送ロールに周速差をつける方法などによって、行うことができる。
本発明の偏光フィルムの製造方法では、膨潤処理工程から水洗処理工程に至る最終的な積算延伸倍率は4.5〜8倍であることが好ましく、5〜7倍であることがより好ましい。ここでいう積算延伸倍率は、原反フィルムの長さ方向基準長さが、全ての延伸処理終了後のフィルムにおいてどれだけの長さになったかを意味し、膨潤処理工程や水浸漬処理工程において延伸された場合は、それらの延伸も含めた値となる。たとえば、原反フィルムにおいて1mであった部分が全ての延伸処理終了後のフィルムにおいて5mになっていれば、そのときの積算延伸倍率は5倍となる。
<偏光板>
本発明はまた、上述した方法で製造される偏光フィルムの少なくとも一方の面に透明保護フィルム貼合して偏光板を製造する方法についても提供する。この方法によって製造される偏光板は、後述する実施例において実証されるように、ヒートサイクル試験において破断しない優れた耐久性を有するものである。
本発明の偏光板の製造方法において、透明保護フィルムは、上述した偏光フィルムのいずれか一方の面のみに貼合されていてもよいし、両面に貼合されていてもよい。透明保護フィルムとしては、たとえば、シクロオレフィン系樹脂フィルム、酢酸セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレンフィルムなど、当分野において従来より広く用いられてきているフィルムを挙げることができる。
本発明において、透明保護フィルムに用いられ得るシクロオレフィン系樹脂とは、たとえばノルボルネン、多環ノルボルネン系モノマーのような、環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する熱可塑性の樹脂(熱可塑性シクロオレフィン系樹脂とも呼ばれる)である。本発明において、シクロオレフィン系樹脂は、上記シクロオレフィンの開環重合体または2種以上のシクロオレフィンを用いた開環共重合体の水素添加物であってもよく、シクロオレフィンと鎖状オレフィン、ビニル基を有する芳香族化合物などとの付加重合体であってもよい。また、極性基が導入されているものも有効である。
シクロオレフィンと鎖状オレフィンまたは/およびビニル基を有する芳香族化合物との共重合体を用いる場合、鎖状オレフィンとしては、エチレン、プロピレンなどが挙げられ、またビニル基を有する芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、核アルキル置換スチレンなどが挙げられる。このような共重合体において、シクロオレフィンからなるモノマーのユニットが50モル%以下(好ましくは15〜50モル%)であってもよい。特に、シクロオレフィンと鎖状オレフィンとビニル基を有する芳香族化合物との三元共重合体を用いる場合、シクロオレフィンからなるモノマーのユニットは、上述したように比較的少ない量とすることができる。かかる三元共重合体において、鎖状オレフィンからなるモノマーのユニットは、通常5〜80モル%、ビニル基を有する芳香族化合物からなるモノマーのユニットは、通常5〜80モル%である。
シクロオレフィン系樹脂は、適宜の市販品、たとえばTopas(Ticona社製)、アートン(JSR(株)製)、ゼオノア(ZEONOR)(日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(ZEONEX)(日本ゼオン(株)製)、アペル(三井化学(株)製)などを好適に用いることができる。このようなシクロオレフィン系樹脂を製膜してフィルムとする際には、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の方法が適宜用いられる。また、たとえばエスシーナ(積水化学工業(株)製)、SCA40(積水化学工業(株)製)、ゼオノアフィルム((株)オプテス製)などの予め製膜されたシクロオレフィン系樹脂製のフィルムの市販品を用いてもよい。
シクロオレフィン系樹脂フィルムは、一軸延伸または二軸延伸されたものであってもよい。延伸することで、シクロオレフィン系樹脂フィルムに任意の位相差値を付与することができる。延伸は、通常、フィルムロールを巻き出しながら連続的に行われ、加熱炉にて、ロールの進行方向、その進行方向と垂直の方向、あるいはその両方へ延伸される。加熱炉の温度は、通常、シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度近傍からガラス転移温度+100℃の範囲が、採用される。延伸の倍率は、通常1.1〜6倍、好ましくは1.1〜3.5倍である。
シクロオレフィン系樹脂フィルムは、ロール状態にあると、フィルム同士が接着してブロッキングを生じ易い傾向にあるので、通常は、プロテクトフィルムを貼合してロール巻きとされる。またシクロオレフィン系樹脂フィルムは、一般に表面活性が劣るため、偏光フィルムと接着させる表面には、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を行うのが好ましい。中でも、比較的容易に実施可能なプラズマ処理、コロナ処理が好適である。
また本発明において、透明保護フィルムに用いられ得る酢酸セルロース系樹脂は、セルロースの部分または完全エステル化物のフィルムであって、たとえば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、それらの混合エステルなどからなるフィルムを挙げることができる。より具体的には、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルムなどが挙げられる。このようなセルロースエステル系樹脂フィルムとしては、適宜の市販品、たとえばフジタックTD80(富士フィルム(株)製)、フジタックTD80UF(富士フィルム(株)製)、フジタックTD80UZ(富士フィルム(株)製)、KC8UX2M(コニカミノルタオプト(株)製)、KC8UY(コニカミノルタオプト(株)製)などを好適に用いることができる。
また、本発明においては、位相差特性を付与した酢酸セルロース系樹脂フィルムも好適に用いられ、かかる位相差特性が付与された酢酸セルロール系樹脂フィルムの市販品としては、WV BZ 438(富士フィルム(株)製)、KC4FR−1(コニカミノルタオプト(株)製)などが挙げられる。酢酸セルロースは、アセチルセルロースとも、セルロースアセテートとも呼ばれる。
本発明に用いられる透明保護フィルムの厚みは、薄い方が好ましいが、余り薄すぎると強度が低下し、加工性に劣るものとなり、一方で厚すぎると、透明性が低下したり、積層後に必要な養生時間が長くなったりするなどの問題が生じる。そこで、透明保護フィルムの適当な厚みは、たとえば5〜200μmであり、好ましくは10〜150μm、より好ましくは10〜100μmである。
接着剤と偏光フィルムおよび/または透明保護フィルムとの接着性を向上させるために、偏光フィルムおよび/または透明保護フィルムに、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線処理、プライマー塗布処理、ケン化処理などの表面処理を施してもよい。
また、透明保護フィルムには、アンチグレア処理、アンチリフレクション処理、ハードコート処理、帯電防止処理、防汚処理などの表面処理が、それぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて施されてもよい。また、透明保護フィルムおよび/または透明保護フィルム表面保護層は、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物などの紫外線吸収剤や、フェニルホスフェート系化合物、フタル酸エステル化合物などの可塑剤を含有していてもよい。
偏光フィルムと透明保護フィルムとは、水溶媒系接着剤、有機溶剤系接着剤、ホットメルト系接着剤、無溶剤型接着剤などの接着剤を用いて積層される。水溶媒系接着剤としては、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などが、有機溶媒系接着剤としては、たとえば二液型ウレタン系接着剤などが、無溶剤型接着剤としては、たとえば一液型ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤などが、それぞれ挙げられる。
偏光フィルムとの接着面がケン化処理などで親水化処理された酢酸セルロース系樹脂フィルムを透明保護フィルムとして用いる場合、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液が接着剤として好適に用いられる。接着剤として用いるポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。この接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物などが添加剤として添加されていてもよい。
偏光フィルムと透明保護フィルムとを貼合する方法は特に限定されるものではなく、たとえば、偏光フィルムまたは透明保護フィルムの表面に接着剤を均一に塗布し、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロールなどにより貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。
通常、接着剤は、調製後、15〜40℃の温度下で塗布され、貼合温度は、通常15〜30℃の範囲である。貼合後は乾燥処理を行って、接着剤中に含まれる水などの溶剤を除去するが、この際の乾燥温度は、通常30〜100℃、好ましくは40〜80℃の範囲である。その後、15〜85℃、好ましくは20〜50℃、より好ましくは35〜45℃の温度環境下で、通常1〜90日間程度養生して接着剤を硬化させてもよい。透明保護フィルムが酢酸セルロース系樹脂である場合は、このような養生を施さなくても十分な接着強度を示すが、その他の樹脂からなる透明保護フィルムを用い、かつ水溶媒系接着剤を介して偏光フィルムに貼合した場合は、上述したような養生を施すことが好ましい。この養生期間が長いと生産性が悪くなるため、養生期間は1〜14日間程度とすることが好ましく、さらに1〜7日間程度とすることがより好ましい。
また無溶剤型接着剤を用いる場合には、貼合後、紫外線や可視光線を照射して接着剤を硬化させてもよい。
本発明においては、透明保護フィルムに、位相差フィルムとしての機能、輝度向上フィルムとしての機能、反射フィルムとしての機能、半透過反射フィルムとしての機能、拡散フィルムとしての機能、光学補償フィルムとしての機能など、光学的機能を持たせることができる。この場合、たとえば、透明保護フィルムの表面に、位相差フィルム、輝度向上フィルム、反射フィルム、半透過反射フィルム、拡散フィルム、光学補償フィルムなどの光学機能性フィルムを積層することにより、このような機能を持たせることができるほか、透明保護フィルム自体にこのような機能を付与することもできる。また、輝度向上フィルムの機能を持った拡散フィルムなどのように、複数の機能を透明保護フィルムに持たせてもよい。
たとえば、上述した透明保護フィルムに、特許第2841377号、特許第3094113号などに記載の延伸処理を施したり、特許第3168850号に記載された処理を施したりすることにより、位相差フィルムとしての機能を付与することができる。位相差フィルムにおける位相差特性は、たとえば、正面位相差値が5〜100nm、厚み方向位相差値が40〜300nmの範囲など、適宜選択できる。また、上記の透明保護フィルムに、特開2002−169025号公報や特開2003−29030号公報に記載されるような方法で微細孔を形成することにより、あるいは選択反射の中心波長が異なる2層以上のコレステリック液晶層を重畳することにより、輝度向上フィルムとしての機能を付与することができる。
上記の透明保護フィルムに蒸着やスパッタリングなどで金属薄膜を形成すれば、反射フィルムまたは半透過反射フィルムとしての機能を付与することができる。上述した透明保護フィルムに微粒子を含む樹脂溶液をコーティングすることにより、拡散フィルムとしての機能を付与することができる。また、上記の透明保護フィルムにディスコティック液晶性化合物などの液晶性化合物をコーティングして配向させることにより、光学補償フィルムとしての機能を付与することができる。また、透明保護フィルムに位相差を発現する化合物を含有させてもよい。さらに、適当な接着剤を用いて、各種の光学機能性フィルムを偏光フィルムに直接貼合してもよい。光学機能性フィルムの市販品としては、たとえば、DBEF(3M社製、日本では住友スリーエム(株)から入手できる)などの輝度向上フィルム、WVフィルム(富士フィルム(株)製)などの視野角改良フィルム、アートンフィルム(JSR(株)製)、ゼオノアフィルム((株)オプテス製)、エスシーナ(積水化学工業(株)製)、VA−TAC(コミカミノルタオプト(株)製)、スミカライト(住友化学(株)製)などの位相差フィルムなどを挙げることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
ポリビニルアルコールの原反フィルムとしては、重合度2400、ケン化度99.9モル%、厚み75μm、幅3000mmの長尺のポリビニルアルコールフィルム(クラレビニロンVF−PS#7500((株)クラレ製))を用いた。延伸は、処理槽前後の駆動ニップロールに周速差をつけて行った。
まず、原反フィルムが弛まないように、フィルムの緊張状態を保ったまま、32℃の純水が入った膨潤槽に80秒間浸漬し、フィルムを十分に膨潤させた。膨潤槽での膨潤に伴う入口と出口のロール速度比は1.2であった。ニップロールでの水切りを行った後、30℃の純水が入った水浸漬槽に160秒間浸漬した。この槽中での機械方向の延伸倍率は1.04倍とした。次に、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水が重量比で0.02/1.5/100の水溶液が入った染色槽に浸漬しつつ、延伸倍率約1.6倍で一軸延伸を行った。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で12/4.0/100の水溶液が入ったホウ酸槽に56.5℃で130秒間浸漬しつつ(第1のホウ酸処理)、原反からの積算延伸倍率が5.3倍になるまで一軸延伸を行った。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で12/1.5/100の水溶液が入ったホウ酸槽に30℃で60秒間浸漬した(第2のホウ酸処理)。さらに、水洗槽にて10℃の純水で約16秒間洗浄し、その後、約60℃の乾燥炉、次に約85℃の乾燥炉を順次通過させ、それら乾燥炉での滞留時間を合計160秒間として乾燥を行った。こうして、ヨウ素が吸着配向された厚み28μmの偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムについて、高周波誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分光分析法により分析し、偏光フィルムの重量に対するホウ素の重量分率(%)を算出したところ、ホウ素含有量は3.5%であった。
また、得られた偏光フィルムについて、偏光フィルムの延伸方向(吸収軸)と直交する方向の加熱収縮力を測定した。測定にあたっては、延伸軸方向を短辺として、幅2mm、長さ8mmのフィルムを切り出し、測定用サンプルとした。該サンプルを熱機械分析装置(Thermo−Mechanical Analyzer:TMA)(EXSTAR−6000(エスアイアイナノテクノロジー(株)製)にセットして、寸法を一定に保持したまま、80℃で200分間加熱したときに発生した長さ8mm方向の収縮力を測定したところ、2.5Nであった。

この偏光フィルムの一方の面にトリアセチルセルロースからなる透明保護フィルムを、他面にはノルボルネン系樹脂からなる二軸延伸位相差フィルム(正面位相差値:55nm、厚み方向位相差値:125nm)を、それぞれポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介して貼合し、偏光板とした。得られた偏光板を、その位相差フィルム側で粘着剤を介してガラス板に貼合し、−35℃に1時間保つ過程と70℃に1時間保つ過程を1サイクルとするヒートサイクル試験を行った。その結果、200サイクル繰り返しても偏光フィルムは破断しなかった。
<比較例1>
原反フィルムに対し、膨潤槽から染色槽まで、実施例1と同様の処理を施した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で12/4.7/100の水溶液が入ったホウ酸槽に56.5℃で130秒間浸漬しつつ、原反からの積算延伸倍率が5.3倍になるまで一軸延伸を行った。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で12/4.7/100の水溶液が入ったホウ酸槽に40℃で約60秒間浸漬した。さらに、水洗槽にて9℃の純水に約16秒間浸漬し、その後、約60℃の乾燥炉、次に約85℃の乾燥炉を順次通過させ、それら乾燥炉での滞留時間を合計160秒間として乾燥を行った。こうして、ヨウ素が吸着配向された厚み28μmの偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムについて、実施例1と同様にしてホウ素含有量を算出したところ4.2%であり、また、実施例1と同様にしてTMA装置にて収縮力を測定したところ3.0Nであった。
この偏光フィルムの一方の面にトリアセチルセルロースからなる透明保護フィルムを、他面にはノルボルネン系樹脂からなる二軸延伸位相差フィルム(正面位相差値:55nm、厚み方向位相差値:125nm)を、それぞれポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介して貼合し、偏光板とした。得られた偏光板を、その位相差フィルム側で粘着剤を介してガラス板に貼合し、−35℃に1時間保つ過程と70℃に1時間保つ過程を1サイクルとするヒートサイクル試験を行った。その結果、200サイクル繰り返した時点で偏光フィルムが破断していた。
本発明によれば、ヒートサイクル試験において破断が起きない偏光板が得られる。この偏光板は、液晶表示装置をはじめとする各種表示装置に有効に適用することができる。

Claims (4)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、膨潤処理工程、染色処理工程およびホウ酸処理工程の順で処理し、かつこれらの処理工程のうち少なくとも1つの工程で一軸延伸して、ホウ素の含有量が3〜3.9重量%の範囲にあり、延伸軸方向を短辺として2mm×8mmの大きさで80℃にて200分間加熱したときに、延伸軸と直交する方向の収縮力が2.8N以下である偏光フィルムを製造する方法であって、
    ホウ酸処理工程が、水100重量部に対してホウ酸を3〜4.5重量部含む水溶液中にて50〜70℃の温度で行われる第1のホウ酸処理と、第1のホウ酸処理に用いた水溶液よりもホウ酸含有量の低い水溶液中にて、第1のホウ酸処理よりも低い温度で行われる第2のホウ酸処理とを含む、偏光フィルムの製造方法。
  2. 第2のホウ酸処理が、第1のホウ酸処理で用いた水溶液中の水100重量部に対するホウ酸含有量よりも0.5重量部以上低いホウ酸含有量の水溶液中で、第1のホウ酸処理での温度よりも5℃以上低い温度で行われる、請求項に記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. 20〜35μmの厚みを有する偏光フィルムを製造する、請求項1または2に記載の偏光フィルムの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で製造される偏光フィルムの少なくとも一方の面に透明保護フィルム貼合る、偏光板の製造方法
JP2007277785A 2007-09-12 2007-10-25 偏光フィルムの製造方法および偏光板の製造方法 Active JP5257645B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007277785A JP5257645B2 (ja) 2007-10-25 2007-10-25 偏光フィルムの製造方法および偏光板の製造方法
TW097134404A TWI465781B (zh) 2007-09-12 2008-09-08 偏光薄膜、偏光薄膜之製造方法、及偏光板之製造方法
TW103133981A TW201502606A (zh) 2007-09-12 2008-09-08 偏光板之製造方法
KR1020080089134A KR101522577B1 (ko) 2007-09-12 2008-09-10 편광 필름, 편광 필름의 제조방법, 및 편광판의 제조방법
KR20140130635A KR20140131892A (ko) 2007-09-12 2014-09-29 편광 필름, 편광 필름의 제조방법, 및 편광판의 제조방법

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007277785A JP5257645B2 (ja) 2007-10-25 2007-10-25 偏光フィルムの製造方法および偏光板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009104062A JP2009104062A (ja) 2009-05-14
JP5257645B2 true JP5257645B2 (ja) 2013-08-07

Family

ID=40705768

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007277785A Active JP5257645B2 (ja) 2007-09-12 2007-10-25 偏光フィルムの製造方法および偏光板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5257645B2 (ja)

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011203641A (ja) * 2010-03-26 2011-10-13 Sumitomo Chemical Co Ltd 偏光板
WO2012018032A1 (ja) * 2010-08-02 2012-02-09 住友化学株式会社 遊離ホウ酸の定量方法
JP5930636B2 (ja) * 2011-09-27 2016-06-08 住友化学株式会社 偏光板
JP5991883B2 (ja) * 2011-12-06 2016-09-14 日東電工株式会社 偏光子の製造方法および偏光板の製造方法
JP5831249B2 (ja) * 2012-01-23 2015-12-09 住友化学株式会社 偏光フィルムとその製造方法及び偏光板
JP2013254072A (ja) * 2012-06-06 2013-12-19 Nitto Denko Corp 偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
KR101571261B1 (ko) * 2012-09-26 2015-11-23 가부시키가이샤 구라레 폴리비닐알코올 필름 및 편광 필름
KR20140094092A (ko) * 2013-01-21 2014-07-30 동우 화인켐 주식회사 편광자의 제조 방법
KR101850565B1 (ko) * 2013-06-18 2018-04-19 주식회사 엘지화학 편광판 및 상기 편광판을 포함하는 디스플레이 장치
KR101938411B1 (ko) * 2014-01-13 2019-01-15 동우 화인켐 주식회사 편광판
KR20160043765A (ko) * 2014-10-14 2016-04-22 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 편광자 및 이의 제조 방법
KR20170053039A (ko) * 2015-11-05 2017-05-15 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 편광판 및 이를 포함하는 화상 표시 장치
JP6181804B2 (ja) * 2016-04-25 2017-08-16 住友化学株式会社 偏光板
CN114460678A (zh) * 2016-11-14 2022-05-10 日本化药株式会社 用于红外线波长区域的染料系偏光板
JP2020126226A (ja) * 2019-02-04 2020-08-20 住友化学株式会社 偏光板および表示装置
JP7005803B1 (ja) 2020-10-26 2022-01-24 住友化学株式会社 積層体

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06167611A (ja) * 1992-10-02 1994-06-14 Sumitomo Chem Co Ltd 偏光板
JP3979688B2 (ja) * 1996-11-07 2007-09-19 日本合成化学工業株式会社 偏光フィルムの製造方法
JP2001166143A (ja) * 1999-12-09 2001-06-22 Sumitomo Chem Co Ltd 偏光フィルム
JP2001343521A (ja) * 2000-05-31 2001-12-14 Sumitomo Chem Co Ltd 偏光板及びその製造方法
JP2001343522A (ja) * 2000-05-31 2001-12-14 Sumitomo Chem Co Ltd 偏光フィルム及びその製造方法
JP2002006133A (ja) * 2000-06-19 2002-01-09 Nitto Denko Corp 偏光子、偏光板及びそれを用いた液晶表示装置
JP2005084506A (ja) * 2003-09-10 2005-03-31 Sumitomo Chemical Co Ltd 偏光フィルムとその製造方法、偏光板および光学積層体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009104062A (ja) 2009-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5257645B2 (ja) 偏光フィルムの製造方法および偏光板の製造方法
KR101483793B1 (ko) 편광 필름의 제조 방법 및 편광판의 제조 방법
JP5722255B2 (ja) 偏光板の製造方法
KR101553411B1 (ko) 편광 필름, 편광판 및 이들의 제조 방법
JP5636134B2 (ja) 積層フィルム、並びに、偏光性積層フィルムの製造方法及び偏光板の製造方法
KR101606594B1 (ko) 편광 필름의 제조 방법, 편광판 및 광학 적층체
KR101638196B1 (ko) 편광 필름의 제조 방법
WO2015079967A1 (ja) 偏光子及びそれを含む偏光板
JP5996516B2 (ja) 偏光子及びそれを含む偏光板
KR20140131892A (ko) 편광 필름, 편광 필름의 제조방법, 및 편광판의 제조방법
JP2020042298A (ja) 偏光板の製造方法および貼合フィルムの製造方法
JP4323269B2 (ja) 偏光フィルムの製造方法
KR101126399B1 (ko) 편광 필름의 제조 방법, 편광판의 제조 방법 및 광학적층체의 제조 방법
KR20050026863A (ko) 편광 필름과 그 제조 방법, 편광판 및 광학 적층체
JP6049600B2 (ja) 偏光子及びそれを含む偏光板
JP4421886B2 (ja) ヨウ素系偏光フィルムの製造方法および偏光板の製造方法
KR20180020206A (ko) 편광 필름, 편광판, 및 편광 필름의 제조 방법
JP2005173216A (ja) 偏光フィルムの製造方法、偏光板の製造方法および光学積層体の製造方法
KR20100114388A (ko) 편광자의 제조방법, 편광자 및 이것이 구비된 편광판
JP2009237096A (ja) 偏光フィルムの製造方法、並びに偏光板および光学積層体
JP2005084507A (ja) 偏光フィルムの製造方法、偏光板の製造方法および光学積層体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100824

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111024

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120904

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130326

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130410

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160502

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5257645

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350