JP5257315B2 - 無機系アンカーの上向き施工方法 - Google Patents
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Description
本発明は、無機系アンカーの上向き施工方法に関し、特に水硬性組成物を用いた無機系アンカーを上向きに少量施工する簡便な方法に関するものである。
コンクリート構造物に設けられた孔に注入するアンカーとしては、無機系アンカーと有機系アンカーとに大別することができ、また施工形態として、カプセルタイプと注入タイプとがある。
アンカーとしては、その成分が柔軟であるほど、アンカー筋を容易に埋め込める一方、柔軟なアンカーを上向き施工した際には、穿孔より垂れやすくなってしまっている。
アンカーが穿孔より垂れてしまうと、コンクリート構造物との接着が不良となり、アンカー筋の抜け落ちが生じてしまう場合がある。
また垂れたアンカーは、構造物周辺に付着し、清掃の必要がある。
アンカーを上向きで施工する場合には、穿孔の入り口を仮シールするか、アンカー筋に垂れ防止キャップ形状の器具を取り付けている。アンカー筋が抜けないように、アンカー材が硬化するまで、テープやベルトで仮止めしておく必要がある。
また無機系カプセルアンカーである、セメントと水がガラス管の中に分離、収納されているタイプは、上向き施工のたれ防止のため、水に水ガラスを添加し、粘度をあげて垂れにくくしている。
無機系アンカー材として水硬性組成物を調製する際には、水硬性組成物粉体と水とを一定の比率となるように計量して、ミキサー、練りさじやスコップ、或いは手練り等により撹拌混合して調製を行い、はけ、ヘラやコテ、或いはポンプ等で施工を行っていた。
このような調製方法では、水とセメント等を計量する必要があるため、別途、混合容器を用意する必要があり、簡便な方法ではなかった。
また施工方法においても、目地等の細かい箇所への少量の施工は手間がかかり煩雑であり、特に上向き施工が難しく、均質に施工をすることは難しかった。
一方、簡易吐出機としては、特開平5−319462号公報に、混合吐出容器本体内には主剤が充填されていると同時に硬化剤が合成樹脂製袋中に入っているものも装填されており、更に容器本体内には中空な撹拌棒、撹拌羽根、摺動可能な底板を有し、一方合成樹脂製袋の一端には糸を固定し、糸は中空の撹拌棒内を通って、容器キャップに固定されていて、このキャップを引張り、撹拌棒、撹拌羽根を上下することによって合成樹脂製袋が破れ両成分が短時間で均一に混合でき、底部から吐出されるような簡易混合吐出容器が開示されている。
しかし、かかる簡易吐出機は、撹拌棒を内部に備えるものであり、また混合吐出容器本体には混合されるべき複数の成分、例えば、第1成分と第2成分とが予め充填されているものである。
かかる撹拌棒を備える構造を有する吐出機は、装置の構造が煩雑であり、また混合されるべき複数の成分、例えば第1成分と第2成分とが予め充填されていると重量が重くなるとともに搬送にも手間がかかり、従って高価なものとなってしまう。
本発明の目的は、専門家でなくても必要なときに簡便に無機系アンカーを迅速に調製することができるとともに、コンクリート構造物の上向き穿孔に充填した該無機系アンカーが垂れることなく、効率よく少量の無機系アンカーを簡単に施工することができる、無機系アンカーの上向き施工方法を提供することである。
さらに本発明の目的は、無機系アンカー用カートリッジを用いて、無機系アンカーの撹拌混合作業と充填作業を同一の容器で行い、撹拌混合作業中の粉塵の発生をほぼゼロに抑え、上向き施工における穿孔内充填を簡便に行うことのできる、無機系アンカーの上向き施工方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の無機系アンカーの上向き施工方法は、コンクリート構造物の上向き穿孔に無機系アンカーを上向きに施工するにあたり、一端に吐出口を有するシリンダと、該シリンダ内において、該吐出口に向かって移動可能なピストン壁と、該シリンダ内に水硬性組成物の粉体が収容されているカートリッジに、前記該吐出口から液体を導入し、該カートリッジに振動を与え、該水硬性組成物粉体と該液体とを撹拌混合して該カートリッジ内で無機系アンカーを調製した後、該ピストン壁を該吐出口側に移動させて該吐出口から無機系アンカーを、乾燥した上向き穿孔に充填する施工方法であって、
該カートリッジの該シリンダ内には、該水硬性組成物の粉体が該ピストン壁側に偏って充填され、該吐出口側の該シリンダの内面と、前記充填された水硬性組成物粉体の端面との間には空洞が形成されているカートリッジを用い、該カートリッジの該空洞の容積は、前記充填された水硬性組成物粉体と反応する液体を該吐出口を経て導入すべき容量より大きいことを特徴とする、無機系アンカーの上向き施工方法である。
好適には、上記本発明の無機系アンカーの上向き施工方法において、乾燥した上向き穿孔に無機系アンカーが充填された後、該孔面のコンクリートに該無機系アンカーの水分が吸収されて、無機系アンカーの流動性が低下することにより、アンカー材料が垂れ落ちず、さらにアンカー材料硬化前でも該孔内に挿入したアンカー筋が落下しないことを特徴とする、無機系アンカーの上向き施工方法である。
より好適には、上記本発明の無機系アンカーの上向き施工方法は、前記カートリッジの該ピストン壁は該シリンダの内面と密着する形状であることを特徴とする、無機系アンカーの上向き施工方法である。
また好適には、上記本発明の無機系アンカーの上向き施工方法は、該カートリッジの該吐出口から液体を導入し、該カートリッジに振動を与え該水硬性組成物粉体と該液体とを撹拌混合し、該ピストン壁を該吐出口側に移動させて該吐出口から無機系アンカーを押出すことを特徴とする、無機系アンカーの上向き施工方法である。
更にまた好適には、上記本発明の無機系アンカーの上向き施工方法は、該吐出口から無機系アンカーを押出す際には、該カートリッジをシーリングガンに装着して行うことを特徴とする、無機系アンカーの上向き施工方法である。
本発明の無機系アンカーの上向き施工方法は、コンクリート構造物の上向き穿孔に無機系アンカーを簡便に穿孔内部までしっかり充填することができ、充填した該無機系アンカーは垂れ落ちず、アンカー筋の挿入、固定が容易で、下向きや横向きと同程度に施工を容易とすることができる。
また、上向き穿孔に充填した無機系アンカーは、垂れてこないため、垂れ防止のための特別な器具や仮止めシール等を必要とすることもない。
さらに、アンカー筋を差し込んだ後も、アンカー筋の自重による抜けがほとんどなく、アンカー材料が硬化してアンカー筋が動かなくなるまでの仮押さえをほとんど必要としないか、簡易なものでよく、仮押さえの作業も低減することができる。
本発明の無機系アンカーの上向き施工方法は、さらに、少量の水硬性組成物を上向き施工したいときに、所望するモルタル等の水硬性組成物を簡便に調製することができるとともに、上向き穿孔内部までの充填を、専門家でなくても手軽に施工することができる。
また、上向き施工する際に、施工現場で簡便に無機系アンカーを調製することができ、モルタル等の無機系アンカーを調製するための特別な道具を必要とせず、水を加えてカートリッジを振ることで容易に撹拌して簡単にモルタル等の無機系アンカーを調製することができるとともに、少量簡便に上向き施工をそのまま手軽に実施することができる。
上向き施工の間、モルタル等の無機系アンカーは密閉したカートリッジの中で混合撹拌されて施工されるため、粉塵の発生がほとんど無く、通常の混合容器のように容器の汚れで施工現場を汚すこともない。
このように、本発明の無機系アンカーの施工方法は、特に無機系アンカー用カートリッジを用いて、その付属のノズルによる注入工法により、コテやヘラでは不得意としていた上向き施工を簡便に実施することができる。
本発明に係る無機系アンカーの上向き施工方法について、以下に詳細に説明する。
本発明の無機系アンカー上向き施工方法は、コンクリート構造物の上向き穿孔に無機系アンカーを上向きに施工するにあたり、一端に吐出口を有するシリンダと、該シリンダ内において、該吐出口に向かって移動可能なピストン壁と、該シリンダ内に水硬性組成物の粉体が収容されているカートリッジに、前記該吐出口から液体を導入し、該カートリッジに振動を与え該水硬性組成物粉体と該液体とを撹拌混合して該カートリッジ内で無機系アンカーを調製した後、該ピストン壁を該吐出口側に移動させて該吐出口から無機系アンカーを、乾燥した上向き穿孔に充填する施工方法である。
ここで、無機系アンカーは、既存のコンクリート構造物に穿孔した孔とアンカー筋を、無機系材料、特に水硬性組成物で硬化させ、物理的に固着させるアンカーをいう。
本発明の無機系アンカーの上向き施工方法に用いる、無機系アンカー用カートリッジは、一端に吐出口6を有するシリンダ1と、該シリンダ1内において、該吐出口6に向かって移動可能なピストン壁2と、該シリンダ1内に水硬性組成物の粉体3が収容されているものである。
図1は、本発明に係る無機系アンカーの上向き施工方法に用いる、無機系アンカー用カートリッジの一例の形態を示す断面図である。
当該カートリッジは、図1に示すように、シリンダ1、吐出口封止用アルミシート4、移動可能なピストン壁2及び水硬性組成物粉体3を備える。
シリンダ1の形状は円筒形等であり、ピストン壁2がシリンダ1の吐出口6に向かってシリンダ1の内壁に沿ってシリンダ1内を移動できる距離が長くなるような形状、すなわちピストン壁2が可能な限り吐出口6に近づけるような形状を採用する。
これにより、シリンダ内部で液体と混合された水硬性組成物を上向きに無駄なく押出して使用することができる。
該シリンダ1はその一端に吐出口6を備えるが、水硬性組成物用カートリッジに液体Aを導入するまでは、該吐出口6内側は密閉されている。
吐出口6を封止する手段としては、図1に示すように、吐出口6をアルミシート4のような封止シートを設けることによっても、吐出口6にキャップを備えることによっても、またアルミシート4を設けるとともにキャップで封止することによっても、いずれの手段を用いてもよい。
このように該吐出口6を封止することで、内部と外気とは遮断され、シリンダ1内部に収容されている水硬性組成物粉体3が空気中に含まれる水分と接触することを回避でき、本発明の無機系アンカーの上向き施工方法に適用する無機系アンカー用カートリッジの寿命を長くすることが可能となる。
シリンダ1の吐出口6の反対側には、該吐出口6に向かって移動するピストン壁2が設けられており、該ピストン壁2の形状は、該ピストン壁2の外周とシリンダ1の内壁の内周とが等しくなるような形状、該ピストン壁2がシリンダ1の内面と密着する形状である。
これにより、シリンダ1の内壁に沿ってピストン壁2がスムースに移動することが可能となるとともに、ピストン壁2とシリンダ1との内壁との間がシールされる。
例えば、シリコーンシーラントのカートリッジに用いられるピストン壁2の多くが円錐台状の形状をしており、該ピストン壁2の一部の外周がシリンダ1の内壁の内周より小さいと、ピストン壁2とシリンダ1の内壁との間に隙間が形成され、ピストン壁2がシリンダ1の吐出口6の方向に移動する際に、水硬性組成物中に含まれる砂のような骨材が該間隙に入って、ピストン壁2の移動を妨げるようになり、好ましくない。
シリンダ1の吐出口1の形状は、シリンダ1の内部に液体Aを導入できるような形状であれば、任意の形状を採用することができる。
シリンダ1の内部には、水硬性組成物粉体3が収容されている。
水硬性組成物粉体3としては、水硬性粉体のみ、水硬性粉体及び非水硬性粉体、更には、これらの粉体に増粘剤等を添加したものを使用することができる。
水硬性粉体とは、水と接触して硬化する粉体を意味し、好ましくはポルトランドセメント、珪酸カルシウム、カルシウムアルミネート、カルシウムフルオロアルミネート、カルシウムサルフォアルミネート、カルシウムアルミノフェライト、リン酸カルシウム、半水又は無水石膏及び自硬性を有する生石灰の粉体からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体が含まれる。
前記水硬性粉体は、成形時の可使時間の点から平均粒径10〜50μm程度のものが好ましく、また、高強度を確保する点から、ブレーン比表面積が2500cm2/g以上のものであることが好ましい。
また、前記非水硬性粉体は、単体では水と接触しても硬化することがない粉体を意味するが、アルカリ性若しくは酸性状態、あるいは高圧蒸気雰囲気においてその成分が溶出し、他の既溶出成分と反応して生成物を形成する粉体も含む意である。
非水硬性粉体としては、水酸化カルシウム粉末、二水石膏粉末、炭酸カルシウム粉末、スラグ粉末、フライアッシュ粉末、珪石粉末、珪砂粉末、粘土粉末及びシリカフューム粉末からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体が好ましい。
さらに、水硬性組成物粉体3には、公知の配合剤や添加剤、例えば増粘剤、減水材、凝結遅延剤、反応促進剤等の粉体を添加することができ、モルタルの練りあがり性状を施工に好ましい状態にさせることができる。
また、シリンダ1内に導入されて水硬性組成物粉体3と反応する該液体Aの主成分は水であるが、必要に応じて、ポリマーや、凝結遅延剤等を予め混合しておくことも可能である。
シリンダ1内には、上記水硬性組成物粉体3が収容されているが、シリンダ1内全体に充填されるものではなく、一定の空洞5を設けた状態で充填されている。
上記水硬性組成物粉体3は、該カートリッジの容器を立てた場合、上記ピストン壁2側に偏って充填され、空洞5が、吐出口6側に出現することが望ましい。
すなわち、該空洞5は、該吐出口6側のシリンダ1の内面と、前記充填された水硬性組成物粉体3の端面との間に設けられることが好ましい。
該空洞5の容積は、前記充填された水硬性組成物粉体3の容量と反応する液体Aを該吐出口6より導入すべき容量と同じであるか、若干大きいものとする。
水硬性組成物粉体3と反応する水等の液体Aの容量は、水硬性組成物粉体3の成分や、得られる水硬性組成物である無機系アンカーの所望する粘性により変動するものであり、予め設定することができるものである。
これにより、シリンダ1内で得られる水硬性組成物である無機系アンカーの容量を可能な限り多くするとともに、導入した液体Aと水硬性組成物粉体3とが振動によりスムースに撹拌混合することができる。
図2は、図1の無機系アンカー用カートリッジの使用形態の一実施例を示す模式図であり、該カートリッジの吐出口6を封止していたアルミシート4を破断させて、該カートリッジの吐出口6から水硬性組成物粉体3と反応する液体Aを充填した状態を模式的に示す図である。
例えば、本発明の図1で示される無機系アンカー用カートリッジのノズルを取り除いて、吐出口6を封止していた、内部のアルミシート4を破断して、水等の液体Aを、該シリンダ1の該吐出口6よりシリンダ1内に設けられた空洞5に導入する。
予め設定された容量の液体Aを該空洞5内に導入したあと、例えばキャップ等の簡易な封止手段7によって、該吐出口6を仮密封する。
次いで、該カートリッジに振動を与えて、該水硬性組成物粉体3と該液体Aとを撹拌混合する。
振動は、人力によってカートリッジを上下、左右等に振る方法や、機械を用いて振動を与える方法であってもよく、物理的に、シリンダ1内の水硬性組成物粉体3と導入された液体Aとが均質に混合される方法であれば採用することができる。
従って、水硬性組成物粉体3と液体Aとを撹拌混合して水硬性組成物である注入式の無機系アンカー10を得るのに、特別な装置等を必要とせず、簡便に混合することが可能となる。
振動により、シリンダ1内で該水硬性組成物粉体3と該液体Aとが均質に混合されて得られた水硬性組成物である無機系アンカー10を、上記カートリッジのピストン壁2を該吐出口2に移動させることで、押出して、コンクリート構造物30中の所望する上向き穿孔箇所31に適用する。
該無機系アンカーを注入する上向きの孔は、乾燥されているものを好ましく適用できる。
これは、無機系アンカーを乾燥した穿孔31に上向きに充填することで、水分が周囲のコンクリート壁面30に奪われて流動性を著しく低下させることができ、従って、上向きの穿孔31に無機系アンカーを本発明の施工方法により適応した場合に、穿孔の奥部分から無機系アンカーを充填することで無機系アンカーが垂れ落ちてくることを抑制することが可能となる。さらにアンカー材料硬化前でも該孔内に挿入したアンカー筋が落ちてこない。
上向き穿孔又は削孔は、コンクリートドリル等の乾式で削孔した場合、切りくずの粉塵を清掃して取り除くだけでよいが、コアドリル等の湿式で穿孔する場合には、該孔内が乾燥してから注入する。
特に、該吐出口6から得られた水硬性組成物である無機系アンカー10を上向きに押出す際に、図3に示すように、該カートリッジを、一般にシーリングガンまたはコーキングガンと称される吐出機に装着して行うことができる。
シーリングガンまたはコーキングガンは、カートリッジを装着するカートリッジ用ガンとして使用することができる。
当該カートリッジは、キャップ等の封止手段7をはずした状態で、ノズル11の先端をカットし吐出口6に取り付け、カートリッジ用ガンに装着されて、施工に用いられる。かかる状態を模式的に示したのが図3である。
前記カートリッジを、カートリッジ用ガンに装着する際には、ノズル11を装着した該カートリッジが、ピストン壁2の移動方向に移動しないように先端支持部材21で移動が規制され、さらには胴体支持部材22により該カートリッジが保持されるように装着する。先端支持部材21や胴体支持部材22、又は後述するボディ23などは必要に応じて一体的に形成することも可能である。
該胴体支持部材22は、先端支持部材21と連結されている側とは逆側で、ボディ23と連結されている。さらに、該ボディ23には把持部24が固定され、該ボディの支点29を中心に可動するレバー25を片手でも動作させ易いよう構成されている。レバー25の動きに連動する連動部26が設けられ、連動部26の移動により押圧軸27がカートリッジ方向に移動するよう構成されている。押圧軸27は、連動部26の動作によりカートリッジ方向のみに移動可能とされている。また、ピストン壁2は、その外気側、すなわち水硬性組成物10と接しているピストン壁2の面とは逆の面側で、ガン20の押圧軸27の押圧部28と接している。
図3(a)に示すように、該ガンのノズル11を、コンクリート構造物30の孔21内に、好ましくは孔21の奥に挿入して、該穿孔内に無機アンカー10を吐出させる(図3(b))。具体的には、カートリッジを装着したカートリッジ用ガンの把持部24とレバー25とを手で握り、支点29を中心にレバー25を把持部24の方向に引き寄せることで、支点29で該レバー25に連動するように構成されている連動部26がノズル方向に移動し、これにより該連動部26と連結されている押圧軸27も移動する。そして、これにより、該押圧部27と一体となっている押圧部28をノズル方向へ移動させて、ピストン壁2を同様にノズル11方向へ移動させ、カートリッジ内の水硬性組成物である無機系アンカー10をノズル11より、上向き穿孔内に吐出させる(図3(b))。
レバー25と連動部26とは自動的に元の位置に戻るよう構成されているが、連動部26が戻る際には、押圧軸27は移動しないよう構成され、レバー25を把持部24側に引き寄せるたび毎に、押圧軸27がカードリッジ方向のみに移動し、水硬性組成物である無機系アンカー10を上向きに、穿孔の奥から吐出させる。
これにより、コンクリート構造物30の上向きの穿孔に、無機系アンカーを簡便に施工して、乾いた穿孔31に水分が取られることによって、流動性が著しく低下して、上向き穿孔から該無機系アンカーの流れ落ちを防止する。
このようにして、無機系アンカーを乾燥した孔に注入充填した後、該孔面のコンクリートに該無機系アンカー材の水分が吸収されて、該孔内に挿入した挿し筋が固定される。従って、アンカー材料硬化前でも該孔内に挿入したアンカー筋が落ちてこない。
このように、本発明の施工方法は、少量の水硬性組成物である無機系アンカーを簡便に、粉塵がほぼ発生せず、手軽に施工することができるとともに、前記無機系アンカー用カートリッジを用いて、上向き施工、孔内充填施工を含め、ばらつきのない施工を簡便に実施することが可能となり、鉄筋等の挿し筋が抜け落ちることなく、簡便に固定することが可能となる。
(実施例1、比較例1〜2)
本発明の注入式無機系アンカーを以下の方法で調製した。
図1に示すカートリッジの内部に、調合されたアンカー材料(住友大阪セメント株式会社製)3を、該カートリッジの内部に空洞5が形成されるように充填した。該空洞5は、所望するモルタルを得るために添加する水の容量とほぼ同容量である。
充填するセメント3及び空洞5(配合される水の容量とほぼ同容量)は、得られる水硬性組成物である無機アンカーが、粘性約63Pa・sとなるように設計した。
該カートリッジの空洞5に、水Aを添加して、吐出口6を封止して、該カートリッジを上下することでよく撹拌して、モルタルを調製した。得られた水硬性組成物である無機アンカーの粘性は以下の表1に示すとおりである。
該モルタルが内部で調製されたカートリッジを、図3に示す無機系アンカーカートリッジ用ガンに装着した(実施例1)。
また、比較のために、接着系アンカーであるカプセルタイプのRM16(フィッシャー製:比較例1)と、接着系アンカーである注入式タイプのFIS V 360S(フィッシャー製:比較例2)を用いた。比較例1のカプセルタイプは直接孔内に挿入し、その上から下記鉄筋を、回転打撃させながら挿入した。比較例2の注入アンカーは、専用のガンに装着して用いた。比較例1のRM16(フィッシャー製)の粘性は以下の表1に示す。
図3に示すように、コンクリート構造物30に、上向きの削孔31(Φ20×130mm)を、実施例、比較例とも各5個、コンクリートドリルを用いて設けた。該削孔は乾燥していることを確認した。
該孔31に、実施例1、比較例2の注入材を備える各カートリッジガンを用いて、前記孔31内の奥部にノズルを設置し(図3(a))、該ノズルから各注入アンカーを注入して、各アンカーを孔31の奥より充填した(図3(b))。具体的には、前記したように、該ガンのノズル11を上向きにして、レバー25を引き寄せることによりピストン壁2を移動させ、該ノズル11より上記削孔31に使用量18ccで前記孔31の奥より上向きに充填した。各アンカー材充填時における各注入アンカー材の垂れ状態を表2に示す。
注入後に、挿し筋(異型鉄筋D16:材質SD295A、長さ450mm)を5本挿入し、該鉄筋が該各アンカーから抜ける量を測定して、その平均値を表2に示す。
該鉄筋が完全に抜ける量を130mmとした。
抜けない・・◎、抜け落ちは無いが一部の抜けあり・・・○、一部抜け落ち・・・△、全数抜け落ち・・・×
但し、抜け落ちは筋が孔より抜けて落下する状態、一部抜けは筋が多少抜けたものの途中で止まって抜けきらずに上向き面に刺さっている状態を示す。また、比較例における有機系のアンカーを用いた場合でも、充填後すぐに硬化が始まり、徐々に粘度が上昇して、鉄筋が抜けにくくなり、表2中の鉄筋抜け量は、該有機系アンカーが硬化した状態での鉄筋の抜け量を示す。
また、実施例1及び比較例1の無機アンカーを該上向き孔に注入する前の該無機アンカーの粘度と、注入後の粘度を表1に示す。
但し、注入前とは、実施例1の水硬性組成物である無機アンカーを練り上げた状態の粘度を、比較例1ではRM16(注入式アンカー:フィッシャー製)そのものの粘度を示す。
また、注入後とは、該無機アンカー又は前記RM16を、乾燥したコンクリート削孔内に注入した後30秒後に該材料を掻き出して測定した粘度を示す。
その測定は、粘度計TVB−10H(東機産業株式会社製;回転数10rpm、スピンドル(ローター)No.H7)を用いて、測定(回転)開始後1分後に測定した数値とした。
表1より、実施例1では注入後、粘度が上昇したことがわかるが、比較例1では、注入後、粘度の上昇がほとんどない。また表2より、本発明の無機系アンカーの上向き施工方法によると、コンクリート構造物の孔に充填した無機系アンカーは、垂れることがなく、挿入した鉄筋の固定を強固にすることが可能であることがわかる。一方、比較例のものは、鉄筋の抜け等が生じてしまったことがわかる。
以上のように、本発明の無機系アンカーの上向きアンカーの施工方法によれば、水硬性組成物である無機系アンカーを上向きに少量施工する際に有効に適用することができ、建築、土木分野のコンクリート構造物において上向きに施工するのに有効に適用することができる。
1 シリンダ
2 ピストン壁
3 水硬性組成物粉体
4 アルミシート
5 空洞
6 吐出口
7 封止手段
A 液体
10 水硬性組成物
11 ノズル
20 カートリッジ用ガン
21 先端支持部材
22 胴体支持部材
23 ボディ
24 把持部
25 レバー
26 連動部
27 押圧軸
28 押圧部
29 支点
30 コンクリート構造体
31 乾燥した孔
Claims (5)
- コンクリート構造物の上向き穿孔に無機系アンカーを上向きに施工するにあたり、
一端に吐出口を有するシリンダと、
該シリンダ内において、該吐出口に向かって移動可能なピストン壁と、
該シリンダ内に水硬性組成物の粉体が収容されているカートリッジに、前記該吐出口から液体を導入し、該カートリッジに振動を与え該水硬性組成物粉体と該液体とを撹拌混合して該カートリッジ内で無機系アンカーを調製した後、該ピストン壁を該吐出口側に移動させて該吐出口から無機系アンカーを、乾燥した上向き穿孔に充填する施工方法であって、
該カートリッジの該シリンダ内には、該水硬性組成物の粉体が該ピストン壁側に偏って充填され、該吐出口側の該シリンダの内面と、前記充填された水硬性組成物粉体の端面との間には空洞が形成されているカートリッジを用い、該カートリッジの該空洞の容積は、前記充填された水硬性組成物粉体と反応する液体を該吐出口を経て導入すべき容量より大きいことを特徴とする、無機系アンカーの上向き施工方法。 - 請求項1に記載の無機系アンカーの上向き施工方法において、乾燥した上向き穿孔に無機系アンカーが充填された後、該孔面のコンクリートに該無機系アンカーの水分が吸収されて、無機系アンカーの流動性が低下することにより、アンカー材料が垂れ落ちず、さらにアンカー材料硬化前でも該孔内に挿入したアンカー筋が落下しないことを特徴とする、無機系アンカーの上向き施工方法。
- 請求項1又は2に記載の無機系アンカーの上向き施工方法において、前記カートリッジの該ピストン壁は該シリンダの内面と密着する形状であることを特徴とする、無機系アンカーの上向き施工方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の無機系アンカーの上向き施工方法において、該カートリッジの該吐出口から液体を導入し、該カートリッジに振動を与え該水硬性組成物粉体と該液体とを撹拌混合し、該ピストン壁を該吐出口側に移動させて該吐出口から無機系アンカーを押出すことを特徴とする、無機系アンカーの上向き施工方法。
- 請求項4に記載の無機系アンカーの上向き施工方法において、該吐出口から無機系アンカーを押出す際には、該カートリッジをシーリングガンに装着して行うことを特徴とする、無機系アンカーの上向き施工方法。
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JP2009224932A JP5257315B2 (ja) | 2009-09-29 | 2009-09-29 | 無機系アンカーの上向き施工方法 |
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