JP3736990B2 - 粉末状水硬性材料の連続混練装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉末状水硬性材料を水と連続的に混練し排出する装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、粉末状水硬性材料の連続混練装置としては、粉末状水硬性材料と水との混練機構と圧送ポンプを駆動する動力源とを略同一直線上に配置し、粉末状水硬性材料を連続的に混練し圧送する装置が提案されている(特開平3−121815号公報)。
この連続混練装置の混練機構のミキシングシャフトは、動力源により回転するシャフトと混練用パドルが溶接等の手段により固定されたものであり、粉末状水硬性材料に対する水の重量割合が20重量%程度ならば均質な混練が可能である。
しかしながら、粉末状水硬性材料に対する水の重量割合を50重量%以上で混練しようとすると、混練装置より排出される材料の中に練り玉ができ、均質な混練ができないという課題があった。
特に、粉末状水硬性材料をミルク状の物として混練しようとする際、この現象は顕著に表れ、粉末状水硬性材料の連続混練は不可能とされていた。
【0003】
また、最近になり急硬性を有する粉末状水硬性材料の連続混練装置を求める動きがでてきており、前記連続混練装置により急硬性を有する粉末状水硬性材料を混練しようとすると水の供給口付近の回転シャフト、パドル部、及び/又はミキシング筒に充分に混練されていない粉末状水硬性材料が付着し、短時間で硬化成長することにより、スクリューフィーダーからの急硬性を有する粉末状水硬性材料の供給量が徐々に低下し、所定の割合で混練ができなくなるという課題があった。
また、前記混練装置の圧送ポンプを外しミキシング筒を横型にしたものでは、粉末状水硬性材料に対する水の重量割合が20重量%程度の場合には前記の課題の他にホッパー内に粉末を残した状態で混練を中断すると、未混練の粉末状水硬性材料が残り硬化してしまったり、混練水がスクリューあるいはホッパー側に染み込み再び混練を行おうとする際、運転が不可能となる問題があった。
【0004】
また、バッチ式混練装置を使用した場合は、粉末状水硬性材料に対する水の割合が50重量%以上の粉末状水硬性材料でも均質な混練ができるが、混練水や粉末状水硬性材料の計量が必要なため作業が繁雑であること、1バッチ分の混練量が固定されているため、作業が終了した際に多量の混練済み材料が残った場合廃棄せねばならず不経済であることなどの課題があった。
【0005】
本発明者は、前記課題を解消すべく種々検討した結果、特定の混練装置を使用することによって、前記課題が解消することを知見して本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、材料供給装置11を竪型材料供給筒7に連接し、粉末状水硬性材料9を竪型材料供給筒7へ連続的かつ定量的に供給すると共に該竪型材料供給筒7の下部に設置される竪型ミキシング筒6の側面に水供給管5を設け水を連続的かつ定量的に供給し、竪型ミキシング筒6の底部に粉末状水硬性材料9と水とを混練する攪拌翼4を設け、該竪型ミキシング筒6の側面下部の混練物排出口13に接続された排出管14を、その先端が前記混練物排出口13より高い位置になるように立ち上げ、竪型ミキシング筒6内の混練物を滞留させながら排出するようにしたことを特徴とする粉末状水硬性材料の連続混練装置であり、排出管14の先端が、混練物排出口13より 100mm 以上高い該粉末状水硬性材料の連続混練装置であり、攪拌翼4の回転数が 200rpm 以上である該粉末状水硬性材料の連続混練装置であり、粉末状水硬性材料9が急硬性成分を含有する該粉末状水硬性材料の連続混練装置であり、該連続混練装置を用いた粉末状水硬性材料と水との連続混練方法であり、粉末状水硬性材料 100 重量部に対して、混練水量が 50 重量部以上である該連続混練方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し本発明を詳細に説明する。
【0008】
図1は本発明の連続混練装置の一例を示す側面図である。
混練機構について説明すると、1は動力源でありこれを回転させ動力伝達装置2により動力を回転シャフト3に伝達してこの回転シャフト3に取付けられた攪拌翼4を回転させる。材料の供給について説明すると、ホッパー8に供給された粉末状水硬性材料9は、動力源10により駆動される材料供給装置11により、材料供給口12から該竪型材料供給筒7へ供給される。竪型材料供給筒7へ供給された粉末状水硬性材料9は、自然落下により竪型ミキシング筒6へ供給される。一方、混練水は、該竪型ミキシング筒6側面に設置された水供給管5より定量供給される。粉末状水硬性材料9と混練水は、攪拌翼4の回転により混練され、竪型ミキシング筒6の側面下部に設けられた混練物排出口13及び排出管14を通過し排出される。
【0009】
ここで排出管14の先端の立ち上げ高さは100mm以上とするのが好ましい。立ち上げ高さが100mmより小さいと、滞留量が少なく滞留による混合効果が小さくなり、混合物中に練り玉を残した状態で排出される。
また、排出管14の立ち上げ高さは、混練水面が竪型材料供給筒7の壁面を濡らさない高さまで上昇させることができる。竪型材料供給筒7の壁面が混練水や混練物で濡れると、粉末状水硬性材料が竪型材料供給筒7の壁面に付着し、竪型ミキシング筒6へ供給されにくくなり、所定の濃度の混練ができなくなる。
【0010】
攪拌翼の形状はタービン翼が好ましい。タービン翼は高速回転に向き,せん断効果があるため粉末状水硬性材料に適している。
【0011】
攪拌翼の回転数は、200rpm以上であるのが好ましい。200rpm未満では、攪拌効果は小さく排出管14の立ち上げ高さが十分であってもせん断効果が得られず均一な混練が出来ず混練物中に練り玉が残る。
【0012】
竪型材料供給筒7と竪型ミキシング筒6は同一軸上に設置し、竪型材料供給筒7の内径を竪型ミキシング筒6の内径より小さくし、段差をつけることが好ましい。段差をつけることにより、接液面と接粉面を区別することが出来、粉末状水硬性材料の供給が安定化される。
【0013】
粉末状水硬性材料は竪型材料供給筒7の軸線近くに投入するのが好ましい。軸線近くに投入することにより、竪型材料供給筒7や竪型ミキシング筒6の壁面へ粉末状水硬性材料が付着するのを防止し、安定した供給が行えるようになる。材料供給装置11の先端を竪型材料供給筒7の軸線近くまで挿入することにより、容易に粉末状水硬性材料を竪型材料供給筒7の軸線近くに投入できる。
【0014】
本発明の混練装置は、水と混合・混練することによって水和反応して硬化する粉末状水硬性材料に対応できる。
粉末状水硬性材料としては、セメント、モルタル、石膏、及び石灰等の他、セメント等に混合してそれぞれ独自の性能を発揮するセメント混和材にも水硬性物質がありこれらの混和材も含まれる。
【0015】
特に、粉末状水硬性材料の急硬性成分としては、結晶質、非結晶質のいずれでも良いが、CaOをC、Al2O3をA、及びSiO2をSとすると、C2AS、C3A、C12A7、CA、C11A7・CaF2、及びC3A3・CaSO4等で示される鉱物や、硫酸アルミニウム、ミョウバン類、アルミノケイ酸カルシウムガラス、並びに、カルシウムやナトリュウム等のアルミン酸アルカリ金属塩からなる群より選ばれた一種又は二種以上を含むことが可能であり、さらに、遅延剤や促進剤などの凝結時間調整剤を含有することも可能である。また、硬化時間は混練後30秒から120分の間に調整されたものが使用できる。
【0016】
【実施例】
以下、実験例により本発明を詳細に説明する。
【0017】
実験例1
図1に示す連続混練装置を用い、竪型材料供給筒7の軸線近傍に粉末状水硬性材料を定量供給し、竪型ミキシング筒6の底部にタービン翼式攪拌翼を設け、排出管を140mm立ち上げ、急硬成分であるカルシウムアルミネート50重量部と石膏50重量部からなる粉末状水硬性材料100重量部に、混練水を粉末状水硬性材料100重量部に対し220重量部、凝結時間調整剤を粉末状水硬性材料100重量部に対し0.5重量部を加え連続混練を行った。
なお、あらかじめ混練水には凝結時間調整剤を溶かしておき、これを連続混練装置に定量供給した。攪拌翼の回転数は500rpmとした。また、竪型材料供給筒の径は165mm、竪型ミキシング筒の径は216mm、竪型ミキシング筒の高さ400mmとした。
連続混練開始直後と30分後に排出管14より混練物を採取し、混練物が均質に混練されているか確認するために、300μmの篩に混練物を通過させ、篩い上残分の有無を目視観察し残分があるものを×、無いものを○として判定した。
また、粉末状水硬性材料が定量供給されているかを判定するため、混練開始直後と30分経過後の混練物の密度を測定し、密度が0.2g/cm3以上低下したものを×、それ以外を○と判定した。
比較のため、図2と図3に示す従来の連続混練装置についても同様に試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
実験例2
図1に示す連続混練装置を使用し、排出管の立ち上げ高さを変えたこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
実験例3
図1に示す連続混練装置を使用し、攪拌翼の回転数を変えたこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表3に示す。
【0022】
【表3】
【0023】
実験例4
図1に示す連続混練装置を使用し、粉末状水硬性材料100重量部に対する混練水量を変えたこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表4に示す。
【0024】
【表4】
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の効果を奏する。
本発明の連続混練装置を用いることにより、粉末状水硬性材料と水とを連続的に混練することができる。
特に、粉末状水硬性材料100重量部に対し混練水量50重量部以上の範囲で均質な混練が可能となる。
また、細骨材や粗骨材を含まないミルク状物の混練に有効である。
これにより、従来使用されてきたバッチ式ミキサの煩雑性や混練ロスを低減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の連続混練装置の一例を示す側面図である。
【図2】従来の連続混練装置の側面図である。
【図3】従来の連続混練装置の側面図である。
【符号の説明】
1 動力源
2 動力伝達装置
3 回転シャフト
4 攪拌翼
5 水供給管
6 竪型ミキシング筒
7 竪型材料供給筒
8 材料ホッパー
9 粉末状水硬性材料
10 動力源
11 材料供給装置
12 材料供給口
13 混練物排出口
14 排出管
Claims (6)
- 材料供給装置11を竪型材料供給筒7に連接し、粉末状水硬性材料9を竪型材料供給筒7へ連続的かつ定量的に供給すると共に、該竪型材料供給筒7の下部に設置される竪型ミキシング筒6の側面に水供給管5を設け、水を連続的かつ定量的に供給し、竪型ミキシング筒6の底部に粉末状水硬性材料9と水とを混練する攪拌翼4を設け、連続で混練し、該竪型ミキシング筒6の側面下部の混練物排出口13に接続された排出管14を、その先端が前記混練物排出口13より高い位置になるように立ち上げ、竪型ミキシング筒6内の混練物を滞留させながら排出するようにしたことを特徴とする粉末状水硬性材料の連続混練装置。
- 排出管14の先端が、混練物排出口13より 100mm 以上高いことを特徴とする請求項1に記載の粉末状水硬性材料の連続混練装置。
- 攪拌翼4の回転数が、 200rpm 以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉末状水硬性材料の連続混練装置。
- 粉末状水硬性材料9が、急硬性成分を含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粉末状水硬性材料の連続混練装置。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の粉末状水硬性材料の連続混練装置を用いた粉末状水硬性材料と水との連続混練方法。
- 粉末状水硬性材料 100 重量部に対して、混練水量が 50 重量部以上であることを特徴とする請求項5に記載の粉末状水硬性材料と水との連続混練方法。
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