JP5494127B2 - コンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法 - Google Patents
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Description
コア穴やあと施工アンカーは構造物のあらゆる場所で行われるため、下向き、横向き、上向き等のすべての方向で充填施工が行われている。
コア穴を開けるにはコンクリートドリルやコアドリルが用いられ、通常コンクリートドリルは乾式、コアドリルは湿式が用いられており、コア穴も乾燥、湿潤の両方の状態がある。さらに屋外の場合、天候によってもコア穴の状態が変化する。
また、コア穴内部にセメント系材料を充填するためには、ロングノズル、パイプ等を用いてコア穴奥より充填する必要がある。
コア穴充填材料としては、その成分が柔軟であるほど、例えばアンカー筋を容易に埋め込める一方、柔軟な充填材料を充填施工した際には、コア穴よりタレやすくなってしまっている。
コア穴よりコア穴充填材料のタレが生じてしまうと、コンクリート構造物との接着が不良となり、例えば、アンカー筋の抜け落ちが生じてしまう場合がある。
またタレたコア穴充填材料は、構造物周辺に付着し、清掃の必要がある。
また無機系カプセル材料である、セメントと水がガラス管の中に分離、収納されているタイプは、上向き施工のたれ防止のため、水に水ガラスを添加し、粘度をあげてタレにくくしている。
このような調製方法では、水とセメント等の粉体を計量する必要があるため、別途、混合容器を用意する必要があり、簡便な方法ではなかった。
また施工方法においても、コア穴内に材料を挿入した後、コア穴を何度かに棒等で突き入れていることから、内部に空洞ができて、十分に充填されていない場合が生じ、また、目地等の細かい箇所への少量の施工は手間がかかり煩雑であり、特に上向き施工が難しく、均質に施工をすることは難しかった。
かかる撹拌棒を備える構造を有する吐出機は、装置の構造が煩雑であり、また混合されるべき複数の成分、例えば第1成分と第2成分とが予め充填されていると重量が重くなるとともに搬送にも手間がかかり、従って高価なものとなってしまう。
さらに本発明の目的は、無機系充填材料用カートリッジを用いて、無機系充填材料の撹拌混合作業と充填作業を同一の容器で行い、撹拌混合作業中の粉塵の発生をほぼゼロに抑え、湿潤状態や乾燥状態のコア穴に、上向き、横向き、下向き等の任意の方向の充填を簡便に行うことのできる、コンクリート構造物のコア穴充填材料の施工方法を提供することである。
さらに好適には、上記本発明のコンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法は、カートリッジの該シリンダ内には、該無機系充填材料用混合物が該ピストン壁側に偏って充填され、該吐出口側の該シリンダの内面と、前記充填された、該無機系充填材料用混合物の端面との間には空洞が形成されているカートリッジを用いることを特徴とする。
より好適には、上記本発明のコンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法は、前記カートリッジの該ピストン壁は該シリンダの内面と密着する形状であることを特徴とする。
ここで、本発明において「コア穴」には、アンカーコア穴、強度測定のためのコンクリート構造物からのコア抜き穴等、コンクリート構造物に関連する孔、穴を全て含むものである。
従って、タレ防止のための特別な器具や仮止めシール等を必要とすることもない。
さらに、例えば、アンカー筋を差し込んだ後も、アンカー筋の自重による抜けがほとんどなく、アンカー筋が動かなくなるまでの仮押さえをほとんど必要としないか、簡易なものでよく、仮押さえの作業も低減することができる。
本発明のコンクリート構造物のコア穴充填材料の施工方法は、ロングノズルを用いてコア穴内部よりの充填が可能で、上、横、下等のすべての方向で施工でき、孔内部の乾燥、湿潤状態に左右されず充填施工することが可能で、ロングノズルの付いたコーキング容器等を用いることにより、より簡便に作業、施工をすることが可能となる。
また、施工現場で簡便に無機系充填材料を調製することができ、無機系充填材料を調製するための特別な道具を必要とせず、水を加えてカートリッジを振ることで容易に撹拌して簡単に無機系充填材料を調製することができるとともに、簡便に充填施工をそのまま手軽に実施することができる。
また、施工の間、無機系充填材料は、密閉したカートリッジの中で混合撹拌されて施工されるため、粉塵の発生がほとんど無く、通常の混合容器のように容器の汚れで施工現場を汚すこともない。
このように、本発明のコンクリート構造物のコア穴充填材料の施工方法は、特に無機系充填材料用カートリッジを用いて、その付属のノズルによる注入工法により、コテやヘラでは不得意としていた施工、特に上向き、斜め向き、横向き施工を簡便に実施することができる。
本発明のコンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法は、一端にノズルを有するシリンダと、該シリンダ内において、該ノズルの先端の吐出口に向かって移動可能なピストン壁と、該シリンダ内に、無機系充填材料用混合物である水硬性組成物及び増粘剤の混合粉体、又は、無機系充填材料用混合物である水硬性組成物及び増粘剤の混合粉体及び細骨材とが収容されているカートリッジに、前記該吐出口から液体を導入し、該カートリッジに振動を与え、該無機系充填材料用混合物と、該液体とを撹拌混合して該カートリッジ内で無機系充填材料を調製し、該調製された該無機系充填材料は増粘剤を0.08〜0.5質量%含み、水/混合粉体質量比が13〜18%であり、次いで、該ピストン壁を該吐出口側に移動させて該吐出口から無機系充填材料を、湿潤又は乾燥コア穴に充填する、充填施工方法である。
ここで、シリンダ内1に含まれる、水硬性組成物及び増粘剤の混合粉体、又は水硬性組成物及び増粘剤の混合粉体及び細骨材を、無機系充填材料用混合物3と称する。
当該カートリッジは、図1に示すように、シリンダ1、吐出口封止用アルミシート4、移動可能なピストン壁2及び、無機系充填材料用混合物3を備える。
シリンダ1の形状は円筒形等であり、ピストン壁2がシリンダ1の吐出口6に向かってシリンダ1の内壁に沿ってシリンダ1内を移動できる距離が長くなるような形状、すなわちピストン壁2が可能な限り吐出口6に近づけるような形状を採用する。
これにより、シリンダ内部で液体と混合されたコア穴に充填する無機系充填材料を無駄なく押出して使用することができる。
吐出口6を封止する手段としては、図1に示すように、吐出口6をアルミシート4のような封止シートを設けることによっても、吐出口6にキャップを備えることによっても、またアルミシート4を設けるとともにキャップで封止することによっても、いずれの手段を用いてもよい。
このように該吐出口6を封止することで、内部と外気とは遮断され、シリンダ1内部に収容されている無機系充填材料用混合物3が空気中に含まれる水分と接触することを回避でき、本発明の無機系充填材料の施工方法に適用する無機系充填材料用カートリッジの寿命を長くすることが可能となる。
これにより、シリンダ1の内壁に沿ってピストン壁2がスムースに移動することが可能となるとともに、ピストン壁2とシリンダ1との内壁との間がシールされる。
例えば、シリコーンシーラントのカートリッジに用いられるピストン壁2の多くが円錐台状の形状をしており、該ピストン壁2の一部の外周がシリンダ1の内壁の内周より小さいと、ピストン壁2とシリンダ1の内壁との間に隙間が形成され、ピストン壁2がシリンダ1の吐出口6の方向に移動する際に、無機系充填材料中に含まれる細骨材が該間隙に入って、ピストン壁2の移動を妨げるようになり、好ましくない。
水硬性組成物の粉体としては、水硬性粉体のみ、水硬性粉体及び非水硬性粉体を使用することができる。
水硬性粉体とは、水と接触して硬化する粉体を意味し、好ましくはポルトランドセメント、珪酸カルシウム、カルシウムアルミネート、カルシウムフルオロアルミネート、カルシウムサルフォアルミネート、カルシウムアルミノフェライト、リン酸カルシウム、半水又は無水石膏及び自硬性を有する生石灰の粉体からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体が含まれる。
前記水硬性粉体は、成形時の可使時間の点から平均粒径10〜50μm程度のものが好ましく、また、高強度を確保する点から、ブレーン比表面積が2500cm2/g以上のものであることが好ましい。
非水硬性粉体としては、水酸化カルシウム粉末、二水石膏粉末、炭酸カルシウム粉末、スラグ粉末、フライアッシュ粉末、珪石粉末、珪砂粉末、粘土粉末及びシリカフューム粉末からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体が好ましい。
セメント系材料に増粘剤を配合しないと、水量が多い場合、押し出し性は良好だが、コア穴に充填したときにモルタルが垂れしまう。水量を減らす急激に流動性が悪化し、押し出すことが出来ないからである。
増粘剤を上記範囲内で配合することにより、無機系充填材料の流動性を改善させ、ロングノズルで押し出すことが可能となる。増粘剤の添加量が上記範囲より少ないと、押し出しは可能だが、横向き、斜め向き、上向きのコア穴に注入した場合、タレが生じてしまう。増粘剤の量が上記範囲より多くなると、粘度が高くなり、タレは少なくなるが、押し出すときに大きな力が必要となり、場合によっては押し出せなくなる。
また上記水硬性組成物粉体と増粘剤粉体とは、予め混合してシリンダ1内に導入しても、シリンダ1内に水硬性組成物粉体と増粘剤粉体とを別々に導入してもいずれの方法であってもよい。
ここで、粒子径はJIS A 1102「骨材のふるい分け試験方法」に準じて測定した値である。
さらに、水硬性組成物の粉体には、公知の減水剤、反応促進剤の粉体を添加することができ、モルタルの練りあがり性状を施工に好ましい状態にさせることができる。
上記無機系充材料用混合物3は、該カートリッジの容器を立てた場合、上記ピストン壁2側に偏って充填され、空洞5が、吐出口6側に出現することが望ましい。
すなわち、該空洞5は、該吐出口6側のシリンダ1の内面と、前記充填された無機系充材料用混合物3の端面との間に設けられることが好ましい。
無機系充填材料用混合物3と反応する水等の液体Aの容量は、無機系充填材料用混合物3の成分や、得られる無機系充填材料の所望する粘性により変動するものであり、予め設定することができるものである。
これにより、シリンダ1内で得られる無機系充填材料用混合物の容量を可能な限り多くするとともに、導入した液体Aと無機系充填材料用混合物3とが振動によりスムースに撹拌混合することができる。
例えば、本発明の図1で示される無機系充填材料用カートリッジのノズルを取り除いて、吐出口6を封止していた、内部のアルミシート4を破断して、水等の液体Aを、該シリンダ1の該吐出口6よりシリンダ1内に設けられた空洞5に導入する。
予め設定された容量の液体Aを該空洞5内に導入したあと、例えばキャップ等の簡易な封止手段7によって、該吐出口6を仮密封する。
振動は、人力によってカートリッジを上下、左右等に振る方法や、機械を用いて振動を与える方法であってもよく、物理的に、シリンダ1内の無機系充填材料用混合物3と導入された液体Aとが均質に混合される方法であれば採用することができる。
従って、無機系充填材料用混合物3と液体Aとを撹拌混合して、注入式の無機系充填材料10を得るのに、特別な装置等を必要とせず、簡便に混合することが可能となる。
通常、乾燥したコンクリート孔に充填した場合、乾燥した孔壁に水分が吸収され、ドライアウトの状態となり、その部分で十分な硬化反応が行われず、強度不足となる可能性があるが、本発明に用いる無機系充填材料は、増粘剤を配合することにより、注入した材料内部に水分が閉じ込められ、ドライアウトを防ぐことが出来る。
また、従来は、湿潤した孔に注入すると、孔内の水分により水セメント比が増加し、強度低下が発生する。孔内の水分により、流動性が増加し、横向き、上向きの孔より流れ出てしまう可能性がある。本発明に用いる無機系充填材料は、増粘剤を適量配合することにより、セメント材料内に水分が浸入することを防ぎ、適当な強度を得ることができる。
従って、横向き、上向き、下向き、斜め向き等の任意の無機のコアなに無機系充填材料を充填しても、タレが生じることはなく、有効にコア穴に充填することが可能である。
シーリングガンまたはコーキングガンは、カートリッジを装着するカートリッジ用ガンとして使用することができる。
当該カートリッジは、キャップ等の封止手段7をはずした状態で、ノズル11の先端をカットし吐出口6に取り付け、カートリッジ用ガンに装着されて、施工に用いられる。かかる状態を模式的に示したのが図3である。
該胴体支持部材22は、先端支持部材21と連結されている側とは逆側で、ボディ23と連結されている。さらに、該ボディ23には把持部24が固定され、該ボディの支点29を中心に可動するレバー25を片手でも動作させ易いよう構成されている。レバー25の動きに連動する連動部26が設けられ、連動部26の移動により押圧軸27がカートリッジ方向に移動するよう構成されている。押圧軸27は、連動部26の動作によりカートリッジ方向のみに移動可能とされている。また、ピストン壁2は、その外気側、すなわち水硬性組成物10と接しているピストン壁2の面とは逆の面側で、ガン20の押圧軸27の押圧部28と接している。
レバー25と連動部26とは自動的に元の位置に戻るよう構成されているが、連動部26が戻る際には、押圧軸27は移動しないよう構成され、レバー25を把持部24側に引き寄せるたび毎に、押圧軸27がカードリッジ方向のみに移動し、無機系充填材料10を横向きに、コア穴の奥から吐出させる。
本発明の注入式無機系充填材料を以下の材料を用いて調製した。
使用原料
・セメント:商品名マイルドジェットセメント、住友大阪セメント株式会社製
・細骨材 :砂 日瓢工業 4号砂
・メチルセルロース:商品名:メトローズ SNB60T 信越化学株式会社製
・水 :水道水
なお、充填材料用混合物は、上記セメントと細骨材とを1:1の質量比で、且つメチルセルロース粉末を、得られるモルタル質量に対して、下記表1の混合量となるように配合したものである。
充填する無機系充填材料用混合物3及び空洞5(配合される水の容量とほぼ同容量)は、得られる無機系充填材料(モルタル)が、粘性約63Pa・sとなるように設計した。
該カートリッジの空洞5に、水Aを水/混合粉体(セメント+メチルセルロース)に対して表1の配合量となるように添加して、吐出口6を封止して、該カートリッジを上下することでよく撹拌して、無機系充填材料(モルタル)を調製した。
図3に示すように、コンクリート構造物30に、横向きの掘削コア穴31(Φ30×130mm)を、コンクリートドリルを用いて設けた。該掘削コア穴は乾燥していることを確認した。
該コア穴に、上記実施例1〜4、比較例1〜5、参考例1〜2の、調製された無機系充填材料が入っているカートリッジを備える各カートリッジガンを用いて、前記コア穴内の奥部にノズルを設置し(図3(a))、該ノズルから各注入充填材料を注入して、各充填材料をコア穴31の奥より充填した(図3(b))。具体的には、前記したように、該ガンのノズル11を横向きにして、レバー25を引き寄せることによりピストン壁2を移動させ、該ノズル11より上記コア穴31に前記コア穴31の奥より横向きに充填した。各充填材料充填時における各注入充填材料1のタレ状態を表1、図4及び図5に示す。
また、コンクリート構造物に設けたコア穴の内部が濡れている場合であっても、上記と同様の評価ができた。
2 ピストン壁
3 無機系充填材料用混合物
4 アルミシート
5 空洞
6 吐出口
7 封止手段
A 液体
10 無機系充填材料
11 ノズル
20 カートリッジ用ガン
21 先端支持部材
22 胴体支持部材
23 ボディ
24 把持部
25 レバー
26 連動部
27 押圧軸
28 押圧部
29 支点
30 コンクリート構造体
31 コア穴
Claims (6)
- 一端にノズルを有するシリンダと、該シリンダ内において、該ノズルの先端の吐出口に向かって移動可能なピストン壁と、該シリンダ内に、無機系充填材料用混合物である水硬性組成物及び増粘剤からなる混合粉体とが収容されているカートリッジに、前記該吐出口から液体を導入し、該カートリッジに振動を与え、該無機系充填材料用混合物と、該液体とを撹拌混合して該カートリッジ内で無機系充填材料を調製し、該調製された無機系充填材料は増粘剤を0.08〜0.5質量%含み、水/混合粉体質量比が13〜18%であり、次いで、コンクリート構造物に形成した湿潤又は乾燥コア穴に対し、ノズル先端の吐出口をコア穴奥部に挿入して、該ピストン壁を該吐出口側に移動させて該吐出口から該無機系充填材料を、該コア穴に充填することを特徴とする、コンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法。
- 請求項1記載のコンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法において、該シリンダ内の、該無機系充填材料用混合物中に、更に細骨材が収容されていることを特徴とする、コンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法。
- 請求項1又は2記載のコンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法において、カートリッジの該シリンダ内には、該無機系充填材料用混合物が該ピストン壁側に偏って充填され、該吐出口側の該シリンダの内面と、前記充填された、該混無機系充填材料用混合物端面との間には空洞が形成されているカートリッジを用いることを特徴とする、コンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法。
- 請求項3記載のコンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法において、前記カートリッジの該空洞の容積が、前記充填された該無機系充填材料用混合物を、該吐出口を経て導入すべき容量より大きいことを特徴とする、コンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法。
- 請求項1〜4いずれかの項記載のコンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法は、前記カートリッジの該ピストン壁は該シリンダの内面と密着する形状であることを特徴とする、コンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法。
- 請求項1〜5いずれかの項記載のコンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法は、コア穴奥部に挿入された該吐出口から無機系充填材料を押出す際には、該カートリッジをシーリングガンに装着して行うことを特徴とする、コンクリート構造物のコア穴充填材料の充填施工方法。
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