JP5254901B2 - 液晶ポリマーフィルムと積層体及びそれらの製造方法並びに多層実装回路基板 - Google Patents
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Description
称する)からなるフィルム、該フィルムと被着体との積層体、それらの製造方法及び多層
実装回路基板に関する。
シブルプリント配線板)の需要が増大しつつある。このFPCの一般的な製法は、基材フ
ィルムの少なくとも一方の面に銅箔等の金属箔を積層した後、電気回路を形成する。基材
フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が多用されている。しかし、
このフィルムは耐熱性が悪いので、FPCへの部品実装時に、該FPCをハンダ浴に浸漬
するような場合に、ふくれ、はがれ、変形などの問題が発生し易い。そこで、耐熱性に優
れた液晶ポリマーからなるフィルムが、基材フィルムとして注目されている。
、その成型温度を高くする必要があって、多大のエネルギーを必要とし、しかも成形時に
液晶ポリマーが熱分解したりする。また液晶ポリマーの中には、比較的低い温度で成形で
きるものもあるが、これから得られたフィルムは耐熱性が低くなるので、耐熱基材として
の使用は困難である。そこで、成形温度の低い液晶ポリマーを用いてフィルムを成形した
後、該フィルムをそのポリマー融点Tm以下かつ200℃以上の温度で、真空下または減
圧下で熱処理することにより、フィルムの耐熱性を向上させる方法が提案されている(特
許文献1)。
。しかも、フィルムを形態保持するための手段が採用されておらず、融点付近でフィルム
の形態が崩れるので、外観良好なフィルムが得られ難い。つまり、前記フィルムを単独で
熱変形温度以上の温度で熱処理すると変形や歪が発生し、特に厚みが薄いときは変形が著
しいので、この変形などを防止するためには、前記フィルムをその熱変形温度以下の温度
領域で実施する必要がある。このような熱処理では、必要な耐熱性を得るためには長時間
が必要であり、生産性が低くなる。また、フィルムの融点Tm付近まで温度を上昇させて
熱処理を行うと、生産性は改善できるが、フィルムを変形させることなく形態保持しなが
ら最適な熱処理を行う方法は知られていない。更に、フィルムとしての商品価値や工業的
利用のためには、連続した形態で製造されなければならないが、その方法も知られていな
い。
度より約20℃低い温度で熱処理して、その強力を50%以上改良する方法が提案されて
いる(特許文献2)。
融点よりも50℃低い温度までの範囲で熱処理して、高強度、高ヤング率のフィラメント
を得る方法が提案されており、その融点は熱処理の進行に伴って上昇するので、熱処理の
進行に伴って熱処理温度を高くできることが記載されている(特許文献3)。しかしなが
ら、液晶ポリマーフィラメントの熱処理は、後述する本発明のようなフィルムの熱処理、
すなわち面状態という形態を維持して行う熱処理とは全く異なる。
せた状態で溶融熱処理した後、冷却し、固化したポリマー層を約150℃から熱変形温度
よりも30℃低い温度までの範囲で熱処理した後に、ポリマー層を支持体から分離する方
法が提案されている(特許文献4)。しかし、この方法では、液晶ポリマーフィルムを溶
融させて行われる前記熱処理は、液晶ポリマーフィルムの融点以上(後述する本発明の熱
処理温度とは異なる)上で実施され、さらに、冷却固化後の熱処理は、熱変形温度より3
0℃低い温度(後述する本発明の熱処理温度は熱変形温度より高い)で行われる。この方
法によっては、高度の耐熱性や強度は発現されない。
層体について研究を行ったところ、次のことを知った。つまり、前記フィルムは、その熱
変形温度Tdef以上の温度で、かつその融点Tmよりも低い温度領域で熱処理を行えば、
熱処理時間を短縮して、耐熱性を低コストで高められる。
と積層し、特定条件下で熱処理を行えば、フィルムに変形や歪みが発生しないことを見出
した。つまり、フィルムを被着体と積層一体化して特定条件下で熱処理することにより、
変形などを招くことなく、熱変形温度Tdef以上の温度で、かつ該フィルムの融点Tmよ
りα℃(α=10〜35℃)低い温度までの範囲で熱処理を開始して、フィルムの融点の
上昇に伴い熱処理温度を逐次上昇させられる。このため、熱処理時間を短縮できる。次い
で、被着体を除去することにより、フィルムが得られることを見出した。そこで、本発明
の目的は、液晶ポリマーフィルムが本来具有する高強力や高弾性率および耐薬品性などと
共に、優れた耐熱性と耐磨耗性を有するフィルム、その積層体、これを用いた多層実装回
路基板を低コストで提供することにある。
1回目
熱処理温度がフィルムの熱変形温度Tdef から、該フィルムの熱処理前の融点Tm よりα℃低い温度までの温度範囲(Tdef 〜(Tm −α℃))で、示差走査熱量計により窒素雰囲気中5℃/分の昇温速度で測定した時の処理中における前記フィルムの融解ピーク温度TA が、該フィルムの熱処理前の融点Tm よりβ℃高い温度TA1に到達するまで熱処理を行い、
α=10〜35℃、β=5〜30℃
2回目
熱処理温度が前記フィルムの熱処理前の融点Tm 以上で前記融解ピーク温度TA1未満の温度範囲で、更に前記融解ピーク温度TA1がγ℃増大する温度TA2に到達するまで熱処理を行う。γ=5〜20℃
さらに、熱処理をn回(n≧3)行っても良い。
次いで、被着体を除去して液晶ポリマーフィルムを製造する。
から(4)に分類される化合物およびその誘導体から導かれる公知のサーモトロピック液
晶ポリエステルおよびサーモトロピック液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。
ただし、高分子液晶を形成するためには、種々の原料化合物の組合せには適当な範囲があ
ることは言うまでもない。
例は表4参照)
位を有する共重合体(a)〜(e)を挙げることができる。
50〜350℃の範囲内に光学的異方性の溶融相への転移温度を有するものが好ましい。
また、フィルムとしての物性を損なわない範囲内で、滑剤、酸化防止剤、充填材等を配合
してもよい。
を組み合わせた方法等の公知の製造方法によって成形される。特にインフレーション法で
は、フィルムの機械軸方向(以下、MD方向と略す)だけでなく、これと直交する方向(
以下、TD方向と略す)にも応力が加えられて、MD方向とTD方向における機械的性質
および熱的性質のバランスのとれたフィルムが得られるので、より好適に用いることがで
きる。
おいては、5mm以下が好ましく、0.1〜3mmがより好ましい。FPC用途において
は、500μm以下が好ましく、10〜250μmが一層好ましい。
などの金属、ガラスなどの無機物質などの液晶ポリマーフィルムより高い融点を有するも
のが、フィルムの熱処理時に形態を保持し得る被着体として好適に用いられる。これらの
被着体として、特に金属は、熱伝導率の高い材質であるので、熱処理時に液晶ポリマーフ
ィルムの温度を所望の温度まで速やかに上昇させるのに有効であり、ひいては熱処理操作
の所要時間を短縮することが可能となるので好ましい。また、被着体の形状としては、フ
ィルム、シート、板などの少なくとも液晶ポリマーフィルムと積層する面が概して平面状
(微小な凹凸を有してもよい)であるものが、熱処理時における液晶ポリマーフィルムの
好ましからざる流動を防止できる点から望ましい。被着体としては、特に銅箔等の金属箔
が好適に用いられる。かかる被着体の厚みには特に制限はなく、使用用途によって選択で
きるが、例えば、プリント配線板であるFPC用途の場合、10〜1000μmであるこ
とが好ましい。またフィルムの被着体層を半導体の動作時における損失電力によって生ず
る熱を効率よく放熱する放熱板の絶縁体として用いる場合、放熱板の厚みは0.1〜5m
m程度が好ましい。更に、被着体を剥離してフィルムを得る目的においては、0.03〜
0.1mm程度が望ましい。
うのが適当である。圧着温度は、用いられる液晶ポリマーフィルムの種類により異なるが
、昇温条件下における液晶相への転移温度より80℃低い温度から、この液晶相への転移
温度より20℃高い温度の範囲内であることが好ましい。
施される。
が得られない。著しい逸脱によって、積層体から剥離したフィルムが変形するなどの好ま
しくない結果となる。とりわけ、フィルムと被着体を接着させて最初に行なう熱処理、す
なわち1回目においては、フィルムの変形が発生し易いので、熱変形温度Tdefからポリ
マーの融点Tmよりもα℃(α=10〜35℃)低い温度までの範囲で熱処理することが
必須である。αが10℃未満では、熱処理温度が熱処理前の融点Tmに近づくので、フィ
ルムが部分的に溶融するおそれが生じる。αが35℃を越えると、熱処理温度が低くなっ
て熱処理時間がかかり過ぎ、実用的でない。
融点Tm以上で1回目の熱処理で増加した融解ピーク温度TA1未満の温度範囲で熱処理することが、熱処理によるフィルムの融点の増加が早くおこるので望ましい。しかし、2回目の熱処理温度が、1回目で増加したTA1よりも高い場合は、液晶ポリマーの耐熱性が熱処理前のポリマーの融点Tmに戻ってしまい、1回目の熱処理の効果が完全に失われるので、TA1よりも高い熱処理温度は避けなければならない。これは、以後行なうn回目の熱処理の場合も、2回目の熱処理と同様である。
変色を防止するためには、不活性雰囲気下で実施することが望ましい。上記不活性雰囲気
とは、窒素、アルゴン等の不活性ガス中あるいは減圧下を意味し、酸素等の活性ガスが0
.1体積%以下であることを言う。特に不活性ガスとしては、純度99.9%以上の加熱
窒素気体が好適に使用される。
液晶ポリマーフィルムが本来具有する高強力や高弾性率および耐薬品性などと共に、優れ
た耐熱性と耐磨耗性を有するフィルムが得られる。特に、フィルムの耐熱性は、350℃
以上にまで高められる。よって、例えばFPC(フレキシブルプリント配線板)に部品を
実装する場合で、該FPCをハンダ浴に浸漬するようなときでも、ふくれ、はがれ、変形
などの問題は発生しない。つまり、フィルムの耐熱性を350℃以上とし、かつ金属箔な
どの被着体として350℃以上のものを用いることにより、変形などの問題を招くことな
く良好な実装が行える。
て用いられる。このとき、被着体によっては接着強度が十分高くかつ寸法安定性に優れた
積層体が得られ、多層実装回路基板などとして好適に用いられる。
察して測定した。つまり、フィルムを5℃/分の速度で昇温した時に現れる吸熱ピークの
熱処理前の位置をTmとし、熱処理中および熱処理後の位置をTAとする。
サーマルメカニカルアナリシス)を使用し、幅5mm、長さ20mmのフィルムに1gの
荷重をかけ、5℃/分の速度で昇温して、温度(℃)〜寸法変化率(%)曲線を作成した
。この曲線において、昇温に伴って寸法変化率が急激に増加する温度を求め、これを熱変
形温度とする。
た、熱処理はロール状(隙間を設けて触れ合うことを防止する)、カセ状(ガス透過性の
良好なスペーサー、例えば、熱処理時の伸縮を吸収可能なベクトラン不織布からなるスペ
ーサーと共に巻く)やトウ状(金網などに載せる)でバッチ式に行ってもよいし、あるい
はフィルム状、カセ状またはトウ状の状態で数多くのローラーを用いて連続的に移動させ
て行ってもよい。バッチ式で行う場合には、熱処理装置の温度を段階的に高くすることに
よって本発明の段階的な熱処理ができる。一方、連続的に熱処理する場合には、熱処理設
備内に複数の熱処理区画を設けて、熱処理区画を個々に別々の温度に制御し、上記積層体
を、熱処理温度が段階的に高くなった熱処理区画を順次通過させることによって、本発明
の段階的な熱処理ができる。
得られるが、その良好で安定した剥離を行うためには、用いる被着体に剥離処理を施すこ
とが望ましい。この剥離処理は、シリコン系ポリマーを塗布して乾燥させて塗膜を形成す
ることにより達成される。このとき塗膜は、熱処理前の接着力が0.05Kg/cm以上
で、熱処理後の接着力が0.4Kg/cm以下、特に0.2Kg/cm以下とすることが
好ましい。この接着力は、熱処理前の値が高いほど、フィルムの形態安定性がよく、値が
低い場合には、熱処理時に剥離,破損などの悪影響が生じる。また熱処理後の接着力は低
いほど、フィルムの剥離安定性がよく、値が高い場合には、わずかなキズなどで剥離時に
破断することがある。
ら10μmの凹凸表面を有する金属箔(スチール、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、金
等)からなり、その表面に離型剤として0.1から1μm厚のシリコン系ポリマーがコー
トされた被着体を用いる。このとき、凹凸の最大粗さが1.0μm未満の場合は、加熱処
理時にポリマーが流れ出す場合がある。また最大粗さが10μmを越えると、特に薄いフ
ィルムのときに、このフィルムが厚さ方向に破損し易く、被着体を剥離する工程でフィル
ムの破断を招くことがある。よって、前記凹凸の最大粗さは、以上の範囲とされる。そし
て、前記被着体にフィルムの少なくとも一方の面を接触させた状態で、例えば圧着により
積層する。前記複数回の熱処理を行ったのち、溶融軟化フィルムを冷却して、固化したフ
ィルム層を前記被着体から剥離して除去する。
でもよく、シリコン系ポリマーが充分に付着する形状ならば特に指定されない。また、前
記金属箔におけるフィルムとの接触面の形態としては、ロール面状の曲面状でもよいが、
溶融処理時におけるポリマーの流動を防止し易い点、支持体からフィルムを剥離し易い点
において、フィルム状やシート状または板状など実質的に平面状であることが好ましい。
ばよく、この種のポリマーは金属との結合力が非常に強固であり、樹脂との親和力が非常
に小さい性質を示す。このシリコン系ポリマーは、その厚みが0.1μm未満の場合は、
被着体とフィルムとの剥離が困難となる。一方厚みが1μmを越える場合は、両者の剥離
は容易となるが、ポリマーが無駄になるばかりか、ポリマーが液晶ポリマーフィルムに付
着して被着体から剥離することがあり、被着体を再利用できなくなる。よって、前記シリ
コン系ポリマーの層厚は、以上の範囲とされる。
にさらに0.1から1μm厚のシリコン系ポリマーをコートすることにより、フィルムと
支持体との熱処理前の接着力が0.05Kg/cm以上で、熱処理後の接着力が0.4K
g/cm以下となる。これにより熱処理時に、剥離,破損などの悪影響を生じることなく
、フィルムの安定した形態保持が行える。また熱処理後には、フィルムの破断を招くこと
なく、手などにより安定して容易に剥離できる。
性などと共に、優れた高耐熱性と耐磨耗性を有するフィルム、その積層体、およびこれを
用いた多層実装回路基板を低コストで得ることができる。
図2は多層積層回路基板1を示しており、該基板1は2枚の積層体2,2から形成され
る。この積層体2は、電気絶縁層である液晶ポリマーフィルム3の少なくとも一方の面に
、被着体である銅箔4を接着して形成される。上記各積層体2には、その銅箔4をエッチ
ング処理することにより、導電パターン41,41が対向状に形成されている。また、上
記各積層体2の間には、その各導電パターン41,41が接触するのを阻止するため、液
晶ポリマーフィルムからなるシート状物5を介装する。なお、シ−ト状物5にはガラス繊
維の織布等の補強材が含まれていてもよい。そして、上記積層体2のフィルム3に設けた
配線導体42にICチップ、コンデンサ、抵抗体などの電子部品6を搭載して、多層実装
回路基板7としている。なお、各導電パターン41が非対向の場合は、シート状物5は必
ずしも設ける必要はない。
以下、実施例を挙げて説明するが、この発明はこれら実施例により何ら限定されるもの
ではない。
酸単位73モル%からなるサーモトロピック液晶ポリエステルを単軸押出機を用いて28
0〜300℃で加熱混練し、直径40mm、スリット間隔0.6mmのインフレーション
ダイより押出し、厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムの融点Tmは280℃、
熱変形温度Tdefは230℃であった。
(2)また、被着体として厚さ18μmの銅箔(電解法による1/2オンス銅箔)を用
い、これを上記フィルムに260℃で加熱圧着して積層体とした。
(3)この積層体の熱処理による融点の変化を測定するため、窒素雰囲気中、260℃
で熱処理し、1時間単位でDSC(示差走査熱量計)によるフィルム層の融解ピーク温度
TAの測定を行った。その結果、未処理では278℃、1時間では285℃、2時間では
296℃、4時間では306℃と上昇する。4時間の熱処理を行った後のフィルムの熱変
形温度は275℃であった。このように、フィルムの熱処理時間を長くすれば、そのTA
が順次上昇する。これに準じて熱変形温度Tdefも上昇させ得ることが理解できる。
(4)次に、上記(2)で得られた積層体を、熱風温度260℃の窒素雰囲気の熱風乾
燥機中でフィルム面が上層、銅箔面が下層となるような位置関係で水平に固定し、フィル
ム表面温度を260℃に昇温させ、この温度で4時間熱処理し、その後285℃に昇温し
て6時間熱処理した。熱処理後の積層体は、200℃まで20℃/分の速度で降温し、熱
風乾燥機から取り出した。得られた積層体について、積層体の変色、接着強度、寸法安定
性を測定した。更に、この積層体から化学エッチング法により金属箔を除去して得られた
フィルムについて、ハンダ耐熱温度(耐熱性)、強度、耐摩耗性について試験を行った結
果を表6に示す。
で水平に固定し、フィルム表面温度を260℃に昇温させ、この温度で4時間熱処理し、
その後300℃に昇温して6時間熱処理を施した以外は、参考例1と同様にして積層体お
よびフィルムを得た。得られた積層体およびフィルムについて、上記参考例1と同様の試
験を行った結果を表6に示す。
で水平に固定し、フィルム表面温度を260℃に昇温させ、この温度で2時間熱処理し、
その後290℃に昇温して6時間熱処理を施した以外は、参考例1と同様にして積層体お
よびフィルムを得た。得られた積層体およびフィルムついて、上記参考例1と同様の試験
を行った結果を表6に示す。
て、厚さ50μmのアルミ箔(圧延、最大粗さ1μm)を用い、その粗面側にシリコン系
ポリマー(ケムリースアジア製41G)を厚さ0.1μmとなるように塗布して乾燥させ
た。これ以外は、参考例1と同様な条件で熱処理を施し、被着体を剥離してフィルムを得
た。被着体の表面の変色はなく、積層体状態での接着力は0.2kg/cmであり、フィ
ルムが破けることなく手で容易に剥離できた。得られた積層体およびフィルムについて、
上記参考例1と同様の試験を行った結果を表6に示す。
熱風乾燥機中で水平に固定して、フィルム表面温度を260℃に昇温させ、この温度で2
時間熱処理した。このときのフィルム層の融解ピーク温度TA1は、296℃であった。その後、2回目として285℃に昇温して3時間熱処理を施した。このときのフィルム層のTA2は、310℃であった。また、3回目として295℃に昇温して3時間熱処理を施すと、TA3は320℃となった。さらに、4回目として300℃に昇温して2時間熱処理を施すと、TA4は325℃となった。このとき、被着体の表面の変色はなく、積層体状態での接着力は1.2kg/cmであった。参考例1と同様にして化学エッチング法により金属箔を除去してフィルムを得た。得られた積層体およびフィルムについて、上記参考例1と同様の試験を行った結果を表6に示す。
として、厚さ50μmの圧延アルミ箔の表面粗さ1μmの面上にシリコン系ポリマー(ケ
ムリースアジア製41G)を厚さ0.4μmとなるように塗布して乾燥した被着体を用い
た以外は、すべて参考例4と同様な条件で熱処理を施し、被着体を剥離してフィルムを得
た。被着体の表面の変色はなく、積層体状態での接着力は0.15kg/cmであり、フ
ィルムが破けることなく容易に剥離できた。得られた積層体およびフィルムについて、上
記参考例1と同様の試験を行った結果を表6に示す。
にして化学エッチング法により金属箔を除去してフィルムを得た。積層体およびフィルム
について、上記参考例1と同様の試験を行った結果を表6に示す。
熱処理前の溶融温度280℃以下である270℃で4時間熱処理を施した。参考例1と同
様にして化学エッチング法により金属箔を除去してフィルムを得た。積層体およびフィル
ムについて、上記参考例1と同様の試験を行った結果を表6に示す。
である。表6に、全く変色していないものを○、変色の度合が激しいものを×の記号で示
している。
着体部を50mm/分の速度で剥離したときの強度を測定した。
上でフィルム面が当初の形状を保持する時間を調べる方法で測定した。すなわち、積層板
をまず260℃のハンダ浴上に5〜60秒間置き、フィルム表面のふくれ、変形などの形
態変化を目視で観察した。その後10℃刻みで温度を逐次上昇させたハンダで同様に5〜
30秒間の外観変化を観察し、ふくれ、変形が認められなかった最高温度を測定した。
乗せ、500gの荷重を負荷しながら、30mmの距離を往復して1時間連続走査し、摩
耗子に付着するフィルムの量により評価した。そして、フィルム量が多いときには×、全
くでないときには○、その中間を△として表した。
ては評価できないが、比較例2では銅箔の変色が発生する。しかも、各比較例では、ハン
ダ耐熱温度が350℃以下であるので、例えばFPCへの部品実装時に、該FPCをハン
ダ浴に浸漬する場合に、ふくれ、はがれ、変形などが発生することになる。また、各比較
例では、耐摩耗性が悪いのでFPCなどとして使用するときに、屈折部での摩擦疲労が発
生しやすい。
Claims (7)
- 光学的異方性の溶融相を形成し得るポリマー(以下、これを液晶ポリマーと称する)か
らなるフィルムを、該フィルムの熱処理時に形態を保持し得る被着体と積層して、少なく
とも次のような1回目と2回目の熱処理を行い、次いで、被着体を除去して液晶ポリマー
フィルムを得ることを特徴とする液晶ポリマーフィルムの製造方法。
1回目
フィルムの熱変形温度Tdefから、該フィルムの熱処理前の融点Tmよりα℃低い温度
までの温度範囲(Tdef〜(Tm−α℃))の熱処理温度で、示差走査熱量計により窒素
雰囲気中5℃/分の昇温速度で測定した時の処理中における前記フィルムの融解ピーク温
度TAが、該フィルムの熱処理前の融点Tmよりβ℃高い温度TA1に到達するまで熱処理
を行う。
α=10〜35℃、β=5〜30℃
2回目
熱処理温度が前記フィルムの熱処理前の融点Tm以上で前記融解ピーク温度TA1未満の
温度範囲で、更に前記融解ピーク温度TA 1 がγ℃増大する温度TA 2 に到達するまで熱処理を行う。
γ=5〜20℃ - 請求項1において、前記フィルムを被着体と積層するにあたり、最大粗さ(Rmax;JIS B0601)が1.0から10μmの凹凸表面を有する金属箔からなり、その表面に0.1から1μm厚のシリコン系ポリマーがコートされている被着体を用い、この被着体のコート面に前記フィルムの少なくとも一方の面を接触させた状態でフィルムを積層し、
さらに、前記熱処理後に被着体を除去するにあたり、溶融軟化フィルムを冷却して固化
したフィルム層を前記被着体から剥離する液晶ポリマーフィルムの製造方法。 - 請求項1または2に記載の方法により製造されるフィルム。
- 液晶ポリマーフィルムを、該フィルムの熱処理時に形態を保持し得る被着体と積層し、
請求項1に記載された少なくとも2回の熱処理を施すことを特徴とするフィルムと被着体からなる積層体を製造する方法。 - 請求項4記載の方法により得られた積層体。
- 請求項4記載の方法により製造される積層体であって、耐熱温度が350℃以上である
積層体。 - 請求項5または6に記載した積層体を二層以上重ね合せ、必要に応じて積層体間にシ−
ト状物を挟んで重ね合せ、これに電子部品を搭載してなる多層実装回路基板。
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