JP3878741B2 - ポリマーフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマー(以下、これを液晶ポリマーという)よりなるフィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
本発明により製造されるフィルムは、液晶ポリマーに由来する優れた耐熱性、耐薬品性、および電気的性質を有するのみならず、層内剥離性が改善制御され、加熱寸法変化率が小さく、耐屈曲性に優れ、また適度な熱膨張率を有することから、フレキシブルプリント配線板、多層薄膜配線板、絶縁テープ、包装用フィルム、振動減衰材料等の素材などとして有用である。
【0003】
【従来の技術】
液晶ポリマーは、耐熱性、耐薬品性、電気的性質(電気絶縁性、誘電的性質等)などに優れているため、各種技術分野において、有用なフィルム用材料として注目されている。
【0004】
液晶ポリマーは溶融押出成形時における配向性が高いために、液晶ポリマーから製造されたフィルムは機械的性質および熱的性質の異方性が高くなり易い傾向を有している。すなわち、液晶ポリマーをTダイから溶融押出成形すれば、機械軸方向(以下、MD方向という)にのみ剪断応力または応力が加えられるため、一軸配向フィルムが得られる。この一軸配向フィルムは、MD方向における引張弾性率および機械的強度が高いものの、MD方向に直交する方向(以下、TD方向という)におけるこれらの値が低く、MD方向に切れ目が発生し易いという欠点があることのみならず、加熱時の寸法変化率がMD方向とTD方向で異なるため、フィルムが反り返るという欠点を有する。
【0005】
この機械的性質および熱的性質の異方性を改良するために、液晶ポリマーの溶融押出成形にインフレーション法を適用することが提案されている(特公昭63−33450号公報、特公平6−39533号公報)。この方法によれば、フィルムのMD方向だけでなくTD方向にも応力が加えられるため、MD方向の切れ目が発生しにくい二軸配向フィルムが得られる。また、インフレーション法によれば、MD方向とTD方向との間における機械的性質および熱的性質のバランスのとれたフィルムを得ることも可能である。
【0006】
しかしながら、上記のごとき溶融押出法によって得られた、一軸配向または二軸配向した液晶ポリマーフィルムは、耐磨耗性が低く、フィルム面を摩擦すると表面からフィブリルが発生し易い傾向があり、また、層内剥離性が高いために、フィルムと他の材料からなる積層体において剥離が生じ易い傾向がある。また、これらの液晶ポリマーフィルムは、成形時に加えられた応力によって内部歪みを有しているため、加工等のために加熱工程を経ると、その前後での寸法変化および変形を生じ易い傾向がある。
【0007】
液晶ポリマーフィルムの耐磨耗性および耐層内剥離性を改良する方法として、フィルムを溶融させない程度の温度で、カレンダ処理する方法(特開平4−62144号公報)および同一条件下でフィルムをエンボス加工する方法(特開平4−166323号公報)が知られている。
【0008】
また、液晶ポリマーフィルムの耐磨耗性および耐層内剥離性を改良する他の方法として、フィルムの少なくとも一方の面を支持体と接触させた状態で、前記ポリマーを溶融するのに十分な温度で前記フィルムを加熱し、前記ポリマーが冷却固化した後に、前記ポリマー層を支持体から分離する処理方法(特開平8−90570号公報)が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の液晶ポリマーフィルムを溶融させない程度の温度で、カレンダ処理する方法およびエンボス加工する方法においては、耐磨耗性の改善がまだ不十分であり、耐層内剥離性の改善についても必ずしも十分でない場合がある。
【0010】
一方、上記のフィルムの少なくとも一方の面を支持体と接触させた状態で、前記ポリマーを溶融するのに十分な温度で前記フィルムを加熱し、前記ポリマーが冷却固化した後に、前記ポリマー層を支持体から分離する処理方法においては、離型層を表面に有さない支持体の場合には、前記フィルムの厚さ方向すべてに亘って前記ポリマーが溶融して基本的に支持体と強固に接着するため、前記ポリマー層を分離する際には支持体を化学的に溶解除去するなどの必要があることから生産性が低く、製造コストが高い。また、離型層を表面に有する支持体を用いた場合には、離型層を形成するシリコン樹脂やフッ素樹脂等の剥離剤がポリマーを溶融するのに十分な温度で分解してフィルムを汚染するため、フィルム本来の所望の特性が損なわれる場合がある。
【0011】
したがって、本発明の目的は、耐磨耗性、耐層内剥離性、および加熱寸法安定性に優れた液晶ポリマーフイルムを簡便に製造する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液晶ポリマーフィルムの製造方法は、液晶ポリマーから成形されるフィルムの一方の面から前記ポリマーを厚み方向に一部溶融するのに十分な温度で加熱した後に、前記フィルムの他方の面から前記ポリマーを厚み方向に一部溶融するのに十分な温度で加熱することからなる。
【0013】
本発明に使用される液晶ポリマーは特に限定されるものではないが、その具体例として、以下に例示する(1)から(4)に分類される化合物およびその誘導体から導かれる公知のサーモトロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロピック液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。但し、液晶ポリマーを得るためには、繰り返し単位の好適な組み合わせが必要とされることは言うまでもない。
【0014】
(1)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物(代表例は表1参照)
【0015】
【表1】
【0016】
(2)芳香族または脂肪族ジカルボン酸(代表例は表2参照)
【0017】
【表2】
【0018】
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表例は表3参照)
【0019】
【表3】
【0020】
(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参照)
【0021】
【表4】
【0022】
これらの原料化合物から得られる液晶ポリマーの代表例として表5に示す構造単位を有する共重合体(a)〜(e)を挙げることができる。
【0023】
【表5】
【0024】
また、本発明に使用される液晶ポリマーとしては、フィルムの所望の耐熱性および加工性を得る目的においては、約200〜約400℃の範囲内、とりわけ約250〜約350℃の範囲内に光学的に異方性の溶融相への転移温度を有するものが好ましい。
【0025】
本発明に使用されるフィルムは、液晶ポリマーを押出成形して得られる。任意の押出成形法がこの目的のために使用されるが、周知のTダイ法、インフレーション法等が工業的に有利である。特にインフレーション法では、フィルムのMD方向だけでなくTD方向にも応力が加えられるため、MD方向とTD方向との間における機械的性質および熱的性質のバランスのとれたフィルムを得ることができる。
【0026】
なかでも、分子配向度SORが1.3以下の液晶ポリマーフィルムは、MD方向とTD方向との間における機械的性質および熱的性質のバランスが良好であるので、より実用性が高い。
【0027】
ここに分子配向度SOR(Segment Orientation Ratio) とは、分子を構成するセグメントについての分子配向の度合いを与える指標をいい、従来のMOR(Molecular Orientation Ratio) とは異なり、物体の厚さに無関係な値である。この分子配向度SORは、以下のように算出される。
まず、周知のマイクロ波分子配向度測定機において、液晶ポリマーフィルムを、マイクロ波の進行方向にフィルム面が垂直になるように、マイクロ波共振導波管中に挿入し、該フィルムを透過したマイクロ波の電場強度(マイクロ波透過強度)が測定される。
そして、この測定値に基づいて、次式により、m値(屈折率と称する)が算出される。
m=(Z0 /△z)×(1−νmax /ν0 )
ただし、Z0 は装置定数、△zは物体の平均厚、νmax はマイクロ波の振動数を変化させたときの最大マイクロ波透過強度を与える振動数、ν0 は平均厚ゼロのとき(すなわち物体がないとき)の最大マイクロ波透過強度を与える振動数である。
つぎに、マイクロ波の振動方向に対する物体の回転角が0°のとき、つまり、マイクロ波の振動方向と、物体の分子が最もよく配向されている方向であって、最小マイクロ波透過強度を与える方向とが合致しているときのm値をm0 、回転角が90°のときのm値をm90として、分子配向度SORはm0 /m90により算出される。
【0028】
本発明の液晶ポリマーフィルムの適用分野によって、必要とされる分子配向度SORは当然異なるが、SOR≧1.5の場合は液晶ポリマー分子の配向の偏りが著しいためにフィルムが硬くなり、かつ配向方向に裂け易い。加熱時の反りがないなどの形態安定性が必要とされるプレキシブルプリント基板や多層薄膜配線板等の場合には、SOR≦1.3であることが望ましい。特に加熱時の反りをほとんど無くす必要がある場合には、SOR≦1.03であることが望ましい。
【0029】
また、本発明において使用されるフィルムは、任意の厚みであってもよく、そして、5mm以下の板状またはシート状のものをも包含する。なお、フィルムには、本発明の効果が失われない範囲内、つまりフィルムとしての物性を損なわない範囲内で滑剤、酸化防止剤などの添加剤が配合されていてもよい。
【0030】
本発明において使用される液晶ポリマーとしては、前述の通り、フィルムの所望の耐熱性および加工性を得る目的においては、約200〜約400℃の範囲の融点、とりわけ約250〜約350℃の範囲の融点を有するのが好ましい。しかしながら、融点が高くなるほど液晶ポリマーの製造が難しくなり、生産ロットによる品質バラツキが大きくなることはフィルムへの押出成形において好ましくない。また、後述する本発明における処理を考慮した場合、本発明においては比較的低い融点の液晶ポリマーから製膜したフィルムを使用するのが好ましい。したがって、より高い耐熱性や融点が必要な用途に対応する場合には、一旦得られた液晶ポリマーフィルムに特殊な加熱処理を施すことによって、所望の耐熱性や融点にまで高めて使用する。つまり、加熱処理によってフィルムの融点は増加するので、加熱処理温度を常に加熱処理中のフィルムの融点よりも20℃低い温度以下に保ち、フィルムの融点の上昇に伴って加熱処理温度を逐次増加させる方法で加熱処理する。このようなフィルムの加熱処理の一例を示すと、加熱処理前のフィルムの融点が283℃の場合に、260℃で1時間加熱処理したのち、265℃で1時間処理してフィルムの融点を300℃に高めたのち、さらに275℃で2時間の加熱処理をすれば、液晶ポリマーフィルムの融点は最終的に320℃になる。加熱処理時間を調整することで融点を所望の値に制御することもできる。処理温度が融点よりも5℃低い温度では、加熱処理中の形態保持が難しくなるので好ましくない。このような加熱処理は、後述する厚み方向に一部溶融するような熱処理に先立って実施したり、厚み方向に一部溶融するような熱処理の後に実施したり、あるいは前後に実施することもできるが、耐熱性や融点の制御のし易さや製造の効率性から、厚み方向に一部溶融するような熱処理の後に実施することが望ましい。
【0031】
本発明の方法においては、液晶ポリマーフィルムの一方の面から、前記ポリマーを厚み方向に一部溶融するのに十分な温度で加熱する。したがって、加熱した面と対向する反対面の厚み方向には一部未溶融の層領域が存在するため、加熱処理中もフィルムの形態を安定に保持することができると同時に、たとえ支持体を使用していてもフィルムと強固には接着していないので、両者を容易に分離することができる。このようにして得られたフィルムの厚み方向に一部溶融した層領域および表面は、耐磨耗性、耐層内剥離性、および加熱寸法安定性に優れる。
【0032】
また、一旦処理したフィルムを用いて、フィルムの厚み方向に一部未溶融の層領域が存在する面についても再度処理を行うことにより、フィルムの厚み方向すべてに亘って耐磨耗性、耐層内剥離性、および加熱寸法安定性に優れたフィルムを得ることができる。
【0033】
本発明において、液晶ポリマーフィルムの一方の面から、前記ポリマーを厚み方向に一部溶融するのに十分な温度で加熱するために用いる加熱処理装置としては、直接被処理フィルムと接触しない限りにおいて特に制限はなく、電子線照射装置、遠赤外線照射装置、熱風吹き付け装置等を挙げることができる。さらに、遠赤外線照射装置は、パネル型とパイプ型に大別できるが、なかでもパイプ型遠赤外線照射装置は、パネル型遠赤外線照射装置や熱風吹き付け装置の10倍以上のエネルギー密度の熱線を、加熱対象に容易に集束照射できるので、生産性とコストの点からより好適に用いることができる。また、必要に応じて、上記フィルムの処理面と対向する反対面側にも別の加熱処理装置を設け、被処理フィルム全体の温度を高めておくこともできるが、その際、被処理フィルムの上記反対面の温度が液晶ポリマーの融点より低くなるように制御しなければならない。また、被処理フィルムの上記反対面は別の加熱処理装置と接触していてもよく、接触する領域の形状は平面でも、曲面でもよい。平面で接触する加熱処理装置の例としては熱プレス等、一方、曲面で接触する加熱処理装置の例としては熱ロール等を挙げることができる。また、接触する表面材質の例としては、ステンレス、クロム、チタン、アルミ、銅、およびこれらの合金等の金属、テフロンやポリイミド等の耐熱性プラスチックを挙げることができ、その表面は所望により微小な凹凸を有していてもよく、さらにシリコン樹脂、ワックス等の剥離剤からなる離型層を有していてもよい。
【0034】
本発明においては、液晶ポリマーフィルムに金属層、例えば銅箔を重ね合わせ、銅箔側から、前記ポリマーを厚み方向に一部溶融するのに十分な温度で加熱することにより、液晶ポリマーフィルムと銅箔とを接着させてなる積層体を提供することができ、これは例えばプリント配線板に使用することができる。さらに、上記の通り、必要に応じて、フィルムの厚み方向に一部未溶融の層領域が存在する面についても再度処理を行ってもよい。
【0035】
加熱処理時間としては、処理温度、加熱手段の種類、液晶ポリマーの種類、フィルムの厚み、目的とする仕上がりフィルムの物性等の条件に応じて適宜選択することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明の第1実施形態に係る液晶ポリマーフィルムを製造する方法を示す。
処理装置20はフィルム巻出機1およびフィルム巻取機2を備える。未処理のフィルム3は、液晶ポリマーから形成されたものである。フィルム巻出機1は方向Aにフィルム3を供給し、フィルム巻取機2が方向Eに処理された後の処理済みフィルム4を巻き取る。
ニップロール5,6は未処理フィルム3および処理済みフィルム4をそれぞれプレスする。フリーロール7,8は、未処理フィルム3および処理済みフィルム4の送り方向を水平方向Bから回転方向C、回転方向Cから水平方向Dにそれぞれ変更する。
誘電加熱式ロール9は、未処理フィルム3の下面3bと接触してその全体の温度を高める加熱処理装置であるが、誘電加熱式ロール9の表面の温度は、液晶ポリマーの融点よりも低くなるように制御されているため、未処理フィルム3は厚み方向の一部が加熱されるだけであり、誘電加熱式ロール9の表面と未処理フィルム3の下面3bとが強固に接着されることはない。
誘電加熱式ロール9の上方にはパイプ型遠赤外線照射装置10が配置され、その上部は放物線反射鏡11に覆われている。パイプ型遠赤外線照射装置10から照射された遠赤外線は、放物線反射鏡11によって集光され、未処理フィルム3の上面3aを加熱し、ポリマーを厚み方向に一部溶融する。
【0037】
図2は、図1の液晶ポリマーフィルムの製造方法によって製造された液晶ポリマーフィルム4と銅箔21とを熱接着によって積層して銅箔21を回路配線としたプリント配線板に、抵抗、コイル、コンデンサおよびICなどの電子部品22を搭載した実装回路基板23を示す。液晶ポリマーフィルム4は耐熱性および電気絶縁性に優れ、その上、加熱処理によって層内剥離性および加熱による寸法変化・変形が改善されているため、回路基板の絶縁層に適している。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、得られたフィルムの評価は以下の方法により行った。また、評価結果を表6にまとめて示す。
(1)融点(Tm)
示差走査熱量計を用いて、供試フィルムの熱挙動を観察した。供試フィルムを20℃/分の速度で昇温して完全に溶融させた後、溶融物を50℃/分の速度で50℃まで急冷し、再び20℃/分の速度で昇温した時に現れる吸熱ピークの位置を、供試フィルムの融点として記録した。
(2)耐磨耗性
水平に置いた試験片の表面に、布で覆った底面が10mm×15mmの大きさの四角の磨耗子を乗せ、500gの荷重を負荷しながら、フィルム面上を30mmの距離を往復して連続走査した。この際、目視によりフィルム表面に毛羽立ちが認められるまでの往復回数を計測し、耐磨耗性の指標とした。
(3)耐層内剥離性
供試フィルムの両面にエポキシ系接着剤(アロンマイティAS−60、東亜合成化学工業株式会社製)を50μm の厚みで塗布し、さらに両面をそれぞれ表面粗度10μmの電解銅箔の粗面と接合し、組立体を190℃で10分間熱プレスし、熱硬化させることにより、剥離試験片を作製した。この幅10mmの剥離試験片をJIS C 6471に準じ、90°剥離試験に付した。この手法は、前記試験片の片面を両面接着テープで支持板に接着し、反対面の銅箔を速度50mm/分で支持板に対して垂直方向に引張り、剥離強度および層内剥離の有無を判定することからなる。
【0039】
〔参考例1〕
p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が283℃である液晶ポリマーを溶融押出し、インフレーション成形法により膜厚が50μm、分子配向度SORが1.05のフィルムを得た。この液晶ポリマーフィルムをAとする。得られた結果を表6に示す。
【0040】
〔参考例2〕
p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が330℃である液晶ポリマーを溶融押出し、インフレーション成形法により膜厚が50μm、分子配向度SORが1.03のフィルムを得た。この液晶ポリマーフィルムをBとする。得られた結果を表6に示す。
【0041】
〔参照例1〕
240℃に加熱した熱媒循環式熱盤の上に、厚さ3mmの鏡面仕上げをしたステンレス平板と参考例1で得られた20cm角の液晶ポリマーフィルムAを順次水平に積み重ねた。次に、長さ25cm、幅5mmの吹き出しノズルを具備する熱風吹き付け装置と、前記熱風吹き付け装置を上記液晶ポリマーフィルムAの上方20cmの高さで水平に移動する設備を準備した。加熱処理は、熱風温度を320℃に設定したノズルを、液晶ポリマーフィルムAの一端から対向する他端に向けて、30cm/分の速度で移動し、フィルムの厚み方向に一部溶融させることにより行った。処理済みフィルムは、ステンレス平板から容易に分離することができ、平坦性は良好であった。得られた結果を表6に示す。但し、耐磨耗性は処理済みのフィルム面で試験した。
【0042】
〔実施例1〕
参照例1で得られた液晶ポリマーフィルムを用いて、被処理面が参照例1で既に処理されている面と対向する反対面であること以外は、参照例1と同様に処理をして、両面が加熱処理された液晶ポリマーフィルムを得た。処理済みフィルムは、ステンレス平板から容易に分離することができ、平坦性は良好であった。得られた結果を表6に示す。但し、耐磨耗性は2回目に処理したフィルム面で試験した。
【0043】
〔実施例2〕
実施例1で得られた液晶ポリマーフィルムを260℃で1時間加熱処理後、加熱処理温度を265℃として1時間加熱処理してフィルムの融点を300℃とした。ついで、加熱処理温度を275℃で10時間加熱処理して、融点を350℃に高めた液晶ポリマーフィルムを得た。得られた結果を表6に示す。但し、耐摩耗性は2回目に処理したフィルム面で試験した。
【0044】
〔参照例2〕
参考例2で得られた液晶ポリマーフィルムBを幅20cmで巻き上げたロール、および図1に示す処理装置を準備した。ここで、ニップロール5,6および誘電加熱式ロール9の回転速度は、フィルムの移動速度と同期するように設定した。さらに、誘電加熱式ロール9は直径40cm、幅40cm、表面はステンレスであり、ロール温度は300℃に設定した。また、放物線反射鏡11を具備してなるパイプ型遠赤外線照射装置10は誘電加熱式ロール9の上方15cmの高さに配置した。加熱処理は、未処理フィルム3を50cm/分の速度で移動し、パイプ型遠赤外線照射装置10の発熱温度を制御することでフィルムの厚み方向に一部溶融させることにより行った。処理済みフィルム4は誘電加熱式ロール9の表面から容易に分離することができ、平坦性は良好であった。得られた結果を表6に示す。但し、耐磨耗性は処理済みのフィルム面で試験した。
【0045】
【表6】
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、上記実施例から明らかな通り、耐磨耗性、耐層内剥離性、および平坦性に優れた液晶ポリマーフイルムを得ることができる。さらに、本発明の諸性質に優れた液晶ポリマーフィルムを簡便に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る液晶ポリマーフィルムの製造方法を示す構成図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る実装回路基板を示す正面図である。
【符号の説明】
1…フィルム巻出機、2…フィルム巻取機、3…未処理フィルム、4…処理済みフィルム、5,6…ニップロール、7,8…フリーロール、9…誘電加熱式ロール、10…パイプ型遠赤外線照射装置、11…放物線反射鏡、20…処理装置、21…銅箔、22…電子部品、23…実装回路基板。
Claims (2)
- 光学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマーから成形されるフィルムの製造方法において、
前記フィルムの一方の面から前記ポリマーを厚み方向に一部溶融するのに十分な温度で加熱した後に、前記フィルムの他方の面から前記ポリマーを厚み方向に一部溶融するのに十分な温度で加熱することを特徴とするポリマーフィルムの製造方法。 - 請求項1において、
融点が300℃以下である前記ポリマーフィルムを加熱処理することにより、融点を300℃以上に高めることを特徴とするポリマーフィルムの製造方法。
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