JP6080124B2 - 積層基材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層基材の製造方法に関するものである。
従来、パワートランジスタやハイブリッドICなどの電子部品が知られている。これらの電子部品には、電子部品から発せられる駆動熱を放熱するために、高い熱伝導性を有する放熱部材が用いられている。このような放熱部材としては、IC等が実装される基材そのものや、別途設けられる放熱用の熱伝導性シートなど、種々の構成が知られている。近年、電子部品の高密度実装化が進んでおり、発生する発熱量が増大しているため、放熱部材の形成材料として、より高い熱伝導を有する材料が求められている。
このような技術背景において、放熱部材の材料として、従来用いられていたシリコーンゴムやエポキシ樹脂よりも高い熱伝導率を有する液晶ポリエステルを用いることが検討されている。例えば、特許文献1に記載の金属ベース回路基板では、樹脂成分として液晶ポリエステルを用いて絶縁層を形成することで、エポキシ樹脂を用いて絶縁層を形成する構成よりも熱伝導率が向上することが示されている。
国際公開第10/117023号
上記特許文献1においては、絶縁層を加熱することにより導電箔と絶縁層、及び金属基板と絶縁層とを接着(熱接着)し、金属ベース回路基板を製造している。しかし、特許文献1では、実施例において熱接着工程をバッチ処理しており、生産性向上のため改善の余地があった。
また、上記特許文献1で開示された液晶ポリエステル製の絶縁層を有する金属ベース回路基板は、熱伝導性について改善の余地があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、熱伝導性が良好な積層基材を高い生産性で製造可能とする積層基材の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一形態は、導電箔と液晶ポリエステルを含む塗膜とが積層した積層体を搬送しながら、不活性ガス雰囲気下で遠赤外線を照射し、前記液晶ポリエステルのガラス転移温度以上の温度条件で熱処理することを含む積層基材の製造方法を提供する。
本発明の一形態においては、前記熱処理を、前記液晶ポリエステルの液晶転移温度以上の温度条件で行うことが望ましい。
本発明の一形態においては、前記液晶ポリエステルと前記液晶ポリエステルを溶解させる有機溶媒とを含む液状組成物を、支持体の表面に塗布した後に前記有機溶媒を除去することにより、前記支持体の表面に前記塗膜を形成し、次いで、前記支持体の表面から前記導電箔の表面に前記塗膜を転写することにより、前記積層体を得ることが望ましい。
本発明の一形態においては、前記液晶ポリエステルと前記液晶ポリエステルを溶解させる有機溶媒とを含む液状組成物を、前記導電箔の表面に塗布した後に前記有機溶媒を除去することにより、前記積層体を得ることが望ましい。
本発明の一形態においては、前記塗膜は、無機充填材を更に含み、前記無機充填材の含有量は、前記液状組成物に含まれる前記液晶ポリエステル及び前記無機充填材の総和に対して10体積%以上70体積%以下であることが望ましい。
本発明の一形態においては、前記積層体が帯状を呈し、前記積層体を長手方向に搬送しながら、搬送経路の途中に設けられた熱処理領域を通過させ、前記熱処理領域において熱処理することが望ましい。
本発明の一形態においては、前記熱処理の後に、前記熱処理の後の積層体を、前記長手方向に巻き取ることが望ましい。
本発明の一形態においては、前記熱処理の後に、前記熱処理の後の積層体を、前記長手方向と交差する方向に裁断することが望ましい。
本発明の一形態においては、前記不活性ガスを流動させながら熱処理することが望ましい。
本発明の一形態においては、前記液晶ポリエステルが、下記式(1)で表される繰返し単位と、下記式(2)で表される繰返し単位と、下記式(3)で示される繰返し単位とを有する液晶ポリエステルであることが望ましい。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−X−Ar−Y−
(Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表す。Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar−Z−Ar
(Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
本発明の一形態においては、前記液晶ポリエステルが、自身を構成する全繰返し単位の合計量に対して、前記式(1)で表される繰返し単位を30モル%以上80モル%以下、前記式(2)で表される繰返し単位を10モル%以上35モル%以下、前記式(3)で示される繰返し単位を10モル%以上35モル%以下有することが望ましい。
本発明の一形態においては、前記式(3)で示される繰返し単位において、X及びYのいずれか一方または両方が、イミノ基であることが望ましい。
本発明の一形態によれば、熱伝導性が良好な積層基材を高い生産性で製造可能な製造方法を提供することができる。
第1実施形態の積層基材の製造方法を示す工程図である。 第2実施形態の積層基材の製造方法を実施する様子を示す説明図である。 第2実施形態の積層基材の製造方法を実施する様子を示す説明図である。 第3実施形態の積層基材の製造方法を示す工程図である。
[第1実施形態]
本実施形態の積層基材の製造方法は、導電箔と液晶ポリエステルを含む塗膜とが積層した積層体を搬送しながら、不活性ガス雰囲気下で遠赤外線を照射し、前記液晶ポリエステルのガラス転移温度以上の温度条件で熱処理することを含む。
なお、本明細書において「遠赤外線」とは、1μm以上1000μm以下の波長範囲の電磁波を指す。波長範囲として、好ましくは1μm以上200μm以下、より好ましくは2μm以上50μm以下、さらに好ましくは2μm以上20μm以下である。
(液晶ポリエステル)
本実施形態の積層基材の製造方法で用いる液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
液晶ポリエステルの典型的な例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合(重縮合)させてなるもの、複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合させてなるもの、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを重合させてなるものが挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシ基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシ基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリエステルは、下記式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を有することが好ましく、繰返し単位(1)と、下記式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)と、下記式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)と、を有することがより好ましい。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−X−Ar−Y−
(Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(−NH−)を表す。Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar−Z−Ar
(Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子が置換される前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子が置換される前記アルキル基において、炭素数は、1〜10であることが好ましい。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられる。
Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子が置換される前記アリール基において、炭素数は、6〜20であることが好ましい。具体例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられる。
前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される前記基毎に、それぞれ独立に2個以下であることが好ましく、1個であることがより好ましい。置換基が複数の場合、置換基はそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
前記一般式(4)に含まれるZがアルキリデン基である場合、炭素数は、1〜10であることが好ましい。具体例としては、メチレン基、エチリデン基、n−プロピリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基、n−ペンチリデン基、n−ヘキシリデン基、n−ヘプチリデン基、n−オクチリデン基、2−エチルヘキシリデン基、n−ノニリデン基、n−デシリデン基が挙げられる。
繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(1)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(p−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位)、及びArが2,6−ナフチレン基であるもの(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する繰返し単位)、Arがm−フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが2,6−ナフチレン基であるもの(2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位)、及びArがジフェニルエ−テル−4,4’−ジイル基であるもの(ジフェニルエ−テル−4,4’−ジカルボン酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p−アミノフェノール又はp−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位)、及びArが4,4’−ビフェニリレン基であるもの(4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジアミノビフェニルに由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(1)の含有量は、全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量をその各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30モル%以上80モル%以下、さらに好ましくは30モル%以上60モル%以下、よりさらに好ましくは30モル%以上40モル%以下である。
同様に、繰返し単位(2)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上35モル%以下、よりさらに好ましくは30モル%以上35モル%以下である。
同様に、繰返し単位(3)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上35モル%以下、よりさらに好ましくは30モル%以上35モル%以下である。
これらは、繰返し単位(1)の含有量が多いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶媒に対する溶解性が低くなり易い。
繰返し単位(2)の含有量と繰返し単位(3)の含有量との割合は、[繰返し単位(2)の含有量]/[繰返し単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1〜1/0.9、より好ましくは0.95/1〜1/0.95、さらに好ましくは0.98/1〜1/0.98である。
なお、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)を、それぞれ独立に、2種以上有してもよい。また、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)以外の繰返し単位を有してもよいが、その含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは0モル%以上10モル%以下、より好ましくは0モル%以上5モル%以下である。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(3)として、XとYとのいずれか一方または両方がイミノ基であるものを有すること、すなわち、所定の芳香族ヒドロキシアミンに由来する繰返し単位と、芳香族ジアミンに由来する繰返し単位と、のいずれか一方または両方を有すると、溶媒に対する溶解性が優れるために好ましく、繰返し単位(3)として、XとYとのいずれか一方または両方がイミノ基であるもののみを有することが、より好ましい。
液晶ポリエステルは、それを構成する繰返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(プレポリマー)を固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や強度・剛性が高い高分子量の液晶ポリエステルを操作性良く製造することができる。溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよい。この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、好ましくは250℃以上、より好ましくは250℃以上350℃以下、さらに好ましくは260℃以上330℃以下である。流動開始温度が高いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり高いと、溶媒に対する溶解性が低くなり易かったり、後述する液状組成物の粘度が高くなり易かったりするため、製造工程が煩雑になりやすい。
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kgf/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
(有機溶媒)
本実施形態の積層基材の製造方法に用いる液状組成物は、前述のような液晶ポリエステルと、有機溶媒とを含む。有機溶媒としては、用いる液晶ポリエステルが溶解可能なもの、具体的には50℃にて1質量%以上の濃度([液晶ポリエステル]/[液晶ポリエステル+有機溶媒])で溶解可能なものが、適宜選択して用いられる。
有機溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;p−クロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタフルオロフェノール等のハロゲン化フェノール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;トリエチルアミン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環芳香族化合物;アセトニトリル、スクシノニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒(アミド結合を有する有機溶媒)、テトラメチル尿素等の尿素化合物;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物;及びヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸等のリン化合物が挙げられる。また、これらの有機溶媒のうち、2種以上の有機溶媒を組み合わせて用いてもよい。
有機溶媒としては、腐食性が低く、取り扱い易いことから、非プロトン性化合物、特にハロゲン原子を有しない非プロトン性化合物を主成分とする溶媒が好ましい。この非プロトン性化合物としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒を用いることが好ましく、ハロゲン原子を有しないアミド系溶媒を用いることがより好ましい。また、有機溶媒全体に占める非プロトン性化合物の割合は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
また、有機溶媒としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、双極子モーメントが3〜5(単位:デバイ)である化合物を主成分とする溶媒が好ましく、上述の非プロトン性化合物であって、双極子モーメントが3〜5である化合物を用いることがより好ましい。また、有機溶媒全体に占める双極子モーメントが3〜5である化合物の割合は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
非プロトン性化合物であり、且つ双極子モーメントが3〜5である化合物としては、ジメチルスルホキシド(双極子モーメント:4.1デバイ)、N,N−ジメチルアセトアミド(3.7デバイ)、N,N−ジメチルホルムアミド(3.9デバイ)、N−メチルピロリドン(4.1デバイ)、テトラメチル尿素(3.9デバイ)、γ−ブチロラクトン(5.1デバイ)を例示することができる。
また、有機溶媒としては、除去し易いことから、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を主成分とするとする溶媒が好ましく、上述の非プロトン性化合物であって、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を用いることがより好ましい。また、有機溶媒全体に占める1気圧における沸点が220℃以下である化合物の割合は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
非プロトン性化合物であり、且つ1気圧における沸点が220℃以下である化合物としては、N,N−ジメチルアセトアミド(沸点:160℃)N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)を例示することができる。
(液状組成物)
液状組成物中の液晶ポリエステルの含有量は、液晶ポリエステル及び有機溶媒の合計量に対して、好ましくは5質量%以上60質量%以下、より好ましくは10質量%以上50質量%以下、さらに好ましくは15質量%以上45質量%以下である。液晶ポリエステルの含有量は、所望の粘度の液状組成物が得られるように適宜調整される。
また、液状組成物は、本発明の製造方法を損なわない範囲で充填材、添加剤、液晶ポリエステル以外の樹脂等の成分を1種以上含んでもよい。
充填材の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の無機充填材;及び硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリル樹脂等の有機充填材が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステルおよび充填材の総和に対して、好ましくは0体積%以上80体積%以下である。中でも、液状組成物には、液晶ポリエステル及び無機充填材の総和に対して、無機充填材が10体積%以上70体積%以下含まれることが好ましい。
添加剤の例としては、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤及び着色剤が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0質量部以上5質量部以下である。
液晶ポリエステル以外の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、液晶ポリエステル以外のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の液晶ポリエステル以外の熱可塑性樹脂;及びフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0質量部以上20質量部以下である。
液状組成物は、液晶ポリエステル、溶媒、及び必要に応じて用いられる他の成分を、一括で又は適当な順序で混合することにより調製することができる。他の成分として充填材を用いる場合は、液晶ポリエステルを溶媒に溶解させて、液状組成物を得た後、この液状組成物に充填材を分散させることにより調製することが好ましい。
(積層基材の製造方法)
図1は、本実施形態の積層基材の製造方法を示す工程図である。
(塗布)
まず、図1(a)に示すように、上述した液状組成物12Sを、導電箔10の上に塗布する。
導電箔10としては、銅、アルミニウム、ニッケル及びこれらの合金が好ましく、その厚みは、10μm〜140μmとすることが好ましい。140μmを超えると屈曲性が低下するだけでなく、厚みが増すため、本実施形態の製造方法で得られる積層基材を放熱部材として用いる電子部品の小型化や薄型化が難しくなる。
また、導電箔10は、金属などの導電材料を圧延して形成したもの、すなわち、複数のロールを回転させ、その間に導電材料を通すことにより薄膜状に加工したものを用いることが好ましい。圧延して形成された導電箔は、折り曲げに対してクラックが生じにくいため、得られる積層基材を折り曲げて利用する場合に好適である。導電箔10としては、例えば、圧延した銅箔が利用できる。
導電箔10上へ液状組成物12Sを塗布する方法としては、例えば、ローラーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、カーテンコート法、スロットコート法、ダイコート法、コンマコート法及びスクリーン印刷法が挙げられる。図1(a)では、ダイ100から液状組成物Sを塗布することとして図示している。
(溶媒除去)
次に、図1(b)に示すように、導電箔10上に塗布した液状組成物12Sから溶媒Sを除去することで、導電箔10上に液晶ポリエステルを含む塗膜12Aが形成された積層体14Aを得る。
溶媒Sの除去は、溶媒Sの蒸発により行うことが、操作が簡便で好ましい。その方法としては、例えば、加熱、減圧及び通風が挙げられ、これらを組み合わせてもよい。中でも、生産性や操作性の点から、加熱により行うことが好ましく、通風しながら加熱することにより行うことがより好ましい。溶媒Sの除去温度は、好ましくは120℃以上220℃以下、より好ましくは120℃以上200℃以下、さらに好ましくは140℃以上180℃以下である。また、溶媒Sの除去時間は、好ましくは0.2時間以上3時間以下である。
溶媒Sの除去温度が120℃よりも低いと、溶媒Sの除去時に液晶ポリエステルの流動性が低く、溶媒Sが揮発するときに生じる気泡が、塗膜12A内で空孔として残存しやすい。このような空孔の存在は、得られる積層基材が有する絶縁層の熱伝導性を大きく低下させてしまう。また、空孔が存在すると、得られる絶縁層の絶縁性が低下しやすい。
また、溶媒Sの除去温度が220℃よりも高いと、溶媒除去の操作中に原料として用いる液晶ポリエステルの高分子量化が進行しやすく、流動性が低下しやすいため、溶媒Sが揮発するときに生じる気泡が、塗膜12A内で空孔として残存しやすい。
なお、溶媒Sの除去温度は、用いる溶媒の沸点未満とすることが好ましい。溶媒Sの沸点以上となると、溶媒Sの揮発により塗膜の表面が荒れ、均一な塗膜12Aが得られにくいためである。
また、ここでの溶媒Sの除去は完全である必要はなく、次の熱処理で残存溶媒が除去されてもよい。しかし、熱処理において多量の溶媒Sが蒸発すると、塗膜12Aの表面が荒れるおそれがあるため、熱処理前に極力溶媒Sを除去しておくことが好ましい。
また、上述した液状組成物12Sの塗布から溶媒Sの除去までの操作は、連続式で行ってもよく、枚葉式で行ってもよい。
(熱処理)
次に、図1(c)に示すように、積層体14Aを搬送しながら、不活性ガス雰囲気下で遠赤外線FIRを照射し、上述の塗膜12Aに含まれる液晶ポリエステルのガラス転移温度以上の温度条件で熱処理する。
本発明において、「熱処理」は、処理対象である液晶ポリエステルの高分子量化及び結晶化度の向上を目的としている。
熱処理時間は、液晶ポリエステルの高分子量化と生産性とを考慮し、1分以上10分以下であることが好ましく、1分以上3分以下であることがより好ましい。熱処理時間が1分未満となると、高分子量化が不十分となりやすく、熱処理時間が10分を超えると生産性が低くなりやすい。
図1(c)では、矢印方向に積層体14Aを搬送しながら、遠赤外線FIRを照射することとしている。これにより、導電箔10上に、塗膜12Aに含まれる液晶ポリエステルが高分子量化した絶縁層12が形成され、目的とする積層基材1を製造することができる。
本実施形態の製造方法においては、上述のように熱処理することで、以下の効果を得ることができる。
まず、上述の積層体14Aを熱処理することにより、塗膜12Aを形成する液晶ポリエステルが高分子量化し、絶縁層12の機械的強度が向上する。これにより、高強度で破損しにくい積層基材1を得ることができる。
また、上述の温度範囲で熱処理することより、塗膜12Aを構成する液晶ポリエステルは、分子鎖の拘束が緩和され、エネルギー的に低い状態である結晶化が促進される。このようにして得られる絶縁層12においては、液晶ポリエステルが液晶相を示し、厚さ方向に配向したドメインを形成する。このようなドメインが形成された液晶ポリエステルは、ドメインが形成されていない(アモルファス状態の)液晶ポリエステルと比べて、厚さ方向の熱伝導性が高まり、放熱性能に優れる絶縁層12を得ることができる。
また、結晶化が促進された液晶ポリエステルは、ガスバリア性が向上するため、高湿の環境下でも絶縁層12が劣化しにくい、耐候性が高い積層基材1とすることができる。
液晶ポリエステルの高分子量化と結晶化とを促進するために、熱処理は、液晶ポリエステルの液晶転移温度以上の温度条件で行うことが好ましい。また、熱処理は液晶ポリエステルの融点未満で行うことが好ましい。例えば、熱処理は300℃以上400℃以下で行うことが好ましく、300℃以上380℃以下で行うことがより好ましい。
本明細書において「液晶転移温度」とは、偏光顕微鏡(ECLIPSE LV100POL、ニコン社製)に取り付けた加熱ステージ(顕微鏡用冷却加熱ステージ10002、リンカム社製)上に粉末状の樹脂を置き、直行ニコル下10℃/分で昇温したとき、樹脂が溶融して液晶相特有のシュリーレン模様を示す樹脂温度の実測値を指す。なお、静置下で完全溶融しない場合は、粉末状の樹脂を一対のスライドグラスで挟持し、上記加熱ステージに設けられたサンプル固定用のスプリングを用いて、樹脂を挟持したスライドグラスを固定することで樹脂にスプリング圧を加え、加圧下においてシュリーレン模様を示す樹脂温度の実測値を指す。
本明細書において液晶ポリエステルの「融点」は、樹脂10mgを用い、示差走査熱量測定装置(島津製作所社製、DSC−50)により、窒素雰囲気下、昇温温度10℃/分で測定し、融点ピーク温度として求められる値を指す。
さらに、熱処理を遠赤外線FIRの照射により行うため、積層体14Aを短時間のうちに所望の熱処理温度に加熱することができ、短い処理時間で熱処理を終えることができる。これは、遠赤外線FIRの照射による加熱の場合、積層体14Aが有する塗膜12Aの表面のみならず内部に遠赤外線FIRが達し、積層体14Aの内部からも熱処理が進行するためである。
例えば、積層体14Aに熱風をあてることにより加熱する方式(以下、「熱風式」と称することがある)を採用すると、塗膜12Aの表面から熱が伝播しないと塗膜12A内部の熱処理ができない。そのため、熱風式の加熱では、積層体14A全体を所望の熱処理温度に加熱するまでの昇温時間が長くなりやすい。昇温時間が長いと、所望の熱処理温度に達するまでの昇温中に塗膜12Aを形成する液晶ポリエステルが高分子量化し、分子鎖の動き易さが低下することから、熱風式の加熱では、所望の熱処理温度に達した後の結晶化を効率的に促進し難くなる。
これに対し、本実施形態の製造方法で採用する遠赤外線FIRを用いた熱処理では、短時間のうちに昇温を終えることができるため、昇温中の液晶ポリエステルの高分子量化を抑制することができ、所望の熱処理温度に達した後に結晶化を効率的に促進しやすい。その結果、短時間のうち効果的な熱処理を終えることができる。
また、熱風式の加熱で熱処理する場合、積層体14Aの表面から内部に熱が伝播していくため、塗膜12Aでは内部よりも表層が先に加熱される。そのため、塗膜12Aからの溶媒の蒸発は表層から生じやすく、その結果、塗膜12Aの内部の溶媒が多く残存しているときでも塗膜12Aの表層に被膜が形成されやすい。すると、塗膜12Aの内部から溶媒が蒸発する際、塗膜12Aの表面の被膜が蒸発する溶媒で膨らんでしまい、外観不良が発生し易くなる。
これに対し、本実施形態の製造方法で採用する遠赤外線FIRを用いた熱処理では、塗膜12Aの内部にも直接熱が伝わるため、塗膜12Aの厚み方向の温度差が小さくなり、溶媒の蒸発が塗膜12Aの内部よりも表層から生じやすいという偏りが低減する。そのため、塗膜12Aの内部の溶媒が多く残存しているときには塗膜12Aの表層に被膜が形成されにくく、上記不良が発生し難い。
また、本実施形態では、積層体14Aを搬送しながら連続的に熱処理するため、昇温と冷却とを繰り返す操作が必要な枚葉式の熱処理と比べて、格段に生産効率を高めることができる。
さらに、不活性ガス雰囲気下で熱処理することで、導電箔10や絶縁層12の酸化劣化を抑制することができる。不活性ガスとしては、窒素や希ガスを用いることができ、経済的であることから窒素が好ましい。熱処理時の不活性ガス中の酸素濃度は、5000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましく、500ppm以下であることがさらに好ましい。
この不活性ガスは、熱処理時に流動させ、系外へ排出させるとよい。熱処理すると、液晶ポリエステルの高分子量化に伴い、液晶ポリエステルの末端基から生じる水や酢酸などが放出される。不活性ガスが流動していると、これら放出される化合物を押し流し、系外に排出することができる。
こうして得られる絶縁層12の厚さは、厚さ方向の熱伝導性や柔軟性の点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下である。また、あまり薄いと脆くなるので、10μm以上であることが好ましい。
こうして得られる積層基材は、導電箔に所定の配線パターンを形成し、必要に応じて複数枚積層することにより、液晶ポリエステルを含む絶縁層を有するプリント配線板として好適に用いることができる。
以上のような方法によれば、熱伝導性が良好な積層基材を高い生産性で製造可能とする積層基材の製造方法を提供することができる。
[第2実施形態]
積層基材を製造するための導電箔としては、帯状のものを用いることとしてもよい。図2は、帯状の導電箔16を用いた積層基材2を製造する製造方法を実施する様子を示す説明図であり、導電箔16の上に連続的に液晶ポリエステルを含む塗膜12Bが形成された帯状の積層体14Bについて熱処理する工程について示す図である。
図に示す製造装置1000は、導電箔16の原反から積層体14Bを巻き出す巻出しロール101と、製造された積層基材2を巻き取る巻き取りロール102と、積層体14Bまたは積層基材2の搬送経路内に配置された搬送ロール103,104と、を有する。また、搬送経路内には、積層体14Bに遠赤外線FIRを照射して熱処理する熱処理設備(熱処理領域)105が設けられている。
積層体14Bは、例えば、帯状の導電箔16を長手方向に搬送しながら、第1実施形態で示した液状組成物を導電箔16の上に塗布し、更に塗布した液状組成物に含まれる溶媒を蒸発させることで形成することができる。形成される塗膜12Bは、導電箔16の上に連続的に形成されていてもよく、不連続となっている箇所があってもよい。塗膜12Bは、第1実施形態の塗膜12Aに対応するものである。また、積層体14Bは、第1実施形態の積層体14に対応するものである。
製造装置1000においては、積層体14Bを長手方向に搬送しながら、熱処理設備105において遠赤外線を照射し、塗膜12Bに含まれる液晶ポリエステルのガラス転移温度以上の温度で熱処理する。熱処理設備105においては、内部の設定温度を全ての位置で同じ温度としてもよく、例えば入口側よりも出口側の方を相対的に高い温度に設定するというように、内部で異なる設定温度の領域を設けることとしてもよい。これにより、導電箔16の上に連続的に絶縁層18が形成される。得られる絶縁層18は、第1実施形態の絶縁層12に対応するものである。
その後、必要に応じて不図示の冷却設備を通過させ、帯状の積層基材2が得られる。製造装置1000では、製造された積層基材2は、巻き取りロール102で巻き取ることとしている。
なお、本実施形態の製造方法では、製造した積層基材2を巻き取りロール102に巻き取ることとしたが、これに限らない。例えば、製造した積層基材が高い剛性を有することにより巻き取りロール102に巻き取ることが困難である場合など、必要に応じて、巻き取りロール102に巻き取る操作に代えて、長手方向と交差する方向(例えば、長手方向と直交する方向)に、予め設定した単位長さ毎に裁断することとしてもよい。
図3に示す製造装置1100では、図2に示す製造装置1000が有する巻き取りロール102の代わりに裁断設備106を有しており、その他は図2の製造装置1000と同様の構成を有している。製造装置1100では、熱処理設備105で熱処理された積層基材2を、裁断設備106で単位長さ毎に裁断する。これにより、単位長さ毎に裁断された積層基材3を製造することができる。
以上のような方法であっても、熱伝導性が良好な積層基材を、高い生産性で製造することができる。
[第3実施形態]
上記実施形態においては、熱処理前の積層体を、液状組成物12Sを導電箔10の上に塗布し、溶媒を除去することで作成したが、別途作成した塗膜を導電箔10の上に転写することで積層体を作成することとしてもよい。
なお、本明細書において、「転写」とは、製造目的物である積層基材には含まれない支持体の表面において予め形成された塗膜を、積層基材に含まれる導電箔の表面に移し替えることを指す。
図4は、本実施形態の積層基材の製造方法の一部を示す工程図である。
まず、図4(a)に示すように、上述した液状組成物12Sを、離型フィルム20(支持体)の上に塗布する。
離型フィルム20は、液状組成物12Sを塗布する面が、滑らかであるもの、典型的には平坦面であるものを用いる。このような離型フィルム20としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどのポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム及びポリメチルペンテンフィルムなどの樹脂フィルムを用いることができる。また、離型フィルム20は、これらの樹脂フィルムを単独で又は2種以上をラミネートして使用することができる。また、離型フィルム20として、紙又は樹脂フィルムの表面にシリコーン樹脂を塗布してなるものを使用してもよい。
離型フィルム20は、液状組成物12Sに含まれる溶媒により膨潤や溶解を生じない耐溶剤性を有し、後述する転写における加熱に耐えうる十分な耐熱性を有しているものを用いる。また、離型フィルム20は、ガス透過性が高いこと、具体的には、気化した溶媒を透過させる能力が高いことが好ましい。この観点では、離型フィルム20として、ポリエステルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム又はポリプロピレンフィルムを使用することが好ましい。また、離型フィルム20の厚さは、強度及びガス透過性の観点から、30μm以上150μm以下の範囲内とすることが好ましい。
離型フィルム20は、透明部を含んでいてもよい。例えば、離型フィルム20のうち塗膜12Aを支持する部分は、そのほぼ全体が透明であってもよい。このような構成の離型フィルム20を採用すると、この透明部を介した観察によって、形成される塗膜12Aに不具合があるか否かを確認することができる。
離型フィルム20への液状組成物12Sの塗布には、第1実施形態に記載した方法を採用することができる。液状組成物12Sの塗布は、連続式で行ってもよく、バッチ式(枚葉式)で行ってもよい。
次いで、図4(b)に示すように、離型フィルム20上に塗布した液状組成物12Sから溶媒Sを除去することで、離型フィルム20の表面に塗膜12Aが形成された転写シート25を得る。
上述した溶媒Sの除去は、第1実施形態に記載した方法を採用することができる。また、溶媒Sの除去は、例えば、溶媒の一部が塗膜中に残留するように行う。この場合、塗膜12Aの乾燥は、例えば、塗膜12Aにおける溶媒の量が、乾燥時の固形分と溶媒量との総和に対して1%以上25%以下となるように行ってもよい。
溶媒Sを含んでいる塗膜12Aは、高い柔軟性を有しており、転写シート25をロールに巻き取った場合でも脆性破壊を生じ難い。また、溶媒Sを含んだ塗膜12Aに溶媒を残留させた場合、溶媒Sを完全に除去した場合と比較して、後述する転写をより低い温度で行うことができる。
次いで、図4(c)に示すように、転写シート25と導電箔10とを、塗膜12Aが導電箔10と接触するように重ね合わせる。そして、この状態で、転写シート25及び導電箔10に熱及び圧力を加える。これにより、塗膜12Aを導電箔10に接着する。
塗膜12Aと導電箔10との接着において、加熱の温度範囲は50℃以上200℃以下が好ましく、120℃以上180℃以下がより好ましい。
また、加圧の圧力範囲は0.01MPa以上1MPa以下が好ましく、0.1MPa以上0.6MPa以下がより好ましい。
次いで、図4(d)に示すように、離型フィルム20を塗膜12Aから剥離することで、塗膜12Aを導電箔10の表面に転写し、積層体14Aを形成する。塗膜12Aの導電箔10に対する接着強度が、塗膜12Aの離型フィルム20に対する接着強度と比較してより高ければ、塗膜12Aを導電箔10上に残したまま、離型フィルム20のみを除去することができる。
以上のようにして、得られた積層体14Aに、上述の方法により遠赤外線を照射し、塗膜12Aに含まれる液晶ポリエステルのガラス転移温度以上の温度条件で熱処理することにより、目的とする積層基材を製造することができる。
このように、塗膜12Aを導電箔10に転写して積層体14Aを形成し積層基材を製造する製造方法は、以下の利点を有する。
まず、あらかじめ塗膜12Aを離型フィルム20の表面で形成することから、離型フィルム20の表面において塗膜12Aの品質を確認し、例えば、気泡が生じたような不良部分を除去して良好な品質を有する部分の塗膜12Aのみを用いることができる。そのため、積層基材の不良品の発生を抑制することができる。通常、樹脂フィルムで形成される離型フィルム20よりも導電箔10の方が高価であるため、樹脂フィルム上で塗膜12Aの良否を判定し、良好な品質の塗膜12Aのみを積層基材の製造に用いることで、離形フィルム20よりも相対的に高価な導電箔10の損失を低減することができる。
また、積層基材は、仕様用途によって導電箔の厚みが異なるが、導電箔10の厚みを適宜変更することで、必要量の積層基材を無駄なく製造することができる。
また、導電箔10は長期間保存すると酸化などにより劣化するため、積層基材として製造すると長期保存に適さなくなるが、離型フィルム20に塗膜12Aを形成した転写シート25の状態では、導電箔10の酸化による品質劣化の問題がなく長期保存が可能である。そのため、あらかじめ転写シート25を製造し保管しておくことで、積層基材の製造工程の一部を実施しておくことができる。このようにすると、導電箔10への塗膜12Aの転写以降の工程を実施することで、短期間のうちに積層基材が製造可能となり、積層基材の製造量の増減への対応が容易となる。
なお、図4においては、塗膜12Aの転写を枚葉式で行うこととして示しているが、連続式(ロールトゥロール方式)で行ってもよい。
なお、上述した例は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例においては、積層基材の物性評価に代えて、積層基材を製造した後に、積層基材が有する絶縁層を単離し、得られる液晶ポリエステルフィルムの物性を評価した。
また、本実施例においては、以下の方法で測定を行った。
(液晶ポリエステルの流動開始温度の測定)
液晶ポリエステルの流動開始温度は、フローテスタ(島津製作所社製、CFT−500型)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kgf/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を測定することにより求めた。
(液晶ポリエステルの液晶転移温度)
液晶ポリエステルの液晶転移温度は、偏光顕微鏡(ECLIPSE LV100POL、ニコン社製)に取り付けた加熱ステージ(顕微鏡用冷却加熱ステージ10002、リンカム社製)上に粉末状の樹脂を置き、直行ニコル下10℃/分で昇温したとき、樹脂が溶融して液晶層特有のシュリーレン模様を示す樹脂温度を実測することにより求めた。なお、静置下で完全溶融しない場合は、粉末状の樹脂を一対のスライドグラスで挟持し、加熱ステージに設けられたサンプル固定用のスプリングを用いて、樹脂を挟持したスライドグラスを固定することで、樹脂にスプリング圧を加え、加圧下において同様にシュリーレン模様を示す樹脂温度を実測することにより求めた。
(液晶ポリエステルのガラス転移温度)
液晶ポリエステルのガラス転移温度は、粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製、DMA Q800)を用いて測定した。
(液晶ポリエステルの融点)
液晶ポリエステルの融点は、樹脂10mgを用い、示差走査熱量測定装置(島津製作所社製、DSC−50)により、窒素雰囲気下、昇温温度10℃/分で測定し、融点ピーク温度として求められる値を採用した。
(液晶ポリエステル溶液(液状組成物)の粘度の測定)
液晶ポリエステル溶液の粘度は、B型粘度計(東機産業製、「TVL−20型」、ロータNo.21(回転数:5rpm))を用いて、23℃で測定した値を採用した。
(破断点引っ張り強さ及び弾性率の測定)
液晶ポリエステルフィルムの破断点引っ張り強さ及び弾性率は、フィルムをJIS K6251に基づき、平行部幅5mm、長さ20mmの引張試験3号ダンベルに切り出し、JIS K7161に準拠して、引張試験機(島津製作所社製、オートグラフAG−IS)を用い5mm/分の引張速度にて引張試験を行って求めた。
(液晶ポリエステルの製造)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、1976g(10.5モル)の2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸と、1474g(9.75モル)の4−ヒドロキシアセトアニリドと、1620g(9.75モル)のイソフタル酸と、2374g(23.25モル)の無水酢酸とを仕込んだ。反応器内の雰囲気を窒素ガスで十分に置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温させ、この温度で3時間に亘って還流させた。
その後、留出した副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、170分かけて300℃まで昇温させ、トルクの上昇が認められた時点を反応終了と見做して、内容物を取り出した。取り出した内容物を室温まで冷却し、粉砕機で粉砕することにより、比較的低分子量の液晶ポリエステルの粉末を得た。
得られた粉末の流動開始温度を島津製作所フローテスタCFT−500によって測定したところ、235℃であった。また、この液晶ポリエステル粉末を、窒素雰囲気において223℃で3時間に亘って加熱処理して、固相重合を生じさせた。固相重合後の液晶ポリエステルの流動開始温度は270℃であった。また、固相重合後の液晶ポリエステルのガラス転移温度は220℃であり、液晶転移温度は340℃であった。
(液晶ポリエステル溶液の調製)
上述した方法によって得られた2200gの液晶ポリエステルを、7800gのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に加え、100℃で2時間に亘って加熱して液晶ポリエステル溶液を得た。上述の方法で測定したところ、粘度は400cPであった。
(実施例1)
液晶ポリエステル溶液を厚さ35μmの電解銅箔(福田金属箔工業社製、CF−T8G−UN−35)上にフィルムアプリケーターを用いて乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗布し、熱風式乾燥炉で100℃、1時間かけて溶媒を乾燥して、銅箔と液晶ポリエステルを含む塗膜とが積層した積層体を得た。
その後、遠赤外線式の熱処理炉(株式会社ノリタケ・カンパニーリミテド社製、遠赤外線コンベア炉)を用い、該積層体を搬送しながら、窒素雰囲気下で、300℃で10分間熱処理することで、銅張積層板を製造した。その際、熱処理炉に付設された酸素濃度計にて、熱処理時の酸素濃度が1000ppm以下となっていることを確認した。
製造した銅張積層板を塩化第二鉄水溶液(ボーメ度40°、木田株式会社製)に浸漬することで、銅箔をエッチングした後、水洗して液晶ポリエステルフィルムを得た。
(実施例2)
350℃で10分間熱処理したこと以外は実施例1と同様にして液晶ポリエステルフィルムを得た。
(比較例1)
熱処理せずに銅箔をエッチング、水洗して液晶ポリエステルフィルムを得た。
(比較例2)
熱風式乾燥機(エスペック社製(IPHH−201M))を用い、窒素雰囲気下(酸素濃度1000ppm以下)で30℃から300℃まで30分間かけて昇温し、300℃で60分間熱処理したこと以外は実施例1と同様にして液晶ポリエステルフィルムを得た。
実施例1,2、比較例1,2について、結果を表1に示す。
Figure 0006080124
(*:フィルムが脆く、試験片が作成不可能であった。)
評価の結果、実施例1,2で得られた積層基材の絶縁層(液晶ポリエステルフィルム)は、比較例2よりも短時間の熱処理時間で得られたにもかかわらず、比較例2で得られた積層基材の絶縁層と同程度の最大点応力や弾性率を示した。また、実施例1,2で得られた積層基材の絶縁層は、比較例2よりも熱伝導率が高いことが確認できた。なお、絶縁層の熱処理を行っていない比較例1では、得られたフィルムが脆く、試験可能な試験片を作成できなかった。
(実施例3)
液晶ポリエステル溶液に酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、「AA−5」、平均粒径5μm)と窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製、「HP−40」、平均粒径20μm)とを添加して、分散液を調製した。分散液には、液晶ポリエステル及び酸化アルミニウムと窒化ホウ素とからなる無機充填材の総和に対して、無機充填材が50体積%となるように、無機充填材を添加した。
また、無機充填材には、酸化アルミニウム及び窒化ホウ素の総和に対して、窒化ホウ素が20体積%となるように添加した。
この分散液を遠心式攪拌脱泡機で5分間に亘って攪拌した後、厚さが100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に約100μmの厚さに塗布した。
次いで、形成された塗膜を100℃で20分間に亘って乾燥させた後、塗膜に電解銅箔を重ね合わせ、PETフィルム、塗膜及び電解銅箔の積層体を、150℃に設定した一対の熱ロール間に通過させることによって、積層体に熱及び圧力を加えた。これにより、液晶ポリエステルを含む塗膜と電解銅箔とを貼り合わせた。
次いで、PETフィルムを剥離して塗膜を電解銅箔に転写した積層体を形成した後、この積層体を遠赤外線式の熱処理炉(株式会社ノリタケ・カンパニーリミテド社製、遠赤外線コンベア炉)を用い、搬送しながら、窒素雰囲気下で、3分間熱処理することで、銅張積層板を製造した。
その際、熱処理炉内の経路のうち、熱処理炉の入口から出口側に向けて40%の領域を第1領域、続く40%の領域を第2領域、続く20%の領域を第3領域とし、第1領域を150℃、第2領域を150℃から400℃まで線形で昇温、第3領域を400℃として設定した。このように設定した熱処理炉内を3分間かけて通過するように、塗膜を電解銅箔に転写した積層体を一定速度で搬送し、熱処理した。
また、熱処理炉に付設された酸素濃度計にて、熱処理時の酸素濃度が1000ppm以下となっていることを確認した。
製造した銅張積層板を塩化第二鉄水溶液(ボーメ度40°、木田株式会社製)に浸漬することで、銅箔をエッチングした後、水洗して液晶ポリエステルフィルムを得た。
(比較例3)
実施例3で得られた積層体の熱処理を行なわずに銅箔をエッチング、水洗して液晶ポリエステルフィルムを得た。
(比較例4)
熱風式乾燥機(エスペック社製(IPHH−201M))を用い、窒素雰囲気下(酸素濃度1000ppm以下)で30℃から300℃まで30分間かけて昇温し、300℃で180分間熱処理したこと以外は実施例3と同様にして液晶ポリエステルフィルムを得た。
実施例3、比較例3,4について、結果を表2に示す。
Figure 0006080124
(*:フィルムが脆く、試験片が作成不可能であった。)
評価の結果、実施例3で得られた積層基材の絶縁層(液晶ポリエステルフィルム)は、比較例4よりも短時間の熱処理時間で得られたにもかかわらず、比較例4で得られた積層基材の絶縁層と同程度の最大点応力や弾性率を示した。また、実施例3で得られた積層基材の絶縁層は、比較例4よりも熱伝導率が高いことが確認できた。なお、絶縁層の熱処理を行っていない比較例3では、得られたフィルムが脆く、試験可能な試験片を作成できなかった。
これらの結果から、本発明の積層基材の製造方法では、短時間のうちに十分な熱処理が可能であることが確かめられ、生産性の向上を図ることができることが分かった。
1,2,3…積層基材、10,16…導電箔、12,18…絶縁層、12S…液状組成物、12A,12B…塗膜、14A,14B…積層体、100…ダイ、101…巻出しロール、102…巻き取りロール、103,104…搬送ロール、105…熱処理設備、106…裁断設備、1000,1100…製造装置、FIR…遠赤外線、S…溶媒

Claims (12)

  1. 導電箔と液晶ポリエステルを含む塗膜とが積層した積層体を搬送しながら、不活性ガス雰囲気下で遠赤外線を照射し、前記液晶ポリエステルのガラス転移温度以上の温度条件で熱処理することを含む積層基材の製造方法。
  2. 前記熱処理を、前記液晶ポリエステルの液晶転移温度以上の温度条件で行う請求項1に記載の積層基材の製造方法。
  3. 前記液晶ポリエステルと前記液晶ポリエステルを溶解させる有機溶媒とを含む液状組成物を、支持体の表面に塗布した後に前記有機溶媒を除去することにより、前記支持体の表面に前記塗膜を形成し、
    次いで、前記支持体の表面から前記導電箔の表面に前記塗膜を転写することにより、前記積層体を得る請求項1または2に記載の積層基材の製造方法。
  4. 前記液晶ポリエステルと前記液晶ポリエステルを溶解させる有機溶媒とを含む液状組成物を、前記導電箔の表面に塗布した後に前記有機溶媒を除去することにより、前記積層体を得る請求項1または2に記載の積層基材の製造方法。
  5. 前記塗膜は、無機充填材を更に含み、
    前記無機充填材の含有量は、前記液状組成物に含まれる前記液晶ポリエステル及び前記無機充填材の総和に対して10体積%以上70体積%以下である請求項3または4に記載の積層基材の製造方法。
  6. 前記積層体が帯状を呈し、
    前記積層体を長手方向に搬送しながら、搬送経路の途中に設けられた熱処理領域を通過させ、前記熱処理領域において熱処理する請求項1から5のいずれか1項に記載の積層基材の製造方法。
  7. 前記熱処理の後に、前記熱処理の後の積層体を、前記長手方向に巻き取る請求項6に記載の積層基材の製造方法。
  8. 前記熱処理の後に、前記熱処理の後の積層体を、前記長手方向と交差する方向に裁断する請求項6に記載の積層基材の製造方法。
  9. 前記不活性ガスを流動させながら熱処理する請求項1から8のいずれか1項に記載の積層基材の製造方法。
  10. 前記液晶ポリエステルが、下記式(1)で表される繰返し単位と、下記式(2)で表される繰返し単位と、下記式(3)で示される繰返し単位とを有する液晶ポリエステルである請求項1から9のいずれか1項に記載の積層基材の製造方法。
    (1)−O−Ar−CO−
    (2)−CO−Ar−CO−
    (3)−X−Ar−Y−
    (Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表す。Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
    (4)−Ar−Z−Ar
    (Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
  11. 前記液晶ポリエステルが、自身を構成する全繰返し単位の合計量に対して、前記式(1)で表される繰返し単位を30モル%以上80モル%以下、前記式(2)で表される繰返し単位を10モル%以上35モル%以下、前記式(3)で示される繰返し単位を10モル%以上35モル%以下有する請求項10に記載の積層基材の製造方法。
  12. 前記式(3)で示される繰返し単位において、X及びYのいずれか一方または両方が、イミノ基である請求項10または11に記載の積層基材の製造方法。
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