JP4121402B2 - 熱可塑性液晶ポリマーを用いた回路基板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマー(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーと略称することがある)からなるフィルム(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーフィルムと略称することがある)を絶縁層に用いた回路基板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、回路基板の基材としては、ガラス補強エポキシ(以下、エポキシ系と略す)基材が用いられてきたが、近年では、高集積回路化、高周波数伝送化、薄膜化などの要求に対応するため、ビスマレイミド−トリアジン系のガラス補強(以下、BT系と略す)基材が用いられている。なお、回路基板およびその製造方法としては、後述するように種々提案されている(例えば、特許文献1〜5)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−335391号公報
【特許文献2】
特開2000−252327号公報
【特許文献3】
特開2001−68847号公報
【特許文献4】
特開2001−111207号公報
【特許文献5】
特開平10−157010号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電気電子機器分野においては、SMT(表面実装技術)が普及し、多くの電気電子機器製品に使用されている。これにより電子回路基板の実装密度が飛躍的に向上し、従来では実現できなかったような軽薄短小化が達成されている。それに伴い、電子回路基板には、同一回路基板内にICチップ、抵抗器、コンデンサなどの多種類の実装品が実装されるようになってきている。
しかし、従来使用されている、エポキシ系の基材やBT系基材の絶縁材料は、半導体素子や抵抗素子などの実装品を実装するとき、基材を構成する樹脂と同じ熱膨張係数を有する実装品の場合には、位置ズレが少なく、熱寸法信頼性は良好であるが、基材を構成する樹脂とは異なる熱膨張係数を有する実装品の場合には熱寸法信頼性が悪化する。
【0005】
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであって、回路基板の同一表面上に寸法変化率が異なる領域が形成されており、実装時の熱寸法信頼性に優れた回路基板を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記課題は、光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマーからなるフィルムを絶縁層に用いた回路基板であって、同一回路基板内に実装品が設けられる複数の領域を有し、この実装品が設けられる少なくとも1つの領域の寸法変化率が、(1)回路基板の他の部分とは相違し、かつ(2)該領域に実装される実装品の寸法変化率との差が0.1%以下となるように、該領域を局所的に熱処理して調整されてなる回路基板を提供することによって解決される。
【0007】
本発明者らはこれまで、熱可塑性液晶ポリマーからなるフィルムおよび該フィルムを使用してなる回路基板について研究を重ねてきた。その結果、熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、熱処理を施すことによってその熱膨張係数を制御できることを見出している。かような性質に着目した結果、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを回路基板の絶縁層として用い、金属箔との積層体とした後、実装品が設けられる領域を局所的に熱処理して、その領域における熱可塑性液晶ポリマーフィルムの寸法変化率を所望の値に調整することによって、上記した要求に応える回路基板を容易に製造できることを見出し、さらに検討した結果、本発明を完成させた。
【0008】
なお、各種実装品を回路基板上に実装する際に、回路基板の実装部のみを加熱することは、例えば、特開平10−335391号公報、特開2000−252327号公報、特開2001−68847号公報、特開2001−111207号公報(特許文献1〜4)などに記載されている。これらの文献に記載された局所的な加熱処理は、実装工程の過程で実施されるものであり、実装品に対応して異なる熱膨張係数を有する領域が設けられた回路基板を、実装工程に先立って製造することを意図したものではない。さらに、上記した各文献には、回路基板自体の素材に関しては全く記載されていない。
【0009】
また、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを使用した回路基板に関して、特開平10−157010号公報(特許文献5)が知られている。同公報は、LSIチップを直接実装する際の熱膨張による位置ズレが小さく、表面実装部品の熱膨張係数に応じた金属張積層体を提供することを目的としたものであり、熱可塑性液晶ポリマーフィルムと金属箔とからなる積層体を、その表面への実装部品の装着前に熱処理することによって、該積層体を構成するフィルムの熱膨張係数を実装部品のそれと実質的に同じにすることからなる積層体の熱処理方法を開示する。しかし、この公報に記載された方法では、熱可塑性液晶ポリマーフィルムと金属箔とからなる積層体を加熱することが開示されているのみであり、回路基板全体にわたって熱可塑性液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数を実装部品のそれと実質的に同じにすることはできるが、回路基板の同一表面上で異なる熱膨張係数の領域を有するものとすることはできない。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーは特に限定されるものではないが、その具体例として、以下に例示する(1)から(4)に分類される化合物およびその誘導体から導かれる公知のサーモトロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロピック液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。
【0011】
(1)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物(代表例は表1参照)
【0012】
【表1】
【0013】
(2)芳香族または脂肪族ジカルボン酸(代表例は表2参照)
【0014】
【表2】
【0015】
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表例は表3参照)
【0016】
【表3】
【0017】
(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参照)
【0018】
【表4】
【0019】
これらの原料化合物から得られる熱可塑性液晶ポリマーの代表例として表5に示す構造単位を有する共重合体(a)〜(e)を挙げることができる。
【0020】
【表5】
【0021】
また、本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーとしては、耐熱性および加工性の点で、約200〜約400℃の範囲内、とりわけ約250〜約350℃の範囲内に融点を有するものが好ましい。
【0022】
本発明において絶縁層を構成する熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、熱可塑性液晶ポリマーを押出成形して得られる。任意の押出成形法がこの目的のために使用されるが、周知のTダイ製膜法、ラミネート体延伸法、インフレーション法等が工業的に有利である。特に、ラミネート体延伸法やインフレーション法では、フィルムの機械軸方向(以下、MD方向と略す)だけでなく、これと直交する方向(以下、TD方向と略す)にも応力が加えられるため、MD方向とTD方向との間における機械的性質および熱的性質のバランスのとれたフィルムを得ることができるので、より好適に用いることができる。
【0023】
熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、加熱時の反りがないなどの形態安定性が必要とされる場合には、分子配向度SORが1.3以下であることが望ましい。特に、SORが1.3以下の液晶ポリマーフィルムは、MD方向とTD方向との間における機械的性質および熱的性質のバランスが良好であって、フィルムが等方的性質を有している。このため、フィルムの向き(縦横方向)に拘束されることなく、回路の設計ができ、設計自由度が大きくなり、より実用性が高い。また、加熱時の反りを無くす必要がある精密な易放熱性回路基板に使用する場合には、0.9≦SOR≦1.03であることが望ましい。
【0024】
ここで、分子配向度SOR(Segment Orientation Ratio)とは、分子配向の度合いを与える指標をいい、従来のMOR(Molecular Orientation Ratio)とは異なり、物体の厚さを考慮した値である。上記の分子配向度SORの算出方法について、以下に説明する。
まず、周知のマイクロ波分子配向度測定機において、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを、マイクロ波の進行方向にフィルム面が垂直になるように、マイクロ波共振導波管中に挿入し、該フィルムを透過したマイクロ波の電場強度(マイクロ波透過強度)が測定される。そして、この測定値に基づいて、次式により、m値(屈折率と称する)が算出される。
m=(Zo/△z) × [1−νmax/νo]
ただし、 Zoは装置定数、△z は物体の平均厚、νmaxはマイクロ波の振動数を変化させたとき、最大のマイクロ波透過強度を与える振動数、νoは平均厚ゼロのとき(すなわち物体がないとき)の最大マイクロ波透過強度を与える振動数である。
次に、マイクロ波の振動方向に対する物体の回転角が0°のとき、つまり、マイクロ波の振動方向と、物体の分子が最もよく配向されている方向であって、最小マイクロ波透過強度を与える方向とが合致しているときのm値をm0、回転角が90°のときのm値をm90として、分子配向度SORはm0/ m90により算出される。
【0025】
本発明の熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、任意の厚みのものでよく、1mm以下の板状またはシート状のものをも包含するが、膜厚が10〜150μmの範囲内にあるものが好ましく、膜厚が15〜75μmの範囲内にあるものがより好ましい。フィルムの厚さが薄過ぎる場合には、フィルムの剛性や強度が小さくなることから、膜厚が10〜150μmの範囲のフィルムを積層させて任意の厚みとすることが適当である。
【0026】
本発明の回路基板は、上記した熱可塑性液晶ポリマーフィルムと、金属箔などの支持体とから構成される。また、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの表面に金属からなる層を形成することによって回路基板を構成することもできる。
金属箔は、通常、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの片面に積層される。また、金属からなる層は、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの全面を覆うものであってもよいし、回路パターンに対応した形状であってもよい。後者の場合、金属からなる層は、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの両面に設けられてもよい。
金属箔または金属層を構成する金属としては、電気的接続に使用されるような金属が好適であり、例えば、銅、金、銀、ニッケル、アルミニウムなどが挙げられる。
【0027】
金属箔として銅箔を使用する場合、圧延法、電気分解法などによって製造される何れのものを使用してもよい。表面が平滑な圧延銅箔を使用する場合、その製造工程における圧延工程において通称オイルピットと呼ばれる細かい凹凸( JIS B 0601に規定された中心線平均粗さRaとして、0.02〜0.3μm)が存在することが好ましい。
【0028】
金属箔には、通常銅箔に対して施される酸洗浄などの化学的処理を施したり、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤あるいはトリアゾール系の防錆剤、塩化第一錫水溶液に代表される還元剤などが本発明の効果を損なわない範囲内で塗布されていてもよい。金属箔の厚さは、10〜100μmの範囲内が好ましく、10〜35μmの範囲内がより好ましい。
【0029】
金属箔と熱可塑性液晶ポリマーフィルムとの積層は、例えば真空熱プレス装置や加熱ロール積層設備等を使用した熱圧着などの公知の方法によって実施することができる。
また、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの表面に金属層を形成する場合、蒸着、スパッタリング、めっきなどの公知の方法を利用することができる。金属からなる層が熱可塑性液晶ポリマーフィルムの全面を覆うものである場合には、上記した金属箔を熱可塑性液晶ポリマーフィルムに熱圧着する方法も採用できる。金属層の厚さとしては特に制限はないが、10〜100μmの範囲内が好ましく、10〜35μmの範囲内がより好ましい。
【0030】
本発明の回路基板には、スルーホールが形成されていてもよい。スルーホールの形成は、公知の方法に従って実施することができ、ドリルによる加工法や、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーなどのレーザーによる加工法などを採用することができる。スルーホール形成時の発熱で、孔内に付着した熱可塑性液晶ポリマーの切削クズ(スミヤ)は、汎用の市販薬剤を用いて、化学的に溶解除去することが好ましい。前記スルーホールにめっきを施す場合は、従来周知の方法を採用することができる。
【0031】
本発明の回路基板では、実装品が設けられる1つ以上の領域のうち、少なくとも1つの領域を局所的に熱処理して、この領域の寸法変化率を該領域に実装される実装品の寸法変化率との差が0.1%以下となるように調整する。これにより、実装品を実装する際に位置ズレが小さく、熱寸法信頼性が高められた回路基板が得られる。
【0032】
熱処理の温度としては、回路基板における熱可塑性液晶ポリマーフィルムの寸法変化率が実装部品の寸法変化率よりも大きい場合には、該フィルムの融点よりも140℃低い温度から該融点までの温度範囲を選択することができる。また、回路基板における熱可塑性液晶ポリマーフィルムの寸法変化率が実装部品の寸法変化率よりも小さい場合には、該フィルムの融点から融点よりも20℃高い温度までの温度範囲を選択することができる。熱可塑性液晶ポリマーフィルムの寸法変化率は熱処理時間によっても調整することができる。
また、熱処理の手段としては、例えば、赤外線照射装置、遠赤外線照射装置、電子線照射装置、熱風吹き付け装置などが使用される。
【0033】
前記実装品が設けられる領域(以下、実装領域と略称することがある)における熱膨張係数は、−20×10-6〜40×10-6cm/cm/℃の範囲に調整されていることが好ましい。また、前記実装品が設けられる1つ以上の領域における熱膨張係数は、該領域に実装される実装品の熱膨張係数との差が3×10-6cm/cm/℃以下となるように調整されていることがより好ましい。すなわち、実装品が実装される領域の熱膨張係数を、実装品の熱膨張係数P×10-6cm/cm/℃に対して、(P−3)×10-6cm/cm/℃〜(P+3)×10-6cm/cm/℃の範囲に調整することが好ましい。
【0034】
本発明の回路基板には実装領域が少なくとも1つ形成される。このような実装領域には、例えば、コンデンサと抵抗器のように寸法変化率が異なる複数種の実装品を実装することができる。その場合、実装される実装品の寸法変化率は似通った範囲にあることが好ましい。また、本発明の回路基板には2つまたはそれ以上の実装領域を形成することも可能である。その場合、各実装領域の寸法変化率は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、各実装領域の熱膨張係数は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0035】
本発明の回路基板は、複数の実装領域を形成し、各実装領域毎に1種類の実装品を実装するように構成することもできる。その場合、各実装領域の寸法変化率を、該実装領域に実装される実装品に合わせて調整することが可能である。例えば、第1の実装品が実装される領域を実装領域1、第1の実装品とは別種の第2の実装品が実装される領域を実装領域2、以下、第nの実装品が実装される領域を実装領域n(n≧3)とした場合に、各実装領域1、2およびnの各寸法変化率と、それぞれの実装領域に実装される実装品の寸法変化率との差が0.1%以下となるように調整されていることが好ましい。また、各実装領域1、2およびnの各熱膨張係数は、−20×10-6〜40×10-6cm/cm/℃の範囲に調整されていることが好ましく、それぞれの実装領域に実装される実装品の熱膨張係数との差が3×10-6cm/cm/℃以下となるように調整されていることがより好ましい。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態にかかる複数の実装品が実装された回路基板の構成図を示す。同図の実施形態では、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを絶縁層に用いた回路基板1に3つの実装領域2〜4が設けられ、このうち領域2にはICチップ5や半導体6が実装され、領域3にはコンデンサ7や抵抗8が実装され、領域4にはコネクタ9が接続されている。そして、回路基板1は、絶縁層からなる基材の上に、上記の実装品を互いに電気的に接続する配線パターン(図示せず)が形成されている。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、融点および熱膨張係数、並びに熱寸法信頼性は、以下の方法により測定した。
・ 融点および熱膨張係数
熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点は、示差走査熱量計を用いて、20℃/分の速度で昇温し完全に溶融させた後、50℃/分の速度で50℃まで急冷し、再び20℃/分の速度で昇温した時に現れる吸熱ピークの位置で測定した。
また、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数は、熱機械分析装置(TMA)を用い、幅5mm、長さ20mmのフィルムの両端に1gの引張荷重をかけ、5℃/分の速度で200℃まで昇温後、20℃/分の速度で冷却し、再び5℃/分の速度で昇温した時の30℃と150℃の間の長さの変化に基づいて算出した。
【0038】
(2)熱寸法信頼性
幅200mm、長さ200mmの積層体(回路基板)表面の格子状銅箔パターン(線幅:2mm、ピッチ:5mm)上に、シリコンウェハー(熱膨張係数:2×10−6cm/cm/℃)上に格子状のハンダボール(線幅:2mm、ピッチ:5mm)が設けられた素子を、ハンダボールが格子状の銅箔パターンと同じ位置になるように室温下に載せ、これを230℃の赤外線炉中で20秒間加熱した。この加熱を10回繰返した後の積層体の格子状銅箔パターンとシリコンウェハー上のハンダボールとの位置ズレ(銅箔パターンの線幅を基準とする)を、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によって測定した。
【0039】
参考例1
p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が280℃である熱可塑性液晶ポリマーを吐出量20kg/時で溶融押出し、横延伸倍率4.77倍、縦延伸倍率2.09倍の条件でインフレーション製膜した。平均膜厚が50μm、膜厚分布が±7%、分子配向度SORが1.05のフィルムを得た。このフィルムの融点は280℃、熱膨張係数は−6×10-6cm/cm/℃であった。
【0040】
実施例1
参考例1の熱可塑性液晶ポリマーフィルムの上下に厚さ18μmの電解銅箔(熱膨張係数が18×10-6cm/cm/℃、表面粗さRmaxが8μmで中心線平均粗さRaが1.2μm)を重ね合わせ、真空熱プレス装置を用いて、加熱盤を280℃に設定し30Kg/cm2の圧力で加熱圧着して、電解銅箔/熱可塑性液晶ポリマーフィルム/電解銅箔の構成の積層体を作製した。得られた積層体を幅200mm、長さ200mmの寸法に切断し、そのうちの半分の領域(幅100mm、長さ200mm;実装領域)を局所的に赤外線ヒーターにより積層体の表面温度が290℃となるように10分間加熱した。続いて、積層体全体の電解銅箔の片面に熱寸法信頼性評価用の回路パターン(線幅:2mm、ピッチ:5mmの格子状の回路パターン)を化学エッチング法により作製した。得られた回路基板の2つの領域における熱寸法信頼性を評価した結果、局所加熱した領域(実装領域)の位置ズレは0.01%、実装領域における樹脂層(絶縁層)の熱膨張係数は3×10-6cm/cm/℃、他の領域(非実装領域)の位置ズレは1%で同領域における樹脂層の熱膨張係数は−2×10-6cm/cm/℃であった。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、熱寸法信頼性が高められた回路基板を得ることができる。本発明の回路基板は、実装品と回路基板との間の熱寸法信頼性が必要とされる、高密度半導体実装用回路基板などとして有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる回路基板を示す構成図である。
【符号の説明】
2、3、4…領域、5、6、7、8、9…実装品(ICチップ、半導体、コンデンサ、抵抗、コネクタ)
Claims (6)
- 光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマーからなるフィルムを絶縁層に用いた回路基板であって、同一回路基板内に実装品が設けられる複数の領域を有し、この実装品が設けられる少なくとも1つの領域の寸法変化率が、(1)回路基板の他の部分とは相違し、かつ(2)該領域に実装される実装品の寸法変化率との差が0.1%以下となるように、該領域を局所的に熱処理して調整されてなる回路基板。
- 前記実装品が設けられる1つ以上の領域における熱膨張係数が、−20×10−6〜40×10−6cm/cm/℃の範囲に調整されている請求項1に記載の回路基板。
- 前記実装品が設けられる1つ以上の領域における熱膨張係数と、該領域に実装される実装品の熱膨張係数の差が、3×10−6cm/cm/℃以下に調整されている請求項1または2に記載の回路基板。
- 寸法変化率が異なる2種類以上の実装品が実装される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路基板。
- 第1の実装品が実装される領域を実装領域1、第1の実装品とは別種の第2の実装品が実装される領域を実装領域2、さらに、第nの実装品が実装される領域を実装領域n(n≧3)としたとき、各実装領域1、2およびn(存在する場合)の寸法変化率が、該領域に実装される実装品の寸法変化率との差が0.1%以下となるように調整されている、請求項4に記載の回路基板。
- 光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマーからなるフィルムを絶縁層に用いた回路基板の製造方法であって、同一回路基板内に実装品が設けられる複数の領域のうち、少なくとも1つの領域を局所的に熱処理して、この実装品が設けられる少なくとも1つの領域の寸法変化率を、(1) 回路基板の他の部分とは相違し、かつ (2)該領域に実装される実装品の寸法変化率との差が0.1%以下となるように調整する回路基板の製造方法。
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