JPH11214250A - デバイスとこれを実装した実装回路基板 - Google Patents

デバイスとこれを実装した実装回路基板

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JPH11214250A
JPH11214250A JP10015361A JP1536198A JPH11214250A JP H11214250 A JPH11214250 A JP H11214250A JP 10015361 A JP10015361 A JP 10015361A JP 1536198 A JP1536198 A JP 1536198A JP H11214250 A JPH11214250 A JP H11214250A
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film
liquid crystal
crystal polymer
polymer film
thermal expansion
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JP10015361A
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Atsuo Yoshikawa
淳夫 吉川
Minoru Onodera
稔 小野寺
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量、低吸湿性、高耐熱性、吸湿寸法安定
性、熱寸法安定性および電気的性質に優れた薄膜コンデ
ンサ1や薄膜抵抗6等に使用するデバイスとこれを用い
たプリント配線板9および実装回路基板10を低コスト
で提供する。 【解決手段】 光学的異方性の溶融相を形成し得るポリ
マーから成形されるフィルム2を電気絶縁性基板とし、
該基板上に導電体3,5,7を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的異方性の溶
融相を形成し得るポリマーから成形されるフィルム(以
下、液晶ポリマーフィルムということがある)を電気絶
縁性基板とするデバイスと、これをプリント配線板に搭
載した実装回路基板とに関する。さらに詳しくは、本発
明によるデバイスは、その電気絶縁性基板として用いる
上記液晶ポリマーフィルムに由来する優れた耐熱性、耐
薬品性、電気的性質を備え、しかも軽量で低吸湿性に優
れ、酸素を透過させない性質なども合わせて具有してお
り、薄膜コンデンサや薄膜抵抗などのデバイスとして有
用なものである。
【0002】
【従来の技術】近年、移動体通信を始め、携帯用電子機
器の小型・軽量化の要求が強くなり、高密度実装に対す
る期待が一段と強まっている。これに伴い、配線板の多
層化、配線ピッチの狭幅化、バイアホール(スルーホー
ル)の微細化、ICパッケージの小型多ピン化が進めら
れているが、コンデンサや抵抗などの受動素子について
も小型化と表面実装化が合わせて進められている。特
に、これらの受動部品を直接プリント配線板の表面ある
いは内部に形成すれば、高密度実装が可能となるだけで
なく、信頼性の向上にも寄与できる。
【0003】従来、受動素子の小型化と表面実装化は、
電気絶縁性基板であるセラミック基板に金属や電気絶縁
体のペーストを印刷法等により形成し、焼結することに
よって行われている。また最近では、電気絶縁性基板で
あるポリイミド等の有機樹脂基板上に、低温で成膜でき
る電子サイクロトロン共鳴気相成長法(以下、ECR−
CVD法と略す)を用いて誘電体膜を形成する技術等も
開発され、コンデンサや抵抗の小型化と表面実装化が行
われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電気絶縁性
基板としてセラミック基板を用いたデバイスは、重量が
重くコストも高いので、民生用電子機器として使用する
ことは困難である。このため、民生用電子機器に適用可
能とするためには、有機樹脂基板上に受動素子を直接形
成することが必要となる。
【0005】しかし、一般の有機樹脂基板材料は耐熱性
に劣ることから、セラミック基板のように、受動素子を
形成するのに焼結手段を採用することはできない。ま
た、比較的耐熱性を有する有機樹脂基板材料であるポリ
イミド等は、吸水率が数パーセントと大きいため、吸湿
により大きな寸法変化が起こるばかりでなく、吸湿され
た水分が高温加熱時に爆発的に気化して、電気的接続の
破壊原因になることもある。
【0006】また、上記デバイスは、セラミックや有機
樹脂等の電気的絶縁性基板上に導電体を設けた構成とし
ているので、これら基材と導電体の熱膨張係数がある範
囲を超えて異なると、熱衝撃を受けた際にその界面で剥
離して、電気的接続の破壊原因になることがある。した
がって、デバイスの信頼性を向上させるためには、基板
の熱膨張係数(線膨張率)をできる限り導電体の熱膨張
係数に近づける必要がある。
【0007】本発明者等は、上記デバイスの基板材料に
ついて研究を続けたところ、液晶ポリマーフィルムは、
優れた耐熱性、耐薬品性、電気的性質(電気絶縁性、誘
電的性質等)を備え、その上軽量かつ低吸湿性で酸素を
透過させない性質なども具有しているので、デバイスの
基板材料として最適であることを見出した。しかも、液
晶ポリマーフィルムは、熱処理することにより、その融
点や熱膨張係数を任意に調節できることも見出し、本発
明を完成するに至った。而して、本発明の目的は、軽
量、低吸湿性、高耐熱性、吸湿寸法安定性、熱寸法安定
性および電気的性質に優れた薄膜コンデンサや薄膜抵抗
等のデバイスとこれを用いたプリント配線板および実装
回路基板を、低コストで提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のデバイスは、液晶ポリマーフィルムを電気
絶縁性基板とし、該基板上に導電体を形成している。
【0009】デバイスの作製方法について、薄膜コンデ
ンサを例に説明する。まず、電気絶縁性基板となる上記
液晶ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に銅などの
導電体を下部電極パターンとして積層する。用いる導電
体の材質としては、電気的接続に使用されるような金属
が好適であり、銅のほか金、銀、ニッケル、アルミニウ
ムなどを挙げることができる。例えば銅を導電体のパタ
ーンとして積層するには、電子ビーム蒸着法で成膜する
方法や、銅箔を用いて液晶ポリマーフィルムと熱圧着し
た後にパターンを形成する方法を採用できる。銅箔は圧
延法、電気分解法などによって製造される何れのもので
も用いることができるが、表面粗さの大きい電気分解法
によって製造されるものが密着性の点で好ましい。ま
た、銅箔の厚さは、10〜100μmの範囲内が好まし
く、10〜35μmの範囲内がより好ましい。次に、S
iO2などの誘電体薄膜パターンを前述のECR−CV
D法により成膜する。反応ガスとしては、SiH4とO2
を用いることができる。その後、電子ビーム蒸着法等に
より、フィルムの他面にTi/Auなどの上部電極パタ
ーンを形成して、薄膜コンデンサとする。
【0010】上記液晶ポリマーフィルムは、光学的異方
性の溶融相を形成し得るポリマーを押出成形して得られ
る。その押出成形には、任意の方法が採用できるが、周
知のTダイ法、インフレーション法等を採用するのが工
業的に有利である。特にインフレーション法では、フィ
ルムの機械軸方向(以下、MD方向と略す)だけでな
く、これと直交する方向(以下、TD方向と略す)にも
応力が加わり、MD方向とTD方向との間における機械
的性質および熱的性質のバランスのとれたフィルムを得
ることができる。
【0011】また液晶ポリマーフィルムは、任意の厚み
とすることができ、例えば5mm以下の厚みの板状また
はシート状のものをも包含する。ただし、電気絶縁性基
板として液晶ポリマーフィルムからなるデバイスをプリ
ント配線板として使用する場合は、フィルムの膜厚は1
0〜150μmの範囲内にあることが好ましく、特に1
5〜75μmの範囲内にあることがより好ましい。フィ
ルムの厚さが薄過ぎる場合には、その剛性や強度が小さ
くなるため、得られるプリント配線板に電子部品を実装
する際に加圧により変形して、配線の位置精度が悪化し
て不良の原因となる。また、デバイスの電気絶縁性基板
として、上記フィルムと他の電気絶縁性材料、例えばガ
ラス布基材との複合体を用いることもできる。なお、フ
ィルムには、滑剤、酸化防止剤などの添加剤を後述する
本発明の効果が失われない範囲内で配合してもよい。
【0012】さらに、液晶ポリマーフィルムの熱膨張係
数は、該液晶ポリマーフィルム上に形成された導電体の
熱膨張係数と実質的に同一であることが好ましい。液晶
ポリマーフィルムは、熱処理することにより、該液晶ポ
リマーフィルム上に形成する導電体の熱膨張係数と実質
的に同一にすることができる。この結果、デバイスとし
たとき、ヒートサイクルによって界面剥離が発生したり
することなく、信頼性が高められる。
【0013】上記熱処理は、液晶ポリマーフィルム上に
導電体を形成する前または後に行ってもよい。また、該
フィルムは導電体を形成する段階で加熱されると、その
熱膨張係数が変化することがあるので、この点を事前に
考慮したプロセスを設計する必要がある。さらに、熱処
理の手段としては特に制限はなく、熱風循環炉、熱ロー
ル、セラミックヒーター、熱プレスなどを例示すること
ができる。
【0014】また、熱処理の温度としては、上記液晶ポ
リマーフィルムの熱膨張係数が、該フィルム上に設ける
導電体の熱膨張係数よりも大きい場合は、フィルムの融
点よりも140℃低い温度から、該融点までの温度範囲
を選択することが好ましい。この温度範囲では、フィル
ムの熱膨張係数を最大で18×10-6cm/cm/℃低
くできる。この熱膨張係数は処理時間によっても調整す
ることができる。
【0015】一方液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数
が、該フィルム上に設ける導電体の熱膨張係数よりも小
さい場合には、フィルムの融点よりも20℃高い温度ま
での温度範囲を選択することが好ましい。この温度範囲
では、フィルムの熱膨張係数を最大で30×10-6cm
/cm/℃大きくできる。この熱膨張係数は処理時間に
よっても調整することができる。
【0016】また、上記デバイスのヒートサイクルに対
する信頼性をより高めるためには、液晶ポリマーフィル
ム上に形成する導電体の熱膨張係数をP×10-6cm/
cm/℃としたときに、液晶ポリマーフィルムの熱膨張
係数が、(P−10)×10 -6cm/cm/℃から(P
+10)×10-6cm/cm/℃の範囲内になるように
調節することが好ましい。この範囲から外れると、導電
体と液晶ポリマーフィルムからなる基板との間の界面剥
離の発生が多くなる。ここで、銅、アルミニウムなどの
代表的な導電体のP値は11〜30である。
【0017】上記液晶ポリマーフィルムは、その分子配
向度SORを1.3以下とすることが好ましい。該液晶
ポリマーフィルムは、上記のMD方向とTD方向との間
における機械的および熱的性質のバランスが良好である
ので、より実用性が高い。
【0018】ここで、分子配向度SOR(Segment Orie
ntation Ratio)とは、分子配向の度合いを与える指標
をいい、従来のMOR(Molecular Orientation Rati
o)とは異なり、物体の厚さを考慮した値である。この
分子配向度SORは、以下のように算出される。
【0019】まず、周知のマイクロ波分子配向度測定機
において、液晶ポリマーフィルムを、マイクロ波の進行
方向にフィルム面が垂直になるように、マイクロ波共振
導波管中に挿入し、該フィルムを透過したマイクロ波の
電場強度(マイクロ波透過強度)が測定される、そし
て、この測定値に基づいて、次式により、m値(屈折率
と称する)が算出される。 m=(Z0/Δz)×[1−νMAX/ν0] ただし、Z0は装置定数、Δzは物体の平均厚、νMAX
マイクロ波の振動数を変化させたとき、最大のマイクロ
波透過強度を与える振動数、ν0は平均厚ゼロのとき
(すなわち物体がないとき)の最大マイクロ波透過強度
を与える振動数である。
【0020】次に、マイクロ波の振動方向に対する物体
の回転角が0°のとき、つまり、マイクロ波の振動方向
と、物体の分子が最もよく配向されている方向であっ
て、最小マイクロ波透過強度を与える方向とが合致して
いるときのm値をm0 、回転角が90°のときのm値を
90として、分子配向度SORがm0 /m90により算出
される。
【0021】本発明の液晶ポリマーフィルムの適用分野
によって、必要とされる分子配向度SORは当然異なる
が、SOR≧1.5の場合は液晶ポリマー分子の配向の
偏りが著しいためにフィルムが硬くなり、かつ配向方向
に裂け易い。加熱時の反りがないなどの形態安定性が必
要とされるプリント配線板や多層プリント配線板等の場
合には、SOR≦1.3であることが望ましい。特に加
熱時の反りをほとんど無くす必要がある用途分野の場合
には、SOR≦1.03であることが望ましい。
【0022】上記液晶ポリマーフィルムの原料は特に限
定するものではないが、その具体例として、以下に例示
する(1)〜(4)に分類される化合物およびその誘導
体から導かれる公知のサーモトロピック液晶ポリエステ
ルおよびサーモトロピック液晶ポリエステルアミドを挙
げることができる。但し、光学的に異方性の溶融相を形
成し得るポリマー(以下、液晶ポリマーということがあ
る)を得るためには、繰り返し単位の好適な組み合わせ
が必要とされることは言うまでもない。
【0023】(1)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化
合物(代表例は表1参照)
【表1】
【0024】(2)芳香族または脂肪族ジカルボン酸
(代表例は表2参照)
【表2】
【0025】(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表
例は表3参照)
【表3】
【0026】(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシ
アミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参
照)
【表4】
【0027】これらの原料化合物から得られる液晶ポリ
マーの代表例として表5に示す構造単位を有する共重合
体(a)〜(e)を挙げることができる。
【表5】
【0028】また、液晶ポリマーの融点としては、フィ
ルムに高い耐熱性と加工性を与える目的においては、約
200〜約400℃の範囲内、とりわけ約250〜約3
50℃の範囲内のものが良く、一方フィルム製造の観点
からは、比較的融点の低い液晶ポリマーフィルムの方が
好ましい。したがって、より高い耐熱性や融点が必要な
場合は、低い融点の液晶ポリマーを用いてフィルムを製
造し、該フィルムを加熱処理することによって、所望の
耐熱性や融点にまで高める。加熱処理の一例を説明すれ
ば、一旦得られたフィルムの融点が283℃の場合で
も、260℃で5時間加熱すれば、融点は320℃にな
る。
【0029】以上のようにして得られるデバイスは、例
えばプリント配線板の部分を構成する。また、該プリン
ト配線板には、電子部品が組付けられて実装回路基板と
される。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
にしたがって説明する。図1は本発明にかかるデバイス
の一例として薄膜コンデンサ1を示しており、該コンデ
ンサ1は、その電気絶縁性基板として液晶ポリマーフィ
ルム2を用い、その上に銅などの下部電極である導電体
3、SiO2などの誘電体4、銅などの上部電極である
導電体5を順次積層して構成している。
【0031】図2は、薄膜抵抗6を示しており、該薄膜
抵抗6は、上記液晶ポリマーフィルム2上に銅などの導
電体7と抵抗体8を積層して構成している。
【0032】図3は、多層プリント配線板9を用いた実
装回路基板10を示している。この基板10は、多層プ
リント配線板9の表面と内部に上記薄膜コンデンサ1と
薄膜抵抗6を組み込むとともに、配線板9に形成した配
線導体11にICチップ12を組付けて構成している。
なお図中、13は部分バイアホール、14はスルーホー
ルである。
【0033】図4は、シートコイル15を示しており、
該コイル15は上記液晶ポリマーフィルム2の上下両面
に銅などの導電体16を螺旋状に形成するとともに、フ
ィルム2の中央に両導電体16の間を貫通するスルーホ
ール17を形成して、該ホール17の内壁に設けた導電
体により各導電体15間を電気的に接続している。な
お、図中、18は導電体15の端部に設けたランドであ
る。
【0034】次に、具体的な実施例を挙げて説明する。 実施例1 先ず、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸の共重合物で、融点が283℃である液晶ポ
リマーを溶融押出し、インフレーション成形法により膜
厚が50μm、分子配向度SORが1.05の液晶ポリ
マーフィルムを作製した。次に、上記液晶ポリマーフィ
ルムに、金属箔である厚さ18μmの銅箔(電解銅)を
285℃で加熱圧着して、銅箔/液晶ポリマーフィルム
の組み合わせからなる積層体の3枚を作製した。そし
て、この積層体の熱膨張係数を測定するために、1枚の
積層体から銅箔を塩化第二鉄溶液で除去し、その液晶ポ
リマーフィルムの熱膨張係数を測定した結果、5×10
-6cm/cm/℃であった。また、上記積層体の残り2
枚を、290℃の窒素雰囲気中の熱風乾燥機中に水平に
60分間静置して熱処理した。処理後の積層体の熱膨張
係数を測定するために、1枚の積層体より銅箔を塩化第
二鉄溶液で除去し、液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数
を測定した結果、17×10-6cm/cm/℃であっ
た。以上のように、積層体を熱処理しない場合は、フィ
ルムの熱膨張係数が導電体として用いる銅の熱膨張係数
(17×10-6cm/cm/℃)と大きく異なるのに対
し、熱処理を施すことにより、フィルムの熱膨張係数を
導電体として用いる銅の熱膨張係数と同一にできる。こ
れに引き続き、熱処理後の積層体の残り1枚を用いて薄
膜コンデンサを作製し、その電気的接続性の信頼性を評
価した結果、電気容量の変化率は2.5%と小さく、安
定であった。上記コンデンサは、液晶ポリマーフィルム
上に銅からなる下部電極をパターン形成し、誘電体薄膜
として300nm厚のSiO2膜をECR−CVDで成
膜した後に、Ti/Auを上部電極として電子ビーム蒸
着により形成したものである。作製したコンデンサ部の
実効寸法は3×2mmである。なお、上記融点と熱膨張
係数の測定方法および信頼性の評価方法については後述
する。
【0035】実施例2 実施例1で作製した液晶ポリマーフィルムを、260℃
で5時間加熱処理して融点を320℃にまで高め、該フ
ィルムに厚さ18μmの銅箔(電解銅)を325℃で加
熱圧着して、銅箔/液晶ポリマーフィルムの組み合わせ
からなる積層体の3枚を作製した。そして、この積層体
の熱膨張係数を測定するために、1枚の積層体から銅箔
を塩化第二鉄溶液で除去し、その液晶ポリマーフィルム
の熱膨張係数を測定した結果、28×10-6cm/cm
/℃であった。また、上記積層体の残り2枚を、240
℃の窒素雰囲気中の熱風乾燥機中に水平に60分間静置
して熱処理した。処理後の積層体の熱膨張係数を測定す
るために、1枚の積層体より銅箔を塩化第二鉄溶液で除
去し、液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数を測定した結
果、17×10-6cm/cm/℃であった。以上のよう
に、フィルムに熱処理を施すことにより、その熱膨張係
数を導電体として用いる銅の熱膨張係数と同一にでき
る。これに引き続き、熱処理後の積層体の残り1枚を用
いて上記と同様にして薄膜コンデンサを作製し、その信
頼性を評価した結果、電気容量の変化率は1.5%と小
さく、安定であった。
【0036】実施例3 本実施例においては、上記各実施例とは異なる液晶ポリ
マーフィルムを使用している。つまり、p−ヒドロキシ
安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物
で、融点が330℃である液晶ポリマーを溶融押出し、
インフレーション成形法により膜厚が50μm、分子配
向度SORが1.03の液晶ポリマーフィルムを作製し
た。次に、上記液晶ポリマーフィルムに、電子ビーム蒸
着法により銅層を形成し、銅層/液晶ポリマーフィルム
の組み合わせからなる積層体の3枚を作製した。そし
て、この積層体の熱膨張係数を測定するために、1枚の
積層体より銅層を塩化第二鉄溶液で除去し、液晶ポリマ
ーフィルムの熱膨張係数を測定した結果、1×10-6
m/cm/℃であった。また、上記積層体の残り2枚
を、335℃の窒素雰囲気中の熱風乾燥機中に水平に6
0分間静置して熱処理した。処理後の積層体の熱膨張係
数を測定するために、1枚の積層体より銅層を塩化第二
鉄溶液で除去し、液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数を
測定した結果、15×10-6cm/cm/℃であった。
以上のように、積層体を熱処理しない場合は、フィルム
の熱膨張係数が導電体として用いる銅の熱膨張係数と大
きく異なるのに対し、熱処理を施すことにより、フィル
ムの熱膨張係数を導電体として用いる銅の熱膨張係数に
近付けて実質的にほぼ同一にできる。これに引き続き、
熱処理後の積層体の残り1枚を用いて上記と同様にして
薄膜コンデンサを作製し、その信頼性を評価した結果、
電気容量の変化率は2.0%と小さく、安定であった。 実施例4 実施例3において、積層体の残り2枚を340℃の窒素
雰囲気中の熱風乾燥機中に水平に100分間静置して熱
処理した。他は上記実施例3と同様にして、銅層/液晶
ポリマーフィルムの組み合わせからなる熱処理済の積層
体の2枚を作製した。熱処理後の積層体の熱膨張係数を
測定するために、1枚の積層体より銅層を塩化第二鉄溶
液で除去し、液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数を測定
した結果、20×10-6cm/cm/℃であった。これ
に引き続き、熱処理後の積層体の残り1枚を用いて上記
と同様にして薄膜コンデンサを作製し、その信頼性を評
価した結果、電気容量の変化率は2.5%と小さく、安
定であった。
【0037】比較例1 実施例1において、窒素雰囲気中で熱処理せずに、熱膨
張係数が5×10-6cm/cm/℃の液晶ポリマーフィ
ルムを電気絶縁性基板として用いた。他は上記実施例と
同様にして、薄膜コンデンサを作製した。その信頼性を
評価した結果、電気容量の変化率は7.5%と大きく、
不安定であった。
【0038】比較例2 実施例3において、窒素雰囲気中で熱処理せずに、熱膨
張係数が1×10-6cm/cm/℃の液晶ポリマーフィ
ルムを電気絶縁性基板として用いた。他は上記実施例と
同様にして、薄膜コンデンサを作製した。その信頼性を
評価した結果、電気容量の変化率は11.0%と大き
く、不安定であった。
【0039】以上のように、比較例のものは、電気容量
の変化率が大きく、電気的接続性の信頼性が悪いのに対
し、実施例1〜4のものは、フィルムの熱膨張係数を導
電体として用いる銅の熱膨張係数と同一ないしは近付け
られるので、電気的接続性の信頼性が高められる。
【0040】上記液晶ポリマーフィルムの融点は、示差
走査熱量計を用いて、フィルムの熱挙動を観察して得
た。つまり、フィルムを20℃/分の速度で上昇させて
完全に溶融させた後、溶融物を50℃/分の速度で50
℃まで急冷し、再び20℃/分の速度で昇温した時に現
れる吸熱ピークの位置を、フィルムの融点として記録し
た。
【0041】上記液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数
は、熱機械分析装置(TMA)を用いて、室温から5℃
/分の速度で200℃にまで昇温した後、20℃/分の
速度で30℃まで冷却し、再び5℃/分の速度で昇温し
た時の30℃と150℃の間で測定した。
【0042】また、作製した薄膜コンデンサの電気的接
続性の信頼性は、該コンデンサを大気中125℃の恒温
槽に500時間暴露した後、コンデンサを恒温槽外25
℃の雰囲気に取り出すことによって、ヒートショックを
与え、ヒートショック試験前後の、1kHzにおける電
気容量の変化率(単位%)で評価した。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、軽量、低吸湿性、高耐
熱性で、吸湿寸法安定性、熱寸法安定性および電気的性
質に優れたデバイスを低コストで提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す薄膜コンデンサの断
面図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す薄膜抵抗の断面図
である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す多層プリント配線
板を用いた実装回路基板10の断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態を示すシートコイルの斜
視図である。
【符号の説明】
2…液晶ポリマーフィルム(電気絶縁性基板)、3,
5,7…導電体、10…実装回路基板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的異方性の溶融相を形成し得るポリ
    マーから成形されるフィルムを電気絶縁性基板とし、該
    基板上に導電体を形成したデバイス。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記フィルムの熱膨
    張係数を、該フィルム上に形成された導電体の熱膨張係
    数と実質的に同一にしているデバイス。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、上記フィル
    ムの分子配向度が1.3以下であるデバイス。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載のデバイス
    をプリント配線板に搭載してなる実装回路基板。
JP10015361A 1998-01-28 1998-01-28 デバイスとこれを実装した実装回路基板 Pending JPH11214250A (ja)

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