JP4860855B2 - フィルム被覆半導体素子とその製造方法 - Google Patents

フィルム被覆半導体素子とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的に異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマー(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーと略称することがある)のフィルムによって被覆されたICチップ等の半導体素子およびその製造方法に関する。本発明による半導体素子は、熱可塑性液晶ポリマーに由来する優れたガスバリアー性、耐熱性、耐薬品性、高寸法安定性、高周波特性などの優れた特長を備え、しかも耐湿性に優れた実用的に十分高い信頼性を有する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICチップの実装密度はますます高まりを見せており、半導体素子の耐湿性に関する信頼性を確保するための技術開発も進んでいる。具体的には、ICチップ単体(フリップチップまたはベアチップと称される)の表面にポリイミド薄膜を形成する方法や窒化ケイ素などの薄膜(パッシベーション膜と称される)を形成する方法、CSP(チップサイズパッケージまたはスモールサイズパッケージと称される)のインターポーザ(封止樹脂)としてポリイミドフィルムを用いる方法等が知られている。
【0003】
一方、低吸湿性、ガスバリアー性、耐熱性、耐薬品性、高寸法安定性、高周波特性などに優れた特性を有する熱可塑性液晶ポリマーの成型体は、近年各種技術分野において有用な材料として注目されている。その具体例としては、各種ガス類の気密封止材料、フレキシブルプリント配線板などの電子回路基板材料、コネクターやソケットなどの電気・電子部品を挙げることができる。なかでも、電子回路基板用途では、高速化、小型化、軽量化の要求が強いが、熱可塑性液晶ポリマーは特に高周波領域において誘電率や誘電正接が低くて優れた電気特性を有すること、接着剤を用いずに銅箔などの金属と熱積層できること、および他のポリマーと比較して吸水率が非常に低くて吸湿寸法安定性に優れているので、これらの特長を活かした種々の製品化が急速に進められている。また、熱可塑性液晶ポリマーの電気特性は、ポリイミドなど既存の有機絶縁材と比較して明らかに優れており、特にギガヘルツ帯では高周波用基板として実績のあるテフロン(登録商標:ポリ四フッ化エチレン)基材に匹敵する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のポリイミド薄膜またはポリイミドフィルムを用いた半導体素子は、ポリイミド自体の吸湿性が無視できない程度に大きいため、依然として耐湿性に関する信頼性に問題がある。
【0005】
一方、熱可塑性液晶ポリマーの基本的な分子骨格は、芳香族炭化水素基および/または脂肪族炭化水素基が極性基を介して結合したものであるが、1分子中に存在する極性基の数が少なく、また芳香族炭化水素基が極性基の活性を空間的に阻害するために、シリコンウェハや窒化ケイ素膜に対する接着力(以下、これを剥離強度と称することがある)を充分に高めることができず、この接着力の低いことが耐湿性向上のネックとなる。
【0006】
そこで、本発明は、熱可塑性液晶ポリマーのフィルムによって被覆された半導体素子であって、熱可塑性液晶ポリマーに由来する優れたガスバリアー性、耐熱性、耐薬品性、高寸法安定性、高周波特性などの特性を保持したままで、耐湿性に優れた実用的に十分高い信頼性を有する半導体素子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、熱可塑性液晶ポリマーフィルムとシリコンウェハや窒化ケイ素膜などの無機材料との接着力を高める技術について鋭意研究を行った結果、熱可塑性液晶ポリマーからなり、フッ素と酸素の混合ガスで処理したフィルムを使用すれば良好な結果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の半導体素子は、熱可塑性液晶ポリマーからなり、フッ素ガスと酸素とのみからなる混合ガスによって処理されたフィルムによって、シリコンウエハまたは窒化ケイ素の表面の少なくとも一部が被覆されてなるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマー(光学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマー)は特に限定されるものではないが、その具体例として、以下に例示する化合物およびその誘導体から導かれる公知のサーモトロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロピック液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。
但し、光学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマーを得るためには、繰り返し単位の好適な組み合わせが必要とされることは言うまでもない。また、熱可塑性液晶ポリマーフィルムには、滑剤、酸化防止剤などの添加剤が適量配合されていてもよい。
【0010】
(1)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物(代表例は表1参照)
【0011】
【表1】
Figure 0004860855
【0012】
(2)芳香族または脂肪族ジカルボン酸(代表例は表2参照)
【0013】
【表2】
Figure 0004860855
【0014】
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表例は表3参照)
【0015】
【表3】
Figure 0004860855
【0016】
(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参照)
【0017】
【表4】
Figure 0004860855
【0018】
これらの原料化合物から得られる熱可塑性液晶ポリマーの代表例として表5に示す構造単位を有する共重合体(a)〜(e)を挙げることができる。
【0019】
【表5】
Figure 0004860855
【0020】
熱可塑性液晶ポリマーフィルムの厚みは特に限定されるものではないが、厚さ0.5mm以下、より好ましくは厚さ0.01mm〜0.1mmのフィルムが好適に使用される。
【0021】
これらの熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、例えば、熱可塑性液晶ポリマーを押出成形して得られる。任意の押出成形法がこの目的のために使用されるが、周知のTダイ法、インフレーション法等が工業的に有利である。特にインフレーション法は、フィルムのMD方向だけでなくTD方向にも応力が加えられ、MD方向とTD方向との間における機械的性質および熱的性質のバランスのとれたフィルムが得られるので、より好適である。
【0022】
さらに詳しく述べると、熱可塑性液晶ポリマーは溶融押出成型時における配向性が高いために、熱可塑性液晶ポリマーから製造されたフィルムの機械的性質および熱的性質の異方性が高くなり易い傾向を有している。すなわち、熱可塑性液晶ポリマーをTダイから溶融押出成形すれば、機械軸方向(以下、MD方向という)にのみ剪断応力または応力が加えられるため、一軸配向フィルムが得られる。この一軸配向フィルムは、MD方向における引張弾性率および機械的強度が高いものの、MD方向に直交する方向(以下、TD方向という)におけるこれらの値が低く、MD方向に切れ目が発生し易いという欠点があるだけではなく、加熱時の寸法変化率がMD方向とTD方向で異なるため、フィルムが反り返るという欠点を有する。この機械的性質および熱的性質の異方性を改良するためには、熱可塑性液晶ポリマーの溶融押出成形にインフレーション法を好適に採用できる。これを採用すれば、フィルムのMD方向だけでなくTD方向にも応力が加えられるため、MD方向の切れ目が発生しにくい二軸配向フィルムが得られる。また、インフレーション法によれば、MD方向とTD方向との間における機械的性質および熱的性質のバランスのとれたフィルムを得ることもできる。
【0023】
熱可塑性液晶ポリマーフィルムのなかでも、分子配向度(SOR)が1.3以下のフィルムは、MD方向とTD方向との間における機械的性質および熱的性質のバランスが良好であるので、より実用性が高い。本発明に用いる熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、その適用分野によって必要とされる分子配向度SORは当然異なるが、SOR≧1.5の場合は熱可塑性液晶ポリマー分子の配向の偏りが著しいためにフィルムが硬くなり、かつMD方向に裂け易い。加熱時の反りがないなどの形態安定性が必要とされる適用分野の場合には、SOR≦1.3であることが望ましく、特に加熱時の反りをほとんど無くす必要がある場合には、SOR≦1.03であることが望ましい。
【0024】
ここで、分子配向度SOR(Segment Orientation Ratio )とは、分子で構成されるセグメントについての分子配向の度合いを与える指標をいい、一般的なMOR(Molecular Orientation Ratio )とは異なり、物体の厚さを考慮した値である。この分子配向度SORは、以下のように算出される。
【0025】
まず、周知のマイクロ波分子配向度測定機において、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを、マイクロ波の進行方向にフィルム面が垂直になるように、マイクロ波共振導波管中に挿入し、該フィルムを透過したマイクロ波の電場強度(マイクロ波透過強度)が測定される。そして、この測定値に基づいて、次式により、m値(屈折率と称する)が算出される。
m=(Zo/△z)×[1−νmax /νo]
ただし、Zoは装置定数、△zは物体の平均厚、νmax はマイクロ波の振動数を変化させたとき、最大のマイクロ波透過強度を与える振動数、νoは平均厚ゼロのとき(すなわち物体がないとき)の最大マイクロ波透過強度を与える振動数である。
【0026】
次に、マイクロ波の振動方向に対する物体の回転角が0°のとき、つまり、マイクロ波の振動方向と、物体の分子が最もよく配向されている方向であって、最小マイクロ波透過強度を与える方向とが合致しているときのm値をm0 、回転角が90°のときのm値をm90として、分子配向度SORはm0 /m90により算出される。
【0027】
また、熱可塑性液晶ポリマーフィルムをICチップなどの半導体素子の表面に被覆する場合、両者の接着界面における応力集中を避け、クラックの発生を抑制するために、両者の熱膨張係数を互いにほぼ等しくすることが望ましい。具体的には、熱可塑性液晶ポリマーの熱膨張係数は、−5〜10ppm/℃であることが好ましく、0〜5ppm/℃であることがより好ましい。
【0028】
本発明において使用される熱可塑性液晶ポリマーの融点は、所望の耐熱性および加工性を有するフィルムを得るために、約200〜約400℃の範囲内、とりわけ約250〜約350℃の範囲内であることが好ましい。なかでも、半田リフロー工程を通過する場合には、約280℃以上の融点を有する熱可塑性液晶ポリマーが好適に用いられる。
【0029】
そして本発明では、以上の熱可塑性液晶ポリマーからなるフィルムを、フッ素と酸素の混合ガスで処理してなるフィルムを使用する。混合ガスにおけるフッ素の濃度は0.01〜1.00体積%、酸素の濃度は99.00〜99.99体積%の範囲から選ばれるが、フッ素の濃度を精度良く制御する目的においては、0.10〜1.00体積%、酸素の濃度は99.00〜99.90体積%の範囲が好ましい。混合ガスによる処理は、通常0〜50℃、好ましくは10〜30℃の範囲の温度、また、通常数秒〜数分、好ましくは10秒〜1分の範囲の時間で実施される。
【0030】
混合ガスによる処理は、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの片面または両面を混合ガスと接触させることによって実施される。本発明においては、混合ガスによる処理前に比べ、処理されたフィルム面の単位面積当たりの重量増加が0.1〜5.0μg/cmであるフィルムを使用することが好ましい。重量増加が上記の範囲内であるフィルムは、シリコンウェハおよび窒化ケイ素膜との接着力が充分に高められている。
【0031】
混合ガスによる処理は、密閉された反応容器中に熱可塑性液晶ポリマーフィルムを導入し、容器内を排気した後、フッ素と酸素の混合ガスを導入するバッチ式処理方法、または予めフッ素と酸素の混合ガスで反応容器内を置換した後、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを通過させて接触させる連続式処理方法などが採用される。
【0032】
混合ガスによって処理された後の熱可塑性液晶ポリマーフィルムをICチップなどの半導体素子の表面に被覆する方法は、ICチップの表面に熱可塑性液晶ポリマーフィルムを配置し、例えば真空熱プレス機等を用いて両者を熱圧着する方法が例示できる。この被覆方法には,プレス成形法その他の方法が用いられる。
【0033】
また、必要に応じて、ICチップの表面に貼り付ける前または後の熱可塑性液晶ポリマーフィルムに、炭酸ガスレーザー等を用いて穿孔を形成した後に、この穿孔部に導電材料を充填することにより、半導体素子上の電極パッドと液晶ポリマーフィルム上面の電極パッドを導通させることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態にかかる半導体素子を示す図である。同図はICチップ1の断面構造を示しており、2はシリコンウエハ、3はその表面に施された窒化ケイ素膜(パッシベーション膜)、4は電極パッドである。また、5は窒化ケイ素膜3の表面に施された絶縁層、6は電極パッド4と通電可能に絶縁層5上に設けられた再配置配線である。そして、7は絶縁層5と再配置配線6の上に全体を覆うように設けられた層である。同図の実施形態では、層7の再配置配線6との対向部位に穿孔71を形成し、これに導電材料8を充填させている。また、図中、9は半田ボールである。
ここで、絶縁層5は、フッ素と酸素の混合ガスによって処理された熱可塑性液晶ポリマーフィルムによって形成されている。また、層7は、フッ素と酸素の混合ガスによって処理された後の熱可塑性液晶ポリマーフィルムによって形成することが好ましいが、該混合ガスによって処理する前の熱可塑性液晶ポリマーフィルムによって形成してもよいし、例えば、ポリイミド、ポリ(ビスマレイミド)等のその他の樹脂によって形成してもよい。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、熱可塑性液晶ポリマーフィルムとシリコンウェハや窒化ケイ素との接着力、半導体素子の耐湿性、および熱可塑性液晶ポリマーの融点は以下の方法により測定した。
【0036】
接着力
シリコンウェハまたは窒化ケイ素膜に熱可塑性液晶ポリマーフィルムを熱圧着して得られた試験片を1cm幅に切り出し、平板とシリコンウェハまたは窒化ケイ素膜を両面接着材で固定して、180°方向に熱可塑性液晶ポリマーフィルムを50mm/分の速度で剥離したときの剥離強度を測定した。
【0037】
耐湿性
熱可塑性液晶ポリマーフィルムを、圧力センサ用ICチップ表面に貼り付けた半導体素子を作製した後、炭酸ガスレーザーを用いてシリコンウェハ上のアルミ電極パッドに貫通する孔径80μmの穿孔を形成した。次に、この穿孔部分に導電性樹脂を充填し、さらに熱可塑性液晶ポリマーフィルムの上面側に厚さ18μmの電解銅箔を熱圧着した後、所定の配線を形成した。そして、この半導体素子を、温度121℃、相対湿度100%、気圧2atmの環境下に100時間暴露した後に、その動作機能を評価した。
【0038】
融点
示差走査熱量計を用いて、供試フィルムを20℃/分の速度で昇温して完全に溶融させた後、溶融物を50℃/分の速度で50℃まで急冷し、再び20℃/分の速度で昇温した時に現れる吸熱ピーク温度を測定した。
【0039】
参考例1
p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が283℃である熱可塑性液晶ポリマーを溶融押出し、インフレーション成形法により膜厚が50μm、分子配向度SORが1.02、熱膨張係数6ppm/℃のフィルムを得た。この熱可塑性液晶ポリマーフィルムをフィルムAとする。
【0040】
参考例2
p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が330℃である熱可塑性液晶ポリマーを溶融押出し、インフレーション成形法により膜厚が25μm、分子配向度SORが1.01、熱膨張係数8ppm/℃のフィルムを得た。この熱可塑性液晶ポリマーフィルムをフィルムBとする。
【0041】
実施例1
参考例1で得たフィルムAを、フィルムの両面が処理されるようにニッケルメッシュ上に乗せてステンレス製反応容器内に入れ、真空排気後、フッ素と酸素の混合ガス〔フッ素/酸素=0.3/99.7(体積比)〕を導入して101.3kPa(760Torr)とした。室温で40秒反応後、混合ガスを真空排気し、反応容器を窒素で置換した後、フィルムを取り出した。このフィルムを温度25℃、相対湿度60%の雰囲気で3日間養生したところ、処理されたフィルム面の単位面積当たりの重量増加は0.5μg/cmであった。
【0042】
次に、上記の熱可塑性液晶ポリマーフィルムを(イ)シリコンウェハ(三菱マテリアルシリコン株式会社製、ポリッシュト・ウェーハ(商品名))および(ロ)プラズマCVD法によって該シリコンウェハ上に形成した窒化ケイ素膜の上に配置し、真空熱プレス機を用いて、温度290℃、圧力30kg/cm、時間10分の条件で熱圧着して、それぞれの積層体を得た。得られた積層体の接着力を表6に示す。
【0043】
また、真空熱プレス機を用いて、温度290℃、圧力10kg/cm、時間3分の条件で熱可塑性液晶ポリマーフィルムを貼り付けた半導体素子の耐湿性を評価した結果、良好な信頼性を示した。
【0044】
実施例2
参考例2で得たフィルムBを、フィルムの両面が処理されるようにニッケルメッシュ上に乗せてステンレス製反応容器内に入れ、真空排気後、フッ素と酸素の混合ガス〔フッ素/酸素=0.8/99.2(体積比)〕を導入して101.3kPa(760Torr)とした。室温で20秒反応後、混合ガスを真空排気し、反応容器を窒素で置換した後、フィルムを取り出した。このフィルムを温度25℃、相対湿度60%の雰囲気で3日間養生したところ、処理されたフィルム面の単位面積当たりの重量増加は0.8μg/cmであった。
【0045】
次に、上記の熱可塑性液晶ポリマーフィルムを(イ)シリコンウェハ(三菱マテリアルシリコン株式会社製、ポリッシュト・ウェーハ(商品名))および(ロ)プラズマCVD法によって該シリコンウェハ上に形成した窒化ケイ素膜の上に配置し、真空熱プレス機を用いて、温度340℃、圧力30kg/cm、時間10分の条件で熱圧着して、それぞれの積層体を得た。得られた積層体における接着力を表6に示す。
【0046】
また、真空熱プレス機を用いて、温度340℃、圧力10kg/cm、時間3分の条件で熱可塑性液晶ポリマーフィルムを貼り付けた半導体素子の耐湿性を評価した結果、良好な信頼性を示した。
【0047】
比較例1
参考例1で得たフィルムAを用いて、混合ガスによる処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。得られた積層体の剥離強度を表6に示す。また、混合ガスによる処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして熱可塑性液晶ポリマーフィルムを貼り付けた半導体素子の耐湿性を評価した結果、熱可塑性液晶ポリマーフィルムと半導体素子の界面が部分的に剥離しており、所望の機能を発現できなかった。
【0048】
比較例2
参考例2で得たフィルムBを用いて、混合ガスによる処理を行わなかったこと以外は実施例2と同様にして、積層体を得た。得られた積層体の剥離強度を表6に示す。また、混合ガスによる処理を行わなかったこと以外は実施例2と同様にして熱可塑性液晶ポリマーフィルムを貼り付けた半導体素子の耐湿性を評価した結果、熱可塑性液晶ポリマーフィルムと半導体素子の界面が部分的に剥離しており、所望の機能を発現できなかった。
【0049】
【表6】
Figure 0004860855
【0050】
以上の表から明らかなように、混合ガスによる処理を行わない熱可塑性液晶ポリマーフィルムを用いた比較例1および2に比べ、混合ガスによる処理を行った熱可塑性液晶ポリマーフィルムを用いた実施例1および2では、熱可塑性液晶ポリマーフィルムとシリコンウェハや窒化ケイ素膜との接着力がより強固なものとなっていることがわかる。また、前記のとおり、耐湿性に関しても高い信頼性が得られる。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性液晶ポリマーのフィルムによって被覆された半導体素子であって、熱可塑性液晶ポリマーに由来する優れたガスバリアー性、耐熱性、耐薬品性、高寸法安定性、高周波特性などの特性を保持したままで、耐湿性に優れた実用的に十分高い信頼性を有する半導体素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる半導体素子の断面図である。
【符号の説明】
1…ICチップ(半導体素子)、5…絶縁層。

Claims (6)

  1. 光学的に異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマーからなり、フッ素ガスと酸素とのみからなる混合ガスによって処理されたフィルムによって、シリコンウエハまたは窒化ケイ素の表面の少なくとも一部が被覆されてなる半導体素子。
  2. フィルムの厚さが0.5mm以下である請求項1に記載の半導体素子。
  3. 混合ガスの組成が、フッ素/酸素=0.01/99.99〜1.00/99.00の体積比である請求項1または2に記載の半導体素子。
  4. 熱可塑性ポリマーの融点が280℃以上である請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子。
  5. フィルムの分子配向度SORが1.3以下である請求項1または2に記載の半導体素子。
  6. 光学的に異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマーからなるフィルムを、フッ素と酸素とのみからなる混合ガスによって処理した後、シリコンウエハまたは窒化ケイ素の表面の少なくとも一部に被覆させることからなる半導体素子の製造方法。
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