JP2001270032A - 易放熱性回路基板 - Google Patents

易放熱性回路基板

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JP2001270032A JP2000084136A JP2000084136A JP2001270032A JP 2001270032 A JP2001270032 A JP 2001270032A JP 2000084136 A JP2000084136 A JP 2000084136A JP 2000084136 A JP2000084136 A JP 2000084136A JP 2001270032 A JP2001270032 A JP 2001270032A
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liquid crystal
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JP2000084136A
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Kenichi Tsudaka
健一 津高
Yoshiki Tanaka
善喜 田中
Toshiaki Sato
敏昭 佐藤
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱可塑性液晶ポリマーフィルムからなる電気絶
縁層の両面に電気導電層と放熱層を設けた構造を有し、
湿熱に対する信頼性の高い易放熱性回路基板を提供す
る。 【解決手段】優れた低吸湿性、耐熱性、耐薬品性、およ
び低誘電率、低誘電損失という電気的性質をもつ熱可塑
性液晶ポリマーフィルムを電気絶縁層に用いるととも
に、この電気絶縁層の両面に所定の金属層からなる電気
導電層と放熱層を用いるので、最高温度128℃、最高
水蒸気圧力2.3気圧で湿熱処理された後でも、電気絶
縁層と電気導電層または放熱層との間の層間接着強度を
0.6kg/cm以上を保持できることから、湿熱に対
する信頼性に優れた易放熱性回路基板を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的異方性の溶
融相を形成し得る熱可塑性ポリマー(以下、これを熱可
塑性液晶ポリマーと称することがある)からなるフィル
ム(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーフィルムと称す
ることがある)を電気絶縁層とする易放熱性回路基板に
関し、特に湿熱に対する信頼性を必要とする半導体実装
用の易放熱性回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータ(PC)
などの情報処理分野、携帯電話などの無線通信分野の発
展は目覚ましい。これらの分野において情報処理速度を
向上させるには、回路基板の伝播速度の向上、高周波領
域での低伝送を実現することが必要であり、そのために
低誘電率、低誘電損失である電気絶縁層を使用した高周
波回路基板の開発が検討されている。
【0003】従来、こうした用途には、誘電特性に優れ
たフッ素樹脂を絶縁層とする基板(以下、PTFE基板
という)または耐熱性に優れたポリイミドを絶縁層とす
る基板( 以下、PI基板という) が用いられてきた。
【0004】また、上記分野における情報処理速度の向
上により、配線回路中に必然的に発生する熱が増加する
ために、この熱を除去する必要性が増してきた。このた
め、高周波回路基板の回路面から電気絶縁層を通って伝
わった熱を容易に外部に放散することができるように、
電気絶縁層に対して回路面と相対する面に伝熱性の優れ
た銅箔などの金属箔を全面に接着させ放熱面積を広くし
て放熱層を形成した易放熱性回路基板が注目されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、PTFE基板
については、フッ素樹脂そのものは優れた高周波特性、
耐湿性をもつが、寸法安定性を高めるために用いられる
ガラスクロス等の影響により基板全体としての誘電特性
と耐湿性は低い。PI基板については、吸湿性が大き
く、吸湿により極端に誘電特性が悪化する。したがっ
て、従来用いられるPI基板、PTFE基板は、吸湿に
より誘電特性が悪化することから、屋外設置、車載用と
いった過酷な使用環境においては安定な特性を維持する
ことができない。かかる過酷な使用環境下で使用される
配線回路基板には、吸湿時に安定な誘電特性を有するこ
とが要求される。
【0006】この要求に好ましい電気絶縁材として、熱
可塑性液晶ポリマーフィルムを電気絶縁層とするプリン
ト配線回路基板が注目されており、吸湿処理後でも安定
した誘電特性を示すことがわかった。
【0007】しかし、吸湿処理後の安定性(信頼性)を
保証するための強制湿熱処理試験(プレッシャークッカ
ー処理)における処理温度と処理湿度を高くすると、電
気絶縁層と配線回路との接着強度が低下し、極端な場合
には完全に未接着すなわち剥離するという問題が生じ
る。この現象は、前述した電気絶縁層に対して配線回路
面と相対する面に放熱層を形成した易放熱性回路基板に
おいて顕著に発生する。
【0008】本発明は、上記問題点を解決して、熱可塑
性液晶ポリマーフィルムからなる電気絶縁層の両面に電
気導電層と放熱層を設けた構造を有し、湿熱に対する信
頼性の高い易放熱性回路基板を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、上記目的は、熱可塑性液晶ポリマーフィルム
からなる電気絶縁層と、前記電気絶縁層の一方の面に設
けられて配線回路を形成する金属層からなる電気導電層
と、他方の面に設けられて配線回路からの熱を外部に放
散させる金属層からなる放熱層とを備えた易放熱性回路
基板であって、128℃以下の温度で2.3気圧以下の
水蒸気圧力で湿熱処理された後でも、前記電気絶縁層と
電気導電層または放熱層との間の層間接着強度が0.6
kg/cm以上である耐湿熱性の優れた易放熱性回路基
板を提供することにより達成できることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0010】本発明によれば、優れた低吸湿性、耐熱
性、耐薬品性、および低誘電率、低誘電損失という電気
的性質をもつ熱可塑性液晶ポリマーフィルムを電気絶縁
層に用いるとともに、この電気絶縁層の両面に所定の金
属層からなる電気導電層と放熱層を用いるので、最高1
28℃の温度、2.3気圧の水蒸気圧力で湿熱処理され
た後でも、電気絶縁層と電気導電層または放熱層との間
の層間接着強度を0.6kg/cm以上に保持できるこ
とから、湿熱に対する信頼性に優れた易放熱性回路基板
を得ることができる。
【0011】本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマー
フィルムの原料は特に限定されるものではないが、その
具体例として、以下に例示する(1)から(4)に分類
される化合物およびその誘導体から導かれる公知のサー
モトロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロピック
液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。但し、
光学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマーを得るた
めには、繰り返し単位の好適な組み合わせが必要とされ
ることは言うまでもない。
【0012】(1)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化
合物(代表例は表1参照)
【0013】
【表1】
【0014】(2)芳香族または脂肪族ジカルボン酸
(代表例は表2参照)
【0015】
【表2】
【0016】(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表
例は表3参照)
【0017】
【表3】
【0018】(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシ
アミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参
照)
【0019】
【表4】
【0020】これらの原料化合物から得られる熱可塑性
液晶ポリマーの代表例として表5に示す構造単位を有す
る共重合体(a)〜(e)を挙げることができる。
【0021】
【表5】
【0022】また、本発明に使用される熱可塑性液晶ポ
リマーとしては、フィルムの所望の耐熱性および加工性
を得る目的においては、約200〜約400℃の範囲
内、とりわけ約250〜約350℃の範囲内に融点を有
するものが好ましいが、フィルム製造の観点からは、比
較的低い融点を有するものが好ましい。したがって、よ
り高い耐熱性や融点が必要な場合には、一旦得られたフ
ィルムを加熱処理することによって、所望の耐熱性や融
点にまで高めることが有利である。加熱処理の条件の一
例を説明すれば、一旦得られたフィルムの融点が283
℃の場合でも、260℃で5時間加熱すれば、融点は3
20℃になる。
【0023】本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマー
フィルムは、熱可塑性液晶ポリマーを押出成形して得ら
れる。任意の押出成形法がこの目的のために使用される
が、周知のTダイ製膜延伸法、ラミネート体延伸法、イ
ンフレーション法等が工業的に有利である。特に、ラミ
ネート体延伸法やインフレーション法では、フィルムの
機械軸方向(以下、MD方向と略す)だけでなく、これ
と直交する方向(以下、TD方向と略す)にも応力が加
えられるため、MD方向とTD方向における機械的性質
および熱的性質のバランスのとれたフィルムを得ること
ができる。
【0024】なかでも、分子配向度SORが0.8≦S
OR≦1.3の範囲にある熱可塑性液晶ポリマーフィル
ムは、MD方向とTD方向における機械的性質および熱
的性質のバランスが良好であるので、より実用性が高
い。ここで、分子配向度SOR(Segment Orientation R
atio) とは、分子配向の度合いを与える指標をいい、従
来のMOR(Molecular Orientation Ratio) とは異な
り、物体の厚さを考慮した値である。上記の分子配向度
SORの算出方法について、以下に説明する。まず、周
知のマイクロ波分子配向度測定機において、熱可塑性液
晶ポリマーフィルムを、マイクロ波の進行方向にフィル
ム面が垂直になるように、マイクロ波共振導波管中に挿
入し、該フィルムを透過したマイクロ波の電場強度(マ
イクロ波透過強度)が測定される。そして、この測定値
に基づいて、次式により、m値(屈折率と称する)が算
出される。 m=(Zo/△z)×[1−νmax /νo] ただし、Zoは装置定数、△zは物体の平均厚、νmax
はマイクロ波の振動数を変化させたとき、最大のマイク
ロ波透過強度を与える振動数、νoは平均厚ゼロのとき
(すなわち物体がないとき)の最大マイクロ波透過強度
を与える振動数である。
【0025】次に、マイクロ波の振動方向に対する物体
の回転角が0°のとき、つまり、マイクロ波の振動方向
と、物体の分子が最もよく配向されている方向であっ
て、最小マイクロ波透過強度を与える方向とが合致して
いるときのm値をm0 、回転角が90°のときのm値を
90として、分子配向度SORはm0 /m90により算出
される。
【0026】上記の分子配向度SORが0.8≦SOR
≦1.3の範囲にある熱可塑性液晶ポリマーフィルム
は、上記MD方向とTD方向における機械的性質および
熱的性質のバランスが良好であるので、フィルムの等方
的性質からフィルムの向き(縦横方向)に拘束されない
ため、プリント配線回路の設計の自由度が大きくなり、
より実用性が高い。また、加熱時の反りをなくす必要が
ある精密な易放熱性回路基板に使用する場合には、0.
93≦SOR≦1.07であることが望ましい。
【0027】本発明において使用される熱可塑性液晶ポ
リマーフィルムは、任意の厚みのものでよく、1mm以
下の板状またはシート状のものをも包含する。ただし、
高周波回路基板に使用する場合は、厚みが厚いほど伝送
損失が小さくなりできるだけ厚みを厚くする必要があ
る。しかしながら、電気絶縁層として熱可塑性液晶ポリ
マーフィルムを単独で用いる場合、そのフィルムの膜厚
は、10〜150μmの範囲内にあることが好ましく、
15〜75μmの範囲内がより好ましい。フィルムの厚
さが薄過ぎる場合には、フィルムの剛性や強度が小さく
なることから、フィルム膜厚10〜150μmの範囲の
フィルムを積層させて任意の厚みとすることが適当であ
る。
【0028】本発明の易放熱性回路基板は、電気絶縁層
である熱可塑性液晶ポリマーフィルムの両面に銅などの
金属を電気導電層および放熱層として形成したものであ
る。電気導電層および放熱層として用いられる金属の材
質としては、電気的接続に使用されるような金属が好適
であり、銅のほか金、銀、ニッケル、アルミニウムなど
を挙げることができる。金属材質としては、不純物とし
て存在する酸化第二銅を還元するために、少量の鉄や銀
などの還元剤としての働きを示す成分を添加した合金が
とりわけ好ましい。
【0029】本発明においては、電気絶縁層である熱可
塑性液晶ポリマーフィルムと電気導電層および放熱層で
ある金属層との層間接着強度が特に重要であり、該層間
接着強度はJIS C 5016に準じ、180°法に
より、配線回路の金属層を50mm/分の速度で剥離し
たときの強度として定義される。湿熱処理された後の層
間接着強度としては、0.6kg/cm以上が必要であ
り、湿熱処理前の層間接着強度をできるだけ保持するこ
とが好ましい。層間接着強度が0.6kg/cmを下回
ると、湿熱処理中に電気絶縁層に含有された水分が湿熱
処理後の急激な処理圧力の減少によって、電気導電層お
よび放熱層として働く金属層と電気絶縁層との各層間で
膨張するために、層間でふくれが発生して電気回路を断
線するために使用できない。
【0030】本発明において、電気導電層および放熱層
として働く金属層に好ましく使用される銅箔としては、
圧延法、電気分解法などによって製造される何れのもの
でも用いることができる。表面が平滑な圧延銅箔を使用
した場合は、湿熱処理前における層間接着強度は0.6
kg/cmよりも僅かに大きいが、湿熱処理による層間
接着強度の低下が小さいので、本発明において前記圧延
銅箔を使用することができる。このような圧延法によっ
て製造される圧延銅箔は、その製造工程における圧延工
程において通称オイルピットと呼ばれる細かい凹凸(J
IS B 0601に規定された中心線平均粗さRaと
して、0.02〜0.3μm)が存在することが好まし
い。電気分解法によって製造される電解銅箔の表面の粗
いものを使用した場合は、湿熱処理前における層間接着
強度は0.6kg/cmよりも大きいが、湿熱処理によ
る層間接着強度の低下が大きいので、注意が必要であ
る。電解銅箔のこのような挙動は、その製造工程におい
て大きな凹凸(JIS B0601に規定された最大高
さRmaxとして、5〜20μm)が存在するためであ
る。この大きな凹凸に加えて細かい凹凸(JIS B
0601に規定された中心線平均粗さRaとして、0.
5〜3μm)が存在することが、湿熱処理後に湿熱処理
前の層間接着強度を保持するという観点から好ましい。
【0031】金属箔には、銅箔に対して通常施される酸
洗浄などの化学的処理を施したり、ヒンダードフェノー
ル系の酸化防止剤またはトリアゾール系の防錆剤、塩化
第一錫水溶液に代表される還元剤などが、本発明の効果
を損なわない範囲内で塗布されていてもよい。用いられ
る金属箔の厚さは、10〜100μmの範囲内が好まし
く、10〜35μmの範囲内がより好ましい。
【0032】熱可塑性液晶ポリマーフィルムの両面への
電気導電層および放熱層として働く金属層の形成は、上
記の金属箔を真空熱プレス装置や加熱ロール積層設備等
を用いて熱圧着させる方法のほかに、蒸着、スパッタリ
ング、めっきなどによりフィルム上に金属層を直接形成
する方法等を採用することができる。
【0033】本発明における湿熱処理は、最高温度とし
て128℃で、最高の水蒸気圧力として2.3気圧で実
施される。通常のプリント配線基板の規格としては、例
えばJEDEC STANDARD JESD22−A
102−Bには絶縁材の湿熱処理標準条件として121
±1℃の処理温度において100%相対湿度で最長33
6時間が明記されているが、半導体搭載用の配線回路基
板のメーカーでは、更に促進条件として127±1℃の
飽和水蒸気中で最長192時間で実施されており、ごく
小さな外観変化(ふくれ)も許容されないのが実状であ
る。通常、時間と共に異常部が増加するので、外観変化
が発生しない限り湿熱処理の時間が長い程、信頼性が大
きいとされている。
【0034】本発明の易放熱性回路基板にスルーホール
を形成する方法としては、ドリルによる加工法や、炭酸
ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーなど
のレーザーによる加工法を採用することができる。スル
ーホール形成時の発熱で、孔内に付着した熱可塑性液晶
ポリマーの切削クズ(スミヤ)は、汎用の市販薬剤を用
いて、化学的に溶解除去することが好ましい。
【0035】また、本発明の易放熱性回路基板のスルー
ホールにめっきを施す方法としては、従来周知の方法を
採用することができ、無電解銅めっきと電解銅めっきに
よるパターンめっきおよび/またはパネルめっきを順次
施せばよい。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものでは
ない。なお、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの膜厚およ
び層間接着強度、外観変化(ふくれ)は、以下の方法に
より測定した。 (A)膜厚 デジタル厚み計(株式会社ミツトヨ製)を用い、熱可塑
性液晶ポリマーフィルムをTD方向に1cm間隔で測定
し、中心部および端部から任意に選んだ10点の平均値
を膜厚とした。 (B)層間接着強度 熱可塑性液晶ポリマーフィルムと金属層との積層体から
1.0cm幅の剥離試験片を作製し、そのフィルム層側
を両面接着テープで平板に固定し、JIS C5016
に準じ、180°法により、金属層側を50mm/分の
速度で剥離したときの強度を測定した。 (C)外観変化(ふくれ) 熱可塑性液晶ポリマーフィルムと金属層との積層体から
6cm幅、長さ10cmの剥離試験片を複数枚作製し、
所定の湿熱処理条件で処理した後に金属層表面のふくれ
を観察した。全くふくれがない場合を○、直径1mm以
下のふくれが観察された場合を△、直径1.5mm以上
のふくれが観察された場合を×とした。
【0037】〔参考例1〕p−ヒドロキシ安息香酸と6
−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が2
80℃である熱可塑性液晶ポリマーを吐出量20kg/
時で溶融押出し、横延伸倍率4.77倍、縦延伸倍率
2.09倍の条件でインフレーション製膜した。平均膜
厚が50μm、膜厚分布が±7%、分子配向度SORが
1.05の熱可塑性液晶ポリマーフィルムを得た。
【0038】〔実施例1〕参考例1の熱可塑性液晶ポリ
マーフィルムの上下両面に厚さ18μmの電解銅箔(表
面粗さRmaxが8μmで中心線平均粗さRaが1.2
μm)を重ね合わせた。真空熱プレス装置を用いて、加
熱盤を290℃に設定し、30kg/cm 2 の圧力で加
熱圧着して、電解銅箔/熱可塑性液晶ポリマーフィルム
/電解銅箔の構成の積層体を作製した。つぎに、電解銅
箔の片面部のみに線幅5mmの層間接着強度測定用の配
線回路を化学エッチング法により形成し、反対面側の電
解銅箔はそのまま残して、電気導電層(配線回路)/電
気絶縁層(熱可塑性液晶ポリマーフィルム)/放熱層か
らなる易放熱性回路基板を作製した。
【0039】作製した易放熱性回路基板を、湿熱処理条
件として、(a)20±1℃、65%相対湿度で、96
時間保存した後に、(b)オートクレーブ中に入れ、
(c)127±1℃、2.3気圧の水蒸気圧力で所定時
間保存し、(d)室温まで冷却した後に、(e)20±
1℃、65%相対湿度で、2時間保存した。所定時間後
に層間の外観変化(ふくれ)を観察した。観察後に、線
幅5mmの層間接着強度測定用の配線回路を電気絶縁層
から剥離して、層間剥離強度を測定した。これらの結果
を表6に示す。電気絶縁層と配線回路の層間接着強度
は、200時間後において0.65kg/cmであり、
電気絶縁層と配線回路間、および電気絶縁層と放熱層間
に全く外観変化(ふくれ)が観察されず、良好であっ
た。
【0040】〔実施例2〕実施例1で使用した厚さ18
μmの電解銅箔に変えて厚さ18μmの圧延銅箔(中心
線平均粗さRaが0.3μm)を使用した以外は、実施
例1と同様に所定時間の湿熱処理を行って、外観変化と
層間接着強度を測定した。これらの結果を表6に示す。
電気絶縁層と配線回路の層間接着強度は、200時間後
において0.66kg/cmであり、電気絶縁層と配線
回路間、および電気絶縁層と放熱層間に全く外観変化
(ふくれ)が観察されず、良好であった。
【0041】〔実施例3〕実施例1で使用した厚さ18
μmの電解銅箔に変えて厚さ10μmの圧延銅/鉄合金
の圧延箔(サンアルミニウム工業株式会社製、FDC
箔、中心線平均粗さRaが0.3μm)を使用した以外
は、実施例1と同様に所定時間の湿熱処理を行って、外
観変化と層間接着強度を測定した。これらの結果を表6
に示す。電気絶縁層と配線回路の層間接着強度は、20
0時間後において0.80kg/cmであり、電気絶縁
層と配線回路間、および電気絶縁層と放熱層間に全く外
観変化(ふくれ)が観察されず、良好であった。
【0042】
【表6】
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、上記実施
例から明らかなとおり、最高温度128℃、最高水蒸気
圧力2.3気圧で湿熱処理された後でも層間接着強度が
高いので、湿熱に対する信頼性に優れた易放熱性回路基
板を得ることができ、半導体実装用回路基板として有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 敏昭 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 Fターム(参考) 4F100 AB01B AB01C AB17 AB33 AK41 AR00A AT00A BA03 BA10B BA10C EJ20 EJ42 EJ59 GB43 JG01B JG04A JJ01 JJ01C JL11 YY00A 5E338 AA01 AA16 BB63 BB71 CC01 CD11 EE02 EE30

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可
    塑性ポリマーからなるフィルム(以下、これを熱可塑性
    液晶ポリマーフィルムと称する)からなる電気絶縁層
    と、前記電気絶縁層の一方の面に設けられて配線回路を
    形成する金属層からなる電気導電層と、他方の面に設け
    られて配線回路からの熱を外部に放散させる金属層から
    なる放熱層とを備えた易放熱性回路基板であって、 128℃以下の温度で2.3気圧以下の水蒸気圧力で湿
    熱処理された後でも、前記電気絶縁層と電気導電層また
    は放熱層との間の層間接着強度が0.6kg/cm以上
    である耐湿熱性の優れた易放熱性回路基板。
  2. 【請求項2】 湿熱処理の時間が200時間以内である
    請求項1に記載の易放熱性回路基板。
  3. 【請求項3】 電気絶縁層である熱可塑性液晶ポリマー
    フィルムの分子配向度SORが0.8≦SOR≦1.3
    である請求項1または2に記載の易放熱性回路基板。
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