JP4004139B2 - 多層積層板とその製造方法および多層実装回路基板 - Google Patents

多層積層板とその製造方法および多層実装回路基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的異方性の溶融相を形成し得るポリマー(以下、これを液晶性ポリマーと略称する)からなるフィルムを用いた多層積層板とその製造方法および多層実装回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子・電気工業分野において機器の小型化・軽量化の要求から、FPC(フレキシブルプリント配線板)の需要が増大しつつある。このFPCの一般的な製法は、基材フィルムの少なくとも一方の面に銅箔等の金属箔を積層した後、電気回路を形成する。基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が多用されている。しかし、これらフィルムは耐熱性が低いので、FPCへの部品実装時に、該FPCをハンダ浴へ浸漬するような場合に不都合を招く。そこで、耐熱性に優れた液晶性ポリマーフィルムが基材フィルムとして注目されている。
【0003】
また、多層積層板は、化学組成および耐熱性(融点)の異なる材料からなるシートを用い、各シートに配線パターンを形成したのち、これらを組み合わせ熱圧着して作製する。このとき、多層積層板の各層の材料が同一融点であれば、熱圧着時に両方の材料が溶けてしまうので、その融点を他方側材料の融点よりも高くする必要がある(特開平8−97565号公報参照)。また、融点の異なる材料は、化学組成が互いに異なっているのが通常である。したがって、融点の異なる材料を用いると、多層積層板の加工工程や製品後の環境変化により剥離したり、基板廃棄時の処理方法など様々な問題が発生している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
液晶性ポリマーからなるフィルムやシート(以下、これらをフィルムと総称する場合がある)は、高強力と高弾性率を有し、また耐熱性、耐薬品性等にも優れた性能を有している。しかし、このようなフィルムを多層積層板に利用するにしても、上記場合と同様の不都合が発生する。つまり、多層積層板を製造するためには、熱圧着する上で種々の異なる融点をもつ耐熱材料を用いる必要があるが、異種の材料の組み合わせでは環境変化により剥離したりする。しかも、屈曲性が乏しかったり、個々の材料に由来する寸法安定性の違いから長期的な使用を想定した場合不安定な点がある。
【0005】
さらに、近年関心が増大している廃棄物処理において、異種の材料を分別回収することが必要であるために廃棄コストの増大を招くことになる。一方、同種の材料の組み合わせであれば、このような問題は発生しないだけでなく、液晶性ポリマーの熱可塑性という性質を利用して、安価な回収手段を使用して回収できるだけでなく、回収品の再使用も可能となる利点がある。
【0006】
本発明者等は、以上のように優れた特長を有する液晶性ポリマーからなるフィルムを多層積層板に利用することについて研究を続けた結果、該フィルムに特殊な熱処理を施せば、その融点(耐熱性)を任意に調節できて、フィルム間の熱圧着による接着一体化を確実に行えることを見出した。つまり、フィルムの熱処理中における融解ピーク温度に対し、熱処理温度を融点より低い温度に設定して、熱処理により増加したフィルムの融解ピーク温度を逐次追いかけながら増加させることにより、同一化学組成で耐熱性の異なるフィルムが得られることを見出した。
【0007】
そこで、本発明の目的は、高強力と高弾性率を有し、また耐熱性、耐薬品性に優れ、しかも加工工程や製品後の環境変化により剥離したり、基板廃棄時の問題を招くことがなく、長期的に安定使用ができる多層積層板とその製造方法および多層実装回路基板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の多層積層板は、同一化学組成を有する液晶性ポリマーから複数のフィルムを作製し、次いで該フィルムと被着体(金属)との積層体を複数作製し、前記複数の積層体を熱圧着によって接合するに際し、
(1)接合された状態で隣接する一方の積層体のフィルムと、他方の積層体のフィルムとを相対向させる場合には、両者のフィルムが互いに少なくとも10℃異なる耐熱性を有する積層体を選択し、また
(2)接合された状態で隣接する一方の積層体の被着体と、他方の積層体の被着体とを相対向させる場合には、両者の間に、両者のフィルムと少なくとも10℃異なる耐熱性を有し、かつ前記フィルムと同一化学組成を有する液晶性ポリマーから作製されるフィルムからなる中間シートを介装して、
熱圧着によって接合することにより容易に製造される。
【0009】
このようにして製造される多層積層板は、液晶性ポリマーから作製されるフィルムと被着体との積層体が複数、熱圧着によって接合されており、接合された状態で隣接する一方の積層体の被着体と、他方の積層体の被着体とが相対向している場合には、両者の間に液晶性ポリマーから作製されるフィルムからなる中間シートが介装されており、前記積層体のフィルムおよび中間シートは同一化学組成であり、かつ隣接するフィルムおよび中間シートに、互いに異なる耐熱性が付与されている。
【0010】
本発明で用いるフィルム(およびシート)の原料である液晶性ポリマーの具体例としては、以下に例示する(1)から(4)に分類される化合物およびその誘導体から導かれる公知のサーモトロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロピック液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。ただし、高分子液晶を形成するためには、種々の原料化合物の組み合わせには適当な範囲があることは言うまでもない。
【0011】
(1)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物(代表例は表1参照)
【0012】
【表1】
Figure 0004004139
【0013】
(2)芳香族または脂肪族ジカルボン酸(代表例は表2参照)
【0014】
【表2】
Figure 0004004139
【0015】
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表例は表3参照)
【0016】
【表3】
Figure 0004004139
【0017】
(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参照)
【0018】
【表4】
Figure 0004004139
【0019】
(5)これらの原料化合物から得られる液晶性ポリマーの代表例として表5に示す構造単位を有する共重合体(a)〜(e)を挙げることができる。
【0020】
【表5】
Figure 0004004139
【0021】
これらの液晶性ポリマーは、フィルムの耐熱性、加工性の上から200〜400℃、特に250〜350℃の範囲内に光学的異方性の溶融相への転移温度を有するものが好ましい。また、フィルムとしての物性を損なわない範囲内で、滑剤、酸化防止剤、充填材等を配合してもよい。
【0022】
上記液晶性ポリマーよりなるフィルムは、Tダイ法、インフレーション法、これらの方法を組み合わせた方法等の公知の製造方法によって成形される。特にインフレーション法では、フィルムの機械軸方向(以下、MD方向と略す)だけでなく、これと直交する方向(以下、TD方向と略す)にも応力が加えられて、MD方向とTD方向との間における機械的性質および熱的性質のバランスのとれたフィルムが得られる。
【0023】
また、上記フィルムの厚みとしては、特に制限されるものではないが、プリント配線板用途においては、5mm以下が好ましく、0.1〜3mmがより好ましい。FPC用途においては、500μm以下が好ましく、10〜250μmが一層好ましい。
【0024】
上記フィルムに積層する被着体 ( 金属)の材質としては、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの液晶ポリマーフィルムより高い融点を有するものが例示される。熱伝導率の高い材質のものは、熱処理時に液晶性ポリマーフィルムの温度を所望の温度まで速やかに上昇させるのに有効であり、ひいては熱処理操作の所要時間を短縮することが可能となるので、好ましい。また、被着体の形状としては、フィルム、シート、板などの少なくとも液晶性ポリマーフィルムと積層する面が概して平面状(微小な凹凸を有してもよい)であるものが、熱処理時における液晶性ポリマーフィルムの好ましからざる流動を防止できる点から望ましい。被着体としては、銅箔等の金属箔が好適に用いられる。かかる被着体の厚みは、用途により選択されるものであり、特に制限はない。例えば、プリント配線板であるFPC用途の場合、10〜100μmであることが好ましい。またフィルムの被着体層を半導体の動作時における損失電力によって生ずる熱を効率よく放熱する放熱板の絶縁体として用いる場合、放熱板の厚みは0.1〜5mm程度が好ましい。
【0025】
上記フィルムと被着体との接着は、例えば熱プレス、熱ローラー等の熱圧着によって行うのが適当である。圧着温度は、用いられる液晶性ポリマーフィルムの種類により異なるが、昇温条件下における液晶相への転移温度より80℃低い温度から、該液晶相への転移温度より20℃高い温度の範囲内であることが好ましい。また、フィルムと被着体との接着には接着剤を利用してもよい。さらに、被着体上に溶融した液晶性ポリマーをフィルム状に押出して積層させてもよい。
【0026】
以上のようにフィルムと被着体を接着してなる積層体は、その複数枚を熱圧着により接合一体化して多層積層板とされる。このとき、接合一体化される各積層体の被着体が互いに対向する場合、これら両者の間には、各積層体のフィルムと同一材質(化学組成)の液晶性ポリマーフィルムから作製され、かつ互いに異なる耐熱性が付与された電気絶縁用の中間シートを介装させる。そして、かかる多層積層板には、例えば電子部品が搭載されて多層実装回路基板とされる。
【0027】
上記積層体と中間シートを確実に熱圧着して実用に耐え得る十分な強度とするためには、両者の液晶性ポリマーフィルムの耐熱温度の差を少なくとも10℃とすることが好ましい。2つの積層体の被着体同士が互いに対向しない場合、中間シートは割愛できる。その場合、接合される2つの積層体のフィルム同士の間で、耐熱温度に10℃以上の差をもたせるのが好ましい。
【0028】
また、上記液晶性ポリマーフィルムと被着体との接着を熱圧着により行う場合には、熱圧着時に樹脂流れをなくし、かつフィルムと被着体間の接着強度を高めるためには、フィルムの流れを熱圧着前に対し10%以下(好ましくは5%以下)とし、両者の接着強度を0.5Kg/cm以上とすることが好ましい。つまり、一般的にFPCやガラス強化樹脂積層板を製造する場合、熱硬化性樹脂板や熱可塑性樹脂板と被着体を熱圧着するときには、10〜20重量%の樹脂流れが発生することがある。この流れ出した樹脂は製品を汚染するので、製品から汚れを除去するためには非常に多くの労力を要し、各社個々の技術により努力しているのが現状である。しかし、以上のようにすれば、熱圧着時に樹脂流れがほとんど発生しないので、後処理が簡単となって良好な製品が得られる。また、両者の接着強度を0.5Kg/cm以上とすることにより、フィルムと被着体間の接着強度が実用に耐え得る十分な強度にまで高められる。
【0029】
さらに、上記積層体や中間シートとなる液晶性ポリマーフィルムは、その融点(耐熱性)を調節するために、次のような熱処理を行う。つまり、示差走査熱量計により不活性雰囲気中5℃/分の昇温速度で測定した時の熱処理中における液晶性ポリマーフィルムの融解ピーク温度をTAとしたとき、フィルムの熱処理温度をTA−20℃とし、該熱処理により増加したフィルムのTAに応じて熱処理温度を増加させる。このようにすれば、同一化学組成の液晶性ポリマーフィルムを用いるにもかかわらず、積層体のフィルムと中間シートの耐熱性を変えることができるので、これら両者の熱圧着による接着一体化が確実に行える。この結果、積層体と中間シートの液晶性ポリマーフィルムが本来具有する高強力と高弾性率を有し、また耐熱性と耐薬品性に優れ、しかも加工工程や製品後の環境変化により剥離したり、基板廃棄時の問題を招くこともなく、長期的に安定使用が可能な多層積層板が得られる。
【0030】
上記不活性雰囲気とは、窒素、アルゴン等の不活性ガス中あるいは減圧下を意味し、酸素等の活性ガスが0.1体積%以下であることを言う。
【0031】
上記融解ピーク温度TAは、示差走査熱量計を用いてフィルムの熱挙動を観察して測定した。つまり、フィルムを5℃/分の速度で昇温した時に現れる吸熱ピークの位置をTAとした。
【0032】
上記液晶性ポリマーフィルムの熱処理は、目的により緊張下あるいは無緊張下で行なう。また、熱処理は、ロール状(すきまを設けて触れあうことを阻止する)、カセ状(ガス透過性の良好なスペーサーと共に巻く)やトウ状(金網等に乗せる)で行ってもよいし、あるいはローラーを用いて連続的に行ってもよい。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は二層構造の多層積層板1を示しており、該積層板1は2枚の積層体2,2から形成される。この積層体2は、電気絶縁層である液晶性ポリマーフィルム3の少なくとも一方の面に、被着体である銅箔4を熱プレスにより接着して形成される。上記各積層体2には、その銅箔4をエッチング処理することにより、導電パターン41やスルーホール42が形成されている。また、隣接する積層体2,2の間には、相対向する導電パターン41,41同士が接触するのを阻止するために、液晶性ポリマーフィルムからなる中間シート5を介装する。この状態で2つの積層体2,2の外面側(図1の上下側)から熱圧着して3者2,5,2を接合し、積層板1を作製する。そして、上記積層体2のフィルム3に設けた配線導体43にICチップなどの電子部品6を搭載して、多層実装回路基板7としている。ここで、中間シート5の耐熱性、つまり耐熱温度は、隣接する前記フィルム3とは異なっている。なお、隣接する積層体2,2の導電パターン41,41同士が対向しない場合は、中間シート5を設けなくてもよい。
【0034】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
(1) 先ず、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸単位27モル%、p−ヒドロキシ安息香酸単位73モル%からなるサーモトロピック液晶性ポリエステルを単軸押出機を用いて280〜300℃で加熱混練し、直径40mm、スリット間隔0.6mmのインフレーションダイより押出し、厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの融点は280℃であった。
(2) 上記で得られたフィルムについて、熱処理によるTA の変化を調べるため、窒素雰囲気中、260℃で熱処理し、1時間単位でDSC(示差走査熱量計)によるフィルム層のTAの測定を行った。その結果、未処理では280℃、1時間では285℃、2時間では296℃、4時間では306℃と上昇する。したがって、260℃で1時間の熱処理を行った後、熱処理温度265℃で1時間、次いで275℃で2時間の熱処理を施してフィルムを作製した。得られたフィルムのTAは315℃であった。
(3) 上記(2)で得られたフィルムに、そのTAと同じ温度で厚さ18μmの電解銅箔を真空熱プレス機により接着して積層体を作製した。次いで、2枚の積層体の間に上記実施例1の(1)で得られたフィルムを中間シートとして挟み、300℃で10分間、30Kg/cm2の圧力で真空プレス機を用い熱接着して多層積層板を形成した。樹脂流れだし量は3%であった。得られた多層積層板について、接着強度、200℃×30分加熱後の外観、寸法安定性についての評価を行った結果は、表6に示す通りである。
【0035】
実施例2
(1) 上記実施例1の(1)で得られたフィルムを260℃で1時間の熱処理を行った後、熱処理温度265℃で1時間、次いで275℃で6時間の熱処理を施してフィルムを作製した。得られたフィルムのTAは330℃であった。
(2) 上記(1)で得られたフィルムに、そのTAと同じ温度で厚さ18μmの電解銅箔を真空熱プレス機により接着して積層体を作製した。次いで、2枚の積層体の間に上記実施例1の(1)で得られたフィルムを中間シートとして挟み、290℃で10分間、30Kg/cm2の圧力で真空プレス機を用い熱接着して多層積層板を形成した。樹脂流れだし量は2%であった。得られた多層積層板について、実施例1と同様の評価を行った結果は、表6に示す通りである。
【0036】
比較例1
(1)上記実施例1の(1)で得られたフィルムを260℃で1時間の熱処理を行ってフィルムを作製した。得られたフィルムのTA は285℃であった。
(2)上記(1)で得られたフィルムに、そのTA と同じ温度で厚さ18μmの電解銅箔を真空熱プレス機により接着し、積層体を作製した。次いで、2枚の積層体の間に上記実施例1の(1)で得られたフィルムを中間シートとして挟み、290℃で10分間、30Kg/cm2 の圧力で真空プレス機を用い熱接着して多層積層板を形成した。樹脂流れ出し量は15%と多かった。得られた多層積層板の中央部分の良好と思われる場所について実施例1と同様の評価を行った結果は、表6に示す通りである。
【0037】
比較例2
上記実施例1の(1)で得られたフィルムを、熱処理を施すことなく、そのまま各実施例と同様な方法で、厚さ18μmの電解銅箔に挟み、280℃で10分間、30Kg/cm2の圧力で熱接着して積層体を得た。そして、この積層体に寸法安定性評価用の基準マークのみ残し、それ以外の銅箔を除去した。次いで、2枚の積層体の間に松下電工株式会社製の厚さ0.10mmのエポキシマルチ(FR−4)のプリプレグを入れ、製造元の積層条件にて多層積層した。得られた多層積層板についての評価は、表6に示す通りである。
【0038】
多層積層板の最外層と隣接した層間の接着強度は、1.5cm幅に切り取ったサンプルを両面接着テープで平板に固定し、JIS C 5016に準じ、180°法によりサンプルから剥離した最外層を、50mm/分の速度で引き剥がしたときの強度を測定した。
【0039】
また、200℃×30分加熱後の外観は、得られた多層積層板と積層板を200℃の熱風循環式乾燥機中へ30分間静置し、取り出した後、剥離や反りなどを観察した。
【0040】
さらに、寸法安定性については、IPC−TM−650 2.2.4に準じて測定した。多層積層板の場合は、多層積層板の最外層になる積層体の寸法安定性を評価した。
【0041】
【表6】
Figure 0004004139
【0042】
上記表6から明らかなように、比較例1,2によれば、反りや樹脂流れ出しが発生して200℃×30分加熱後の外観が悪く、寸法安定性も悪い。一方、実施例1、2によれば、接着強度を大とし、200℃×30分加熱後の外観および寸法安定性を良好にできる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、高強力と高弾性率を有し、また耐熱性、耐薬品性に優れ、しかも加工工程や製品後の環境変化により剥離したり、基板廃棄時の問題を招くこともなく、長期的に安定使用ができる多層積層板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる多層積層板を用いた多層実装回路線板の断面図である。
【符号の説明】
2…積層体、3…液晶性ポリマーフィルム、4…被着体、5…中間シート、7…多層実装回路基板。

Claims (5)

  1. 光学的異方性の溶融相を形成し得るポリマーから作製されるフィルムと金属との積層体が複数、熱圧着によって接合されており、
    (1)接合された状態で隣接する一方の積層体のフィルムと、他方の積層体のフィルムとを相対向させる場合には、両者のフィルムが互いに異なる耐熱性を有する積層体を選択し、また
    (2)接合された状態で隣接する一方の積層体の金属と、他方の積層体の金属とが相対向している場合には、両者の間に光学的異方性の溶融相を形成し得るポリマーから作製されるフィルムからなる中間シートが介装されており、
    前記積層体のフィルムおよび中間シートは、同一化学組成であり、かつ隣接するフィルム同士または前記積層体のフィルムと中間シートとは、互いに異なる耐熱性が付与されており、
    前記隣接するフィルム同士またはフィルムと中間シートの耐熱温度の差が少なくとも10℃あることを特徴とする多層積層板。
  2. 請求項1において、前記フィルムと金属の熱圧着時のフィルムの流れが熱圧着前に対し10%以下であり、かつ両者の接着強度が0.5Kg/cm以上であることを特徴とする多層積層板。
  3. 光学的異方性の溶融相を形成し得る、同一化学組成を有するポリマーから複数のフィルムを作製し、次いで該フィルムと金属との積層体を複数作製し、
    前記複数の積層体を熱圧着によって接合するに際し、
    (1)接合された状態で隣接する一方の積層体のフィルムと、他方の積層体のフィルムとを相対向させる場合には、両者のフィルムが互いに少なくとも10℃異なる耐熱性を有する積層体を選択し、また
    (2)接合された状態で隣接する一方の積層体の金属と、他方の積層体の金属とを相対向させる場合には、両者の間に、両者のフィルムと少なくとも10℃異なる耐熱性を有し、かつ光学的異方性の溶融相を形成し得る、前記フィルムと同一化学組成を有するポリマーから作製されるフィルムからなる中間シートを介装して、
    熱圧着によって接合することを特徴とする多層積層板の製造方法。
  4. 請求項3において、前記フィルムを熱処理して作製するに際し、示差走査熱量計により不活性雰囲気中5℃/分の昇温速度で測定した時の熱処理中におけるフィルムの融解ピーク温度TA に対し、熱処理温度をTA −20℃とし、該熱処理により増加したフィルムの融解ピーク温度TA に応じ、熱処理温度を増加させることを特徴とする多層積層板の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載された多層積層板に電子部品を搭載してなる多層実装回路基板。
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