JP2001015933A - 熱融着性絶縁シート - Google Patents

熱融着性絶縁シート

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JP2001015933A JP11185844A JP18584499A JP2001015933A JP 2001015933 A JP2001015933 A JP 2001015933A JP 11185844 A JP11185844 A JP 11185844A JP 18584499 A JP18584499 A JP 18584499A JP 2001015933 A JP2001015933 A JP 2001015933A
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紳月 山田
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浩一郎 谷口
Toshihiro Miyake
敏広 三宅
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 プリント配線板と被接着物の両者間を電気的
に絶縁し、かつ熱融着可能な熱融着性絶縁シートについ
て、耐熱性に優れ、かつ260℃以下の低温に加熱した
際にプリント配線板と被接着物との接着に適当な流動性
を示して接着可能であり、しかも比較的短時間で接着可
能な熱融着性絶縁シートを提供することである。 【解決手段】 熱融着性絶縁シートが、結晶融解ピーク
温度260℃以上のポリアリールケトン樹脂65〜35
重量%と、非晶性ポリエーテルイミド樹脂35〜65重
量%とを含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、この熱
可塑性樹脂組成物は、示差走査熱量測定で昇温した時に
測定されるガラス転移温度が150〜230℃、結晶融
解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱
量ΔHcとの関係が下記の式(I) で示される関係を満た
す特性であることを特徴とする熱融着性絶縁シートとす
る。 式(I): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.5

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プリント配線板
と被接着物の両者間を電気的に絶縁しかつ熱融着するプ
リント配線板用の熱融着性絶縁シートに関する。
【0002】
【従来の技術】プリント配線板の絶縁層を形成する素材
として、ガラス繊維の不織布に熱硬化性のエポキシ樹脂
を含浸して得られるプリプレグが知られている。
【0003】このようなプリプレグは、通称、ガラスエ
ポキシ樹脂とも呼ばれるものであり、銅張積層板を作製
する際に銅箔の間に挟んだ状態で、圧力10〜40kg
f/cm2 、温度170〜230℃、時間30〜120
分程度の条件で熱プレス成形して硬化させている。
【0004】銅張積層板を回路形成したガラスエポキシ
樹脂基材のプリント配線基板は、基板同士を複数枚貼り
合わせて多層化する場合があり、その際に、エポキシ樹
脂系の接着性シート(フィルム状のものを含む)を2枚
以上のプリント配線基板の間に挟んで加熱加圧する方法
が採用される。
【0005】また、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂
に代えて、耐熱性熱可塑性樹脂を採用する場合があり、
例えばプリント配線板の絶縁層を形成する耐熱性熱可塑
性樹脂としては、ポリエーテルケトン樹脂やポリイミド
樹脂が知られている。これらの樹脂は、高温で電気絶縁
性に優れており、耐熱性の要求される配線板の回路導通
の信頼性を高めるために好ましい材料である。
【0006】ところで、ガラスエポキシ樹脂や耐熱性熱
可塑性樹脂を絶縁材料とし、作製されたプリント配線板
を2枚以上重ね合わせて多層化する場合や、プリント配
線板に金属板を重ねて放熱性を高める場合に、層間を接
着するための接着剤としてエポキシ樹脂が使用されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、プリント配線
板を接着する用途にエポキシ樹脂を使用するには、26
0℃以上の高温に加熱加圧して細かいピッチで配線され
た印刷回路を完全に埋め込んで絶縁性を確実にする必要
があり、そのために加熱および冷却の工程(昇・降温工
程)に長時間を費やし、接着工程の効率が悪いという問
題点がある。また、ポリエーテルケトンのような耐熱性
に優れた結晶性樹脂は、融点近くまで加熱しなければ接
着性が得られず、また融点を越えると一転して低溶融粘
度で流動するので、加圧接着が困難な樹脂である。
【0008】なお、ポリイミド樹脂は、前述のように耐
熱性に優れ、耐薬品性および電気絶縁性に優れている
が、吸湿性が大きく、平滑面に対する接着性が悪いとい
う欠点があり、プリント配線板用の接着剤として使用す
ることは技術的に困難な点が多い。
【0009】そこで、この発明の課題は上記した問題点
を解決し、プリント配線板と被接着物の両者間を電気的
に絶縁し、かつ熱融着可能な熱融着性絶縁シートについ
て、耐熱性に優れ、かつ260℃以下の低温に加熱した
際にプリント配線板と被接着物との接着に適当な流動性
を示して接着可能であり、しかも比較的短時間で接着可
能な熱融着性絶縁シートを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明においては、プリント配線板とその表面
に接着される被接着物に介在し、両者間を電気的に絶縁
しかつ熱融着するプリント配線板用の熱融着性絶縁シー
トにおいて、この熱融着性絶縁シートが、結晶融解ピー
ク温度260℃以上のポリアリールケトン樹脂65〜3
5重量%と、非晶性ポリエーテルイミド樹脂35〜65
重量%とを含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、この
熱可塑性樹脂組成物は、示差走査熱量測定で昇温した時
に測定されるガラス転移温度が150〜230℃、結晶
融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化
熱量ΔHcとの関係が下記の式(I) で示される関係を満
たす特性であることを特徴とする熱融着性絶縁シートと
したのである。
【0011】 式(I): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.5 上記の被接着物としては、プリント配線板または金属板
を使用することができる。
【0012】上記したこの発明の熱融着性絶縁シート
は、プリント配線板と被接着物の両者間を接着する際に
使用されるものであり、これを構成する熱可塑性樹脂
は、ガラス転移温度が150〜230℃のものであり、
かつ結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生す
る結晶化熱量ΔHcとの関係が前記式(I) で示される関
係を満たすものであって、加熱加圧による熱融着時には
250℃以下という比較的低温の条件で熱可塑性樹脂の
弾性率が適度に低下し、微細な配線ピッチにも熱可塑性
樹脂が確実に充填されて、電気的絶縁の信頼性が極めて
高い多層プリント配線板や、良放熱性の金属ベースプリ
ント配線板などを製造できる。
【0013】また、上記熱可塑性樹脂組成物は、熱融着
時の加熱によりポリアリールケトン樹脂の結晶性を適当
に進行させるので、260℃に耐えるハンダ耐熱性を確
実に有する絶縁性を示し、機械的強度および電気的絶縁
性にも優れた絶縁層を形成できる。
【0014】そして、上記熱可塑性樹脂組成物は、金属
製の導体箔との接着強度が大きいので、表面に導体箔か
らなる導体回路を有するプリント配線板と、これに重ね
た被接着物は強固に接着される。通常、表面粗化銅箔等
の表面が粗化されている金属製の導体箔が採用される
が、表面が粗化された被接着物は粗化されていない被接
着物に比べて接着強度をより大きくできる。
【0015】
【発明の実施の形態】この発明において熱融着性絶縁シ
ートを構成する第1の成分であるポリアリールケトン樹
脂は、その構造単位に芳香核結合、エーテル結合および
ケトン結合を含む熱可塑性樹脂であり、すなわち、フェ
ニルケトンとフェニルエーテルの組み合わせ構造からな
る耐熱性の結晶性高分子である。
【0016】ポリアリールケトン樹脂の代表例として
は、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリエーテルケトンケトンなどがあるが、この発明
においては、下記の化1の式に示されるポリエーテルエ
ーテルケトンが好適なものとして使用できる。
【0017】
【化1】
【0018】熱融着性絶縁シートを構成する第2の成分
である非晶性ポリエーテルイミド樹脂は、その構造単位
に芳香核結合、エーテル結合およびイミド結合を含む非
晶性熱可塑性樹脂であり、この発明においては、下記の
化2の式に示されるポリエーテルイミド樹脂を適用でき
る。
【0019】
【化2】
【0020】そして、熱融着性絶縁シートは、上記した
2種類の耐熱性樹脂を所定の割合でブレンドした組成物
からなり、すなわち、熱可塑性樹脂組成物は、結晶融解
ピーク温度が260℃以上のポリアリールケトン樹脂6
5〜35重量%と非晶性ポリエーテルイミド樹脂35〜
65重量%とからなり、示差走査熱量測定で昇温した時
に測定されるガラス転移温度が150〜230℃のもの
である。
【0021】上記配合割合を限定する理由は、ポリアリ
ールケトン樹脂が65重量%を越えて多量に配合された
り、ポリエーテルイミド樹脂の配合割合が35重量%未
満の少量の配合割合では、組成物の結晶化速度が速くな
り過ぎてその結晶性が高くなりすぎ、熱融着による基板
の接着が困難になったり、結晶化に伴う体積収縮(寸法
変化)が大きくなって回路基板の信頼性が低下するから
である。
【0022】また、ポリアリルケトン樹脂が35重量%
未満であったり、非晶性ポリエーテルイミド樹脂が65
重量%を超えると、組成物の結晶化速度が遅くなりすぎ
てその結晶性が低くなり、たとえ結晶融解ピーク温度が
260℃以上であってもハンダ耐熱性が低下するので、
好ましくない。
【0023】この発明における重要な制御因子である熱
融着性絶縁シートの熱融着前の熱特性は、結晶融解熱量
ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔH
cとの関係が下記の式(I) で示される関係を満たすこと
である。
【0024】 式(I): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.5 (ΔHm−ΔHc)/ΔHmで示される熱特性は、JI
S K 7121、JIS K7122に準じた示差走
査熱量測定で昇温したときのDSC曲線に現れる2つの
転移熱の測定値、結晶融解熱量ΔHm(J/g)と結晶
化熱量ΔHc(J/g)の値から算出される。
【0025】(ΔHm−ΔHc)/ΔHmで示される式
の値は、原料ポリマーの種類や分子量、組成物の配合比
率にも依存しているが、熱融着性絶縁シートの成形・加
工条件に大きく影響する。すなわち、シート状(フィル
ム状の場合を含む)に製膜する際に、原料ポリマーを溶
融させた後、速やかに冷却することにより、前記式の値
を小さくすることができる。また、これらの数値は、各
工程でかかる熱履歴を調整することにより、制御するこ
とができる。ここでいう熱履歴とは、熱融着性絶縁シー
トの温度と、その温度になっていた時間を指し、温度が
高いほど、この数値は大きくなる傾向がある。
【0026】熱融着前の熱融着性絶縁シートの熱特性に
ついては、前記式(I) の右辺で示される値ができるだけ
小さいほうが接着性がよくて好ましい。より好ましい前
記式(I) の右辺の値は0.35以下である。
【0027】そして、熱融着後の熱融着性絶縁シートの
熱特性は、下記式(II)の関係を満たすようにすることが
好ましい。
【0028】 式(II): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≧0.7 上記式(II)の値が、0.7未満の低い値では、熱可塑性
樹脂組成物の結晶化が不充分であり、特にハンダ耐熱性
(通常260℃)を充分に発揮させることが難しくな
る。
【0029】この発明に用いる熱融着性絶縁シートは、
その厚みを特に限定せずに被接着物の接着用途に合わせ
て設定できるものであり、例えば5〜300μm程度の
フィルムであるものを含み、300μmを越えるシート
の場合もあり、フィルムを含むシートとして包括的に総
称するものである。因みに多層プリント配線板の層間接
着用に使用する熱融着性絶縁シートは、25〜300μ
mの厚さのものが好ましい。
【0030】熱融着性絶縁シートの製造方法は、例えば
Tダイを用いた押出キャスト法やカレンダー法などの周
知の製法を採用すればよい。なお、製膜性や安定生産性
の面からTダイを用いた押出キャスト法を採用すること
が好ましい。押出キャスト法の成形温度は、組成物の流
動特性や製膜特性によって適宜に調節するが、概ね組成
物の融点以上、430℃以下である。
【0031】この発明に用いる熱融着性絶縁シートを構
成する熱可塑性樹脂組成物には、この発明の効果を阻害
しない程度に、主成分以外の樹脂その他の添加剤を配合
してもよい。添加剤の具体例としては、熱安定剤、紫外
線吸収剤、光安定剤、着色剤、滑剤、難燃剤、無機フィ
ラーなどが挙げられる。また、熱融着性絶縁シートの表
面に、ハンドリング性改良等のためのエンボス化工やコ
ロナ処理などを施してもよい。
【0032】この発明における被接着物は、通常、プリ
ント配線板の表面に接着される必要のあるものとして、
例えば金属、樹脂、セラミックス、複合材料などが想定
されるものである。被接着物の具体例としては、多層プ
リント配線板を製造する場合に積層一体化される別途調
製されたプリント配線板か、または放熱用の金属板が挙
げられる。
【0033】この発明の熱融着性絶縁シートで接着され
るプリント配線板は、絶縁層の基材や樹脂の種類を特に
限定したものではなく、例えばガラス布基材エポキシ樹
脂、紙基材エポキシ樹脂、ガラス布基材ポリイミド樹
脂、その他周知の材質からなる絶縁層を有するものであ
ってよい。
【0034】被接着物のうち、金属板の金属の種類とし
ては、例えばアルミニウム、鉄、銅、亜鉛が挙げられ
る。放熱用金属板の厚さは、0.1〜3.0mm程度の
ものが好適であり、通常は1.0〜1.6mm程度であ
る。
【0035】また、表面粗化された金属板を使用するこ
とが、接着性を高めるために好ましい。粗化(粗面化)
の方法としては、サンドブラスト法、ショットブラスト
法、ドライホーニング法、化学エッチング法、電解エッ
チング法等の周知の方法が例示できる。
【0036】この発明の熱融着性絶縁シート(実施形
態)の使用例について、以下に添付図面に基づいて説明
する。
【0037】図1に示した第1の使用例は、多層プリン
ト配線板の層間接着用シートとして使用したものであ
り、先ず、図1(a)に示すように、ガラスエポキシ樹
脂基材で絶縁層1を形成した2枚の両面プリント配線板
2を調製し、その間に所定組成で所定熱特性の熱可塑性
樹脂組成物からなる熱融着性絶縁シート3を挟み、これ
らを加熱加圧して積層一体化する。
【0038】両面プリント配線板2の絶縁層1には、予
め、レーザー加工により両面貫通孔4を形成し、この内
部に導電性ペースト5を充填し、その両面に粗化銅箔等
からなる導体箔を真空熱プレス機で熱融着し、さらにサ
ブトラクティブ法によって不要部分を除いてプリント回
路6を形成しておく。
【0039】そして、1枚の両面プリント配線板2の上
面に熱融着性絶縁シート3を重ねると共に、別途調製し
た両面プリント配線板2を重ね、真空積層プレス機など
のプレス機の熱盤の間に入れ、適宜にステンレス板やク
ッション材を介して加熱加圧することにより積層一体化
する。
【0040】この場合に用いる熱融着性絶縁シート3
は、ガラスエポキシ樹脂基材を絶縁層とするプリント配
線板の多層化に適当な温度180〜230℃および圧力
10〜70kg/cm2 で熱融着できるように、ポリア
リールケトン樹脂と、非晶性ポリエーテルイミドを配合
調製したものである。そのような配合例としては、ポリ
アリールケトン樹脂60〜30重量%と、非晶性ポリエ
ーテルイミド40〜70重量%からなる熱可塑性樹脂組
成物を例示できる。
【0041】また、図1では、2枚の両面銅張積層板か
ら形成した2枚の両面プリント配線板2の間に1枚の熱
融着性絶縁シート3を挟んで積層一体化し、4層の多層
プリント配線板を製造した例を示したが、同様の手法を
繰り返すか、または一挙に6層以上の多層プリント配線
板を加熱加圧して製造することもできる。
【0042】図2に示す第2の使用例は、両面プリント
配線板2の片面に熱可塑性樹脂組成物からなる熱融着性
絶縁シート3を介し、銅板からなる金属板7を熱融着し
た金属ベース多層プリント配線板である。
【0043】上記いずれの使用例においても熱融着する
際には、熱可塑性樹脂組成物の結晶融解熱量ΔHmと昇
温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの関係
が式(II)で示される関係を満たすように、例えば230
〜250℃で熱融着する。
【0044】 式(II): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≧0.7 このようにすると、熱可塑性樹脂組成物は、結晶融解ピ
ーク温度(Tc ) 付近まで加熱されてプリント配線板の
導体回路同士、または導体回路と金属板とを確実に熱融
着すると共に絶縁し、また熱可塑性樹脂組成物の結晶化
が進んでハンダ耐熱性に優れた多層プリント配線板を製
造できる。
【0045】
【実施例および比較例】この発明の熱融着性絶縁シート
の実施例1〜3およびこれに対比するための比較例1、
2について以下に説明する。
【0046】〔実施例1〕ポリエーテルエーテルケトン
樹脂(ビクトレックス社製:PEEK381G)(以下
の文中または表1、2において、PEEKと略記す
る。)60重量%と、ポリエーテルイミド樹脂(ゼネラ
ルエレクトリック社製:Ultem−1000)(以下
の文中または表1、2において、PEIと略記する。)
40重量%を溶融混合した。この混合組成物を押出成形
し、厚さ25μmの熱融着性絶縁シートを製造した。
【0047】〔実施例2〕実施例1において、混合組成
物の配合割合をPEEK40重量%、PEI60重量%
としたこと以外は、同様にして熱融着性絶縁シートを製
造した。
【0048】〔実施例3〕実施例1において、混合組成
物の配合割合をPEEK30重量%、PEI70重量%
としたこと以外は、同様にして熱融着性絶縁シートを製
造した。
【0049】〔比較例1、2〕実施例1において、混合
組成物の配合割合をPEEK100重量%(比較例
1)、またはPEI100重量%(比較例2)としたこ
と以外は、同様にしてそれぞれの熱融着性絶縁シートを
製造した。
【0050】上記実施例および比較例の熱融着性絶縁シ
ートの物性を調べるため、以下の(1) および(2) に示す
項目を測定または測定値から計算値を算出した。これら
の結果は、表1にまとめて示した。
【0051】(1) ガラス転移温度(℃)、結晶化温度
(℃)、結晶融解ピーク温度(℃) JIS K7121に準じ、試料10mgを使用し、パ
ーキンエルマー社製:DSC−7を用いて加熱速度を1
0℃/分で昇温した時の上記各温度をサーモグラムから
求めた。
【0052】(2) (ΔHm−ΔHc)/ΔHm JIS K7122に準じ、試料10mgを使用し、パ
ーキンエルマー社製:DSC−7を用いて加熱速度を1
0℃/分で昇温した時のサーモグラムから結晶融解熱量
ΔHm(J/g)と結晶化熱量ΔHc(J/g)を求
め、上記式の値を算出した。
【0053】
【表1】
【0054】〔多層プリント配線板の製造試験〕厚さ5
0μmのガラスエポキシ樹脂基板に、レーザーでインナ
ーバイアホール(inner via hole) 用の孔開け加工を施
し、スクリーン印刷機を用いて孔内に導電性ペースト剤
を充填した。この導電性ペーストを充分に乾燥させた
後、両面に厚さ12μmの電解銅箔(粗面化銅箔)を積
層し、真空雰囲気下760mmHgでプレス温度180
℃、プレス圧力30kg/cm2 、プレス時間60分の
条件で熱融着させ両面銅張積層板を作製した。
【0055】作製した両面銅張積層板にサブトラクティ
ブ法によって回路パターンを形成し、導電性回路をエッ
チングにより形成した配線基板を2枚製造した。
【0056】そして、図1に示すように2枚の両面プリ
ント配線基板2の間に実施例1で得られた厚さ25μm
の熱融着性絶縁シート3(実施例1〜3、比較例1、
2)を1枚挟んで真空雰囲気下760mmHgでプレス
温度240℃、プレス圧力30kg/cm2 、プレス時
間20分の条件でピンラミネーション方式によって熱融
着し、4層の多層プリント配線板を製造した。
【0057】得られた多層プリント配線板に対して層間
剥離の有無を走査型電子顕微鏡(下記の(3) の方法)で
観察し、ハンダ耐熱性を下記の(4) の試験方法で調べ、
これらの結果を表1中に併記した。
【0058】(3) 多層プリント配線板をエポキシ樹脂
に包埋し、精密切断機で断面観察用サンプルを作製し、
走査型電子顕微鏡(SEM)で切断面を観察し、熱融着
性絶縁シートと銅箔製の導電性回路との層間剥離の有無
を評価した。
【0059】(4) ハンダ耐熱性 JIS C6481の常態のハンダ耐熱性に準拠し、2
60℃のハンダ浴に試験片の銅箔側がハンダ浴に接触す
る状態で10秒間浮かべた後、浴から取り出して室温ま
で放冷し、その膨れや剥がれ箇所の有無を目視観察し、
その良否を評価した。
【0060】比較例1の熱融着性絶縁シートは、プレス
温度240℃では結晶化速度が速いので、充分な熱融着
性を示さず、多層プリント配線板を製造できなかった。
【0061】また、比較例2の熱融着性絶縁シートは、
プレス温度240℃では接着性が充分ではなく、積層体
の層間の一部に剥離の発生が観察され、ハンダ耐熱性も
不充分であった。
【0062】これに対して、実施例1〜3の熱融着性絶
縁シートは、プレス温度240℃で接着性が充分である
と共に結晶化も進行し、結晶融解ピーク温度が340℃
以上という優れた耐熱性があり、また積層体の層間剥離
もなく、ハンダ耐熱性も備えた優れた多層プリント配線
板を製造可能であり、接着性および耐熱性に優れたもの
であった。
【0063】
【発明の効果】この発明の熱融着性絶縁シートは、以上
説明したように、プリント配線板用の熱融着性絶縁シー
トを所定の耐熱性を示すポリアリールケトンおよび非晶
性ポリエーテルイミドからなる熱可塑性樹脂組成物で形
成し、ポリアリールケトン樹脂の結晶性を適当に進行さ
せた特性のものを採用したので、このような熱融着性絶
縁シートは、260℃以下の低温に加熱した際にプリン
ト配線板と被接着物との接着に適した流動性を示して比
較的短時間で接着可能であり、しかも熱融着後には26
0℃に耐えるハンダ耐熱性を示し、機械的強度および電
気絶縁性にも優れた絶縁層を形成できるという利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の使用例である多層プリント配線板の
製造工程図
【図2】実施形態の使用例である金属ベース多層プリン
ト配線板の要部拡大断面図
【符号の説明】
1 絶縁層 2 両面プリント配線板 3 熱融着性絶縁シート 4 両面貫通孔 5 導電性ペースト 6 プリント回路 7 金属板
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08J 5/18 CEZ C08J 5/18 CEZ (72)発明者 高木 潤 滋賀県長浜市三ッ矢町5番8号 三菱樹脂 株式会社長浜工場内 (72)発明者 谷口 浩一郎 滋賀県長浜市三ッ矢町5番8号 三菱樹脂 株式会社長浜工場内 (72)発明者 三宅 敏広 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 小島 克明 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 4F071 AA51 AA60 AF43 AH13 BA01 BB02 BB04 BB06 BC01 CA01 CB06 CC02 CD02 4J002 CH09W CM042 GQ01 4J004 AA11 AB03 BA02 EA05 FA05 5E346 AA06 AA11 AA12 AA15 AA16 AA26 CC08 CC10 DD02 EE06 EE08 EE18 EE20 GG28 HH08 HH11

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プリント配線板とその表面に接着される
    被接着物に介在し、両者間を電気的に絶縁しかつ熱融着
    するプリント配線板用の熱融着性絶縁シートにおいて、 この熱融着性絶縁シートが、結晶融解ピーク温度260
    ℃以上のポリアリールケトン樹脂65〜35重量%と、
    非晶性ポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とを含
    有する熱可塑性樹脂組成物からなり、この熱可塑性樹脂
    組成物は、示差走査熱量測定で昇温した時に測定される
    ガラス転移温度が150〜230℃、結晶融解熱量ΔH
    mと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcと
    の関係が下記の式(I) で示される関係を満たす特性であ
    ることを特徴とする熱融着性絶縁シート。 式(I): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.5
  2. 【請求項2】 被接着物が、プリント配線板または金属
    板である請求項1記載の熱融着性絶縁シート。
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