JP2008034724A - 低誘電配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 所定の成形材料1を使用して絶縁基板3を圧縮成形し、圧縮成形した絶縁基板3の両面のうち少なくとも片面に銅箔層を積層し、銅箔層をエッチングしてパターン層を形成する。成形材料1を、少なくとも粉末の熱可塑性樹脂と大量の低誘電フィラーとを用いて調製する。焼成により製造されたセラミック製の高価な絶縁基板を使用しないので、安価に製造することができる。また、粉末化された熱可塑性樹脂と低誘電フィラーの材料選択により、ガラスクロス等を使用することなく低誘電配線板の強度を向上させ、使用時の損傷を有効に防止することができる。
【選択図】 図2
Description
また、成形材料の熱可塑性樹脂を液晶ポリマーとすることが好ましい。
また、成形材料を中空の低誘電フィラーとすることができる。
また、金型に成形材料を投入して絶縁基板を圧縮成形する際、金型をバンピングすることができる。
また、成形材料を使用して貫通孔付きの絶縁基板を圧縮成形することが可能である。
さらに、絶縁基板の両面に導電層をそれぞれ設けるとともに、絶縁基板の厚さ方向に貫通孔を設け、各導電層を加工してパターン層を形成し、貫通孔の内部には、パターン層と導通するスルーホールメッキを施すことも可能である。
実施例1
[絶縁基板の作製]
先ず、熱可塑性樹脂として液晶ポリマー[製品名:E6MP、粒子径:6.2μm(正規分布50%)、住友化学社製]100質量部、低誘電フィラーとしてガラス中空体[製品名:グラスバブルズ S60HS、粒径分布:11μm(10%)、30μm(50%)、50μm(90%)、住友スリーエム社製]80質量部(グラスバブルズ S60HSの体積比率:64.8vol%)とをタンブラーミキサーに投入し、1時間混合分散して成形材料を調製した。
得られた絶縁基板の密度、曲げ強度、曲げ弾性率、体積抵抗率、表面抵抗率、絶縁破壊強さ、比誘電率、誘電正接、及び反りの発生を測定し、その測定結果を表1にまとめた。
密度
絶縁基板の密度の実測値は、JIS K 7112に準じて測定し、平均値をもって絶縁基板の密度とし、標準偏差をもって密度のバラツキとした。密度の計算値は、熱可塑性樹脂の密度と低誘電フィラーの密度から算出した。
絶縁基板の曲げ特性は曲げ強度及び曲げ弾性率を測定し、平均値をもって絶縁基板の曲げ強度及び曲げ弾性率とし、標準偏差をもってバラツキとした。また、曲げ強度及び曲げ弾性率は、JIS K 7171に準じて測定した。また、測定方向のX軸方向は短手方向、Y軸方向を長手方向とした。
JIS K 7194に準じて測定し、平均値をもって絶縁基板の表面抵抗率及び体積抵抗率とし、標準偏差をもってバラツキとした。
JIS K 6911(短時間法)に準じて測定し、平均値をもって絶縁基板の絶縁破壊強さとし、標準偏差をもってバラツキとした。
誘電特性は、1GHz、4GHz、12GHzの比誘電率及び誘電正接を測定し、平均値をもって絶縁基板の比誘電率及び誘電正接とし、標準偏差をもってバラツキとした。1GHzは、インピーダンス・マテリアル・アナライザーを使用した測定法により求めた。また、4GHzと12GHzの誘電特性は、円筒空洞共振器法によりそれぞれ測定した。
反りの発生
絶縁基板の反りの発生は、目視により評価した。
先ず、作製した絶縁基板の表面に平均粒子径が53μmのアルミナを圧力:0.3MPa、速度:2.0m/mimで吹き付けてスキン層を除去し、絶縁基板の表面形状を表面粗さ形状測定機[測定機名:サーフコム480A、ACCRETECH 東京精密社製]を使用して測定した。測定の結果、中心線平均値:2.755μm、最大高さ:18.203μm、十点平均値:11.119μm、最大高さ:28.650μmであった。
スキン層を除去した絶縁基板の片面にエポキシ樹脂付き銅箔[商品名:MHCG100、三井金属鉱業社製]を用いて導電層である銅箔層を接着した。エポキシ樹脂付き銅箔は、18μmの厚さを有する銅箔に、厚さ3μmのエポキシ樹脂が積層されたタイプを使用した。また、銅箔層の接着に際しては、真空圧縮成形機を使用し、温度180℃、圧力10MPaの条件で3時間実施した。また、剥離強度(90°剥離)は1.3KN/mであり、十分に使用可能な剥離強度を有していた。さらに、絶縁基板や銅箔層を目視により観察したところ、反りのないのを確認した。
[絶縁基板の作製]
先ず、熱可塑性樹脂としてポリイミド[製品名:オーラム PD450、粒径分布:5〜100μm 、三井化学社製]100質量部、低誘電フィラーとして石炭灰中空体[製品名:イースフィアーズ SL75、粒度範囲:20〜75μm、太平洋セメント社製]60質量部(石炭灰中空体の体積比率:51.2vol%)とをタンブラーミキサーに投入し、1時間混合分散して成形材料を調製した。
得られた絶縁基板の曲げ強度、曲げ弾性率、体積抵抗率、表面抵抗率、絶縁破壊強さ、比誘電率、誘電正接、及び反りの発生を測定し、測定結果を表1にまとめた。
作製した絶縁基板の表面に平均粒子径が53μmのアルミナを圧力:0.3MPa、速度:2.0m/mimで吹き付けてスキン層を除去し、絶縁基板の表面形状を表面粗さ形状測定機[測定機名:サーフコム480A、ACCRETECH 東京精密社製]を使用して測定した。結果は、中心線平均値:1.818μm、最大高さ:14.699μm、十点平均値:9.978μm、最大高さ:18.573μmであった。
スキン層を除去した絶縁基板の両面に酸素プラズマをそれぞれ照射した。この酸素プラズマ照射は、真空度が5.0×10-2mbarに達した後、表2の条件下で実施した。酸素プラズマを照射したら、直ちに絶縁基板の両面に厚さ:25μmのアミド−エポキシ系接着絶縁材[製品名:KS7003、日立化成社製]を介して厚さ17μmの電解銅箔[製品名JTC−1/3−oz、日鉱グレード・フォイル社製]を銅箔層として接着した。
[絶縁基板の作製]
先ず、熱可塑性樹脂として、ポリフェニレンサルファイド[製品名:トレリナ E2180、東レ社製]を粉砕し、150メッシュパスとしたポリフェニレンサルファイド100質量部と、低誘電フィラーとしてガラス中空体[製品名:グラスバブルズ S60HS、粒径分布:15μm(10%)、30μm(50%)、55μm(90%)、住友スリーエム社製]100質量部(グラスバブルズ S60の体積比率:69.1vol%)とをタンブラーミキサーに投入し、1時間混合分散して成形材料を調製した。
次いで、圧力を解放し、再び熱板を水冷した400t圧縮成形機を使用してゲージ圧力5MPaで5分間冷却しながら圧縮成形を行い、厚さ0.5mmの絶縁基板を作製した。冷却5分後の金型の温度は74℃であった。
絶縁基板の片面に酸素プラズマ照射をそれぞれ施した。この酸素プラズマ照射は真空度が5.0×10-2mbarに達した後、表2の条件下で実施した。照射後、直ちに絶縁基板の片面に厚さ:25μmのアミド−エポキシ系接着絶縁材[製品名:KS6600−7F、日立化成社製]を介して厚さ17μmの電解銅箔[製品名JTC−1/3−oz、日鉱グレード・フォイル社製]を銅箔層として接着した。
先ず、熱可塑性樹脂として、液晶ポリマー[製品名:E7MP、粒子径:6.0μm(正規分布50%)、住友化学社製]100質量部、低誘電フィラーとして液晶ポリマー[製品名:E6MP.粒子径6.2μm(正規分布50%)、住友化学社製]80質量部とをタンブラーミキサーで混合後、40メッシュの金網を3回通過させ、混合分散して成形材料を調製した。
得られた絶縁基板の曲げ強度、曲げ弾性率、体積抵抗率、表面抵抗率、絶縁破壊強さ、比誘電率、誘電正接、及び反りの発生を測定し、その測定結果を表3にまとめた。
作製した絶縁基板の表面に平均粒子径が53μmのアルミナを圧力:0.3MPa、速度:2.0m/mimで吹き付けてスキン層を除去し、絶縁基板の表面形状を表面粗さ形状測定機[測定機名:サーフコム480A、ACCRETECH 東京精密社製]を使用して測定した。測定の結果は、中心線平均値:3.066μm、最大高さ:19.894μm、十点平均値:14.796μm、最大高さ:23.014μmであった。
スキン層を除去した絶縁基板の両面に上記エポキシ樹脂付き銅箔[製品名:MHCG100、三井金属鉱業社製]を用いて銅箔層をそれぞれ接着した。この銅箔層の接着に際しては、真空圧縮成形機を使用し、温度180℃、圧力10MPaの条件で3時間実施した。また、銅箔層の剥離強度(90°剥離)は1.5KN/mであり、十分に使用可能な剥離強度を有していた。さらに、絶縁基板や銅箔層を目視により観察したところ、反りのないのを確認した。
実施例1で得られた絶縁基板の両面に実施例2と同様の方法により酸素プラズマ照射をそれぞれ施した。
次いで、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン[製品名:KBE−903、信越化学工業社製]の0.5wt%水溶液に10秒間浸漬し、絶縁基板の表面をγ-アミノプロピルトリエトキシシラン処理した。
銅箔層の密着をクロスカット法により試験した。クロスカット法は、絶縁基板上の銅箔層をナイフで5mm間隔で碁盤目状にカットした後、粘着テープを貼り付け、引き剥がし、銅箔層の剥離状態を目視により評価する方法である。結果は、銅箔層の剥離が認められなかった。
[絶縁基板の作製]
先ず、熱硬化性樹脂として一液性エポキシ樹脂[製品名:XN1245SR、ナガセケムテックス社製]100質量部と、低誘電フィラーとして石炭灰中空体[製品名:イースフィアーズ SL75、粒度範囲:20〜75μm、太平洋セメント社製]60質量部(石炭灰中空体の体積比率:51.9vol%)とを容器に投入し、攪拌機で1時間混合分散して成形材料を調製した。
得られた絶縁基板の曲げ強度、曲げ弾性率、体積抵抗率、表面抵抗率、絶縁破壊強さ、比誘電率、誘電正接、及び反りの発生を測定し、測定結果を表4にまとめた。
絶縁基板の両面に酸素プラズマをそれぞれ照射した。この酸素プラズマ照射は、真空度が5.0×10-2mbarに達した後、表2の条件下で実施した。酸素プラズマを照射したら、絶縁基板の片面に厚さ25μmのアミド−エポキシ系接着絶縁材[製品名:KS7003、日立化成社製]を介して厚さ17μmの電解銅箔[製品名JTC−1/3−oz、日鉱グレード・フォイル社製]を銅箔層として接着した。
[絶縁基板の作製]
先ず、熱可塑性樹脂として液晶ポリマー[製品名:SMP−01、住友化学社製]100質量部と、低誘電フィラーとしてガラス中空体[製品名:グラスバブルズS60HS、粒度分布:11μm(10%)、30μm(50%)、50μm(90%)、住友スリーエム社製]80質量部(グラスバブルズS60HSの体積比率:64.8vol%)とをタンブラーミキサに投入し、1時間混合分散して成形材料を調製した。
作製した絶縁基板の表面に平均粒子径が53μmのアルミナを圧力:0.3MPa、速度:2.0m/mimで吹き付けてスキン層を除去し、絶縁基板の表面形状を表面粗さ形状測定機[測定機名:サーフコム480A、ACCRETECH 東京精密社製]を使用して測定した。測定の結果は、中心線平均値:3.063μm、最大高さ:20.357μm、十点平均値:12.425μm、最大高さ:30.784μmであった。
スキン層を除去した絶縁基板の片面にエポキシ樹脂付き銅箔[製品名:MHCG100、三井金属鉱業社製]を用いて銅箔層をそれぞれ接着した。この銅箔層の接着に際しては、真空圧縮成形機を使用し、温度:180℃、圧力:10MPaの条件で3時間実施した。また、銅箔層の剥離強度(90°剥離)は、1.2KN/mであり、十分に使用可能な剥離強度を有していた。また、接着した銅箔層を目視により観察したところ、著しく大きな反りを確認した。
実施例1〜4により得られた絶縁基板の曲げ特性は、X軸方向とY軸方向の差10%以下で異方性が認められなかった。また、表面抵抗率は1015Ω/□以上、体積抵抗率は1015Ω・cm以上、絶縁破壊強さは20KV/mmであり、優れた絶縁性を有していた。 絶縁基板の12GHzの高周波領域における比誘電率は3.0以下又は12GHzの高周波領域の誘電正接は0.001以下であった。
以上の結果より、本発明により得られる絶縁基板は、低誘電性配線板の絶縁基板として十分に使用することが可能である。
2 金型
3 絶縁基板
4 銅箔層(導電層)
5 パターン層
10 貫通孔
11 スルーホールメッキ
Claims (4)
- 少なくとも粉末の熱可塑性樹脂を含む成形材料を使用して絶縁基板を圧縮成形し、この圧縮成形した絶縁基板の両面のうち少なくとも片面に導電層を設け、この導電層を加工してパターン層を形成することを特徴とする低誘電配線板の製造方法。
- 絶縁基板の両面に導電層をそれぞれ設け、各導電層を加工してパターン層を形成し、絶縁基板に設けた貫通孔の内部にパターン層と導通するスルーホールメッキを施す請求項1記載の低誘電配線板の製造方法。
- 成形材料の熱可塑性樹脂を液晶ポリマーとする請求項1又は2記載の低誘電配線板の製造方法。
- 成形材料は低誘電フィラーを含み、この低誘電フィラーを粉末の液晶ポリマー、フッ素樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、ガラスバルーン、石炭灰中空体、あるいはシラスバルーンとする請求項1、2、又は3記載の低誘電配線板の製造方法。
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