JP2013208891A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁層上に金属層が設けられた積層体で、前記金属層が除去された後でも反りの発生が抑制された積層体と、その製造方法の提供。
【解決手段】
第一の金属層11、4つの絶縁基材120、及び第二の金属層13を、これらの厚さ方向においてこの順に重ね、これらを、第一の金属層11側及び第二の金属層13側から、第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82で、矢印A方向に挟み込みつつ、加熱プレスするに際し、第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82を、200℃における熱膨張係数が12ppm以下であるものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁層の両面に金属層を備えた積層体と、その製造方法に関する。
携帯電話、パソコン、デジタル家電など種々の電子機器に組み込まれるプリント配線板(プリント基板、プリント回路基板)には、絶縁層上に金属層が設けられた積層体が用いられる。このときの絶縁層としては、例えば、無機クロスに樹脂が含浸された樹脂含浸基材等が汎用されており、なかでも樹脂として液晶ポリエステルを用いた絶縁層は、寸法安定性に優れるため、特に好適なものである(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第08/143455号
しかし、樹脂含浸基材等からなる従来の絶縁層上に金属層を設けて積層体とした後、金属層をエッチング等で除去して得られた絶縁層は、反りが生じてしまうという問題点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、絶縁層上に金属層が設けられた積層体で、前記金属層が除去された後でも反りの発生が抑制された積層体と、その製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、
本発明は、液晶ポリエステルを含む絶縁層の両面に金属層を備えた積層体の製造方法であって、前記絶縁層の両面に前記金属層を重ねて、これらを前記金属層側からプレス部材で挟み込みつつ、加熱プレスする工程を有し、前記プレス部材は、200℃における熱膨張係数が12ppm以下であることを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
本発明の積層体の製造方法においては、前記絶縁層が、無機クロスに、溶媒可溶性で且つ流動開始温度が250℃以上である前記液晶ポリエステルが含浸されたものであることが好ましい。
本発明の積層体の製造方法においては、前記液晶ポリエステルが、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される繰返し単位を有することが好ましい。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−X−Ar−Y−
(式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基であり;Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar−Z−Ar
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基である。)
本発明の積層体の製造方法においては、前記一般式(3)において、X及び/又はYがイミノ基であることが好ましい。
また、本発明は、上記本発明の製造方法で製造されたことを特徴とする積層体を提供する。
本発明によれば、絶縁層上に金属層が設けられた積層体で、前記金属層が除去された後でも反りの発生が抑制された積層体と、その製造方法が提供される。
本発明に係る積層体の製造方法を説明するための概略断面図である。 本発明に係る、複数の積層体を同時に製造する方法を説明するための概略断面図である。
本発明に係る積層体の製造方法は、液晶ポリエステルを含む絶縁層の両面に金属層を備えた積層体の製造方法であって、前記絶縁層の両面に前記金属層を重ねて、これらを前記金属層側からプレス部材で挟み込みつつ、加熱プレスする工程を有し、前記プレス部材は、200℃における熱膨張係数が12ppm以下であることを特徴とする。
本発明においては、絶縁層とその両面に重ねられた金属層とを加熱プレスすることにより、絶縁層及び金属層が互いに熱融着して一体化し、積層体が得られる。そして、前記プレス部材は、加熱プレスする工程において、二つの金属層にそれぞれ重ねて配置し、加熱プレス機からの熱及び圧力を金属層及び絶縁層に伝達するものであり、200℃における熱膨張係数が12ppm以下であるものを用いることで、金属層が除去された後の積層体(すなわち、絶縁層)は、反りの発生が大幅に抑制される。
図1は、本発明に係る積層体の製造方法を説明するための概略断面図であり、(a)は加熱プレスする工程での各構成要素を例示する断面図、(b)は得られた積層体を例示する断面図である。ここでは、絶縁層が複数の絶縁基材からなる複数層のものである場合について説明するが、絶縁層は単層からなるものでもよい。
絶縁層12は、4つのシート状の絶縁基材120がこれらの厚さ方向に重ねられて構成されるものであり、これら絶縁基材120は、単独でも絶縁層とすることができるものである。
絶縁基材120は、すべて同じでもよいし、一部が異なっていてもよく、すべて異なっていてもよい。
なお、ここでは、絶縁層として4つの絶縁基材から構成されるものを示しているが、本発明において用いる絶縁基材が複数の場合、その数は2以上であればよく、目的に応じて任意に選択できる。
加熱プレス工程においては、例えば、図1(a)に示すように、第一の金属層11、4つの絶縁基材120、及び第二の金属層13を、これらの厚さ方向においてこの順に重ね、第一の金属層11上に第一のプレス部材81を、第二の金属層13上に第二のプレス部材82を、それぞれ重ねて配置し、第一の金属層11、絶縁基材120(絶縁層12)及び第二の金属層13を、第一の金属層11側及び第二の金属層13側から、第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82で、矢印A方向に挟み込む。
なお、ここでは見易くするために、絶縁基材等を互いに離間させて示しているが、加熱プレス時にはすべて重ねて配置される。
絶縁基材120(絶縁層12)は、液晶ポリエステルを含み、例えば、溶媒及び液晶ポリエステルを含む液晶ポリエステル液状組成物(以下、「液状組成物」ということがある。)、好ましくは液晶ポリエステルが溶媒に溶解された液状組成物(液晶ポリエステル溶液)を基材に含浸させ、溶媒を除去することで得られる。
液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
液晶ポリエステルの典型的な例としては、
(I)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合(重縮合)させてなるもの、
(II)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、
(III)芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合させてなるもの、
(IV)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重合させてなるもの
が挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリエステルは、下記一般式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を有することが好ましく、繰返し単位(1)と、下記一般式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)と、下記一般式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)とを有することがより好ましい。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−X−Ar−Y−
(式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基であり;Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar−Z−Ar
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基である。)
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、1〜10であることが好ましい。
前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、6〜20であることが好ましい。
前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される前記基毎に、それぞれ独立に2個以下であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
前記アルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基及び2−エチルヘキシリデン基が挙げられ、その炭素数は1〜10であることが好ましい。
繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(1)としては、Arが1,4−フェニレン基であるもの(p−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位)、及びArが2,6−ナフチレン基であるもの(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)としては、Arが1,4−フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが1,3−フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが2,6−ナフチレン基であるもの(2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位)、及びArがジフェニルエ−テル−4,4’−ジイル基であるもの(ジフェニルエ−テル−4,4’−ジカルボン酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)としては、Arが1,4−フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p−アミノフェノール又はp−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位)、及びArが4,4’−ビフェニリレン基であるもの(4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジアミノビフェニルに由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(1)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量をその各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30〜80モル%、さらに好ましくは30〜60モル%、特に好ましくは30〜40モル%である。
繰返し単位(2)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10〜35モル%、さらに好ましくは20〜35モル%、特に好ましくは30〜35モル%である。
繰返し単位(3)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10〜35モル%、さらに好ましくは20〜35モル%、特に好ましくは30〜35モル%である。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)の含有量が多いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶媒に対する溶解性が低くなり易い。
繰返し単位(2)の含有量と繰返し単位(3)の含有量との割合は、[繰返し単位(2)の含有量]/[繰返し単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1〜1/0.9、より好ましくは0.95/1〜1/0.95、さらに好ましくは0.98/1〜1/0.98である。
なお、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)を、それぞれ独立に2種以上有してもよい。また、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)以外の繰返し単位を有してもよいが、その含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(3)として、X及び/又はYがイミノ基(−NH−)であるものを有すること、すなわち、所定の芳香族ヒドロキシルアミンに由来する繰返し単位及び/又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位を有することが好ましく、繰返し単位(3)として、X及び/又はYがイミノ基であるもののみを有することがより好ましい。このようにすることで、液晶ポリエステルは溶媒に対する溶解性がより優れたものとなる。
液晶ポリエステルは、これを構成する繰返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(プレポリマー)を固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や強度・剛性が高い高分子量の液晶ポリエステルを操作性良く製造することができる。溶融重合は、触媒の存在下で行ってもよく、この場合の触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、好ましくは250℃以上、より好ましくは250℃〜350℃、さらに好ましくは260℃〜330℃である。流動開始温度が高いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、高過ぎると、溶媒に対する溶解性が低くなり易かったり、後述する液状組成物の粘度が高くなり易かったりする。
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
液状組成物に含まれる前記溶媒としては、用いる液晶ポリエステルが溶解可能なもの、具体的には50℃にて1質量%以上の濃度([液晶ポリエステル]/[液晶ポリエステル+溶媒]×100)で溶解可能なものが、適宜選択して用いられる。
前記溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;p−クロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタフルオロフェノール等のハロゲン化フェノール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;トリエチルアミン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環芳香族化合物;アセトニトリル、スクシノニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(N−メチル−2−ピロリドン)等のアミド;テトラメチル尿素等の尿素化合物;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物;ヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸等のリン化合物が挙げられ、これらの2種以上を用いてもよい。
溶媒としては、腐食性が低く、取り扱い易いことから、非プロトン性化合物、特にハロゲン原子を有しない非プロトン性化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める非プロトン性化合物の割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%である。
また、前記非プロトン性化合物としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミドを用いることが好ましい。
また、溶媒としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、双極子モーメントが3〜5である化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める、双極子モーメントが3〜5である化合物の割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%であり、前記非プロトン性化合物として、双極子モーメントが3〜5である化合物を用いることが好ましい。
また、溶媒としては、除去し易いことから、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を主成分とするとする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める、1気圧における沸点が220℃以下である化合物の割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%であり、前記非プロトン性化合物として、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を用いることが好ましい。
液状組成物中の液晶ポリエステルの含有量は、液晶ポリエステル及び溶媒の合計量に対して、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは15〜45質量%であり、所望の粘度の液状組成物が得られるように、適宜調整される。
液状組成物は、充填材、添加剤、液晶ポリエステル以外の樹脂等の他の成分を1種以上含んでもよい。
前記充填材の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の無機充填材;硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリル樹脂等の有機充填材が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0〜100質量部である。
前記添加剤の例としては、レべリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤及び着色剤が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0〜5質量部である。
前記液晶ポリエステル以外の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、液晶ポリエステル以外のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部である。
液状組成物は、液晶ポリエステル、溶媒、及び必要に応じて用いられる他の成分を、一括で又は適当な順序で混合することにより調製することができる。他の成分として充填材を用いる場合は、液晶ポリエステルを溶媒に溶解させて、液晶ポリエステル溶液を得、この液晶ポリエステル溶液に充填材を分散させることにより調製することが好ましい。
液状組成物を含浸させる前記基材の例としては、無機繊維及び/又は炭素繊維からなるものが挙げられる。
前記無機繊維の例としては、ガラス繊維、アルミナ系繊維、ケイ素含有セラミック系繊維等のセラミック繊維が挙げられ、この場合の前記基材としては、無機繊維からなるシート、すなわち無機クロスが好ましく、これらの中でも入手性が良好であることから、主としてガラス繊維からなるシート、すなわちガラスクロスが好ましい。
前記ガラスクロスとしては、含アルカリガラス繊維、無アルカリガラス繊維又は低誘電ガラス繊維からなるものが好ましい。また、ガラスクロスを構成する繊維は、その一部にガラス以外のセラミックからなるセラミック繊維又は炭素繊維が混入していてもよい。また、ガラスクロスを構成する繊維は、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理されていてもよい。
これら繊維からなるガラスクロスの製造方法の例としては、ガラスクロスを形成する繊維を水中に分散させ、必要に応じてアクリル樹脂等の糊剤を添加して、抄紙機にて抄造後、乾燥させることで不織布を得る方法や、公知の織成機を用いる方法が挙げられる。
繊維の織り方としては、平織り、朱子織り、綾織り、ななこ織り等が利用できる。織り密度は、10〜100本/25mmであることが好ましい。
前記ガラスクロスの単位面積当たりの質量は、10〜300g/mであることが好ましい。
前記ガラスクロスの厚さは、好ましくは10〜200μmであり、より好ましくは10〜180μmである。
前記ガラスクロスは、市販品でもよい。容易に入手可能な市販品のガラスクロスとしては、電子部品の絶縁含浸基材用のものが例示でき、旭シュエーベル株式会社、日東紡績株式会社、有沢製作所株式会社等から入手できる。
なお、市販品のガラスクロスで好適な厚さのものとしては、IPC呼称で1035、1078、2116、7628のものが例示できる。
基材に液状組成物を含浸させる方法としては、浸漬槽中の前記液状組成物に基材を浸漬する方法が例示できる。この方法においては、液状組成物の液晶ポリエステルの含有量、浸漬時間、浸漬した基材の液状組成物からの引き上げ速度を適宜調節することで、基材への液晶ポリエステルの付着量を容易に制御できる。
液状組成物を含浸させた基材から溶媒を除去する方法は、特に限定されないが、操作が簡便である点で、溶媒を蒸発させる方法が好ましく、加熱、減圧及び通風のいずれかを単独で、又は二つ以上を組み合わせて蒸発させる方法が例示できる。
溶媒を除去して得られた液晶ポリエステル含浸基材における液晶ポリエステルの付着量は、液晶ポリエステル含浸基材に対して30〜80質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましい。
前記液晶ポリエステル含浸基材(絶縁基材)は、さらに加熱処理を行うことが好ましい。絶縁基材を加熱処理することで、含浸されている液晶ポリエステルをより高分子量化でき、耐熱性をより向上させることができる。
加熱処理は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。そして、加熱温度は、好ましくは240〜330℃であり、より好ましくは250℃を越える温度であり、さらに好ましくは260〜320℃である。下限値以上とすることで、得られる積層体の耐熱性がより向上する。加熱時間は、好ましくは1〜30時間、より好ましくは1〜10時間である。下限値以上とすることで、得られる積層体の耐熱性がより向上し、上限値以下とすることで、積層体の生産性がより向上する。
絶縁基材120の厚さは、好ましくは5〜200μmであり、より好ましくは10〜185μmである。
第一の金属層11及び第二の金属層13の材質は、銅、アルミ、銀又はこれらから選択される1種以上の金属を含む合金が好ましい。なかでも、より優れた導電性を有する点から、銅又は銅合金が好ましい。そして、第一の金属層11及び第二の金属層13は、材料の取扱いが容易で、簡便に形成でき、経済性にも優れる点から、金属箔からなるものが好ましく、銅箔からなるものがより好ましい。第一の金属層11及び第二の金属層13の材質は、互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。
第一の金属層11及び第二の金属層13の厚さは、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは3〜70μmである。
第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82は、それぞれ200℃における熱膨張係数が12ppm以下のものである。これらプレス部材を用いることで、第一の金属層11及び第二の金属層13が除去された後の積層体(すなわち、絶縁層12)は、反りの発生が大幅に抑制される。
そして、第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82の200℃における熱膨張係数は、好ましくは11.5ppm以下、より好ましくは10.5ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。また、前記熱膨張係数の下限値は、特に限定されない。
前記熱膨張係数を有する具体的な材質の例としては、SUS420J2(JIS規格)、NSS431DP−2(日新製鋼社規格)等のステンレス鋼;Fe−Ni合金、Ti−6Al−4V合金(チタン合金)等の合金;チタン等の単体金属が挙げられる。
第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82の熱膨張係数を規定する「200℃」という温度は、通常、液晶ポリエステルのガラス転移点よりも低い温度であり、絶縁層12中で液晶ポリエステルは流動性を有しない。このような液晶ポリエステルの流動性が失われた状態において、第一の金属層11及び第二の金属層13にそれぞれ接触する第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82の材質を、熱膨張係数が12ppm以下という膨張率が低いものとすることで、上記のように反りの発生が抑制される。
第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82の厚さは、それぞれ0.5〜10mmであることが好ましく、0.7〜7mmであることがより好ましく、1〜5mmであることがさらに好ましい。下限値以上であることにより、これらプレス部材の耐久性が向上し、上限値以下であることにより、積層体の生産性が向上する。
第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82は、互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。例えば、第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82の200℃における熱膨張係数は、互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよいが、同じであることが好ましく、異なっている場合、これらの熱膨張係数の差が小さいほど好ましい。このようにすることで、反りの発生を抑制するより優れた効果が得られる。
第一の金属層11の第一のプレス部材81との接触面11aは、全面が第一のプレス部材81と接触していることが好ましい。同様に、第二の金属層13の第二のプレス部材82との接触面13aは、全面が第二のプレス部材82と接触していることが好ましい。
加熱プレスの条件は、真空条件下、例えば、0.5kPa以下等の減圧下で行うことが好ましい。
加熱プレスのその他の条件は、絶縁層12の大きさ及び形状、並びに第一の金属層11及び第二の金属層13の厚さ及び材質に応じて適宜最適化できるが、積層体の表面平滑性が良好となるように調節することが好ましい。
例えば、加熱温度は絶縁基材120の作製時に溶媒を除去した後、加熱処理工程を行っている場合には、この加熱処理時の温度に応じて調節することが好ましく、この加熱処理時の最高温度Tmax℃よりも高い温度であることが好ましく、Tmaxよりも5℃以上高い温度であることがより好ましい。加熱プレス時の加熱温度の上限値は、用いた液晶ポリエステルの分解温度を下回るように設定すればよいが、前記分解温度よりも30℃以上低い温度であることが好ましい。液晶ポリエステルの分解温度は、例えば、熱重量減少分析等の公知の手法で測定できる。
また、加熱プレス時の圧力は、1〜30MPaであることが好ましく、時間は5〜60分であることが好ましい。
加熱プレス時には、図1(a)に示すように、第一の金属層11、4つの絶縁基材120、及び第二の金属層13を、上記のように第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82で挟み込んだまま、これらプレス部材で矢印A方向に加熱プレスする。加熱プレスにより、第一の金属層11及び最上層の絶縁基材120、最下層の絶縁基材120及び第二の金属層13、並びに4つの絶縁基材120が、互いに熱融着して一体化した積層体1が得られる。
加熱プレス時には、第一のプレス部材81上には第一の緩衝材91を、第二のプレス部材82上には第二の緩衝材92を、それぞれ重ねて配置し、これら緩衝材を介して第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82を矢印B方向にプレスすることが好ましい。このようにすることで、被プレス面(第一の金属層11の第一のプレス部材81との接触面11a、第二の金属層13の第二のプレス部材82との接触面13a)を、より均等にプレスできる。
第一の緩衝材91及び第二の緩衝材92の材質の例としては、アラミド樹脂、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)、カーボン繊維、アルミナ繊維等の無機繊維等、耐熱性を有するものが挙げられ、アラミド樹脂、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)が好ましい。また、第一の緩衝材91及び第二の緩衝材92は、不織布からなるものが好ましい。
第一の緩衝材91及び第二の緩衝材92は、互いに同じものでもよいし、異なるものでもよい。
本発明に係る積層体の製造方法は、上記の方法に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、一部構成を適宜変更してもよい。
例えば、ここでは、4つの絶縁基材120を第一の金属層11及び第二の金属層13と共に加熱プレスすることで、絶縁層12を形成する方法について説明したが、本発明においては、4つの絶縁基材120があらかじめ一体化されて形成済みの絶縁層12を用いて、これを第一の金属層11及び第二の金属層13と共に加熱プレスしてもよい。
また、ここでは、第一の金属層11、4つの絶縁基材120、及び第二の金属層13を、第一の金属層11側及び第二の金属層13側から加熱プレス場合について説明したが、本発明においては、第一の金属層11側及び第二の金属層13側の少なくとも一方から加熱プレスすればよい。
また、加熱プレスは、例えば、ロールツーロール方式等の連続式で行ってもよい。この場合には、例えば、図1に示す第一の金属層11、4つの絶縁基材120、及び第二の金属層13として、それぞれ長尺のものを用い、これらを送り出しロールから送り出すと共に、巻き取りロールで巻き取るようにし、途中で順次加熱プレスするように構成することで、同様に積層体を製造できる。このとき、図1に示す第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82に代えて、少なくとも第一の金属層11及び第二の金属層13との接触面が、200℃における熱膨張係数が12ppm以下の材質で構成されたロール状のプレス部材を用いてもよい。
加熱プレス工程においては、第一の金属層11、4つの絶縁基材120、及び第二の金属層13を、これらの厚さ方向に配置したものを1つの構成単位とし、第一のプレス部材81又は第二のプレス部材82と同様のプレス部材(以下、「第三のプレス部材」という。)を介して、この構成単位をさらに厚さ方向に複数配列させて、これらをまとめて加熱プレスすることにより、複数の積層体を同時に製造できる。図2は、このような複数の積層体を同時に製造する方法を説明するための概略断面図である。ここでは、前記構成単位が第三のプレス部材83を介して3つ配置され、最下層の構成単位の第一の金属層11上に第一のプレス部材81を重ね、最上層の構成単位の第二の金属層13上に第二のプレス部材82を重ねて配置し、三つの構成単位を第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82で矢印A方向に挟み込み、第一の緩衝材91及び第二の緩衝材92を介して、第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82を矢印B方向にプレスする例を示している。ただし、前記構成単位の数はこれに限定されず、加熱プレス工程を行うのに支障が無い限り、2以上であればいくつでもよい。
上記の製造方法で製造された、本発明に係る積層体は、両面の金属層がエッチング等で共に除去された後も、反りの発生が大幅に抑制されるので、電子機器に組み込まれるプリント配線板等の製造用の材料として有用である。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。なお、液晶ポリエステルの流動開始温度は、以下の方法で測定した。
(液晶ポリエステルの流動開始温度の測定)
フローテスター(島津製作所社製、CFT−500型)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を測定した。
<液晶ポリエステル液状組成物の製造>
[製造例1]
(液晶ポリエステルの製造)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(モル比10.5)、4−ヒドロキシアセトアニリド(モル比9.75)、イソフタル酸(モル比9.75)及び無水酢酸(モル比23.25)を仕込み、反応器内のガスを窒素ガスで十分に置換した後、窒素ガス気流下で攪拌しながら、15分間かけて室温から150℃まで昇温し、この温度(150℃)を保持して3時間還流させた。
次いで、留出する副生成物の酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、170分間かけて300℃まで昇温し、トルクの上昇が認められた時点を反応終了時点とみなし、反応器から内容物を取り出した。この内容物を室温まで冷却し、得られた固形物を粉砕機で粉砕し、比較的低分子量の液晶ポリエステルの粉末を得た。この液晶ポリエステル粉末の流動開始温度は235℃であった。この液晶ポリエステル粉末を窒素ガス雰囲気下において223℃で3時間加熱処理することにより、固相重合を行った。固相重合後の液晶ポリエステルの流動開始温度は270℃であった。
(液晶ポリエステル液状組成物の製造)
液晶ポリエステル(28.2質量部)を、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(100質量部)に加え、100℃で2時間加熱して、液晶ポリエステル液状組成物(液晶ポリエステル溶液)を得た。東機産業社製のB型粘度計「TVL−20型」(ローターNo.21、回転速度5rpm)を用いて、23℃において、この液晶ポリエステル液状組成物の粘度を測定したところ、0.32Pa・s(320cP)であった。
<積層体の製造>
[実施例1]
図1を参照して説明した製造方法により、積層体を製造した。より具体的には以下の通りである。
(無機クロスの表面処理)
純水(594g)に、酢酸(0.5g)及び3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−502」)(6g)を加え、これを室温で30分間、200rpmで攪拌し、シラン化合物溶液を得た。このシラン化合物溶液に、Tガラスクロス(日東紡績社製、IPC呼称1078)を室温で30分間浸漬した後、通風乾燥機を用いて100℃で10分間乾燥させて、表面処理されたガラスクロスを得た。
(絶縁基材の製造)
製造例1で得られた液晶ポリエステル液状組成物に、表面処理されたガラスクロスを室温で1分間浸漬した後、乾燥機を用いて、溶媒を蒸発させて乾燥させ、樹脂含浸基材である絶縁基材を得た。
(絶縁基材の加熱処理)
熱風式乾燥機を用いて、得られた絶縁基材を、窒素ガス雰囲気下、290℃で3時間加熱処理した。
(積層体の製造)
ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)製の緩衝材(イチカワテクノファブリクス社製、厚さ3mm)、鉄−ニッケル合金プレート(42アロイ、厚さ1mm、コーケン化学社製)、銅箔(三井金属鉱業社製「3EC−VLP」、厚さ18μm)、4つの前記絶縁基材、銅箔(三井金属鉱業社製「3EC−VLP」、厚さ18μm)、鉄−ニッケル合金プレート(42アロイ、厚さ1mm、コーケン化学社製)及びポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)製の緩衝材をこの順に重ね、この状態で、高温真空プレス機(北川精機社製「KVHC−PRESS」、縦500mm、横500mm)を用いて、340℃、10MPaの条件で、減圧下30分間加熱プレスすることにより、銅箔付き多層絶縁層である積層体を得た。
[実施例2]
鉄−ニッケル合金プレートに代えて、NSS431DP−2プレート(厚さ1mm、日新製鋼社製)を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
[実施例3]
鉄−ニッケル合金プレートに代えて、チタンプレート(TP340C、厚さ3mm、新日本製鐵社製)を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
[比較例1]
鉄−ニッケル合金プレートに代えて、SUSプレート(SUS301プレート、厚さ1mm、日本ケムテック社製)を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を得た。
<積層体の評価>
上記各実施例及び比較例の積層体から得られた多層絶縁層について、下記方法により反り率(%)を算出し、反りの抑制効果を評価した。結果を表1に示す。
(絶縁層の反り率の算出)
積層体の銅箔を2枚ともエッチングによって除去して多層絶縁層とした後、これを一辺25cmの正方形状に切断して、評価用の試験片とした。次いで、この試験片の反り率(%)をIEC B法によって算出した。すなわち、多層絶縁層を凸面が定盤表面に接触するように(凹面が上方向を向くように)して、四つの隅のうち三つの隅を定盤表面に押さえつけて、残りの一つの隅について、定盤表面からの持ち上がり量(mm)を測定し、四つの隅すべてについて持ち上がり量を測定して、そのうちの最大値を反り量H(mm)とした。そして、定盤表面に押さえつけた三つの隅のうち、二つの隅を結ぶ対角線の長さをL(mm)として、下記式により、多層絶縁層の反り率(%)を算出した。
反り率(%)=H/L×100
<プレス部材の熱膨張係数の測定>
上記各実施例及び比較例で用いたプレス部材(鉄−ニッケル合金プレート、NSS431DP−2プレート、チタンプレート、SUS301プレート)を4×20mmの大きさに切断して、測定用の試験片とした。そして、これら試験片について、200℃における熱膨張係数を、JIS Z 2285−2003(金属材料の熱膨張係数の測定方法)に準拠して測定した。このとき、縦型熱膨張計(真空理工社製「DL−7000型」)を用い、アルゴンガス雰囲気下、昇温速度5℃/分で測定した。結果を表1に示す。
Figure 2013208891
上記結果から明らかなように、200℃における熱膨張係数が4.1ppm、10.9ppm、8.6ppmのプレス部材を用いて製造した、実施例1、実施例2、実施例3の積層体から得られた多層絶縁層は、反りが顕著に抑制されていた。
これに対して、200℃における熱膨張係数が16.7ppmのプレス部材を用いて製造した、比較例1の積層体から得られた多層絶縁層は、反りが大きかった。
本発明は、電子機器に組み込まれるプリント配線板の製造に利用可能である。
1・・・積層体、11・・・第一の金属層、12・・・絶縁層、120・・・絶縁基材、第二の金属層13、81・・・第一のプレス部材、82・・・第二のプレス部材、83・・・第三のプレス部材、91・・・第一の緩衝材、92・・・第二の緩衝材

Claims (5)

  1. 液晶ポリエステルを含む絶縁層の両面に金属層を備えた積層体の製造方法であって、
    前記絶縁層の両面に前記金属層を重ねて、これらを前記金属層側からプレス部材で挟み込みつつ、加熱プレスする工程を有し、
    前記プレス部材は、200℃における熱膨張係数が12ppm以下であることを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記絶縁層が、無機クロスに、溶媒可溶性で且つ流動開始温度が250℃以上である前記液晶ポリエステルが含浸されたものであることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記液晶ポリエステルが、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される繰返し単位を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
    (1)−O−Ar−CO−
    (2)−CO−Ar−CO−
    (3)−X−Ar−Y−
    (式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基であり;Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
    (4)−Ar−Z−Ar
    (式中、Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基である。)
  4. 前記一般式(3)において、X及び/又はYがイミノ基であることを特徴とする請求項3に記載の積層体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする積層体。
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