JP2013199088A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁基材上に金属箔が設けられた積層体で、ボイドが低減された積層体と、その製造方法の提供。
【解決手段】無機繊維又は有機繊維に熱可塑性樹脂が含浸された熱可塑性樹脂含浸基材を含む絶縁基材の少なくとも片面に、金属箔を備えた積層体の製造方法であって、前記絶縁基材の少なくとも片面に前記金属箔を重ねて、これらを両側からプレス部材で挟み込みつつ加熱及び加圧する工程を有し、前記加圧を開始する温度が、前記絶縁基材中の前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度であることを特徴とする積層体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁基材の少なくとも片面に金属箔を備えた積層体と、その製造方法に関する。
携帯電話、パソコン、デジタル家電など種々の電子機器に組み込まれるプリント配線板(プリント基板、プリント回路基板)には、絶縁層上に金属層が設けられた積層体が用いられる。このときの絶縁層としては、例えば、無機クロスに樹脂が含浸された樹脂含浸絶縁基材等が汎用されている。なかでも樹脂として液晶ポリエステルを用いた絶縁層は、寸法安定性に優れるため、特に好適なものである(例えば、特許文献1参照)。
液晶ポリエステルを用いた絶縁層としては、例えば、繊維からなるシート状基材としてガラスクロスを用い、該ガラスクロスに液晶ポリエステルを含浸したものが開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
一方、プリント配線板において、絶縁層にボイド(隙間)が存在すると、電子部品を搭載する際のはんだ付けによって「ふくれ」が生じる原因となる。ふくれが生じると、前記金属層のパターニングによって形成された配線の絶縁層からの剥離が起こるおそれがある。また、絶縁層が複数の絶縁基材が積層されてなるものである場合には、これら絶縁基材同士の剥離が生じ、プリント配線板の性能や信頼性が低下するおそれがある。
ボイドを抑制する方法としては、絶縁基材を作製するにあたり、樹脂を溶媒に溶解させた樹脂ワニスを減圧室内でシート状基材に含浸させ、絶縁基材中のボイドの発生を抑制する方法(特許文献3参照)、樹脂ワニスをシート状基材に塗布後、この樹脂ワニスを基材内に押し込んで樹脂の含浸性を向上させる方法(特許文献4参照)が開示されている。
また、液晶ポリエステルをガラスクロスに含浸させた絶縁基材と銅箔などの金属層を張り合わせて製造される金属層積層体は、液晶ポリエステル含浸基材を必要枚数重ね合わせ、その外側に銅箔などの導体層を配置し、熱プレスすることにより製造される。
熱プレスとしては、通常、絶縁基材の加熱を行って、絶縁基材が含有する液晶ポリエステルの融点に達した後に、SUS304やSUS301などのステンレスプレートを用いて加圧を行う方法が一般的である。
特開2010−215800号公報 特表2010−528149号公報 特開昭62−48550号公報 特開2004−188652号公報
しかしながら、特許文献1及び2には、液晶ポリエステル含浸絶縁基材でのボイドの発生抑制に有効な方法は開示されておらず、特許文献3及び4に記載の方法も、樹脂含浸基材でのボイドの発生抑制効果は必ずしも十分ではなく、ボイドが低減された金属層を供える積層体、及びその製造方法が求められている。
また、上述のような加熱加圧(熱プレス)を用いた積層体の製造方法では、積層体中のボイドを低減することができなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、絶縁基材上に金属箔が設けられた積層体で、ボイドが低減された積層体と、その製造方法とを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため本発明者らは鋭意検討を行った結果、積層体の製造において、加圧開始のタイミングを調整することにより、ボイドが好適に低減された積層体が得られることを新規に見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、無機繊維又は有機繊維に熱可塑性樹脂が含浸された熱可塑性樹脂含浸基材を含む絶縁基材の少なくとも片面に、金属箔を備えた積層体の製造方法であって、前記絶縁基材の少なくとも片面に前記金属箔を重ねて、これらを両側からプレス部材で挟み込みつつ加熱及び加圧する工程を有し、前記加圧を開始する温度が、前記絶縁基材中の前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度であることを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
本発明の積層体の製造方法においては、前記熱可塑性樹脂が、流動開始温度が250℃以上の液晶ポリエステルであることが好ましい。
本発明の積層体の製造方法においては、前記液晶ポリエステルが、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される繰返し単位を有することが好ましい。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−X−Ar−Y−
(式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基であり;Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar−Z−Ar
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基である。)
本発明の積層体の製造方法においては、前記一般式(3)において、X及び/又はYがイミノ基であることが好ましい。
また、本発明は、上記本発明の製造方法で製造された積層体を提供する。
本発明によれば、絶縁基材上に金属箔が設けられた積層体で、ボイドが低減された積層体と、その製造方法が提供される。
本発明に係る積層体の製造方法の一実施形態を説明するための概略断面図である。 本発明に係る、複数の積層体を同時に製造する一実施形態を説明するための概略断面図である。 実施例1で得られた積層体の、走査型電子顕微鏡による断面写真である。 比較例1で得られた積層体の、走査型電子顕微鏡による断面写真である。
本発明に係る積層体の製造方法は、無機繊維又は有機繊維に熱可塑性樹脂が含浸された熱可塑性樹脂含浸基材を含む絶縁基材の少なくとも片面に、金属箔を備えた積層体の製造方法であって、
前記絶縁基材の少なくとも片面に前記金属箔を重ねて、これらを両側からプレス部材で挟み込みつつ加熱及び加圧する工程を有し、
前記加圧を開始する温度が、前記絶縁基材中の前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度であることを特徴とする。
本発明においては、絶縁基材とその少なくとも片面に重ねられた金属箔とを熱プレスすることにより、絶縁基材及び金属箔が互いに熱融着して一体化し、積層体が得られる。そして、前記加圧を、前記絶縁基材中の前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度で開始することにより、ボイドの発生が大幅に低減される。
図1は、本発明に係る積層体の製造方法の一実施形態を説明するための概略断面図であり、(a)は熱プレスする工程での各構成要素を例示する断面図、(b)は得られた積層体を例示する断面図である。本実施形態では、絶縁基材が複数の絶縁基材からなる複数層のものである場合について説明するが、絶縁基材は単層からなるものでもよい。また、本実施形態では、積層体が、絶縁基材の両面に金属箔を備えたものである場合について説明するが、金属箔は絶縁基材の片面のみに備えられていてもよい。
図1において、絶縁基材12は、4つのシート状の絶縁基材120がこれらの厚さ方向に重ねられて構成されるものであり、これら絶縁基材120は、単独でも絶縁基材とすることができるものである。
絶縁基材120は、すべて同じでもよいし、一部が異なっていてもよく、すべて異なっていてもよい。
なお、ここでは、絶縁基材として4つの絶縁基材から構成されるものを示しているが、本発明において用いる絶縁基材が複数の場合、その数は2以上であればよく、目的に応じて任意に選択できる。
加熱及び加圧する工程(熱プレス)においては、例えば、図1(a)に示すように、第一の金属箔11、4つの絶縁基材120、及び第二の金属箔13を、これらの厚さ方向においてこの順に重ね、第一の金属箔11上に第一のプレス部材81を、第二の金属箔13上に第二のプレス部材82を、それぞれ重ねて配置し、第一の金属箔11、絶縁基材120(絶縁基材12)及び第二の金属箔13を、第一の金属箔11側及び第二の金属箔13側から、第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82で、矢印A方向に挟み込む。
なお、ここでは見易くするために、絶縁基材等を互いに離間させて示しているが、熱プレス時にはすべて重ねて配置される。
絶縁基材120(絶縁基材12)は、無機繊維又は有機繊維に熱可塑性樹脂が含浸された熱可塑性樹脂含浸基材を含むものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは熱可塑性樹脂として液晶ポリエステルを含む熱可塑性樹脂含浸基材である。
絶縁基材120は、例えば、溶媒及び熱可塑性樹脂(好ましくは液晶ポリエステル)を含む熱可塑性樹脂液状組成物(以下、「液状組成物」ということがある。)、好ましくは熱可塑性樹脂(好ましくは液晶ポリエステル)が溶媒に溶解された液状組成物(熱可塑性樹脂溶液)を無機繊維又は有機繊維に含浸させ、溶媒を除去することで得られる。
液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
液晶ポリエステルの典型的な例としては、
(I)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合(重縮合)させてなるもの、
(II)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、
(III)芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合させてなるもの、
(IV)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重合させてなるもの
が挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリエステルは、下記一般式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を有することが好ましく、繰返し単位(1)と、下記一般式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)と、下記一般式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)とを有することがより好ましい。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−X−Ar−Y−
(式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基であり;Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar−Z−Ar
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基である。)
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、1〜10であることが好ましい。
前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、6〜20であることが好ましい。
前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される前記基毎に、それぞれ独立に2個以下であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
前記アルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基及び2−エチルヘキシリデン基が挙げられ、その炭素数は1〜10であることが好ましい。
繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(1)としては、Arが1,4−フェニレン基であるもの(p−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位)、及びArが2,6−ナフチレン基であるもの(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)としては、Arが1,4−フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが1,3−フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが2,6−ナフチレン基であるもの(2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位)、及びArがジフェニルエ−テル−4,4’−ジイル基であるもの(ジフェニルエ−テル−4,4’−ジカルボン酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)としては、Arが1,4−フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p−アミノフェノール又はp−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位)、及びArが4,4’−ビフェニリレン基であるもの(4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジアミノビフェニルに由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(1)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量をその各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30〜80モル%、さらに好ましくは30〜60モル%、特に好ましくは30〜40モル%である。
繰返し単位(2)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10〜35モル%、さらに好ましくは20〜35モル%、特に好ましくは30〜35モル%である。
繰返し単位(3)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10〜35モル%、さらに好ましくは20〜35モル%、特に好ましくは30〜35モル%である。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)の含有量が多いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶媒に対する溶解性が低くなり易い。
繰返し単位(2)の含有量と繰返し単位(3)の含有量との割合は、[繰返し単位(2)の含有量]/[繰返し単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1〜1/0.9、より好ましくは0.95/1〜1/0.95、さらに好ましくは0.98/1〜1/0.98である。
なお、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)を、それぞれ独立に2種以上有してもよい。また、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)以外の繰返し単位を有してもよいが、その含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(3)として、X及び/又はYがイミノ基(−NH−)であるものを有すること、すなわち、所定の芳香族ヒドロキシルアミンに由来する繰返し単位及び/又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位を有することが好ましく、繰返し単位(3)として、X及び/又はYがイミノ基であるもののみを有することがより好ましい。このようにすることで、液晶ポリエステルは溶媒に対する溶解性がより優れたものとなる。
液晶ポリエステルは、これを構成する繰返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(プレポリマー)を固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や強度・剛性が高い高分子量の液晶ポリエステルを操作性良く製造することができる。溶融重合は、触媒の存在下で行ってもよく、この場合の触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、好ましくは250℃以上、より好ましくは250℃〜350℃、さらに好ましくは260℃〜330℃である。流動開始温度が高いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、高過ぎると、溶媒に対する溶解性が低くなり易かったり、後述する液状組成物の粘度が高くなり易かったりする。
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
液状組成物に含まれる前記溶媒としては、用いる液晶ポリエステルが溶解可能なもの、具体的には50℃にて1質量%以上の濃度([液晶ポリエステル]/[液晶ポリエステル+溶媒]×100)で溶解可能なものが、適宜選択して用いられる。
前記溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;p−クロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタフルオロフェノール等のハロゲン化フェノール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;トリエチルアミン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環芳香族化合物;アセトニトリル、スクシノニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(N−メチル−2−ピロリドン)等のアミド;テトラメチル尿素等の尿素化合物;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物;ヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸等のリン化合物が挙げられ、これらの2種以上を用いてもよい。
溶媒としては、腐食性が低く、取り扱い易いことから、非プロトン性化合物、特にハロゲン原子を有しない非プロトン性化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める非プロトン性化合物の割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%である。
また、前記非プロトン性化合物としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミドを用いることが好ましい。
また、溶媒としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、双極子モーメントが3〜5である化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める、双極子モーメントが3〜5である化合物の割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%であり、前記非プロトン性化合物として、双極子モーメントが3〜5である化合物を用いることが好ましい。
また、溶媒としては、除去し易いことから、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を主成分とするとする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める、1気圧における沸点が220℃以下である化合物の割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%であり、前記非プロトン性化合物として、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を用いることが好ましい。
液状組成物中の液晶ポリエステルの含有量は、液晶ポリエステル及び溶媒の合計量に対して、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは15〜45質量%であり、所望の粘度の液状組成物が得られるように、適宜調整される。
液状組成物は、充填材、添加剤、液晶ポリエステル以外の樹脂等の他の成分を1種以上含んでもよい。
前記充填材の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の無機充填材;硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリル樹脂等の有機充填材が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0〜100質量部である。
前記添加剤の例としては、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤及び着色剤が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0〜5質量部である。
前記液晶ポリエステル以外の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、液晶ポリエステル以外のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部である。
液状組成物は、液晶ポリエステル、溶媒、及び必要に応じて用いられる他の成分を、一括で又は適当な順序で混合することにより調製することができる。他の成分として充填材を用いる場合は、液晶ポリエステルを溶媒に溶解させて、液晶ポリエステル溶液を得、この液晶ポリエステル溶液に充填材を分散させることにより調製することが好ましい。
液状組成物を含浸させる前記無機繊維の例としては、ガラス繊維、アルミナ系繊維、ケイ素含有セラミック系繊維等のセラミック繊維が挙げられ、この場合の前記基材としては、無機繊維からなるシート、すなわち無機クロスが好ましく、これらの中でも入手性が良好であることから、主としてガラス繊維からなるシート、すなわちガラスクロスが好ましい。
前記ガラスクロスとしては、含アルカリガラス繊維、無アルカリガラス繊維又は低誘電ガラス繊維からなるものが好ましい。また、ガラスクロスを構成する繊維は、その一部にガラス以外のセラミックからなるセラミック繊維又は炭素繊維が混入していてもよい。また、ガラスクロスを構成する繊維は、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理されていてもよい。
これら繊維からなるガラスクロスの製造方法の例としては、ガラスクロスを形成する繊維を水中に分散させ、必要に応じてアクリル樹脂等の糊剤を添加して、抄紙機にて抄造後、乾燥させることで不織布を得る方法や、公知の織成機を用いる方法が挙げられる。
繊維の織り方としては、平織り、朱子織り、綾織り、ななこ織り等が利用できる。織り密度は、10〜100本/25mmであることが好ましい。
前記ガラスクロスの単位面積当たりの質量は、10〜300g/mであることが好ましい。
前記ガラスクロスの厚さは、好ましくは10〜200μmであり、より好ましくは10〜180μmである。
前記ガラスクロスは、市販品でもよい。容易に入手可能な市販品のガラスクロスとしては、電子部品の絶縁含浸基材用のものが例示でき、旭シュエーベル株式会社、日東紡績株式会社、有沢製作所株式会社等から入手できる。
なお、市販品のガラスクロスで好適な厚さのものとしては、IPC呼称で1035、1078、2116、7628のものが例示できる。
液状組成物を含浸させる前記有機繊維としては、炭素繊維からなるシート、すなわちカーボンクロスが好ましい。
前記カーボンクロスの原料となる炭素繊維は、アクリル繊維を用いたPAN系であってもよく、ピッチを用いたPITCH系であってもよい。
無機繊維又は有機繊維に液状組成物を含浸させ、熱可塑性樹脂含浸基材を得る方法としては、浸漬槽中の前記液状組成物に無機繊維又は有機繊維を浸漬する方法が例示できる。この方法においては、液状組成物の熱可塑性樹脂の含有量、浸漬時間、浸漬した基材の液状組成物からの引き上げ速度を適宜調節することで、無機繊維又は有機繊維への熱可塑性樹脂(例えば液晶ポリエステル)の付着量を容易に制御できる。
液状組成物を含浸させた無機繊維又は有機繊維から溶媒を除去する方法は、特に限定されないが、操作が簡便である点で、溶媒を蒸発させる方法が好ましく、加熱、減圧及び通風のいずれかを単独で、又は二つ以上を組み合わせて蒸発させる方法が例示できる。
溶媒を除去して得られた熱可塑性樹脂含浸基材における熱可塑性樹脂の付着量は、熱可塑性樹脂が液晶ポリエステルである場合には、液晶ポリエステル含浸基材に対して30〜80質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂含浸基材(絶縁基材)は、さらに加熱処理を行うことが好ましい。絶縁基材を加熱処理することで、含浸されている熱可塑性樹脂をより高分子量化でき、耐熱性をより向上させることができる。
加熱処理は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。そして、加熱温度は、好ましくは240〜330℃であり、より好ましくは250℃を越える温度であり、さらに好ましくは260〜320℃である。下限値以上とすることで、得られる積層体の耐熱性がより向上する。加熱時間は、好ましくは1〜30時間、より好ましくは1〜10時間である。下限値以上とすることで、得られる積層体の耐熱性がより向上し、上限値以下とすることで、積層体の生産性がより向上する。
絶縁基材120の厚さは、好ましくは5〜200μmであり、より好ましくは10〜185μmである。
第一の金属箔11及び第二の金属箔13の材質は、銅、アルミ、銀又はこれらから選択される1種以上の金属を含む合金が好ましい。なかでも、より優れた導電性を有する点から、銅又は銅合金が好ましい。そして、第一の金属箔11及び第二の金属箔13は、材料の取扱いが容易で、簡便に形成でき、経済性にも優れる点から、銅箔からなるものが好ましい。第一の金属箔11及び第二の金属箔13の材質は、互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。
第一の金属箔11及び第二の金属箔13の厚さは、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは3〜70μmである。
第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82は特に限定されるものではないが、具体的な材質の例としては、SUS420J2(JIS規格)、NSS431DP−2(日新製鋼社規格)等のステンレス鋼;Fe−Ni合金、Ti−6Al−4V合金(チタン合金)等の合金;チタン等の単体金属が挙げられる。
第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82の厚さは、それぞれ0.5〜10mmであることが好ましく、0.7〜7mmであることがより好ましく、1〜5mmであることがさらに好ましい。下限値以上であることにより、これらプレス部材の耐久性が向上し、上限値以下であることにより、積層体の生産性が向上する。
第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82は、互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
第一の金属箔11の第一のプレス部材81との接触面11aは、全面が第一のプレス部材81と接触していることが好ましい。同様に、第二の金属箔13の第二のプレス部材82との接触面13aは、全面が第二のプレス部材82と接触していることが好ましい。
本発明においては、前記加圧を開始する温度が、前記絶縁箔12中の熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度となるように熱プレスを行う。
熱可塑性樹脂に対して加熱を行った場合、熱可塑性樹脂の流動性は加熱温度が融点に近づくに従って高まる。一方で、加熱によって重合しうる熱可塑性樹脂の場合であれば、加熱温度が高まるにつれて重合反応が進行し、熱可塑性樹脂の分子量が増大する結果、同時に流動性の低下も生じる。そのため、熱可塑性樹脂の流動性が最大となる温度は、融点以下の温度になると考えられる。そして、該融点以下の温度において加圧を開始することにより、流動性の高い熱可塑性樹脂が無機繊維又は有機繊維中の僅かな間隙にも入り込み、ボイドの発生を低減することが可能となると考えられる。
なお、この流動性が最大となる温度は熱可塑性樹脂の構造、分子量、分散度等によって異なるが、一般的には、分子が動き始めるガラス転移点(Tg)以上、融点以下であると考えられる。そのため、少なくとも該流動性が最大となる温度において、加圧が開始されていることが好ましい。
加圧を開始する温度として具体的には、該融点よりも5℃以上低い温度であることが好ましく、10℃以上低い温度であることがより好ましい。なお、熱可塑性樹脂の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。
また、上述の様に、流動性が最大となる温度は、少なくとも熱可塑性樹脂のTg以上であることから、加圧を開始する温度は該Tgよりも低い温度であることも好ましい。Tgは動的粘弾性測定(DMA)により測定することができる。
本発明において熱プレスの方法は上記加圧開始温度を満たすものであれば特に限定されず、
・常温において加圧を開始した後、加熱を開始してもよく、
・熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度まで加熱し、該温度を保った状態で、加圧を開始してもよく、
・加熱を開始した昇温状態において、該温度が熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度の時点(熱可塑性樹脂の融点に達していない時点)で加圧を開始してもよい。
熱プレスのプレス圧力は特に限定されるものではないが、1〜30MPaが好ましい。
熱プレスの加熱温度は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂の融点を超える温度であり、且つ熱可塑性樹脂の分解温度を下回る温度であることが好ましい。該分解温度を30℃以上下回ることがより好ましい。なお、ここでいう分解温度は熱重量減少分析等の公知の手段で求められるものである。
また、加熱温度は絶縁基材120の作製時に溶媒を除去した後、加熱処理工程を行っている場合には、この加熱処理時の温度に応じて調節することが好ましく、この加熱処理時の最高温度Tmax℃よりも高い温度であることが好ましく、Tmaxよりも5℃以上高い温度であることがより好ましい。
熱プレスの他の処理条件は、絶縁基材12の大きさ、形状、材質、並びに第一の金属箔11及び第二の金属箔13の厚さ及び材質に応じて適宜最適化できるが、積層体の表面平滑性が良好となるように調節することが好ましい。
また、真空条件下で熱プレスすることも特に好ましい。真空条件としては、0.5kPa以下であることが好ましい。
熱プレス時には、図1(a)に示すように、第一の金属箔11、4つの絶縁基材120、及び第二の金属箔13を、上記のように第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82で挟み込んだまま、これらプレス部材で矢印A方向に熱プレスする。熱プレスにより、第一の金属箔11及び最上層の絶縁基材120、最下層の絶縁基材120及び第二の金属箔13、並びに4つの絶縁基材120が、互いに熱融着して一体化した積層体1が得られる。
熱プレス時には、第一のプレス部材81上には第一の緩衝材91を、第二のプレス部材82上には第二の緩衝材92を、それぞれ重ねて配置し、これら緩衝材を介して第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82を矢印B方向にプレスすることが好ましい。このようにすることで、被プレス面(第一の金属箔11の第一のプレス部材81との接触面11a、第二の金属箔13の第二のプレス部材82との接触面13a)を、より均等にプレスできる。
第一の緩衝材91及び第二の緩衝材92の材質の例としては、アラミド樹脂、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)、カーボン繊維、アルミナ繊維等の無機繊維等、耐熱性を有するものが挙げられ、アラミド樹脂、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)が好ましい。また、第一の緩衝材91及び第二の緩衝材92は、不織布からなるものが好ましい。
第一の緩衝材91及び第二の緩衝材92は、互いに同じものでもよいし、異なるものでもよい。
本発明に係る積層体の製造方法は、上記の方法に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、一部構成を適宜変更してもよい。
例えば、本態様では、4つの絶縁基材120を第一の金属箔11及び第二の金属箔13と共に熱プレスすることで、絶縁基材12を形成する方法について説明したが、本発明においては、4つの絶縁基材120があらかじめ一体化されて形成済みの絶縁基材12を用いて、これを第一の金属箔11及び第二の金属箔13と共に熱プレスしてもよい。
また、本態様では、第一の金属箔11、4つの絶縁基材120、及び第二の金属箔13を、第一の金属箔11側及び第二の金属箔13側から熱プレスする場合について説明したが、本発明においては、第一の金属箔11側及び第二の金属箔13側の少なくとも一方から熱プレスすればよい。
また、本態様では、金属箔として第一の金属箔11と第二の金属箔13とを有する場合について説明したが、本発明においては、第一の金属箔11又は第二の金属箔13のいずれか一方のみを有していてもよい。絶縁基材12の片面のみに金属箔11を配置させる場合は、絶縁基材12と金属箔11との融着を防ぐために、ポリイミドシートなどの耐熱シートを、金属箔13に替えて、絶縁基材12と第二のプレス部材82の間に離型シートとして配置させるのが好ましい。
また、熱プレスは、例えば、ロールツーロール方式等の連続式で行ってもよい。この場合には、例えば、図1に示す第一の金属箔11、4つの絶縁基材120、及び第二の金属箔13として、それぞれ長尺のものを用い、これらを送り出しロールから送り出すと共に、巻き取りロールで巻き取るようにし、熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度のロールによる圧着の初期から加圧を行い、途中で順次加熱するように構成することで、同様に積層体を製造できる。
熱プレス工程においては、第一の金属箔11、4つの絶縁基材120、及び第二の金属箔13を、これらの厚さ方向に配置したものを1つの構成単位とし、第一のプレス部材81又は第二のプレス部材82と同様のプレス部材(以下、「第三のプレス部材」という。)を介して、この構成単位をさらに厚さ方向に複数配列させて、これらをまとめて熱プレスすることにより、複数の積層体を同時に製造できる。図2は、このような複数の積層体を同時に製造する方法を説明するための概略断面図である。ここでは、前記構成単位が第三のプレス部材83を介して3つ配置され、最下層の構成単位の第一の金属箔11上に第一のプレス部材81を重ね、最上層の構成単位の第二の金属箔13上に第二のプレス部材82を重ねて配置し、三つの構成単位を第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82で矢印A方向に挟み込み、第一の緩衝材91及び第二の緩衝材92を介して、第一のプレス部材81及び第二のプレス部材82を矢印B方向にプレスする例を示している。ただし、前記構成単位の数はこれに限定されず、熱プレス工程を行うのに支障が無い限り、2以上であればいくつでもよい。
上記の製造方法で製造された本発明に係る積層体は、ボイドの発生が抑制されるので、電子機器に組み込まれるプリント配線板等の製造用の材料として有用である。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
〔1〕芳香族液晶ポリエステルの製造
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸10.5モル分率、4−ヒドロキシアセトアニリド9.75モル分率、イソフタル酸9.75モル分率および無水酢酸23.25モル分率を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、その温度(150℃)を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら、170分かけて300℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了時点とみなし、内容物を取り出した。この内容物を室温まで冷却し、粉砕機で粉砕した後、比較的低分子量の液晶ポリエステルの粉末を得た。こうして得られた粉末について、(株)島津製作所製のフローテスター「CFT−500型」により流動開始温度を測定したところ、235℃であった。この液晶ポリエステル粉末を窒素雰囲気において223℃3時間で加熱処理することにより、固相重合を行った。固相重合後の液晶ポリエステルの流動開始温度は270℃であった。
こうして得られた液晶ポリエステル28.2重量部をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)100重量部に加え、100℃で2時間加熱して液状組成物を得た。この液状組成物の溶液粘度は320cPであった。なお、この溶融粘度は、東機産業(株)製のB型粘度計「TVL−20型」(ローターNo.21、回転速度5rpm)を用いて、測定温度23℃で測定した値である。
〔液状組成物の調製〕
この液晶ポリエステル溶液に、球状シリカ(MP−8FS、龍森(株))を、液晶ポリエステルに対して20体積%分散させ、液状組成物を得た。
〔ガラスクロスの表面処理〕
純水594gに、酢酸0.5g及び3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)の「KBM−502」)6gを加え、室温で30分、200rpmで攪拌し、シラン化合物溶液を得た。このシラン化合物溶液に、Tガラスクロス(日東紡績(株)、IPC呼称2116)を室温で30分浸漬した後、通風乾燥機を用いて、100℃で10分乾燥し、表面処理ガラスクロスを得た。
〔樹脂含浸シートの製造〕
液状組成物を表面処理ガラスクロスに室温で1分浸漬した後、乾燥機を用いて、乾燥して溶媒を蒸発させ、樹脂含浸基材(絶縁基材)を得た。
〔絶縁基材の熱処理〕
樹脂含浸基材を、熱風式乾燥機を用いて、窒素ガス雰囲気下、290℃で3時間熱処理した。示差走査熱量測定で樹脂含浸基材中の液晶ポリエステルの融点を測定した結果、340℃であった。
〔金属箔付き樹脂含浸基材積層体の製造〕
<実施例1>
熱処理された樹脂含浸基材について、下記に示すような方法で重ねた。
すなわち、PBOクッション材((株)イチカワテクノファブリクス、厚さ3mm)の上に、SUSプレート(SUS301、厚さ1mm、日本ケムテック(株)製)、銅箔(三井金属鉱業(株)の「3EC−VLP」、厚さ18μm)、樹脂含浸基材4枚、銅箔(三井金属鉱業(株)の「3EC−VLP」、厚さ18μm)、SUSプレート(SUS301、厚さ1mm、日本ケムテック(株)製)及びPBOクッション材((株)イチカワテクノファブリクス、厚さ3mm)をこの順に載せた。次いで、高温真空プレス機(北川精機(株)の「KVHC−PRESS」、縦500mm、横500mm)を用いて、340℃、10MPaで30分減圧下で熱プレス(40℃到達時に加圧開始)し、積層体を得た。
<比較例1>
加圧開始タイミングを液晶ポリエステルの融点到達時(340℃到達時)に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
〔液晶ポリエステル積層体のボイド評価〕
上記各実施例及び比較例で得られた、液晶ポリエステル−金属箔積層体について、走査型電子顕微鏡を用いて断面を観察した。そして、取得した断面の撮像データから、画像解析プログラム(ニレコ社製「LUZEX」)を用いて、ガラスクロス間に存在するボイド部分の断面面積率を算出した。具体的には、前記撮像データにおいて、液晶ポリエステル含浸基材中のボイド部分とそれ以外の部分とを2値化し、液晶ポリエステル含浸基材の断面総面積を基準にして、ボイド部分の断面総面積の割合を算出した。結果を表1に示す。取得した前記撮像データ(実施例1及び比較例1)を、それぞれ図3及び4に示す。
表1から明らかなように、加圧開始温度が本発明の条件を満たす実施例1の液液晶ポリエステル−金属箔積層体は、ボイドの割合が1%以下となっており、本発明の条件を満たさない比較例1の液晶ポリエステル−金属箔積層体よりも際立って低く、ボイドが顕著に低減されていた。
上記のような本発明の奏する効果は、図3及び4からも視覚的に明らかである。図3及び4において、符号1及び1’はそれぞれ積層体であり、符号1aはガラスクロスの縦糸、符号1bはガラスクロスの横糸である。積層体1及び1’は、縦糸1a同士の間、横糸1b同士の間、縦糸1aと横糸1bとの間に、液晶ポリエステル1cが含浸されて構成されている。
そして、図3に示すように、実施例1の積層体では、ボイドがほとんど認められなかった。これに対して、図4に示すように、比較例1の積層体1’では、縦糸1a同士の間、横糸1b同士の間、そして縦糸1aと横糸1bとの間のいたる所にボイド2が認められた。
本発明は、電子機器に組み込まれるプリント配線板の製造に利用可能である。
11・・・第一の金属箔、12・・・絶縁基材、120・・・絶縁基材、第二の金属箔13、81・・・第一のプレス部材、82・・・第二のプレス部材、83・・・第三のプレス部材、91・・・第一の緩衝材、92・・・第二の緩衝材、1、1’・・・積層体、1a・・・・ガラスクロス縦糸、1b・・・ガラスクロス横糸、1c・・・液晶ポリエステル、2・・・ボイド

Claims (5)

  1. 無機繊維又は有機繊維に熱可塑性樹脂が含浸された熱可塑性樹脂含浸基材を含む絶縁基材の少なくとも片面に、金属箔を備えた積層体の製造方法であって、
    前記絶縁基材の少なくとも片面に前記金属箔を重ねて、これらを両側からプレス部材で挟み込みつつ加熱及び加圧する工程を有し、
    前記加圧を開始する温度が、前記絶縁基材中の前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度であることを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、流動開始温度が250℃以上の液晶ポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記液晶ポリエステルが、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される繰返し単位を有することを特徴とする請求項2に記載の積層体の製造方法。
    (1)−O−Ar−CO−
    (2)−CO−Ar−CO−
    (3)−X−Ar−Y−
    (式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基であり;Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
    (4)−Ar−Z−Ar
    (式中、Ar及びArは、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基である。)
  4. 前記一般式(3)において、X及び/又はYがイミノ基であることを特徴とする請求項3に記載の積層体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする積層体。
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