JP5253615B2 - 金属材料の亀裂を検出するための方法および装置 - Google Patents

金属材料の亀裂を検出するための方法および装置 Download PDF

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Description

本開示は、一般に、金属材料の品質検査に関し、特に、電磁誘導を利用した金属材料表面の亀裂検出に関する。
金属材料の亀裂を非接触式に測定する、知られている方法は、光学手段を利用することである。金属材料は光で照射されてもよく、カメラなどの光学センサによって亀裂が検出されてもよい。光学方法の欠点は、金属材料の表面上で視認できない亀裂を検出できない点と、金属材料の色の変化が光学センサによって亀裂として見なされることがある点である。光学方法は、完全に清浄で滑らかな金属表面を検査する以外の用途に使用することが困難であることが分かっている。
例えば、鉄鋼生産において金属材料を検査する際、誘導手法が利用されてきた。誘導手法を用いる場合、時変電流が供給された送信コイルによって生じる同様の時変磁場によって、例えば、スラブや金属板などの金属材料に電流が誘導される。誘導された電流が、金属材料の亀裂に出会うと、亀裂は誘導電流の障害になる。その結果、亀裂は、亀裂がない金属材料と比較すると、亀裂箇所で誘導電流に変化を起こす。電流に変化が起きると、電流周辺の磁場が変化する。磁場の変化は、受信コイルによって測定され、検査された金属材料の表面部分に亀裂が存在することを求め得る。
金属材料の亀裂検出に今日用いられている誘導手法には、いくつかの欠点がある。例えば、亀裂深さ以外のいくつかのパラメータが、磁場の変化に影響を及ぼすことがある。このようなパラメータの例として、コイルと測定対象物との間の距離、対象物の表面上の磁性酸化物、対象物の組成材料の物理特性の変化、コイルに対する亀裂の位置および亀裂長さが挙げられる。このため、受信コイルによって変化が測定されると、この変化が、亀裂深さが原因であるか、または変動しうる別のパラメータが原因であるかの判別がつきにくい場合がある。影響を及ぼすパラメータを一定に保持することが困難であるため、鋳造された金属表面などの不規則な表面の亀裂を検査するために誘導手法を使用することが困難であった。
以上の点を鑑みて、本開示の一般的な目的は、金属材料の亀裂深さを求めるための誘導方法を提供することである。
本開示の別の目的は、金属材料の亀裂長さを求める誘導方法を提供することである。
さらなる別の目的は、実際の亀裂深さ以外の他のプロセスパラメータが測定に及ぼす影響が最小限である、金属材料の亀裂深さの誘導測定法を提供することである。
したがって、本開示の第1の態様によれば、金属材料の亀裂の亀裂深さを求める方法であって、
金属材料に磁場を発生させる送信コイルに第1の大きさの電流を供給するステップと、
金属材料において測定が望まれる最も深い亀裂深さよりも深くまで磁場が貫通していることが推定されるとき、第2の大きさを有するように電流を制御するステップと、
受信コイルによって磁場を検出し、検出した磁場によって受信コイルに信号を発生させるステップと、
第1の時間範囲における第1の信号特性値を求めるステップであって、第1の時間範囲が、
第2の大きさを得るための電流制御による外乱が終了したことが推定され、
第2の大きさを得るための電流制御による金属材料に誘導された電流が、金属材料の表面の不規則性に対応する深さおよび測定が望まれていない亀裂深さよりも金属材料の深くまで貫通する時間に開始され、
第1の時間範囲が、第2の大きさを得るための電流制御によって金属材料に誘導された電流が、測定が望まれる最も深い亀裂深さに対応する金属材料の深さまで貫通すると終了するステップと、
第1の時間範囲の後の第2の時間範囲において第2の信号特性値を求めるステップと、
第1の特性値および第2の特性値に基づいて、亀裂の存在の可能性および亀裂深さを求めるステップと
を含む方法が提供される。
上記所定の時間範囲に従って第1の特性値および第2の特性値を求めることによって、亀裂深さを、求める亀裂深さ値に影響する他のプロセスパラメータなしに独立して求めてもよい。このようにして、高信頼性の亀裂深さの測定値が与えられてもよい。
一実施形態において、供給ステップにおいて、電流は基本的に一定である。
一実施形態において、金属材料において測定が望まれる最も深い亀裂深さよりも深くまで貫通した磁場の推定は、送信コイルへの電流の供給が開始されるとき、測定が望まれる最も深い亀裂深さ、ならびに金属材料の比透磁率および電気抵抗率に基づく。
一実施形態において、第1の時間範囲の始まりは、第2の大きさを得るための電流制御が開始される時間および金属材料の比透磁率と電気抵抗率との関係に基づいて推定される。
一実施形態において、第1の時間範囲の終わりは、電流が第2の大きさを得る時間、測定が望まれる最も深い亀裂深さ、ならびに金属材料の比透磁率および電気抵抗率に基づいて推定される。
一実施形態において、第1の特性値を求めるステップは、第1の時間範囲中に信号を積分するステップを含む。
一実施形態において、第2の特性値を求めるステップは、第2の時間範囲中に信号を積分するステップを含む。
一実施形態において、亀裂の存在の可能性およびその亀裂深さを求めるステップは、第1の特性値と第2の特性値との関係を求めるステップを伴う。
一実施形態は、第3の時間範囲において第3の信号特性値を求めるステップを含み、第3の時間範囲は、第1の時間範囲と同時に開始され、第1の時間範囲の始まりと第1の時間範囲の終わりに基づいて求められた時間に終了し、亀裂の存在の可能性および亀裂深さを求めるステップは、第1の特性値、第2の特性値および第3の特性値に基づいて、存在する可能性のある亀裂の亀裂長さを求めるステップを含む。上述したように第3の特性値を求めることによって、検査対象の金属材料の表面と平行な平面において受信コイルの広がりよりも短い広がりの亀裂の亀裂深さが求められてもよい。さらに、第3の特性値はまた、第1の特性値および第2の特性値とともに、亀裂長さを求めるのに十分な情報を提供する。
一実施形態において、第3の特性値を求めるステップは、第3の時間範囲中に信号を積分するステップを含む。
本開示の第2の態様によれば、金属材料の亀裂の亀裂深さを求める装置であって、金属材料に磁場を発生させるように構成された送信コイルと、磁場を検出するように構成された受信コイルと、金属材料に磁場を発生させる送信コイルに、第1の大きさの電流を供給するように構成された信号発生器と、金属材料において測定が望まれる最も深い亀裂深さよりも深くまで磁場が貫通していることが推定されるとき、電流が第2の大きさを得るように信号発生器を制御するように構成された制御ユニットと、受信コイルによって検出された磁場によって生成された信号を受信し、第1の時間範囲における第1の信号特性値を求めるように構成された計算装置とを含み、第1の時間範囲が、
第2の大きさを得るための電流制御による外乱が終了したことが推定され、
第2の大きさを得るための電流制御による金属材料に誘導された電流が、金属材料の表面の不規則性に対応する深さおよび測定が望まれていない亀裂深さよりも金属材料の深くまで貫通する時間に開始し、
第1の時間範囲が、第2の大きさを得るための電流制御によって金属材料中に誘起された電流が、測定が望まれる最も深い亀裂深さに対応する金属材料の深さまで貫通した後に終了し、計算装置が、さらに、第1の時間範囲の後に第2の時間範囲に第2の信号特性値を求めるとともに、第1の特性値および第2の特性値に基づいて、亀裂の存在の可能性および亀裂深さを求めるように構成される装置が提供される。
一実施形態において、計算装置が、第3の時間範囲における第3の信号特性値を求めるように構成され、第3の時間範囲は、第1の時間範囲と同時に開始され、第1の時間範囲の始まりと第1の時間範囲の終わりに基づいて求められた時間に終了し、計算装置が、第1の特性値、第2の特性値および第3の特性値に基づいて、存在する可能性のある亀裂の亀裂長さを求めるように構成される。
一般に、特許請求の範囲において使用されるすべての用語は、本明細書において別段明確に定義されない限り、当技術分野における通常の意味に従って解釈されるべきものである。「a/an/theが前に置かれた要素、装置、構成要素、手段、ステップなど」の参照はすべて、別段明確に述べない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの場合について言及していることとして広く解釈されるべきである。本明細書に開示されるいずれの方法のステップも、明確に述べない限り、開示されている通りの順序で実行される必要はない。
本発明の概念は、添付の図面を参照しながら、例示的に以下に説明される。
金属材料の亀裂を検出する装置の一例の略図である。 図1の装置によって検出された信号の特性値を求める第1、第2および第3の時間範囲の図を示す。 図1の装置によって検出された信号の特性値を求める第1、第2および第3の時間範囲の図を示す。 金属材料の亀裂深さを求める方法の流れ図である。
本発明の概念は、添付の図面を参照しながら以下により十分に説明され、図面には本発明の概念のいくつかの実施形態が示されている。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書に示す実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全なものになるとともに、当業者に対して本発明の概念の範囲を十分に伝えるように例示的に提供されるものである。
本明細書に提示された装置は、亀裂の亀裂深さを求めることによって金属材料の亀裂を検出するように適合される。この装置は、いくつかの実施形態において、亀裂長さを求めることもできる。有利なことには、この装置は、過酷な条件下、例えば、鋳造プロセスまたは圧延プロセスなどの金属製造プロセスにおいて使用されてもよい。この装置は、特に、粗い金属表面にある亀裂の亀裂深さを正確に測定するために使用されてもよい。
金属材料に電流を誘導できる程度に高い伝導率を有する任意の金属材料が、本明細書において提示される方法および装置によって検査されてもよい。
図1aは、金属材料Mの表面19にある亀裂を検出する装置の一例の略図を示す。装置1は、出力信号を発生させるように構成された信号発生器7と、信号発生器7の出力信号を制御するように構成された制御ユニット9と、信号発生器7から出力信号を受信して、亀裂検査がなされる金属材料Mに磁場を発生させるように構成された送信コイル3と、第1の抵抗器R1と、磁場を検出して、検出された磁場に基づいて信号を生成するように構成された受信コイル5と、第2の抵抗器R2と、受信コイル5からの信号を増幅するようにされた増幅器11と、存在する可能性のある亀裂深さを求めることによって金属材料に亀裂が存在するかを求めるために、増幅器11からの信号を処理するように構成された計算装置12とを含む。計算装置12は、第1のユニット13、第2のユニット15および第3のユニット17などの種々のサブユニットを含んでもよい。
一般に、本開示により、以下に詳述するように、金属材料Mに磁場を発生させること、磁場を検出すること、および所定の時間範囲で検出された磁場に関する信号特性値を求めることに関与し、亀裂深さと、いくつかの実施形態において、亀裂長さを求めることができる。
以下、図1〜図3を参照しながら、装置1の動作の実施例についてさらに詳細に記載する。亀裂Cの検査対象の金属材料M、例えば、スラブまたは金属板は、送信コイル3および受信コイル5の近くに配置される。
金属材料Mは、一実施形態において、金属材料Mの表面19に沿って検査できるように亀裂検査中に送信コイル3および受信コイル5に対して移動してもよい。
制御ユニット9は、信号発生器7に制御信号を供給して、送信コイル3に与えられる信号発生器7の出力信号、例えば、電流を制御するように構成される。信号発生器7は、例えば、送信コイル3に電流を供給する開状態または送信コイル3に電流を供給しない閉状態にあるように制御ユニット9によって制御されてもよいトランジスタを含んでもよい。
一実施形態において、制御ユニット9は、信号発生器が、図2aに示すように、第1の時間スパンt〜tにおいて第1の大きさI1を有する基本的に一定の電流を発生させるために、信号発生器7を制御するように構成される。
第1のステップS1において、第1の大きさI1を有する電流は送信コイル3に供給される。それによって、金属材料Mに磁場が生じる。亀裂検査中、金属材料Mの表面19は、送信コイル3の周囲の磁場が金属材料M内に貫通して、金属材料Mに磁場を生成することができるように、送信コイル3の十分近くに配設される。
金属材料Mにおいて測定が望まれる最も深い亀裂深さよりも金属材料M内に深く磁場が貫通していることが推定される時点tで、信号発生器7によって供給される電流は、第2のステップS2において、基本的に一定の電流が第2の大きさI2を得るように制御ユニット9によって制御される。第2の大きさI2は、例えば、基本的にゼロまたはゼロであってもよい。このように、第2のステップS2は、トランジスタを閉状態に設定することを伴うものであってもよい。第1の大きさI1から第2の大きさI2へ電流供給を変更すると、金属材料Mに誘導電流が発生する。
信号発生器7によって供給される電流は、好ましくは、図2aの最上段の図に示すようなパルス列22aの形式のものである。以下にさらに詳細に述べるように、典型的に、後続するパルス間で磁場の測定が行われる。
金属材料Mにおいて測定が望まれる最も深い亀裂深さよりも金属材料M内に深く磁場が貫通している場合の推定は、理論的推定に基づいたものであってもよく、推定された時間は、それに応じて信号発生器7によって出力される電流を制御できるように制御ユニット9のソフトウェアにプログラミングされる。
この推定は、送信コイル3への電流供給が開始される時、測定が望まれる最も深い亀裂深さ、金属材料Mの比透磁率μおよび電気抵抗率ρに基づいたものであってもよい。このような推定は、例えば、以下の式によって与えられてもよい。

−t>1.5*μ*(CDmax/ρ

式中、tは、図2a〜図2bに示すように、電流が第2の大きさI2を得る時間(ミリ秒)であり、tは、電流が第1の大きさI1を得る時間であり、CDmaxは測定が望まれる最大亀裂深さ(ミリメートル)であり、μは金属材料Mの比透磁率であり、ρは金属材料Mの電気抵抗率(ナノ・オーム・メートル、nΩm)である。
第2のステップS2の後、送信コイル3のエネルギーは、第1の抵抗器R1によって即座に放出されうる。このように、第1の抵抗器R1は、電流が第2の大きさI2を得たときに送信コイル3からエネルギーを放出するように構成される。一実施形態において、第1の抵抗器R1は、送信コイル3と並列接続に配設されてもよい。
第3のステップS3において、電流が第2の大きさI2を得たとき、誘導電流によって生成される磁場は、受信コイル5によって検出される。受信コイル5によって検出される磁場は、増幅器11によって増幅されてもよい受信コイルに、信号、例えば電圧を誘起する。
増幅器11は、計算装置12に増幅信号を供給する。一実施形態において、計算装置12は、第4のステップS4および第5のステップS5において、第1の信号特性値CV1および第2の信号特性値CV2をそれぞれ求めるように構成される。一実施形態において、制御ユニット9は、図2a〜図2bに示すように、第1のユニット13が、第1の時間範囲t12−t11において第1の特性値CV1を求め、第2の時間範囲t14−t13において第2の特性値CV2を求めることができるように、第1のユニット13に制御信号を供給するように構成される。
第3のステップS3において受信コイル5によって磁場が検出される前または検出されるのと同時に、磁場によって受信コイル5に生成されたエネルギーは、第2の抵抗器R2によって放出される。このように、第2の抵抗器R2は、電流が第2の大きさI2を得たときに受信コイル5からエネルギーを放出するように構成される。一実施形態において、第2の抵抗器R2は、受信コイル5と並列接続に配設されてもよい。
第1の抵抗器R1および第2の抵抗器R2の抵抗を適切に選択し、電流の第1の大きさI1と第2の大きさI2との間で高速に切り換えることによって、送信コイル3および受信コイル5のエネルギーが迅速に放出されてもよいため、受信コイル5によって磁場測定を始める前の期間t11−tが短くなる。
第1の時間範囲t12−t11の開始時間t11は、一実施形態において、第2の大きさI2を得るための電流制御による外乱が終了したことが推定され、第2の大きさI2を得るための電流制御による金属材料Mでの誘導電流が、金属材料Mの表面の不規則性に対応する深さおよび測定が望まれない浅い亀裂深さよりも金属材料Mの深くまで貫通したときである。
本明細書で説明される時間範囲の各開始点および終了点は、典型的に、制御ユニット9のソフトウェアにプログラミングされ、制御ユニット9は、制御信号を計算装置12、例えば、第1のユニット13に供給して、第1の特性値CV1、第2の特性値CV2を求めることができ、第3の特性値CV3が求められる実施形態においては、第3の特性値CV3をも求めることができる。
電流が金属材料Mの表面の不規則性および測定が望まれない浅い亀裂深さよりも深い深さまで電流が貫通する時間の推定は、深さが1mm以下の亀裂深さおよび表面不規則性の測定を望まない場合、以下の関係によって与えられてもよい。

11−t≒0.2*μ/ρ

式中、tは、電流が第2の大きさI2を有するように制御されるときの時間(ミリ秒)であり、μは金属材料Mの比透磁率であり、ρは電気抵抗率(nΩm)である。同様の式は、測定が望まれる最小亀裂深さに依存して導き出される。
第1の時間範囲t12−t11は、第2の大きさを得るための電流制御によって金属材料に誘導された電流が、測定が望まれる最も深い亀裂深さに対応する金属材料の深さまで貫通したときに終了する。第1の時間範囲t12−t11の終わりt12の推定は、例えば、以下の関係式によって得られる。

12−t≒0.2*μ*(CDmax/ρ

推定という用語は、一般に、時間範囲およびパルス持続時間の理論的推定を意味することを理解されたい。
第1の時間範囲t12−t11の間、第1の特性値CV1は、計算装置12によって、例えば、第1のユニット13によって求められる。第1の特性値CV1は、第1の時間範囲t12−t11においてとられる信号の単一の値、第1の時間範囲t12−t11の信号の平均値または第1の時間範囲t12−t11における信号の積分のいずれであってもよい。
図2aの中段の図において、実線22−1は、金属材料Mに亀裂が存在するときの受信コイル5によって検出される信号の一例を示し、点線22−2は、金属材料に亀裂Cが存在しないときの受信コイル5によって検出される信号の一例を示す。図2aの最下段の図は、第1の時間範囲t12−t11の間に線22−1および22−2の信号が積分されて、第1の特性値CV1を求める一例を示す。亀裂が存在する場合の信号値が、亀裂が存在しない場合の信号値と比較した場合に異なっていることが分かる。
第2の時間範囲t14−t13の始まりは、第1の時間範囲t12−t11の後である。一実施形態において、第1の時間範囲t12−t11と、第1の時間範囲t12−t11の持続時間と同じ大きさの持続時間を有する第2の時間範囲t14−t13との間に、中間時間範囲t13−t12があり、その時間の間は、信号のサンプルがとられていない。中間時間範囲の他の持続時間もまた可能であってもよい。
第5のステップS5において、第2の特性値CV2は、第2の時間範囲t14−t13において求められ、第2の時間範囲は、第1の時間範囲t12−t11の後であり、時間t13で始まる。一実施形態において、第2の時間範囲の持続時間は、第1の時間範囲t12−t11と同じ大きさのものである。第2の時間範囲t14−t13は、時間t14で終わる。
第2の時間範囲t14−t13の間、第2の特性値CV2は、計算装置12によって、例えば、第1のユニット13および第2のユニット15によって求められる。第2の特性値CV2は、第2の時間範囲t14−t13においてとられる信号の単一の値、第2の時間範囲t14−t13における信号の平均値または第2の時間範囲t14−t13における信号の積分のいずれであってもよい。
図2aの最下段の図は、亀裂がない信号と亀裂がある信号が、第2の時間範囲t14−t13の間に積分されて、第2の特性値CV2を求める例を示す。亀裂が存在する場合の信号値が、亀裂が存在しない場合の信号値と比較した場合に異なることが分かる。
第1の特性値CV1および第2の特性値CV2は、第2のユニット15に与えられる。第1の特性値CV1および第2の特性値CV2は、第2のユニット15に配設されたサンプルホールド回路によって電圧としてアナログ信号の形態で、または、あるいは第2のユニット15に配設されたA/D変換器によってディジタル信号として与えられてもよい。
第1の特性値CV1および第2の特性値CV2は、時間t16で第2のユニット15によって第3のユニット17に与えられてもよく、第1のユニット13は、次の測定のために、すなわち、次の電流パルスの特性値を求めるために、時間t15でリセットされうる。これは、図2aの最下段の図に示されている。
ステップS7において、第1の特性値CV1および第2の特性値CV2に基づいて亀裂深さを求めることによって、亀裂が存在するかが求められる。亀裂深さは、第1の特性値CV1と第2の特性値CV2との間の関係を求めることによって、第3のユニット17において求められうる。
本発明者は、第1の特性値CV1と第2の特性値CV2との間の関係CV1/CV2は、金属材料Mの表面19からの送信コイル3および受信コイル5の距離、金属材料Mの抵抗率ρおよび金属材料Mの表面上に存在し得る不規則性とは無関係であることを認識している。したがって、第1の特性値CV1と第2の特性値CV2との間の関係は、有利なことには、金属材料Mの亀裂を検査している際に金属材料Mの表面19と平行な平面における受信コイル3の広がりに対して、亀裂長さが比較的大きい場合に、亀裂深さを求めるために使用されてもよい。亀裂深さCDは、特に、例えば、以下の式によって求められてもよい。

CD≒C1*(CV1/CV2−C2)

式中、C1およびC2は2つの定数である。C2は、金属材料Mの測定時に亀裂がない場合、亀裂深さCDがゼロになるように求められる。C1は、既知の深さを有する亀裂深さを測定することによって、または理論的計算によって求められてもよい。定数C1およびC2は、例えば、第3のユニット17のメモリに格納され、それによって亀裂深さを計算する際に使用されてもよい。
一実施形態において、特に、金属材料Mの亀裂を検査する際に金属材料Mの表面19と平行な平面における受信コイル3の寸法より小さな長さ範囲を有する亀裂の亀裂深さを求めるのに適した一実施形態において、第3の特性値CV3が、亀裂深さを求めるステップS7の前のステップS6において計算装置12によって求められてもよい。第3の特性値CV3は、図2bの最下段の図に示されるように、第1の時間範囲t12−t11が始まる時間t11で始まり、第1の時間範囲t12−t11の終了時間t12の前の時間t17で終わる第3の時間範囲t17−t11において求められる。
第3の時間範囲t11−t17の間、第3の特性値CV3は、計算装置12によって、例えば、制御ユニット9からの制御信号による開始により、第1のユニット13によって求められる。第3の特性値CV3は、第3の時間範囲t17−t11においてとられる信号の単一の値、第3の時間範囲t17−t11の信号の平均値または第3の時間範囲t17−t11における信号の積分のいずれであってもよい。第3の時間範囲t17−t11の終了時間t17は、第1の時間範囲t12−t11の開始時間t11と、第1の時間範囲t12−t11の終了時間t12とに基づいて求められてもよい。第3の時間範囲の終了時間t17を求めるための関係式の一例は以下の通りである。
Figure 0005253615
ステップS6において第3の特性値CV3が求められた実施形態において、ステップS7において、亀裂長さも求められてもよい。存在する可能性のある亀裂の亀裂長さを求めるステップS7は第1の特性値CV1、第2の特性値CV2および第3の特性値CV3に基づくものであってもよい。亀裂長さCLは、例えば、以下の関係式によって求められてもよい。
Figure 0005253615

亀裂深さCDは、以下の式によって求められてもよい。
Figure 0005253615

式中、C3およびC4は定数である。定数C3およびC4は、実験的研究によって、例えば、金属材料の亀裂の既知の亀裂深さおよび亀裂長さの測定によって求められてもよい。定数C3およびC4は、計算装置12のメモリ、例えば、第3のユニット17のメモリに格納されてもよい。
亀裂深さまたは亀裂長さの寸法を得るために、既知の亀裂深さおよび亀裂長さに関する関係式CV1/CV2の形式の第1の特性値CV1と第2の特性値CV2との間の関係と、第1の特性値CV1と第3の特性値CV3との間の関係CV1/CV3は、データ構造、例えば、表に与えられてもよく、亀裂深さおよび亀裂長さの補間は、データ構造の値に基づいて実行されてもよい。
電流パルスは、時間tで信号発生器7によって送信コイル3に供給され、上記ステップS1〜S5およびS7が繰り返される。亀裂長さが受信コイル3の範囲より短い実施形態においては、ステップS6も繰り返される。
本発明の概念は、いくつかの実施形態を参照しながら主に上述してきた。しかしながら、当業者であれば、上記に開示されたもの以外の他の実施形態が、添付の特許請求の範囲に規定されるように、本発明の範囲内において同等に可能であることを容易に認識するであろう。
1 装置
3 送信コイル
5 受信コイル
7 信号発生器
9 制御ユニット
11 増幅器
12 計算装置
13 第1のユニット
15 第2のユニット
17 第3のユニット
19 金属材料の表面

Claims (12)

  1. 金属材料(M)の亀裂(C)の亀裂深さを求める方法であって、
    前記金属材料(M)に磁場を発生させる送信コイル(3)に第1の大きさ(I1)を有する電流を供給するステップ(S1)と、
    前記金属材料(M)において測定が望まれる最も深い亀裂深さよりも深くまで前記磁場が貫通していることが推定されるとき、第2の大きさ(I2)を得るように前記電流を制御するステップ(S2)と、
    受信コイル(5)によって前記磁場を検出し、検出した磁場によって前記受信コイル(5)に信号を発生させるステップ(S3)と、
    第1の時間範囲における第1の信号特性値(CV1)を求めるステップ(S4)であって、前記第1の時間範囲が、
    前記第2の大きさを得るための前記電流制御による外乱が終了したことが推定され、
    前記第2の大きさを得るための前記電流制御によって前記金属材料に誘導された電流が、前記金属材料(M)の表面の不規則性に対応する深さおよび測定が望まれていない亀裂深さよりも前記金属材料(M)の深くまで貫通する時間に開始され、
    前記第1の時間範囲が、前記第2の大きさを得るための電流制御による前記金属材料(M)に誘導された電流が、測定が望まれる最も深い亀裂深さに対応する前記金属材料の深さまで貫通すると終了するステップ(S4)と、
    前記第1の時間範囲の後の第2の時間範囲で、第2の信号特性値(CV2)を求めるステップ(S5)と、
    前記第1の特性値(CV1)および前記第2の特性値(CV2)に基づいて、亀裂の存在の可能性およびその亀裂深さを求めるステップ(S7)と
    を含む方法。
  2. 前記供給するステップ(S1)において、前記電流が基本的に一定である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記金属材料において測定が望まれる最も深い亀裂深さよりも深くまで貫通した前記磁場の推定が、前記電流を前記送信コイル(3)へ前記供給するステップが開始されるとき、測定が望まれる最も深い亀裂深さ、ならびに前記金属材料(M)の比透磁率および電気抵抗率に基づく、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第1の時間範囲の始まりが、前記第2の大きさ(I2)を得るための前記電流制御が開始される時間および前記金属材料(M)の比透磁率と電気抵抗率との関係に基づいて推定される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第1の時間範囲の終わりが、前記電流が前記第2の大きさ(I2)を得る時間、測定が望まれる最も深い亀裂深さ、ならびに前記金属材料(M)の比透磁率および電気抵抗率に基づいて推定される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記第1の特性値(CV1)を求める前記ステップ(S4)が、前記第1の時間範囲中の前記信号を積分するステップを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記第2の特性値(CV2)を求める前記ステップ(S5)が、前記第2の時間範囲中の前記信号を積分するステップを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 亀裂の存在の可能性およびその亀裂深さを求める前記ステップ(S7)が、前記第1の特性値と前記第2の特性値との関係を求めるステップを伴う、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 第3の時間範囲において第3の信号特性値(CV3)を求めるステップ(S6)を含み、前記第3の時間範囲が、前記第1の時間範囲と同時に開始され、前記第1の時間範囲の始まりと前記第1の時間範囲の終わりに基づいて求められた時間に終了し、亀裂の存在の可能性およびその亀裂深さを求める前記ステップ(S7)が、前記第1の特性値、前記第2の特性値および前記第3の特性値に基づいて、存在する可能性のある亀裂の亀裂長さを求めるステップを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記第3の特性値(CV3)を求める前記ステップ(S6)が、前記第3の時間範囲中の信号を積分するステップを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 金属材料(M)の亀裂の亀裂深さを求める装置(1)であって、
    前記金属材料(M)に磁場を発生させるように構成された送信コイル(3)と、
    前記磁場を検出するように構成された受信コイル(5)と、
    前記金属材料(M)に前記磁場を発生させる前記送信コイル(3)に、第1の大きさ(I1)の電流を供給するように構成された信号発生器(7)と、
    前記金属材料(M)において測定が望まれる最も深い亀裂深さより深くまで前記磁場が貫通していることが推定されるとき、前記電流が第2の大きさ(I2)を得るように前記信号発生器(7)を制御するように構成された制御ユニット(9)と、
    前記受信コイル()によって検出された前記磁場によって生成された信号を受信し、第1の時間範囲における第1の信号特性値(CV1)を求めるように構成された計算装置(12)とを含み、前記第1の時間範囲が、
    前記第2の大きさを得るための前記電流制御による外乱が終了したことが推定され、
    前記第2の大きさ(I2)を得るための前記電流制御による前記金属材料(M)に誘導された電流が、前記金属材料(M)の表面の不規則性に対応する深さおよび測定が望まれていない亀裂深さよりも前記金属材料(M)の深くまで貫通する時間に開始され、
    前記第1の時間範囲が、前記第2の大きさ(I2)を得るための前記電流制御によって前記金属材料(M)に誘導された前記電流が、測定が望まれる最も深い亀裂深さに対応する前記金属材料(M)の深さまで貫通した後に終了し、
    前記計算装置(12)が、さらに、前記第1の時間範囲の後に第2の時間範囲において第2の信号特性値(CV2)を求めるとともに、前記第1の特性値(CV1)および前記第2の特性値(CV2)に基づいて、亀裂の存在の可能性およびその亀裂深さを求めるように構成される装置(1)。
  12. 前記計算装置(12)が、第3の時間範囲における第3の信号特性値(CV3)を求めるように構成され、前記第3の時間範囲が、前記第1の時間範囲と同時に開始され、前記第1の時間範囲の始まりと前記第1の時間範囲の終わりに基づいて求められた時間に終了し、前記計算装置(12)が、前記第1の特性値(CV1)、前記第2の特性値(CV2)および前記第3の特性値(CV3)に基づいて、存在する可能性のある亀裂の亀裂長さを求めるように構成される、請求項11に記載の装置(1)。
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