JPH11326284A - パルス渦流探傷方法およびその装置 - Google Patents

パルス渦流探傷方法およびその装置

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JPH11326284A
JPH11326284A JP12595898A JP12595898A JPH11326284A JP H11326284 A JPH11326284 A JP H11326284A JP 12595898 A JP12595898 A JP 12595898A JP 12595898 A JP12595898 A JP 12595898A JP H11326284 A JPH11326284 A JP H11326284A
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JP
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voltage
pulse
circuit
secondary coil
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JP12595898A
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Inventor
Shigeru Kitagawa
茂 北川
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YONEKURA SEISAKUSHO KK
Original Assignee
YONEKURA SEISAKUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、疑似信号の影響を極力排除し、電
気比抵抗の比較的大きな被検査体の内部や裏面での性状
異常の検出感度を向上させる渦流探傷方法およびその装
置を提供せんとするものである。 【解決手段】 本発明に係るパルス渦流探傷装置は、コ
アの周りに巻回した2次コイル3 と、この2次コイル3
の外側に設けた中空円筒状コアの周りに巻回した1次コ
イル5 とを備えたセンサ1 と、前記1次コイル5 に接続
されパルス電流を供給するパルス電流発生回路51と、前
記2次コイル3 に接続された検出回路54と、を備えると
ともに、前記検出回路54が、2次コイル3 に生じる誘起
電圧のピーク近辺に所定の時刻にサンプリング用パルス
電圧を出力するサンプリング時刻設定回路56〜60と、前
記サンプリング回路61,62 の出力電圧を平滑にする平滑
回路63, 64と、を備え、前記誘起電圧の電圧値の変化を
検出することにより被検査体の表面、内部および裏面で
の性状異常を検出するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検査体に渦電流
を起こして被検査体の性状異常を検出するための渦流探
傷方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の非破壊検査装置のなかでも、渦流
探傷装置は、電磁誘導によって被検査体の局部に渦電流
を起こし、この渦電流がつくる磁束の乱れを検出するこ
とで、被検査体の傷、材質の不連続などの性状異常を見
つけるものである。このような渦流探傷装置は、金属製
の線材、棒材、管材などの被検査体を、高速・高温で検
査するときなどによく使われる。
【0003】図13に、本発明者による従来の渦流探傷
装置のセンサの断面を示す(特許第2622536号の
「渦流探傷方法及びその装置」)。図13によれば、セ
ンサ80は、フェライトなどからなるコア81の外周に2次
コイル82を回巻し、この2次コイル82の外周に1次コイ
ル83を回巻し、この1次コイル83に矩形波電流発生器を
接続し、2次コイル82に検出回路を接続して構成され
る。被検査体84の表面の傷85の検出は、この1次コイル
83に矩形波電流を流し、被検査体84の表面近くに電磁誘
導起電力による渦電流を起こして、この渦電流の乱れを
2次コイル82で検出することにより行われる。
【0004】その渦流探傷方法を、図14を参照しなが
ら以下に説明する。パルス波形電圧V2 には閾値電圧V
A およびVB が設定され、閾値電圧VA およびVB を越
える電圧成分の幅を有する矩形波電圧VCAおよびVCB
出力される。ここで、前記閾値電圧VA は、矩形波電圧
CAのパルス幅が被検査体の傷による広狭変化がほとん
ど無くかつリフトオフにより広狭変化が出る位置に設定
され、一方、前記閾値電圧VB は、矩形波電圧VCBのパ
ルス幅が被検査体の傷による広狭変化が大きくかつリフ
トオフにより広狭変化が小さく出る位置に設定される。
上記のセンサ80が被検査体にある傷85の上を移動すると
き、2次コイルに生じるパルス波形電圧は、図の実線か
ら2点鎖線へと変化する。このとき、リフトオフ成分a
のみ含む矩形波電圧VCA、およびリフトオフ成分aと被
検査体の傷の成分bとを含む矩形波電圧VCBが発生す
る。これら矩形波電圧VCAおよびVCBを平滑化した後、
リフトオフ成分aを相殺して、被検査体の傷の成分bの
みを含む出力信号が得られる。以上が従来の渦流探傷方
法の概要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような渦流探傷装
置および方法を用いて、2次コイルに生じる誘起電圧の
テール部での波形変化を検出することにより、被検査体
の表面、内部および裏面での性状異常を検出することが
可能となる。しかし、その内部および裏面での性状異常
を検出するとき、アルミニウム合金などの電気抵抗の比
較的小さな金属からなる被検査体に対しては、感度良く
検出できるが、ステンレスやインコネルなどの電気抵抗
の比較的大きな金属からなる被検査体に対しては、性状
異常を検出することはできるがその検出感度が非常に弱
かった。電気抵抗が大きくなるほどに、渦電流は指数関
数的に急激に減衰するからである。
【0006】一般に、1次コイルにパルス電流を流す
と、被検査体の表面に渦電流が、急激な磁束変化により
その磁束の進入を防ぐ方向に生じるが、時間の経過とと
もに急速に減衰し、表面より内部へ磁束の進入を許すよ
うになる。この減衰特性は以下の式で表される。
【0007】i(t)= i0 exp(−c σt) (1) (ここで、i(t):時刻t での渦電流の強さ、i0:t=0 で
の渦電流の強さ、σ:電気比抵抗、c :比例定数。)
【0008】この式は、渦電流が電気比抵抗σが大きい
物質ほど速く減衰し、磁束も急速に内部に浸透すること
を示している。よって、電気比抵抗σの比較的大きな金
属では、渦電流の減衰速度が大きいため、その内部や裏
面に渦電流が到達するときには非常に弱いものとなる。
なお、1次コイルにパルス電流の代わりに交流を流すと
き、被検査体の内部の性状異常を検出することは、通
常、極めて困難である。
【0009】このように、電気比抵抗σが大きい金属の
内部や裏面での性状異常の検出信号は非常に弱い。この
ため、1次コイルに強いパルス電流を流すと、2次コイ
ルに、1次コイルと2次コイルとの間の相互誘導による
誘起電圧成分が大きく、渦電流による誘起電圧成分が相
対的に小さく検出され、性状異常の検出信号が隠れてし
まうという問題がある。
【0010】さらに、検出信号には、センサと被検査体
との間の距離変動であるリフトオフおよび被検査体の導
電率変化や透磁率変化などの材質変動による疑似信号が
含まれている。往々にしてこの疑似信号は性状異常の信
号を上まわるため、性状異常の検出が難しくなるという
問題がある。
【0011】本発明は、これら問題に鑑み、疑似信号の
影響を排除し、電気比抵抗の比較的大きな被検査体の内
部や裏面での性状異常の検出感度を向上させる渦流探傷
方法およびその装置を提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明に係る
第1のパルス渦流探傷方法は、コアの周りに巻回した2
次コイルと、該2次コイルの外側に設けた中空円筒状コ
アの周りに巻回した1次コイルとを備えたセンサを用
い、前記1次コイルにパルス電流発生回路を接続し、前
記2次コイルに検出回路を接続して、前記パルス電流発
生回路から1次コイルにパルス電流を流して2次コイル
に生じる誘起電圧を前記検出回路へ出力し、前記検出回
路において、前記誘起電圧のピーク直下に閾値電圧を設
定し、前記誘起電圧のうち前記閾値電圧を越えるピーク
電圧成分の幅を有するパルス矩形波電圧を出力し、該パ
ルス矩形波電圧のパルス幅の変化を検出することにより
被検査体の表面、内部および裏面での性状異常を検出す
るものである。
【0013】ここで、前記検出回路において、前記誘起
電圧のテール部に交点を有する第2の閾値電圧を設定
し、前記誘起電圧のうち前記第2の閾値電圧を越える電
圧成分の幅を有するパルス矩形波電圧を出力し、該パル
ス矩形波電圧のパルス幅の変化と、前記ピーク電圧成分
の幅を有するパルス矩形波電圧のパルス幅の変化とを用
いて、センサと被検査体との間の距離の変動および被検
査体の材質の変動による影響を補償すると、検出信号に
含まれる疑似信号を除去することが可能となる。
【0014】次に、本発明に係る第2のパルス渦流探傷
方法は、コアの周りに巻回した2次コイルと、該2次コ
イルの外側に設けた中空円筒状コアの周りに巻回した1
次コイルとを備えたセンサを用い、前記1次コイルにパ
ルス電流発生回路を接続し、前記2次コイルに検出回路
を接続して、前記パルス電流発生回路から1次コイルに
パルス電流を流して生じる誘起電圧を2次コイルで検出
し、前記検出回路において、前記誘起電圧のピーク近辺
における所定の時刻での電圧値をサンプリングし、該電
圧値の変化を検出することにより被検査体の表面、内部
および裏面での性状異常を検出するものである。
【0015】ここで、前記検出回路において、前記誘起
電圧のテール部における所定の時刻での電圧値をサンプ
リングし、該電圧値の変化を検出し、該電圧値の変化と
前記ピーク近辺においてサンプリングした電圧値の変化
とを用いて、センサと被検査体との間の距離の変動およ
び被検査体の材質の変動による影響を補償すると、検出
信号に含まれる疑似信号を除去することが可能となる。
【0016】また、上記の第1および第2のパルス渦流
探傷方法において、誘起電圧のピーク近辺およびテール
部において電圧値をサンプリングするサンプリング時刻
を、前記パルス電流の立ち上がり時刻から遅延時間経過
の時とし、該遅延時間を調節することによって前記サン
プリング時刻を設定することができる。なお、この遅延
時間を連続的に変えることも可能である。
【0017】次に、上記の第1のパルス渦流探傷方法に
使用されるパルス渦流探傷装置は、コアの周りに巻回し
た2次コイルと、該2次コイルの外側に設けた中空円筒
状コアの周りに巻回した1次コイルとを備えたセンサ
と、前記1次コイルに接続されパルス電流を供給するパ
ルス電流発生回路と、前記2次コイルに接続された検出
回路と、を備えるとともに、前記検出回路が、1次コイ
ルにパルス電流を流したときに2次コイルに生じる誘起
電圧のピーク直下に閾値電圧を設定する第1閾値電圧設
定回路と、前記誘起電圧のうち前記閾値電圧を越えるピ
ーク電圧成分の幅を有するパルス矩形波電圧を出力する
コンパレータとからなる第1比較回路と、該パルス矩形
波電圧を平滑にする第1平滑回路と、を備えて、前記パ
ルス矩形波電圧のパルス幅の変化を検出することによ
り、被検査体の表面、内部および裏面での性状異常を検
出するものである。
【0018】ここで、前記検出回路が、前記誘起電圧の
テール部に交点を有する第2の閾値電圧を設定する第2
閾値電圧設定回路と、前記誘起電圧のうち第2の閾値電
圧を越える電圧成分の幅を有するパルス矩形波電圧を出
力するコンパレータとからなる第2比較回路と、該パル
ス矩形波電圧を平滑にする第2平滑回路と、前記第1平
滑回路の出力電圧と前記第2平滑回路の出力電圧とを用
いてセンサと被検査体間の距離の変動および被検査体の
材質の変動による影響を補償する補償加算回路と、を備
えることにより、被検査体の表面、内部および裏面での
性状異常のみを検出することが可能となる。
【0019】次に、上記の第2のパルス渦流探傷方法に
使用されるパルス渦流探傷装置は、コアの周りに巻回し
た2次コイルと、該2次コイルの外側に設けた中空円筒
状コアの周りに巻回した1次コイルとを備えたセンサ
と、前記1次コイルに接続されパルス電流を供給するパ
ルス電流発生回路と、前記2次コイルに接続された検出
回路と、を備えるとともに、前記検出回路が、1次コイ
ルにパルス電流を流したときに2次コイルに生じる誘起
電圧のピーク近辺における所定の時刻にサンプリング用
パルス電圧を出力するサンプリング時刻設定回路と、該
サンプリング用パルス電圧を入力されて誘起電圧の電圧
値を出力するサンプリング回路と、該サンプリング回路
の出力電圧を平滑にする平滑回路と、を備えて、前記誘
起電圧の電圧値の変化を検出することにより被検査体の
表面、内部および裏面での性状異常を検出するものであ
る。
【0020】ここで、前記検出回路が、前記誘起電圧の
テール部における所定の時刻にサンプリング用パルス電
圧を出力するサンプリング時刻設定回路と、該サンプリ
ング用パルス電圧を入力されて誘起電圧の電圧値を出力
する補償用サンプリング回路と、該補償用サンプリング
回路の出力電圧を平滑にする補償用平滑回路と、上記の
平滑回路の出力電圧と前記補償用平滑回路の出力電圧と
を用いてセンサと被検査体間の距離の変動および被検査
体の材質の変動による影響を補償する補償加算回路と、
を備えることにより、被検査体の表面、内部および裏面
での性状異常のみを検出することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る代表的な種々
の実施例を説明する。図1は、本発明に係る渦流探傷装
置のセンサ1 の断面を示す模式図である。センサ1 は、
中心軸に配された中心軸コア2 、この中心軸コア2 の周
りに巻回された2次コイル3 、この2次コイル3 の外側
に同軸状に配された中空円筒状コア4 、この中空円筒状
コア4 の外周に巻かれた1次コイル5 を備えて構成され
る。中空円筒状コア4 の周りに1次コイル5 を巻くこと
は、1次コイルに流れる電流により発生するジュール熱
を効率良く逃がすのに有効である。前記1次コイル5 に
はパルス電流発生回路から増幅されたパルス電流が供給
される。また、前記2次コイル3 には、被検査体の性状
異常を検出する検出回路が接続されている。なお、前記
中心軸コア2 の素材としてはフェライトやアモルファス
を用い、中空円筒状コア4 の素材としてはフェライト、
アモルファスまたはファインメットなどの高周波用高透
磁率素材を用いることができる。
【0022】前記1次コイル5 にパルス電流を流したと
きに2次コイル3 で生じる誘起電圧は、1次コイルと2
次コイルとの間の相互誘導からの誘起電圧成分、被検査
体6の表面および内部で生じた渦電流からの誘起電圧成
分、さらには、センサ1 と被検査体6 の間の距離の変動
であるリフトオフおよび被検査体6 の導電率変化や透磁
率変化などの材質変動からくる疑似信号などを含む。よ
って、性状異常を検出するには、相互誘導からの誘起電
圧成分や疑似信号を出来るだけ減らして、渦電流からの
誘起電圧成分のみを検出しなければならない。
【0023】本発明のセンサ1 の構造では、図13の従
来のセンサの構造と比べて、1次コイルと2次コイル間
の相互インダクタンスが小さくなるため、相互誘導によ
る誘起電圧成分が大幅に減る。したがって、渦電流から
の誘起電圧成分が相対的に大きく出力されるため、後述
する検出回路と組み合わせることによって、被検査体の
内部や裏面での性状異常を効率良く検出することが可能
となる。
【0024】また、性状異常を効率良く検出するには、
被検査体に立ち上がりの鋭い強い渦電流を流す方が良
い。このため、1次コイルの巻数を少なくし、その代わ
りに1次コイルに巻く導線を太くして電流量を多くする
ことが好ましい。これは、1次コイルの自己インダクタ
ンスが小さいほど、1次コイルに流すパルス電流の立ち
上がりおよび立ち下がりが急峻になり、被検査体におけ
る磁束の時間変化率が大きくなるため、大きな渦電流が
生じるからである。
【0025】また、本発明に係る1次コイルおよび2次
コイルには、前記パルス電流の立ち上がりおよび立ち下
がりの直後に共振振動電圧が生じることを防ぐため、適
当な抵抗を並列に接続することが好ましい。
【0026】さらに、前記1次コイルと2次コイルとの
間の相互誘導からくる誘起電圧成分を減らすべく、上記
の被検査体側に位置する中心軸コア2 の下面7 と中空円
筒状コア4 の下面8 とを同一平面内に調整しておくこと
が、好ましい。これにより、このようなセンサを導体で
ある被検査体上に置いたとき、渦電流によるシールド効
果が効果的に働くため前記相互誘導が生じにくくなり、
渦電流からくる誘起電圧成分が効率良く検出される。
【0027】このようなセンサ(1次コイルの巻数は1
00回)を用いて、性状異常の無い被検査体に渦電流を
起こしたときに、その裏面で生ずる磁界の強さをアモル
ファス磁気センサを用いて測定した。図2に、この測定
結果を示す(横軸は、1次コイルに流すパルス電流の立
ち上がり時からの時間、縦軸は、磁界の強さを示す)。
被検査体としては、ベークライトまたはインコネルから
なる厚みが6mmの板材を用いた。図2より、板材がベ
ークライトの場合、ピークは約60μsec の時点に生
じ、板材がインコネルの場合、ピークは約80μsec の
時点で生じていることが分かる。したがって、これら磁
界のピーク発生時点付近の2次コイルの誘起電圧成分を
用いることにより、最も効率良く性状異常を検出するこ
とができる。後述するパルス渦流探傷装置は、このよう
なピーク発生時点付近の2次コイルの誘起電圧成分を用
いるものである。
【0028】以下、上記センサを用いたパルス渦流探傷
装置について説明する。
【0029】(第1のパルス渦流探傷装置)図3に、本
発明に係る第1のパルス渦流探傷装置のブロック図を示
し、図4に、図3に示す検出回路のより具体的な構成の
一例を示す。図3によれば、本実施例のパルス渦流探傷
装置10は、パルス矩形波電流を出力するパルス電流発生
回路11、このパルス電流発生回路11の出力電流を増幅す
る電流増幅回路12、図1に示したように、中心軸コア2
の周りに巻回された2次コイル3 と中空円筒状コア4の
周りに巻回された1次コイル5 とを備えたセンサ1 、お
よび、2次コイル3 で生じる誘起電圧を用いて被検査体
の性状異常を検出する検出回路13から構成される。さら
に、前記検出回路13は、第1比較回路14、平滑回路15、
増幅回路16、第2比較回路17、平滑回路18、増幅回路1
9、および補償加算回路20から構成される。
【0030】図5に示すように、パルス電流発生回路か
らパルス矩形波電流I(t)を1次コイル5 に供給すると
き、2次コイル3 から誘起電圧V 1 (t) が出力される。
本実施例では、このパルス矩形波電流I(t)の周波数を約
100kHz、パルス幅を1〜2msec に設定した。こ
のときの誘起電圧V 1 (t) の波形は、被検査体の材質や
厚みによって異なるが、たとえば、被検査体が板厚が6
mmのインコネルの場合、ピークはパルス矩形波電流の
立ち上がり時から約73μsec 、被検査体が板厚が6m
mのステンレス(SUS 304)の場合、ピークは約
80μseの点で発生する。インコネルやステンレスは、
その電気比抵抗が比較的大きいため、そのピーク発生ま
での時間が非常に短いという特徴を有する。なお、電気
比抵抗の比較的小さなアルミニウムや銅などの場合、そ
のピークは1msec以上の点で発生する。
【0031】前記第1比較回路14では、誘起電圧V
1 (t) のピーク直下に閾値電圧V refAが設定され、か
つ、前記誘起電圧のうち閾値電圧V refAを越えるピーク
電圧成分の幅をパルス幅τA とするパルス矩形波電圧V
2 (t) を得る。このパルス矩形波電圧V 2 (t) は、平滑
回路15において平滑にされて出力電圧V 21(t) として出
力される。このとき、センサ1 を被検査体の表面に沿っ
て移動させると、性状異常がある位置の上で、誘起電圧
V 1 (t) の波形が変化し、この変化とともに前記パルス
幅τA が変化する。このパルス幅τA の変化分δτA
は、性状異常のみならず、センサと被検査体との間の距
離変動であるリフトオフの成分や、被検査体の導電率変
化や透磁率変化などの材質変動による疑似信号が含まれ
ている。
【0032】一方、第2比較回路17では、誘起電圧V 1
(t) のテール部に交点を有する閾値電圧V refBが設定さ
れ、かつ、前記誘起電圧のうち閾値電圧V refBを越える
電圧成分の幅をパルス幅τB とする出力電圧V 3 (t) を
得る。この出力電圧V 3 (t)は、平滑回路18において平
滑にされて出力電圧V 31(t) として出力される。このと
き、センサ1 を被検査体の表面に沿って移動させると、
性状異常がある位置の上で、誘起電圧V 1 (t) の波形が
変化し、この変化とともに前記パルス幅τB が変化す
る。このパルス幅τB の変化分δτB には、主にリフト
オフや材質変動などによる疑似信号が含まれている。な
お、前記閾値電圧V refBは、予め、性状異常に対するパ
ルス幅の変化分δτB ができるだけ小さくなるように設
定されることが、好ましい。
【0033】そして、前記出力電圧V 21(t) ,V 31(t)
は増幅回路16,19において増幅され、両者は、補償加算
回路20において疑似信号を補償するように加算されて、
直流電圧信号V 0 (t) が得られる。この直流電圧信号V
0 (t) には、疑似信号が補償されほとんど含まれないの
で、センサを被検査体の性状異常がある位置の上を移動
させると、直流電圧信号V 0 (t) には、リフトオフや材
質変動などによる疑似信号が除かれた、性状異常を示す
信号のみが現れることとなる。このように、本発明で
は、誘起電圧のピーク近辺の波形変化を検出することに
より性状異常を検出する。このピーク近辺は曲線勾配が
小さいため、性状異常により誘起電圧の波形が変化する
とき、この変化に対応するパルス幅の変化δτA が大き
く出る。よって、性状異常を感度良く検出することが可
能となる。
【0034】その性状異常を示す信号は、図6に示すよ
うなものとなる。この信号は、板状の被検査体の裏面に
大小形状の異なる2個の人工亀裂を並列に設け、上記の
第1のパルス渦流探傷装置をそれら人工亀裂の前後を往
復させたときに、直流電圧信号V 0 (t) に現れるもので
ある。各ピークが人工亀裂を示している。
【0035】ところで、上記の検出回路としては、より
具体的には、図4に示す構成を用いることができる。図
4によれば、2次コイル3 での誘起電圧は、増幅回路21
において増幅されて第1比較回路31および第2比較回路
32へ入力する。第1比較回路31は、図5に示す2次コイ
ル3 で生じる誘起電圧V 1 (t) のピーク直下に閾値電圧
V refAを設定する第1閾値電圧設定回路33と、コンパレ
ータ34とからなる。この第1閾値電圧設定回路33では、
抵抗値R1 と抵抗値R2 との比を調節することにより、
常に誘起電圧のピーク直下に閾値電圧V refAが設定され
る。そして、コンパレータ34では、その反転入力端子に
閾値電圧V refAが入力され、その非反転入力端子に誘起
電圧が入力されて、この誘起電圧のうち閾値電圧V refA
を越える電圧成分の幅をパルス幅τA とするピーク成分
V 2 (t) が出力される。このピーク成分V 2 (t) は、平
滑回路35で平滑化されて出力電圧V 21(t) となる。
【0036】一方、第2比較回路32は、図5に示す誘起
電圧V 1 (t) のテール部に閾値電圧V refBを設定する第
2閾値電圧設定回路36と、コンパレータ37とからなる。
第2閾値電圧設定回路36では、正電圧+Vに電圧付勢さ
れた可変抵抗によって分圧設定することにより閾値電圧
V refBが得られる。そして、コンパレータ37では、その
非反転入力端子に誘起電圧が入力され、その反転入力端
子に前記閾値電圧V re fBが印加されて、前記誘起電圧の
うち閾値電圧V refBを越える電圧成分の幅をパルス幅τ
B とする電圧成分V 3 (t) が出力される。この電圧成分
V 3 (t) は、平滑回路38で平滑にされて出力電圧V
31(t) となるのである。なお、本発明においては、第2
閾値電圧設定回路の構成はこれに限らず、たとえば、上
記の第1比較回路での第1閾値電圧設定回路と同じもの
を、閾値電圧の値を変えて用いて良い。
【0037】平滑回路35,38の出力電圧V 21(t) および
V 31(t) は、それぞれ負電圧−Vに電圧付勢された可変
抵抗によって分圧設定されることにより、オフセットを
補償され、基準レベルをゼロに設定される。その後、オ
フセット補償後の出力電圧V 21(t) は増幅回路39で増幅
され、またオフセット補償後の出力電圧V 31(t) は増幅
回路40で増幅された後に、両者は、補償加算回路41にお
いて疑似信号が補償されるように加算され、増幅回路42
において増幅されて、直流電圧信号V 0 (t) が出力され
る。なお、上記の出力電圧V 21(t) およびV 31(t) の波
形は、平滑回路35,38の内部に含まれるコンデンサや抵
抗によって放充電するために波打っているが、実際はこ
れら波形が十分に平滑であるようにコンデンサや抵抗な
どの値が調整される。
【0038】実際に性状異常を検出するときは、被検査
体の材質によっては疑似信号の影響が異なるので、先
ず、種々の材質の人工亀裂を設けたサンプルを用意し、
リフトオフなどによる疑似信号の影響がもっとも少なく
なるように、上記の閾値電圧V refA,V refBを調節す
る。また、性状異常の検出感度を検出感度を最適にする
ように、増幅回路のゲインを調節する。さらに、予め、
亀裂の幅、深さおよび位置などの性状異常が既知のサン
プルを用意し、検出感度が最適となるように、上記の閾
値電圧V refA,V refBの最適値データを集めておき、実
際の測定データと前記最適値データとを照合することに
より、被検査体の材質、もしくは被検査体の内部または
裏面にあるクラックの長さや深さを測定することも可能
となる。
【0039】(第2のパルス渦流探傷装置)次に、図7
に、本発明に係る第2のパルス渦流探傷装置のブロック
図を示す。本実施例のパルス渦流探傷装置50は、パルス
矩形波電流を出力するパルス電流発生回路51、このパル
ス矩形波電流を増幅する電流増幅回路52、図1に示した
ように、中心軸コア2 の周りに巻回された2次コイル3
と中空円筒状コア4 の周りに巻回された1次コイル5 と
を備えたセンサ1 、2次コイル3 での誘起電圧を増幅す
る増幅回路53、および、誘起電圧から被検査体の性状異
常を検出する検出回路54から構成される。また、前記検
出回路54は、パルス電流発生回路のパルス出力電圧の積
分値を出力する積分回路56、比較回路57、補償用比較回
路58、微分回路59,60、サンプリング回路61,62、平滑
回路63,64、補償加算回路65、およびカウンタ55から構
成される。
【0040】図8に示すように、パルス電流発生回路か
らパルス矩形波電流I(t)を1次コイルに供給すると、2
次コイルには誘起電圧V 1 (t) が生じる。この誘起電圧
V 1(t) が、図7に示す増幅回路53において増幅され、
検出回路54への入力信号となる。また、パルス電流発生
回路51のパルス信号も検出回路54への入力信号となる。
【0041】比較回路57では、出力電圧V 51(t) のうち
閾値電圧V ref1を越える電圧成分の幅をパルス幅とする
パルス矩形波電圧V 52(t) が出力され、微分回路59で
は、そのパルス矩形波電圧V 52(t) の立ち上がり時の微
分値のパルス電圧V 53(t) が出力される。このパルス電
圧V 53(t) は、パルス電流の立ち上がり時から遅延時間
τ1 の後に発生するように調節される。次に、サンプリ
ング回路61では、前記遅延時間τ1 での誘起電圧V
1 (t) の電圧値V a がサンプリングされ、所定のパルス
幅を有する出力電圧V 60(t) が得られる。このように、
前記閾値電圧V ref1を変えて、遅延時間τ1 を調節する
ことにより、誘起電圧のピーク近辺の任意の点をサンプ
リングすることができる。このとき、センサを被検査体
の表面に沿って移動させると、性状異常がある位置の上
で、誘起電圧V 1 (t) の波形が変化し、この変化ととも
に電圧値V a が変化する。この変化分δV a には、性状
異常のみならず、センサと被検査体との間の距離変動で
あるリフトオフおよび被検査体の導電率変化や透磁率変
化などの材質変動を示す疑似信号が含まれている。
【0042】一方、補償用比較回路58では、出力電圧V
51(t) のうち閾値電圧V ref2を越える電圧成分の幅をパ
ルス幅とするパルス矩形波電圧V 54(t) が出力され、微
分回路60では、パルス矩形波電圧V 54(t) の立ち上がり
時の微分値のパルス電圧V 55(t) が出力される。このパ
ルス電圧V 55(t) は、パルス電流の立ち上がり時から遅
延時間τ2 の後に発生するように調節される。次に、サ
ンプリング回路62では、前記遅延時間τ2 での誘起電圧
V 1 (t) の電圧値V b がサンプリングされ、所定のパル
ス幅を有する出力電圧V 61(t) が得られる。このよう
に、前記閾値電圧V ref2を変えて、遅延時間τ2 を調節
することにより、誘起電圧のテール部の任意の点をサン
プリングすることができる。このとき、センサを被検査
体の表面に沿って移動させると、性状異常がある位置の
上で、誘起電圧V 1 (t) の波形が小さく変化し、この変
化とともに電圧値V b が変化する。この変化分δV b
は、主にリフトオフや材質変動などの疑似信号が含まれ
ている。
【0043】そして、上記のサンプリングされた出力電
圧V 60(t) ,V 61(t) は、それぞれ平滑回路63,64にお
いて平滑にされる。次いで、補償加算回路65において、
出力電圧V 61(t) は、疑似信号を補償するように出力電
圧V 60(t) と加算され、直流電圧信号V 10(t) が出力さ
れる。この直流電圧信号V 10(t) では、上記の疑似信号
が補償されているので、センサを被検査体の性状異常が
ある位置の上を移動させると、疑似信号が除かれた、性
状異常を示す信号のみが現れることとなる。
【0044】なお、前記比較回路57および補償用比較回
路58としては、具体的には、図4に示した比較回路31ま
たは32を用いて、これらの閾値電圧を変えることによ
り、遅延時間の調節をすることができ、また、この遅延
時間を連続的に変えることも可能である。さらに、平滑
回路63,64としても、図4に示した平滑回路35,38を用
いることができる。
【0045】ところで、前記サンプリング回路61,62へ
入力する微分値のパルス電圧V 53(t) とV 55(t) の代わ
りに、カウンタ55の出力電圧を用いることができる。カ
ウンタ55は、内部に基準発振回路を備える。パルス電流
発生回路51のパルス信号の立ち上がり時刻をスタート点
として、その基準発振回路のクロックパルスを計数し、
プリセットされたカウント数に達した時点で、所定のパ
ルス幅を有するパルス電圧をサンプリング回路61,62へ
出力するのである。また、上記のτ1 およびτ 2 は、ク
ロックパルスのパルス幅、周波数、およびプリセットさ
れたカウント数を変えることにより調節される。たとえ
ば、遅延時間τ=50μsec でのサンプリングを行う場
合、前記基準発振回路が100kHzの周波数、5μse
c のパルス幅を有するクロックパルスを用いるとき、そ
のクロックが5をカウントした時点で、パルス幅が5μ
sec のサンプル制御電圧を前記のサンプリング回路へ出
力することとなる。
【0046】実際に性状異常を検出するときは、被検査
体の材質によって疑似信号の影響が異なるので、先ず、
種々の材質の人工亀裂を設けたサンプルを用意し、リフ
トオフなどによる疑似信号の影響がもっとも少なくなる
ように、上記の遅延時間を調節する。そして、性状異常
の検出感度が最適となるように、増幅回路のゲインを調
節する。また、予め、亀裂の幅、深さおよび位置などの
性状異常が既知のサンプルを用意し、検出感度が最適と
なるように、上記の遅延時間τ1 ,τ2 の最適値データ
を集めておき、実際の測定データと前記最適値データと
を照合することにより、被検査体の材質、もしくは被検
査体の内部または裏面にあるクラックの幅や深さを測定
することもできる。なお、性状異常が既知のサンプルの
データとしては、たとえば、図2のグラフを用いること
ができる。
【0047】(探傷試験)次に、第2のパルス渦流探傷
装置を用いた探傷試験について説明する。図9の(A1),
(A2),(B1),(B2)に、本試験に用いた2種類の人工亀裂
71(以下、A型亀裂と呼ぶ。),人工亀裂72(以下、B
型亀裂と呼ぶ。)の断面を示す。(A2)は(A1)の断面図、
(B2)は(B1)の断面図である。A型亀裂は、厚みがt1
被検査体73の裏面に設けられ、幅がw1 、深さがd1
曲率半径がRの円弧形状をしている。他方、B型亀裂
は、厚みがt2 の被検査体74の裏面に設けられ、幅がw
2 、深さがd2 、長さがLの平行6面体形状をしてい
る。探傷試験は、センサを、図9の(A1),(B1)に示す人
工亀裂71,72の上を水平に往復移動させることにより行
われた。
【0048】図10の(1) 〜(3) は、疑似信号の補償の
無い、A型亀裂の検出信号を示す図である(遅延時間τ
1 :70μsec )。各ピークにより人工亀裂が明瞭に検
出されていることが分かる。試験は、深さが1,2およ
び3mmの深さを有するA型亀裂のそれぞれに対して行
われた。その被検査体と人工亀裂のデータを表1に示
す。なお、疑似信号の補償は無いので、図7に示した補
償用比較回路58、微分回路60、サンプリング回路62、平
滑回路64および補償加算回路65は機能していない。
【0049】
【表1】
【0050】次に、図11に、(1) 疑似信号の補償後と
(2) 疑似信号の補償前の、A型亀裂の検出信号を示す
(遅延時間τ1 :70μsec 、τ2 :150μsec )。
疑似信号の補償後のピーク信号は、補償前と比べて、明
瞭に現れてることが分かる。被検査体の材質およびA型
亀裂の形状は、表1に示すものと同じである。但し、本
試験では、深さ(1,2,3mm)の異なるA型亀裂が
並列に設けられている。
【0051】次に、図12に、(1) 疑似信号の補償後と
(2) 疑似信号の補償前の、A型亀裂とB型亀裂の入り交
じった検出信号を示す(遅延時間τ1 :35μsec 、τ
2 :100μsec )。疑似信号の補償後のピーク信号
は、補償前と比べて、明瞭に現れてることが分かる。そ
の被検査体と人工亀裂のデータを表2に示す。また、図
12の各ピークには、人工亀裂のタイプ(A型亀裂かB
型亀裂か)と亀裂の深さを記した。例えば、深さが0.
5mmのA型亀裂の場合、「A0.5」と記されてい
る。
【0052】
【表2】
【0053】ところで、上述した各実施例は、1次コイ
ルに流れるパルス電流の立ち上がり時に生ずる渦電流を
利用して性状異常を検出するものであったが、この代わ
りにパルス電流の立ち下がり時に生ずる渦電流を利用す
るものであっても、同様の効果が得られることは言うま
でもない。
【0054】
【発明の効果】上述の如く、本発明のパルス渦流探傷方
法およびその装置によれば、コアの周りに巻回した2次
コイルと、この2次コイルの外側に設けた中空円筒状コ
アの周りに巻回した1次コイルとを備えたセンサを用い
ているので、1次コイルと2次コイルとの間の相互イン
ダクタンスが小さくなり、両コイル間の直接相互誘導か
らくる誘起電圧成分が大幅に減るため、被検査体に生じ
る渦電流からの誘起電圧成分が相対的に大きくなり、特
に誘起電圧のピーク近辺の信号を精度良く検出すること
ができる。
【0055】また、本発明の第1のパルス渦流探傷方法
およびその装置によれば、誘起電圧のピーク直下に閾値
電圧を設定し、前記誘起電圧のうち前記閾値電圧を越え
るピーク電圧成分の幅を有するパルス矩形波電圧を出力
し、該パルス矩形波電圧のパルス幅の変化を検出してい
るので、曲線勾配の小さなピーク電圧成分を用いること
により、性状異常により誘起電圧の波形が変化すると
き、この変化に対応するパルス幅の変化が大きく、性状
異常を感度良く検出することが可能となる。
【0056】また、前記誘起電圧のテール部に交点を有
する第2の閾値電圧を設定し、前記誘起電圧のうち前記
第2の閾値電圧を越える電圧成分の幅を有するパルス矩
形波電圧を出力し、該パルス矩形波電圧のパルス幅の変
化と、前記ピーク電圧成分の幅を有するパルス矩形波電
圧のパルス幅の変化とを用いることにより、検出信号に
含まれる疑似信号を補償し除くことができるので、性状
異常をより感度良く検出することができる。
【0057】次に、本発明の第2のパルス渦流探傷方法
およびその装置によれば、前記誘起電圧のピーク近辺に
おける所定の時刻での電圧値をサンプリングし、該電圧
値の変化を検出するので、そのピーク近辺での任意の点
の電圧値を容易にサンプリングすることができ、誘起電
圧のピーク発生時までの時間が非常に短い被検査体に対
して性状変化を感度良く検出することができる。
【0058】また、前記誘起電圧のテール部における所
定の時刻での電圧値をサンプリングし、該電圧値の変化
を検出し、該電圧値の変化と前記ピーク近辺においてサ
ンプリングした電圧値の変化とを用いることにより、検
出信号に含まれる疑似信号を補償し除くことができるの
で、性状異常をより感度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパルス渦流探傷装置のセンサの断
面を示す模式図である。
【図2】被検査体の裏面での磁気の強さを示すグラフで
ある。
【図3】本発明に係る第1のパルス渦流探傷装置を説明
するためのブロック図である。
【図4】図3の検出回路のより具体的な構成を示す回路
図である。
【図5】第1のパルス渦流探傷装置の各部での出力信号
の波形を示す図である。
【図6】性状異常によるピーク信号を示す図である。
【図7】本発明に係る第2のパルス渦流探傷装置を説明
するためのブロック図である。
【図8】第2のパルス渦流探傷装置の各部での出力信号
の波形を示す図である。
【図9】探傷試験に用いた人工亀裂の形状を示す図であ
る。
【図10】探傷試験により得られた人工亀裂の検出信号
を示すグラフである。
【図11】探傷試験により得られた人工亀裂の検出信号
を示すグラフである。
【図12】探傷試験により得られた人工亀裂の検出信号
を示すグラフである。
【図13】従来のパルス渦流探傷装置のセンサの断面を
示す模式図である。
【図14】従来のパルス渦流探傷装置での探傷方法を説
明するための図である。
【符号の説明】
1 センサ 2 中心軸コア 3 2次コイル 4 中空円筒状コア 5 1次コイル 6 被検査体 7 中心軸コアの下面 8 中空円筒状コアの下面 10 パルス渦流探傷装置 11 パルス電流発生回路 12 電流増幅回路 13 検出回路 14 第1比較回路 15 平滑回路 16 増幅回路 17 第2比較回路 18 平滑回路 19 位相反転増幅回路 20 補償加算回路 21 増幅回路 30 検出回路 31 第1比較回路 32 第2比較回路 33 第1閾値電圧設定回路 34 コンパレータ 35 平滑回路 36 第2閾値電圧設定回路 37 コンパレータ 38 平滑回路 39 増幅回路 40 位相反転増幅回路 41 補償加算回路 42 増幅回路 50 第2のパルス渦流探傷
装置 51 パルス電流発生回路 52 電流増幅回路 53 増幅回路 54 検出回路 55 カウンタ 56 積分回路 57 比較回路 58 補償用比較回路 59, 60 微分回路 61, 62 サンプリング回路 63, 64 平滑回路 65 補償加算回路 70 被検査体 71 センサ 72 人工亀裂 80 センサ 81 コア 82 2次コイル 83 1次コイル 84 被検査体 85 表面の傷

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コアの周りに巻回した2次コイルと、該
    2次コイルの外側に設けた中空円筒状コアの周りに巻回
    した1次コイルとを備えたセンサを用い、前記1次コイ
    ルにパルス電流発生回路を接続し、前記2次コイルに検
    出回路を接続して、前記パルス電流発生回路から1次コ
    イルにパルス電流を流して2次コイルに生じる誘起電圧
    を前記検出回路へ出力し、前記検出回路において、前記
    誘起電圧のピーク直下に閾値電圧を設定し、前記誘起電
    圧のうち前記閾値電圧を越えるピーク電圧成分の幅を有
    するパルス矩形波電圧を出力し、該パルス矩形波電圧の
    パルス幅の変化を検出することにより被検査体の表面、
    内部および裏面での性状異常を検出することを特徴とす
    るパルス渦流探傷方法。
  2. 【請求項2】 前記検出回路において、前記誘起電圧の
    テール部に交点を有する第2の閾値電圧を設定し、前記
    誘起電圧のうち前記第2の閾値電圧を越える電圧成分の
    幅を有するパルス矩形波電圧を出力し、該パルス矩形波
    電圧のパルス幅の変化と、前記ピーク電圧成分の幅を有
    するパルス矩形波電圧のパルス幅の変化とを用いて、セ
    ンサと被検査体間の距離の変動および被検査体の材質の
    変動による影響を補償する請求項1記載のパルス渦流探
    傷方法。
  3. 【請求項3】 コアの周りに巻回した2次コイルと、該
    2次コイルの外側に設けた中空円筒状コアの周りに巻回
    した1次コイルとを備えたセンサを用い、前記1次コイ
    ルにパルス電流発生回路を接続し、前記2次コイルに検
    出回路を接続して、前記パルス電流発生回路から1次コ
    イルにパルス電流を流して生じる誘起電圧を2次コイル
    で検出し、前記検出回路において、前記誘起電圧のピー
    ク近辺における所定の時刻での電圧値をサンプリング
    し、該電圧値の変化を検出することにより被検査体の表
    面、内部および裏面での性状異常を検出することを特徴
    とするパルス渦流探傷方法。
  4. 【請求項4】 前記検出回路において、前記誘起電圧の
    テール部における所定の時刻での電圧値をサンプリング
    し、該電圧値の変化を検出し、該電圧値の変化と前記ピ
    ーク近辺においてサンプリングした電圧値の変化とを用
    いて、センサと被検査体間の距離の変動および被検査体
    の材質の変動による影響を補償する請求項3記載のパル
    ス渦流探傷方法。
  5. 【請求項5】 前記誘起電圧のピーク近辺またはテール
    部において電圧値をサンプリングするサンプリング時刻
    を、前記パルス電流の立ち上がり時刻から遅延時間経過
    の時とし、該遅延時間を調節して前記サンプリング時刻
    を設定する請求項3または請求項4記載のパルス渦流探
    傷方法。
  6. 【請求項6】 コアの周りに巻回した2次コイルと、該
    2次コイルの外側に設けた中空円筒状コアの周りに巻回
    した1次コイルとを備えたセンサと、前記1次コイルに
    接続されパルス電流を供給するパルス電流発生回路と、
    前記2次コイルに接続された検出回路と、を備えるとと
    もに、前記検出回路が、1次コイルにパルス電流を流し
    たときに2次コイルに生じる誘起電圧のピーク直下に閾
    値電圧を設定する第1閾値電圧設定回路と、前記誘起電
    圧のうち前記閾値電圧を越えるピーク電圧成分の幅を有
    するパルス矩形波電圧を出力するコンパレータとからな
    る第1比較回路と、該パルス矩形波電圧を平滑にする第
    1平滑回路と、を備えて、前記パルス矩形波電圧のパル
    ス幅の変化を検出することにより、被検査体の表面、内
    部および裏面での性状異常を検出するパルス渦流探傷装
    置。
  7. 【請求項7】 前記検出回路が、前記誘起電圧のテール
    部に交点を有する第2の閾値電圧を設定する第2閾値電
    圧設定回路と、前記誘起電圧のうち第2の閾値電圧を越
    える電圧成分の幅を有するパルス矩形波電圧を出力する
    コンパレータとからなる第2比較回路と、該パルス矩形
    波電圧を平滑にする第2平滑回路と、前記第1平滑回路
    の出力電圧と前記第2平滑回路の出力電圧とを用いてセ
    ンサと被検査体間の距離の変動および被検査体の材質の
    変動による影響を補償する補償加算回路と、を備えて、
    被検査体の表面、内部および裏面での性状異常のみを検
    出する請求項6記載のパルス渦流探傷装置。
  8. 【請求項8】 コアの周りに巻回した2次コイルと、該
    2次コイルの外側に設けた中空円筒状コアの周りに巻回
    した1次コイルとを備えたセンサと、前記1次コイルに
    接続されパルス電流を供給するパルス電流発生回路と、
    前記2次コイルに接続された検出回路と、を備えるとと
    もに、前記検出回路が、1次コイルにパルス電流を流し
    たときに2次コイルに生じる誘起電圧のピーク近辺にお
    ける所定の時刻にサンプリング用パルス電圧を出力する
    サンプリング時刻設定回路と、該サンプリング用パルス
    電圧を入力されて誘起電圧の電圧値を出力するサンプリ
    ング回路と、該サンプリング回路の出力電圧を平滑にす
    る平滑回路と、を備えて、前記誘起電圧の電圧値の変化
    を検出することにより被検査体の表面、内部および裏面
    での性状異常を検出するパルス渦流探傷装置。
  9. 【請求項9】 前記検出回路が、前記誘起電圧のテール
    部における所定の時刻にサンプリング用パルス電圧を出
    力するサンプリング時刻設定回路と、該サンプリング用
    パルス電圧を入力されて誘起電圧の電圧値を出力する補
    償用サンプリング回路と、該補償用サンプリング回路の
    出力電圧を平滑にする補償用平滑回路と、請求項8記載
    の平滑回路の出力電圧と前記補償用平滑回路の出力電圧
    とを用いてセンサと被検査体間の距離の変動および被検
    査体の材質の変動による影響を補償する補償加算回路
    と、を備えて、被検査体の表面、内部および裏面での性
    状異常のみを検出する請求項8記載のパルス渦流探傷装
    置。
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