JP5253248B2 - 構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な構造体及びその製造方法に関し、特に、自己組織的に形成される、規則的周期構造を有するメソ構造体及びその製造方法に関する。
三次元的な規則的周期構造を有するメソ構造体膜、及びメソポーラス物質膜の作製に関してはいくつかの報告がなされている。非特許文献1には、種々の界面活性剤を使用して、ディップコーティングによって、キュービック構造、三次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜の作製が報告されている。また、非特許文献2には、メチレン基で結合された2つの4級化窒素を含むダブルヘッドアンモニウム界面活性剤を用いて、マイカ基板上に3次元ヘキサゴナル構造のメソポーラスシリカ膜を析出させて形成した例が報告されている。
一方で、メソ構造体の細孔構造をマクロスコピックなスケールで制御する技術に関しても、いくつかの報告がある。非特許文献3には、ラビング処理を施した高分子膜を用いる方法が知られている。
Advanced Materials 誌第10巻第1380頁(1998年) Chemistry of Materials誌第9巻第1962頁 Chemistry of Materials 誌第11巻第1609頁
しかしながら、上記の報告例にはいくつか改良すべき点があった。
先ず、ディップコーティング等の、いわゆる溶媒蒸発法で作製した三次元的規則構造を有する膜では、局所的な規則構造はあるものの、基板全体にわたって高度に構造を制御することが難しく、多くの場合、基板全体にわたって平均した場合、構造は面内回転に対して等方的か、もしくはわずかな異方性が観測される程度であった。また、液相中に保持した基板上に析出させる方法で三次元的規則構造を有する膜を形成する技術では、基板全体にわたるマクロスコピックなスケールでの細孔配列制御が確認されておらず、また基板として使用可能なものはマイカに限定されており、さらに使用する界面活性剤が非常に特殊なものであった。
また、従来のシリカメソ構造体の細孔をマクロスコピックなスケールで配向制御する技術は、その対称となる構造が二次元ヘキサゴナル構造のチューブ状細孔構造を有するものに限定されていた。
本発明は上述の内容に鑑みなされたもので、本発明の一側面としての構造体の製造方法は、両親媒性分子の球状の集合体と前記分子の集合体の周囲に形成された無機物を含む化合物とを備える構造体の製造方法であって、表面に分子の配向による異方性を有する基板と、無機の化合物を含み両親媒性分子が球状ミセルを形成するモル濃度の溶液を用意する工程と、前記基板を前記溶液中に保持することにより、前記基板上に前記構造体を形成する工程とを有することを特徴とする
また、本発明一側面としての構造体の製造方法は、両親媒性分子の球状の集合体と前記分子の集合体の周囲に形成された無機物を含む化合物とを備える構造体の製造方法であって、表面に分子の配向による異方性を有する基板と、無機の化合物を含み両親媒性分子が球状ミセルを形成するモル濃度の溶液を用意する工程と、前記基板に前記溶液を付与することにより、前記基板上に前記構造体を形成する工程とを有することを特徴とする
以上説明したように、本発明によれば、表面に構造異方性を有する基板上に、適切な界面活性剤を用いて適当な条件で構造体を形成することによって、基板面に平行な任意の断面内における局所構造が、膜面に垂直な6回対称軸を有し、かつ面内での配列の方向性が基板全体にわたって揃っているような三次元的な規則構造を有する構造体を作製することができる。
本発明で作製した、基板に平行な任意の断面内における局所的周期構造が膜面に垂直な6回対称軸を有しており、かつ該対称軸を含む構造の対称反射面が膜全体にわたって同一の方向にあるメソ構造体膜、及びメソポーラス物質膜を説明するための模式図である。 本発明の実施例1において作製したメソ構造体膜について測定された、θ−2θスキャニングX線回折パターンである。 本発明の実施例1において作製したメソ構造体膜について測定された、面内X線回折パターンの異方性を説明する回折パターンである。 本発明の実施例1において作製したメソ構造体膜について測定された、面内X線回折ピークのうちの強度の大きい方のピークに対応する格子面の面内ロッキングカーブである。 本発明の実施例3において作製したメソ構造体膜について測定された、θ−2θスキャニングX線回折パターンである。 本発明の実施例3において作製したメソ構造体膜について測定された、面内X線回折パターンの異方性を説明する回折パターンである。 本発明の実施例3において作製したメソ構造体膜について測定された、面内X線回折ピークのうちの強度の大きい方のピークに対応する格子面の面内ロッキングカーブである。
第1図は、本発明のメソ構造体膜、及びメソポーラス物質膜の基板に平行な任意の断面内での構造を示す模式図である。本発明において、基板11の上に形成されたメソ構造体膜、及びメソポーラス物質膜12は、任意の断面内における局所的周期構造が膜面に垂直な6回対称軸aを有している。さらに、この6回対称軸aを含む構造の同一の対称反射面Aが、センチメートルスケール以上の規模で膜全面にわたって同一の方向にある。換言すれば、図1においてA、A’面は基板のどこでも平行である。図1においては、説明を容易にするために最表面に露出している両親媒性分子の集合体又は細孔13を円形に描いているが、実際には、球状または球に近い形状の両親媒性分子の集合体又は細孔が3次元的に最密パッキングされ、三次元的規則構造を形作っているものが代表的である。しかし、本発明のメソ構造体膜、及びメソポーラス物質膜の構造は、これに限定されず、上記の対称性に関する規則性を有しているものであればいずれのものも適用することが可能である。
本発明において、メソ構造体膜とは、両親媒性分子集合体と該分子集合体の周囲に形成された無機物を主成分とする化合物が、三次元的に規則配列して成る複合構造体の膜のことをいう。つまり、界面活性剤を含んだ状態の膜をメソ構造体膜という。そして、この膜から界面活性剤を除去することによって中空の構造体を形成したものをメソポーラス物質膜という。ここで、「メソ」とは、2nm以上50nm以下の大きさに対応し、本発明では図1に示された両親媒性分子の集合体の断面又は細孔の断面を円形であると仮定した場合の直径の大きさが相当する。
本発明のメソ構造体膜、及びメソポーラス物質膜の作製法について以下に説明する。
最初に基板の作製方法から説明する。
本発明では、表面に異方性を有する高分子化合物の膜を形成した基板を用いる場合について説明する。目的の構造が作製可能な限りにおいて、例えばシリコン単結晶の(110)面のような、表面に異方性を有する結晶性基板を使用することも可能である。勿論、この場合には、以下に説明する高分子薄膜の形成工程は不要となる。
表面に異方性を有する高分子化合物の薄膜は、例えばラビング処理のような方法、及びラングミュア−ブロジェット法のような方法を用いて作製することができる。
まず、ラビング法について説明する。基板表面に高分子化合物の薄膜をスピンコートやディップコートのような方法で形成し、これに対して、布を巻きつけた回転ローラーを押し付けて一方向に摩擦する。
次にラングミュア−ブロジェット法について説明する。ラングミュア−ブロジェット法は、気−液界面において両親媒性物質が形成した単分子層を基板上に移し取ったものを、積層することで所望の膜厚のものを得ることが可能である。
例として、ポリイミドのラングミュア−ブロジェット膜の形成法について説明する。目的のポリイミドの前駆体であるポリアミック酸のアルキルアミン塩を合成し、これを適当な溶媒に溶解して水面上に滴下する。これによって水面上に、ポリアミック酸の単分子膜を形成することができる。これに対して、水中に基板を出し入れすることで基板上に所望の膜厚のポリアミック酸ラングミュア−ブロジェット膜を製膜する。製膜後、この膜を窒素雰囲気下で熱処理し、脱水イミド化と脱アミン反応を起こさせ、ポリイミドのラングミュア−ブロジェット膜が作製される。このようにして作製したポリイミドラングミュア−ブロジェット膜中においては、高分子鎖が製膜時の基板の移動方向に配向していることが赤外吸収スペクトル等によって確認されている。
続いて、以上説明したごとく作製した、異方性を有する高分子化合物を形成した基板上にメソ構造体膜を作製する。
シリカメソ構造体膜は、両親媒性分子である界面活性剤とシリカ源であるシリコンアルコキシドと加水分解触媒として働く酸とを含む水溶液中に上記基板を保持することによって形成可能である。基板上で両親媒性分子の集合体である界面活性剤ミセルとシリカの前駆体である加水分解されたアルコキシドの前駆体が、自己集合により規則的に配列したシリカメソ構造体膜が形成される。
膜作製に用いられる反応容器の材質としては、反応に関与しない不活性な材質のものであれば、特に限定はない。例示すると、テフロン(登録商標)等が好ましく用いられる。基板を溶液中に保持した後に、必要に応じて60℃から120℃程度の加熱装置に入れ、数時間乃至数日間反応させる。加熱時の容器の破壊や液漏れを防止するために、反応容器には蓋が設けられ、Oリング等でシールされる。反応容器はステンレス製等のさらに強固な容器に入れることもある。
使用する界面活性剤としては、エチレンオキシドを親水基として含む非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。さらに、複数の界面活性剤を混合したものも使用できる。互いに共通する疎水性部構造を有し、親水性部のポリエチレンオキシドの分子鎖長が互いに異なる複数の界面活性剤が好ましく、例えば、C1633(OCHCH20OHとC1633(OCHCH10OHの混合物、C1837(OCHCH20OHとC1837(OCHCH10OHの混合物などが適用可能である。
シリカ源として使用できるアルコキシドは、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラプロポキシシラン等が良好に用いられる。
加水分解触媒として働く酸として、塩酸、硝酸、硫酸等が用いられるが、塩酸が最も一般的に使用される。
界面活性剤の濃度、酸の濃度、シリカ源の濃度は、形成されるメソ構造に大きく影響を与える。条件が適正でない場合には、膜が連続でなくなったり、形成されるメソ構造が目的の3次元規則構造にならなくなったりすることがある。これらの条件は、使用する界面活性剤に対して、最終的な膜の構造、形態等を評価し最適化した上でメソ構造体膜の作製を行う。
以上のようにして作製したシリカメソ構造体から、必要に応じて界面活性剤を除去し、メソポーラスシリカ膜とする。界面活性剤を除去すると、細孔壁と細孔内の電子密度差が大きくなるために、X線の散乱強度が大きくなる傾向にあるが、同時に構造が歪んで規則性が低下することもある。
界面活性剤の除去方法で、最も一般的に用いられる方法は、酸素を含んだ雰囲気中で焼成する方法である。例えば、形成した膜を550℃において空気中で10時間焼成することによって、細孔構造を保持したままで完全に有機成分を除去することが可能である。この場合には、基板表面に形成した高分子化合物膜も除去されてしまうため、最終的な構造は基板上に、直接メソポーラスシリカ膜が形成された形になる。
焼成以外の方法で界面活性剤を除去する方法として、溶剤による抽出や超臨界状態の流体による除去が知られている。これらの方法を用いると、完全な有機成分の除去は困難ではあるものの、焼成時の高温に耐えられない材質の基板上にメソポーラスシリカ膜を形成することができる。
また、焼成、抽出以外の方法として、オゾン酸化による除去も可能である。この方法も、焼成に比較して低温で界面活性剤の除去が可能である。
本発明の膜は、目的の構造を有する限り、細孔内に界面活性剤を含んでいても、除去されて含んでいなくともかまわない。また、細孔内に界面活性剤以外の物質を担持しているものであってもかまわない。
本発明のメソ構造体膜、及びメソポーラスシリカ膜を面内X線回折によって評価した場合、面内の周期構造のロッキングカーブプロファイルには、360°の範囲内に60°おきに6本の回折線が観測される。これによって、本発明の膜が膜面に垂直な6回対称軸を有していることがわかる。さらに、上記面内X線回折分析では、入射角度が全反射臨界角近傍の非常に小さい角度であるため、分析する試料のサイズを適当にすることによって、試料膜全体にわたって平均化された情報が得られる。本発明の膜は、膜全体を測定できる条件で測定を行った場合に、上記の回折線が認められたことから、6回対称の回折線を与える格子面が、膜全体にわたって同一方向にあることを示している。
さらに、複数の界面活性剤を混合して使用した場合、面内X線回折分析において観測されるロッキングカーブの回折線の線幅が著しく小さくなる。これは、すなわち、面内における細孔の配列方向の分布が狭く、構造制御性が向上したことを意味している。
上記のような基板上での不均一核発生−核成長に基づく方法の他にも、ゾル−ゲル法に基づく方法が良好に用いられる。この作製方法について、以下に説明する。この方法は、界面活性剤とシリカ前駆体と水、および加水分解触媒として酸とを含む前駆体溶液を、上記基板上に塗布、もしくは基板上の任意の位置に配置した後、溶媒乾燥、縮合等の反応を行う方法である。
この方法で用いられる前駆体溶液の溶媒には、エタノールやイソプロパノール等のアルコールが良好に用いられるが、これらに限定されるわけではない。
以上のような構成の前駆体溶液を、上記基板に塗布もしくは基板上の任意の位置に配置する。塗布する方法には、ディップコーティング、スピンコーティング、ミストコーティング等、種々の方法を使用することができる。これら以外にも、均一な塗布が可能な方法であれば、適用することができる。スピンコーティングやディップコーティングを行うための装置は、一般的なものを用いることができ、特に制約はないが、場合によっては溶液の温度を制御するための手段、及びコーティングを行う雰囲気の温度、湿度を制御するための手段を設ける場合もある。
例としてディップコーティングを用いたメソ構造体薄膜の製造方法について説明する。
メソ構造体薄膜を形成する基板は、基板ホルダーを用いてロッドに固定され、zステージによって上下させる。
成膜時、前駆体溶液は必要に応じてヒーターと熱電対を用いて所望の温度に制御される。溶液温度の制御性を向上させるために、容器全体を断熱容器に入れることもある。薄膜の膜厚は、コーティング条件を変化させることによって制御可能である。
また、基板上に前駆体溶液を基板上の任意の位置に配置する方法には、印刷法、インクジェット法、ペンリソグラフィー法等、種々の方法を使用することができる。これらの方法を用いれば、基板上の所望の箇所にメソ構造体薄膜をパターニングすることが可能である。
本発明の膜は、その構造周期が結晶の構造周期よりも一桁以上大きいという特徴を有しているため、結晶に対して回折挙動を示すX線よりも長波長領域の軟X線に対して強い回折を示す。このため、この長周期構造を利用し、長波長のX線を大きな角度で回折させて使用する光学膜に応用することが可能である。
以上説明した、本発明の要旨は、自己組織化に基づく簡便な方法で、ナノスケールの空間を有する材料の三次元構造をマクロスコピックなスケールで高度に制御し、その構造規則性を利用してX線光学材料に応用したというものである。
以下、実施例を用いてさらに詳しく本発明を説明するが、本発明は実施例に記述されたものに限定されるわけではない。
本実施例は、ラビング処理を施したポリイミド配向膜を形成した基板を用いて、膜面に垂直な構造の6回対称軸を有しており、かつ該回転軸を含む構造の対称反射面が膜全体にわたって同一の方向にあるシリカメソ構造体膜を基板上に作製し、軟X線領域の光学材料薄膜を作製した例である。本実施例で作製した膜の構成は、図1に模式的に示したようなものである。
アセトン、イソプロピルアルコール、及び純水で洗浄し、オゾン発生装置中で表面をクリーニングした石英ガラス基板にスピンコートによって、ポリアミック酸AのNMP溶液をスピンコートにより塗布し、200℃で1時間焼成して、以下の構造を有するポリイミドAを形成した。
これに対して、表1の条件でラビング処理を施し、基板として用いた。
この基板上に、シリカメソ構造体膜を形成する。本実施例で用いた界面活性剤は、ポリエチレンオキシドを親水基として有する非イオン性界面活性剤ポリエチレンオキシド20オクタデシルエーテル(C1837(CHCHO)20OH,C18EO20と以下省略)である。
18EO200.92gを129mlの純水に溶解し、20.6mlの濃塩酸(36%)を添加し、よく攪拌した後、さらにこの溶液に、2.20mlのテトラエトキシシラン(TEOS)を添加し、3分間撹拌した。最終的な溶液中の各成分のモル比は、TEOS:HO:HCl:C18EO20=0.125:100:3:0.01である。
ラビング処理を施したポリイミドAを形成した上記基板を、膜形成面を下向きにして、この反応溶液中に保持し、を密閉した後、80℃で3日間反応させた。良好な一軸配向性シリカメソ構造体膜を得るために、反応中スペーサを介して表面にカバーを施した。
所定の時間反応溶液と接触させた基板は、容器から取り出し、純水で十分に洗浄した後に、室温において自然乾燥させた。基板上には、シリカメソ構造体の連続膜が形成されていることが確認された。このシリカメソ構造体膜の膜厚は、触針式段差計によって約200nmと求められた。
この膜をCuKα線を用いたθ−2θスキャニングX線回折分析で分析した結果、図2に示すように面間隔5.96nm、3.00nmに相当する鋭い2本の回折線が観測された。入射X線の基板投影成分の方向がラビング方向と平行になるように測定した場合と、その両者が垂直になるように測定した場合とで、回折パターンに差異は認められなかった。
この膜の構造をさらにCuKα線を用いた面内X線回折分析によって詳細に分析した。この方法は、例えば非特許文献4に記載されているような方法であり、θ−2θスキャニングでは観測できない、基板に対して水平でない格子面に関する情報を得ることができるものである。
[非特許文献4]Chemistry of Materials誌第11巻1609頁
面内X線回折分析では、図3に示すように、面間隔7.64nmと3.79nmに回折線が確認された。これらの回折線は、入射X線の基板面投影成分がラビング方向に平行になるような初期配置で測定した場合には強度が小さいが、その両者が直交するような初期配置で測定した場合には強度が大きいことが確かめられ、格子面の配向に面内の強い異方性があることが確認された。
続いて面内X線回折分析において、検出器の位置を面間隔7.46nm、及び3.79nmの位置に固定して、試料の面内回転を行い、この面の配向を調べた。その結果、図4に示すように、60°毎の均等な間隔で回折ピークが観測された。この回折ピークの位置は、ラビング方向に対して、+150°、+90°、+30°、−30°、−90°、−150°の方向であった。
以上のことから、本発明で作製したメソ構造体膜においては、膜面に対して垂直な構造の6回対称軸があることが確認された。この面内X線回折分析においては、X線の入射角が0.2°であり、試料全体が分析領域に対応していることより、その面内での配列が基板に対して全て同一である、換言すれば、6回対称の回転軸を含む構造の対称反射面が膜全体にわたって同一の方向にあるということが明らかとなった。
続いて、この膜を空気中で焼成して界面活性剤を除去した。昇温速度2℃/分で550℃まで昇温し、10時間保持した後、室温まで降温させた。焼成後の膜中には有機成分が残存していないことが、赤外吸収スペクトル等によって確認された。
焼成後の膜をX線回折分析で測定した結果、図2と同様の回折ピークが観測され、界面活性剤除去後も構造が保持されていることが確認された。但し、図2のピーク位置に比較して回折ピークの位置は高角度側にシフトしており、膜面に垂直な方向の構造周期が焼成によって収縮していることがわかった。これは、細孔壁を構成するシリカのシラノール基が脱水縮合して構造がシュリンクしたことによる。
また、焼成後の試料膜を面内X線回折分析で分析したところ、図3と実質的に同一の回折パターンが得られた。このことから、構造のシュリンクは基板面に垂直な方向のみに対して起こり、面内方向の周期構造は焼成により変化しないことが確かめられた。
焼成後の試料に関しても面内回折線の位置に検出器を固定して、試料を回転させ面内でのロッキングカーブを測定した。この結果、実質的に図4と同一のパターンが観測され、焼成による界面活性剤の除去によって、面内の構造規則性はほとんど変化していないことが確認された。
このようにして作製したメソポーラスシリカ膜をX線光学素子として使用した例を以下に述べる。
本実施例で作製したメソポーラスシリカ膜にX線を入射させた。用いたX線は、波長13nmの軟X線である。軟X線は、空気による吸収を受けるので、X線源、メソポーラスシリカ膜を保持した試料台、検出器の検出面は真空中に置かれている。本実施例では、入射角αは試料の全反射臨界角とほぼ同じ角度に設定する。この配置で試料にX線を入射させると、入射X線AOは、界面でほぼ全反射を起こし、入射角と同じ角度で試料表面において反射を起こす(OB)。
本実施例で作製した膜の面内方向での構造周期は7.89nmで、CuKα線を用いた場合の回折角は55.5°である。従って試料の方向が適当である場合には、この角度に回折X線が放出される(OC)。
本発明においては、試料台には、2方向のあおり角調整ステージ、高さ調整zステージ、試料の面内回転のためのφステージが取り付けられており、上記の角度は最適な値に調整することができる。
このような構成の光学系を用いた場合、回折光強度は、入射X線と相関関係があることから、回折線をモニターすることで、X線ビームを分析等に使用しながら入射X線強度を調べることができる。
また、この基板を一定の速度で回転させることにより、回折線の強度に偏重をかけることも可能である。
以上説明したように、本実施例の膜は新規なX線光学素子に応用することが可能である。
[比較例1]
アセトン、エタノール、純水で洗浄し、オゾンで表面をクリーニングした石英基板ガラスを、そのままで使用し、実施例1で示した手順に従って、シリカメソ構造体の膜を作製した。この工程で、基板上には透明な連続膜が形成されていた。
この膜を、CuKα線を用いたθ−2θスキャニングX線回折分析で分析した結果、図2と実質的に同一の回折線が観測された。また、面内X線回折分析においても実施例1で観測された図3の回折パターンと実質的に同一の回折パターンが得られた。以上より、本比較例では、石英ガラス上に直接シリカメソ構造体膜が形成可能であることが示された。
本比較例で作製した膜についても、上記面内回折ピークに検出器を固定し、面内でのロッキングカーブ測定を行った。しかし、実施例1で観測されたような周期的な強度変化は観測されず、形成された構造は面内でランダムであることが示された。
つまり、基板に異方性を付与しない場合には、局所的には同様の対称性を有する構造が形成されるが、基板全体において、その方向は揃えることができないことが示された。
本実施例は、基板上にポリイミドのラングミュア−ブロジェット膜を作製し、この上に、膜面に垂直な構造の6回対称軸を有しており、かつ該回転軸を含む構造の対称反射面が膜全体にわたって同一の方向にあるメソポーラスシリカ膜を作製し、軟X線領域の光学材料薄膜を作製した例である。本実施例で作製した膜の構成も、図1に模式的に示したようなものである。
ポリアミック酸BとN,N−ジメチルヘキサデシルアミンとを1:2のモル比で混合し、ポリアミック酸BのN,N−ジメチルヘキサデシルアミン塩を作製した。これをN,N−ジメチルアセトアミドに溶解し0.5mMの溶液とし、この溶液を20℃に保ったLB膜成膜装置の水面上に滴下した。水面上に形成された単分子膜は、30mN/mの一定の表面圧を印加しながら、5.4mm/minのディップ速度で基板上に移し取った。基板はアセトン、イソプロピルアルコール、及び純水で洗浄し、オゾン発生装置中で表面をクリーニングした石英ガラス基板を用いた。基板上に30層のポリアミック酸アルキルアミン塩LB膜を成膜した後、窒素ガスフローの下、300℃で30分間焼成して以下に構造を示すポリイミドBのLB膜を形成した。ポリアミック酸の脱水閉環によるイミド化、及びアルキルアミンの脱離は赤外吸収スペクトルより確認した。
偏光赤外吸収スペクトルにより、本実施例において作製したポリイミド薄膜中では、高分子鎖は成膜時の基板の引き上げ方向に平行に配向していることが明らかとなった。
この基板上に、シリカメソ構造体膜を形成する。本実施例で用いた界面活性剤は、ポリエチレンオキシドを親水基として有する非イオン性界面活性剤ポリエチレンオキシド20セチルエーテル(C1633(CHCHO)20OH,C16EO20)である。
16EO200.90gを129mlの純水に溶解し、20.6mlの濃塩酸(36%)を添加し、よく攪拌した後、さらにこの溶液に、2.20mlのテトラエトキシシラン(TEOS)を添加し、3分間撹拌した。最終的な溶液中の各成分のモル比は、TEOS:HO:HCl:C16EO20=0.125:100:3:0.0075である。
ポリイミドBのラングミュア−ブロジェット膜を形成した上記基板を、膜形成面を下向きにして、この反応溶液中に保持し、実施例1と同じ構成の反応溶液を入れたテフロン(登録商標)容器を密閉した後、80℃で3日間反応させた。良好な一軸配向性シリカメソ構造体膜を得るために、反応中スペーサを介して表面にカバーを施した。
所定の時間反応溶液と接触させた基板25は、容器から取り出し、純水で十分に洗浄した後に、室温において自然乾燥させた。基板上には、シリカメソ構造体の連続膜が形成されていることが確認された。このシリカメソ構造体膜の膜厚は、触針式段差計によって約200nmと求められた。
この膜を、CuKα線を用いたθ−2θスキャニングX線回折分析で分析した結果、図2と同様の面間隔5.60nm、2.80nmに相当する鋭い2本の回折線が観測された。入射X線の基板投影成分の方向がラビング方向と平行になるように測定した場合と、その両者が垂直になるように測定した場合とで、回折パターンに差異は認められなかった。
この膜の構造をさらに面内X線回折分析によって詳細に分析した。面内X線回折分析では、図3と同様な、面間隔7.35nmに回折線が確認された。実施例1では2本の回折線が観測されたが、本実施例ではこの周期の半分の周期に相当する位置には明瞭な回折線は観測されなかった。
観測された回折線は、入射X線の基板面投影成分がラビング方向に平行になるような初期配置で測定した場合には強度が小さいが、その両者が直交するような初期配置で測定した場合には強度が大きいことが確かめられ、本実施例で作製した膜中においても格子面の配向に面内の強い異方性があることが確認された。
続いて面内X線回折分析において、検出器の位置を面間隔7.35nmの位置に固定して、試料の面内回転を行い、この面の配向を調べた。その結果、図4とほとんど同じプロファイルが得られ、60°毎の均等な間隔で回折ピークが観測された。この回折ピークの位置は、ラビング方向に対して、+150°、+90°、+30°、−30°、−90°、−150°の方向であった。
以上のことから、本発明で作製したメソ構造体膜においては、膜面に対して垂直な構造の6回対称軸があることが確認された。この面内X線回折分析においては、X線の入射角が0.2°であり、試料全体が分析領域に対応していることより、その面内での配列が基板に対して全て同一である、換言すれば、6回対称の回転軸を含む構造の対称反射面が膜全体にわたって同一の方向にあるということが明らかとなった。
本実施例で作製したシリカメソ構造体膜を実施例1と同一の条件で焼成し、界面活性剤を除去し、メソポーラスシリカ膜とした。
焼成後の膜を、同様にX線回折分析で分析した結果、構造周期が膜厚方向にのみ収縮していることがわかった。
本実施例で作製した膜も、実施例1の膜と同様のX線に対する挙動を示すので、実施例1で述べたような光学素子への応用が可能である。
本実施では、まず実施例1と同様のラビング処理を施したポリイミド膜を形成した基板を作製した。この基板上に、シリカメソ構造体膜を形成する。本実施例で用いた界面活性剤は、異なる大きさのポリエチレンオキシド親水部と共通のアルキル鎖疎水部を有する2種類の界面活性剤の混合物で、ポリエチレンオキシド20ヘキサデシルエーテル(C1633(CHCHO)20OH,C16EO20と以下省略)とポリエチレンオキシド10ヘキサデシルエーテル(C1633(CHCHO)10OH,C16EO10と以下省略)をC16EO10:C16EO20=2:1のモル比で混合したものである。
16EO100.32g、及びC16EO200.26gを129mlの純水に溶解し、20.6mlの濃塩酸(36%)を添加し、よく攪拌した後、さらにこの溶液に、2.20mlのテトラエトキシシラン(TEOS)を添加し、3分間撹拌した。最終的な溶液中の各成分のモル比は、TEOS:HO:HCl:C16EO10:C16EO20=0.125:100:3:0.0059:0.0029である。
ラビング処理を施したポリイミドAを形成した上記基板を、膜形成面を下向きにして、この反応溶液中に保持し、密閉した後、80℃で3日間反応させた。良好な一軸配向性シリカメソ構造体膜を得るために、反応中スペーサを介して表面にカバーを施した。
所定の時間反応溶液と接触させた基板25は、容器から取り出し、純水で十分に洗浄した後に、室温において自然乾燥させた。基板上には、シリカメソ構造体の連続膜が形成されていることが確認された。このシリカメソ構造体膜の膜厚は、触針式段差計によって約400nmと求められた。
この膜を、CuKα線を用いたθ−2θスキャニングX線回折分析で分析した結果、面間隔5.3nm、2.7nmに相当する回折線がそれぞれ1.66°と3.24°に観測された。図5のパターンaに示す入射X線の基板投影成分の方向がラビング方向と平行になるように測定した場合と、パターンbに示す両者が垂直になるように測定した場合とでは、このように、回折パターンに異方性が観測された。すなわち、試料のラビング方向がX線に対して垂直になるようにして測定した場合には、上記2つの回折線の他に、さらに2つの回折線が観測された。このような回折パターンの異方性はこの膜が大きな構造の異方性を有していることを示している。
この膜の構造をさらに実施例1と同様にCuKα線を用いた面内X線回折分析によって詳細に分析した。この面内X線回折分析では、2θχ=1.18°、2.36°に二本の回折線が確認され、実施例1の測定結果である図3と同様の測定結果である図6が得られた。これより格子面の配向に面内の大きな異方性があることが確認された。
続いて面内X線回折分析において、検出器の位置を2θχ=1.18°の位置に固定して、試料の面内回転を行い、この面の配向を調べた。その結果、図7に示すように、60°毎の均等な間隔で鋭い回折ピークが観測された。この回折ピークの位置は、ラビング方向に対して、+150°、+90°、+30°、−30°、−90°、−150°の方向であった。実施例1の図4と本実施例の図7を比べると、面内X線回折分析において観測されるロッキングカーブの回折線の線幅が小さくなっている。これは、すなわち、面内における細孔の配列方向の分布が狭く、さらに構造制御性が向上したことを意味している。
以上のことから、本実施例で作製したメソ構造体膜においては、膜面に対して垂直な構造の6回対称軸があることが確認され、その配向方向の分布は非常に狭いことが明らかとなった。この面内X線回折分析においては、X線の入射角が0.2°であり、試料全体が分析領域に対応していることより、構造の面内での配列が基板に対して全て同一である、換言すれば、6回対称の回転軸を含む構造の対称反射面が膜全体にわたって同一の方向にあるということが明らかとなった。
続いて、この膜を空気中で焼成して界面活性剤を除去した。昇温速度2℃/分で550℃まで昇温し、10時間保持した後、室温まで降温させた。焼成後の膜中には有機成分が残存していないことが、赤外吸収スペクトル等によって確認された。
焼成後の膜をX線回折分析で測定した結果、図5と同様の回折ピークが観測され、界面活性剤除去後も構造が保持されていることが確認された。但し、図5のピーク位置に比較して回折ピークの位置は高角度側にシフトしており、膜面に垂直な方向の構造周期が焼成によって収縮していることがわかった。これは、細孔壁を構成するシリカのシラノール基が脱水縮合して構造がシュリンクした結果である。
また、焼成後の試料膜を面内X線回折分析で分析したところ、図6と実質的に同一の回折パターンが得られた。このことから、構造のシュリンクは基板面に垂直な方向のみに対して起こり、面内方向の周期構造は焼成により変化しないことが確かめられた。
焼成後の試料に関しても面内回折線の位置に検出器を固定して、試料を回転させ面内でのロッキングカーブを測定した。この結果、実質的に図7と同一のパターンが観測され、焼成による界面活性剤の除去によって、面内の構造規則性はほとんど変化していないことが確認された。
本実施例で作製した膜も、実施例1の膜と同様のX線に対する挙動を示すので、実施例1で述べたような光学素子への応用が可能である。
本実施では、まず実施例2と同様にラングミュア−ブロジェット膜を形成した基板を作製した。
この基板上に、シリカメソ構造体膜を形成する。本実施例で用いた界面活性剤は、実施例3で使用したのと同じ、ポリエチレンオキシド20ヘキサデシルエーテル(C1633(CHCHO)20OH,C16EO20と以下省略)とポリエチレンオキシド10ヘキサデシルエーテル(C1633(CHCHO)10OH, C16EO10と以下省略)をC16EO10:C16EO20=2:1のモル比で混合したものである。
シリカメソ構造体膜形成のための反応溶液の組成は、実施例3で作製したのと同一のものである。
ポリイミドBのラングミュア−ブロジェット膜を形成した上記基板を、膜形成面を下向きにして、この反応溶液中に保持し、実施例1と同じ構成の反応溶液を入れたテフロン(登録商標)容器を密閉した後、80℃で3日間反応させた。良好な一軸配向性シリカメソ構造体膜を得るために、反応中スペーサを介して表面にカバーを施した。
所定の時間反応溶液と接触させた基板25は、容器から取り出し、純水で十分に洗浄した後に、室温において自然乾燥させた。基板上には、シリカメソ構造体の連続膜が形成されていることが確認された。このシリカメソ構造体膜の膜厚は、触針式段差計によって約500nmと求められた。
この膜をθ−2θスキャニングX線回折分析で分析した結果、図5と同様の面間隔5.3nm、2.7nmに相当する2本の回折線がそれぞれ1.66°と3.24°の位置に観測され、入射X線の基板投影成分の方向がLB膜作製時の基板の移動方向と平行になるように測定した場合と、その両者が垂直になるように測定した場合とで、実施例3と同様の異方性が確認された。
この膜の構造をさらに面内X線回折分析によって詳細に分析した。その結果、実施例3と同様2θχ=1.18°、2.36°に二本の回折線が確認された。本実施例の場合、観測された回折線は、入射X線の基板面投影成分がLB膜成膜時の基板の移動方向に平行になるような初期配置で測定した場合には強度が小さいが、その両者が直交するような初期配置で測定した場合には強度が大きいことが確かめられ、本実施例で作製した膜中においても格子面の配向に面内の強い異方性があることが確認された。
続いて面内X線回折分析において、検出器の位置を2θχ=1.18°の位置に固定して、試料の面内回転を行い、この面の配向を調べた。その結果、図7とほとんど同じプロファイルが得られ、60°毎の均等な間隔で回折ピークが観測された。この回折ピークの位置は、LB膜成膜時の基板の移動方向に対して、+150°、+90°、+30°、−30°、−90°、−150°の方向であった。
以上のことから、本発明で作製したメソ構造体膜においても、膜面に対して垂直な構造の6回対称軸があることが確認され、その配向方向の分布は非常に狭いことが明らかとなった。この面内X線回折分析においては、X線の入射角が0.2°であり、試料全体が分析領域に対応していることより、その面内での配列が基板に対して全て同一である、換言すれば、6回対称の回転軸を含む構造の対称反射面が膜全体にわたって同一の方向にあるということが明らかとなった。
本実施例で作製したシリカメソ構造体膜を実施例3と同一の条件で焼成し、界面活性剤を除去し、メソポーラスシリカ膜とした。
焼成後の膜を、同様にX線回折分析で分析した結果、構造周期が膜厚方向にのみ収縮していることがわかった。
本実施例で作製した膜も、実施例1の膜と同様のX線に対する挙動を示すので、実施例1で述べたような光学素子への応用が可能である。
本実施例は、実施例1と同様のラビング処理を施したポリイミド膜を形成した基板を用いて、実施例3,4とは異なる界面活性剤を使用して、実施例3,4と同様に、面内での配向方向が基板全体にわたって高度に制御された、三次元構造を有するシリカメソ構造体、及びメソポーラスシリカ膜を形成した例である。
実施例1と同様の手順により、石英ガラス基板上に、ポリイミドAの膜を形成し、実施例1と同じ条件でラビング処理を施した。
この基板上に、シリカメソ構造体膜を形成する。本実施例で用いた界面活性剤も、異なる大きさのポリエチレンオキシド親水部と共通のアルキル鎖疎水部を有する2種類の界面活性剤の混合物であるが、実施例3で使用したものとは異なるアルキル鎖長のものを使用した。本実施例で使用したのは、ポリエチレンオキシド20オクタデシルエーテル(C1837(CHCHO)20OH,C18EO20と以下省略)とポリエチレンオキシド10オクタデシルエーテル(C1837(CHCHO)10OH,C18EO10と以下省略)をC18EO10:C18EO20=1:3のモル比で混合したものである。
18EO10 0.16g、及びC18EO20 0.76gを129mlの純水に溶解し、20.6mlの濃塩酸(36%)を添加し、よく攪拌した後、さらにこの溶液に、2.20mlのテトラエトキシシラン(TEOS)を添加し、3分間撹拌した。最終的な溶液中の各成分のモル比は、TEOS:HO:HCl:C18EO10:C18EO20=0.125:100:3:0.0028:0.0083である。
ラビング処理を施したポリイミドAを形成した上記基板を、膜形成面を下向きにして、この反応溶液中に保持し、実施例3、4で使用したのと同じ、反応溶液を入れたテフロン(登録商標)容器21を密閉した後、80℃で3日間反応させた。良好な一軸配向性シリカメソ構造体膜を得るために、反応中スペーサを介して表面にカバーを施した。
所定の時間反応溶液と接触させた基板25は、容器から取り出し、純水で十分に洗浄した後に、室温において自然乾燥させた。基板上には、シリカメソ構造体の連続膜が形成されていることが確認された。このシリカメソ構造体膜の膜厚は、触針式段差計によって約400nmと求められた。
この膜を、CuKα線を用いたθ−2θスキャニングX線回折分析で分析した結果、面間隔6.0nm、3.0nmに相当する回折線がそれぞれ1.47°と2.95°に観測された。入射X線の基板投影成分の方向がラビング方向と平行になるように測定した場合と、この両者が垂直になるように測定した場合とで、実施例3で観測されたのと同様な回折パターンの異方性が確認された。
この膜の構造を、さらにCuKα線を用いた面内X線回折分析によって詳細に分析した。面内X線回折分析では、2θχ=1.12°、2.20°に二本の回折線が確認された。実施例3と同様に、これらの回折線は、入射X線の基板面投影成分がラビング方向に平行になるような初期配置で測定した場合には強度が小さいが、その両者が直交するような初期配置で測定した場合には強度が大きいことが確かめられ、本実施例で作製したシリカメソ構造体も、面内構造の大きな異方性があることが確認された。
続いて面内X線回折分析において、検出器の位置を2θχ=1.12°の位置に固定して、試料の面内回転を行い、この面の配向を調べた。その結果、実施例3で観測されたのと同様に、60°毎の均等な間隔で鋭い回折ピークが観測された。この回折ピークの位置は、ラビング方向に対して、+150°、+90°、+30°、−30°、−90°、−150°の方向であった。配向分布を示す試料面内回転時の回折線の線幅は、実施例3の場合とほぼ同じであった。
以上のことから、本実施例で作製したメソ構造体膜においても、膜面に対して垂直な構造の6回対称軸があることが確認され、その配向方向の分布は非常に狭いことが明らかとなった。この面内X線回折分析においては、X線の入射角が0.2°であり、試料全体が分析領域に対応していることより、構造の面内での配列が基板に対して全て同一である、換言すれば、6回対称の回転軸を含む構造の対称反射面が膜全体にわたって同一の方向にあるということが明らかとなった。
本実施例ではC18EO10:C18EO20=1:3のモル比で混合した、二種の界面活性剤を使用した場合に面内での配向分布の狭いシリカメソ構造体膜が得られた。これは、実施例1で使用した界面活性剤で狭い面内配向分布が得られる場合における親水基の小さい界面活性剤と親水基の大きい界面活性剤の混合比C16EO10:C16EO20=2:1とは異なっている。これより、界面活性剤の混合比は、疎水基によって最適化されなければならないことが明らかとなった。
本実施例で作製したシリカメソ構造体膜を実施例3,4と同一の条件で焼成し、界面活性剤を除去し、メソポーラスシリカ膜とした。
焼成後の膜を、同様にX線回折分析で分析した結果、構造周期が膜厚方向にのみ収縮していることがわかった。
本実施例で作製した膜も、実施例1の膜と同様のX線に対する挙動を示すので、実施例1で述べたような光学素子への応用が可能である。
本実施例は、実施例1と同様のラビング処理を施したポリイミド膜を形成した基板を用いて、面内での配向方向が基板全体にわたって高度に制御された、三次元構造を有するシリカメソ構造体、及びメソポーラスシリカ薄膜をディップコーティングにより作製し、軟X線領域の光学材料薄膜を作製した例である。
実施例1と同様の手順により、石英ガラス基板上に、ポリイミドAの膜を形成し、実施例1と同じ条件でラビング処理を施した。
この基板上に、シリカメソ構造体薄膜を形成する。本実施例で使用した界面活性剤は、ポリエチレンオキシド10ヘキサデシルエーテル(C1633(OCHCH10OH、C16EO10と以下省略)である。
16EO10 0.55gを10mlのエタノール(EtOH)に溶解し、2.08gのテトラエトキシシラン(TEOS)を添加して、よく撹拌した。さらにこの溶液に、0.1Mの塩酸0.40gと純水0.5mlを加え、2時間撹拌することで溶液を調整した。最終的な溶液中の各成分のモル比は、TEOS:EtOH:HO:HCl:C16EO10=1:22:5:0.004:0.08である。
ラビング処理を施したポリイミドAを形成した基板にディップコーティングによってこの溶液を塗布し、乾燥させる。場合によっては、水蒸気雰囲気下にさらす工程を加えることもある。基板上には、シリカメソ構造体の連続膜が形成されていることが確認された。このシリカメソ構造体薄膜の膜厚は、触針式段差計によって約500nmと求められた。
この膜を、CuKa線を用いたθ−2θスキャニングX線回折分析で分析した結果、回折線が1.20°と2.50°に観測された。
この薄膜の構造をさらにCuKa線を用いた面内X線回折分析によって詳細に分析した。面内X線回折分析では、2θχ=1.31°に回折線が確認された。実施例1と同様に、これらの回折線は、入射X線の基板面投影成分がラビング方向に平行になるような初期配置で測定した場合には強度が小さいが、その両者が直交するような初期配置で測定した場合には強度が大きいことが確かめられ、本実施例で作製した膜中においても格子面の配向に面内の大きな異方性があることが確認された。
続いて面内X線回折分析において、検出器の位置を2θχ=1.31°の位置に固定して、試料の面内回転を行い、この面の配向を調べた。その結果、実施例1で観測されたのと同様に、60°毎の均等な間隔で鋭い回折ピークが観測された。この回折ピークの位置は、ラビング方向に対して、+150°、+90°、+30°、−30°、−90°、−150の方向であった。
以上のことから、本実施例で作製したメソ構造体薄膜においても、膜面に対して垂直な構造の6回対称軸があることが確認され、その配向方向の分布は非常に狭いことが明らかとなった。この面内X線回折分析においては、X線の入射角が0.2°であり、試料全体が分析領域に対応していることにより、構造の面内での配列が基板に対して全て同一である、換言すれば、6回対称の回転軸を含む構造の対称反射面が膜全体にわたって同一の方向にあるということが明らかとなった。
本実施例で作製したシリカメソ構造体を実施例1と同一の条件で焼成し、界面活性剤を除去し、メソポーラスシリカ薄膜とした。
焼成後の薄膜を、同様にX線回折で分析した結果、構造周期が膜厚方向にのみ収縮していることがわかった。
本実施例で作製した薄膜も実施例1の薄膜と同様のX線に対する挙動を示すので、実施例1で述べたような光学素子応用が可能である。
本実施例は、実施例1と同様のラビング処理を施したポリイミド膜を形成した基板を用いて、面内での配向方向が基板全体にわたって高度に制御された、三次元構造を有するシリカメソ構造体、及びメソポーラスシリカ薄膜をスピンコート法により作製し、軟X線領域の光学材料薄膜を作製した例である。
実施例1と同様の手順により、石英ガラス基板上に、ポリイミドAの膜を形成し、実施例1と同じ条件でラビング処理を施した。
この基板上に、シリカメソ構造体薄膜を形成する。この基板上に、シリカメソ構造体薄膜を形成する。本実施例で用いた界面活性剤は、異なる大きさのポリエチレンオキシド親水部と共通のアルキル鎖疎水部を有する2種類の界面活性剤の混合物で、ポリエチレンオキシド20ヘキサデシルエーテル(C1633(OCHCH20OH、C16EO20と以下省略)とポリエチレンオキシド10ヘキサデシルエーテル(C1633(OCHCH10OH、C16EO10と以下省略)をC16EO10:C16EO20=2:1のモル比で混合したものである。
16EO10 0.32gとC16EO20 0.26gとを10mlのエタノール(EtOH)に溶解し、2.08gのテトラエトキシシラン(TEOS)を添加して、よく撹拌した。さらにこの溶液に、0.1Mの塩酸0.40gと純水0.5mlを加え、2時間撹拌することで溶液を調整した。最終的な溶液中の各成分のモル比は、TEOS:EtOH:HO:HCl:C16EO10:C16EO20=1:22:5:0.004:0.047:0.023である。
ラビング処理を施したポリイミドAを形成した基板にスピンコーティングによってこの溶液を塗布し、乾燥させた。スピンコーティングは、回転数:2000rpm、回転時間:20secに調整して成膜を行った。基板上には、シリカメソ構造体の連続膜が形成されていることが確認された。このシリカメソ構造体薄膜の膜厚は、触針式段差計によって約400nmと求められた。
この膜を、CuKa線を用いたθ−2θスキャニングX線回折分析で分析した結果、面間隔5.4nm、2.7nmに相当する回折線がそれぞれ1.66°と3.25°に観測された。入射X線の基板投影成分の方向がラビング方向に平行になるように測定した場合と、その両者が垂直になるように測定した場合とで、実施例3で観測されたのと同様な回折パターンの異方性が確認された。
この薄膜の構造をさらに面内X線回折分析によって詳細に分析した。その結果、実施例3と同様2θχ=1.19°、2.37°に二本の回折線が確認された。実施例3と同様に、これらの回折線は、入射X線の基板面投影成分がラビング方向に平行になるような初期配置で測定した場合には強度が小さいが、その両者が直交するような初期配置で測定した場合には強度が大きいことが確かめられ、本実施例で作製した膜中においても格子面の配向に面内の大きな異方性があることが確認された。
続いて面内X線回折分析において、検出器の位置を2θχ=1.19°の位置に固定して、試料の面内回転を行い、この面の配向を調べた。その結果、実施例3で観測されたのと同様に、60°毎の均等な間隔で鋭い回折ピークが観測された。この回折ピークの位置は、ラビング方向に対して、+150°、+90°、+30°、−30°、−90°、−150の方向であった。
以上のことから、本実施例で作製したメソ構造体薄膜においても、膜面に対して垂直な構造の6回対称軸があることが確認され、その配向方向の分布は非常に狭いことが明らかとなった。この面内X線回折分析においては、X線の入射角が0.2°であり、試料全体が分析領域に対応していることにより、構造の面内での配列が基板に対して全て同一である、換言すれば、6回対称の回転軸を含む構造の対称反射面が膜全体にわたって同一の方向にあるということが明らかとなった。
本実施例で作製したシリカメソ構造体を実施例1と同一の条件で焼成し、界面活性剤を除去し、メソポーラスシリカ薄膜とした。
焼成後の薄膜を、同様にX線回折で分析した結果、構造周期が膜厚方向にのみ収縮していることがわかった。
本実施例で作製した薄膜も実施例1の薄膜と同様のX線に対する挙動を示すので、実施例1で述べたような光学素子応用が可能である。
本実施例は、実施例1と同様のラビング処理を施したポリイミド膜を形成した基板を用いて、面内での配向方向が基板全体にわたって高度に制御された、三次元構造を有するシリカメソ構造体、及びメソポーラスシリカ薄膜をソフトリソグラフィー法によって基板上の任意の位置に作製し、軟X線領域の光学材料薄膜を作製した例である。
実施例1と同様の手順により、石英ガラス基板上に、ポリイミドAの膜を形成し、実施例1と同じ条件でラビング処理を施した。
この基板上に、シリカメソ構造体薄膜を形成する。この基板上に、シリカメソ構造体薄膜を形成する。本実施例で用いた界面活性剤は、異なる大きさのポリエチレンオキシド親水部と共通のアルキル鎖疎水部を有する2種類の界面活性剤の混合物で、ポリエチレンオキシド20ヘキサデシルエーテル(C1633(OCHCH20OH、C16EO20と以下省略)とポリエチレンオキシド10ヘキサデシルエーテル(C1633(OCHCH10OH、C16EO10と以下省略)をC16EO10:C16EO20=2:1のモル比で混合したものである。
16EO10 0.32gとC16EO20 0.26gとを10mlのエタノール(EtOH)に溶解し、2.08gのテトラエトキシシラン(TEOS)を添加して、よく撹拌した。さらにこの溶液に、0.1Mの塩酸0.40gと純水0.5mlを加え、2時間撹拌することで溶液を調整した。最終的な溶液中の各成分のモル比は、TEOS:EtOH:HO:HCl:C16EO10:C16EO20=1:22:5:0.004:0.047:0.023である。
ラビング処理を施したポリイミドAを形成した基板に、ポリジメチルシロキサンで作製した鋳型であるミクロモールドを押し付け、型の端から前駆体溶液を注ぎ、毛細管現象を利用することで鋳型内に前駆体溶液を導入した。5時間静置した後、基板から型を外し、パターニングされたメソ構造体薄膜を得た。この基板を空気中に乾燥後に観察すると、ソフトリソグラフィー法で塗布された領域のみに透明な薄膜が形成されていることが確認された。
この膜を、CuKa線を用いたθ−2θスキャニングX線回折分析で分析した結果、面間隔5.4nm、2.7nmに相当する回折線がそれぞれ1.67°と3.25°に観測された。入射X線の基板投影成分の方向がラビング方向に平行になるように測定した場合と、その両者が垂直になるように測定した場合とで、実施例3で観測されたのと同様な回折パターンの異方性が確認された。
この薄膜の構造をさらに面内X線回折分析によって詳細に分析した。その結果、実施例3と同様2θχ=1.18°、2.37°に二本の回折線が確認された。実施例3と同様に、これらの回折線は、入射X線の基板面投影成分がラビング方向に平行になるような初期配置で測定した場合には強度が小さいが、その両者が直交するような初期配置で測定した場合には強度が大きいことが確かめられ、本実施例で作製した膜中においても格子面の配向に面内の大きな異方性があることが確認された。
続いて面内X線回折分析において、検出器の位置を2θχ=1.18°の位置に固定して、試料の面内回転を行い、この面の配向を調べた。その結果、実施例3で観測されたのと同様に、60°毎の均等な間隔で鋭い回折ピークが観測された。この回折ピークの位置は、ラビング方向に対して、+150°、+90°、+30°、−30°、−90°、−150の方向であった。
以上のことから、本実施例で作製したメソ構造体薄膜においても、膜面に対して垂直な構造の6回対称軸があることが確認され、その配向方向の分布は非常に狭いことが明らかとなった。この面内X線回折分析においては、X線の入射角が0.2°であり、試料全体が分析領域に対応していることにより、構造の面内での配列が基板に対して全て同一である、換言すれば、6回対称の回転軸を含む構造の対称反射面が膜全体にわたって同一の方向にあるということが明らかとなった。
本実施例で作製したシリカメソ構造体を実施例1と同一の条件で焼成し、界面活性剤を除去し、メソポーラスシリカ薄膜とした。
焼成後の薄膜を、同様にX線回折で分析した結果、構造周期が膜厚方向にのみ収縮していることがわかった。
本実施例で作製した薄膜も実施例1の薄膜と同様のX線に対する挙動を示すので、実施例1で述べたような光学素子応用が可能である。
本実施例は、実施例1と同様のラビング処理を施したポリイミド膜を形成した基板を用いて、面内での配向方向が基板全体にわたって高度に制御された、三次元構造を有するシリカメソ構造体、及びメソポーラスシリカ薄膜をペンリソグラフィー法によって基板上の任意の位置に作製し、軟X線領域の光学材料薄膜を作製した例である。
実施例1と同様の手順により、石英ガラス基板上に、ポリイミドAの膜を形成し、実施例1と同じ条件でラビング処理を施した。
この基板上に、シリカメソ構造体薄膜を形成する。この基板上に、シリカメソ構造体薄膜を形成する。本実施例で用いた界面活性剤は、異なる大きさのポリエチレンオキシド親水部と共通のアルキル鎖疎水部を有する2種類の界面活性剤の混合物で、ポリエチレンオキシド20ヘキサデシルエーテル(C1633(OCHCH20OH、C16EO20と以下省略)とポリエチレンオキシド10ヘキサデシルエーテル(C1633(OCHCH10OH、C16EO10と以下省略)をC16EO10:C16EO20=2:1のモル比で混合したものである。
16EO10 0.32gとC16EO20 0.26gとを10mlのエタノール(EtOH)に溶解し、2.08gのテトラエトキシシラン(TEOS)を添加して、よく撹拌した。さらにこの溶液に、0.1Mの塩酸0.40gと純水0.5mlを加え、2時間撹拌することで溶液を調整した。最終的な溶液中の各成分のモル比は、TEOS:EtOH:HO:HCl:C16EO10:C16EO20=1:22:5:0.004:0.047:0.023である。
ラビング処理を施したポリイミドAを形成した基板に、ペンリソグラフィー法によって、溶液をパターニングし、室温、空気中で乾燥させた。ペンリソグラフィーの条件はペンオリフィス50.0μm、基板スピード2.5cm/s、流体供給速度4.0cmである。
この基板を空気中に乾燥後に観察すると、ペンリソグラフィーによって塗布された領域のみに透明な薄膜が形成されていることが確認された。
この膜を、CuKa線を用いたθ−2θスキャニングX線回折分析で分析した結果、面間隔5.4nm、2.7nmに相当する回折線がそれぞれ1.66°と3.24°に観測された。入射X線の基板投影成分の方向がラビング方向に平行になるように測定した場合と、その両者が垂直になるように測定した場合とで、実施例3で観測されたのと同様な回折パターンの異方性が確認された。
この薄膜の構造をさらに面内X線回折分析によって詳細に分析した。その結果、実施例3と同様2θχ=1.18°、2.36°に二本の回折線が確認された。実施例3と同様に、これらの回折線は、入射X線の基板面投影成分がラビング方向に平行になるような初期配置で測定した場合には強度が小さいが、その両者が直交するような初期配置で測定した場合には強度が大きいことが確かめられ、本実施例で作製した膜中においても格子面の配向に面内の大きな異方性があることが確認された。
続いて面内X線回折分析において、検出器の位置を2θχ=1.18°の位置に固定して、試料の面内回転を行い、この面の配向を調べた。その結果、実施例3で観測されたのと同様に、60°毎の均等な間隔で鋭い回折ピークが観測された。この回折ピークの位置は、ラビング方向に対して、+150°、+90°、+30°、−30°、−90°、−150の方向であった。
以上のことから、本実施例で作製したメソ構造体薄膜においても、膜面に対して垂直な構造の6回対称軸があることが確認され、その配向方向の分布は非常に狭いことが明らかとなった。この面内X線回折分析においては、X線の入射角が0.2°であり、試料全体が分析領域に対応していることにより、構造の面内での配列が基板に対して全て同一である、換言すれば、6回対称の回転軸を含む構造の対称反射面が膜全体にわたって同一の方向にあるということが明らかとなった。
本実施例で作製したシリカメソ構造体を実施例1と同一の条件で焼成し、界面活性剤を除去し、メソポーラスシリカ薄膜とした。
焼成後の薄膜を、同様にX線回折で分析した結果、構造周期が膜厚方向にのみ収縮していることがわかった。
本実施例で作製した薄膜も実施例1の薄膜と同様のX線に対する挙動を示すので、実施例1で述べたような光学素子応用が可能である。
本発明にかかる膜は、X線光学素子に応用が可能である。
11 基板
12 構造体
13 細孔又は両親媒性分子の集合体
14 膜面に垂直な6回対称軸
15 膜面に垂直な6回対称軸を含む構造の対称反射面

Claims (2)

  1. 両親媒性分子の球状の集合体と前記分子の集合体の周囲に形成された無機物を含む化合物とを備える構造体の製造方法であって、
    表面に分子の配向による異方性を有する基板と、無機の化合物を含み両親媒性分子が球状ミセルを形成するモル濃度の溶液を用意する工程と、
    前記基板を前記溶液中に保持することにより、前記基板上に前記構造体を形成する工程とを有することを特徴とする構造体の製造方法。
  2. 両親媒性分子の球状の集合体と前記分子の集合体の周囲に形成された無機物を含む化合物とを備える構造体の製造方法であって、
    表面に分子の配向による異方性を有する基板と、無機の化合物を含み両親媒性分子が球状ミセルを形成するモル濃度の溶液を用意する工程と、
    前記基板に前記溶液を付与することにより、前記基板上に前記構造体を形成する工程とを有することを特徴とする構造体の製造方法。
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