JP5606226B2 - X線モノクロメータ及びx線分光装置 - Google Patents

X線モノクロメータ及びx線分光装置 Download PDF

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Description

本発明は、X線モノクロメータ、その製造方法及びX線分光装置に関する。
X線モノクロメータは、図6に示すような構成のX線分光装置の中で用いられる。図6に示す様に、半径Rのローランド円14の円周上に、X線モノクロメータ110、X線源12、及びX線検出器13が配置される。X線源12は、蛍光X線を発生する試料等である。X線源12から放射された多様な波長成分を含むX線(入射X線16)がX線モノクロメータ110の各位置で反射して、反射X線17がX線検出器13の検出面上で集光されて、X線の強度が測定される。この際、X線の反射には回折現象を利用しており、下記のBragg条件(式1)を満たす特定の波長のみがX線検出器13によって測定される。X線源12、及びX線検出器13をローランド円14の円周上を移動させ、入射角度θを変更することにより、式1に対応した各波長のX線強度を測定することができる。
2dsinθ=nλ・・・(式1)
(式中、d:構造周期、θ:入射角、回折角(Bragg角)、n:回折の次数、λ:X線の波長を示す。)
X線モノクロメータ110の各反射位置においては、式1を満足するように、その各位置において点Bに向かう方向の構造周期性を有しており、その構造周期が式1におけるdである。すなわち、X線モノクロメータ110は、ローランド円の直径(2R)を曲率半径として湾曲しており、湾曲面の法線方向に周期性を有する材料から構成される。
さらに、X線検出器13の位置において、反射X線17が集光されるように、X線モノクロメータ110の表面形状は、ローランド円14の円周に沿っていることが好ましく、このような構成のものをヨハンソン型モノクロメータという。しかしながら、モノクロメータ表面の形状が、ローランド円の直径(2R)を半径とする円15の円周に沿った、図6に示すようなヨハン型モノクロメータが用いられることも多い。
X線モノクロメータに用いられる構造周期性材料は、X線の波長が比較的長波長である場合には、構造周期を容易に可変できるという観点から、主に無機物からなる数nmの構造周期を有する人工多層膜が用いられることが多い。さらに、X線の分光性能を向上させるためには、前記人工多層膜には、有機物等の電子密度の低い材料を用いることが好ましい。特許文献1には、層空間に有機カチオンを包摂した、層状構造を有する粘土、及び雲母鉱物を前記構造周期性材料に用いたX線モノクロメータが開示されている。
一方で、分子の自己集合によって形成される周期構造を有する多孔質膜と、そのX線光学素子への応用が、特許文献2に開示されている。この多孔質膜は、対称反射面が膜全体にわたって同一の方向にあり、6回対称軸を有する球状の細孔からなる膜である。この多孔質膜の対称性に基づく該膜の面内方向のX線回折をX線光学素子に応用している。前記多孔質膜へX線を全反射条件で入射させて、全反射したX線と、面内における回折X線とに、X線を分けるスプリッタや、前記多孔質膜へのX線の入射方向によって面内における回折X線の強度が変化することを用いた変調器が報告されている。
特開昭63−94200号公報 特開2005−246369号公報
上記の文献では、改善すべき課題がある。特許文献1のX線モノクロメータは、有機物を電子密度の低い層として用いているため、X線の分光性能が限定的となることがある。よりX線の分光性能を向上させるためには、有機物よりもさらに電子密度の低い材料を用いることが求められていた。
一方、特許文献2に開示されている多孔質膜は、曲面上で形成すること自体が極めて困難である。この多孔質膜を形成するためには、基板上面に形成した高分子層を一方向から擦る所謂ラビング処理が必要となる。しかし、X線モノクロメータのような湾曲面上では、ラビング処理を均一に施すことが困難であり、特許文献2の多孔質膜を、X線モノクロメータに適用することは困難であった。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、X線分光性能が良好なX線モノクロメータを提供するものである。
本発明の一側面としてのX線モノクロメータは、凹面を有する基板と、
該凹面上に形成された複数の細孔を有する無機酸化物膜と、を備え、
前記無機酸化物膜の複数の細孔は、前記凹面の法線方向に周期的に積層されており、
前記複数の細孔は、チューブ状であり、
前記凹面の法線方向の前記細孔の周期性に起因したX線の回折によってX線を分光する
ことを特徴とするX線モノクロメータ。
本発明のその他の側面については、以下で説明する実施の形態で明らかにする。
本発明によれば、X線分光性能が良好なX線モノクロメータ及びその製造方法を提供することができる。
X線モノクロメータ及びX線分光装置を示す概略図である。 X線モノクロメータに用いる基板を示す概略図である。 本発明の実施例及び比較例で用いる基板を示す概略図である。 球状細孔を有する多孔質膜を用いたX線モノクロメータを示す図である。 本発明の実施形態における多孔質膜を示す模式図である。 従来のX線モノクロメータ及びX線分光装置を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、複数のチューブ状細孔からなる多孔質の無機酸化物膜、あるいは、対称反射面の方向が異なる複数の局所細孔構造を有する複数の球状細孔からなる多孔質の無機酸化物膜を用いることで、X線分光性能が良好になることを見出した。
本実施形態を、図1に示すX線モノクロメータ及びX線分光装置に基づいて説明する。本実施形態のX線モノクロメータ11は、凹面を有する基板18の前記凹面上に形成されており、多孔質無機酸化物膜から構成されている。凹面は、ローランド円の直径を曲率半径として湾曲している。X線モノクロメータの多孔質無機酸化物膜は、基板18の凹面の法線方向19に構造周期(以下、法線構造周期)を有する。ローランド円とは、図1における円14のことを示す。すなわち、X線源12、X線検出器13、及びX線モノクロメータ11が、その円周上に配置される円である。なお、X線源としては、蛍光X線を発生する試料等を用いることができる。
本実施形態のX線モノクロメータは、無機酸化物の多孔質膜からなり、有機物よりもきわめて電子密度の低い空気がスペーサとなり、周期構造を形成していることを特徴とする。そのため、Darwin−Prinsの式に従い、X線回折(反射)が起きるための条件、すなわち、X線の入射角度、及びX線の波長範囲が狭くなるため、X線の波長分解能を向上させることができる。
また、本実施形態における多孔質無機酸化物膜は、前駆体反応液を基板上面に塗布して反応を通して作製される。そのため、膜を形成する最小構成は、分子、あるいは原子であり、前記多孔質無機酸化物膜は平滑になる。その点からもX線波長分解能の良好なX線モノクロメータを提供できる。
図5は本実施形態における多孔質無機酸化物膜を示す模式図である。図5(a)は複数のチューブ状細孔を有する多孔質膜、図5(b)は複数の球状細孔を有する多孔質膜の模式図である。本実施形態における多孔質無機酸化物膜は、複数のチューブ状細孔、あるいは球状細孔が単位構造として周期的に積層されている。また、前記単位構造は基板の湾曲した凹面の法線方向に構造周期を有する。これらの法線構造周期は、Bragg−Brentano配置のθ−2θスキャニングX線回折によって測定することができる。なお、チューブ状の複数の細孔は、膜の表面に平行な方向に延びており、二次元ヘキサゴナル構造に配列されていることが好ましく、球状の複数の細孔は、六方最密構造に配列されていることが好ましい。
本実施形態における細孔(チューブ状および球状)とは、内部が空孔で外壁が無機酸化物で覆われているものをいう。これらの細孔は、製造工程における膜の収縮に伴って、つぶれることがあるが、本実施形態における細孔(チューブ状および球状)は、法線構造周期が均一であるために、アスペクト比(細孔断面の短径/細孔断面の長径)が0.30以上であることが好ましい。
球状細孔を単位構造とする膜45の場合、対称反射面42と対称反射面44とが非平行であることが必要である(図4)。対称反射面42は、膜45のある領域(第1領域)に在る局所細孔構造について定義される膜面に垂直な6回対称軸41を含む面(第1対称反射面)である。対称反射面44は、他の領域(第2領域)の局所細孔構造について同様に定義される膜面に垂直な6回対称軸43を含む面(第2対称反射面)である。これは、球状細孔を単位構造とする膜を形成した際に、膜内において2つ以上の領域の局所細孔構造から形成されていることを意味する。なお、特許文献2のように、細孔構造が単一の領域から構成されていると、本実施形態のような曲面上においては、膜に亀裂を生じることがあり、X線モノクロメータに適用することは困難である。
本実施形態の多孔質無機酸化物膜は、例えば、細孔の鋳型となる有機物である界面活性剤、無機成分の前駆体、酸を含んだ反応液を、基板上面に接触保持する水熱合成法を用いて製造することができる。また、例えば、界面活性剤、無機酸化物の前駆体、酸、溶媒を含んだ溶液を基板上に塗布して、溶媒が蒸発する際に有機−無機複合体膜が形成されるプロセス等を用いて製造することもできる。溶液(反応液)の塗布方法としては、スピンコート法やディップコート法を例示することができる。
多孔質膜を得る際には、上記の方法で作製した膜から、有機物を除去して、その部分を細孔とする。有機物の除去には、従来公知のいずれの方法も用いることが可能であり、例えば、酸素雰囲気中での焼成、溶剤による抽出、オゾン酸化による方法等を用いることができる。一般には、焼成工程が用いられるが、膜や基板を焼成時の高温にさらすことができない場合は、溶媒による抽出やオゾン酸化による工程を用いることによって、有機物を除去する。
本実施形態における多孔質無機酸化物膜は、必要とされるX線モノクロメータの機能を発現する限り、無機酸化物が形成する細孔内部に有機物が残存している膜であっても、有機物が完全に除去された多孔質膜であってもかまわない。有機物の除去によって、多孔質膜が基板の上面の法線方向に収縮し、法線構造周期が小さくなる場合には、焼成時の温度など、有機物の除去プロセスを、適宜、選択することによって法線構造周期を調整することができる。また、分光対象となるX線の波長領域に対応させることもできる。
本実施形態における多孔質無機酸化物膜は、前駆体液を基板上に塗布するという、比較的速いプロセスによって多孔質無機酸化物膜が形成できるため、製造時間を短縮することができ、低コストでX線モノクロメータを提供することができる。さらに、一般にドライプロセスで作製される人工多層膜と異なり、本実施形態の多孔質無機酸化物膜は、前述のようなウェットプロセスによって作製することが可能であり、プロセスの精密制御を要せず、簡便にX線モノクロメータを提供することができる。
本実施形態における多孔質無機酸化物膜の無機酸化物は、多孔質膜を形成する限り、特に限定されないが、例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア等を挙げることができる。十分な強度の反射X線を検出できる限り、X線波長分解能の観点から電子密度の低い材料を用いることが好ましく、例えば、シリカを用いることによりX線の波長分解能を向上させることができる。
また、本実施形態のX線モノクロメータの多孔質膜は無機酸化物から構成されているため、X線照射等によって酸化劣化してX線の分光性能が劣化する恐れがないため、安定的なX線モノクロメータを提供することができる。
多孔質無機酸化物膜を形成するための細孔の鋳型となる有機物は、本実施形態の膜を形成する限り、特に限定されず、例えば、界面活性剤に代表される両親媒性分子等を挙げることができる。用いる有機物を適切に選択することにより、膜における有機物の集合体サイズを制御し、膜の法線構造周期の制御が可能となる。例えば、ポリエチレンオキシドを親水部とする非イオン性界面活性剤を有機分子として使用する場合、ポリエチレンオキシドの鎖長が長くなるにつれて、膜の法線構造周期が大きくなる。すなわち、分光対象となるX線の波長領域に応じて、適宜、適切な有機分子を選択し、法線構造周期を調整する。
本実施形態において、基板の材質は、膜の作製プロセスにおいて損傷を受けない限り、特に限定されず、例えば、ガラス等を用いることができる。
本実施形態において、基板上面の形状は、ローランド円の直径を曲率半径として湾曲した凹面である。凹面は、図2のX線源22、及びX線検出器21が配置された断面方向の軸24の方向に湾曲していることが好ましい。さらに、凹面が、軸25、すなわち前記断面の垂直方向にも湾曲していることによって、より高強度でX線を検出することができる。なお、軸24の方向のみに湾曲した凹面上に形成されたものを円筒湾曲型モノクロメータ、軸24、及び軸25の方向に湾曲した凹面上に形成されて物を球状湾曲型モノクロメータと称する。
基板上面は、膜が形成される面であり、均一で平滑な膜を作製するために、反応液の濡れ性を向上させる表面処理を施すことができる。例えば、親水性の反応液を用いる場合には、オゾンアッシング等によって表面の有機物を除去し、基板上面を親水化することができる。なお、基板上面にラビング処理を施すと、球状細孔からなる膜の場合、凹面上では膜に亀裂を生じることがある。
以下、チューブ状細孔を有する多孔質膜(チューブ状細孔多孔質膜)、及び球状細孔を有する多孔質膜(球状細孔多孔質膜)に関し、それぞれの膜を用いた場合のX線モノクロメータの特徴について述べる。これらの特徴と、X線分光装置において必要となるX線モノクロメータの仕様(モノクロメータのサイズ、ローランド円の直径、波長範囲、波長分解能、X線反射強度等)とを鑑みて、適宜、適切な方の膜を用いたX線モノクロメータを選択すればよい。
表1に、チューブ状細孔を有する多孔質膜、及び球状細孔を有する多孔質膜の特徴を示す。これらの特徴により、複合的に、X線の反射強度、X線の波長分解能等が決まる。
Figure 0005606226
次に、本実施形態のX線モノクロメータを用いたX線分光装置について述べる。
本実施形態に係るX線分光装置は、上述の本実施形態のX線モノクロメータと、X線源と、X線検出器と、を有することを特徴とする。
X線分光装置においては、図1のように、X線源、X線検出器、及びX線モノクロメータが配置される。X線源からの入射X線の入射角、及びX線検出器への反射X線の反射角θを連動してスキャンすることにより、Bragg条件(式1)に対応した波長のX線がX線検出器によって測定される。
X線の波長が比較的長い場合、X線の光路長にもよるが、分光装置内のガスによっても吸収、あるいは散乱されるため、適宜、X線源、X線検出器、及びX線モノクロメータの配置される部分をチャンバーで覆い、減圧することが好ましい。
以下、実施例を用いて本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はこれに限定されない。
本実施例は、チューブ状細孔を有する多孔質膜による円筒湾曲型モノクロメータを、界面活性剤とシリカ前駆体を含む反応液を基板上に塗布することによって作製する例である。
まず、図3に示す湾曲した凹面を有するガラス基板(たて25mm、よこ25mm、高さ10mm)を準備する。基板の該凹面は、軸31の方向に曲率半径を200mm(ローランド円の直径)として球状型に湾曲している。ガラス基板は、アセトン、イソプロピルアルコール、及び純水で洗浄し、オゾン装置中で表面をクリーニングする。
次に、チューブ状細孔を有する多孔質膜を作製するための反応液を準備する。22.9gのポリエチレンオキシド10ヘキサデシルエーテルを900mLのイソプロピルアルコールで撹拌しながら溶解させた後、撹拌しながら、28mLの塩酸(0.1M)、35mLの超純水、156mLのテトラエトキシシランを加えて反応液を作製する。前記反応液を撹拌しながら、室温下において2時間放置する。
図3に示すガラス基板の面3Rの位置を下にして、反応液中に浸し、面3Lの位置の方から毎秒2mmの速度で引き上げ、基板上に反応液をディップコートする。ディップコート後の基板は、20℃、湿度40%の恒温恒湿器中に入れて1日以上保持して膜をエージングし、X線モノクロメータとして用いる。形成された膜の一部を剥離して、電子顕微鏡で観察すると、チューブ状細孔多孔質膜であることを確認できる。
X線マイクロビーム(3μmφ、8keV)を用いたBragg−Brentano配置でのθ−2θスキャニングX線回折測定で、作製したX線モノクロメータを分析する。その結果、法線構造周期が膜の各位置において5.24nmであることを示す回折ピークを確認できる。
X線モノクロメータを電気炉中に導入し、温度を毎分2℃ずつ400℃になるまで昇温する。400℃になってから10時間保持した後、毎分2℃ずつ室温になるまで降温する。焼成後のモノクロメータを、X線マイクロビーム(3μmφ、8keV)を用いたBragg−Brentano配置でのθ−2θスキャニングX線回折測定で分析すると、法線構造周期が膜の各位置において3.33nmに収縮していることを確認できる。また、赤外吸収スペクトル等によって、X線モノクロメータから有機物が除去されていることを確認することができる。
図1のように、X線源12(炭素30%、窒素10%、水素60%含有のサンプルからの蛍光X線)、X線検出器13、及びX線モノクロメータ11を、半径100mmのローランド円の円周上に配置し、X線源12及びX線源を連動させてX線分光装置を作製する。ローランド円の部分を真空チャンバーで覆い、減圧下で測定を行う。θを15°から45°の範囲でスキャンすると、1.72nmから4.71nmの波長範囲までのX線スペクトルを測定できる。また、θ=42.2°、及び28.3°において、炭素、及び窒素の固有X線を測定することができる。X線の波長分解能は、半値幅で0.035nmである。
本実施例は、球状状細孔を有する多孔質膜による円筒湾曲型モノクロメータを、界面活性剤とシリカ前駆体を含む反応液を基板に塗布することによって作製する例である。
まず、図3に示す湾曲した凹面を有するガラス基板(たて25mm、よこ25mm、高さ10mm)を準備する。基板の該凹面は、軸31の方向に曲率半径を200mm(ローランド円の直径)として球状型に湾曲している。ガラス基板は、アセトン、イソプロピルアルコール、及び純水で洗浄し、オゾン装置中で表面をクリーニングする。
次に、構造体膜作製のための反応液を準備する。27.5gのポリエチレンオキシド10ヘキサデシルエーテルを500mLのエタノールで撹拌しながら溶解させた後、撹拌しながら、25mLの塩酸(0.1M)、25mLの超純水、112mLのテトラエトキシシランを加えて反応液を作製する。前記反応液を撹拌しながら、室温下において2時間放置する。
図3に示すガラス基板の面3Rの位置を下にして、反応液中に浸し、面3Lの位置の方から毎秒2mmの速度で引き上げ、基板上に反応液をディップコートする。ディップコート後の基板は、20℃、湿度40%の恒温恒湿器中に入れて1日以上保持してX線モノクロメータを作製する。形成された膜の一部を剥離して、電子顕微鏡で観察すると、球状細孔多孔質膜であることを確認できる。また、電子顕微鏡の断面観察によって、複数の球状細孔が六方最密構造に配列されていることを確認できる。
X線マイクロビーム(3μmφ、8keV)を用いたBragg−Brentano配置でのθ−2θスキャニングX線回折測定で分析すると、法線構造周期が膜の各位置において5.65nmであることを確認できる。また、シリコンウェハの平面上で、同様の実験条件で形成した多孔質膜は、φ−2θχスキャニングX線回折測定(X線入射角:0.2°)によって面内方向にも回折パターンを微弱ではあるが検出することができる。しかし、その検出位置(2θχ=1.23°)においてφスキャンをしてもロッキングカーブにおいて顕著なピークが見られない。これは、この実験条件で形成される球状細孔シリカ多孔質膜が、対称反射面の異なる複数の局所細孔構造が、膜内に存在することを意味する。
X線モノクロメータを電気炉中に導入し、温度を毎分2℃ずつ550℃になるまで昇温する。550℃になってから10時間保持した後、毎分2℃ずつ室温になるまで降温する。焼成後のモノクロメータを、X線マイクロビーム(3μmφ、8keV)を用いたBragg−Brentano配置でのθ−2θスキャニングX線回折測定で分析すると、法線構造周期が膜の各位置において4.26nmであることを確認できる。また、赤外吸収スペクトル等によって、有機物がモノクロメータから除去されていることを確認することができる。
図1のように、X線源12(炭素30%、窒素10%、水素60%含有のサンプルからの蛍光X線)、X線検出器13、及びX線モノクロメータ11を、半径100mmのローランド円の円周上に配置し、X線源12及びX線源を連動させてX線分光装置を作製する。ローランド円の部分を真空チャンバーで覆い、減圧下で測定を行う。θを15°から45°の範囲でスキャンすると、2.21nmから6.02nmの波長範囲までのX線スペクトル測定できる。また、θ=31.6°、及び21.8°において、炭素、及び窒素の固有X線を測定することができる。X線の波長分解能は、半値幅で0.048nmである。
(比較例1)
本比較例は、合成雲母による球状湾曲型モノクロメータを作製し、その性能を検討する例である。
まず、図3に示す湾曲した凹面を有するガラス基板を準備する。基板の該凹面は、軸31、及び軸32の2方向に曲率半径を200mm(ローランド円の直径)として球状型に湾曲している。ガラス基板は、アセトン、イソプロピルアルコール、及び純水で洗浄し、オゾン装置中で表面をクリーニングする。
次に前記基板に塗布する塗布液を調整する。合成雲母ナトリウムテニオライト10gを、n−ブチルアミン塩酸塩水溶液(0.4M)を50mLに加えて2時間攪拌する。精製水で数回洗浄して、攪拌処理を行った後、ポリオキシエチレンラウリルアミン塩酸塩水溶液(5wt%)を200mL加えて24時間イオン交換処理を行う。得られる懸濁液をブフナーロートで減圧脱水し、精製水で数回洗浄する。洗浄物を80℃で乾燥させてから、ベンゼン中に入れ、ホモジナイザーで分散させる。このベンゼン懸濁液を前記基板上に塗布し、室温乾燥させた後、110℃で乾燥させる。
X線マイクロビーム(3μmφ、8keV)を用いたθ−2θスキャニングX線回折測定で、作製したX線モノクロメータを分析すると、法線構造周期が膜の各位置において3.48nmであることを確認できる。また、接触式表面段差計により、膜の表面粗さが最大高さRyにおいて850nmであることがわかる。
図1のように、X線源12(炭素30%、窒素10%、水素60%含有のサンプルからの蛍光X線)、X線検出器13、及びX線モノクロメータ11を、半径100mmのローランド円の円周上に配置し、X線源12及びX線源を連動させてX線分光装置を作製する。ローランド円の部分を真空チャンバーで覆い、減圧下で測定を行う。θを15°から45°の範囲でスキャンすると、1.80nmから4.92nmの波長範囲までのX線スペクトルを測定でき、炭素、及び窒素の、それぞれの固有X線を、θ=40.0°、及び27.0°において確認することができる。その分光性能は、半値幅で0.12nmである。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
11 X線モノクロメータ
12 X線源
13 X線検出器
14 ローランド円(中心:A)
15 ローランド円の直径を曲率半径とする円弧(中心:B)
16 入射X線
17 反射X線
18 基板

Claims (8)

  1. 凹面を有する基板と、
    該凹面上に形成された複数の細孔を有する無機酸化物膜と、を備え、
    前記無機酸化物膜の複数の細孔は、前記凹面の法線方向に周期的に積層されており、
    前記複数の細孔は、チューブ状であり、
    前記凹面の法線方向の前記細孔の周期性に起因したX線の回折によってX線を分光する
    ことを特徴とするX線モノクロメータ。
  2. チューブ状の前記複数の細孔は、前記無機酸化物膜の表面に平行な方向に延びており、二次元ヘキサゴナル構造に配列されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のX線モノクロメータ。
  3. X線源と、
    請求項1または2に記載のX線モノクロメータと、
    X線検出器と、を有し、
    前記X線検出器が前記細孔の周期性に起因したX線の回折によって分光したX線を検出するX線検出器であることを特徴とするX線分光装置。
  4. 前記X線源と、前記X線モノクロメータと、前記X線検出器がローランド円の円周上にあり、前記X線モノクロメータの前記凹面がローランド円の直径を曲率半径として湾曲していることを特徴とする請求項3に記載のX線分光装置。
  5. ローランド円の直径を曲率半径として湾曲する凹面を有する基板と、
    該凹面上に形成された複数の細孔を有する無機酸化物膜と、を備え、
    前記無機酸化物膜の複数の細孔は、前記凹面の法線方向に周期的に積層されており、
    前記複数の細孔は、球状であり、
    前記無機酸化物膜の第1領域に在る複数の細孔の6回対称軸を含みかつ該前記無機酸化物膜の表面に垂直な第1対称反射面と、前記無機酸化物膜の第2領域に在る複数の細孔の6回対称軸を含みかつ該前記無機酸化物膜の表面に垂直な第2対称反射面と、が非平行である
    ことを特徴とするX線モノクロメータ。
  6. 球状の前記複数の細孔は、六方最密構造に配列されている
    ことを特徴とする請求項に記載のX線モノクロメータ。
  7. 前記凹面は、ローランド円の直径を曲率半径として湾曲している
    ことを特徴とする請求項5または6に記載のX線モノクロメータ。
  8. X線源と、
    請求項乃至のいずれか1項に記載のX線モノクロメータと、
    X線検出器と、を備える
    ことを特徴とするX線分光装置。
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