JP5244148B2 - 膜電極接合体及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents

膜電極接合体及び固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、膜電極接合体及び固体高分子型燃料電池に関し、さらに詳しくは、車載用動力源、定置型小型発電器、コジェネレーションシステム等として好適な固体高分子型燃料電池及びこれに用いられる膜電極接合体に関する。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体(MEA)を基本単位とする。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボンペーパー、カーボンクロス等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、白金等の電極触媒を担持したカーボンと固体高分子電解質(触媒層内電解質)との複合体からなる。
このようなMEAを構成する電解質膜あるいは触媒層内電解質には、耐酸化性に優れた全炭化フッ素系電解質(高分子鎖内にC−H結合を含まない電解質。例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成(株)製)、フレミオン(登録商標、旭硝子(株)製)等。)を用いるのが一般的である。
また、全炭化フッ素系電解質は、耐酸化性に優れるが、一般に極めて高価である。そのため、固体高分子型燃料電池の低コスト化を図るために、炭化水素系電解質(高分子鎖内にC−H結合を含み、C−F結合を含まない電解質)、又は部分炭化フッ素系電解質(高分子鎖内にC−H結合とC−F結合の双方を含む電解質)の使用も検討されている。
しかしながら、固体高分子型燃料電池を車載用動力源等として実用化するためには、解決すべき課題が残されている。例えば、炭化水素系電解質は、全炭化フッ素系電解質に比べて安価であるが、過酸化物ラジカルにより劣化しやすいという問題がある。
また、固体高分子電解質膜の外周部は、通常、ガスシール機能を確保するために、ガスケットにより締め付けられる。しかしながら、ガスケットによる締め付けは、固体高分子電解質膜にせん断応力を作用させ、膜の破損やガスシール機能の低下を招く。さらに、固体高分子電解質膜は、使用時に生ずる温度変化や湿度変化により膨張収縮を繰り返す。そのため、特に電極の外周部において応力が発生しやすいという問題がある。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、スルホン化ポリフェニレンサルファイド膜を酢酸マグネシウム四水和物、酢酸カルシウム、アルミニウムトリイソプロポキシド又は硝酸ランタン水和物を溶解させた溶液に浸漬することにより得られるプロトン伝導性高分子膜が開示されている。同文献には、このような処理を施すことによってスルホン化ポリフェニレンサルファイド膜に含まれるプロトン伝導性置換基の水素原子の一部をMg2+等の金属イオンで置換される点、及び、水素原子の一部を金属イオンで置換することによってスルホン化ポリフェニレンサルファイドの耐酸化性が向上する点が記載されている。
また、特許文献2には、ポリテトラフルオロエチレン繊維で織られた平織布の中心部の繊維を鎖線状に切断し、切断された繊維を引き抜くことによって中心部に透かし部を形成し、これにナフィオン溶液を含浸させて複合膜とし、この複合膜の両面に透かし部より大きな面積を有する電極を接合した膜電極接合体が開示されている。同文献には、固体高分子電解質膜の外周部を補強することによって、ガスケットによる締め付けに起因する膜の破損、あるいは、ガスケットより内側で、かつ、電極より外側の部分が膨張収縮することに起因する膜の劣化を抑制できる点が記載されている。
特開2004−018573号公報 特開2000−215903号公報
燃料電池の課題の一つに電解質膜の劣化の抑制が挙げられる。劣化の根本的な原因には、ラジカルなどの化学種による高分子の分解(すなわち「化学的要因」)と、応力による膜の損傷(すなわち、「機械的要因」)とがある。
特許文献1に開示されているように、プロトン伝導性置換基の水素原子の一部をある種の金属イオンで置換すると、電解質膜の化学的耐性が向上する。しかしながら、イオン交換するイオン種によっては、実用上十分な化学的耐性が得られない場合がある。また、特許文献1に開示されている方法は、膜全体をイオン交換しているので、発電性能を維持するためにプロトンの一部を残す必要がある。そのため、すべてのプロトンをイオン交換処理する場合に比べて、効果が半減するという問題がある。さらに、特許文献1に具体的に開示されているイオン種の中には、化学的耐性を向上させる効果があるものも含まれているが、機械的強度の向上の点ではあまり効果がない。
一方、特許文献2に開示されている方法は、ガスケットによる締め付けや膜の伸縮に起因する膜の劣化を抑制する効果があるとされている。しかしながら、この方法では、化学的要因に起因する膜の劣化を抑制することはできない。また、膜の外周部をポリテトラフルオロエチレン等と複合化させているため、使用中に膜と補強材の剥離が懸念される。
さらに、化学的要因による膜の劣化は、膜の特定部位から発生する。また、化学的要因及び機械的要因による膜の劣化を抑制するためには、膜の含水率を制御することも重要である。しかしながら、これらの点を考慮した電解質膜の強化方法が提案された例は、従来にはない。
本発明が解決しようとする課題は、化学的要因による膜の劣化、及び、機械的要因による膜の劣化の双方を同時に抑制することが可能な膜電極接合体及びこれを用いた固体高分子型燃料電池を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、膜の特定部位から発生する化学的要因による膜の劣化を抑制することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、膜の含水率を制御し、これによって、化学的要因及び機械的要因による膜の劣化を抑制することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る膜電極接合体は、固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜の両面に接合された、触媒層を含む電極とを備え、前記固体高分子電解質膜は、その外周部であって、少なくとも一方の面に前記触媒層が形成されていない非発電領域に含まれるプロトンの全部又は一部がアンミン錯体カチオンによりイオン交換され、並びに/又は、前記固体高分子電解質膜は、前記非発電領域に、その末端にアンモニウムカチオン若しくは4級アンモニウムカチオンを有するオルガノメタロキサンモノマを含む溶液を含浸させ、加水分解・縮重合させることにより得られるオルガノメタロキサンポリマを含むことを要旨とする。
また、本発明に係る膜電極接合体の2番目は、固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜の両面に接合された、触媒層を含む電極とを備え、前記固体高分子電解質膜は、その中間部であって、前記触媒層の外周部をその内部に含む帯状領域に含まれるプロトンの全部又は一部がアンミン錯体カチオンによりイオン交換され、並びに/又は、前記固体高分子電解質膜は、前記帯状領域に、その末端にアンモニウムカチオン若しくは4級アンモニウムカチオンを有するオルガノメタロキサンモノマを含浸させ、加水分解・縮重合させることにより得られるオルガノメタロキサンポリマを含むことを要旨とする。
さらに、本発明に係る固体高分子型燃料電池は、本発明に係る膜電極接合体を備えていることを要旨とする。
固体高分子電解質膜のプロトンの全部又は一部をカチオン(特に、錯体カチオン、4級アルキルアンモニウムカチオン、及び/又は、高価数側カチオン)でイオン交換すると、化学的要因及び機械的要因による膜の劣化を同時に抑制することができる。また、膜とオルガノメタロキサンポリマとを複合化させると、化学的要因及び機械的要因による膜の劣化を同時に抑制することができる。
また、化学的要因による膜の劣化は、特に片面触媒領域において著しい。そのため、片面触媒領域を含む帯状領域又は非発電領域を予めカチオンでイオン交換し、あるいは、オルガノメタロキサンポリマで強化すると、化学的要因及び機械的要因による膜の劣化を同時に抑制することができる。さらに、膜中の含水率を最適化すると、化学的要因による膜の劣化を抑制することができる。
図1(a)は、本発明の第2の実施の形態に係るMEAの正面図であり、図1(b)は、その平面図である。 図2(a)は、本発明の第3の実施の形態に係るMEAの正面図であり、図2(b)は、その平面図である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る膜電極接合体(MEA)は、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の両面に接合された電極とを備えている。
本発明において、固体高分子電解質膜には、種々の材料を用いることができる。すなわち、固体高分子電解質膜は、炭化水素系電解質及び炭化フッ素系電解質のいずれであっても良い。また、炭化フッ素系電解質は、部分炭化フッ素系電解質及び全炭化フッ素系電解質のいずれであっても良い。
ここで、「炭化水素系電解質」とは、ポリマ骨格中にC−H結合を含み、かつ、C−F結合を含まないものをいう。「炭化フッ素系電解質」とは、ポリマ骨格中にC−F結合を含むものをいう。「部分炭化フッ素系電解質」とは、ポリマ骨格中にC−H結合とC−F結合の双方を含むものをいう。「全炭化フッ素系電解質」とは、ポリマ骨格中にC−F結合を含み、かつ、C−H結合を含まないものをいう。本発明において、「全炭化フッ素系電解質」というときは、ポリマ骨格中に、C−F結合以外に、C−Cl結合(例えば、−CFCl−、−CCl−など)や、その他の構造(例えば、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R)−等。但し、「R」は、アルキル基。)を有するものも含まれる。
固体高分子電解質膜に含まれる陽イオン交換基の種類も、特に限定されるものではない。陽イオン交換基としては、具体的には、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、亜ホスホン酸基、フェノール基などがある。上述したポリマには、これらの陽イオン交換基のいずれか1種を備えたものでも良く、あるいは、2種以上を備えたものでも良い。
ポリマ骨格の全部又は一部がフッ素化された固体高分子電解質としては、具体的には、パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマ、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマ、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマ、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマなどがある。
また、フッ素を含まない炭化水素系の固体高分子電解質としては、具体的には、ポリスルホンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸などがある。
これらの中でも、全炭化フッ素系電解質は、高い化学的耐性を有しているので、MEAを構成する固体高分子電解質膜として特に好適である。
電極は、触媒層のみからなるものでも良く、あるいは、触媒層と拡散層の2層構造を有するものでも良い。
拡散層は、触媒層への反応ガスの供給及び電子の授受を行うための層である。その材質は、多孔質かつ電子伝導性を有するものであれば良く、特に限定されるものではない。一般的には、多孔質のカーボン布、カーボン紙等が用いられる。
触媒層は、電極反応の反応場となる層であり、触媒と、陽イオン交換基を有する触媒層内電解質とを備えている。触媒は、単独で触媒層に含まれていても良く、あるいは、触媒担体に担持された状態で触媒層に含まれていても良い。また、触媒あるいは触媒担体の材質は、特に限定されるものではなく、用途に応じて種々の材質を用いることができる。通常は、触媒として、Pt又はPt系の合金を用い、カーボンブラック等の触媒担体の表面に担持した状態で使用される。
触媒層内電解質は、触媒層にイオン伝導性を付与すると共に、触媒層内に三相界面を形成するために加えられるものである。触媒層内電解質の材質は、特に限定されるものではなく、用途に応じて種々の材質を用いることができる。通常は、固体高分子電解質膜と同一成分を有する電解質が用いられるが、異なる成分の電解質を用いても良い。
本実施の形態において、固体高分子電解質膜は、その全体が特定の方法によって強化されている。ここで、「膜の全体が強化されている」とは、膜の全面に渡って、膜の表層及び/又は内部が強化されていることをいう。MEAの耐久性を向上させるためには、膜の全面に渡って、少なくとも膜の表層が強化されていることが好ましい。また、MEAの耐久性を大幅に向上させるためには、膜の全面に渡って、膜の表層及び内部が強化されているのが好ましい。膜の表層及び内部を強化する場合、両者の強化の程度は、同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
膜の全体を強化する方法としては、具体的には、以下のような方法がある。
第1の方法は、固体高分子電解質膜に含まれるプロトンの一部を、カチオンでイオン交換する方法である。プロトンを交換するカチオンの種類は、特に限定されるものではないが、MEAの化学的耐性及び/又は機械的特性を向上させる作用が相対的に高いカチオンとしては、具体的には、(1)錯体カチオン、(2)4級アルキルアンモニウムカチオン、(3)高価数側カチオン、(4)その他のカチオン、がある。
「錯体カチオン」とは、金属原子の周囲に配位子が結合した化合物であって、化合物全体でプラスの価数を有するものをいう。本発明において、錯体カチオンの種類は特に限定されるものではなく、種々の錯体カチオンを用いることができる。錯体カチオンとしては、具体的には、
(1) ヘキサアンミンコバルト(III)カチオン([Co(NH)]3+)、テトラアンミン白金(II)カチオン([Pt(NH)]2+)、ヘキサアンミンルテニウム(III)カチオン([Ru(NH)]3+)、ヘキサアンミン白金(IV)カチオン([Pt(NH)]4+)などのアンミン錯体カチオン、
(2) ペンタアンミンニトロシルコバルト(II)カチオン([Co(NH)(NO)]2+)、ペンタアンミンクロロコバルト(III)カチオン([Co(NH)Cl]3+)、テトラアンミンクロロニトロシルルテニウム(III)カチオン([RuCl(NH)(NO)]2+)などの数種類の配位子を含む錯体カチオン、
などがある。
これらの中でも、アンミン錯体カチオンは、膜の化学的耐性及び機械的特性を著しく向上させる作用があるので、プロトンを交換する錯体カチオンとして特に好適である。
「4級アルキルアンモニウムカチオン」とは、一般式:R(Rは、アルキル基)で表されるカチオンをいう。N原子に結合している4個のアルキル基Rは、互いに同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。4級アルキルアンモニウムカチオンとしては、具体的には、テトラプロピルアンモニウムカチオン([(CHCHCH)N])、テトラブチルアンモニウムカチオン([(CHCHCHCH)4N])、トリメチルベンジルアンモニウムカチオン([(CH)N])などがある。
「高価数側カチオン」とは、複数の価数を取りうる金属イオンであって、最低価数より大きい価数を持つカチオンをいう。例えば、セリウムは、3価と4価の2つの酸化状態をとる。この場合、高価数側カチオンとは、Ce4+を指す。これ以外の高価数側カチオンとしては、具体的には、Pr4+、Sm3+、Eu3+、Tb4+、Yb3+などがある。
その他のカチオンであって、膜の機械的特性(特に、初期弾性率)を向上させる作用が相対的に高いものとしては、セシウムイオン(Cs)、カルシウムイオン(Ca2+)、ストロンチウムイオン(Sr2+)、バリウムイオン(Ba2+)、ジルコニルイオン(ZrO2+)、クロム(III)イオン(Cr3+)、セリウム(III)イオン(Ce3+)などがある。
また、その他のカチオンであって、膜の化学的耐性を高める作用が相対的に高いものとしては、ジルコニルイオン(ZrO2+)、アルミニウムイオン(Al3+)、クロム(III)イオン(Cr3+)、セリウム(III)イオン(Ce3+)などがある。
固体高分子電解質膜に含まれるプロトンの一部は、上述した各種のカチオンのいずれか1種で置換されていても良く、あるいは、2種以上で置換されていても良い。
また、各種カチオンによるイオン交換率(=カチオンの数×カチオンの価数×100/陽イオン交換基の数(%))は、0.01%以上が好ましい。イオン交換率が0.01%未満であると、実用上十分な化学的耐性及び機械的特性が得られない。イオン交換率は、さらに好ましくは、0.1%以上、さらに好ましくは、1%以上である。
一方、イオン交換率が高すぎると、固体高分子電解質膜の電気伝導度が低下し、発電性能を維持できない。従って、イオン交換率は、95%以下が好ましく、さらに好ましくは、50%以下、さらに好ましくは、30%以下である。
膜を強化する第2の方法は、固体高分子電解質膜にオルガノメタロキサンポリマを導入する方法である。
ここで、「オルガノメタロキサンポリマ」とは、オルガノメタロキサンモノマ(及び、必要に応じて、他のメタロキサンモノマ)を加水分解・重縮合させることにより得られるポリマをいう。また、「オルガノメタロキサンモノマ」とは、その末端にアンモニウムカチオン又は4級アンモニウムカチオンを有する化合物であって、次の(1)式で表されるものをいう。
[(RO)M−(CH)−(R')(R'')(R''')N]X ・・・(1)
但し、Mは、4価の金属元素(例えば、Ge、Si、Ti、Zrなど)。
nは、0以上の整数。
ROは、アルコキシ基。
R'、R''、R'''は、水素又はアルキル基。
Xは、Cl、Br等のハロゲン元素。
なお、Mに結合している3個のアルコキシ基ROは、それぞれ、同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。同様に、Nに結合しているR'、R''、R'''は、それぞれ、同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
オルガノメタロキサンモノマとしては、具体的には、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド((TMSiTMA)Cl;[(CHO)SiCHCHCH(CH)N]Cl)、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−ブチルアンモニウムブロミド([(CHO)Si(CH)(C)N]Br)、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−ブチルアンモニウムクロリド([(CHO)Si(CH)(C)N]Cr)などのオルガノアルコキシシラン、などがある。
オルガノメタロキサンポリマは、これらのオルガノメタロキサンモノマの内、いずれか1種を加水分解・重縮合させることにより得られるものでも良く、あるいは、2種以上を加水分解・重縮合させることにより得られるものでも良い。また、オルガノメタロキサンポリマは、1種又は2種以上のオルガノメタロキサンモノマと、1種又は2種以上のメタロキサンモノマとを加水分解・重縮合させることにより得られるものでも良い。
ここで、「メタロキサンモノマ」とは、加水分解・重縮合させることにより、メタロキサン結合(M−O−M。M、Mは、金属元素)を有するポリマを形成することができる化合物をいう。
メタロキサンモノマとしては、具体的には、
(1) テトラエトキシシラン(TEOS;Si(OC))、メチルトリエトキシシラン(CHSi(OC))、ジメチルジエトキシシラン((CH)Si(OC))、フェニルトリエトキシシラン(CSi(OC))、ジエトキシジフェニルシラン((C)Si(OC))などのシラン化合物、
(2) テトラエトキシゲルマン(Ge(OC))、テトラメトキシゲルマン(Ge(OCH))などのゲルマニウムアルコキサイド、
(3) チタンエトキサイド(Ti(OC))、チタンジクロライドジエトキサイド(TiCl(OC))などのチタンアルコキサイド、
などがある。
特に、メチル基、フェニル基などの疎水基を有するシラン化合物は、電解質膜の含水率を低下させ、MEAの化学的耐性を向上させる作用があるので、オルガノメタロキサンモノマと組み合わせて用いるモノマとして、特に好適である。
さらに、固体高分子電解質膜には、これらのオルガノメタロキサンポリマのいずれか1種が含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
オルガノメタロキサンポリマは、後述するように、オルガノメタロキサンモノマ(及び、必要に応じてメタロキサンモノマ)を含む溶液を固体高分子電解質膜に含浸させ、膜内部において加水分解・重縮合させることにより形成される。
この場合、オルガノメタロキサンモノマは、その末端にあるカチオンによるイオン交換率が上述した範囲となるように導入する。すなわち、実用上十分な化学的耐性及び機械的特性を得るためには、オルガノメタロキサンポリマの導入量は、オルガノメタロキサンモノマによるイオン交換率に換算して、0.01%以上が好ましく、さらに好ましくは、0.1%以上、さらに好ましくは、1%以上である。また、実用上十分な発電性能を維持するためには、オルガノメタロキサンポリマの導入量は、イオン交換率に換算して、95%以下が好ましく、さらに好ましくは、50%以下、さらに好ましくは、30%以下である。
オルガノメタロキサンモノマに加えてさらにメタロキサンモノマを導入する場合、メタロキサンモノマの導入量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。これは、メタロキサンモノマは、カチオンを含まないので、過剰に導入しても発電性能を低下させるおそれが少ないがないためである。
第1の方法(イオン交換による強化法)及び第2の方法(オルガノメタロキサンポリマの導入による強化法)は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、組み合わせて用いても良い。また、第1の方法及び第2の方法を組み合わせて用いる場合、各種カチオン及びオルガノメタロキサンモノマによるイオン交換率の合計が上述した範囲となるように、これらを膜中に導入するのが好ましい。
次に、本発明の第2の実施の形態に係るMEAについて説明する。本実施の形態に係るMEAは、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の両面に接合された触媒層を含む電極とを備えている。また、本実施の形態において、固体高分子電解質膜は、少なくとも非発電領域が特定の方法によって強化されている。
ここで、「非発電領域が強化されている」とは、非発電領域の全面に渡って、膜の表層及び/又は内部が強化されていることをいう。MEAの耐久性を向上させるためには、非発電領域の全面に渡って、少なくとも膜の表層が強化されていることが好ましい。また、MEAの耐久性を大幅に向上させるためには、非発電領域の全面に渡って、膜の表層及び内部が強化されているのが好ましい。膜の表層及び内部を強化する場合、両者の強化の程度は、同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
また、「非発電領域」とは、固体高分子電解質膜の外周部であって、少なくとも一方の面に触媒層が形成されていない領域をいう。
図1に、本実施の形態に係るMEAの概略構成図を示す。図1において、MEA10は、固体高分子電解質膜12と、その両面に接合された触媒層14a、14bとを備えている。触媒層14a、14bは、通常、同一の大きさを有している。また、触媒層14a、14bは、通常、固体高分子電解質膜12のほぼ中央部に、かつ、固体高分子電解質膜12に対して対称に接合される。
しかしながら、製造工程上の誤差によって触媒層14a、14bの大きさがばらついたり、あるいは、触媒層14a、14bの接合位置がずれると、固体高分子電解質膜12の両面に触媒層14a、14bが形成された領域(発電領域)と、固体高分子電解質膜12の片面にのみ触媒層14a、14bが形成された領域(片面触媒領域)が形成される。「非発電領域」とは、このような片面触媒領域と、触媒層14a、14bが全く形成されていない領域を合わせた領域いう。
非発電領域を強化する方法としては、具体的には、以下のような方法がある。
第1の方法は、非発電領域に含まれるプロトンの全部又は一部を、カチオンでイオン交換する方法である。プロトンを交換するカチオンの種類は、特に限定されるものではないが、MEAの化学的耐性及び/又は機械的特性を向上させる作用が相対的に高いカチオンとしては、具体的には、(1)錯体カチオン、(2)4級アルキルアンモニウムカチオン、(3)高価数側カチオン、(4)その他のカチオン、がある。
特に、プロトンを交換するカチオンが、錯体カチオン、4級アルキルアンモニウムカチオン、及び、高価数側カチオンから選ばれる1以上である時には、MEAの化学的耐性及び機械的特性が著しく向上する。
一般に、これらのカチオンによるイオン交換率が高くなるほど、高い化学的耐性及び機械的特性が得られるが、固体高分子電解質膜の電気伝導度は低下する。しかしながら、非発電領域は、発電に寄与しない領域であるので、イオン交換率は、高いほど良く、プロトンの全部が所定のカチオンでイオン交換されていても良い。
各種カチオンによるイオン交換率は、具体的には、1%以上が好ましく、さらに好ましくは、50%以上、さらに好ましくは、90%以上である。
非発電領域を強化する第2の方法は、非発電領域に、オルガノメタロキサンモノマ(及び、必要に応じて他のメタロキサンモノマ)を含浸させ、加水分解・重縮合させることにより得られるオルガノメタロキサンポリマを導入する方法である。
オルガノメタロキサンポリマは、上述したオルガノメタロキサンモノマの内、いずれか1種を加水分解・重縮合させることにより得られるものでも良く、あるいは、2種以上を加水分解・重縮合させることにより得られるものでも良い。また、オルガノメタロキサンポリマは、1種又は2種以上のオルガノメタロキサンモノマと、1種又は2種以上のメタロキサンモノマとを加水分解・重縮合させることにより得られるものでも良い。
さらに、非発電領域には、これらのオルガノメタロキサンポリマのいずれか1種が含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
非発電領域は、発電に寄与しない領域であるので、MEAの耐久性を向上させるためには、オルガノメタロキサンポリマの導入量は、多いほどよい。非発電領域へのオルガノメタロキサンポリマの導入量は、オルガノメタロキサンモノマによるイオン交換率に換算して、1%以上が好ましく、さらに好ましくは、50%以上、さらに好ましくは、90%以上である。
第1の方法(イオン交換による強化法)及び第2の方法(オルガノメタロキサンポリマの導入による強化法)は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、組み合わせて用いても良い。また、第1の方法及び第2の方法を組み合わせて用いる場合、各種カチオン及びオルガノメタロキサンモノマによるイオン交換率の合計が上述した範囲となるように、これらを非発電領域に導入するのが好ましい。
本実施の形態において、非発電領域のみが上述した第1の方法及び/又は第2の方法で強化されていても良い。あるいは、非発電領域に加えて、発電領域の全部、又は、発電領域の一部であって、非発電領域に隣接する領域が強化されていても良い。特に、非発電領域に隣接する領域を強化すると、製造工程上の誤差によって片面触媒領域が形成された場合であっても、確実に劣化を抑制することができる。
但し、発電領域内を強化する場合において、イオン交換率が高くなるほど、及び/又は、発電領域内の強化される領域の面積が大きくなるほど、化学的耐性及び機械的特性は高くなるが、発電性能は低下する傾向がある。従って、発電領域の全体を強化する場合には、発電領域内のイオン交換率を非発電領域より小さくするのが好ましい。また、発電領域内の一部であって、非発電領域に隣接する領域を、非発電領域とほぼ同等のイオン交換率で強化する場合には、強化する領域の面積は、発電領域の面積の50%以下が好ましい。
なお、各種カチオン、オルガノメタロキサンポリマ、オルガノメタロキサンモノマ及びシロキサンモノマに関するその他の点、並びに、固体高分子電解質膜及び電極に関するその他の点等については、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
次に、本発明の第3の実施の形態に係るMEAについて説明する。本実施の形態に係るMEAは、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の両面に接合された触媒層を含む電極とを備えている。また、本実施の形態において、固体高分子電解質膜は、少なくとも帯状領域が特定の方法によって補強されている。
ここで、「帯状領域が強化されている」とは、帯状領域の全面に渡って、膜の表層及び/又は内部が強化されていることをいう。MEAの耐久性を向上させるためには、帯状領域の全面に渡って、少なくとも膜の表層が強化されていることが好ましい。また、MEAの耐久性を大幅に向上させるためには、帯状領域の全面に渡って、膜の表層及び内部が強化されているのが好ましい。膜の表層及び内部を強化する場合、両者の強化の程度は、同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
また、「帯状領域」とは、固体高分子電解質膜の中間部であって、触媒層の外周部をその内部に含む領域をいう。
図2に、本実施の形態に係るMEAの概略構成図を示す。図2において、MEA20は、固体高分子電解質膜22と、その両面に接合された触媒層24a、24bとを備えている。触媒層24a、24bは、通常、同一の大きさを有している。また、触媒層24a、24bは、通常、固体高分子電解質膜22のほぼ中央部に、かつ、固体高分子電解質膜22に対して対称に接合される。
しかしながら、製造工程上の誤差によって触媒層24a、24bの大きさがばらついたり、あるいは、触媒層24a、24bの接合位置がずれると、上述したように、固体高分子電解質膜22上に発電領域と、片面触媒領域が形成される。「帯状領域」とは、一対の触媒層24a、24bの外周部をその内部に含み、かつ所定の幅を有する枠状の領域をいう。また、製造工程上の誤差によって片面触媒領域が形成された場合には、「帯状領域」とは、この片面触媒領域をその内部に含む領域をいう。
帯状領域は、製造工程上の誤差によって片面触媒領域が形成された場合であっても、片面触媒領域がその内部に収まる程度の幅を有している必要がある。そのためには、帯状領域の幅は、少なくとも、その外周の幅が触媒層24a、24bの幅より広く、かつ、その内周の幅が触媒層24a、24bの幅より狭くなっている必要がある。最適な帯状領域の幅は、製造工程上の誤差により定まる。一般に、帯状領域の幅が広くなるほど、触媒層24a、24bの寸法精度、及び/又は、触媒層24a、24bの接合位置の精度が低い場合であっても、片面触媒領域を確実に帯状領域内に納めることができる。
一方、MEAの発電性能は、発電領域の面積にほぼ比例する。そのため、帯状領域の幅が必要以上に広くなると、イオン交換率によっては、発電性能の低下を招く場合がある。従って、帯状領域は、その内周によって囲まれる領域の面積が触媒層の面積の0.5倍以上が好ましい。換言すれば、帯状領域の内周の幅は、触媒層の外周の幅の0.7倍以上が好ましい。また、膜の劣化を確実に抑制するためには、帯状領域は、その内周によって囲まれる領域の面積が発電領域の面積以下が好ましい。
帯状領域の外周の幅は、特に限定されるものではないが、同一寸法を有する触媒層24a、24bの接合位置がずれると、発電領域の幅が減少すると同時に、減少した発電領域の幅と同一の幅を有する片面触媒領域が発電領域の左右に形成される。従って、帯状領域の外周の幅は、少なくとも発電領域の幅と左右の片面触媒領域の幅とを加え合わせた幅以上が好ましい。
帯状領域を強化する方法としては、具体的には、以下のような方法がある。
第1の方法は、帯状領域に含まれるプロトンの全部又は一部を、カチオンでイオン交換する方法である。プロトンを交換するカチオンの種類は、特に限定されるものではないが、MEAの化学的耐性及び/又は機械的特性を向上させる作用が相対的に高いカチオンとしては、具体的には、(1)錯体カチオン、(2)4級アルキルアンモニウムカチオン、(3)高価数側カチオン、(4)その他のカチオン、がある。
特に、プロトンを交換するカチオンが、錯体カチオン、4級アルキルアンモニウムカチオン、及び、高価数側カチオンから選ばれる1以上である時には、MEAの化学的耐性及び機械的特性が著しく向上する。
一般に、これらのカチオンによるイオン交換率が高くなるほど、高い化学的耐性及び機械的特性が得られるが、固体高分子電解質膜の電気伝導度は低下する。しかしながら、帯状領域は、発電にほとんど寄与しない領域であるので、イオン交換率は、高いほど良く、プロトンの全部が所定のカチオンでイオン交換されていても良い。
各種カチオンによるイオン交換率は、具体的には、1%以上が好ましく、さらに好ましくは、50%以上、さらに好ましくは、90%以上である。
帯状領域を強化する第2の方法は、帯状領域に、オルガノメタロキサンモノマ(及び、必要に応じて他のメタロキサンモノマ)を含浸させ、加水分解・重縮合させることにより得られるオルガノメタロキサンポリマを導入する方法である。
オルガノメタロキサンポリマは、上述したオルガノメタロキサンモノマの内、いずれか1種を加水分解・重縮合させることにより得られるものでも良く、あるいは、2種以上を加水分解・重縮合させることにより得られるものでも良い。また、オルガノメタロキサンポリマは、1種又は2種以上のオルガノメタロキサンモノマと、1種又は2種以上のメタロキサンモノマとを加水分解・重縮合させることにより得られるものでも良い。
さらに、帯状領域には、これらのオルガノメタロキサンポリマのいずれか1種が含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
帯状領域は、発電にほとんど寄与しない領域であるので、MEAの耐久性を向上させるためには、オルガノメタロキサンポリマの導入量は、多いほどよい。帯状領域へのオルガノメタロキサンポリマの導入量は、オルガノメタロキサンモノマによるイオン交換率に換算して、1%以上が好ましく、さらに好ましくは、50%以上、さらに好ましくは、90%以上である。
第1の方法(イオン交換による強化法)及び第2の方法(オルガノメタロキサンポリマの導入による強化法)は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、組み合わせて用いても良い。また、第1の方法及び第2の方法を組み合わせて用いる場合、各種カチオン及びオルガノメタロキサンモノマによるイオン交換率の合計が上述した範囲となるように、これらを帯状領域に導入するのが好ましい。
本実施の形態において、帯状領域のみが上述した第1の方法及び/又は第2の方法で強化されていても良い。あるいは、帯状領域に加えて、帯状領域以外の発電領域が強化されていても良い。但し、発電領域内を強化する場合において、イオン交換率が高くなるほど、化学的耐性及び機械的特性は高くなるが、発電性能は低下する傾向がある。
従って、帯状領域以外の発電領域を強化する場合には、そのイオン交換率を帯状領域より小さくするのが好ましい。
なお、各種カチオン、オルガノメタロキサンポリマ、オルガノメタロキサンモノマ及びシロキサンモノマに関するその他の点、並びに、固体高分子電解質膜及び電極に関するその他等の点については、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
次に、本発明に係るMEAの製造方法について説明する。
プロトンの全部又は一部が所定のカチオンでイオン交換された固体高分子電解質膜は、以下のような方法により作製することができる。
第1の方法は、所定のカチオン(Mn+)を所定量含む溶液中に電解質膜を所定時間浸漬する方法である。電解質膜を溶液中に浸漬すると、電解質膜内におけるプロトン(H)に対するプロトン以外のカチオン(Mn+)の濃度比([Mn+]/[H])が、電解質膜外における濃度比とおよそ等しくなるか、あるいは、それより大きくなるまでカチオン(Mn+)が膜中に入る傾向がある。
従って、溶液中のカチオン(Mn+)の濃度比及び浸漬時間を最適化することによって、電解質膜内のカチオン(Mn+)の濃度比を任意に制御することができる。また、電解質膜を、液中のプロトンに対して過剰にカチオン(Mn+)を含む溶液に長時間浸漬すると、溶液中のほとんどのカチオン(Mn+)を電解質膜中のプロトンに置き換えることができる。また、溶液中のカチオン(Mn+)の量を、液中のプロトンに対して過剰にし、かつ、電解質膜の陽イオン交換基の量よりも多くすると、電解質膜中のほとんどのプロトンをカチオン(Mn+)に置き換えることができる。
さらに、溶液中への浸漬時間を最適化すると、膜の表面近傍のみをイオン交換したり、あるいは、膜内部までほぼ均一にイオン交換することができる。
第2の方法は、所定のカチオン(Mn+)を所定量含む溶液を所定の形状を有する多孔質材料(例えば、ろ紙など)に含浸させ、この多孔質材料を電解質膜の全体又は特定部分に所定時間接触させる方法である。この方法は、電解質膜の全体をイオン交換する方法としても使用できるが、電解質膜の一部のみをイオン交換する方法、あるいは、発電領域と非発電領域又は帯状領域のイオン交換率を変える方法として特に好適である。
この場合も、溶液中のカチオン(Mn+)の濃度比及び接触時間を最適化することによって、電解質膜内のカチオン(Mn+)の濃度比を任意に制御することができる。また、多孔質材料との接触時間を最適化することによって、膜の表面近傍のみをイオン交換したり、あるいは、膜内部までほぼ均一にイオン交換することができる。
オルガノメタロキサンポリマを含有する固体高分子電解質膜は、以下のような方法により作製することができる。
第1の方法は、予め電解質膜に水を含ませておき、次いで、電解質膜をオルガノメタロキサンモノマ(及び、必要に応じて、メタロキサンモノマ)を含む溶液に接触させ、さらに電解質膜を加熱する方法である。
第2の方法は、予め電解質膜にオルガノメタロキサンモノマ(及び、必要に応じてメタロキサンモノマ)を含ませておき、次いで、電解質膜を水と接触させ、さらに、電解質膜を加熱する方法である。
第3の方法は、電解質膜を、水及びオルガノメタロキサンモノマ(及び、必要に応じて、メタロキサンモノマ)を含む溶液に接触させ、次いで、電解質膜を加熱する方法である。第3の方法は、オルガノメタロキサンモノマ(及び、メタロキサンモノマ)の脱水重縮合速度が相対的に遅い場合に有効な方法である。
いずれの方法を用いる場合であっても、膜中に導入されたオルガノメタロキサンモノマ(及び、メタロキサンモノマ)は、水と接触することによって加水分解し、アルコキシ基が水酸基に入れ替わる。また、オルガノメタロキサンモノマが膜中に導入されると、その末端にあるアンモニウムカチオン又は4級アルキルアンモニウムカチオンと膜中のプロトンとがイオン交換する。さらにこの膜を加熱すると、水酸基が脱水縮合し、メタロキサン結合(M−O−M)が生成する。
その結果、電解質膜内部にオルガノメタロキサンポリマが形成される。また、オルガノメタロキサンポリマは、末端にあるアンモニウムカチオン又は4級アルキルアンモニウムカチオンを介して、膜中の陽イオン交換基とイオン結合する。
電解質膜と水及び/又はオルガノメタロキサンモノマ(及び、必要に応じてメタロキサンモノマ)を含む溶液とを接触させる方法としては、具体的には、
(1) 膜全体を溶液中に所定時間浸漬する第1の方法、
(2) 溶液を所定の形状を有する多孔質材料(例えば、ろ紙など)に含浸させ、この多孔質材料を膜の全体又は特定部分に所定時間接触させる第2方法、
などがある。本発明においては、いずれの方法を用いても良い。特に、第2の方法は、電解質膜の一部にのみオルガノメタロキサンポリマを導入する方法、あるいは、発電領域と非発電領域又は帯状領域とのオルガノメタロキサンポリマ導入量を変える方法として特に好適である。
膜中へのオルガノメタロキサンポリマの導入量は、溶液中のオルガノメタロキサンモノマの濃度及びこの溶液との接触時間により任意に制御することができる。また、溶液との接触時間を最適化することによって、膜の表面近傍にのみオルガノメタロキサンポリマを導入したり、あるいは、膜内部までほぼ均一にオルガノメタロキサンポリマを導入することができる。
なお、イオン交換及びオルガノメタロキサンポリマの導入は、いずれか一方のみを行っても良く、あるいは、双方を行っても良い。また、イオン交換及びオルガノメタロキサンポリマの導入の双方を行う場合には、いずれを先に行っても良い。
次に、イオン交換及び/又はオルガノメタロキサンポリマの導入が行われた電解質膜の両面に電極を接合する。電極を接合する方法としては、具体的には、
(1) 電解質膜の両面に、触媒層内電解質及び電極触媒を含むペースト(以下、これを「触媒ペースト」という)を塗布する第1の方法、
(2) 適当な基材(例えば、ポリテトラフルオロエチレンシート)表面に触媒ペーストを塗布し、これを電解質膜の両面に転写する第2の方法、
(3) 第1の方法又は第2の方法により、電解質膜の両面に触媒層を形成した後、その両面にさらに拡散層を接合する第3の方法、
(4) 拡散層の表面に触媒ペーストを塗布し、電解質膜の両面に触媒層を介して拡散層を接合する第4の方法、
などがある。
このようにして得られたMEAの両面を、ガス流路を備えたセパレータで挟持して単電池とし、これを所定個数積層すれば、本発明に係る固体高分子型燃料電池が得られる。
次に、本発明に係るMEA及びその製造方法、並びに、固体高分子型燃料電池の作用について説明する。
[1. イオン交換による弾性率の向上]
電解質膜中では、陽イオン交換基のアニオン(例えば、スルホン酸アニオン)とカチオンのイオンペアからなるマルチプレットが集まり、イオンのみからなる領域(イオン会合体)を形成しているといわれている。このイオン会合体の結合の強さは、カチオンとアニオンの静電引力で決まり、静電引力は、カチオン及びアニオンの半径、並びに、両者の半径の比に依存して変化すると考えられている。従って、カチオンの種類を変えることにより、イオン会合体の結合の強さ、ひいては膜の弾性率を変化させることができると考えられる。
上述した各種カチオンの中でも、
(1)ヘキサアンミンコバルト(III)イオン等の錯体カチオン、
(2)Ce4+等の高価数側カチオン、及び、
(3)セシウムイオン(Cs)、カルシウムイオン(Ca2+)、ストロンチウムイオン(Sr2+)、バリウムイオン(Ba2+)、ジルコニルイオン(ZrO2+)、クロム(III)イオン(Cr3+)、セリウム(III)イオン(Ce3+
は、弾性率を向上させる効果が大きい。特に、錯体カチオンでイオン交換した場合の弾性率の増加率は、群を抜いている。
そのため、電解質膜のプロトンの一部をこれらのカチオンで置換すれば、電解質膜の弾性率が向上し、機械的ストレスに起因する膜の劣化を抑制することができる。また、この時、イオン交換率を最適化すれば、膜の電気伝導度を大きく低下させることなく、膜の弾性率を向上させることができる。
[2. オルガノメタロキサンポリマの導入による弾性率の向上]
テトラエトキシシランなどのケイ酸エステルを電解質膜に含浸させ、電解質膜内部でケイ酸エステルの加水分解及び脱水重縮合を行わせると、膜内にシリカ(シロキサンポリマ)を導入することができる。膜内にシリカが導入されると、膜の強度は増大する。しかしながら、シリカは、膜中の陽イオン交換基とせいぜい水素結合により結びついているだけと考えられるので、シリカの導入による弾性率の増加率は、相対的に小さい。
これに対し、その末端にアンモニウムカチオン又は4級アルキルアンモニウムカチオンを有するオルガノメタロキサンモノマを電解質膜に含浸させ、電解質膜内部でオルガノメタロキサンモノマの加水分解及び脱水重縮合を行わせると、単に膜内部にオルガノメタロキサンポリマが形成されるだけでなく、膜中の陽イオン交換基とポリマの末端にあるアンモニウムカチオン又は4級アルキルアンモニウムカチオンとがイオン結合により強固に結びつく。そのため、シリカを導入した場合に比べて、膜の弾性率が著しく向上すると考えられる。
[3. 化学的耐性の向上]
本発明に係る方法によりMEAの化学的耐性が向上する理由の詳細は、不明であるが、以下のような機構が考えられる。
第1の機構は、膜内に導入されたカチオン又はポリマが、ラジカル等による高分子への攻撃に対する犠牲剤として働き、自らが消耗することによって高分子の分解を抑制する、というものである。所定の方法で強化処理した膜についてフェントン試験を行うと、1回目の試験では重量減少がほとんど生じないのに対し、同一の膜に対してフェントン試験を繰り返すと、2回目以降の重量減少が増加する場合がある。これは、膜中に導入されたカチオン又はポリマがラジカルに対する犠牲剤として働いていることを示していると考えられる。このような現象を強く示すカチオン又はポリマとしては、
(1) テトラエチルアンモニウムカチオン又はそれ以上の嵩高さを持つ4級アルキルアンモニウムカチオン、
(2) その末端にアンモニウムカチオン又は4級アンモニウムカチオンを有するオルガノメタロキサンポリマ、
などがある。
第2の機構は、膜中に導入されたカチオンが過酸化水素又は過酸化物ラジカルを不活性化させる触媒として働き、高分子の分解を抑制する、というものである。所定の方法で強化処理した膜についてフェントン試験を行うと、1回目の試験のみならず、同一の膜に対してフェントン試験を繰り返しても、重量減少がほとんど生じない場合がある。これは、
(a)カチオンが、ラジカルを生成させない仕方で過酸化水素を積極的に分解させる触媒として機能しているため、あるいは、
(b)カチオンが、ラジカルを捕捉する触媒として機能しているため、
と考えられる。
このような現象を強く示すカチオンとしては、
(1) ジルコニルイオン、アルミニウムイオン、クロム(III)イオン、セリウム(III)イオン、
(2) セリウム(IV)イオン等の高価数側カチオン、
(3) ヘキサアンミンコバルト(III)イオン等の錯体カチオン、
などがある。
[4. 含水率の減少による化学的耐性及び機械的特性の向上]
水和エネルギは、カチオンが水に囲まれた時の安定性を示す尺度であり、水和エネルギが大きいことは、そのカチオンは水と結合しやすいことを意味する。電解質膜に含まれる一つのカチオン当たりの水和エネルギが小さくなるほど、電解質膜の含水率も小さくなると考えられる。
水和エネルギは、カチオンと水との間の静電引力と相関があり、カチオンの大きさが大きくなるほど水和エネルギは小さくなり、また、カチオンの価数が大きくなるほど、水和エネルギは大きくなると考えられる。但し、イオン交換率が同一である場合、カチオンの価数が2倍になると、電解質膜に導入されるカチオンの数が半分になり、また、カチオンの価数が3倍になると、電解質膜に導入されるカチオンの数が3分の1になる。すなわち、電解質膜全体の水和エネルギに及ぼす価数の影響は相殺され、電解質膜全体の水和エネルギは、主としてカチオンの大きさに依存すると考えられる。従って、考え得る最も小さいカチオンであるプロトンを、それよりも大きなカチオンで置き換えることにより、電解質膜全体の水和エネルギ、ひいては電解質膜の含水率を減少させることができる。
膜の含水率を著しく減少させる作用を有するカチオン又はポリマとしては、
(1) テトラプロピルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン等の4級アルキルアンモニウムカチオン、
(2) ヘキサアンミンコバルト(III)カチオン等の錯体カチオン、
(3) その末端にアンモニウムカチオン又は4級アルキルアンモニウムカチオンを有するオルガノメタロキサンポリマ、
(4) その末端にアンモニウムカチオン又は4級アルキルアンモニウムカチオンを有するオルガノメタロキサンモノマと、疎水基を有するメタロキサンモノマとを加水分解・重縮合させることにより得られるオルガノメタロキサンポリマ、
などがある。
一般に、加湿雰囲気下においては、電解質膜の初期弾性率は著しく減少する。これは、加湿雰囲気下では、電解質膜中の分子間に水が入り込み、分子間のファンデルワールス力が弱まること、及び、イオン会合体の構造が壊れることが原因と考えられる。ここで、「初期弾性率」とは、歪み−応力曲線の原点を通る接線の傾きから求めた弾性率をいう。
これに対し、電解質膜の含水率を減少させると、加湿雰囲気下における初期弾性率の減少を緩和することができる。これは、電解質膜の含水率を減少させることによって、加湿雰囲気下でも乾燥状態における構造が維持されやすいためと考えられる。
さらに、電解質膜の含水率を減少させることによって、電解質膜の化学的耐性が向上する。これは、含水率を減少させることによって、高分子を攻撃する化学種が電解質膜全体に染み渡ることを抑制しているためと考えられる。
そのため、含水率を減少させる作用を有するカチオン又はポリマの含有量を最適化すれば、膜の電気伝導度を大きく低下させることなく、膜の化学的耐性及び機械的特性を向上させることができる。
[5. 非発電領域の補強による耐久性の向上]
上述した各種カチオンによるイオン交換やオルガノメタロキサンポリマの導入は、膜の化学的耐性及び機械的特性を向上させる作用があるが、その反面、電解質膜の陽イオン交換基の数を減少させ、膜の電気伝導度を下げる作用がある。
一方、機械的要因及び化学的要因による電解質膜の劣化は、発電領域より非発電領域(特に、片面触媒領域)において著しい。また、非発電領域は、発電にほとんど寄与しない領域である。そのため、そこに含まれるプロトンのすべてを所定のカチオンでイオン交換し、あるいは、陽イオン交換基のすべてがアンモニウムカチオン又は4級アルキルアンモニウムカチオンとイオン結合するのに相当する量のオルガノメタロキサンポリマを導入しても、発電性能になんら悪影響を及ぼさない。むしろ、イオン交換率が高くなるほど、耐久性は向上する。
そのため、少なくとも非発電領域を補強することによって、発電性能を犠牲にすることなく、MEAの耐久性を大幅に向上させることができる。
[6. 片面触媒領域を含む帯状領域の補強による耐久性の向上]
MEAを構成する電解質膜の劣化は、触媒層端部において顕著である。この劣化のメカニズムは、完全には明らかになっていないが、以下の要因が複合的に起きているためと推測している。
(1) 触媒層端部は、放電時の生成水により膨潤する領域と、それが起こらない領域との境界であるため、機械的ストレスが集中しやすいこと。
(2) MEAを作製する際に両極がわずかにずれると、触媒層端部に片面触媒領域が形成されるが、片面触媒領域は、他の領域に比べて化学的劣化が起こりやすいこと(なお、片面触媒領域において化学的劣化が顕著であることは、本願発明者らが初めて見出したものである)。
そのため、電解質膜の中央部であって、触媒層端部近傍の帯状領域を予め補強すれ、触媒層端部に生ずる機械的ストレスに起因する膜の劣化を抑制することができる。
また、製造工程上の誤差によって片面触媒領域が生じた場合であっても、帯状領域の幅を最適化することによって、片面触媒領域を帯状領域内に確実に納めることができる。そのため、片面触媒領域における化学的劣化を抑制することができる。
さらに、帯状領域の幅を最適化すると、帯状領域内のプロトンのすべてを所定のカチオンでイオン交換し、あるいは、陽イオン交換基のすべてがアンモニウムカチオン又は4級アルキルアンモニウムカチオンとイオン結合するのに相当する量のオルガノメタロキサンポリマを導入しても、MEAの発電性能への悪影響を最小限に抑えることができる。そのため、発電性能をほぼ同等に維持しながら、MEAの耐久性を大幅に向上させることができる。
(参考例1〜8)
8×8cmの電解質膜(ナフィオン(登録商標)112、約0.7g)を、種々のカチオンを含む水溶液に一晩以上浸漬した。なお、溶液の濃度は、いずれも、0.2M以上とし、溶液の量は、いずれも0.2Lとした。これは、過剰のカチオンを含む水溶液を用いて、膜中のすべてのスルホン酸基のプロトンをカチオンで交換したことに相当する。
(参考例9)
8×8cmの電解質膜(ナフィオン(登録商標)112、約0.7g)を、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド((TMSiTMA)Cl)0.2Mメタノール溶液0.2Lに一晩浸漬した。得られた膜を蒸留水に10分浸漬した後、130℃で2時間真空乾燥した(Sol−Gel+イオン交換法)。なお、この処理は、イオン交換率100%に相当する。
(比較例1)
8×8cmの電解質膜(ナフィオン(登録商標)112、約0.7g)を、67vol%メタノール水溶液に5時間浸漬した。次に、この膜を40vol%テトラエトキシシラン(TEOS)メタノール溶液に10分浸漬した後、130℃で2時間真空乾燥した(Sol−Gel法)。
(比較例2)
8×8cmの電解質膜(ナフィオン(登録商標)112、約0.7g)を、蒸留水に一晩以上浸漬したものをそのまま試験に供した。
参考例1〜9及び比較例1〜2で得られた膜について、初期弾性率、含水率、及び、フッ素イオン溶出速度を測定した。測定方法は、以下の通りである。
(1) 95℃水中での初期弾性率:
幅5mm、長さ20mmの電解質膜の断片を、95℃の水中で長さ方向に2mm/sの速度で伸ばし、歪み−応力曲線を測定した。この歪み−応力曲線を、原点を通る直線でフィッティングを行い、初期弾性率を求めた。
(2) 含水率:
電解質膜を切り出し、乾燥重量を測定した。次に、室温で蒸留水に10時間以上浸漬した後、余分な水分を拭き取り、再び重量を測定した。含水率は、重量変化を乾燥重量で除することにより求めた。
(3) フェントン試験中のフッ素イオン溶出速度:
10ppmのFe2+を溶解させた100℃の1wt%過酸化水素水溶液中で膜を8時間保持した後、F選択性電極により溶液中のFの濃度を測定した。得られたF濃度から、電解質膜の単位面積・単位時間当たりのF溶出速度を求めた。
表1に、その結果を示す。
Figure 0005244148
表1より、
(1) 初期弾性率は、テトラプロピルアンモニウムカチオン(参考例5)及びTEOS(比較例1)で処理した場合を除き、いずれも水で処理した比較例2より向上する、
(2) Ce4+カチオン(参考例4)で処理すると、Ce3+カチオン(参考例3)で処理した場合に比べて、初期弾性率が向上する、
(3) ヘキサアンミンコバルト(III)カチオン(参考例1)で処理すると、初期弾性率が格段に向上する、
(4) (TMSiTMA)Cl(参考例9)で処理すると、TEOS(比較例1)で処理した場合に比べて、初期弾性率が格段に向上する、
ことがわかる。
高価数側カチオン又は錯体カチオンで処理することによって初期弾性率が格段に向上するのは、カチオンの大きさ及びアニオンとの半径比が最適化され、イオン会合体の強度が向上したためと考えられる。また、(TMSiTMA)Clで処理することによって初期弾性率が格段に向上するのは、その末端にある4級アルキルアンモニウムカチオンが膜中の陽イオン交換基とイオン結合するためと考えられる。
また、表1より、
(1) ヘキサアンミンコバルト(III)カチオン(参考例1)又はテトラプロピルアンモニウムカチオン(参考例5)で処理すると、他のカチオンで処理した場合に比べて膜の含水率が著しく減少する、
(2) (TMSiTMA)Cl(参考例9)で処理すると、TEOS(比較例1)で処理した場合に比べて膜の含水率が著しく減少する、
ことがわかる。
特定のカチオン又は(TMSiTMA)Clで処理することによって含水率が著しく減少するのは、膜全体の水和エネルギが小さくなったためと考えられる。
さらに、表1より、
(1) F溶出速度は、Naカチオン(参考例6)、Mg2+カチオン(参考例7)、及びTEOS(比較例1)で処理した場合を除き、いずれも水で処理した比較例2より向上する、
(2) Ce4+カチオン(参考例4)で処理すると、Ce3+カチオン(参考例3)で処理した場合に比べて、F溶出速度が低下する、
(3) 特に、ヘキサアンミンコバルト(III)カチオン(参考例1)、Ce3+カチオン(参考例3)又はCe4+カチオン(参考例4)で処理すると、F溶出速度が格段に低下する、
(4) テトラプロピルアンモニウムカチオン(参考例5)又は(TMSiTMA)Cl(参考例9)で処理すると、比較例2に比べてF溶出速度が大きく低下する、
ことがわかる。
特定のカチオン又は(TMSiTMA)Clで処理することによってF溶出速度が大きく低下したのは、特定のカチオンが過酸化水素若しくはそのラジカルを不活性化させているため、特定のカチオンがラジカルに対する犠牲剤として作用するため、又は、含水率が低下することによって膜中へのラジカルの侵入が抑制されるため、と考えられる。
参考例10、11
プロトンをイオン交換するための試薬として、[Pt(NH)]Cl参考例10)、又は、[Ru(NH)]Cl参考例11)を用いた以外は、参考例1〜8と同一の手順に従い、イオン交換処理を行った。得られた膜について、参考例1〜8と同一条件下で初期弾性率を測定した。表2に、その結果を示す。表1及び表2より、錯体カチオンは、他のカチオンに比べて、初期弾性率を著しく向上させる効果があることがわかる。
Figure 0005244148
参考例12
6×6cmの電解質膜(ナフィオン(登録商標)112)を用意し、この電解質膜中のスルホン酸基の1/30の量のヘキサアンミンコバルトカチオンを含むヘキサアンミンコバルト(III)クロリド([Co(NH)]Cl)の水溶液に10時間以上浸漬した。溶液中のヘキサアンミンコバルトイオンがすべてスルホン酸基のプロトンと入れ替わるとすると、電解質膜全域で10%のプロトンをヘキサアンミンコバルトイオンでイオン交換することに相当する。実際に、処理後の電解質膜中のプロトン量を測定したところ、イオン交換率は9.9%であった。次に、3×3cmの正方形の触媒層を電解質膜の両面にホットプレスし、MEAを作製した。なお、アノードとカソードの位置は、図1に示すように、意図的にずらした。ずらし幅は、x方向に1mm、y方向に1mmとした。また、ホットプレスは、120℃にて50kgf/cm(4.9MPa)の荷重で6分間保持することにより行った。
参考例13、14
膜を処理する溶液として、電解質膜全域で10%のプロトンをイオン交換できる濃度の硫酸セリウム(IV)(Ce(SO))水溶液(参考例13)、又は、テトラ−n−プロピルアンモニウム−ヒドロキシド([CHCHCH)N]OH)水溶液(参考例14)を用いた以外は、参考例12と同一の手順に従い、MEAを作製した。
参考例15
6×6cmの電解質膜(ナフィオン(登録商標)112)を、電解質膜全域で10%のプロトンをイオン交換できる濃度の(TMSiTMA)Clのメタノール溶液(濃度50wt%)に一晩以上浸漬した。次に、蒸留水に10分浸漬した後、130℃で2時間真空乾燥した。以下、参考例12と同一の手順に従い、MEAを作製した。
(比較例1)
膜を処理する溶液として、蒸留水を用いた以外は、参考例12と同一の手順に従い、MEAを作製した。
参考例21、22
膜を処理する溶液として、電解質膜全域で10%のプロトンをイオン交換できる濃度の硝酸マグネシウム(Mg(NO))水溶液(参考例21)、又は、硫酸セリウム(III)(Ce(SO))水溶液(参考例22)を用いた以外は、参考例1と同一の手順に従い、MEAを作製した。
(実施例16)
6×6cmの正方形のろ紙に、3×3cmの正方形の穴を開け、6×6cmの電解質膜(ナフィオン(登録商標)112)の一方の側からかぶせた。次に、ろ紙に2mLのヘキサアンミンコバルト(III)クロリド([Co(NH)]Cl)の0.1M水溶液を含ませた後、電解質膜とろ紙とが十分に密着するように重りを乗せ、10時間以上放置した。さらに、3×3cmの正方形のカソード用触媒シートと、ろ紙の正方形の穴とが正確に合うように位置決めし、ホットプレスにより電極触媒を転写した。ホットプレスは、120℃にて50kg/cm(4.9MPa)の荷重で6分間保持することにより行った。
次に、電解質膜のもう一方の側において、同じように強化処理及びアノード用触媒層の転写を行った。
なお、アノードとカソードの位置は、図1に示すように、意図的にずらした。ずらし幅は、x方向に1mm、y方向に1mmとした。また、非発電領域のイオン交換率は、100%であった。
(実施例17)
3.7×3.7cmの正方形のろ紙に、2.3×2.3cmの正方形の穴を開け、6×6cmの電解質膜(ナフィオン(登録商標)112)の一方の側からかぶせた。次に、ろ紙に2mLのヘキサアンミンコバルト(III)クロリド([Co(NH)]Cl)の0.1M水溶液を含ませた後、電解質膜とろ紙とが十分に密着するように重りを乗せ、10時間以上放置した。また、もう一方の側にも、同じ位置に強化処理を行った。
次に、3×3cmの正方形の触媒層を、片面触媒領域が強化処理を施した帯状領域の中心付近に収まるようにホットプレスした(図2参照)。ホットプレスは、120℃にて50kgf/cm(4.9MPa)の荷重で6分間保持することにより行った。
なお、アノードとカソードの位置は、図2に示すように、意図的にずらした。ずらし幅は、x方向に1mm、y方向に1mmとした。また、帯状領域のイオン交換率は、100%であった。
参考例12〜15、実施例16〜17、比較例1、及び、参考例21〜22で得られたMEAについて、以下の手順により耐久試験を行った。
まず、触媒層の外周が拡散層の外周の内側に位置するように、3.6×3.6cmの拡散層でMEA(電解質膜−触媒層接合体)を挟持した。さらに、拡散層を含むMEAの両面を3.6×3.6cmの集電体により挟持し、この集電体に820Nの荷重を加えた。その後、セル温度を90℃まで上げ、アノード側に加湿度20%の水素を、カソード側に加湿度33%の酸素を、それぞれ、0.1L/minの流量で流した。
この状態で、(1)開回路状態で3分間保持すること、及び、(2)電流値を0.1A/cmに制御した状態で1分間保持すること、を交互に繰り返した。耐久試験中に、カソード側の排ガス中の水素濃度(ガスのクロスリーク量に相当)を測定し、500ppmを超えた時点で試験を終了した。表3に、耐久時間(水素濃度が500ppmを超えた時間)を示す。
Figure 0005244148
表3より、
(1) 参考例12〜15、実施例16〜17及び参考例21〜22のMEAは、いずれも、無処理の比較例1に比べて、耐久性が向上する、
(2) 参考例12〜15のMEAは、イオン交換率がわずか10%であっても、耐久性が比較例1の約1.5倍以上に向上する、
(3) Ce4+(高価数側カチオン)でイオン交換したMEA(参考例13)は、Ce3+でイオン交換したMEA(参考例22)に比べて耐久性が向上する、
(4) 特に、ヘキサアンミンコバルト(III)カチオン(参考例12)は、MEAの耐久性を向上させる効果が大きい、
ことがわかる。
弾性率を向上させる効果がほとんど無いテトラプロピルアンモニウムカチオンでイオン交換したMEA(参考例14)であっても、耐久性が向上しているのは、イオン交換によって含水率が小さくなり、これによって、耐久試験中の発電・休止に伴う膜の膨潤・収縮、及び、膜中へのラジカルの侵入が抑制されたためと考えられる。
また、Mg2+でイオン交換したMEA(参考例21)の耐久性の向上がわずかであるのは、耐久性に及ぼすMg2+の効果が相対的に小さいため、及び、イオン交換率が相対的に小さいためと考えられる。
また、表3より、膜全体を強化処理したMEA(参考例12〜15)に比べて、非発電領域(実施例16)又は帯状領域(実施例17)のみを強化処理したMEAの方が、耐久性が高いことがわかる。これは、片面触媒領域を含む非発電領域又は帯状領域のイオン交換率が、膜全体を強化処理した場合に比べて高いためである。また、この結果は、MEAの中でも、特に、片面触媒領域での劣化が著しく、片面触媒領域を強化処理することによってMEAの耐久性が著しく向上することを示している。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
例えば、上記実施例では、いずれも触媒層を接合する前に膜を強化処理しているが、触媒層を接合した後、片面触媒領域を含む帯状領域又は非発電領域を強化処理しても良い。
本発明に係る膜電極接合体は、燃料電池、二次電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスに用いられる膜電極接合体として使用することができる。
また、本発明に係る固体高分子型燃料電池は、車載用動力源、定置型小型発電器、コジェネレーションシステム等に使用することができる。
10 膜電極接合体
12 固体高分子電解質膜
14a、14b 触媒層

Claims (17)

  1. 固体高分子電解質膜と、
    該固体高分子電解質膜の両面に接合された、触媒層を含む電極とを備え、
    前記固体高分子電解質膜は、その外周部であって、少なくとも一方の面に前記触媒層が形成されていない非発電領域に含まれるプロトンの全部又は一部がアンミン錯体カチオンによりイオン交換され、並びに/又は、
    前記固体高分子電解質膜は、前記非発電領域に、その末端にアンモニウムカチオン若しくは4級アンモニウムカチオンを有するオルガノメタロキサンモノマを含む溶液を含浸させ、加水分解・縮重合させることにより得られるオルガノメタロキサンポリマを含む膜電極接合体。
  2. イオン交換率(=前記カチオンの数×前記カチオンの価数×100/陽イオン交換基の数(%))が、1%以上である請求項1に記載の膜電極接合体。
  3. 前記固体高分子電解質膜は、その中央部の発電領域に含まれるプロトンの全部又は一部が一種又は2種以上のカチオンによりイオン交換され、並びに/又は、
    前記固体高分子電解質膜は、前記発電領域に、その末端にアンモニウムカチオン若しくは4級アンモニウムカチオンを有するオルガノメタロキサンモノマを含む溶液を含浸させ、加水分解・縮重合させることにより得られる前記オルガノメタロキサンポリマを含み、
    前記発電領域のイオン交換率は、前記非発電領域のイオン交換率より低い請求項1又は2に記載の膜電極接合体。
  4. 前記カチオンは、錯体カチオン、4級アルキルアンモニウムカチオン、及び、複数の価数を取りうる金属イオンであって、最低価数より大きい価数を持つ高価数側カチオンから選ばれる1以上である請求項3に記載の膜電極接合体。
  5. 前記カチオンは、アンミン錯体カチオンである請求項3に記載の膜電極接合体。
  6. 前記カチオンは、[(CHCHCH)N]、[(CHCHCHCH)N]、及び、[(CH)N]から選ばれるいずれか1以上の4級アルキルアンモニウムカチオンである請求項3に記載の膜電極接合体。
  7. 前記カチオンは、Ce4+、Pr4+、Sm3+、Eu3+、Tb4+、及び、Yb3+から選ばれるいずれか1以上の高価数側カチオンである請求項3に記載の膜電極接合体。
  8. 固体高分子電解質膜と、
    該固体高分子電解質膜の両面に接合された、触媒層を含む電極とを備え、
    前記固体高分子電解質膜は、その中間部であって、前記触媒層の外周部をその内部に含む帯状領域に含まれるプロトンの全部又は一部がアンミン錯体カチオンによりイオン交換され、並びに/又は、
    前記固体高分子電解質膜は、前記帯状領域に、その末端にアンモニウムカチオン若しくは4級アンモニウムカチオンを有するオルガノメタロキサンモノマを含浸させ、加水分解・縮重合させることにより得られるオルガノメタロキサンポリマを含む膜電極接合体。
  9. 前記帯状領域は、その外周の幅が前記触媒層の幅より広く、かつ、その内周の幅が前記触媒層の幅より狭い請求項8に記載の膜電極接合体。
  10. 前記帯状領域は、その内周によって囲まれる領域の面積が前記触媒層の面積の0.5倍以上である請求項8又は9に記載の膜電極接合体。
  11. イオン交換率(=前記カチオンの数×前記カチオンの価数×100/陽イオン交換基の数(%))が、1%以上である請求項8から10までのいずれかに記載の膜電極接合体。
  12. 前記固体高分子電解質膜は、その中央部の発電領域に含まれるプロトンの全部又は一部が一種又は2種以上のカチオンによりイオン交換され、並びに/又は、
    前記固体高分子電解質膜は、前記発電領域に、その末端にアンモニウムカチオン若しくは4級アンモニウムカチオンを有するオルガノメタロキサンモノマを含む溶液を含浸させ、加水分解・縮重合させることにより得られる前記オルガノメタロキサンポリマを含み、
    前記発電領域のイオン交換率は、前記帯状領域のイオン交換率より低い請求項8から11までのいずれかに記載の膜電極接合体。
  13. 前記カチオンは、錯体カチオン、4級アルキルアンモニウムカチオン、及び、複数の価数を取りうる金属イオンであって、最低価数より大きい価数を持つ高価数側カチオンから選ばれる1以上である請求項12に記載の膜電極接合体。
  14. 前記カチオンは、アンミン錯体カチオンである請求項12に記載の膜電極接合体。
  15. 前記カチオンは、[(CHCHCH)N]、[(CHCHCHCH)N]、及び、[(CH)N]から選ばれるいずれか1以上の4級アルキルアンモニウムカチオンである請求項12に記載の膜電極接合体。
  16. 前記カチオンは、Ce4+、Pr4+、Sm3+、Eu3+、Tb4+、及び、Yb3+から選ばれるいずれか1以上の高価数側カチオンである請求項12に記載の膜電極接合体。
  17. 請求項1から16までのいずれかに記載の膜電極接合体を備えた固体高分子型燃料電池。
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