JP2004220951A - 電気化学デバイス及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体高分子膜を使用し、エネルギー効率及び電流密度の向上を図ることができる電気化学デバイス及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】第1極2と、第2極3と、これらの電極2、3間に挟持されたイオン伝導性の固体高分子膜4との積層構造体5を有する燃料電池等の電気化学デバイスであって、固体高分子膜4のうち、電極2、3間に挟持されていない非挟持領域6が固体高分子膜4中にカルシウム又は/及びマグネシウムを含有している、電気化学デバイス。イオン伝導性の固体高分子膜4のうち、その周辺部6にカルシウム又は/及びマグネシウムを導入する工程を有する、電気化学デバイスの製造方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学デバイス及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高分子固体電解質型燃料電池等の電気化学デバイスに用いられる発電体(以下、MEA(Membrane & Electrode assembly)と称する。)は、主にナフィオン(パーフルオロスルホン酸樹脂(DoPont社製のNafion(R)など))等のスルホン化フッ素系高分子からなる電解質膜と、この電解質膜の両面に形成される触媒層付きの電極とから構成される(例えば、後記の特許文献1参照。)。
【0003】
上記のMEAは、燃料極側の触媒層で生成したプロトン(H)が、酸素極側の触媒層上で酸化剤である酸素ガスと反応することによって電力を得ることができるが、燃料ガス(又は燃料液体)と酸化ガスが混在すると著しい発電能の低下を及ぼす。従って、燃料と酸化ガスを隔てた構造になっている。
【0004】
図6(a)は、従来例のMEAの概略断面図である。
【0005】
従来例のMEA20は、例えばナフィオン(パーフルオロスルホン酸樹脂(DoPont社製のNafion(R)など))等のスルホン化フッ素系高分子からなる電解質膜21と、この電解質膜21の両面に形成される電極層(触媒層+拡散層)22とから構成されている。
【0006】
また、固体高分子電解質膜21は、電極層22に挟持されたイオン伝導領域23と、シール材24に挟持された周辺部25とからなり、周辺部25をシール材24によって挟持することにより、図示省略した燃料ガス(又は燃料液体)と酸化ガスが混在するのを防ぐ構造となっている。なお、シール材24はオーリング等の軟らかい材質によって形成されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平3−208260号公報(第3頁右下欄1行目〜16行目、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電解質膜を形成するナフィオン等のフッ素系固体高分子はプロトン伝導機構の関係上、固体ではあるものの、フッ素系固体高分子自体が水分を十分に吸収した状態でないとプロトン伝導性能が作動せず、この含水によって電解質膜が膨潤するため、燃料ガス(又は燃料液体)と酸化ガスを隔離するシール部分に隙間ができ、両極のガスが混在し易いという問題があった。
【0009】
また、MEA作製時に界面形成のためのホットプレス操作を行うが、このホットプレス操作時に電解質膜の急激な収縮を伴うため、図6(b)に示すように、固体高分子電解質膜21の周辺部25においても皺26が発生する。そして、この皺26の発生によってシール材24の位置が変化し、その結果、シール材による燃料ガス(又は燃料液体)と酸化ガスの隔離機能が低下する。隔離機能が低下するに伴って燃料ガス(又は燃料液体)のリーク量が増加し、このリーク現象が、出力を低下させる。
【0010】
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、固体高分子膜を使用し、エネルギー効率及び電流密度の向上を図ることができる電気化学デバイス及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、第1極と、第2極と、これらの電極間に挟持されたイオン伝導性の固体高分子膜との積層構造体を有する電気化学デバイスであって、前記固体高分子膜のうち、前記電極間に挟持されていない非挟持領域が前記固体高分子膜中にカルシウム又は/及びマグネシウムを含有している、電気化学デバイスに係るものである。
【0012】
ここで、上記「含有」とは、前記非挟持領域において、前記固体高分子膜中のイオン解離性官能基の大部分(望ましくは95%以上)若しくは全てに、前記カルシウム又は/及びマグネシウムが置換導入されていることを意味する。
【0013】
また、イオン伝導性の固体高分子膜のうち、その周辺部にカルシウム又は/及びマグネシウムを導入する工程を有する、電気化学デバイスの製造方法に係るものである。
【0014】
本発明者は、上述したような燃料ガス(又は燃料液体)と酸化剤のリーク現象による出力低下を防止すべく鋭意検討したところ、前記非挟持領域(これは前記周辺部と同様の領域を意味する。以下、同様。)が前記固体高分子膜中に前記カルシウム又は/及びマグネシウムを含有することで、前記非挟持領域において上述したような前記固体高分子膜の膨潤や収縮などのサイズ変化が起こらなくなり、燃料ガス(又は燃料液体)及び酸化剤のリーク現象の発生を低減できることを初めて見出した。
【0015】
即ち、本発明によれば、前記固体高分子膜のうち、前記非挟持領域が前記固体高分子膜中に前記カルシウム又は/及びマグネシウムを含有しているので、例えば上述したように、プロトン等のイオン伝導性能を作動させるために含水した場合でも、前記固体高分子膜の前記非挟持領域が膨潤することはなく、高いシール機能を維持することができる。
【0016】
また、例えば前記積層構造体を作製する際に上記したホットプレス操作を行っても、従来例のように前記固体高分子膜の急激な収縮によって前記周辺部に皺が発生することはないので、上記したリーク現象による出力の低下を低減することができる。
【0017】
従って、固体高分子膜を使用し、エネルギー効率及び電流密度の向上を図ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に基づく電気化学デバイスの製造方法としては、ナフィオン(パーフルオロスルホン酸樹脂(DoPont社製のNafion(R)など))等のイオン伝導性の前記固体高分子膜のうち、その周辺部に前記カルシウム又は/及びマグネシウムを導入する工程を有することが特徴であるが、特に、第1極と、第2極と、これらの電極間に挟持されたイオン伝導性の前記固体高分子膜との前記積層構造体を作製した後、前記固体高分子膜のうち、前記電極間に挟持されていない前記周辺部に前記カルシウム又は/及びマグネシウムを導入することが望ましい。
【0019】
具体的には、例えば、前記積層構造体の作製後に、前記電極を含めて前記固体高分子膜のイオン伝導領域をマスク材で被覆し、この積層構造体を前記カルシウム又は/及びマグネシウムを含有する溶液に浸漬させて、前記固体高分子膜の前記周辺部におけるイオン交換基、例えばプロトン(H)解離性の官能基のプロトンを前記カルシウム又は/及びマグネシウムに置換することが好ましい。ここで、前記「プロトン(H)解離性の官能基」とは、プロトンが電離により離脱し得る官能基を意味し、また「プロトンの解離」とは、電離によりプロトンが官能基から離れることを意味する。
【0020】
前記カルシウム又は/及びマグネシウムの元素は、上述したように、前記固体高分子膜の前記非挟持領域を前記カルシウム又は/及びマグネシウムの元素を含有する水溶液に浸漬することによって、前記固体高分子膜内に含まれる前記イオン交換基としての前記プロトン解離性の官能基(例えば、スルホン酸基及び/又はカルボキシル基)中のプロトンとイオン交換し、置換導入することができる。このとき、前記イオン交換基は前記カルシウム又は/及びマグネシウムの元素に対して前記プロトンより強く結合するので、前記固体高分子膜の前記非挟持領域からは前記プロトンが排除される。
【0021】
本発明者は、上述したような前記固体高分子膜の膨潤又は収縮は、前記プロトンに配位していた結合水の脱離によって起こることを初めて知見し、前記カルシウム又は/及びマグネシウムの元素を置換導入し、前記プロトンが排除された前記固体高分子膜の前記非挟持領域においては、従来例のようなサイズ変化を生じないことを初めて見出した。
【0022】
ここで、前記カルシウム又は/及びマグネシウム以外の元素では、前記イオン交換基との結合力が小さいため、電気化学デバイスの使用中に前記プロトンが元の位置に戻ることがあり、時間の経過と共にガスリークが増加し、燃料電池等の電気化学デバイス特性が低下する現象があった。また、前記カルシウム又は/及びマグネシウムに代えてNaやK等の1価のイオンを用いた場合、Na、K等のイオンが前記イオン伝導領域及び前記電極の触媒層に拡散し、膜抵抗が増加するために出力が低下する現象があった。従って、本発明者は前記カルシウム又は/及びマグネシウムを用いることが重要であると結論付けた。
【0023】
また、前記カルシウム又は/及びマグネシウムを置換導入する処理条件としては、前記固体高分子膜の膜厚や組成等によって異なるが、例えば浸漬時間1〜40min、温度20〜30℃、溶液濃度0.5〜1.5mol/lとするのがよい。
【0024】
さらに、プロトン解離性の官能基等の前記イオン交換基としては、スルホン酸基又は/及びカルボキシル基等を挙げることができる。またそのイオン交換容量(IEC)は0.9〜2.0meq/gとするのがよく、0.9〜1.2meq/gが更に望ましい。
【0025】
以下、本発明に基づく電気化学デバイス及びその製造方法を図面を参照しながら具体的に説明する。
【0026】
本発明に基づく電気化学デバイスは、その構造の一例を図1に示すように、燃料電池として構成されていることが望ましい。ここで、図1(A)は、本発明に基づく電気化学デバイスとしての燃料電池の一例の概略断面図であり、図1(B)は、図1(A)の分解図である。
【0027】
図1に示すように、この燃料電池は、互いに対向する、触媒層1a付きの負極(燃料極又は水素極)2と、触媒層1b付きの正極(酸素極)3と、これらの両電極2、3間に挟持されたプロトン伝導性の固体高分子膜4との積層構造体(以下、MEA(Membrane & Electrode assembly)と称することがある。)5を有する。
【0028】
なお、図2は、MEA5の概略図である。
【0029】
図1及び図2に示すように、MEA5を構成する固体高分子膜4の周辺部(前記非挟持領域)6において、固体高分子膜4中の全ての前記イオン交換基(この場合は、前記プロトン解離性の官能基とする。)のプロトンが前記カルシウム又は/及びマグネシウムに置換されている。
【0030】
さらに、固体高分子膜4の周辺部6が、例えばシール材7を介して容器8に固定されている。即ち、容器8が、前記第1極としての負極2側の部分と前記第2極としての正極3側の部分とに分割されていて、これらの各部分と固体高分子膜4の周辺部6との間にシール材7が配されていることが好ましい。
【0031】
容器8の材質としては、金属、カーボン樹脂等を用いることができ、そのサイズは適宜選択可能である。
【0032】
また、シール材7としては、オーリング等を用いることができ、そのサイズは適宜選択可能である。
【0033】
触媒層1a付きの負極2、触媒層1b付きの正極3及び固体高分子膜4からなるMEA5の作製方法としては、例えば、まず、負極2及び正極3としてのガス透過性集電体上に触媒物質を分散した溶液を塗布し、触媒層1a及び1bを形成する。
【0034】
前記ガス透過性集電体としてはカーボンシート等の従来公知のものがいずれも使用可能である。また、前記触媒物質は、例えば白金等の微粒子であることが望ましく、また他の電極物質でも本目的の反応が進行するものであってもよい。その添加量は0.15〜1.0g/触媒量g、面積担持密度は0.1〜2.0mg/cm(但し、Pt等の重量とする。)、触媒粒径は1〜20nmとするのがよい。さらに、前記ガス透過性集電体及び前記触媒層1a、1bの厚さは任意であってよい。
【0035】
そして、ナフィオン(パーフルオロスルホン酸樹脂(DoPont社製のNafion(R)など))からなるプロトン伝導性を有する固体高分子膜4の両面に、上記の別途作製した触媒層1a、1b付きの電極2及び3をそれぞれ重ねてプレスすることにより、固体高分子膜4と電極2、3とからなるMEA5を作製することができる。
【0036】
次いで、MEA5を作製した後、図3に示すように、電極2、3を含めて固体高分子膜4のイオン伝導領域9をマスク材10で被覆し、このMEA5を前記カルシウム又は/及びマグネシウムを含有する溶液11に浸漬することによって、周辺部6における固体高分子膜4中の前記プロトン解離性の官能基のプロトンを、前記カルシウム又は/及びマグネシウムに置換することができる。この場合の処理条件としては、上述したように、前記固体高分子膜の膜厚や組成等によって異なるが、例えば浸漬時間1〜40min、温度20〜30℃、溶液濃度0.5〜1.5mol/lとするのがよい。
【0037】
マスク材10としては、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))等を用いることができ、その厚みは任意であってよいが、例えば0.1〜0.3mmが好ましい。
【0038】
この燃料電池のメカニズムは、使用時には、負極2側では水素ガスが供給され、かつ正極3側では酸素(空気)が供給される。燃料(水素ガス)が供給されると水素イオンを発生し、この水素イオンは負極2で発生した水素イオン及び固体高分子膜4で発生した水素イオンと共に正極3側へ移動し、そこで正極3側に供給された酸素(空気)と反応し、これにより所望の起電力が取り出される。
【0039】
ここで、各電極における反応を以下に示す。
負極:H→2H+2e
正極:2H+1/2O+2e→H
【0040】
かかる燃料電池は、固体高分子膜4のうちの電極2、3間に挟持されていない周辺部6において、固体高分子膜4中の前記プロトン解離性の官能基のプロトンが前記カルシウム又は/及びマグネシウムに置換されているので、周辺部6からは前記プロトンが排除され、前記プロトンに配位していた結合水の脱離によって生じる固体高分子膜4の膨潤又は収縮のサイズ変化が発生しない。周辺部6の固体高分子膜4がサイズ変化しないので、シール材7の位置がずれることはなく、燃料としての水素ガス及び酸素(空気)のリーク現象による出力の低下を低減することができる。
【0041】
従って、固体高分子膜4を使用し、エネルギー効率及び電流密度の向上を図ることができる。
【0042】
ここで、上記に前記電気化学デバイスとして燃料電池を製造する例を説明したが、この他にも、前記電気化学デバイスとして、燃料電池とは逆の反応メカニズムによる水素製造装置を製造してもよい。また、プロトン伝導性固体電解質を使用した水電解装置等に利用し得る。
【0043】
また、上記にMEA5が単独に用いられる例を説明したが、本発明に基づく電気化学デバイスにおいて、図4(a)に示すように、MEA5の複数個が積層されていてもよく、或いは同図(b)に示すように、並置されていてもよい。また、図4(b)に示すような前記積層構造体の複数個を並置した構造を更に積層した構造としてもよい。これらの場合は、より高い起電力を容易に得られるという効果がある。
【0044】
また、燃料として水素ガスを用いる例を説明したが、水素ガスに代えてメタノール水溶液等を供給してもよい。
【0045】
さらに、図3に示すように、MEA5を作製した後、このMEA5を前記カルシウム又は/及びマグネシウム含有の溶液11に浸漬し、MEA5の周辺部6において、固体高分子膜4中の前記プロトン解離性の官能基のプロトンと前記カルシウム又は/及びマグネシウムとを置換する例を説明したが、本発明に基づく電気化学デバイスは、固体高分子膜4の周辺部6が固体高分子膜4中に前記カルシウム又は/及びマグネシウム等の周期表2A族元素を含有していればよく、例えば、固体高分子膜4の周辺部6に前記カルシウム又は/及びマグネシウムを含有させた後、この固体高分子膜4の両面に位置合わせして別途作製した触媒層1a、1b付きの電極2、3を配してもよい。或いは、前記カルシウム又は/及びマグネシウムを含有した状態の前記非挟持領域のみを先に作製しておいて、前記固体高分子膜の端面に前記非挟持領域を後から接着固定してもよい。
【0046】
【実施例】
以下、本発明に基づく電気化学デバイス及びその製造方法の実施例について説明する。
【0047】
実施例1
厚さ300μmのカーボンシート(三菱レーヨン社製)上に白金を含有する触媒分散液を厚さ8(±1)μmに塗布し、乾燥させることによって、カソード電極(触媒担持密度:1.0mg−Pt/cm)、アノード電極(触媒担持密度:1.0mg−Pt/cm)を作製した。
【0048】
次に、厚さ25μmのナフィオン111(デュポン社製)からなるプロトン伝導性を有する固体高分子膜の両面に、上記に作製した触媒層付きの電極を重ねてプレス(約30kgf/cm)することにより、前記固体高分子膜と前記電極とからなるMEAを作製した。
【0049】
次いで、MEAを作製した後、前記電極を含めて前記固体高分子膜の前記イオン伝導領域を厚さ100μmのテフロン(登録商標)シートで被覆し、このMEAを約1Mの硝酸カルシウム(CaNO 1M)水溶液に常温で30分間浸漬することによって、前記固体高分子膜の前記周辺部における前記固体高分子膜中のスルホン酸基のプロトンと、カルシウムとを置換することができた。
【0050】
上記のようにして作製したMEAについて、硝酸カルシウムに触れた前記固体高分子膜の前記周辺部におけるスルホン酸基の全てのプロトンがカルシウムに置換されたことを下記の実験によって確認した。
【0051】
カルシウム処理(=硝酸カルシウムに含浸)した前記固体高分子膜の前記周辺部を2cm×2cm切り取り、純水で1時間煮沸した。煮沸した後、常温で純水を用いて洗浄し、1M NaCl水溶液に1時間含浸した。ここで、前記固体高分子膜の前記周辺部中のスルホン酸基にプロトンが残っていた場合には、H⇔Na交換により、pH=7.0のNaCl水溶液はpH<7.0(酸性)を示す。
【0052】
そして、NaCl水溶液のpHを測定したところ、pH=7.0であった。従って、前記固体高分子膜の前記周辺部において、前記固体高分子膜中にプロトンが残存しないことが確認された。
【0053】
また、上記に得られたカルシウム含有のMEAについて、下記に示す水素リーク速度測定及びOCV(Open Circuit Voltage)測定を行った。
【0054】
実施例2
約1Mの硝酸カルシウム(CaNO 1M)水溶液に代えて、約1MのCaCl水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
【0055】
このカルシウム含有のMEAについて、下記に示す水素リーク速度測定及びOCV測定を行った。
【0056】
実施例3
約1Mの硝酸カルシウム(CaNO 1M)水溶液に代えて、約1MのMgCl水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
【0057】
このカルシウム含有のMEAについて、下記に示す水素リーク速度測定及びOCV測定を行った。
【0058】
比較例1
前記固体高分子膜の前記周辺部における、スルホン酸基のプロトンとカルシウムとを置換しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
【0059】
このMEAについて、下記に示す水素リーク速度測定及びOCV測定を行った。
【0060】
比較例2
約1Mの硝酸カルシウム(CaNO 1M)水溶液に代えて、約1MのNaCl水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
【0061】
このナトリウム含有のMEAについて、下記に示す水素リーク速度測定及びOCV測定を行った。
【0062】
比較例3
約1Mの硝酸カルシウム(CaNO 1M)水溶液に代えて、約1MのKCl水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
【0063】
このカリウム含有のMEAについて、下記に示す水素リーク速度測定及びOCV測定を行った。
【0064】
<水素リーク速度測定>
上記に作製した各MEAを内径10φの円筒(SUS304)で挟み、一方の側に水素ガス(10ml/min)、他方の側にArガス(10ml/min)を流し、Ar中の水素ガス量を検出した。結果を下記表1に併せて示す。
【0065】
<OCV測定>
上記に作製した各MEAについて、カソード電極側に50%RH酸素ガス(50ml/min)を流し、かつアノード電極側に水素ガス(10ml/min)を流した時のセル電位を測定した。なお、下記表1には初期のセル電位値及び測定開始から1時間経過したときのセル電位値をそれぞれ示す。また、図5には、セル電位値の経時変化を比較して示す。
【0066】
【表1】
Figure 2004220951
【0067】
上記表1及び図5より明らかなように、本発明に基づく電気化学デバイスは、前記固体高分子膜のうちの電極間に挟持されていない前記周辺部において、前記固体高分子膜中に含まれるスルホン酸基のプロトンが前記カルシウム又は前記マグネシウムに置換されているので、前記周辺部からは前記プロトンが排除され、前記プロトンに配位していた結合水の脱離による前記固体高分子膜の膨潤又は収縮のサイズ変化が発生せず、燃料としての水素ガスのリーク量を低減することができ、かつ経時による出力の低下を低減することができた。
【0068】
これに対し、比較例2、3は、前記カルシウムや前記マグネシウムに代えてNaやK等の1価のイオンを用いたので、時間の経過と共にNa、K等のイオンが前記イオン伝導領域及び前記触媒層に拡散し、膜抵抗が増加するために時間の経過と共に出力が大きく低下した。
【0069】
【発明の作用効果】
本発明によれば、前記固体高分子膜のうち、前記非挟持領域が前記固体高分子膜中に前記カルシウム又は/及びマグネシウムを含有しているので、前記固体高分子膜の前記非挟持領域における膨潤や収縮などのサイズ変化が起こらなくなり、燃料ガス(又は燃料液体)及び酸化剤のリーク現象の発生を低減すると同時に、出力の低下を低減することができる。
【0070】
従って、固体高分子膜を使用し、エネルギー効率及び電流密度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による電気化学デバイスとしての燃料電池の概略断面図である。
【図2】同、電気化学デバイスを構成するMEAの概略図である。
【図3】同、電気化学デバイスを構成するMEAの製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図4】同、電気化学デバイスを構成するMEAの概略図である。
【図5】本発明の実施例によるOCV測定値の経時変化を比較して示すグラフである。
【図6】従来例による電気化学デバイスを構成するMEAの概略断面図である。
【符号の説明】
1a、1b…触媒層、2…負極、3…正極、4…固体高分子膜、5…MEA、6…周辺部、7…シール材、8…容器、9…イオン伝導領域、10…マスク材、11…カルシウム又は/及びマグネシウム含有の溶液

Claims (13)

  1. 第1極と、第2極と、これらの電極間に挟持されたイオン伝導性の固体高分子膜との積層構造体を有する電気化学デバイスであって、前記固体高分子膜のうち、前記電極間に挟持されていない非挟持領域が前記固体高分子膜中にカルシウム又は/及びマグネシウムを含有している、電気化学デバイス。
  2. 前記固体高分子膜がプロトン伝導性を有する、請求項1に記載した電気化学デバイス。
  3. 前記固体高分子膜の前記非挟持領域が、容器に固定されている、請求項1に記載した電気化学デバイス。
  4. 前記積層構造体の複数個が積層されているか、或いは並置されている、請求項1に記載した電気化学デバイス。
  5. 燃料電池又は水素製造装置として構成されている、請求項1に記載した電気化学デバイス。
  6. 燃料としてメタノール及び水素のうち少なくとも1種が用いられる、請求項5に記載した電気化学デバイス。
  7. イオン伝導性の固体高分子膜のうち、その周辺部にカルシウム又は/及びマグネシウムを導入する工程を有する、電気化学デバイスの製造方法。
  8. 第1極と、第2極と、これらの電極間に挟持されたイオン伝導性の固体高分子膜との積層構造体を作製した後、前記固体高分子膜のうち、前記電極間に挟持されていない前記周辺部に前記カルシウム又は/及びマグネシウムを導入する、請求項7に記載した電気化学デバイスの製造方法。
  9. 前記積層構造体の作製後に、前記電極を含めて前記固体高分子膜のイオン伝導領域をマスク材で被覆し、この積層構造体を前記カルシウム又は/及びマグネシウムを含有する溶液に浸漬させて、前記固体高分子膜の前記周辺部中のプロトンを前記カルシウム又は/及びマグネシウムに置換する、請求項8に記載した電気化学デバイスの製造方法。
  10. 前記固体高分子膜の前記周辺部を、シール材を介して容器に固定する、請求項7に記載した電気化学デバイスの製造方法。
  11. 前記容器を前記第1極側の部分と前記第2極側の部分とに分割し、これらの各部分と前記積層構造体の前記周辺部との間に前記シール材を配する、請求項10に記載した電気化学デバイスの製造方法。
  12. 前記積層構造体の複数個を積層するか、或いは並置する、請求項8に記載した電気化学デバイスの製造方法。
  13. 燃料電池又は水素製造装置として構成する、請求項7に記載した電気化学デバイスの製造方法。
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