JP2006221970A - 直接メタノール型燃料電池の運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カソードの触媒の表面酸化物の還元処理を、簡便な装置や操作で実施することができ、結果として優れた発電特性を奏することが可能な直接メタノール型燃料電池の運転方法の提供。
【解決手段】運転開始時または運転途中において、通常運転時より高濃度のメタノール溶液をアノード2に供給し運転する、または通常運転時より高温の電池温度で運転する、またはアノード2へ供給するメタノール溶液の供給圧力のカソードへ供給する酸化剤ガスの供給圧力に対する差圧を通常運転時より高くして運転することにより、アノード2に供給したメタノールをイオン交換膜を透過させカソードまで移動させ、カソードの触媒を還元処理し電池の賦活処理を行う直接メタノール型燃料電池の運転方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、直接メタノール型燃料電池の運転方法に関する。
直接メタノール型燃料電池(以下、DMFCという)は、アノードに燃料としてメタノールまたはメタノール溶液を供給し、カソードには酸素または空気を供給することにより、電力を得る電気化学的エネルギー変換システムである。DMFCでは改質器を必要としないため、水素を燃料とする固体高分子型燃料電池に比べて、システム全体を小型化することができる。また、燃料を液体として供給することができるため、結果として高いエネルギー密度が期待できる。このため、携帯機器用から車載用等移動用電源としての幅広い応用が考えられている。
DMFCにおいては、通常、固体高分子型燃料電池と同様に、イオン交換膜の両面に白金系の貴金属を担持したカーボン粉末とプロトン伝導性高分子電解質との混合物で形成された触媒層が配置されており、この部分が電池の反応部となっている。触媒層に用いられる白金系の触媒は、電池運転開始時には表面に酸化皮膜(PtO、PtO)が形成されていることが多い。また、電池運転中においてもカソード側は酸化性ガスにさらされるため、表面が徐々に酸化され酸化皮膜が形成されることがある。酸化皮膜の形成は、触媒の反応効率を下げるため、発電電圧が低下する要因となる。
このような問題に対し、水素を燃料とする固体高分子型燃料電池においては、カソードに化学的還元剤として過酸化水素やメタノールを供給し、酸化被膜を構成する白金酸化物を還元処理することが提案されている(特許文献1参照)。この方法はDMFCにも適用可能ではあるが、特許文献1にあるように、還元剤を液体で供給するときにはタンクやコックを別途システムに追加する必要があり、またガスで供給するときには加湿装置内に過酸化水素やメタノールを添加するため加湿装置の開閉を行う必要があるなど、装置の複雑化や操作の煩雑さを伴うという問題があった。
特開2004−356030号(特許請求の範囲、段落0024)
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、カソードの触媒の表面酸化物の還元処理を、簡便な装置や操作で実施することができ、結果として優れた発電特性を奏することが可能な直接メタノール型燃料電池の運転方法を提供することを目的とする。
DMFCにおいてはアノードに供給したメタノールがイオン交換膜を透過してカソードまで移動する、いわゆるクロスオーバー現象が発生する。本発明者らは、この現象を利用して、DMFCの運転開始時または運転途中において、クロスオーバーするメタノール量を増やすことにより、このメタノールで効率よくカソードの触媒の表面酸化物が還元されることを見出し本発明に至った。
本発明における第1の態様は、アノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードの間に配置されたイオン交換膜を備え、前記アノードにメタノール溶液を供給し、かつ前記カソードに酸化剤ガスを供給することにより発電を行う直接メタノール型燃料電池の運転方法において、前記燃料電池の運転開始時に、前記アノードに供給したメタノールが前記イオン交換膜を透過し前記カソードまで移動する量を通常運転時より増加させて運転し電池の賦活処理を行うことを特徴とする直接メタノール型燃料電池の運転方法である。
触媒層に用いられる白金系の触媒には、電池運転開始時に表面酸化物が形成されていることがある。運転開始時に、カソードへクロスオーバーするメタノールを利用することにより、カソードの触媒の表面酸化物を還元処理して電池の賦活処理を行い、電極反応の効率を上げることができる。
本発明における第2の態様は、アノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードの間に配置されたイオン交換膜を備え、前記アノードにメタノール溶液を供給し、かつ前記カソードに酸化剤ガスを供給することにより発電を行う直接メタノール型燃料電池の運転方法において、前記燃料電池の運転途中に、前記アノードに供給したメタノールが前記イオン交換膜を透過し前記カソードまで移動する量を通常運転時より増加させて運転し電池の賦活処理を行うことを特徴とする直接メタノール型燃料電池の運転方法である。
電池運転中においてカソード側は酸化剤ガスにさらされるため、触媒層に用いられる白金系の触媒は、表面が徐々に酸化され酸化皮膜が形成されることがある。運転途中に、カソードへクロスオーバーするメタノールを利用することにより、カソードの触媒の表面酸化物を還元処理し、電極反応の効率を上げることができる。
上記通常運転では前記アノードに濃度Cのメタノール溶液を供給し、上記賦活処理では前記アノードに濃度Cより高濃度の濃度Cのメタノール溶液またはメタノールを供給することが好ましい。
通常運転時に供給するメタノール溶液の濃度より高濃度のメタノール溶液をアノードに供給することにより、カソードへクロスオーバーするメタノール量を増加させることができる。
上記通常運転では電池温度Tで運転し、上記賦活処理では温度Tより高温の電池温度Tで運転することが好ましい。
通常運転時の運転温度より高温の運転温度で運転することにより、カソードへクロスオーバーするメタノール量を増加させることができる。
上記通常運転では下記のとおり定義される差圧ΔPで運転し、上記賦活処理では正数であり、かつ前記差圧ΔPより大きい差圧ΔPで運転することが好ましい。
差圧=(アノードへ供給するメタノール溶液の供給圧力)
−(カソードへ供給する酸化剤ガスの供給圧力)
カソードに供給する酸化性ガスの供給圧力に対するアノードに供給するメタノール溶液の供給圧力の差圧を通常運転時より大きくすることにより、カソードへクロスオーバーするメタノール量を増加させることができる。
本発明によれば、DMFCの装置および運転操作の複雑化を伴わないで、化学的還元剤としてのメタノールをカソードへ供給し、カソードの触媒表面に形成されている酸化物を還元して賦活処理を行うことができ、結果として優れた発電特性を有するDMFCを得ることができる。
本発明におけるDMFCは、アノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードの間にイオン交換膜が配置され、前記アノードにメタノール溶液を供給し、かつ前記カソードに酸化性ガスを供給することにより発電が行われる。DMFCの具体的な構成は特に限定されないが、DMFCを構成する単電池の好適な一実施形態を図1に示す。
図1に示す単電池は、イオン交換膜1の片面にアノード2が、もう一方の面にカソード3が配置された膜電極接合体10を有している。アノード2およびカソード3は、それぞれ触媒層4、4’、および拡散層5、5’で構成されている。アノード2およびカソード3の周囲にはイオン交換膜1を挟むようにそれぞれガスケット7、7’が配置されている。拡散層5、5’は集電体の機能と、通常拡散層の外側に配置されるセパレータ6、6’から供給される液体燃料およびガスを触媒層4、4’に効率よく拡散・供給するための機能を有するものである。アノード2にはメタノールを水などで希釈した溶液またはメタノールが供給され、カソード3には空気等の酸素等の酸化剤ガスが供給され、それぞれ触媒層4、4’のところで下記の反応が起こり、カソード3で水が生成される。
アノード2:CHOH+HO → CO+6H+6e (1)、
カソード3:3/2O+6H+6e → 3HO (2)。
上記の電極反応を効率よく行うために、通常、触媒層4、4’には、白金系の貴金属をカーボン粉末に担持した触媒が含まれる。しかしながら、DMFCの運転開始前あるいは長時間運転の後には、カソード3の白金系の触媒は表面酸化物を形成していることが多く、上記電極反応を阻害し、発電電圧が低下する。反応を効率よく行うためには、還元剤の導入により、表面酸化物を還元処理し取り除く操作を行うことが有効である。
白金と白金酸化物の電気化学反応として以下のような反応が知られている。
PtO+2H+2e ⇔ Pt+HO (3)、
PtO+2H+2e ⇔ PtO+HO (4)、
標準水素電極に対する電位は、式(3)では0.98V、式(4)では1.045Vであるので、還元剤としては0.98V未満の標準電極電位を示す化合物を用いるのが適している。本発明のように、DMFCにおいては燃料に用いるメタノールを還元剤として使用することが適している。
その第1の理由は、下記式(5)で示される反応の熱力学的な標準電極電位は0.02Vであり、式(3)あるいは(4)における電位より卑な電位であるため、式(5)の反応速度は遅くはあるが、カソード3の白金表面酸化物に対して還元剤として作用させることができることである。
CHOH+HO→CO+6H+6e (5)。
第2の理由としては、他の還元剤を用いた場合には電池特性を低下させてしまうような不純物を新たに電池内部に加えてしまうおそれがあるが、メタノールは本来DMFCの燃料として用いているため、電池反応に悪影響を及ぼさない点が挙げられる。
第3の理由は、アノード2に供給する燃料としてのメタノールは多くの場合水溶液として供給されるが、このメタノール濃度を調整することで、あるいは電池温度、アノード2に供給するメタノール溶液の供給圧力とカソード3に供給する酸化性ガスの供給圧力の差を調整することで、特別のメタノール供給流路を設置したり添加操作をすることなしに、カソード3へメタノールを供給することが可能となるためである。
DMFCのイオン交換膜には、通常、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体や種々のプロトン伝導性を示す炭化水素系重合体が用いられる。これらの膜は燃料であるメタノールに対して透過性があり、アノード2へ供給したメタノールの一部がカソード3まで移動する、いわゆるクロスオーバー現象が発生する。
そこで本発明の運転方法においては、カソード3へクロスオーバーするメタノールを利用して、DMFCの運転開始時または運転途中において、通常運転時よりもカソード3へクロスオーバーするメタノール量を増加させて運転し、カソード3の触媒の表面酸化物を還元し、電池の賦活処理を行う。
本発明において、通常運転とは、DMFCを所定の用途に使用するとき、所定の用途に求められる所定の出力を発揮させるためにする運転をいう。
DMFCの賦活処理は、DMFCの運転開始時に行うことにしてもよいし、DMFCのセル電圧の低下が認められたときに、あるいは、セル電圧の低下を予防するために、DMFCの運転途中に行ってもよい。DMFCの運転途中に賦活処理を行うときは、電池の出力電流を流さない状態で行っても、電池の出力電流を流した状態で行ってもよい。賦活処理時の電圧は通常運転時の電圧よりも低く現れる。
図2にDMFCの運転途中に賦活処理を行う場合の電圧の経時変化を示す模式図を示す。賦活処理の所用時間は、アノード2に供給するメタノール溶液の濃度、電池温度、供給圧力、供給流量等にもよるが、0.5〜5時間である場合が多い。DMFCの運転途中に賦活処理を行う場合、賦活処理前の電圧より賦活処理後の電圧が高くなることにより、カソードの触媒の還元処理が終了したことを確認することができる。
通常運転時よりもカソード3へクロスオーバーするメタノール量を増加させて運転し電池の賦活処理を行う方法として、本発明では下記の方法を採用することが好ましい。
(1)通常運転ではアノード2に濃度Cのメタノール溶液を供給し、賦活処理ではアノード2に濃度Cより高濃度の濃度Cのメタノール溶液を供給する方法。
(2)通常運転では電池温度Tで運転し、賦活処理では電池温度Tより高温の電池温度Tで運転する方法。
(3)通常運転では下記のとおり定義される差圧ΔPで運転し、賦活処理では正数であり、かつ前記差圧ΔPより大きい差圧ΔPで運転する方法。
差圧=(アノードへ供給するメタノール溶液の供給圧力)
−(カソードへ供給する酸化剤ガスの供給圧力)。
本発明の運転方法において通常運転時にアノード2に供給するメタノール溶液濃度Cは、特に制限されないが、0.5〜50質量%であることが好ましい。電池のエネルギー密度とメタノールのクロスオーバーのバランスを考慮すると、1〜30質量%であることがより好ましい。またメタノール溶液の溶媒は、アノード2における反応に必要であることから、水が好ましい。
上記運転方法(1)において、賦活処理におけるメタノール溶液濃度Cは、通常運転におけるメタノール溶液濃度Cより高濃度に調整すればよく、メタノール100%であってもよい。賦活処理における濃度Cの通常運転における濃度Cに対する差が大きすぎると、過度の膜電極接合体の膨潤・収縮が起こり、イオン交換膜1と触媒層4、4’の剥離が生じ、特性劣化を起こすおそれがある。このため、濃度Cの濃度Cに対する比(C/C)を1.5〜10とすることが好ましい。
本発明の運転方法における通常運転時の電池温度Tは特に制限されないが、イオン交換膜の耐熱性や熱収支の観点から室温〜110℃の範囲が好ましい。電極触媒反応を効率的に行うために電池温度Tは40℃以上であることがより好ましい。またメタノールが酸化分解する際に中間体として生じる一酸化炭素(CO)による触媒被毒に起因する触媒の特性低下を避けるために、電池温度Tは60℃以上であることがさらに好ましい。一方、常圧下で電池の運転を行う場合は、メタノールが気化しないように電池温度Tは100℃以下であることが好ましい。
上記運転方法(2)において、賦活処理における電池温度Tは、イオン交換膜の耐熱性や熱収支の観点から室温〜110℃の範囲内で、かつ通常運転における電池温度Tより高い温度に調節すればよく、特に制限はない。メタノールのクロスオーバーを高めてかつカソード3における還元反応を効率的に行うためには、電池温度Tの電池温度Tに対する差は、10℃以上とすることが好ましい。また、温度上昇によってもイオン交換膜の膨潤が顕著となるため、過度の膨潤・収縮によるイオン交換膜1と触媒層4、4’の剥離に起因する電池特性の劣化が起こるおそれがある。したがって、電池温度Tの電池温度Tに対する差は60℃以下とすることが好ましい。なお、通常運転時と同様に、常圧下で電池の運転を行う場合は、メタノールが気化しないように100℃以下で運転することが好ましい。
なお、本発明における電池温度は、電池本体の設定温度を変更することにより、またはアノード2に供給するメタノール溶液の温度を変更することにより調整することができる。どちらの場合でも、イオン交換膜1の温度を高めることとなり、クロスオーバーするメタノール量を増加させ、還元反応を行うことができる。
本発明の運転方法において通常運転時の上記で定義される差圧ΔPは特に制限されないが、圧力差が大きすぎると膜電極接合体に機械的な応力がかかりイオン交換膜1および触媒層4、4’が損傷を受け電池特性が劣化することがある。よって、差圧ΔPは、−0.5MPa≦ΔP≦0.5MPaであることが好ましく、通常は0MPa近傍とすることが多い。
上記運転方法(3)において、賦活処理における差圧ΔPは、メタノールをアノード2からカソード3へ移動させるため、正数であり、かつ通常運転時における差圧ΔPより高く調節すればよく、特に制限はない。イオン交換膜1および触媒層4、4’の損傷による電池特性の劣化を考慮すると、ΔPの上限は1MPa以下であることが好ましい。また、賦活処理を効率的に進めるためにメタノール透過量を多くするためには、ΔPの下限は0.1MPa以上であることが好ましい。
DMFCに用いられるイオン交換膜1については、特に制限されるものではないが、スルホン酸基を有する含フッ素重合体からなるイオン交換膜を好ましく使用することができる。このようなイオン交換膜としては、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなるイオン交換膜(例えば、フレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、ナフィオン(商品名、デュポン社製)、部分フッ素化された炭化水素系のスルホン酸型イオン交換膜(例えば、ETFEのグラフト重合膜でスルホン酸基を有するもの)、炭化水素系のスルホン酸型イオン交換膜(例えば、ポリエーテルエーテルケトンからなりスルホン酸基を有する膜)等を好ましく使用することができる。さらに、メタノールの透過抑制を目的として、シリカとイオン交換樹脂とを混合したような無機有機ハイブリッド膜も使用できる。
本発明における触媒層4、4’に含まれる触媒としては、特には限定されないが、白金系金属がカーボンに担持された触媒が使用されることが好ましい。アノード2の触媒層4には白金−ルテニウム合金(Pt−Ru)がカーボンに担持された触媒が好ましく、カソード3の触媒層4’には白金がカーボンに担持された触媒が好ましい。これらの触媒は、触媒層中の白金量としてアノード2の触媒層4では0.1〜4mg/cmとなるように含まれることが好ましく、カソード3の触媒層4’では0.1〜3mg/cmとなるように含まれることが好ましい。
本発明における触媒層4、4’は特に限定されないが、通常、イオン交換樹脂を含む。イオン交換樹脂としては、スルホン酸基を有する含フッ素重合体が好ましく、特にスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(ただしエーテル結合性の酸素原子は含んでいてよい)が耐久性等の点から好ましい。具体的には、フレミオン(商品名、旭硝子社製)、ナフィオン(商品名、デュポン社製)等が好ましく使用できる。
拡散層5、5’の具体的な構成も特に限定されないが、具体的にはカーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンフェルト等を好ましく使用することができる。また、セパレータ6、6’の具体的な構成も特に限定されないが、具体的には樹脂含浸カーボンあるいは金属製等を使用することができる。イオン交換膜1と触媒層4、4’を接合し、さらに必要に応じガス拡散層5、5’で挟み込み、その外側にガスの流路が形成されたセパレータ6、6’を配置し、DMFCを製造することができる。
以下に、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
以下のようにして、直接メタノール型燃料電池を作製し、その電池特性を評価した。
まず、触媒層を以下のように作製した。テトラフルオロエチレンに基づく重合単位とCF=CF−OCFCF(CF)O(CFSOHに基づく重合単位とからなる共重合体(イオン交換容量1.1ミリ当量/g乾燥樹脂)のエタノールを分散媒とする分散液と、白金がカーボンに触媒全体の55質量%担持された触媒とを、エタノールと水の混合分散媒(質量比で1:1)に混合、分散した。共重合体と触媒の混合比は質量比で25:75とした。得られた固形分濃度10質量%の触媒分散液を、シリコーン系離型剤で表面を処理した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム上にスプレー法で塗工し、80℃で乾燥して、厚さ40μm、触媒層中の白金量が約1.0mg/cmのカソード触媒層4’を作製した。
同様の方法で、白金−ルテニウム合金がカーボンに担持された触媒(白金は触媒全体の30質量%、ルテニウムは触媒全体の23質量%担持された触媒)を用い、厚さ60μm、触媒層中の白金量が約1.0mg/cmのアノード触媒層4を形成した。得られた触媒層はアノード2、カソード3ともに有効電極面積が25cmとなるように5cm角に切り出した。
イオン交換膜1としては、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(商品名:フレミオンHR、旭硝子社製、イオン交換容量1.1ミリ当量/g、膜厚:50μm)を使用した。上記イオン交換膜1に対し、上記アノード触媒層4と上記カソード触媒層4’を、触媒層が形成された面をそれぞれイオン交換膜1側に向けて配置して、130℃、3MPaで2分間ホットプレスを行った後、基材シートを剥がして膜触媒層接合体を得た。
さらに、カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン粒子とからなる厚さ約10μmの導電層が表面に形成された厚さ約300μmのカーボンクロスを用意して、これを拡散層5、5’として上述した膜触媒層接合体の両外面に導電層が触媒層に向くように配置して、膜電極接合体10を得た。
また、ガス流路の深さと幅が共に1.0mmの樹脂含浸カーボン製のセパレータ6、6’を2枚用意し、セパレータ6、6’の溝が拡散層5、5’に接するように配置し上記の膜電極接合体10を挟んだ。さらにその周辺部にガスケット7、7’を配置した後、セパレータ6、6’および膜電極接合体10を電極面積あたり1.5MPaで締め付けて、電池性能測定用の有効電極面積が25cmである直接メタノール型燃料電池用の単電池を完成させた。
測定中の電池温度を80℃に保持し、アノード2には80℃に加温された30質量%メタノール水溶液を、カソード3には80℃に設定されたバブラーを通して加湿した空気を、それぞれ流量3mL/分、1000mL/分として、上記単電池に供給し、この状態を3時間保持した。ついで、アノード2に供給するメタノール水溶液を3質量%メタノール水溶液へ変更し、運転を行った。その後、開回路電位が落ち着いたことを確認した後、電流密度とセル電圧の関係を求めた。その結果を図3に示す。
〔比較例1〕
本比較例では、燃料電池の運転開始時にアノード2に80℃に加温された30質量%メタノール水溶液を3時間供給する過程を省くこと以外は、実施例1と同様にして運転を行い、電流密度とセル電圧の関係を求めた。その結果を図3に示す。
〔実施例2〕
本実施例では、まず、アノード2には80℃に加温された3質量%メタノール水溶液を、カソード3には80℃に設定されたバブラーを通して加湿した空気を、それぞれ流量3mL/分、1000mL/分として、上記単電池に供給した。この状態を72時間保持し、運転を行った後、電流密度とセル電圧の関係を求めた。
その後、アノード2に供給するメタノール水溶液を30質量%メタノール水溶液へ変更し、これを3時間供給した。ついで、再度3質量%メタノール水溶液へ戻してアノード2に供給し、運転を行った。開回路電位が落ち着いたことを確認した後、電流密度とセル電圧の関係を求めた。その結果を図4に示す。
図3に示した結果から明らかなように、燃料電池の運転開始時に賦活処理を行った実施例1の方が電池特性が良好であった。また、図4においては、「賦活処理前」がアノード2に3質量%メタノール水溶液を供給して72時間運転した後に測定した電流−電圧特性を示し、「賦活処理後」が一旦30質量%メタノール水溶液を供給した後、再度3質量%メタノール水溶液へ戻してアノード2に供給し運転を行った後に測定した電流−電圧特性を示す。「賦活処理後」の方が電池特性が良好であることが確認された。
これらの結果から、燃料電池の運転の開始時においても、運転途中においても、通常運転で供給するメタノール溶液の濃度より高濃度のメタノール溶液をアノード2に供給したことによって、特性が向上したことがわかる。
〔実施例3〕
本実施例では、実施例1と同様にして作製した単電池を用い、まず、電池温度を80℃に保持しつつ、アノード2には60℃に加温された3質量%メタノール水溶液を、カソード3には60℃に設定されたバブラーを通して加湿した空気を、それぞれ流量3mL/分、1000mL/分として、上記単電池に供給する。
この状態を3時間保持した後、電池温度を60℃へ変更し、その後、開回路電位が落ち着いたことを確認した後、電流密度とセル電圧の関係を求める。
〔比較例2〕
本比較例では、燃料電池の運転の開始時に電池温度を80℃に保持する過程を省くこと以外は、実施例3と同様にして運転を行い、電流密度とセル電圧の関係を求める。
〔実施例4〕
本実施例では、まず、電池温度を60℃に保持しつつ、アノード2には60℃に加温された3質量%メタノール水溶液を、カソード3には60℃に設定されたバブラーを通して加湿した空気を、それぞれ流量3mL/分、1000mL/分として、上記単電池に供給した。この状態を72時間保持し、運転を行った後、電流密度とセル電圧の関係を求める。
その後、電池温度を80℃へ変更し、3時間この状態を保持する。ついで、再度電池温度を60℃へ戻す。その後、開回路電位が落ち着いたことを確認した後、電流密度とセル電圧の関係を求める。
実施例3、比較例2および実施例4の結果から、燃料電池の運転の開始時においても、運転途中においても、運転温度を通常運転時の温度より高める操作を経ることによって、電池特性が向上するといえる。
〔実施例5〕
本実施例では、実施例1と同様にして作製した単電池を用い、まず、電池温度を80℃に保持しつつ、アノード2には80℃に加温された3質量%メタノール水溶液を供給圧力0.3MPa、流量3mL/分で供給し、カソード3には80℃に設定されたバブラーを通して加湿した空気を供給圧力0.1MPa、流量1000mL/分で供給する。供給圧力の調整は背圧弁を調整することにより行う。
この状態を3時間保持した後、アノード2へのメタノール溶液供給圧力を0.1MPaへ変更し、その後、開回路電位が落ち着いたことを確認した後、電流密度とセル電圧の関係を求める。
〔比較例3〕
本比較例では、燃料電池の運転の開始時にアノード2へのメタノール溶液供給圧力を0.3MPaに保持する過程を省くこと以外は、実施例5と同様にして運転を行い、電流密度とセル電圧の関係を求める。
〔実施例6〕
本実施例では、まず、電池温度を80℃に保持しつつ、アノード2には80℃に加温された3質量%メタノール水溶液を供給圧力0.1MPa、流量3mL/分で供給し、カソード3には80℃に設定されたバブラーを通して加湿した空気を供給圧力0.1MPa、流量1000mL/分で供給する。この状態を72時間保持し、運転を行った後、電流密度とセル電圧の関係を求める。
その後、アノード2へのメタノール溶液供給圧力を0.3MPaへ変更し、3時間この状態を保持する。ついで、再度メタノール溶液供給圧力を0.1MPaへ戻す。その後、開回路電位が落ち着いたことを確認した後、電流密度とセル電圧の関係を求める。
実施例5、比較例3および実施例6の結果から、燃料電池の運転の開始時においても、運転途中においても、アノード2へ供給するメタノール溶液の供給圧力のカソード3へ供給する酸化剤ガスの供給圧力に対する差圧を通常運転時の差圧より高める操作を経ることによって、電池特性が向上するといえる。
本発明のDMFCの運転方法によれば、装置およびDMFCの運転操作の複雑化を伴わないで、カソード3の触媒上の表面酸化物を還元処理することができ、起動初期から長期間にわたり安定して作動させることができる。
本発明で使用される直接メタノール型燃料電池を構成する単電池の好適な一実施形態を示す断面図。 DMFCの運転途中に賦活処理を行う場合の電圧の経時変化を示す模式図。 実施例1および比較例1における電流密度とセル電圧の関係を示す図。 実施例2における電流密度とセル電圧の関係を示す図。
符号の説明
10:膜電極接合体
1:イオン交換膜
2:アノード
3:カソード
4、4’:触媒層
5、5’:拡散層
6、6’:セパレータ
6a:溝
7、7’:ガスケット

Claims (8)

  1. アノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードの間に配置されたイオン交換膜を備え、前記アノードにメタノール溶液を供給し、かつ前記カソードに酸化剤ガスを供給することにより発電を行う直接メタノール型燃料電池の運転方法において、
    前記燃料電池の運転開始時に、前記アノードに供給したメタノールが前記イオン交換膜を透過し前記カソードまで移動する量を通常運転時より増加させて運転し電池の賦活処理を行うことを特徴とする直接メタノール型燃料電池の運転方法。
  2. アノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードの間に配置されたイオン交換膜を備え、前記アノードにメタノール溶液を供給し、かつ前記カソードに酸化剤ガスを供給することにより発電を行う直接メタノール型燃料電池の運転方法において、
    前記燃料電池の運転途中に、前記アノードに供給したメタノールが前記イオン交換膜を透過し前記カソードまで移動する量を通常運転時より増加させて運転し電池の賦活処理を行うことを特徴とする直接メタノール型燃料電池の運転方法。
  3. 前記通常運転では前記アノードに濃度Cのメタノール溶液を供給し、前記賦活処理では前記アノードに前記濃度Cより高濃度の濃度Cのメタノール溶液またはメタノールを供給する請求項1または2に記載の直接メタノール型燃料電池の運転方法。
  4. 前記濃度Cの前記濃度Cに対する比(C/C)は1.5〜10である請求項3に記載の直接メタノール型燃料電池の運転方法。
  5. 前記通常運転では電池温度Tで運転し、前記賦活処理では前記電池温度Tより高温の電池温度Tで運転する請求項1〜4のいずれかに記載の直接メタノール型燃料電池の運転方法。
  6. 前記電池温度Tの前記電池温度Tに対する差は、10℃以上である請求項5に記載の直接メタノール型燃料電池の運転方法。
  7. 前記通常運転では下記のとおり定義される差圧ΔPで運転し、前記賦活処理では正数であり、かつ前記差圧ΔPより大きい差圧ΔPで運転する請求項1〜6のいずれかに記載の直接メタノール型燃料電池の運転方法。
    差圧=(アノードへ供給するメタノール溶液の供給圧力)
    −(カソードへ供給する酸化剤ガスの供給圧力)
  8. 前記差圧ΔPは1MPa以下である請求項7に記載の直接メタノール型燃料電池の運転方法。
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