JP5243188B2 - 保護フィルム付き成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、保護フィルム付き成形体に関する。
各種ディスプレー、レンズ、ショーウィンドーなどの空気と接する界面(表面)では、太陽光や照明等が表面で反射することによる視認性の低下が問題点となっていた。
反射を減らすために、例えば反射防止フィルムを対象物の表面に貼着することがある。反射防止フィルムには、反射率や反射率の波長依存性が低いことが求められる。
反射防止フィルムとしては、フィルム表面での反射光と、フィルムと対象物の界面での反射光とが干渉によって打ち消し合うように、屈折率の異なる数層のフィルムが積層した構造のものが知られている。通常、フィルムの積層数を増やすと、反射率や反射率の波長依存性が低くなる傾向にある。
これらのフィルムは、通常、スパッタリング、蒸着、コーティング等の方法で製造される。しかし、このような方法では、フィルムの積層数を増やしても反射率及び反射率の波長依存性の低下には限界があった。また、製造コスト削減を目的としてフィルムの積層数を減らすためには、より低屈折率の材料が求められていた。
材料の屈折率を下げるためには、何らかの方法で材料中に空気を導入することが有効であるが、その一つとして、例えばフィルムの表面に微細凹凸構造を形成する方法が知られている。特に、Moth−Eye構造と呼ばれる微細凹凸構造は、空気の屈折率から材料の屈折率に連続的に増大していくことで有効な反射防止の手段となる。
材料表面に微細凹凸構造を形成する方法としては、材料の表面を直接加工する方法、微細凹凸構造に対応した反転構造を有する鋳型を用いて、この構造を転写する転写法などがあり、生産性、経済性の点から、後者の方法が優れている。鋳型に反転構造を形成する方法としては、電子線描画法、レーザー光干渉法等が知られているが、近年、より簡便に製造できる鋳型として、陽極酸化により形成された微細凹凸構造を有するアルミナが注目されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、細孔周期が50〜300nmの微細凹凸構造が表面に形成された陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として用いて製造した反射防止膜が開示されている。
通常、表面に微細凹凸構造が形成されたフィルムなどの成形体には、表面に汚れ等が付着するのを防いだり、微細凹凸構造の形状を維持(保護)したりすることを目的として、使用されるまでの間、微細凹凸構造が形成された表面に保護フィルムが貼着される。
特開2005−156695号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、陽極酸化ポーラスアルミナの表面の微細凹凸構造を転写して、表面にMoth−Eye構造の微細凹凸構造を形成した成形体では、通常の微細凹凸構造に比べて凸部間の間隔が狭く、成形体と保護フィルムとの接着面積が小さい。そのため、保護フィルムを貼着するのが困難であった。従って、保護フィルムを貼着するには、通常よりも粘着力の強い粘着剤等を含有した粘着剤層を備えた保護フィルム(強粘着保護フィルム)を用いる必要がある。
また、特にMoth−Eye構造の微細凹凸構造の表面に保護フィルムを貼着すると、強度が経時的に増加し、次第に保護フィルムが剥離しにくくなる挙動が明らかになった。
すなわち、特にMoth−Eye構造の微細凹凸構造が形成された成形体に保護フィルムを貼着する際には、貼着時の密着強度が低く、しかし、一旦貼着すると時間が経過するに連れて保護フィルムを剥離するのが困難になってしまう特性があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、保護フィルムを貼着しやすく、かつ不用意に剥がれず、さらに意図的に剥がそうとすれば容易に剥離できる保護フィルム付き成形体の提供を課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、成形体の構成を以下のものとすることで、必要以上に粘着力の強い粘着剤を含有した保護フィルムを用いることなく、成形体の表面に保護フィルムを貼着でき、その結果、時間が経過することで保護フィルムの接着面積が増えても保護フィルムを容易に剥離できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の保護フィルム付き成形体は、微細凹凸構造を有する凹凸部と、微細凹凸構造を有さない非凹凸部が表面に形成された成形体に、該成形体の表面を保護する保護フィルムが貼着した保護フィルム付き成形体であって、前記凹凸部に対する前記保護フィルムの初期密着強度が0.03N/25mm以下であり、かつ、前記非凹凸部に対する前記保護フィルムの初期密着強度よりも小さいことを特徴とする。
また、前記非凹凸部に対する前記保護フィルムの初期密着強度が0.031〜1N/25mmであることが好ましい。
さらに、前記微細凹凸構造の隣り合う凸部間の平均間隔が、可視光の波長以下であることが好ましい。
本発明の保護フィルム付き成形体によれば、保護フィルムを貼着しやすく、かつ不用意に剥がれず、さらに意図的に剥がそうとすれば容易に剥離できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の保護フィルム付き成形体1の一例を示す縦断面図である。この例の保護フィルム付き成形体1は、成形体10の表面に保護フィルム20が貼着されている。
なお、図2〜3において、図1と同じ構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する場合がある。また、図1〜4においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材に毎に縮尺を異ならせてある。
また、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。また、活性エネルギー線は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
<成形体>
図1に示す成形体10は、基材11と、該基材11の表面に形成された、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物12とを有する。
基材11としては、光を透過するものであれば特に限定されない。例えばメチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、ガラスなどが挙げられる。基材11は射出成形、押し出し成形、キャスト成形のいずれの方法によって作成してもよい。
基材11の形状には特に制限はなく、製造する成形体10に応じて適宜選択できるが、例えば成形体10が反射防止フィルムなどである場合には、シート状またはフィルム状が好ましい。また、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との密着性や、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の改良のために、基材11の表面には例えば各種コーティングやコロナ放電処理が施されていてもよい。
図2(a)に示すように、成形体10は、微細凹凸構造を有する凹凸部13と、微細凹凸構造を有さない非凹凸部14が表面に形成されている。この例の場合、凹凸部13は硬化物12の表面に、非凹凸部14は露出した基材11の表面に相当するが、本発明はこれに限定されず、例えば図2(b)に示すように、硬化物12の表面に、凹凸部13と非凹凸部14が形成されていてもよい。
なお、本明細書において、成形体の面のうち微細凹凸構造が形成されている側の面を「成形体の表面」とし、これに対向した面を「成形体の裏面」とする。
後述する保護フィルム20は、図1に示すように成形体10の表面、すなわち凹凸部と非凹凸部に貼着する。凹凸部は微細凹凸構造を有するので、凹凸部において保護フィルム20は微細凹凸構造の凸部の頂点で主に接着することになり、接着面積が小さい。そのため保護フィルムは接着しても剥がれやすい。一方、非凹凸部は微細凹凸構造を有さないので、平坦で接着面積が大きい。そのため保護フィルム20は接着しやすく、密着強度は凹凸部に比べて強い。
凹凸部13の微細凹凸構造は、後述する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる複数の凸部を有するもので、陽極酸化アルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成される。
微細凹凸構造としては、略円錐形状、角錐形状等の突起(凸部)が複数並んだ、いわゆるMoth−Eye構造が好ましい。表面に、微細凹凸構造を有する凹凸部13を備えることで、防汚性に優れた成形体10が得られる。特に、凸部間の間隔が可視光の波長以下であるMoth−Eye構造は、空気の屈折率から材料の屈折率に連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となる。
凸部間の平均間隔は、700nm以下が好ましく、550nm以下がより好ましい。凸部間の平均間隔が700nm以下であれば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が疎水性材料の場合は疎水性が強く発現しやすくなり、親水性材料の場合は親水性が強く発現しやすくなり、成形体10に優れた防汚性を付与できる。特に、凸部間の平均間隔が可視光の波長以下、すなわち400nm以下であれば、反射率が低く、かつ反射率の波長依存性が少ない成形体10が得られる。
凸部間の平均間隔は、凸部の形成のしやすさの点から、25nm以上が好ましく、80nm以上がより好ましい。
凸部間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する凸部間の間隔(凸部13’の中心から隣接する凸部13’の中心までの距離W)を10点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部の高さは、100〜400nmが好ましく、150〜300nmがより好ましい。凸部の高さが100nm以上であれば、反射率が十分に低くなり、かつ反射率の波長依存性が少なくなると共に、防汚性にも優れるようになる。凸部の高さが400nm以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
凸部の高さは、電子顕微鏡観察によって10個の凸部の高さdを測定し、これらの値を平均したものである。
凸部のアスペクト比(凸部の高さ/凸部の底面の長さ)は、1〜5が好ましく、1.2〜4がより好ましく、1.5〜3が特に好ましい。凸部のアスペクト比が1以上であれば、反射率が十分に低くなるだけでなく、防汚性にも優れるようになる。凸部のアスペクト比が5以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
なお、凸部の底面の長さとは、図2(a)に示すように、凸部13’の頂点から高さ方向に凸部13’を切断したときの断面における底部の長さdのことである。
凸部の形状は、高さ方向と直交する方向の凸部断面積が最表面から深さ方向に連続的に増加する形状、すなわち、凸部の高さ方向の断面形状が、三角形、台形、釣鐘型等の形状が好ましい。
本発明においては、図2(a)、(b)に示すように、非凹凸部14は少なくとも成形体10の表面の両端部に設けられていればよい。非凹凸部14が両端部に設けられれば、保護フィルム付き成形体とした際に、成形体の表面の両端が保護フィルムによって十分な密着強度で貼着されることになるので、成形体と保護フィルムとの界面にゴミ等の不純物がより侵入しにくく、成形体の表面に汚れ等がより付着しにくくなる。非凹凸部14は、両端部以外の箇所に複数設けられていてもよいが、成形体10が反射防止性や防汚性などの特性を十分に発揮するためには、両端部のみに設けられているのが好ましい。
非凹凸部14の幅Wは、1〜100mmが好ましく、8〜50mmがより好ましい。非凹凸部14の幅Wが1mm以上であれば、保護フィルム20との接着面積を確保でき、保護フィルム20が密着しやすくなる。非凹凸部14の幅Wが100mm以下であれば、成形体10が反射防止性や防汚性などの特性を十分に発揮できる。
成形体は、表面に微細凹凸構造を有する凹凸部を備えるので、光学用途成形体、特に反射防止フィルムや立体形状の反射防止体などの反射防止物品として好適である。
成形体が反射防止フィルムである場合には、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置のような画像表示装置、レンズ、ショーウィンドー、眼鏡レンズ、1/2波長板、ローパスフィルター等の対象物の表面に貼り付けて使用される。
成形体が立体形状の反射防止体である場合には、あらかじめ用途に応じた形状の透明基材を用いて反射防止体を製造しておき、これを上記対象物の表面を構成する部材として使用することもできる。
また、対象物が画像表示装置である場合には、その表面に限らず、その前面板に対して反射防止フィルムを貼り付けてもよいし、前面板そのものを本発明の成形体から構成することもできる。
その他にも、このような成形体の用途としては、光導波路、レリーフホログラム、レンズ、偏光分離素子、1/2波長板、ローパスフィルター、水晶デバイスなどの光学用途成形体や、細胞培養シート、超撥水性フィルム、超親水性フィルムなどが挙げられる。
<保護フィルム>
保護フィルムは、成形体の表面を保護するものであり、例えば図1に示すように、フィルム基材21上に、粘着剤を含む粘着剤層22が積層している。
フィルム基材21としては、例えばエチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン単独共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、1−ブテン単独重合体、1−ブテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体、4−メチルペンテン−1単独重合体、4−メチルペンテン−1・プロピレン共重合体、4−メチルペンテン−1・1−ブテン共重合体、4−メチルペンテン−1・プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
フィルム基材21の厚さは、1〜50μmが好ましい。
粘着剤としては、エチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などからなるフィルムを挙げることができ、中でも、表面保護性能の観点からポリエステル系樹脂が好ましい。また、実用性を考慮すればポリエチレンテレフタレート樹脂等を挙げることができる。
粘着剤層には、粘着剤以外の任意成分が含まれていてもよい。
粘着剤層の厚さは、5〜50μmが好ましい。
保護フィルムは、例えば、フィルム基材の一方の面上に、上述した粘着剤および任意成分と、水等の溶媒とを含有する塗布液を塗布し、乾燥して、フィルム基材上に、粘着剤層を形成することで作製できる。
塗布液の塗布量は、4〜60g/m程度が好ましい。
塗布液を塗布する方法としては特に限定されない。
保護フィルムとしては、市販のものを用いてもよい。例えばサンエー化研社製のポリオレフィン系フィルム「PAC−4−50(商品名)」、「PETベースマスキングSAT116タイプ(商品名)」、スミロン社製の「EC−2035(商品名)」等が挙げられる。
<保護フィルム付き成形体>
本発明の保護フィルム付き成形体は、凹凸部に対する保護フィルムの初期密着強度(以下、「初期密着強度A」という。)が0.03N/25mm以下である。
通常、初期の時点では、凹凸部において保護フィルムは微細凹凸構造の凸部の頂点で主に接着するため、接着面積が小さく、保護フィルムが密着しにくい。しかし、時間の経過と共に保護フィルムを構成する粘着剤層中の粘着剤が微細凹凸構造の凹部に入り込むことで接着面積が増え、密着強度が上昇しやすくなる。初期密着強度Aが0.03N/25mmを超えると、初期の時点では凹凸部と保護フィルムとの界面において保護フィルムを容易に剥離できるものの、時間の経過と共に密着強度が必要以上に上昇する。その結果、凹凸部と保護フィルムが強固に密着し、保護フィルムが剥離しにくくなる。初期密着強度は、0.0001〜0.01N/25mmが好ましく、0.001〜0.008N/25mmがより好ましい。
また、保護フィルム付き成形体は、初期密着強度Aが、非凹凸部に対する前記保護フィルムの初期密着強度(以下、「初期密着強度B」という。)よりも小さい。初期密着強度Aが初期密着強度Bよりも大きいと、凹凸部と保護フィルムとの界面で保護フィルムが剥離しにくくなる。初期密着強度Aは、初期密着強度Bの0.01〜0.2倍が好ましく、0.02〜0.1倍が好ましい。
さらに、初期密着強度Bは、0.031〜1N/25mmであることが好ましく、0.1〜0.5N/25mmであることがより好ましい。初期密着強度Bが0.031N/25mm未満であると、保護フィルムが成形体の表面に貼着しにくくなる。一方、初期密着強度Bが1N/25mmを超えると、非凹凸部と保護フィルムとの界面において保護フィルムが剥離しにくくなる。
初期密着強度Aは、以下のようにして測定される値である。
保護フィルム付き成形体を密着強度測定機にセットし、10Nのロードセルを使用して、JIS Z−0237に準拠して、凹凸部と保護フィルムが接着している箇所において180°引き剥がし試験を行って密着強度を測定し、これを初期密着強度とする。
密着強度測定機としては、例えばORIENTEC社製のテンシロン試験機などが挙げられる。
初期密着強度Bについても、保護フィルム付き成形体を密着強度測定機にセットし、初期密着強度Aと同様にして、非凹凸部と保護フィルムが接着している箇所の密着強度を測定することで求められる。
なお、本発明において「初期」とは、保護フィルム付き成形体を製造後、1時間以内を意味する。
初期密着強度Aおよび初期密着強度Bは、保護フィルムを構成する粘着剤層に含まれる粘着剤の種類、成形体を構成する基材や活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の種類によって調整できる。
また、密着強度は、接着面積が大きくなるほど上昇する傾向にある。図1に示すように、成形体10の凹凸部においては、保護フィルムは微細凹凸構造の凸部の頂点で接着することになるので、非凹凸部に比べて接着面積は小さく、密着強度も低い。従って、微細凹凸構造を構成する凸部の形状や凸部間の平均間隔を調節して接着面積を調整することで初期密着強度Aを調整したり、非凹凸部の幅を調節して接着面積を調整することで初期密着強度Bを調整したりすることもできる。
上述したように、陽極酸化ポーラスアルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成された、いわゆるMoth−Eye構造と呼ばれる微細凹凸構造は、通常の微細凹凸構造よりも凸部間の間隔が狭いため、微細凹凸構造が形成された面は保護フィルムとの接着面積が小さく、保護フィルムが貼着されにくい。従って、成形体の表面に保護フィルムを貼着するには、通常の微細凹凸構造が形成された成形体の表面に貼着する保護フィルムに比べて粘着力の強い粘着剤を含有する粘着剤層を備えた保護フィルム(強粘着保護フィルム)を用いる必要があった。
ところが、Moth−Eye構造の微細凹凸構造は、凸部間の間隔が通常の微細凹凸構造に比べて狭く、表面積が大きい。そのため、時間の経過と共に凹部と保護フィルムとの接着面積が大きくなりやすく、密着強度が経時的に増加し、次第に保護フィルムが剥離しにくくなる挙動があった。
従って、Moth−Eye構造の微細凹凸構造が形成された成形体に保護フィルムを貼着する際には、貼着時の密着強度が低く、しかし、一旦貼着すると時間が経過するに連れて保護フィルムを剥離するのが困難になってしまう特性があった。
しかし、本発明の保護フィルム付き成形体であれば、成形体を図2(a)、(b)に示すような構成とすることにより、すなわち、微細凹凸構造を有する凹凸部と、微細凹凸構造を有さない非凹凸部とが表面に形成された成形体とすることで、図1に示すように保護フィルム20は成形体の非凹凸部で主に接着するようになる。そのため、必要以上に粘着力の強い粘着剤を含有する保護フィルムを用いなくても、成形体の表面に保護フィルムを十分に貼着させることができる。従って、本発明であれば粘着力の弱い粘着剤を含有する粘着剤層を備えた保護フィルムを使用できるので、時間の経過と共に保護フィルム中の粘着剤が微細凹凸構造の凹部に入り込んで接着面積が増えても、粘着剤の粘着力が弱いので容易に保護フィルムを成形体から剥離できる。
よって、本発明の保護フィルム付き成形体は、保護フィルムを貼着しやすく、かつ不用意に剥がれず、さらに意図的に剥がそうとすれば容易に剥離できる。
また、本発明の保護フィルム付き成形体は、以下のようにしてインサート成形により各種部材を成形する場合にも好適である。
すなわち、金型内に保護フィルム付き成形体を配置し、成形体の裏面に充填されるように溶融樹脂を射出し、該溶融樹脂を固化させて各種部材を成形する。
インサート成形の場合、通常、溶融樹脂を固化させる際は保護フィルム付き成形体と溶融樹脂とを熱圧着するため、保護フィルム付き成形体全体に負荷がかかりやすく、成形体の微細凹凸構造の凹部に保護フィルムの粘着剤が入り込みやすい。
従って、従来のように粘着力の強い保護フィルムを用いて成形体の表面を貼着した場合、インサート成形によって粘着力の強い粘着剤が微細凹凸構造の凹部に入り込むため、成形体と保護フィルムとが強固に密着し、保護フィルムが剥離しにくくなる。
しかし、本発明の保護フィルム付き成形体であれば、粘着力の弱い保護フィルムを使用するので、インサート成形時に熱圧着しても、成形体(特に成形体の凹凸部)と保護フィルムとが強固に密着することなく適度な密着強度を維持できるので、容易に保護フィルムを剥離できる。
インサート成形の際に使用する溶融樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
また、インサート成形によって得られる各種部材としては、例えば画像表示装置などの各種ディスプレー、レンズ、水槽などの壁材、照明装置等が挙げられる。
本発明の保護フィルム付き成形体は、例えば図3に示す保護フィルム付き成形体の製造装置30を用いて製造される。
<保護フィルム付き成形体の製造装置>
図3は、保護フィルム付き成形体の製造装置30の一例を示す概略構成図であり、この例の製造装置30は、表面に微細凹凸構造を有するロール状モールド31と、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を収容するタンク32と、空気圧シリンダ33を備えたニップロール34と、活性エネルギー線照射装置35と、剥離ロール36と、空気圧シリンダ37を備えた一対のニップロール38とを具備する。
なお、図3に示す保護フィルム付き成形体の製造装置30は、成形体10を作製した後に、連続して保護フィルム付き成形体を製造する装置である。
(ロール状モールド)
ロール状モールド31は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’に微細凹凸構造を転写させるモールドであり、表面に陽極酸化アルミナを有する。表面に陽極酸化アルミナを有するモールドは、大面積化が可能であり、ロール状モールドの作製が簡便である。
陽極酸化アルミナは、アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト)であり、表面に複数の細孔(凹部)を有する。
表面に陽極酸化アルミナを有するモールドは、例えば、下記(a)〜(e)工程を経て製造できる。
(a)ロール状のアルミニウムを電解液中、定電圧下で陽極酸化して酸化皮膜を形成する工程。
(b)酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(c)ロール状のアルミニウムを電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)細孔の径を拡大させる工程。
(e)前記(c)工程と(d)工程を繰り返し行う工程。
(a)工程:
図4に示すように、アルミニウム39を陽極酸化すると、細孔40を有する酸化皮膜41が形成される。
アルミニウムの純度は、99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.8%以上が特に好ましい。アルミニウムの純度が低いと、陽極酸化した時に、不純物の偏析により可視光を散乱する大きさの凹凸構造が形成されたり、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりすることがある。
電解液としては、硫酸、シュウ酸、リン酸等が挙げられる。
シュウ酸を電解液として用いる場合:
シュウ酸の濃度は、0.7M以下が好ましい。シュウ酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて酸化皮膜の表面が粗くなることがある。
化成電圧が30〜60Vの時、周期が100nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向にある。
電解液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。電解液の温度が60℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
硫酸を電解液として用いる場合:
硫酸の濃度は0.7M以下が好ましい。硫酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて定電圧を維持できなくなることがある。
化成電圧が25〜30Vの時、周期が63nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向がある。
電解液の温度は、30℃以下が好ましく、20℃以下がよりに好ましい。電解液の温度が30℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
(b)工程:
図4に示すように、酸化皮膜41を一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点42にすることで細孔の規則性を向上できる。
酸化皮膜を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
(c)工程:
図4に示すように、酸化皮膜を除去したアルミニウム39を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔40を有する酸化皮膜41が形成される。
陽極酸化は、(a)工程と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
(d)工程:
図4に示すように、細孔40の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔径は大きくなる。
(e)工程:
図4に示すように、(c)工程の陽極酸化と、(d)工程の細孔径拡大処理を繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔40を有する陽極酸化アルミナが形成され、表面に陽極酸化アルミナを有するモールド(ロール状モールド31)が得られる。
繰り返し回数は、合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の直径が減少するため、このような細孔を有する陽極酸化アルミナを用いて製造された硬化物12の反射率低減効果は不十分である。
陽極酸化アルミナの表面は、硬化物12との分離が容易になるように、離型剤で処理されていてもよい。処理方法としては、例えば、シリコーン樹脂またはフッ素含有ポリマーをコーティングする方法、フッ素含有化合物を蒸着する方法、フッ素含有シランカップリング剤またはフッ素含有シリコーン系シランカップリング剤をコーティングする方法等が挙げられる。
細孔40の形状としては、略円錐形状、角錐形状、円柱形状等が挙げられ、円錐形状、角錐形状等のように、深さ方向と直交する方向の細孔断面積が最表面から深さ方向に連続的に減少する形状が好ましい。
細孔40間の平均間隔は、700nm以下が好ましく、550nm以下がより好ましい。
細孔40の深さは、100〜400nmが好ましく、150〜300nmがより好ましい。
細孔40のアスペクト比(細孔の深さ/細孔の開口部の長さ)は、1〜5が好ましく、1.2〜4がより好ましく、1.5〜3が特に好ましい。
なお、細孔の開口部の長さとは、細孔の最深部から深さ方向に細孔を切断したときの断面における開口の長さのことである。
(タンク)
タンク32は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を収容し、ロール状モールド31と、ロール状モールド31の表面に沿って移動する帯状の基材11との間に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を供給する。
(ニップロール)
ニップロール34は、ロール状モールド31に対向して配置される。ニップロール34は、ロール状モールド31と共に基材11および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’をニップする。
ニップ圧は、ニップロール34に備わる空気圧シリンダ33によって調整する。
(活性エネルギー線照射装置)
活性エネルギー線照射装置35は、ロール状モールド31の下方に設置され、活性エネルギー線を照射して、基材11とロール状モールド31の間に充填された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を硬化させる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’が硬化されることにより、基材11上に、ロール状モールド31の微細凹凸構造が転写された硬化物12が形成される。
活性エネルギー線照射装置35としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等を使用できる。この場合の光照射エネルギー量は、100〜10000mJ/cmが好ましい。
(剥離ロール)
剥離ロール36は、活性エネルギー線照射装置35よりも下流側に配置され、表面に硬化物12が形成された基材11をロール状モールド31から剥離する。
(一対のニップロール)
一対のニップロール38は、剥離ロール36の下流側に配置され、成形体10に保護フィルム20を貼着させる。
一対のニップロール38は、外周面がゴム等の弾性部材で形成された弾性ロール38aと、外周面が金属等の剛性が高い部材で形成された剛性ロール38bとからなる。
ニップ圧は、弾性ロール38aに備わる空気圧シリンダ37によって調整する。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’は、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマーを適宜含有するものであり、非反応性のポリマーを含有するものでもよい。また、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物を使用したものであってもよい。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、特に限定されることなく使用できる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート誘導体、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体、(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド誘導体等の単官能モノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、等の三官能モノマー、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能のモノマー、二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレートなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては特に限定はないが、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基などを有するモノマーが挙げられ、これらの中でも特にエポキシ基を有するモノマーが好ましい。
オリゴマーおよび反応性ポリマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物などの不飽和ポリエステル類、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
非反応性のポリマーとしては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、特に限定されないが例えばアルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物などが挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、RSi(OR’)で表せるものが使用でき、RおよびR’は炭素数1〜10のアルキル基を表し、xおよびyはx+y=4の関係を満たす整数である。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシランなどが挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、RO[Si(OR)(OR)O]で表せるものが使用でき、R〜Rはそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、zは3〜20の整数を示す。
具体的にはメチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケートなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物は、通常、硬化のための重合性開始剤を含有する。重合性開始剤としては特に限定されず、公知のものが使用できる。
光反応を利用する場合、光開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド;などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤は例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
熱反応を利用する場合、熱重合開始剤の具体例としては、例えばメチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
重合開始剤の添加量は活性エネルギー線硬化性組成物100質量部に対して0.1〜10質量部である。0.1質量部以上であると、重合が進行しやすく、10質量部以下であると、得られる硬化物が着色したり、機械強度が低下したりすることがない。
また、活性エネルギー線硬化性組成物には、上述したもの以外に、帯電防止剤、離型剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物などの添加剤、微粒子、少量の溶剤などが添加されていてもよい。
<保護フィルム付き成形体の製造>
上述した保護フィルム成形体の製造装置30を用いて、保護フィルム成形体を製造する方法の一例を説明する。
(成形体の作製)
まず、成形体10を作製する。
具体的には、図3に示すように、回転するロール状モールド31の表面に沿うように帯状の基材11を搬送させ、基材11とロール状モールド31との間に、タンク32から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を供給する。
さらに、ロール状モールド31と、空気圧シリンダ33によってニップ圧が調整されたニップロール34との間で、基材11および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’をニップし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を、基材11とロール状モールド31との間に均一に行き渡らせると同時に、ロール状モールド31の微細凹凸構造の凹部内に充填する。
ついで、ロール状モールド31の下方に設置された活性エネルギー線照射装置35から、基材11を通して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を硬化させることによって、ロール状モールド31の表面の微細凹凸構造が転写された硬化物12を形成する。
ついで、剥離ロール36により、表面に硬化物12が形成された基材11を剥離することによって、成形体10を得る。
図4に示すような細孔40を転写して形成された硬化物12の表面は、いわゆるMoth−Eye構造となる。
図2(a)に示すような、凹凸部13が硬化物12の表面に相当し、非凹凸部14が露出した基材11の表面に相当する成形体10を得るためには、タンク32から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を供給する量(供給量)を調整すればよい。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’はタンク32から供給されると基材11上に広がるが、供給量が多いほど基材11上に広がる範囲が増える。従って、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’が基材11の表面全域に行渡らないように供給量を調整することで、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’が行渡った部分のみにロール状モールド31の表面の微細凹凸構造が転写され、凹凸部13と非凹凸部14が表面に形成された成形体10が得られる。非凹凸部14の幅Wは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’の供給量で調節できる。
また、周縁部に微細凹凸構造が形成されていないロール状モールドを用いたり、ロール状モールドの周縁部にカバーなどを設けたりすることでも、図2(a)に示すような成形体10が得られる。さらに、この方法を用い、かつ基材11の表面全域に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’が行渡るように供給量を調整すれば、図2(b)に示すような、硬化物12の表面に、凹凸部13と非凹凸部14が形成された成形体10が得られる。
このようにして製造された成形体10は、陽極酸化アルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成された微細凹凸構造を有する凹凸部と、該微細凹凸構造を有さない非凹凸部とが表面に形成される。
(保護フィルムの貼着)
次に、得られた成形体10の表面に、保護フィルム20を貼着する。
具体的には、先に得られた成形体10を一対のニップロール38の間に通過させると同時に、保護フィルム繰り出し機(図示略)から繰り出される保護フィルム20を、微細凹凸構造が形成された側の表面に貼着するように、成形体10と一対のニップロール38の間に供給する。
このとき、成形体10は、成形体10の裏面(微細凹凸構造が形成されていない側の面)が剛性ロール38bに接触するように、弾性ロール38aと剛性ロール38bとの間に成形体10を送り込まれる。
一方、保護フィルム20は、粘着剤層22が成形体10の表面(微細凹凸構造が形成された側の面)に接触し、フィルム基材21が弾性ロール38aと接触するようにして、弾性ロール38aと成形体10の間に送り込まれる。
ついで、成形体10の表面に保護フィルム20の粘着剤層22が接触した状態で、成形体10と保護フィルム20を弾性ロール38aと剛性ロール38bとの間で挟持し、空気圧シリンダ37によって一対のニップロール38のニップ圧を調整しながら、成形体10に保護フィルム20を貼着する。こうして、図1に示すような、成形体10の表面、すなわち凹凸部および非凹凸部に保護フィルム20が接着した保護フィルム付き成形体1を得る。
なお、成形体10の表面は、保護フィルム20を介して弾性ロール38aと接触することになるので、微細凹凸構造が変形したり破損したりしにくい。
保護フィルムとしては、上述したような方法で別途作製したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよい。
保護フィルム付き成形体は、上述したように成形体を作製した後に連続して保護フィルムを貼着して製造するのが、保護フィルムの貼着目的(汚れ付着の防止や、微細凹凸構造の形状維持)や製造コストを考慮すると好ましいが、これに限定されず、成形体を作製した後、成形体を一旦回収し、別の製造ラインに移して保護フィルムを貼着してもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)モールドの細孔の測定
表面に陽極酸化アルミナが形成されたモールドの縦断面または表面を1分間プラチナ蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7400F」)を用いて、加速電圧3.00kVの条件にて、断面または表面を観察し、酸化皮膜の厚さ、細孔の開口部の長さ、細孔の深さを測定した。各測定は、それぞれ10点について行い、平均値を求めた。
(2)微細凹凸構造の測定
成形体の縦断面または表面を5分間プラチナ蒸着し、(1)と同様にして微細凹凸構造の凸部間の間隔、凸部の高さを測定した。各測定は、それぞれ10点について行い、平均値を求めた。
(3)凹凸部に対する保護フィルムの密着強度の測定
密着強度の測定は、テンシロン試験機(ORIENTEC社製、「テンシロンRTC−1210」)に保護フィルム付き成形体をセットし、10Nのロードセルを使用して、JIS Z−0237に準拠して、凹凸部と保護フィルムが接着している箇所において180°引き剥がし試験を行うことで、凹凸部に対する保護フィルムの密着強度Aを測定した。
なお、保護フィルム付き成形体の製造後1時間以内に測定したものを初期密着強度Aとし、保護フィルム付き成形体を1年間高温常湿(40℃、50%)の環境下で保管した後に測定したものを1年後密着強度Aとした。
(4)非凹凸部に対する保護フィルムの密着強度の測定
(3)と同様にして、非凹凸部と保護フィルムが接着している箇所において180°引き剥がし試験を行うことで、非凹凸部に対する保護フィルムの密着強度Bを測定した。
なお、保護フィルム付き成形体の製造後1時間以内に測定したものを初期密着強度Bとし、保護フィルム付き成形体を1年間高温常湿(40℃、50%)の環境下で保管した後に測定したものを1年後密着強度Bとした。
[実施例1]
<ロール状モールドの作製>
純度99.90%のアルミニウムインゴットに鍛造処理を施して、直径200mm、内径155mm、厚さ350mmに切断した圧延痕のない円筒状アルミニウム原型に羽布研磨処理を施した後、これを過塩素酸、エタノール混合溶液中(体積比1:4)で電解研磨し鏡面化した。
ついで、表面が鏡面化されたアルミニウム原型を、0.3Mシュウ酸水溶液中で、浴温16℃において直流40Vの条件下で30分間陽極酸化を行い、厚さ3μmの酸化皮膜を形成した(工程(a))。形成された酸化皮膜を、6質量%のリン酸と1.8質量%のクロム酸混合水溶液中で一旦溶解除去した(工程(b))後、再び工程(a)と同一条件下において、30秒間陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した(工程(c))。その後、5質量%リン酸水溶液(30℃)中に8分間浸漬して、酸化皮膜の細孔を拡径する孔径拡大処理(工程(d))を施した。
さらに工程(c)と工程(d)を繰り返し、これらを合計で5回追加実施することで(工程(e))、細孔の開口部の長さ:100nm、深さ:230nmの略円錐形状のテーパー状細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状モールドを得た。
ついで、離形剤であるダイキン工業社製、「オプツールDSX(商品名)」の0.1質量%溶液にロール状モールドを10分間ディッピングし、24時間風乾して離形処理し、酸化皮膜表面のフッ素化処理を行った。
<保護フィルム付き成形体の製造>
得られたロール状モールドを図3に示す保護フィルム付き成形体の製造装置30に設置し、以下のようにして成形体を作製し、連続して保護フィルム付き成形体を製造した。
まず、図3に示すように、ロール状モールド31を冷却水用の流路を内部に設けた機械構造用炭素鋼製の軸芯にはめ込んだ。ついで、下記の組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’をタンク32から室温で供給ノズルを介して、ニップロール34とロール状モールド31の間にニップされている基材(東洋紡社製PETフィルム、「A4300(商品名)」、フィルム幅340mm、長さ400m)11上に供給した。この際、空気圧シリンダ33によりニップ圧が調整されたニップロール34によりニップされ、ロール状モールド31の凹部内にも活性エネルギー線硬化性組成物12’が充填される。このとき、硬化・賦形される微細凹凸構造が、基材11の幅(フィルム幅)に対して300mm幅になるように、かつ、基材11の両端から中央部にかけてそれぞれ20mmの範囲に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’が行渡らないように、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’の供給量を調整した。
ついで、毎分7.0mの速度でロール状モールド31を回転させながら、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’がロール状モールド31と基材11の間に挟まれた状態で240W/cmの紫外線照射装置35から紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を硬化・賦型して硬化物12とした後、剥離ロール36によりでロール状モールド31から剥離して、図2(a)に示すような、表面に微細凹凸構造を有する凹凸部13と、微細凹凸構造を有さない非凹凸部14を備えた成形体(透明シート)10を得た。
ついで、成形体10の裏面(微細凹凸構造が形成されていない側の面)が剛性ロール38bに接触するように、成形体10を弾性ロール38aと剛性ロール38bの間に送り込んだ。
一方、保護フィルム20(サンエー化研社製、「PAC−4−50(商品名)」)の粘着面が、成形体10の表面(微細凹凸構造が形成された側の面)に接触するようにして、保護フィルム20を弾性ロール38aと成形体10の間に送り込んだ。
そして、空気圧シリンダ37によって一対のニップロール38のニップ圧を調整しながら、成形体10の表面に保護フィルム20を貼着し、図1に示すような保護フィルム付き成形体1を得た。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
トリメチロールエタンアクリル酸・無水コハク酸縮合エステル:45質量部
ヘキサンジオールジアクリレート:45質量部
信越化学社製商品名「x−22−1602」:10質量部
チバ・スペシャリティケミカルズ社製商品名「イルガキュア184」:2.7質量部
チバ・スペシャリティケミカルズ社製商品名「イルガキュア819」:0.18質量部
<評価>
製造直後(製造から60分以内)の保護フィルム付き成形体1について、保護フィルム20を成形体10から剥離し、微細凹凸構造を測定した。結果を表1に示す。
また、保護フィルム付き成形体1について、凹凸部および非凹凸部に対する保護フィルムの密着強度を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
保護フィルムとして、スミロン社製の「EC−2035(商品名)」を使用した以外は、実施例1と同様にして保護フィルム付き成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
保護フィルムとして、スミロン社製の「EC−410−02B(商品名)」を使用した以外は、実施例1と同様にして保護フィルム付き成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005243188
表1より明らかなように、実施例1で得られた保護フィルム付き成形体は、凹凸部に対する保護フィルムの粘着力が低すぎたため、初期密着強度Aおよび1年後密着強度Aは測定不能であった。一方、初期密着強度Bおよび1年後密着強度Bは共に0.1N/25mmであった。
また、実施例2で得られた保護フィルム付き成形体は、初期密着強度Aが0.03N/25mm、1年後密着強度Aが0.5N/25mmであり、初期密着強度Bおよび1年後密着強度Bは共に0.4N/25mmであった。
さらに、製造直後の保護フィルム付き成形体から保護フィルムを剥離し成形体の表面を確認したところ、実施例1、2共に、凹凸部には平均間隔100nm、高さ230nmの凸部が形成され、ロール状モールドの微細凹凸構造が良好に転写された微細凹凸構造が形成されていた。
実施例1、2の場合、初期密着強度A、Bの測定結果から示唆されるように、保護フィルムに含まれる粘着剤の粘着力が比較例に比べて弱い。従って、保護フィルムが成形体に貼着した状態で1年間高温常湿の環境下で保管することで、微細凹凸構造の凹部に粘着剤が入り込んでも粘着剤の粘着力が弱いので、成形体の凹凸部における保護フィルムの密着強度は必要以上に上昇せず、保護フィルムを容易に剥離することができた。
なお、実施例1、2で得られた保護フィルム付き成形体は、保護フィルムに含まれる粘着剤の粘着力が弱く、成形体の凹凸部においては接着面積が小さいので保護フィルムが貼着しにくかったものの、成形体の非凹凸部においては十分な接着面積を確保できたので、保護フィルムが剥離できる程度に貼着できた。また、時間が経過しても非凹凸部における保護フィルムの密着強度は変化せず、容易に保護フィルムを剥離できた。
一方、比較例1で得られた保護フィルム付き成形体は、初期密着強度Aが0.10N/25mm、初期密着強度Bが0.5N/25mmであった。この保護フィルム付き成形体を1年間高温常湿の環境下で保管した後、1年後密着強度Aを測定したところ、凹凸部に対する保護フィルムの粘着力が高すぎ、保護フィルムが剥がれなかった。さらに測定を続けたところ、保護フィルムが伸びてちぎれてしまい、測定不能であった。一方、1年後密着強度Bを測定したところ、その値は0.5N/25mmであった。
なお、製造直後の保護フィルム付き成形体から、保護フィルムを剥離して成形体の表面を確認したところ、凹凸部には実施例1、2と同様の凸部が形成されていた。
比較例1の場合、製造直後の保護フィルム付き成形体は保護フィルムを剥離することができた。しかし、初期密着強度Aの値が0.1N/25mmと高く、保護フィルムに含まれる粘着剤の粘着力が、実施例1、2で用いた保護フィルムに含まれる粘着剤に比べて強い。従って、保護フィルムが成形体に貼着した状態で1年間高温常湿の環境下で保管すると、微細凹凸構造の凹部に粘着力の強い粘着剤が入り込み、接着面積が増えることで成形体の凹凸部において保護フィルムが強固に接着し、保護フィルムを剥離することが困難であった。なお、成形体の非凹凸部においては、時間が経過しても保護フィルムの密着強度は変化せず、容易に保護フィルムを剥離できた。
本発明の保護フィルム付き成形体の一例を示す縦断面図である。 (a)は本発明の保護フィルム付き成形体に用いる成形体の一例を示す縦構成図であり、(b)は成形体の他の例を示す縦構成図である。 本発明の保護フィルム付き成形体に用いる成形体の製造装置の一例を示す概略構成図である。 表面に陽極酸化アルミナを有するモールドの製造工程を示す断面図である。
符号の説明
1 保護フィルム付き成形体
10 成形体
11 基材
12 硬化物
13 凹凸部
14 非凹凸部
20 保護フィルム
21 フィルム基材
22 粘着剤層

Claims (3)

  1. 微細凹凸構造を有する凹凸部と、微細凹凸構造を有さない非凹凸部が表面に形成された成形体に、該成形体の表面を保護する保護フィルムが貼着した保護フィルム付き成形体であって、
    前記凹凸部に対する前記保護フィルムの初期密着強度が0.03N/25mm以下であり、かつ、前記非凹凸部に対する前記保護フィルムの初期密着強度よりも小さいことを特徴とする保護フィルム付き成形体。
  2. 前記非凹凸部に対する前記保護フィルムの初期密着強度が0.031〜1N/25mmであることを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム付き成形体。
  3. 前記微細凹凸構造の隣り合う凸部間の平均間隔が、可視光の波長以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の保護フィルム付き成形体。

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