JP2006255923A - 光学素子の製造方法,光学素子およびミラーレンズならびに走査レンズ - Google Patents

光学素子の製造方法,光学素子およびミラーレンズならびに走査レンズ Download PDF

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Abstract

【課題】大面積および/または曲面を有する光学素子に対して作業効率よく反射防止機能を具備させる。
【解決手段】スタンプ型として使用される円錐凹形状6を有する平板部材5を支持する上型8と、大面積平板部材7として加工される樹脂製シート9を支持する下型10とを使用し、上型8に平板部材5を加熱するためのカートリッジヒーターを設け、図4(b)に示すように、樹脂製シート9を前記平板部材5によりスタンプする。そして図4(c)に示すように、前記上型8を順次移動させて、スタンプしていくことによって、円錐凸形状3を有する大面積平板部材7を作製する。
【選択図】図4

Description

本発明は、基材表面の少なくとも一部に反射防止部を設けた光学素子の製造方法、および該製造方法により製造される各種光学素子、例えばミラーレンズ,走査レンズに関するものである。
従来、ガラス,プラスチックなどの透光性基板を用いた光学素子においては、表面反射による光を減少させるために、基板の光入射面に反射防止膜を設けるなどの表面処理が施されている。可視光のごとく波長域を有する光に対する反射防止膜としては、薄膜の誘電体膜を重畳させた多層膜のものが知られている。これら多層膜は、透光性基板表面に真空蒸着などにより、金属酸化物などの薄膜を成膜して形成されている。
また、反射を防止するための表面処理の他の方法として、光学素子表面に微細かつ緻密な凹凸形状を形成する方法がある。一般に、光学素子表面に周期的な凹凸形状を設けた場合、ここを光が透過するときには回折が発生し、透過光の直進成分が大幅に減少する。しかし、凹凸形状のピッチが透過する光の波長より短い場合には回折は発生せず、例えば凹凸形状を後述するような矩形としたときに、そのピッチや深さなどに対応する単一波長の光に対して有効な反射防止効果を得ることができる。
さらに、凹凸形状を矩形とするのではなく、山と谷、すなわち光学素子材料側と空気側の体積比が連続的に変化するような、いわゆる錘形状にすることにより、広い波長域を有する光に対しても反射防止効果を得ることができる(後述する)。
しかしながら、上述した光学素子表面上に誘電体薄膜を用いた反射防止膜を成膜する方法では、誘電体薄膜の層数が少ない場合には、波長域を有する光に対して反射防止効果を得ることは難しい。そして、広い波長域で反射防止効果を得るためには、多数の誘電体薄膜を成膜する必要がある。さらに、光の入射角によって反射率が変化することを抑制するためには、より多くの誘電体薄膜を積層する必要があり、要求される性能によっては十数層から数十層になることもある。
また、誘電体薄膜の形成を真空蒸着により行う場合、膜厚がばらつき、性能が安定しないという問題がある。さらには、光学素子となる基板を成型後、別工程で基板表面に誘電体薄膜を形成しなければならないため、歩留まりが悪くなり、ひいてはコストアップの要因となっていた。
反射防止膜は、基本的に光の干渉を利用して反射光を打ち消しているため、各誘電体薄膜を成膜する際には、材料の屈折率および膜厚を高精度に制御する必要があるため、薄膜を積層する層数の増加に伴ってコストアップとなる。また、同じく薄膜を積層する層数が増加するに従い、光学素子である基板の反りなどが発生し、歩留まりの低下を招くという問題がある。
さらに、薄膜形成の場合、分光特性は膜材の物性、特に屈折率に影響される。成膜条件によって、屈折率がばらつくという問題もある。さらには膜材も限られており、理想的な分光特性を得ることが難しい。
一方、光学基板上に錘形状の突起を設ける構成が有効である。また、より広い波長域を有する光に対して反射防止効果を得るためには、突起のピッチPに対する高さの比であるアスペクト比が大きい方が望ましい。例えば、特許文献1に記載されているように、金型に形成する微細な錘形状の連続パターンの突起部におけるアスペクト比が1以上に設定されていることが効果的である。
具体的な微細な錘形状のサイズとしては、特許文献2に記載されているように、波長λ,屈折率n,微細構造の間隔a,高さcにより計算すると、λ<2.5c,λ>naに制御することにより、所望の反射防止効果を付与することができる。
微細構造の作製方法としては、特許文献3に記載されているように、目的とする光学素子の反転形状の成形面を成形型に形成し、次いで成形面にエッチング速度傾斜材料からなる層を形成し、この傾斜材料層を、マスクを介してエッチングして前記成形面に多数の微細な凹部を略稠密状に形成する方法、あるいは特許文献4に記載されているように、アルミニウムを陽極酸化し、得られた陽極酸化皮膜をアルミニウムから剥離し、陽極酸化ポーラスアルミナ低部のアルミナを湿式法あるいは乾式法でエッチングして陽極酸化ポーラスアルミナを貫通させ、この貫通させた陽極酸化ポーラスアルミナをシリコン基体上に配置し、陽極酸化ポーラスアルミナをマスクにしてシリコン基体を湿式法あるいは乾式法でエッチングする方法、あるいは特許文献5に記載されているように、フォトレジストを露光,現像して得る方法、あるいは特許文献6に記載されているように、基材上に塗布形成した有機金属化合物を含むゾルゲル液の塗布膜に対して、賦形型を押圧後に離型して、前記塗布膜の表面に微細凹凸を賦形して微細凹凸層とするゾルゲル法などがある。
特開2004−279705号公報 特許第3368225号公報 特開2004−12856号公報 特開2003−43203号公報 特開2004−50792号公報 特開2003−340844号公報 特開平9−304713号公報 特開2004−155083号公報 特開2003−98351号公報 特開2003−154555号公報
従来では上述した方法により、表面に微細な錘形状を作製することが試みられているが、大面積化,曲面化には課題がある。
反射防止構造を適用する光学素子としては、導光板などのような平板形状以外にも、例えば、プリンタなどの画像形成装置における走査レンズ、あるいは特許文献7に記載されるような全反射型ミラーレンズなどのように、大面積,曲面形状を有する光学素子も考えられる。プリンタなどの走査光学系ミラーは、通常、光を透過することはないが、上記のようなミラーの裏面反射を使用する設計も考えられる。
また、電子写真式画像形成装置の光学系において、レンズなどの散乱反射光が、回転多面鏡に戻り、再度反射されて感光体上に静止ゴーストと呼ばれるスジを発生する不具合がある。上記のような光学素子では入射角度が大きく、また反射防止の波長域も広く要求される場合がある。
曲面化に対しては、特許文献8に記載されているように、少なくとも一方の面に、曲面を有するマスタ光学部材を用意する工程と、前記マスタ光学部材の曲面へ導電層を形成する工程と、前記導電層面への電着レジストを塗布する工程と、前記電着レジストに、露光部および未露光部を備えるパターンを有するマスクパターンを介して露光する工程と、露光後、電着レジストを現像して微細な凹凸を形成する工程と、前記微細な凹凸を有する光学部材から複製版材を作製する工程とにより製造する方法があるが、装置が大掛かりになる場合や、製造時間が長くなり、製造コストがかかるなどの不具合がある。
また、特許文献9に記載されているように、少なくとも一面に曲面部を有し、少なくとも前記曲面部に対して電子ビームを走査することにより描画パターンが描画される被描画基材において、前記曲面部に、該曲面部に入射する少なくとも互い垂直な方向に振動する各直線偏光のうち、一方の直線偏光と他方の直線偏光とに位相差を生じせしめる複屈折位相構造を設けることにより、3次元的な描画で曲面部を描画する際に合わせ、サブ波長オーダーの凹凸による周期構造を描画する方法もあるが、電子ビーム露光装置などの設備投資もかかり、また製造時間が長くなる不具合がある。
また、金型部材を直堀りできる加工法として、FIB(集束イオンビーム)などのスパッタリング加工が考えられる。前処理(マスク処理,レジスト処理など)を必要としない簡便な方法であり、また波長以下の微細加工も可能であるが、大面積を加工する場合、あるいは曲面を加工するには製造時間が長くなる不具合がある。
さらに、従来のフォトリソグラフィなどによる加工では、大面積化,曲面化に際して、作業能率が悪く、工業製品に必要な生産性は得られないという問題がある。
本発明の目的は、前記従来の課題を解決し、大面積および/または曲面を有する光学素子に対して作業効率よく反射防止機能を具備させることができる光学素子の製造方法、およびその製造方法によって製造される光学素子,ミラーレンズ,走査レンズを提供することにある。
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、基材表面の少なくとも一部に反射防止部を設けた光学素子の製造方法において、平板部材に周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を作製する工程と、さらに前記平板部材に前記周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を反転コピーして大面積化する工程により作製された金駒を用いて、反射防止構造を有する光学素子を製造することを特徴とし、この方法によって、周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を大面積に形成することができるため、反射防止機能を有した大口径の光学素子を効率的に製造することができる。
請求項2に記載の発明は、曲面を有する基材表面の少なくとも一部に反射防止部を設けた光学素子の製造方法において、周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を有する平板部材を、所望の曲面に変形する工程と、前記曲面化した部材を反転コピーする工程とにより作製された金駒を用いて、曲面に反射防止構造を有する光学素子を製造することを特徴とし、この方法によって、周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を有する曲面を形成することができるため、曲面に反射防止機能を有した光学素子を効率的に製造することができる。
請求項3に記載の発明は、曲面を有する基材表面の少なくとも一部に反射防止部を設けた光学素子の製造方法において、平板部材に周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を作製する工程と、さらに前記平板部材に前記周期的なサブ波長オーダー凹凸形状を反転コピーして大面積化する工程と、前記周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を有する平板部材を所望の曲面に変形する工程と、前記曲面化した部材を反転コピーする工程とにより作製された金駒を用いて、曲面に反射防止構造を有する光学素子を製造することを特徴とし、この方法によって、周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を大面積かつ曲面に形成することができるため、曲面に反射防止機能を有した大口径の光学素子を効率的に製造することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3いずれか1項記載の光学素子の製造方法において、周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を、FIB加工のデジタルスキャンにより作製することを特徴とし、この方法によって、金型部材を直堀りすることができ、前処理を必要としない簡便な方法(マスクレス,レジストレス)になり、また波長以下の微細加工を行うことができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3いずれか1項記載の光学素子の製造方法において、平板部材に周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を大面積化する工程において、周期的な円錐凹形状を有する部材をスタンプ型としたホットインプリントにより作製することを特徴とし、この方法によって、汎用のプレス装置により簡易に微細構造を反転コピーすることが可能になり、かつ大面積化することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項2または3記載の光学素子の製造方法において、周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を有する平板部材を所望の曲面に変形する工程において、可撓性を持つ平板部材を加熱することにより軟化させ、かつ保持部材に沿うように吸着する加熱吸着処理を採用したことを特徴とし、この方法によって、曲面に直接、微細構造を製造する必要がなくなり、微細構造を有する曲面を低コストにて製造することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項2または3記載の光学素子の製造方法において、曲面に変形された可撓性部材を反転コピーする工程として電鋳を採用したことを特徴とし、この方法によって、優れた転写特性を有し、所望の円錐凹形状を有する金駒を製造することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7記載の光学素子の製造方法において、電鋳により作製された金駒を用いて、高速射出成形により光学素子を製造することを特徴とし、この方法によって、金駒が有する周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を忠実に転写させることができ、形状精度に優れた光学素子を低コストに製造することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8いずれか1項記載の光学素子の製造方法により製造されたことを特徴とする光学素子であって、曲面および/または反射防止機能を大面積に有した光学素子となり、特に波長以下の連続した錘形状を具備する光学素子となる。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜8いずれか1項記載の光学素子の製造方法により製造されたことを特徴とする画像形成装置の走査光学系に使用されるミラーレンズであって、反射防止効果により、ゴーストなどの問題のない優れた光学特性を有し、また透過面の外形形状によって出射角を調整することが可能になる。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜8いずれか1項記載の光学素子の製造方法により製造されたことを特徴とする画像形成装置の走査光学系に使用される走査レンズであって、反射防止効果により、省電力な光学系を実現することができ、また優れた光学特性を有する。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜8いずれか1項記載の光学素子の製造方法により製造された光学素子であって、反射防止部を凸部形状にて構成し、該凸部形状を円錐形状としたことを特徴とし、この構成によって、凹凸形状の山と谷、すなわち光学素子材料側と空気側の体積比が連続的に変化し、屈折率を連続的に変化させることにより、広い波長域を有する光に対しても反射防止効果を得ることができる。また、錘形状であることにより、成形工程の離型性にも優れ、高精度に転写された光学素子となる。
請求項13に記載の発明は、請求項12記載の光学素子において、反射防止部を構成する凸部の形状が、光学面の外形形状に対して垂直に配列されていることを特徴とし、この構成によって、曲面化工程を低コストで行うことができる。
請求項14に記載の発明は、請求項12または13記載の光学素子において、反射防止部を構成する凸部の形状が、少なくとも可視光波長以下の周期性をもって凹凸状に形成されていることを特徴とし、この構成によって、凸形状のピッチが透過する光の波長より短いため回折は発生せず、広い波長域を有する光に対して有効な反射防止効果を得ることができる。
請求項15に記載の発明は、請求項12〜14いずれか1項記載の光学素子において、反射防止部を構成する凸部の間隔をLとし、光学素子が使用される波長をλとし、光学素子材料の屈折率をnとしたとき、λ>nLを満たすことを特徴とし、この構成によって、広い波長域を有する光に対して有効な反射防止効果を得ることができ、また入射角度の影響が少ない反射防止効果を得ることができる。
請求項16に記載の発明は、請求項12〜15いずれか1項記載の光学素子において、反射防止部を構成する凸部の高さをHとし、光学素子が使用される波長をλとしたとき、λ<2.5Hを満たすことを特徴とし、この構成によって、広い波長域を有する光に対して有効な反射防止効果を得ることができ、また入射角度の影響が少ない反射防止効果を得ることができる。
請求項17に記載の発明は、請求項12〜16いずれか1項記載の光学素子において、反射防止部を構成する凸部の高さをHとし、底面の幅をDとしたとき、光学面の傾斜角θが、θ<90°−tan−1(2H/D)を満たすことを特徴とし、この構成によって、アンダカットになることがなく、成形工程の離型性にも優れ、高精度に転写された光学素子を製造することが可能になる。
本発明によれば、周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を大面積および/または曲面に形成することにより、反射防止機能を具備した大面積および/または曲面を有するミラーレンズ,走査レンズなどの光学素子を効率的に製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態1を説明するためのプリンタなどの走査光学系に使用される反射ミラーの概略を示す斜視図である。
図1において、反射ミラー1は、曲面を有し、かつ反射防止機能を有した大口径光学素子である。図1における上面が微細な凹凸からなるパターンを有する転写面2であって、該転写面2には反射防止のために微小な円錐凸形状3が設けられている。円錐凸形状3は、図面では分かりやすくするため実際よりも大きく示している。
実際には、転写面2の対向面である反射面4にアルミニウムなどを蒸着して反射面として使用する。その際に、転写面2側に無反射構造を持たないと、ゴーストなどの不具合が発生する。また材料は、日本ゼオン社製の熱可塑性非晶性樹脂であるシクロオレフィンポリマーZeonex(商品名)樹脂である。
Zeonex(商品名)樹脂の特性は次の通りである。
〔MFR 20g/10min(280℃) 試験方法JIS K6719〕
〔HDT 123℃(18.6kgf、アニール無し) 試験方法ASTM D648〕
〔ガラス転移温度 138℃ 試験方法JIS K7121〕
〔屈折率n 1.525 試験方法ASTM D542〕
また本例では、反射ミラー1の形状寸法は、長手寸法:150mm、短手寸法:30mm、肉厚:8mm、光学面最大傾斜角15°、円錐底面の直径D:200nm、円錐ピッチL:250nm、円錐高さH:320nmである。
反射ミラー1の微細構造は、円錐ピッチLが250nm、屈折率nが1.525であるため、波長λとすると、λ>nLから波長380nmまでの広範囲な波長に対して反射防止機能を有する。また、円錐高さHが200nmであるため、λ<2.5Hから波長λ800nmまでの広範囲な波長に対して反射防止機能を有する。
さらに、反射ミラー1の光学面最大傾斜角は15°であり、θ<90°−tan−1(2H/D)を十分満たすことにより、後述する成形工程の離型においてアンダカットになることはない。
次に、本実施形態に係る前記反射ミラーの製造に係る金駒作製方法を工程順に説明する。
工程1において、微小エリアに周期的な円錐凹形状を作製する。
具体的には、STVAX(ウッデホルム社製SUS鋼)製の平板母材に無電解Ni―P(P含有率11wt%)めっきを100μm成膜した後、LAP研磨を施し、精度Ra30nm程度の非晶性Ni鏡面を準備する。次に、前記非晶性Ni鏡面にFIB加工(セイコーインスツルメンツ社製FIB−SMI2050MS2による)のデジタルスキャンにて前記円錐サイズの円錐凹形状を500μm角のエリアに作製する。FIB加工は、―Beam Condition:Fine、Dwell Time;1s、Etch type;Blankingless、Scan mode;normal―の条件下で行った。
図2に作製された平板部材5を示す。図2における(a)は平面断面図、(b)は側面図、(c)は正面図であって、ここで円錐凹形状6は図面では分かりやすくするため実際よりも大きく示している。
このように周期的な円錐凹形状の作製にFIB加工を用いることにより、金型部材を直堀りすることができ、前処理(マスク処理,レジスト処理など)を必要としない簡便な方法となり、また波長以下の微細加工を行うことができる。
工程2において、平板部材5をスタンプ型として、ホットインプリントにより円錐凹形状6を反転コピーして大面積化する。作製された円錐凸形状3を有する大面積平板部材7を図3に示す。スタンプされる大面積平板部材7の材料はポリエステル樹脂である。
工程2の概略説明図を図4(a)〜(c)に示す。
図4(a)に示すように、スタンプ型として使用される前記平板部材5を支持する上型8と、大面積平板部材7として加工される樹脂製シート9を支持する下型10とから構成されている。上型8は平板部材5を加熱するための図示しないカートリッジヒーターを有しており、図4(b)に示すように、樹脂製シート9を平板部材5によりスタンプする。そして図4(c)に示すように、上型8を順次移動させて、スタンプしていくことによって、前記円錐凸形状3を有する大面積平板部材7を作製する。
なお、平板部材5としては、次工程における曲面化のために可撓性と延伸性を有する必要があり、例えば東レ社製のルミナー(商品名)、あるいは東洋紡社製のコスモシャイン(商品名)などを用いることができる。
このように微細構造を大面積化する工程をホットインプリントにより行うことにより、汎用のプレス装置により簡易に微細構造を反転コピーし、かつ大面積化することができている。
工程3において、大面積平板部材7を所望の曲面に変形する。
工程3の概略説明図を図5(a),(b)に示す。図5(b)の上図は大面積平板部材7を保持する保持部材11の断面正面図、また下図は保持部材11の平面図であって、保持部材11は、保持部材11を加熱するための図示しないカートリッジヒーターと減圧用の流路11aにより構成されている。流路11aは図示しない減圧用の真空ポンプに連結されている。
この工程3は、可撓性を有する平板部材7を加熱することにより軟化させ、かつ保持部材11に沿うように流路11aにより吸着する加熱吸着工程であって、平板部材7を変形させる工程である。加熱温度は、本例では平板部材7のガラス転移温度以下で5分間加熱する。加熱により、平板部材7が軟化するが、上面に作製された円錐凸形状3が変形することはなく、平板部材7は保持部材11に沿う。
なお、加熱方法としては、本実施形態のようなカートリッジヒーター以外にも、リングヒーターあるいはフィルムヒーターなどを採用することも考えられる。
工程3において、平板部材7と保持部材11の界面は、流路11aからの吸引によって大気圧以下に減圧されている。実際には、図示しないフッ素系樹脂製O形リングを用いたり、外周部に、粘度0.5Pa・Sのシリコンオイルが塗布したりして、界面外周部を密封している。本実施形態では、流路11aからの吸引を通じて減圧することにより、保持部材11の表面に沿わせることで所望の形状を作製している。
このようにすることにより、大口径の光学素子を所望の曲面に変形することができる。ただし、前記方法は、曲面化する平板部材7と保持部材11が溶融固着により密着しているわけではなく、微小な隙間が存在する。前記隙間に真空圧が侵入することによって吸着力が全面に均等に作用して吸着される。そのため、界面での滑りが生じ、両者の膨張収縮差によって歪みが生じることはない。
前記平板部材7としては、可撓性を持つ部材であれば適用可能である。例えば、延伸性ポリエステルフィルム,ポリエチレン,ポリプロピレン、あるいは塩化ビニルなどの引張強度500kgf/mm以上の比較的柔軟性の高い熱収縮フィルムを採用することができる。
このように、平板部材7を曲面化する工程を、前記のような加熱吸着法で行うことにより、曲面に微細構造を直接製造する必要がなく、微細構造を有する曲面を低コストで製造することができる。
工程4において、曲面化された部材を反転コピーする。図示しないが本例では電鋳により、後工程で使用する金駒を作製する。
すなわち、前工程で得られた曲面化された平板部材7をNi電鋳槽内に入れて、その表面にNi層を形成し、電鋳加工後、Ni電鋳層が設けられた曲面化された部材を電鋳槽から取り出し、母型溶融除去薬液槽内に入れて、母型である曲面化された母材を溶かして除去している。Ni電鋳層は厚さ6mmまで作製し、裏面および側面を研削加工した後、次工程5において金駒12として使用する。電鋳加工は、電鋳槽内に母型となる曲面化された平板部材7と電鋳金属材料であるNiからなるプラス電極とを挿入し、被電鋳金属材料をマイナス極に接続して行われる。
金駒製造工程を、微細構造を有する曲面部材を電鋳する工程により行うことにより、優れた転写特性を有し、所望の円錐凹形状を有する金駒を製造することができる。
工程5において、前記金駒12を用いて高速射出成形により成形工程を行う。
工程5に使用する射出成形用金型13の例を断面概略図として図6に示す。射出成形用金型13は、成形品の転写面2に相当する微細な凹凸からなるパターンを形成する金駒12と、転写面2の対向面を形成するキャビティ入れ子14とで構成されたキャビティ15を有している。
また、キャビティ入れ子14はキャビティ15内を脱気するためのガスベントを有しており、ガスベントはバルブを介して図示しない真空ポンプに連結しておく。また、キャビティ15およびキャビティ15への樹脂充填箇所を含む成形空間を密閉するためのO形リングをPL面に備えている。
さらに、射出成形用金型13には、キャビティ15周辺を加熱するために、図示しないカートリッジヒーターと熱電対とを具備し、これらのカートリッジヒーターと熱電対を金型外部に備えられた温度制御装置に連結しておく。
次に,工程5における各部の動作について説明する。
射出成形用金型13を図示しない射出成形機(ファナック社製 超高速射出成形機 SUPERSHOT100i)にセットし、反射ミラー1の成形を行う場合を説明する。
射出成形用金型13は使用樹脂材料のガラス転移温度直下の135℃になるようにカートリッジヒーターで加熱しておく。さらに、ガスベントから真空ポンプによりキャビティ15内を脱気する。次いで、キャビティ15に溶融樹脂を高速充填する。そして、射出成形用金型13を使用樹脂材料のガラス転移温度以下である135℃の温度に保持するように、カートリッジヒーターの温度を調節しておく。次に、固化したプラスチック成形品を、図示しない成形品取り出し装置を用いて、金型から取り出して室温放冷する。
ここで成形される光学面の傾斜角について図7を用いて説明する。
すなわち、本例の反射ミラー1の光学面最大傾斜角は15°であり、θ<90°−tan−1(2H/D)を十分満たすことにより、離型においてアンダカットになることはない。具体的には、本例では円錐底面の直径D:200nm、円錐高さH:320nmであることから、微細円錐凸形状の角度が72.65°程度であり、光学面最大傾斜部の15°の箇所であっても、アンダカットにはならず、良好な離型を実現することができた。
本実施形態では、高速充填させることにより型からの冷却を防止し、また、充填時間を短縮することにより低粘度な樹脂に保圧を付与することができ、高転写成形を実現している。
また、キャビティ15内を、樹脂充填前に脱気しておくことにより、残留ガスがなくなり、金駒12の微細な凹凸の末端まで樹脂を充填(転写)することができる。
最終複製工程を成形により行うことにより、生産性に優れ、また低コストな反射ミラーを製造することができる。
ここで、図8に比較例1として、実施形態1と同一構成の光学面であり、また反射防止構造となる円錐凸形状3を持たない面2’と反射面4’を有する反射ミラー16’の例(従来例の反射ミラー)を示す。比較例1では、波長680nmのレーザ光を垂直入射させた場合の反射率が1.4%であるのに対して、実施形態1により製造された実施例1の反射ミラーは0.1%以下となった。すなわち、転写面側に無反射構造を持ち、ゴーストなどの発生を防止することができ、プリンタなどの走査光学系に適用することができる。
実施形態1の実施例1を、前記比較例1と、透過面を持たない従来の反射ミラーの例である比較例2と並べて、その光線の反射状態を図9に示す。実施例1のようなミラーレンズタイプであれば、透過面の形状によって出射角を調整することが可能であり、また、実施例1のように透過面に反射防止構造を有することにより、ゴーストなどの不具合のない反射光学系を実現することができる。
本実施形態によって製造されたプラスチック成形品は、反射防止部を大面積に加工し、また曲面形状にも適用できることにより、曲面を有し、かつ反射防止機能を有した大口径光学素子として使用することができる。
本実施形態は、樹脂により表面に微細な凹凸形状を有する成形品を高精度に成形するための射出成形方法および成形品に係り、前記反射ミラーのほか、例えば、回折光学素子(フレネルレンズ),マイクロレンズアレイ,光ホログラムなどの光情報記録媒体、光ディスク読取りおよび書込み装置に用いられるピックアップレンズなど、成形品形状には依らず、反射防止機能を必要とするすべての成形品に適用される。
微細な凹凸からなるパターンは、光の入射および出射箇所など、複数あってもよい。さらに微細な凹凸は、連続パターンであっても単独パターンであっても、同様の効果を得ることができ、適用可能である。また、高精度な形状精度を要求される転写形状に関しても平面,球面,非球面,自由曲面など、あらゆる形状に適用される。
本実施形態は、シクロオレフィンポリマーについて実施しているが、使用樹脂材料の種類は限定されず、前記効果が得られるすべての熱可塑性プラスチックに適用される。すなわち、反射防止部を大面積に加工し、また曲面形状にも適用することで、曲面を有し、かつ反射防止機能を有した大口径光学素子として使用することができる。つまり、必要な波長に対して透過性を有するプラスチック樹脂であれば適用可能である。
また、本実施形態では、反射ミラー面の形成に、アルミ蒸着法によってアルミ反射膜を形成している。蒸着法によって厚さ500Åのアルミ蒸着膜を形成したときの反射ミラー面の平面度は50μm程度である。アルミ反射膜の成膜方法として、スパッタリング,プラズマCVD,イオンプレーティング,メッキなどを採用することもできる。また、反射膜の材料としては、銀,クロムを用いることもできる。
図10は本発明の実施形態2としてのレーザプリンタなどに用いられる走査レンズの概略を示す斜視図である。
図10に示す走査レンズ17の下面が光の入射面18であり、レーザプリンタに組み込まれて使用される場合には、下面から上面に向かってレーザビームが透過する。また、材質は実施形態1にて説明したと同様に日本ゼオン社製の熱可塑性非晶性樹脂であるシクロオレフィンポリマーZeonex(商品名)樹脂である。
本例の走査レンズ17の形状寸法は、中央部レンズ厚さ:14mm、端部レンズ厚さ:7mm、副走査長さ:14mm、光学面の副走査方向有効領域:8mm、光学面の主走査方向有効領域:180mm、主走査長さ:220mmである。
本実施形態2において金駒作製工程4までは実施形態1と同様の工程であるため詳細は省略する。実施形態2に使用した射出成形用金型19のキャビティ周辺の断面概略図を図11に示す。
図11において、光学面を形成する一対の鏡面駒20と、非光学面を形成する一対のキャビティ入れ子21と、非光学面の一部を形成し、摺動自在に設けられた一対の摺動駒22で構成されたキャビティ15とを有しており、摺動自在に設けられた一対の摺動駒22には図示しない駆動装置を連結しておく。さらに射出成形用金型19には、金型を加熱するために、カートリッジヒーターと熱電対を具備し、これらのカートリッジヒーターと熱電対とは金型外部に用意された図示しない別の温度制御装置に連結しておく。
ここで、本実施形態2における光学面周辺の詳細図を図12に示す。
図12(a)において、光の入射面18は光学面最大傾斜角15°以下であり、入射面18に、図12(b)の拡大図に示すような微細円錐凸形状3を有する。具体的には、円錐底面の直径D:200nm、円錐ピッチL:250nm、円錐高さH:320nmのサイズの微細円錐凸形状3が設けられている。
実施形態2の動作について説明する。
射出成形用金型19を図示しない射出成形機(ファナック社製 電動射出成形機 ROBOSHOT(商品名))にセットし、走査レンズ17の成形を行う。射出成形用金型19は使用樹脂材料のガラス転移温度直下の135℃になるようにカートリッジヒーターで加熱しておき、キャビティ15に溶融樹脂を充填する。そして、射出成形用金型19を使用樹脂材料のガラス転移温度以下である所定の温度に保持するように、カートリッジヒーターの温度を調節しておく。
次に、キャビティ15内に樹脂圧力を発生させて、樹脂を光学面に密着(転写)させる。この際、キャビティ15内の樹脂圧力がゼロになったところで、摺動自在に設けられた一対の摺動駒22を樹脂から離隔するように摺動させ、樹脂と摺動駒22の間に強制的に空隙を形成し、ひけを摺動駒22と接する面に誘導する。次いで、固化したプラスチック成形品を、図示しない成形品取り出し装置を用いて射出成形用金型19から取り出し、室温放冷する。
ここで実施形態2と同一光学面であり、かつ反射防止構造となる円錐凸形状3を持たない走査レンズの例(従来例の走査レンズ)を比較例1として比較したところ、波長780nmのレーザ光を垂直入射させた場合の反射率が約4%であるのに対して、実施形態2により製造された走査レンズは0.1%以下となった。すなわち、実施形態2により製造された走査レンズは、は、転写面側(光の入射面側)に無反射構造を持ち、光源出力を下げられる走査光学系の走査レンズとして有効である。また、実施形態2によって製造されたプラスチック走査レンズは、光の入射面における反射がなく、優れた透過特性を有する。
本実施形態2は、走査レンズの製造に実施しているが、成形品には依らず、前記工程により反射防止構造を付与し、光学性能を向上させることできるすべての成形品形状に適用される。例えば図13(a)の斜視図、図13(b)の断面図に示すような、カメラレンズ23などにも適用可能である。
また、本実施形態2は、高精度な形状精度を要求される光学面形状に関しても平面,球面,非球面,自由曲面など、あらゆる形状に適用される。
また、本実施例2は、シクロオレフィンポリマーについて実施しているが、使用樹脂材料を限定されず、前記効果が得られるすべての熱可塑性の非晶性プラスチックに適用される。すなわち、前記工程により反射防止構造を付与し、光学性能を向上させることできるすべての透過プラスチック樹脂であれば、適用可能である。
さらに、本実施形態は、樹脂材料を金型内で所望の成形品形状に成形加工する工程を射出成形法で行ったものを説明したが、この成形法には依らず、射出成形のほかに射出圧縮/プレス成形,ガスアシスト成形、あるいは押し出し成形など様々な成形法に適用可能である。
本実施形態によれば、以上のように、周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を大面積および/または曲面に形成することにより、反射防止機能を具備した大面積および/または曲面を有するミラーレンズ,走査レンズなどの光学素子を効率的に製造することができる等、実際上の効果が大である。
図14は本発明の実施形態3としてのレーザプリンタなどに用いられる走査レンズの概略を示す斜視図である。
図14(a)に示す走査レンズ24は下面が光の入射面25であり、入射面25に、図14(b)に示すような微細円錐凸形状3を有する。レーザプリンタに組み込まれて使用される場合には、下面から上面に向かってレーザビームが透過する。また、材質は実施形態1と同様に、日本ゼオン社製のシクロオレフィンポリマーZeonex(商品名)樹脂である。
走査レンズ24の形状寸法は、中央部レンズ厚さ:35mm、端部レンズ厚さ:5mm、副走査長さ:8mm、光学面の副走査方向有効領域:5mm、光学面の主走査方向有効領域:120mm、主走査長さ:160mmである。
実施形態3の構成および動作は実施形態2と同様であって、光の入射面25は、光学面最大傾斜角15°以下であり、また、微細円錐凸形状3を有する。具体的には、円錐底面の直径D:200nm、円錐ピッチL:250nm、円錐高さH:320nmのサイズの微細円錐凸形状3が設けられている。
図15は画像形成装置であるレーザプリンタやデジタル複写機に搭載される光学システムの概略構成を示す斜視図である。
この光学システムは、光源としての半導体レーザ26と、該半導体レーザ26からの光を所定角度範囲で等角速度的に偏向する偏向面を有する回転多面鏡27と、該回転多面鏡27にて偏向された光を等速度的な光に変換するレーザ走査光学系28と、感光体29から構成されている。レーザ走査光学系28には、実施形態1において説明した反射ミラー1と、実施形態2,3にて説明した走査レンズ24および走査レンズ17が使用されている。
図15に示す構成からなる光学システムの動作を説明する。
半導体レーザ26から出射された光は、回転多面鏡27の偏向面近傍に一旦結像される。回転多面鏡27は一定の角速度で図中の矢印C方向に回転しており、偏向面近傍に結像された光は回転多面鏡27の回転に伴って等角速度的に偏向される。偏向された光は、走査レンズ24および走査レンズ17を順次透過することにより等速度的な光に変換され、反射ミラー1で反射されて走査対象である感光体29の表面を走査する。
例えば光学システムがデジタル複写機に使用された場合には、半導体レーザ26の出射光は、複写画像に対応する画像情報によって、その光強度が変調されており、この出射光が感光体29の表面に結像することによって、感光体29の表面に複写画像の静電潜像が形成される。
このような構成にあっては、走査レンズ17,24および反射ミラー1などで構成されるレーザ走査光学系の精度、例えば光学面の形状精度あるいは光学素子の配置精度などが、複写画像品質に大きな影響を与えることになる。
したがって、レーザプリンタあるいはデジタル複写機の画像形成装置の光学系では、本実施形態に係る走査レンズ,反射ミラーなどの光学素子を使用することにより、これらが光学システムに固定された実使用状態において、設計形状との形状誤差が小さく、複屈折も小さいため、設計時の光学的機能を有し、その結果として正確な走査が可能となり、高画質の画像を形成することができる。特に、反射防止構造を有する光学素子を適用することにより、フレア,ゴーストなどの問題がなく、また、透過特性の高い省電力な光学系を形成することができる。
本発明は、基材表面の少なくとも一部に反射防止部が設けられる大面積および/または曲面を有する光学素子に適用され、特にレーザプリンタ,ファクシミリ装置,複写機などの画像形成装置に搭載される光学系の構成部材として使用される光学素子、例えばミラーレンズ,走査レンズに実施して有効である。
本発明の実施形態1を説明するためのプリンタなどの走査光学系に使用される反射ミラーの概略を示す斜視図 実施形態1における工程1にて作製された平板部材を示し、(a)は平面断面図、(b)は側面図、(c)は正面図 実施形態1において作製された円錐凸形状を有する大面積平板部材の斜視図 (a)〜(c)は実施形態1における工程2の概略説明図 実施形態1における工程3において使用する保持部材の概略構成図 実施形態1における工程5に使用する射出成形用金型の断面概略図 実施形態1の反射ミラーにおける光学面の傾斜角の説明図 実施形態1の実施例との比較例を示す斜視図 実施形態1の実施例1と比較例1,2とにおける光線の反射状態を違いを示す図 本発明の実施形態2としてのレーザプリンタなどに用いられる走査レンズの概略を示す斜視図 実施形態2に使用した射出成形用金型のキャビティ周辺の断面概略図 本実施形態2の走査レンズにおける光学面周辺の詳細図 (a)は本実施形態が適用されるカメラレンズを示す斜視図、(b)は同断面図 本発明の実施形態3としてのレーザプリンタなどに用いられる走査レンズの概略を示す斜視図 本実施形態にて作製される各光学素子が用いられる画像形成装置の光学システムの概略構成を示す斜視図
符号の説明
1 反射ミラー
2 転写面
3 円錐凸形状
4 反射面
5 平板部材
6 円錐凹形状
7 大面積平板部材
8 上型
9 樹脂製シート
10 下型
11 保持部材
11a 流路
12 金駒
13,19 射出成形用金型
14,21 キャビティ入れ子
15 キャビティ
17,24 走査レンズ
18,25 入射面
20 鏡面駒
22 摺動駒
23 カメラレンズ

Claims (17)

  1. 基材表面の少なくとも一部に反射防止部を設けた光学素子の製造方法において、平板部材に周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を作製する工程と、さらに前記平板部材に前記周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を反転コピーして大面積化する工程により作製された金駒を用いて、反射防止構造を有する光学素子を製造することを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 曲面を有する基材表面の少なくとも一部に反射防止部を設けた光学素子の製造方法において、周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を有する平板部材を、所望の曲面に変形する工程と、前記曲面化した部材を反転コピーする工程とにより作製された金駒を用いて、曲面に反射防止構造を有する光学素子を製造することを特徴とする光学素子の製造方法。
  3. 曲面を有する基材表面の少なくとも一部に反射防止部を設けた光学素子の製造方法において、平板部材に周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を作製する工程と、さらに前記平板部材に前記周期的なサブ波長オーダー凹凸形状を反転コピーして大面積化する工程と、前記周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を有する平板部材を所望の曲面に変形する工程と、前記曲面化した部材を反転コピーする工程とにより作製された金駒を用いて、曲面に反射防止構造を有する光学素子を製造することを特徴とする光学素子の製造方法。
  4. 前記周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を、FIB(集束イオンビーム)加工のデジタルスキャンにより作製することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の光学素子の製造方法。
  5. 前記平板部材に周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を大面積化する工程において、周期的な円錐凹形状を有する部材をスタンプ型としたホットインプリントにより作製することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の光学素子の製造方法。
  6. 前記周期的なサブ波長オーダーの凹凸形状を有する平板部材を所望の曲面に変形する工程において、可撓性を持つ平板部材を加熱することにより軟化させ、かつ保持部材に沿うように吸着する加熱吸着処理を採用したことを特徴とする請求項2または3記載の光学素子の製造方法。
  7. 前記曲面に変形された可撓性部材を反転コピーする工程として電鋳を採用したことを特徴とする請求項2または3記載の光学素子の製造方法。
  8. 前記電鋳により作製された金駒を用いて、高速射出成形により光学素子を製造することを特徴とする請求項7記載の光学素子の製造方法。
  9. 請求項1〜8いずれか1項記載の光学素子の製造方法により製造されたことを特徴とする光学素子。
  10. 請求項1〜8いずれか1項記載の光学素子の製造方法により製造されたことを特徴とする画像形成装置の走査光学系に使用されるミラーレンズ。
  11. 請求項1〜8いずれか1項記載の光学素子の製造方法により製造されたことを特徴とする画像形成装置の走査光学系に使用される走査レンズ。
  12. 請求項1〜8いずれか1項記載の光学素子の製造方法により製造された光学素子であって、反射防止部を凸部形状にて構成し、該凸部形状を円錐形状としたことを特徴とする光学素子。
  13. 前記反射防止部を構成する凸部の形状が、光学面の外形形状に対して垂直に配列されていることを特徴とする請求項12記載の光学素子。
  14. 前記反射防止部を構成する凸部の形状が、少なくとも可視光波長以下の周期性をもって凹凸状に形成されていることを特徴とする請求項12または13記載の光学素子。
  15. 前記反射防止部を構成する凸部の間隔をLとし、光学素子が使用される波長をλとし、光学素子材料の屈折率をnとしたとき、λ>nLを満たすことを特徴とする請求項12〜14いずれか1項記載の光学素子。
  16. 前記反射防止部を構成する凸部の高さをHとし、光学素子が使用される波長をλとしたとき、λ<2.5Hを満たすことを特徴とする請求項12〜15いずれか1項記載の光学素子。
  17. 前記反射防止部を構成する凸部の高さをHとし、底面の幅をDとしたとき、光学面の傾斜角θが、θ<90°−tan−1(2H/D)を満たすことを特徴とする請求項12〜16いずれか1項記載の光学素子。
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