JP2013222074A - 積層体の製造方法 - Google Patents

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恒祐 藤山
Takeshi Otani
剛 大谷
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Abstract

【課題】ナノ凹凸構造等による反射防止機能を示すと共に、表層と中間層との高い密着性を有する積層体を提供する。
【解決手段】基材上11に、中間層15を介して、ナノ凹凸構造の表面を有する表層12が積層された積層体の製造方法であって、(A)Tgが60℃以下の中間層原料としての第一の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を基材11の上に配置する工程と、(B)ナノ凹凸構造の反転構造を有するスタンパと第一の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との間に表層の第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を配置する工程と、(C)第一の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とに活性エネルギー線を照射して同時に硬化させる積層体10の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層体の製造方法に関する。
表面にナノ凹凸構造を有するナノ凹凸構造体は、連続的な屈折率の変化によって反射防止性能を発現することが知られている。また、ナノ凹凸構造体は、ロータス効果により超撥水性能を発現することも可能である。ただし、ナノ凹凸構造の表面は、ナノスケールの凸部が傾斜し易く、同じ樹脂で形成された平滑表面に比べ耐擦傷性や耐久性は低い。
ナノ凹凸構造を形成する方法としては、例えば、ナノ凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパを用いて射出成形やプレス成形する方法、スタンパと透明基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下「樹脂組成物」と言う)を配し、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化させて、スタンパの凹凸形状を転写した後にスタンパを剥離する方法、樹脂組成物にスタンパの凹凸形状を転写してからスタンパを剥離し、その後に活性エネルギー線を照射して樹脂組成物を硬化させる方法が提案されている。これらの中でも、ナノ凹凸構造の転写性、表面組成の自由度を考慮すると、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化させて、ナノ凹凸構造を転写する方法が好適である。この方法は、連続生産が可能なベルト状やロール状のスタンパを用いる場合に特に好適であり、生産性に優れた方法である。ただし、スタンパの離型時や加熱により凸部が傾斜するのを抑制するため、架橋密度が高く、弾性率の高い樹脂が用いられる。
ナノ凹凸構造が良好な反射防止性能を発現するには、隣り合う凸部又は凹部の間隔が可視光の波長以下のサイズである必要がある。このようなナノ凹凸構造体は、同じ樹脂組成物を使用して作製した表面が平滑なハードコートなどの成形体に比べて耐擦傷性に劣り、使用中の耐久性に問題がある。また、ナノ凹凸構造体の作製に使用する樹脂組成物が十分に堅牢でない場合、鋳型からの離型や加熱によって、突起同士が寄り添う現象が起き易い。
これまでにも、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化させて、ナノ凹凸構造を転写する方法によリナノ凹凸構造を形成したナノ凹凸構造体や、ナノ凹凸構造を形成するための樹脂組成物が提案されている。しかし、いずれも架橋密度の高い弾性率の高い硬化物である。
例えば特許文献1には、最密充填されたシリカゾルを鋳型として可視光の波長以下のナノ凹凸構造を作製することが記載されている。このナノ凹凸構造を形成する樹脂組成物としては、トリメチロールプロパントリアクリレートのような分子量当たりの二重結合数が極めて高い多官能モノマーが用いられている。
また特許文献2では、微細凹凸を有するハードコート層は、JIS K5600−5−4に準じた鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示す樹脂であることが望ましいと記載されている(段落0022)。そして、その実施例では、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなど、分子量当たりの二重結合数が極めて高い多官能モノマーが用いられている。
また、特許文献2、3には、基材フィルムとナノ凹凸構造表層の密着性や接着性を高める中間層が開示されている。また、特許文献4には、反射防止効果を高めるためにナノ凹凸構造表面の下層の屈折率調節層を備える積層体が開示されている。また、特許文献5には、凹み傷を復元する機能(自己修復機能)を有する中間層と、その上に屈折率の異なるハードコート層を設けた反射防止フィルムが開示されている。
特開2000−71290号公報 特開2002−107501号公報 特許第3627304号公報 特開2009−31764号公報 特許第3676260号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載のナノ凹凸構造体は、必ずしも耐擦傷性を満足させるものではない。また、鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示す硬化樹脂であっても、特にナノ凹凸構造体の場合は微細突起が折れたり曲がったりして反射防止性能が損なわれる場合があり、その用途が限定される場合がある。また、中間層は接着性や反射防止性能の改善を目的とするものであり、耐擦傷性はナノ凹凸構造を構成する樹脂の物性に依存している。また、特許文献5に記載の反射防止フィルムは、押圧による凹みに対する自己修復機能を有する中間層を有するが、充分な耐擦傷性を示さない場合がある。
本発明の目的は、ナノ凹凸構造等による反射防止機能を示すと共に、表層と中間層との高い密着性を有する積層体を提供することにある。
また、本発明の目的は、好ましくは、高い密着性、特に、中間層を設けた積層体に連続的に表層を賦形する場合、そのセット時間が短くともJIS K 5400に準拠した碁盤目剥離試験で十分な密着性を示し、かつ、高い耐擦傷性、特に、JIS K5600−5−4に準じた鉛筆硬度試験で「2H」以上を示す積層体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の方法で得られる積層体が非常に優れた効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、
基材上に、中間層を介して、ナノ凹凸構造の表面を有する表層が積層された積層体の製造方法であって、
(A)Tgが60℃以下である反応性基を有するポリマーを含む、前記中間層の原料としての第一の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を前記基材の上に配置する工程と、
(B)前記ナノ凹凸構造の反転構造を有するスタンパと前記第一の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との間に前記表層の原料としての第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を配置する工程と、
(C)前記第一の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と前記第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とに活性エネルギー線を照射して同時に硬化させ、前記中間層及び前記表層を形成する工程と、
を含む積層体の製造方法である。
本発明により、ナノ凹凸構造等による反射防止機能を示すと共に、表層と中間層との高い密着性を有する積層体を製造することができる。
本発明の積層体の実施形態を示す模式的断面図である。 ナノ凹凸構造を形成する為に使用するスタンパの製造工程の一例を示す模式的断面図である。
[積層体]
本発明の積層体は、基材と中間層と表層から構成される。中間層は2層以上でもよいが、生産性とコストの点から1層であることが望ましい。
[基材]
基材は、中間層を介して表層を支持可能なものであれば、その材質はいずれであってもよい。ただし、後述するように、基材を介して表層を活性エネルギー線の照射により硬化可能とし、遮光性のスタンパの使用を可能とするため、活性エネルギー線に対して透光性を有する基材(以下「透明基材」という)が好ましい。透明基材は、上記の活性エネルギー線を透過する成形体であれば特に限定されない。透明基材を構成する材料としては、例えば、メチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等の合成高分子;セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等の半合成高分子;ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル;ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフオン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、それら高分子の複合物(例えば、ポリメチルメタクリレートとポリ乳酸の複合物、ポリメチルメタクリレートとポリ塩化ビニルの複合物);ガラスが挙げられる。
基材の形状や製造方法は、特に限定されない。例えば、射出成形体、押し出し成形体、キャスト成形体を使用できる。また、形状は、シート状、フィルム状、その他の立体形状でもよい。特に、上層の成形を容易にする点から、形状は可撓性を有するフィルム状が好ましい。さらに、密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の特性の改良を目的として、基材の表面にコーティングやコロナ処理が施されていてもよい。
基材がフィルムの場合、その厚さは、500μm以下であることが好ましい。このようなフィルム基材を用いることで、ナノ凹凸表面を有する成形体を容易に製造することができる。
[中間層]
中間層用樹脂組成物(以下、中間層原料、又は第一の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とも称す)は、Tgが60℃以下である反応性基を有するポリマー(以下、反応性ポリマー成分とも称す)を少なくとも含む。
中間層用樹脂組成物が反応性ポリマー成分を含むことにより、中間層に密着性と耐擦傷性を有効に付与することができる。
反応性ポリマーの反応性基は特に限定されないが、中間層樹脂と表層樹脂とを活性エネルギー線を照射して同時に硬化させる工程において、中間層樹脂と表層樹脂とに共有結合が生じることで硬化後の中間層と表層との密着性が良好となるという観点から、後述の表層樹脂の原料に含まれるラジカル重合性基やカチオン重合性基が好ましく、硬化速度が速いという観点から(メタ)アクリレート基が特に好ましい。
また、本発明の好ましい実施形態で得られる積層体においては、中間層樹脂と表層樹脂との界面が共有結合により結合するので、中間層と表層の密着性が良好であり、JIS K 5400に準じた碁盤目剥離試験で高い密着性を示す。
また、本発明の好ましい実施形態で得られる積層体においては、中間層樹脂に架橋構造を導入することにより、積層体に衝撃吸収能を付与することで、押し込み傷や凹み傷が良好に回復する傾向にあり、JISA−K5600−5−4に準じた鉛筆硬度試験で「2H」以上を示す。
本発明において、反応性ポリマー成分としては、反応性基を有し、Tgが60℃以下であるポリマーを用いる。反応性ポリマー成分のTgが60℃以下であれば、表層の中間層への浸透性が向上し、表層と中間層の密着性が良好となる。反応性ポリマー成分のTgとしては−50〜60℃が好ましい。反応性ポリマーのTgが−50℃以上であれば、良好な密着性と耐擦傷性が得られる。さらに、反応性ポリマー成分のTgが20℃以上であれば、硬化前の中間層の表面タック感を抑えられ、組成物のハンドリングが優れる。
反応性ポリマー成分の主鎖は、特に限定されないが、ビニル基を有するモノマーの付加重合により得られたポリマーが好適に使用される。ポリマー中の反応性基としては、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、チオール等の極性基、エポキシ基、オキセタン基等のヘテロ環化合物、アクリロイル基、メタクリロイル基等のビニル基が挙げられる。ポリマー中の反応性基の位置としては、ポリマー末端やポリマー側鎖に導入することが好ましい。反応性基を側鎖に導入したポリマーの具体例としては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを付加重合したポリマーや、(メタ)アクリロイル基を有するポリマーとグリシジル(メタ)アクリロイル基の混合物を付加重合した後に、エポキシ基との付加反応により(メタ)アクリロイル基を導入したポリマーなどが挙げられる。
反応性ポリマー成分の分子量としては、重量平均分子量で10,000以上100,000以下が好ましい。重量平均分子量を10,000以上とすることで、反応性ポリマー成分に十分な凝集力を付与することができるため、碁盤目剥離試験時の中間層の凝集破壊を防ぐことができる。また、重量平均分子量を100,000以下とすることで、反応性ポリマー成分にタック感を付与することができるため、碁盤目剥離試験時の中間層界面での界面剥離を効果的に防ぐことができる。
反応性ポリマー成分の官能基当量としては、180〜450が好ましい。180以上とすることで、反応性ポリマーの収縮が抑制され、外観が良好な積層体が得られ、450以下とすることで、反応性基の数が十分となり、中間層と表層の密着性が良好となる。官能基当量は下記式で表される。
官能基当量=反応性ポリマー1分子の分子量/反応性ポリマー1分子中に含まれる前記反応性基の数
中間層用樹脂組成物中の反応性ポリマー成分の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。20質量%以上であれば、反応性ポリマーによる密着性が十分に発揮され、中間層と表層との密着性が特に良好となる。
中間層の厚さは、8〜40μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましく、10〜25μmであることがさらに好ましく、15〜20μmであることが特に好ましい。中間層の厚さが8μm以上であれば、積層体への押し込み応力や積層体上の摩擦などのエネルギーが分散され、積層体の表層の傷付きを低減できる。また、中間層の厚さが40μm以下であれば、押し込み時の圧縮変形量が抑えられ、表層がその変形量に追従できずに割れてしまうという問題を防止することができる。中間層の厚さ精度は、±2μm以内が好ましく、±1μm以内がより好ましい。
また、中間層用樹脂組成物は、上記反応性ポリマー成分の他にも、例えば、重合性モノマー成分、ポリマー成分、活性エネルギー線重合開始剤を含有することもできる。また、中間層用樹脂組成物は、必要に応じて溶剤やその他の成分を含有できる。
以下に、中間層用樹脂組成物の原料として好適に用いることができる重合性モノマー成分、ポリマー成分、活性エネルギー線重合開始剤、及びその他の成分について説明する。また、これらを溶解する溶剤、及びその他の成分についても説明する。
<重合性モノマー成分>
重合性モノマー成分は、好ましくは、中間層に密着性、耐擦傷性を付与するために用いられる。
重合性モノマー成分は、硬化反応によって硬化樹脂からなる中間層を形成できるものであれば良く、特に限定されない。重合性モノマー成分は、例えば、透明基材や表層との密着性に寄与する成分、中間層に復元力を付与する成分、中間層に衝撃吸収能を付与する成分を含有することが好ましい。
基材や表層との密着性に寄与する成分としては、水素結合を形成できる極性部位を有するモノマーが好ましい。この極性部位としては、例えば、ウレタン結合、カルボキシル基、水酸基が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、コハク酸が挙げられる。水酸基を有するモノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミドが挙げられる。また、ラクトン変性(メタ)アクリレート[市販品としてはダイセル化学社製の「プラクセル(登録商標)」シリーズ等]も挙げられる。さらに、単官能モノマーに限らず、多官能モノマーも使用できる。多官能モノマーの具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の複数の重合性二重結合と水酸基を有するモノマーが挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。ウレタン結合を有するモノマーの具体例としては、多官能ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。また市販品としては、例えば、ダイセル・サイテック社の「EbecryI(登録商標)」シリーズ、東亜合成社製の「アロニックス(登録商標)」シリーズ、日本化薬社製の「KAYARAD(登録商標)」シリーズを使用できる。
中間層に復元力を付与する成分としては、硬化樹脂の水素結合を強固に形成できるようなモノマーが好ましい。特に、炭素数13〜25の長鎖アルキル基を有するポリカプロラクトン変性活性エネルギー線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート等のウレタン(メタ)アクリレートが好適である。このようなモノマーは、特許第3676260号公報等に詳しく記載されている。
中間層に衝撃吸収能を付与する成分としては、柔軟であって、運動性の高い倒鎖を有するモノマーが好ましい。そのようなモノマーは、例えば、アルキル基部分の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイド部分の炭素数が4以上のポリアルキレンオキサイドモノ(メタ)アクリレートである。また、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以下になるようなモノマーが好ましい。中でも、上記ポリアルキレンオキサイドモノ(メタ)アクリレートが好ましい。その具体例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレード、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキレンオキサイドの繰返し数は所望に応じて決定することができる。
重合性モノマー成分中の基材や表層との密着性に寄与する成分の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、10〜30質量部が好ましい。重合性モノマー成分中の中間層に復元力を付与する成分の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、40〜80質量部が好ましい。重合性モノマー成分中の中間層に衝撃吸収能を付与する成分の含有量は、樹脂成分100質量部に対して3〜20質量部が好ましい。密着性に寄与する成分の含有量が上記範囲であれば、表層との密着を強力にし、押圧力が負荷された際にも、ずり変形による中間層と表層間の界面剥離が生じるのを抑制し、表層の損傷を抑制できる。衝撃吸収能を付与する成分の含有量が3質量部以上であれば、中間層に良好な衝撃吸収能を付与することができ、表層に割れ等の損傷が生じるのを抑制でき、20質量部以下であれば、中間層の強度低下が抑制され、耐擦傷性を向上させ、破壊や剥離を抑制できる。復元力を付与する成分の含有量が上記範囲内であれば、押圧力が負荷されて生じる変形、歪の復元性を高めることができ、特に、反復して負荷される押圧力に対し、優れた復元力を有し、表層のナノスケールの凸部の損傷を抑制できる。
<ポリマー成分>
ポリマー成分は、好ましくは、中間層に密着性を付与するために用いられる。
ポリマー成分としては、特に限定されないが、メチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等の合成高分子、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等の半合成高分子、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフオン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン等が好適に用いられる。
ポリマー成分の分子量としては、重量平均分子量で10,000以上100,000以下が好ましい。ポリマー成分の重量平均分子量を10,000以上とすることで、ポリマー成分に十分な凝集力を付与することができ、碁盤目剥離試験時の中間層の凝集破壊を防ぐことができる。また、ポリマー成分の重量平均分子量を100,000以下とすることで、ポリマー成分に十分なタック感を付与することができ、碁盤目剥離試験時の中間層界面での界面剥離を防ぐことができる。
<活性エネルギー線重合開始剤>
活性エネルギー線重合開始剤は、活性エネルギー線を照射することで開裂して、反応性ポリマー成分の重合反応を開始させるラジカルを発生する化合物であれば良く、特に限定されない。ここで「活性エネルギー線」とは、例えば、電子線、紫外線、可視光線、プラズマ、赤外線などの熱線等を意味する。特に、装置コストや生産性の観点から、紫外線を用いることが好ましい。
この活性エネルギー線重合開始剤としては、例えば、特開2009−31764号公報に記載の公知の各種重合開始剤を使用できる。
<溶剤>
上記高分子は、溶剤に溶解して使用することが好ましい。また、中間層原料は、必要に応じて溶剤で希釈されていてもよい。特に、高粘度で均一に塗布することが難しい場合は、コーティング方法に適した粘度となるよう適宜調整することが好ましい。また、溶剤で透明基材の表面を一部溶解することで、透明基材と中間層との密着性を改善することもできる。
溶剤は、乾燥方法等に応じて適当な沸点を有するものを選択すればよい。溶剤の具体例としては、トルエンや、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
<その他の成分>
中間層用樹脂組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、光安定剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤、着色剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤、近赤外線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。特に、帯電防止剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤等が表層に含有されると、ナノ凹凸構造の形状の維持が困難になる場合があることから、これらの添加剤は、表層には含有されず、中間層に含有されることが、積層体の耐擦傷性、反射抑制の点から、好ましい。
帯電防止剤は、積層体に埃等が付着するのを抑制する。帯電防止剤としては、例えば、ポリチオール系、ポリチオフェン系、ポリアニリン系などの導電性高分子や、カーボンナノチューブ、カーボンブラックなどの無機物微粒子、特開2007−70449号公報で例示されるようなリチウム塩、4級アンモニウム塩が挙げられる。また、これらは単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。これらの中でも、帯電防止剤として、積層体の透明性を損なわず、比較的安価で、安定した性能を発揮するパーフルオロアルキル酸リチウム塩が好ましい。
帯電防止剤の添加量は、中間層原料中の重合性モノマー成分又は高分子100質量部(即ち中間層中の重合体100質量部)に対し、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。0.5質量部以上であれば、積層体の表面抵抗値を低くすることができ、埃付着防止性能を発揮する。20質量部以下であれば、添加量当たりの性能の向上度合いが良好で、かつコストを抑えることができる。また、良好な帯電防止性能を発揮させるためには、中間層の上に積層する表層の厚みを100μm以下にすることが好ましく、50μm以下にすることがより好ましい。
近赤外線吸収剤は、積層体に断熱効果を付与し、積層体をプラズマディスプレイ等に用いた場合、各種家電の赤外線リモコンの誤作動を抑制することができる。近赤外線吸収剤としては、例えばジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素、ジチオール系金属錯体系色素、置換ベンゼンジチオール金属錯体系色素、シアニン系色素、スクアリウム系色素などの有機系のものや、導電性アンチモン含有錫酸化物微粒子、導電性錫含有インジウム酸化物微粒子、タングステン酸化物微粒子、複合タングステン酸化物微粒子などの無機系のものが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
これら添加剤は、積層体の表層に添加してもよい。ただし、表層には添加せずに中間層に添加することにより、ナノ凹凸表面形状の維持が阻害されるのを抑制すると共に、経時的にブリードアウトが生じるのを抑制することができるので好ましい。
中間層原料又は溶剤に溶かした高分子の粘度は、コーティング方法に合わせて最適な値に調整すればよい。また、その粘度に応じて、適切なコーティング方法を選択すればよい。例えば、粘度が50mPa・s以下の場合は、グラビアコーティングで透明基材に均一に塗布できる。
中間層原料を基材上に塗布した後、中間層原料が溶剤を含む場合は溶剤を乾燥、除去し、後述する表層樹脂を中間層上に積層した後に、中間層樹脂と表層樹脂を同時に硬化することにより積層体を形成することにより、優れた密着性と耐擦傷性を有する積層体を得ることができる。
中間層及び表層の硬化方法としては、活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。活性エネルギー線としては、装置コストや生産性の観点から紫外線を使用することが好ましい。紫外線の照射量は、中間層原料が含有する開始剤の量に合わせて適宜決定すればよい。紫外線を照射する環境は、酸素存在下であってもよいし、窒素雰囲気下であってもよい。あえて表面の硬化を不完全な状態にして、表層との密着性を向上することもできる。積算光量の目安は200〜10000mJ/cm2である。
[表層]
表層は、基材上に中間層を介して積層される表面にナノ凹凸構造を有する層である。表層は、第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(表層原料、又は表層用樹脂組成物とも称す)によって形成されるナノ凹凸構造を表面に有する硬化樹脂膜である。
表層の厚さは、中間層の厚さの好ましくは0.4〜1.5倍、より好ましくは0.5〜1.5倍、特に好ましくは0.8〜1.2倍である。表層の厚さが適度に薄ければ、通常の紫外線照射で硬化が十分に進行する。また適度に厚ければ、表層が容易に破断することも回避できる。また表層の厚さは、活性エネルギー線照射により硬化して形成する際、活性エネルギー線を未硬化の表層中に充分に進行させ、効率よく、均一に硬化を進行させ得る厚さであり、且つ、押圧力に対し、エネルギーを分散させ変形歪を生じさせ、復元可能とする厚さであることが好ましい。具体的には、好ましくは6〜29μm、より好ましくは8〜21μmである。また、表層の厚さは、上記中間層と同様の測定方法による測定値を採用することができ、中間層の界面から凸部の先端までの距離である。
例えば、柔軟な中間層を有する積層体を押し込んだ場合、中間層が圧縮変形して傷付きを回避できる。しかし、中間層の圧縮変形に表層が追従する過程で、表層が引張破断することがある。特に表層にナノ凹凸構造を良好に形成する為には、硬化樹脂は架橋密度が高く、高弾性の樹脂でなければならない。高架橋密度の硬化樹脂では引張伸度を出すことは難しく、引張破断伸びは5%以下が一般的である。そのような樹脂からなる表層と柔軟な中間層を有する積層体に点荷重を掛けると、中間層が圧縮破壊する前に表層が引張破断してしまい、中間層が復元した後も微細な亀裂が目視で確認できる傷となって残ってしまう。そこで、表層の厚さを上記の範囲とすることにより、中間層の厚さに対して表層の厚さを適度に厚くすることができるので、そのような表層の引張破断を回避できる。特に、表層の厚さが上記好ましい範囲の場合に良好である。
また、中間層の厚さに対して表層が極めて厚い場合、積層体に掛かる応力が中間層によってうまく分散されず、表層の硬化樹脂が傷付いてしまう。中間層の厚さに対して表層の厚さを適度に薄くすれば、応力が良好に分散され、一時的な凹み傷を復元できる。特に、表層の厚さが上記好ましい範囲の場合に良好である。
中間層の変形に対して表層が良好に追従する為には、中間層と表層が十分密着していることが好ましい。また、両層の間の密着が十分であれば、ずり変形による界面剥離が生じ難くなる。中間層と表層の間は、明確な界面が存在しない混合状態であってもよい。中間層の表面の硬化を不十分にすることや、表層を構成する第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を中間層へ浸透させることで、明確な界面を存在させず、良好な密着性を出すことが出来る。なお、明確な海面が存在しない場合の両層の厚さは、中間層と表層の間の混合部分の中間位置を界面として測定する。また、表層を形成する時に熱をかけることによって、密着性を改善することもできる。
ナノ凹凸構造を表面に有する表層の材質としては、架橋密度の高い高弾性樹脂であることが好ましい。この樹脂を構成する重合性成分としては、例えば、特開2009−31764号公報等に記載されているが、分子中にラジカル重合性結合や、カチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
ラジカル重合性結合を有するモノマーは、単官能又は多官能モノマーのいずれでもよい。単官能モノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。
ラジカル重合性結合を有する多官能モノマーの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエテレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキンプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビエルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能以上のモノマー;二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレートが挙げられる。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、例えば、エポキシ基、オキセタエル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられる。これらの中でも、エポキシ基を有するモノマーが好ましい。
分子中にラジカル重合性結合及び/又はカチオン重合性結合を有するオリゴマー又は反応性ポリマーの具体例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独又は共重合体の重合性ポリマーが挙げられる。
上記の重合性成分を含む第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に用いる重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができ、第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させる際に用いる活性エネルギー線の種類に応じて適宜選択することが好ましい。また、本発明において、中間層の原料としての第一の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と表層の原料としての第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線の照射によって同時に硬化されるため、同種の活性エネルギー線に対して反応性を有する。
例えば光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンブインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンブエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンブインメチルエーテル、ベンブインエチルエーテル、ベンブインイソプロピルエーテル、ベンブインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル、2,4,6−トリメチルベンブイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジエルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。重合開始剤が0.1質量部未満では、重合が進行しにくい。重合開始剤が10質量部を超えると、樹脂層(ナノ凹凸構造)が着色したり、機械強度が低下したりすることがある。
第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、非反応性のポリマーを含有していてもよい。非反応性のポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂−スチレン系樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ゾルゲル反応性組成物であってもよい。活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、例えばアルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、RxSi(OR′)yで表されるものが挙げられる。R及びR′は炭素数1〜10のアルキル基を表し、X及びyはX+y=4の関係を満たす整数である。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキンシラン、トリメチルブトキシシランなどが挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、R1O[Si(OR3)(OR4)O]z2で表されるものが挙げられる。R1〜R4はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を表し、zは3〜20の整数を表す。具体的にはメチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケートなどが挙げられる。
表層は、必要に応じて、上記モノマーの重合体以外の、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性エラストマー等を含んでいてもよい。また、表層は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、光安定剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤、着色剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤を含有していてもよい。
<ナノ凹凸構造>
図1(a)及び(b)は、本発明の積層体の実施形態を示す模式的断面図である。図1においては、透明基材11上に中間層15と表層12が順次積層されてなる積層体10を例示している。表層12の表面は、図1に示すように、表層12の表面が表面反射防止性や撥水性等の機能を発現するナノ凹凸構造を有する。具体的には、表層12の表面に凸部13及び凹部14が等間隔で形成されていることが好ましい。特に、図1(a)の凸部13の形状は円錐状又は角錐状であり、図1(b)の凸部13の形状は釣鐘状である。ただし、ナノ凹凸構造の凸部13の形状はこれらに限定されず、表層12膜面で切断した時の断面積の占有率が連続的に増大するような構造であればよい。また、より微細な凸部が合一してナノ凹凸構造を形成していてもよい。すなわち、図1(a)及び(b)以外の形状であっても、空気から材料表面まで連続的に屈折率を増大し、低反射率と低波長依存性を両立させた反射防止性能を示すような形状であればよい。特に、円錐状、角錐状、釣鐘状など、凸部の高さ方向に垂直な面で切断した時の断面積が、凸部の頂部から底部に向かって連続的に増大するような形状が好ましい。また、より微細な突起が合一して上記のナノ凹凸構造を形成していてもよい。
良好な反射防止性能を発現する為には、ナノ凹凸構造の隣り合う凸部13又は凹部14の間隔[図1(a)では、隣り合う凸部の中心点(頂点)13aの間隔w1]は、可視光の波長以下のサイズであることが望ましい。ここで「可視光」とは、波長が380〜780nmの光を指す。この間隔w1が400nm以下(より好ましくは380nm以下)であれば、可視光の散乱を抑制できる。この場合、本発明の積層体を反射防止膜などの光学用途に好適に使用できる。この間隔w1の下限値は、製造可能な範囲であればよく特に制限されない。鋳型を用いて転写する方法でナノ凹凸形状を形成する場合、鋳型の製造容易性の点から間隔w1は20nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましい。また、最低反射率や特定波長の反射率の上昇を抑制する点から、高さ/間隔w1で表されるアスペクト比は0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、1.2以上が特に好ましい。これらアスペクト比の下限値は、特に、光反射の低減及び入射角依存性の低減化の点で意義が有る。アスペクト比の上限は、製造可能な範囲であれば特に制限されない。鋳型を用いて転写する方法でナノ凹凸形状を形成する場合、正確に転写を行うには、凸部のアスペクト比が5以下であることが好ましい。凸部の高さ又は凹部の深さ[図1(a)では、凹部の中心点(底点)14aから凸部の中心点(頂点)13aまでの垂直距離d1]は60nm以上が好ましく、90nm以上がより好ましい。良好な反射防止性能を発現するナノ凹凸構造の形状や製造方法などは、特開2009−31764公報などに記載されており、本発明においてもそれと同様の形状や製造方法を用いることができる。
表面のナノ凹凸構造の大きさは、ナノ凹凸構造の縦断面を10分間Pt蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(SM−7400F:日本電子社製)により加速電圧3.00kVで観察し、隣り合う細孔の間隔(周期)及び細孔の深さを測定し、それぞれ10点ずつ測定し、その平均値を採用することができる。
表層の屈折率n1は1.40以上が好ましく、1.43以上がより好ましく、1.49以上が最も好ましい。この硬化物の屈折率n1の上記各下限値は、反射低減効果の点で意義がある。またこの硬化物の屈折率n1は1.55以下が好ましく、1.52以下がより好ましい。この硬化物の屈折率n1の上記各上限値は、透明性の低下や着色を抑制し、硬化前の樹脂組成物が高粘度化することや固体化することを抑制する点で意義がある。なお、樹脂組成物の粘度が高いと、鋳型を用いて転写する方法でナノ凹凸形状を形成する場合に転写性が低くなり、結果として反射率増大の原因となることがある。
ナノ凹凸構造形成工程において樹脂組成物をスタンパヘ流し込んで硬化させる場合、その作業性を考慮すると、樹脂組成物の25℃における回転式B22型粘度計で測定される粘度は、10000mPa・s以下が好ましく、5000mP・s以下がより好ましく、2000mPa・s以下が特に好ましい。但し、樹脂組成物の粘度が10000mPa・s以上であっても、スタンパヘ流し込む際にあらかじめ樹脂組成物を加温して粘度を下げることが可能ならば、作業性を損なうことなく使用できる。樹脂組成物の70℃における回転式B型粘度計で測定される粘度は、5000mPa・s以下が好ましく、2000mPa・s以下がより好ましい。
また、ナノ凹凸構造形成工程においてベルト状やロール状のスタンパを用いて連続生産する場合、その作業性を考慮すると、樹脂組成物の25℃における回転式B型粘度計で測定される粘度は、100mPa・s以上が好ましく、150mPa・s以上がより好ましく、200mPa・s以上が特に好ましい。これら範囲は、スタンパを押し当てる工程でスタンパの幅を超えて脇へ漏れ難くし、また、その硬化物の厚みを任意に調整し易くする点で意義が有る。
樹脂組成物の粘度は、モノマーの種類や含有量を調節することで調整できる。具体的には、水素結合などの分子間相互作用を有する官能基や化学構造を含むモノマーを多量に用いると、樹脂組成物の粘度は高くなる。また、分子間相互作用のない低分子量のモノマーを多量に用いると、樹脂組成物の粘度は低くなる。
硬化後の樹脂組成物が柔らかいと、ナノ凹凸構造を形成させるスタンパから剥離する際又は剥離した後に、ナノサイズの突起同士が寄り添ってしまう場合がある。ナノの領域ではマクロの領域では問題にならないような表面張力でも顕者に作用を及ぼす。すなわち、表面自由エネルギーを下げようと、ナノサイズの突起同士で寄り添い、表面積を小さくしようとする力が働く。この力が樹脂組成物の硬さを上回ると、突起同士が寄り添いくっついてしまう。そのようなナノ凹凸構造体では、所望の反射防止性能や撥水性などの機能性が出なくなる場合がある。
以上の点から、硬化させた樹脂組成物の引張弾性率は、1GPa以上が好ましい。そのような樹脂組成物を使用すれば、突起同士が寄り添うことを回避し易くなる。
本発明の積層体は、表層にナノ凹凸構造を有する機能性物品として最適である。そのような機能性物品としては、例えば、本発明の積層体を備えた反射防止物品や撥水性物品が挙げられる。特に、本発明の積層体を備えたディスプレイや自動車用部材が、機能性物品として好適である。
[反射防止物品]
本発明の積層体を備えた反射防止物品は、ナノ凹凸構造を表層に有する積層体を備える。この反射防止物品は、高い耐擦傷性と良好な反射防止性能を発現する。例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置のような画像表示装置、レンズ、ショーウィンドー、眼鏡レンズ等の対象物の表面に、ナノ凹凸構造を有する積層体を貼り付けて使用する。
[撥水性物品]
本発明の積層体を備えた撥水性物品は、本発明のナノ凹凸構造を表層に有した積層体を備える。この機水性物品は、高い耐擦傷性と良好な撥水性を有すると共に、優れた反射防止性能を発現する。例えば、窓材、屋根瓦、屋外照明、カーブミラー、車両用窓、車両用ミラーの表面に、ナノ凹凸構造を有する積層体を貼り付けて使用する。
上記各対象物品の積層体を貼り付ける部分が立体形状である場合は、あらかじめそれに応じた形状の透明基材を使用し、その透明基材の上に中間層と表層を形成して積層体を得、この積層体を対象物品の所定部分に貼り付ければよい。
また、対象物品が画像表示装置である場合は、その表面に限らず、その前面板に対して本発明の積層体を貼り付けてもよいし、前面板そのものを本発明の積層体から構成することもできる。
また本発明の積層体は、上述した用途以外にも、例えば、光導波路、レリーフホログラム、レンズ、偏光分離素子などの光学用途や、細胞培養シートの用途にも適用できる。
[製造方法]
本発明の積層体は、例えば、透明基材上に中間層原料(中間層用樹脂組成物、第一の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)を塗布し、中間層原料が溶剤を含む場合は溶剤を乾燥、除去する中間層を形成工程と、その中間層上に第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(表層用樹脂組成物)を配し、活性エネルギー線照射によって中間層用樹脂樹脂組成物と表層用樹脂組成物を同時に硬化させる工程と、によって製造できる。
まず、中間層と表層の積層体形成工程について説明する。この形成方法は、例えば、中間層用樹脂組成物を基材に塗布する工程、溶剤を用いた場合には溶剤を揮発させる乾燥工程、表層用樹脂組成物を中間層用樹脂組成物とナノ凹凸構造の反転構造を有するスタンパとの間に塗布する工程、中間層用樹脂組成物及び表層用樹脂組成物を活性エネルギー線により同時に硬化させる工程、の大きく4つからなる。
(中間層原料塗布工程)
まず、透明基材上に中間層用樹脂組成物(第一の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)を塗布して、中間層用樹脂組成物からなる塗膜を形成する。その塗布方法は特に限定されない。基材の柔軟性や中間層用樹脂組成物の粘度を勘案して、種々のコーティング方法から最適な方法を選択することができる。具体的には、例えば、中間層用樹脂組成物の塗布の際にエアナイフによって塗膜の厚さを制御したり、あるいは、中間層用樹脂組成物の塗布をグラビヤコーティングにより行うことができる。公知のコーティング方法は、例えば、特開平01−216837号公報などに詳しく記載されている。
(中間層乾燥工程)
中間層用樹脂組成物が溶剤を含有している場合は、透明基材上に形成された塗膜を乾燥して溶剤を揮発除去することが望ましい。例えば、加熱や減圧によって溶剤の揮発を促進してもよい。ただし、急速な乾燥では、塗膜の表面側のみが乾いて内部に溶剤が残る場合があるので注意を要する。溶剤の種類や含有量によって適切な乾燥方法を選ぶことができる。また、加熱することで透明基材に変形を生じる場合もあるので注意を要する。
(表層原料塗布工程)
表層はナノ凹凸構造を有する層である。例えば、ナノ凹凸構造の反転構造を有するスタンパと透明基材上に形成された中間層用樹脂組成物との間に第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(表層用樹脂組成物)を配する。
(中間層用樹脂組成物及び表層用樹脂組成物の硬化)
以上のように形成した中間層用樹脂組成物及び表層用樹脂組成物を活性エネルギー線照射によって硬化させる。活性エネルギー線としては、紫外線が好ましい。紫外線を照射するランプとしては、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、フユージョンランプが挙げられる。紫外線の照射量は、重合開始剤の吸収波長や含有量に応じて決定すればよい。通常、その積算光量は、200〜10000mJ/cm2が好ましく、400〜6000mJ/cm2がより好ましい。200mJ/cm2以上であれば、中間層及び表層を十分に硬化させて、硬化不足に因る積層体の耐擦傷性低下を防止することができる。10000mJ/cm2以下であれば、中間層及び表層の着色や透明基材の劣化を防止することができる。照射強度も特に制限されないが、透明基材の劣化等を招かない程度の出力に抑えることが好ましい。
中間層及び表層を硬化反応により形成した後に、積層体からスタンパを剥離することにより、ナノ凹凸構造を有する表層を有する積層体を得ることができる。このナノ凹凸構造の製造方法の詳細やこれに使用するスタンパの製造方法については、例えば、特開2009−31764号公報などに記載の公知技術を採用することができる。より具体的には、ナノ凹凸構造の反転構造を有するスタンパを用いて、転写法によリナノ凹凸構造を形成することが好ましい。スタンパを使用することにより、一工程で簡便にナノ凹凸構造を成形体に転写することができる。
(スタンパ)
スタンパは、ナノ凹凸構造の反転構造が表面に形成されたものであり、スタンパの材料としては、金属(表面に酸化皮膜が形成されたものを含む。)、石英、ガラス、樹脂、セラミックス等が挙げられる。スタンパの形状としては、ロール状、円管状、平板状、シート状等が挙げられる。スタンバのナノ凹凸構造は表層に形成するナノ凹凸構造の反転構造であり、その大きさの測定は、スタンパの一部の縦断面を1分間Pt蒸着した後、上記表層のナノ凹凸構造の大きさの測定と同様の測定方法による測定値を採用することができる。
スタンパの製造方法としては、電子ビームリソグラフィ法、レーザ光干渉法等が挙げられるが、大面積のスタンパやロール形状のスタンパを簡便に作製できるという点から、陽極酸化法によることが好ましい。
陽極酸化法は、例えば、図2に示すように、以下の工程(a)〜(e)によって製造することができる。
ここで使用するアルミニウム基材は、純度99.0%超のものを用いることが好ましく、より好ましくは99.5%以上であり、更に好ましくは99.9%以上である。アルミニウム純度が99.0%超であれば、陽極酸化により形成される細孔が枝別れすることなく規則正しく形成され易い。工程(a)に先立って、ナノ凹凸構造の反転構造を形成するアルミニウム基材の平面又は曲面(以下、被加工面ともいう。)の酸化皮膜を除去するため、クロム酸/リン酸混合液等に浸漬する前処理を行うこともできる。
陽極酸化ポーラスアルミナ製のスタンパは、例えば下記の工程(a)〜(e)を経て製造できる(図2参照)。なお、アルミニウム基材上にナノ凹凸構造の反転構造を施す平面又は曲面を被加工面と呼称する。
・工程(a):アルミニウム基材の被加工面を電解液中、定電圧下で陽極酸化して、細孔を有する第1の酸化皮膜を被加工面に形成する第1の酸化皮膜形成工程。
・工程(b):形成された第1の酸化皮膜を全て除去し、陽極酸化の細孔発生点を被加工面に形成する酸化皮膜除去工程。
・工程(c):細孔発生点が形成されたアルミニウム基材の被加工面を電解液中、定電圧下で再度陽極酸化し、前記細孔発生点に対応した細孔を有する第2の酸化皮1莫を被加工面に形成する第2の酸化皮膜形成工程。
・工程(d):第2の酸化皮膜の一部を除去して、形成された細孔の孔径を拡大させる孔径拡大処理工程。
・工程(e):前記工程(c)と工程(d)を繰り返し行う工程。
工程(a):
図2(a)に示すように、工程(a)では、鏡面化されたアルミニウム基材の被加工面30を電解液中、定電圧下で陽極酸化し、アルミニウム基材の被加工面30に、細孔31を有する第1の酸化皮膜32を被加工面30に形成する。第1の酸化皮膜32の厚さは10μm以下が好ましい。
陽極酸化においては高電圧で行うほど細孔径は大きくすることができる。使用する電解液としては、酸性電解液又はアルカリ性電解液を挙げることができるが、酸性電解液が好ましい。酸性電解液としては硫酸、シュウ酸、リン酸、あるいはこれらの混合物が使用できる。
反応条件としては、例えば、シュウ酸を電解液として用いる場合、シュウ酸の濃度は、6.5質量%以下が好ましい。シュウ酸の濃度が6.5質量%以下であれば、陽極酸化時の電流値が高くなり粗い表面の酸化皮膜が形成されるのを抑制することができる。また、陽極酸化時の電圧を30〜60Vとすることにより、周期が100nm程度の規則性の高い細孔が形成され、ナノ凹凸構造が規則性を有するものとなり、撥水性の高い積層体が得られる。
電解液の温度は、50℃以下が好ましく、35℃以下がより好ましい。電解液の温度が50℃以下とすることで、いわゆる「ヤケ」といわれる現象の発生を抑制し、規則性を有する細孔を形成することができる。
工程(b)
工程(a)により形成された第1の酸化皮膜32を全て除去し、除去された第1の酸化皮膜の底部(バリア層と呼ばれる)に、細孔31に対応して周期的な窪み33が形成される。この窪み33が、陽極酸化の細孔発生点となり、最終的に形成されるナノ凹凸構造の規則性を向上できる(例えば、益田、「応用物理」、2000年、第69巻、第5号、p.558参照)。
第1の酸化皮膜32の全部を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、アルミナを選択的に溶解する溶液によって除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液が挙げられる
工程(c):
細孔発生点33が形成されたアルミニウム基材の被加工面30を電解液中、定電圧下で再度陽極酸化して、細孔発生点に対応した円柱状の細孔35を有する第2の酸化皮膜34を形成する。工程(c)では、工程(a)と同様の条件(電解液濃度、電解液温度、化成電圧等)下で陽極酸化すればよい。工程(c)においても、陽極酸化を長時間施すほど、深い細孔を得ることができるが、ナノ凹凸構造を転写するためのスタンパとして使用する場合には、工程(c)では厚さが0.01〜0.5μm程度の酸化皮膜を形成すればよく、工程(a)で形成するほどの厚さの酸化皮膜を形成する必要はない。工程(c)においても、陽極酸化を長時間施すほど、深い細孔を得ることができるが、ナノ凹凸構造を転写するためのスタンパとしては、工程(c)では厚さが0.01〜0.5μm程度の酸化皮膜を形成すればよく、工程(a)で形成するほどの厚さの酸化皮膜を形成する必要はない。
工程(d):
工程(c)の後、第2の酸化皮膜34の一部を除去し、工程(c)で形成された細孔31の径を拡大させる孔径拡大処理を行って、細孔35の径をエ程(c)で形成された細孔の径よりも拡大する。孔径拡大処理の具体的方法としては、アルミナを溶解する溶液に浸漬して、工程(c)で形成された細孔の径をエッチングにより拡大させる方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、5.O質量0/o程度のリン酸水溶液が挙げられる。工程(d)の時間を長くするほど、細孔の径は大きくなる。
工程(e):
再度、工程(c)を行って、細孔35の形状を径の異なる2段の円柱状とし、その後、再度、工程(d)を行う。このように、工程(c)と工程(d)を繰り返すことで、図2(f)に示すように、細孔35の形状を開口部から深さ方向に徐々に径が縮小するテーパー形状にできる。その結果、周期的な複数の細孔からなるナノ凹凸構造が形成された陽極酸化アルミナが被加工面に形成されたスタンパ20が得られる。
工程(c)と工程(d)の繰り返し回数は、回数が多いほど滑らかなテーパー形状にすることができることから、少なくとも合計で3回行うことが好ましい。エ程(c)と工程(d)の条件、例えば、孔径拡大処理の時間、孔径拡大処理に利用する溶液の温度や濃度を適宜設定することにより、様々な形状の細乳を形成できる。例えば、工程(d)の処理時間を短縮したり、エッチングの温度B濃度日時間等の条件を変更することによって、深部の拡径率が好適なスタンパを形成することができる。このようなスタンパにより、先鋭な先端を有するナノ凹凸構造の形成が可能となる。
このように、先鋭な先端部を有する積層体を成形することができるスタンパとしては、最初の工程(c)で形成された細孔35の径に対し、最終工程で形成された先端部の細孔35の径が、1.1〜1.9倍であることが好ましく、より好ましくは1.1〜1.3倍であり、更に好ましくは1.1〜1.7倍である。細孔径倍率が上記範囲であれば、スタンパの反転ナノ凹凸構造の形状を忠実に転写することができる。
上述した工程(a)〜(e)を経てスタンパを製造する方法によれば、鏡面化されたアルミニウム基材の被加工面に、開口部から深さ方向に徐々に径が縮小するテーパー形状の細孔が周期的に形成される。その結果、ナノ凹凸構造の反転構造を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたスタンパを得ることができる。
なお、工程(a)の前に、アルミニウム基材の被加工面の酸化皮膜を除去する前処理を行ってもよい。酸化皮膜を除去する方法としてはクロム酸/リン酸混合液に浸漬する方法等が挙げられる。
このようにして得られる陽極酸化ポーラスアルミナは、本発明の成形体を製造するために樹脂組成物にナノ凹凸構造を転写するスタンパとして好適である。
スタンパの形状に特に制限は無く、平板でもあってもよく、ロール状であってもよい。また、スタンパのナノ凹凸構造の反転構造が形成された表面は、離型が容易になるように、離型処理が施されていてもよい。離型処理の方法としては、例えば、シリコーン系ポリマーやフッ素ポリマーをコーティングする方法、フッ素化合物を蒸着する方法、フッ素系又はフッ素シリコーン系のシランカップリング剤をコーティングする方法等が挙げられる。
上述したスタンパを用いて製造される成形体は、その表面にスタンパのナノ凹凸構造の反転構造が、鍵と鍵穴の関係で転写される。
スタンパの表面には、これを用いて成形した積層体からスタンパを剥離するのを容易にするために、離型処理を行うことができる。離型処理としては、シリコーン系ポリマーやフッ素ポリマーをコーティングする方法、フッ素化合物を蒸着する方法、フッ素系又はフッ素シリコーン系のシランカップリング剤をコーティングする方法等が挙げられる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。以下の記載において、特に断りがない限り「部」は「質量部」を意味する。また、各種測定及び評価方法は以下の通りである
(1)スタンパの細孔の測定:
陽極酸化ポーラスアルミナからなるスタンパの一部の縦断面を1分間Pt蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、商品名JSM−7400F)により加速電圧3.00kVで観察し、隣り合う細孔の間隔(周期)及び細孔の深さを測定した。具体的にはそれぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
(2)ナノ凹凸構造の凹凸の測定:
ナノ凹凸構造の縦断面を10分間Pt蒸着し、上記(1)の場合と同じ装置及び条件にて、隣り合う凸部又は凹部の間隔及び凸部の高さを測定した。具体的にはそれぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
(3)密着性の評価:
JIS K 5400に準拠し、碁盤目剥離試験を行い表層と中間層との密着性を評価した。基盤には厚さ2mmのアクリル板を用いた。碁盤目は10×10の100マスによって行い、100マス中で表層と中間層との剥離が起こらなかった数を評価した。
(4)ポリマー成分のTg測定:
ポリマー成分の溶剤を乾燥して厚さ500μmのフィルムに成形し、このフィルムを幅5mmの短冊状に打ち抜いたものを試験片とし、セイコーインスツルメンツ株式会社製粘弾性測定装置DMS110を用い、引張モード、チャック問2cm、振動周波数1Hzにて−50〜100℃まで2℃/分で昇温の条件で測定し、tanδのピーク値をTgとした。
(5)鉛筆硬度試験:
JIS K5600−5−4に準じて、荷重750gで試験を行った。試験後5分経った時点で、外観を目視にて観察し、傷が付かない鉛筆の硬度を記した。2Hで傷が付かず、3Hで傷が付く場合は「2H」と表記した。
[スタンパの作製]
純度99.99%のアルミニウム板を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
(a)工程:
このアルミニウム板を、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度可16℃の条件で30分間陽極酸化を行った。
(b)工程:
上記工程で酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜を除去した。
(c)工程:
このアルミニウム板を、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行った。
(d)工程:
上記工程で酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
(e)工程:
前記(c)工程及び(d)工程を合計で5回線り返し、周期100nm、深さ180nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。
得られた陽極酸化ポーラスアルミナを脱イオン水で洗浄し、次いで表面の水分をエアーブローで除去した。その後、フッ素系剥離材(ゲイキンエ業社製、商品名オプツールDSX)を固形分0.1質量%になるように希釈剤(ハーベス社製、商品名HD一ZV)で希釈した溶液に陽極酸化ポーラスアルミナを10分間浸漬した後、20時間風乾し、表面上に細孔が形成されたスタンパを得た。
[中間層原料]
表1に示すポリマー溶液をMEKで固形分30質量%に希釈し、中間層原料を得た。表1中の略号は以下の通りである。
・「AX4−HC−M08」:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル重合体((株)日本触媒製、商品名AX4−HC−M08 Mw=20000)
・「8KX−078」:アクリロイル基側鎖アクリル酸エステルモノマー共重合体(大成ファインケミカル(株)製、商品名8KX−078 Mw=42000)
・「8KX−077」:アクリロイル基側鎖アクリル酸エステルモノマー共重合体(大成ファインケミカル(株)製、商品名8KX−077 Mw=21000)
・「IRG184」:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本チバガイギー(株)製、商品名Irgacure 184)
・「MEK」:メチルエチルケトン
Figure 2013222074
[表層形成用の樹脂組成物の調製]
エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業社製、商品名NKエステルATM−4E)80部、シリコーンジアクリレート(信越化学工業社製、商品名x−22−1602)15部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5部、活性エネルギー線重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(日本チバガイギー社製、商品名DAROCURE 1173)0.5部及び2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(日本チバガイギー社製、商品名DAROCURE TPO)0.5部を混合して、表層形成用の第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
[実施例1]
(中間層の形成)
透明基材としてトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製、FT DT80ULM商品名 厚さ80μm)を用い、AX4−HC−M08:100部、IRG184:3部をMEK233部に溶解させた中間層原液をこの基材フィルム上に、バーコーターを用いて均一に塗布し、100℃の乾燥機内に5分間静置し、中間層を形成した。
(ナノ凹凸構造を有する表層の形成)
スタンパの細孔面上に表層形成用の樹脂組成物を流し込み、該表面形成用の樹脂組成物に中間層が接するように基材フィルムを押し広げながら該樹脂組成物を被覆した。この基材フィルム側から高圧水銀灯を用いて1000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を15秒間照射し、中間層及び表層形成用樹脂組成物を硬化した。その後スタンパを剥離して、ナノ凹凸構造を表面に有する積層体を得た。
この積層体の表面には、スタンパのナノ凹凸構造が転写されており、図1(a)に示すような、隣り合う凸部13の間隔w1が100nm、凸部13の高さd1が180nmである略円錐形状のナノ凹凸構造が形成されていた。このナノ凹凸構造体の各性能を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
中間層原料を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
中間層を形成せずに、基材上に直接表層を形成した以外は、実施例1と同様ににして積層体を得た。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
中間層原料を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
中間層を形成後、酸素濃度1000ppm以下の窒素雰囲気下で積算光量5000mJ/cm2で中間層を硬化した後に、表層を形成した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、実施例1および2の積層体は碁盤目剥離試験において、剥がれが生じず、高い密着性を示し、鉛筆硬度試験で2Hの鉛筆を用いた際に傷が残らず、高い耐擦傷性を有していた。
比較例1の積層体は中間層が無いため、基材と表層の密着性が十分では無かった。
比較例2の積層体は中間層原料に用いたポリマーのTgが高く、溶剤乾燥後の中間層の弾性率が高かったため、中間層と表層との密着性が十分では無かった。
比較例3の積層体は表層の硬化前に、中間層樹脂側鎖の反応性基が消費されていたため、中間層と表層との密着性が十分では無かった。
10 積層体
11 透明基材
12 表層
13、13b 凸部
13a 凸部の頂点
14 凹部
14a 凹部の底点
15 中間層
48
W1 隣り合う凸部の間隔
d1 凹部の底点から凸部の頂点までの垂直距離
20 スタンパ
30 被加工面
31 細孔
32 第1の酸化皮膜
33 細孔発生点
34 第2の酸化皮膜

Claims (3)

  1. 基材上に、中間層を介して、ナノ凹凸構造の表面を有する表層が積層された積層体の製造方法であって、
    (A)Tgが60℃以下である反応性基を有するポリマーを含む、前記中間層の原料としての第一の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を前記基材の上に配置する工程と、
    (B)前記ナノ凹凸構造の反転構造を有するスタンパと前記第一の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との間に前記表層の原料としての第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を配置する工程と、
    (C)前記第一の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と前記第二の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とに活性エネルギー線を照射して同時に硬化させ、前記中間層及び前記表層を形成する工程と、
    を含む積層体の製造方法。
  2. 前記工程(B)の前に、前記第一の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を乾燥させる工程を含む、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法で得られる積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017077839A1 (ja) * 2015-11-04 2017-05-11 コニカミノルタ株式会社 自己修復性フィルム

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