JP5133190B2 - 保護フィルム付き成形体、およびその製造方法 - Google Patents

保護フィルム付き成形体、およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5133190B2
JP5133190B2 JP2008258395A JP2008258395A JP5133190B2 JP 5133190 B2 JP5133190 B2 JP 5133190B2 JP 2008258395 A JP2008258395 A JP 2008258395A JP 2008258395 A JP2008258395 A JP 2008258395A JP 5133190 B2 JP5133190 B2 JP 5133190B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protective film
molded body
film
roll
meth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008258395A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010091604A (ja
Inventor
雅 中村
英子 岡本
覚 小澤
匡之 藤原
伊藤  公一
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2008258395A priority Critical patent/JP5133190B2/ja
Publication of JP2010091604A publication Critical patent/JP2010091604A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5133190B2 publication Critical patent/JP5133190B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)

Description

本発明は、保護フィルム付き成形体、およびその製造方法に関する。
各種ディスプレー、レンズ、ショーウィンドーなどの空気と接する界面(表面)では、太陽光や照明等が表面で反射することによる視認性の低下が問題点となっていた。
反射を減らすために、例えば反射防止フィルムを対象物の表面に貼着することがある。反射防止フィルムには、反射率や反射率の波長依存性が低いことが求められる。
反射防止フィルムとしては、フィルム表面での反射光と、フィルムと対象物の界面での反射光とが干渉によって打ち消し合うように、屈折率の異なる数層のフィルムが積層した構造のものが知られている。通常、フィルムの積層数を増やすと、反射率や反射率の波長依存性が低くなる傾向にある。
これらのフィルムは、通常、スパッタリング、蒸着、コーティング等の方法で製造される。しかし、このような方法では、フィルムの積層数を増やしても反射率及び反射率の波長依存性の低下には限界があった。また、製造コスト削減を目的としてフィルムの積層数を減らすためには、より低屈折率の材料が求められていた。
材料の屈折率を下げるためには、何らかの方法で材料中に空気を導入することが有効であるが、その一つとして、例えばフィルムの表面に微細凹凸構造を形成する方法が知られている。特に、可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造、いわゆるMoth−Eye構造と呼ばれる微細凹凸構造は、空気の屈折率から材料の屈折率に連続的に増大していくことで有効な反射防止の手段となる。
材料表面に微細凹凸構造を形成する方法としては、材料の表面を直接加工する方法、微細凹凸構造に対応した反転構造を有する鋳型を用いて、この構造を転写する転写法などがあり、生産性、経済性の点から、後者の方法が優れている。鋳型に反転構造を形成する方法としては、電子線描画法、レーザー光干渉法等が知られているが、近年、より簡便に製造できる鋳型として、陽極酸化により形成された微細凹凸構造を有するアルミナが注目されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、細孔周期が50〜300nmの微細凹凸構造が表面に形成された陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として用いて製造した反射防止膜が開示されている。
通常、表面に可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造が形成されたフィルムなどの成形体には、表面に汚れ等が付着するのを防いだり、微細凹凸構造の形状を維持(保護)したりすることを目的として、使用されるまでの間、微細凹凸構造が形成された表面に保護フィルムが貼着される。
特開2005−156695号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、陽極酸化ポーラスアルミナの表面の可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を転写して、表面にMoth−Eye構造の微細凹凸構造を形成した成形体では、通常の微細凹凸構造に比べて凸部間の間隔(周期)が狭く、成形体と保護フィルムとの貼着面積が小さい。そのため、保護フィルムを貼着するのが困難であった。従って、保護フィルムを貼着するには、通常よりも粘着力の強い粘着剤等を含有した粘着剤層を備えた保護フィルム(強粘着保護フィルム)を用いる必要がある。
また、特にMoth−Eye構造の微細凹凸構造の表面に保護フィルムを貼着すると、強度が経時的に増加し、次第に保護フィルムが剥離しにくくなる挙動が明らかになった。
すなわち、特にMoth−Eye構造の微細凹凸構造が形成された成形体に保護フィルムを貼着する際には、貼着時の密着強度が低く、しかし、一旦貼着すると時間が経過するに連れて保護フィルムを剥離するのが困難になってしまう特性があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、保護フィルムを貼着しやすく、かつ不用意に剥がれず、さらに意図的に剥がそうとすれば容易に剥離できる保護フィルム付き成形体、およびその製造方法の提供を課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、ガラス転移温度(Tg)と融点(Tm)のいずれか高い方が特定の範囲になる保護面を有する保護フィルムを用い、特定範囲の温度で、Moth−Eye構造の微細凹凸構造の表面と保護面とが貼着するように成形体と保護フィルムとを貼り着けることで、必要以上に粘着力の強い粘着剤を含有した保護フィルムを用いることなく、成形体の表面に保護フィルムを貼着でき、その結果、時間が経過しても保護フィルムを容易に剥離できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の保護フィルム付き成形体は、表面に可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を有する成形体に、該成形体の表面を保護する保護フィルムが貼着した保護フィルム付き成形体であって、前記保護フィルムは、融点(Tm)が50℃〜100℃である保護面を有し、該保護面と前記成形体の表面が貼着したことを特徴とする。
また、本発明の保護フィルム付き成形体の製造方法は、本発明の保護フィルム付き成形体の製造方法であって、前記保護面の融点(Tm)より5〜20℃高い温度で、前記保護フィルムと成形体を貼着することを特徴とする。
本発明によれば、保護フィルムを貼着しやすく、かつ不用意に剥がれず、さらに意図的に剥がそうとすれば容易に剥離できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の保護フィルム付き成形体1の一例を示す縦断面図である。この例の保護フィルム付き成形体1は、成形体10の表面に保護フィルム20が貼着されている。
なお、図2〜3において、図1と同じ構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する場合がある。また、図1〜4においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材に毎に縮尺を異ならせてある。
また、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。また、活性エネルギー線は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
<成形体>
図1に示す成形体10は、基材11と、該基材11の表面に形成された、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物12とを有する。
基材11としては、光を透過するものであれば特に限定されない。例えばメチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、ガラスなどが挙げられる。基材11は射出成形、押し出し成形、キャスト成形のいずれの方法によって作成してもよい。
基材11の形状には特に制限はなく、製造する成形体10に応じて適宜選択できるが、例えば成形体10が反射防止フィルムなどである場合には、シート状またはフィルム状が好ましい。また、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との密着性や、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の改良のために、基材11の表面には例えば各種コーティングやコロナ放電処理が施されていてもよい。
成形体10は、その表面に可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を有する。成形体10は、表面全体に微細凹凸構造が形成されていてもよく、例えば図2に示すように表面の一部に微細凹凸構造が形成されていてもよい。
図2(a)に示す成形体10は、微細凹凸構造を有する凹凸部13と、微細凹凸構造を有さない非凹凸部14が表面に形成されている。この例の場合、凹凸部13は硬化物12の表面に、非凹凸部14は露出した基材11の表面に相当するが、本発明はこれに限定されず、例えば図2(b)に示すように、硬化物12の表面に、凹凸部13と非凹凸部14が形成されていてもよい。
なお、本明細書において、成形体の面のうち微細凹凸構造が形成されている側の面を「成形体の表面」とし、これに対向した面を「成形体の裏面」とする。
凹凸部13の微細凹凸構造は、後述する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる複数の凸部を有するもので、陽極酸化アルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成される。
微細凹凸構造としては、略円錐形状、角錐形状等の突起(凸部)が複数並んだ、いわゆるMoth−Eye構造が好ましい。表面に、可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を有することで、防汚性に優れた成形体10が得られる。また、このような微細凹凸構造は、空気の屈折率から材料の屈折率に連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となる。
ここで、「可視光の波長」とは400〜830nmの波長を意味する。また、「周期」とは、図2(a)に示すように、微細凹凸構造の凸部13’の中心からこれに隣接する凸部13’の中心までの距離Wのことであり、本発明においては電子顕微鏡観察によって距離Wを10点測定し、これらの値を平均したものとする。
微細凹凸構造の周期は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下であり、300nm以下が好ましい。微細凹凸構造の周期が可視光の波長以下であれば、反射率が低く、かつ反射率の波長依存性が少ない成形体10が得られる。
微細凹凸構造の周期は、凸部の形成のしやすさの点から、25nm以上が好ましく、80nm以上がより好ましい。
凸部の高さは、100〜400nmが好ましく、150〜300nmがより好ましい。凸部の高さが100nm以上であれば、反射率が十分に低くなり、かつ反射率の波長依存性が少なくなると共に、防汚性にも優れるようになる。凸部の高さが400nm以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
凸部の高さは、電子顕微鏡観察によって10個の凸部の高さdを測定し、これらの値を平均したものである。
凸部のアスペクト比(凸部の高さd/凸部の底面の長さ)は、1.0〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。凸部のアスペクト比が1.0以上であれば、反射率が十分に低くなるだけでなく、防汚性にも優れるようになる。凸部のアスペクト比が5.0以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
なお、凸部の底面の長さとは、図2(a)に示すように、凸部13’の頂点から高さ方向に凸部13’を切断したときの断面における底部の長さdのことである。
凸部の形状は、高さ方向と直交する方向の凸部断面積が最表面から深さ方向に連続的に増加する形状、すなわち、凸部の高さ方向の断面形状が、三角形、台形、釣鐘型等の形状が好ましい。
図2(a)、(b)に示すように、表面の一部に微細凹凸構造が形成されている場合、非凹凸部14は成形体10の表面の両端部に設けられているのが好ましい。非凹凸部14が両端部に設けられれば、保護フィルム付き成形体とした際に、成形体の表面の両端が保護フィルムによって十分な密着強度で貼着されることになるので、成形体と保護フィルムとの界面にゴミ等の不純物がより侵入しにくく、成形体の表面に汚れ等がより付着しにくくなる。非凹凸部14は、両端部以外の箇所に複数設けられていてもよいが、成形体10が反射防止性や防汚性などの特性を十分に発揮するためには、両端部のみに設けられているのが好ましい。
非凹凸部14の幅Wは、1〜100mmが好ましく、8〜50mmがより好ましい。非凹凸部14の幅Wが1mm以上であれば、保護フィルム20との貼着面積を確保でき、保護フィルム20が密着しやすくなる。非凹凸部14の幅Wが100mm以下であれば、成形体10が反射防止性や防汚性などの特性を十分に発揮できる。
成形体は、表面に微細凹凸構造を有するので、光学用途成形体、特に反射防止フィルムや立体形状の反射防止体などの反射防止物品として好適である。
成形体が反射防止フィルムである場合には、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置のような画像表示装置、レンズ、ショーウィンドー、眼鏡レンズ、1/2波長板、ローパスフィルター等の対象物の表面に貼り付けて使用される。
成形体が立体形状の反射防止体である場合には、あらかじめ用途に応じた形状の透明基材を用いて反射防止体を製造しておき、これを上記対象物の表面を構成する部材として使用することもできる。
また、対象物が画像表示装置である場合には、その表面に限らず、その前面板に対して反射防止フィルムを貼り付けてもよいし、前面板そのものを本発明の成形体から構成することもできる。
その他にも、このような成形体の用途としては、光導波路、レリーフホログラム、レンズ、偏光分離素子、1/2波長板、ローパスフィルター、水晶デバイスなどの光学用途成形体や、細胞培養シート、超撥水性フィルム、超親水性フィルムなどが挙げられる。
<保護フィルム>
保護フィルムは、成形体の表面を保護するものであり、例えば図1に示すように、フィルム基材21上に、粘着剤層22が積層していてもよいし、フィルム基材21上に、粘着剤層22が積層していなくてもよい。
保護フィルム20として、フィルム基材21上に粘着剤層22が積層した積層体を用いる場合、フィルム基材21と接触しない側の粘着剤層22の表面が保護面となる。
フィルム基材21としては、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などからなるフィルムを挙げることができる、中でも表面保護性能の観点からポリエステル系樹脂が好ましい。また、実用性を考慮すればポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。
粘着剤層22としては、ガラス転移温度(Tg)と融点(Tm)のいずれか高い方が50℃〜100℃である材料から構成される。TgとTmのいずれか高い方が50℃以上であれば、成形体に保護フィルムを加熱貼着したときに、保護フィルムの粘着剤層が成形体の微細凹凸構造の凹部に適度に入り込みやすくなるので、可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を有する成形体の表面と、該表面に貼着する保護フィルムの保護面との密着性が向上する。一方、TgとTmのいずれか高い方が100℃以下であれば、成形体に保護フィルムを加熱貼着したときに、保護フィルムのフィルム基材が変形しやすくなるので、本発明の保護フィルム付き成形体から保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、必要以上に力を加えることなく容易に剥がすことができる。
なお、粘着剤層22が、TgとTmのいずれか高い方が50℃〜100℃である材料から構成される場合、保護フィルムの保護面も必然的にTgとTmのいずれか高い方が50℃〜100℃となる。保護面は、TgとTmのいずれか高い方が60℃〜80℃であることが好ましい。
TgとTmのいずれか高い方が50℃〜100℃である材料としては、具体的にエチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン単独共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、1−ブテン単独重合体、1−ブテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体、4−メチルペンテン−1単独重合体、4−メチルペンテン−1・プロピレン共重合体、4−メチルペンテン−1・1−ブテン共重合体、4−メチルペンテン−1・プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル共重合体等の重合体を、TgとTmのいずれか高い方が50℃〜100℃の範囲を示すように、硬化度を調節したものが挙げられる。中でも、エチレン・酢酸ビニル共重合体、メタクリル酸メチル共重合体が、糊残りが少ないという点で好ましい。
粘着剤層の厚さは、0.01〜50μmが好ましく、糊残りが少ないという点で1〜10μmがより好ましい。
このような保護フィルムは、例えば、フィルム基材の一方の面上に、粘着剤層を構成するモノマーの種類や配合量比等の組成や、硬化度を調節した重合体および必要に応じて任意成分と、水等の溶媒とを含有する塗布液を塗布し、乾燥して、フィルム基材上に、粘着剤層を形成することで作製できる。塗布液を塗布する方法としては特に限定されない。
保護フィルム20として、フィルム基材21上に、粘着剤層22が積層していないものを用いる場合、フィルム基材21の少なくとも片面が保護面となる。
フィルム基材21としては、保護面のTgとTmのいずれか高い方が50℃〜100℃の範囲を示すものを用いる。TgとTmのいずれか高い方が50℃以上であれば、成形体に保護フィルムを加熱貼着したときに、保護フィルムの粘着剤層が成形体の微細凹凸構造の凹部に適度に入り込みやすくなるので、可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を有する成形体の表面と、該表面に貼着する保護フィルムの保護面との密着性が向上する。一方、TgとTmのいずれか高い方が100℃以下であれば、成形体に保護フィルムを加熱貼着したときに、保護フィルムのフィルム基材が変形しやすくなるので、本発明の保護フィルム付き成形体から保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、必要以上に力を加えることなく容易に剥がすことができる。
保護面は、TgとTmのいずれか高い方が60℃〜80℃であることが好ましい。
このようなフィルム基材21としては、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などからなるフィルムが挙げられる。中でも、表面保護性能の点ではポリエステル系樹脂が好ましく、実用性を考慮すればポリエチレンテレフタレート樹脂が特に好ましい。
保護フィルムに備わるフィルム基材の厚さは、粘着剤層の有無に関わらず、500μm以下が好ましく、5〜300μmがより好ましく、10〜200μmが特に好ましい。
保護フィルムとしては、市販のものを用いてもよい。例えばサンエー化研社製のポリオレフィン系フィルム「PAC−4−50」が好適である。
本発明において、保護面のTgは、以下のようにして測定する。
フィルム基材上に粘着剤層が積層していない場合は、フィルム基材そのものを試料として用いる。フィルム基材上に粘着剤層が積層している場合は、該粘着剤層をスパチュラ等でかきとったものを試料として用いる。
試料を動的粘弾性試験機にセットし、測定周波数10Hz、昇温速度3℃/分の条件で測定し、測定値を保護面のTgとする。
本発明において、保護面のTmは、以下のようにして測定する。
フィルム基材上に粘着剤層が積層していない場合は、フィルム基材そのものを試料として用いる。フィルム基材上に粘着剤層が積層している場合は、該粘着剤層をスパチュラ等でかきとったものを試料として用いる。
試料を示差熱量計にセットし、一旦200℃まで昇温させ融解させた後、140℃まで冷却し、再度2.5℃/分の速度にて昇温する過程で発生する発熱スペクトルのピークの温度を保護面のTmとする。
<保護フィルム付き成形体>
本発明の保護フィルム付き成形体は、TgとTmのいずれか高い方が50℃〜100℃である保護面を有する保護フィルムと、表面に可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を有する成形体とが、保護面と成形体の表面が貼着するように貼り着いていれば特に限定されるものではない。
上述したように、陽極酸化ポーラスアルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成された、いわゆるMoth−Eye構造と呼ばれる微細凹凸構造は、通常の微細凹凸構造よりも凸部間の間隔が狭いため、微細凹凸構造が形成された面は保護フィルムとの貼着面積が小さく、保護フィルムが貼着されにくい。従って、成形体の表面に保護フィルムを貼着するには、通常の微細凹凸構造が形成された成形体の表面に貼着する保護フィルムに比べて粘着力の強い粘着剤を含有する粘着剤層を備えた保護フィルム(強粘着保護フィルム)を用いる必要があった。
ところが、Moth−Eye構造の微細凹凸構造は、凸部間の間隔が通常の微細凹凸構造に比べて狭く、表面積が大きい。そのため、時間の経過と共に凹部と保護フィルムとの貼着面積が大きくなりやすく、密着強度が経時的に増加し、次第に保護フィルムが剥離しにくくなる挙動があった。
従って、Moth−Eye構造の微細凹凸構造が形成された成形体に保護フィルムを貼着する際には、貼着時の密着強度が低く、しかし、一旦貼着すると時間が経過するに連れて保護フィルムを剥離するのが困難になってしまう特性があった。
しかし、本発明の保護フィルム付き成形体であれば、TgとTmのいずれか高い方が50℃〜100℃である保護面を有する保護フィルムで成形体の表面を貼着するので、成形体の表面と、該表面に貼着する保護フィルムの保護面との密着性に優れると共に、本発明の保護フィルム付き成形体から保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、必要以上に力を加えることなく容易に剥がすことができる。
そのため、保護フィルムに粘着剤層が備わっていなくても、あるいは粘着剤層が備わる場合でも必要以上に粘着力の強い粘着剤を用いなくても、成形体の表面に保護フィルムを十分に貼着させることができる。従って、本発明であれば時間が経過しても容易に保護フィルムを成形体から剥離できる。
よって、本発明の保護フィルム付き成形体は、保護フィルムを貼着しやすく、かつ不用意に剥がれず、さらに意図的に剥がそうとすれば容易に剥離できる。
本発明の保護フィルム付き成形体は、例えば図3に示す保護フィルム付き成形体の製造装置30を用いて製造される。
<保護フィルム付き成形体の製造装置>
図3は、保護フィルム付き成形体の製造装置30の一例を示す概略構成図であり、この例の製造装置30は、表面に微細凹凸構造を有するロール状モールド31と、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を収容するタンク32と、空気圧シリンダ33を備えたニップロール34と、活性エネルギー線照射装置35と、剥離ロール36と、空気圧シリンダ37を備えた一対のニップロール38とを具備する。
なお、図3に示す保護フィルム付き成形体の製造装置30は、成形体10を作製した後に、連続して保護フィルム付き成形体を製造する装置である。
(ロール状モールド)
ロール状モールド31は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’に微細凹凸構造を転写させるモールドであり、表面に陽極酸化アルミナを有する。表面に陽極酸化アルミナを有するモールドは、大面積化が可能であり、ロール状モールドの作製が簡便である。
陽極酸化アルミナは、アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト)であり、表面に複数の細孔(凹部)を有する。
表面に陽極酸化アルミナを有するモールドは、例えば、下記(a)〜(e)工程を経て製造できる。
(a)ロール状のアルミニウムを電解液中、定電圧下で陽極酸化して酸化皮膜を形成する工程。
(b)酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(c)ロール状のアルミニウムを電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)細孔の径を拡大させる工程。
(e)前記(c)工程と(d)工程を繰り返し行う工程。
(a)工程:
図4に示すように、アルミニウム39を陽極酸化すると、細孔40を有する酸化皮膜41が形成される。
アルミニウムの純度は、99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.8%以上が特に好ましい。アルミニウムの純度が低いと、陽極酸化した時に、不純物の偏析により可視光を散乱する大きさの凹凸構造が形成されたり、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりすることがある。
電解液としては、硫酸、シュウ酸、リン酸等が挙げられる。
シュウ酸を電解液として用いる場合:
シュウ酸の濃度は、0.7M以下が好ましい。シュウ酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて酸化皮膜の表面が粗くなることがある。
化成電圧が30〜60Vの時、周期が100nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向にある。
電解液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。電解液の温度が60℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
硫酸を電解液として用いる場合:
硫酸の濃度は0.7M以下が好ましい。硫酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて定電圧を維持できなくなることがある。
化成電圧が25〜30Vの時、周期が63nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向がある。
電解液の温度は、30℃以下が好ましく、20℃以下がよりに好ましい。電解液の温度が30℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
(b)工程:
図4に示すように、酸化皮膜41を一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点42にすることで細孔の規則性を向上できる。
酸化皮膜を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
(c)工程:
図4に示すように、酸化皮膜を除去したアルミニウム39を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔40を有する酸化皮膜41が形成される。
陽極酸化は、(a)工程と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
(d)工程:
図4に示すように、細孔40の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔径は大きくなる。
(e)工程:
図4に示すように、(c)工程の陽極酸化と、(d)工程の細孔径拡大処理を繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔40を有する陽極酸化アルミナが形成され、表面に陽極酸化アルミナを有するモールド(ロール状モールド31)が得られる。
繰り返し回数は、合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の直径が減少するため、このような細孔を有する陽極酸化アルミナを用いて製造された硬化物12の反射率低減効果は不十分である。
陽極酸化アルミナの表面は、硬化物12との分離が容易になるように、離型剤で処理されていてもよい。処理方法としては、例えば、シリコーン樹脂またはフッ素含有ポリマーをコーティングする方法、フッ素含有化合物を蒸着する方法、フッ素含有シランカップリング剤またはフッ素含有シリコーン系シランカップリング剤をコーティングする方法等が挙げられる。
細孔40の形状としては、略円錐形状、角錐形状、円柱形状等が挙げられ、円錐形状、角錐形状等のように、深さ方向と直交する方向の細孔断面積が最表面から深さ方向に連続的に減少する形状が好ましい。
細孔40間の平均間隔(周期)は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。
細孔40の深さは、100〜400nmが好ましく、150〜300nmがより好ましい。
細孔40のアスペクト比(細孔の深さ/細孔の開口部の長さ)は、1.0〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。
なお、細孔の開口部の長さとは、細孔の最深部から深さ方向に細孔を切断したときの断面における開口の長さのことである。
(タンク)
タンク32は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を収容し、ロール状モールド31と、ロール状モールド31の表面に沿って移動する帯状の基材11との間に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を供給する。
(ニップロール)
ニップロール34は、ロール状モールド31に対向して配置される。ニップロール34は、ロール状モールド31と共に基材11および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’をニップする。
ニップ圧は、ニップロール34に備わる空気圧シリンダ33によって調整する。
(活性エネルギー線照射装置)
活性エネルギー線照射装置35は、ロール状モールド31の下方に設置され、活性エネルギー線を照射して、基材11とロール状モールド31の間に充填された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を硬化させる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’が硬化されることにより、基材11上に、ロール状モールド31の微細凹凸構造が転写された硬化物12が形成される。
活性エネルギー線照射装置35としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等を使用できる。この場合の光照射エネルギー量は、100〜10000mJ/cmが好ましい。
(剥離ロール)
剥離ロール36は、活性エネルギー線照射装置35よりも下流側に配置され、表面に硬化物12が形成された基材11をロール状モールド31から剥離する。
(一対のニップロール)
一対のニップロール38は、剥離ロール36の下流側に配置され、成形体10に保護フィルム20を貼着させる。
一対のニップロール38は、外周面がゴム等の弾性部材で形成された弾性ロール38aと、外周面が金属等の剛性が高い部材で形成された剛性ロール38bとからなる。
ニップ圧は、弾性ロール38aに備わる空気圧シリンダ37によって調整する。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’は、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマーを適宜含有するものであり、非反応性のポリマーを含有するものでもよい。また、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物を使用したものであってもよい。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、特に限定されることなく使用できる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート誘導体、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体、(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド誘導体等の単官能モノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、等の三官能モノマー、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能のモノマー、二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレートなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては特に限定はないが、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基などを有するモノマーが挙げられ、これらの中でも特にエポキシ基を有するモノマーが好ましい。
オリゴマーおよび反応性ポリマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物などの不飽和ポリエステル類、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
非反応性のポリマーとしては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、特に限定されないが例えばアルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物などが挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、RSi(OR’)で表せるものが使用でき、RおよびR’は炭素数1〜10のアルキル基を表し、xおよびyはx+y=4の関係を満たす整数である。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシランなどが挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、RO[Si(OR)(OR)O]で表せるものが使用でき、R〜Rはそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、zは3〜20の整数を示す。
具体的にはメチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケートなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物は、通常、硬化のための重合性開始剤を含有する。重合性開始剤としては特に限定されず、公知のものが使用できる。
光反応を利用する場合、光開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド;などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤は例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
熱反応を利用する場合、熱重合開始剤の具体例としては、例えばメチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
重合開始剤の添加量は活性エネルギー線硬化性組成物100質量部に対して0.1〜10質量部である。0.1質量部以上であると、重合が進行しやすく、10質量部以下であると、得られる硬化物が着色したり、機械強度が低下したりすることがない。
また、活性エネルギー線硬化性組成物には、上述したもの以外に、帯電防止剤、離型剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物などの添加剤、微粒子、少量の溶剤などが添加されていてもよい。
<保護フィルム付き成形体の製造>
本発明の保護フィルム付き成形体の製造方法は、保護フィルムの保護面のTgとTmのいずれか高い方より5〜20℃高い温度で、保護フィルムと成形体を貼着することを特徴とする。
ここで、上述した保護フィルム成形体の製造装置30を用いて、保護フィルム成形体を製造する方法の一例を説明する。
(成形体の作製)
まず、成形体10を作製する。
具体的には、図3に示すように、回転するロール状モールド31の表面に沿うように帯状の基材11を搬送させ、基材11とロール状モールド31との間に、タンク32から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を供給する。
さらに、ロール状モールド31と、空気圧シリンダ33によってニップ圧が調整されたニップロール34との間で、基材11および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’をニップし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を、基材11とロール状モールド31との間に均一に行き渡らせると同時に、ロール状モールド31の微細凹凸構造の凹部内に充填する。
ついで、ロール状モールド31の下方に設置された活性エネルギー線照射装置35から、基材11を通して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を硬化させることによって、ロール状モールド31の表面の微細凹凸構造が転写された硬化物12を形成する。
ついで、剥離ロール36により、表面に硬化物12が形成された基材11を剥離することによって、成形体10を得る。
図4に示すような細孔40を転写して形成された硬化物12の表面は、可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造、いわゆるMoth−Eye構造となる。
図2(a)に示すような、凹凸部13が硬化物12の表面に相当し、非凹凸部14が露出した基材11の表面に相当する成形体10を得るためには、タンク32から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を供給する量(供給量)を調整すればよい。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’はタンク32から供給されると基材11上に広がるが、供給量が多いほど基材11上に広がる範囲が増える。従って、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’が基材11の表面全域に行渡らないように供給量を調整することで、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’が行渡った部分のみにロール状モールド31の表面の微細凹凸構造が転写され、凹凸部13と非凹凸部14が表面に形成された成形体10が得られる。非凹凸部14の幅Wは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’の供給量で調節できる。
また、周縁部に微細凹凸構造が形成されていないロール状モールドを用いたり、ロール状モールドの周縁部にカバーなどを設けたりすることでも、図2(a)に示すような成形体10が得られる。さらに、この方法を用い、かつ基材11の表面全域に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’が行渡るように供給量を調整すれば、図2(b)に示すような、硬化物12の表面に、凹凸部13と非凹凸部14が形成された成形体10が得られる。
このようにして製造された成形体10は、陽極酸化アルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成された微細凹凸構造を有する凹凸部と、該微細凹凸構造を有さない非凹凸部とが表面に形成される。
(保護フィルムの貼着)
次に、得られた成形体10の表面に、保護フィルム20を貼着する。
具体的には、先に得られた成形体10を一対のニップロール38の間に通過させると同時に、保護フィルム繰り出し機(図示略)から繰り出される保護フィルム20の保護面が、微細凹凸構造が形成された側の表面に貼着するように、成形体10と一対のニップロール38の間に保護フィルムを供給する。
このとき、成形体10は、成形体10の裏面(微細凹凸構造が形成されていない側の面)が剛性ロール38bに接触するように、弾性ロール38aと剛性ロール38bとの間に送り込まれる。
なお、フィルム基材21上に粘着剤層22が積層した保護フィルム20を用いる場合は、粘着剤層22が成形体10の表面(微細凹凸構造が形成された側の面)に接触し、フィルム基材21が弾性ロール38aと接触するようにして、弾性ロール38aと成形体10の間に送り込まれる。
ついで、成形体10の表面に保護フィルム20の保護面が接触した状態で、成形体10と保護フィルム20を弾性ロール38aと剛性ロール38bとの間で挟持し成形体10に保護フィルム20を貼着する。
貼着時の温度は、保護フィルムの保護面のTgとTmのいずれか高い方より5〜20℃高い温度である。TgとTmのいずれか高い方より5℃以上高ければ、成形体に保護フィルムを加熱貼着したときに、保護フィルムの粘着剤層が成形体の微細凹凸構造の凹部に適度に入り込みやすくなるので、成形体の表面と、保護フィルムの保護面の密着性を良好にできる。一方、TgとTmのいずれか高い方より20℃以下低ければ、成形体に保護フィルムを加熱貼着したときに、保護フィルムのフィルム基材が変形しやすくなるので、本発明の保護フィルム付き成形体から保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、必要以上に力を加えることなく容易に剥がすことができる。
貼着時の温度は、弾性ロール38aと剛性ロール38bとの間で成形体10と保護フィルム20を貼着するときに、所定の温度であればよい。
また、ロール自体に熱をかけることが可能な一対のニップロール38を用いてもよく、一対のニップロール38より上流で熱をかけることが可能な装置を装着してもよい。
さらに、空気圧シリンダ37によって一対のニップロール38のニップ圧を調整しながら、成形体10に保護フィルム20を貼着するのが好ましい。ニップ圧は、0.01〜10MPaが好ましい。ニップ圧が0.01MPa以上であれば、十分なアンカー効果が得られるので、成形体の表面と、保護フィルムの保護面の密着性を良好にできる。一方、ニップ圧が10MPa以下であれば、成形体と保護フィルムが過剰に貼着するのを抑制できるので、本発明の保護フィルム付き成形体から保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、必要以上に力を加えることなく容易に剥がすことができる。
こうして、図1に示すような、成形体10の表面に保護フィルム20が貼着した保護フィルム付き成形体1を得る。
なお、成形体10の表面は、保護フィルム20を介して弾性ロール38aと接触することになるので、微細凹凸構造が変形したり破損したりしにくい。
保護フィルムとしては、上述したような方法で別途作製したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよい。
本発明の保護フィルム付き成形体の製造方法によれば、保護フィルムの保護面のTgとTmのいずれか高い方より5〜20℃高い温度で、成形体と保護フィルムとを貼着するので、成形体の表面と、該表面に貼着する保護フィルムの保護面との密着性を良好にできると共に、本発明の保護フィルム付き成形体から保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、必要以上に力を加えることなく容易に剥がすことができる。
また、特定の圧力にて成形体と保護フィルムとを貼着するので、両者は適度なアンカー効果によって物理的に貼着する。
従って、保護フィルムに粘着剤層が備わっていなくても、あるいは粘着剤層が備わる場合でも必要以上に粘着力の強い粘着剤を用いなくても、成形体の表面に保護フィルムを十分に貼着させることができる。従って、本発明であれば時間が経過しても容易に保護フィルムを成形体から剥離できる。
よって、本発明の保護フィルム付き成形体は、保護フィルムを貼着しやすく、かつ不用意に剥がれず、さらに意図的に剥がそうとすれば容易に剥離できる。
保護フィルム付き成形体は、上述したように成形体を作製した後に連続して保護フィルムを貼着して製造するのが、保護フィルムの貼着目的(汚れ付着の防止や、微細凹凸構造の形状維持)や製造コストを考慮すると好ましいが、これに限定されず、成形体を作製した後、成形体を一旦回収し、別の製造ラインに移して保護フィルムを貼着してもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)モールドの細孔の測定
表面に陽極酸化アルミナが形成されたモールドの縦断面または表面を1分間プラチナ蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7400F」)を用いて、加速電圧3.00kVの条件にて、断面または表面を観察し、酸化皮膜の厚さ、細孔間の間隔、細孔の深さを測定した。各測定は、それぞれ10点について行い、平均値を求めた。細孔間の平均間隔をモールドの周期とする。
(2)微細凹凸構造の測定
成形体の縦断面または表面を5分間プラチナ蒸着し、(1)と同様にして微細凹凸構造の凸部間の間隔、凸部の高さを測定した。各測定は、それぞれ10点について行い、平均値を求めた。凸部間の平均間隔を微細凹凸構造の周期とする。
(3)凹凸部に対する保護フィルムの密着強度の測定
密着強度の測定は、テンシロン試験機(ORIENTEC社製、「テンシロンRTC−1210」)に保護フィルム付き成形体をセットし、10kNのロードセルを使用して、JIS Z−0237に準拠して、凹凸部と保護フィルムが貼着している箇所において180°引き剥がし試験を行うことで、凹凸部に対する保護フィルムの密着強度Aを測定した。
なお、保護フィルム付き成形体の製造後1時間以内に測定したものを初期密着強度Aとし、保護フィルム付き成形体を1年間高温常湿(40℃、50%)の環境下で保管した後に測定したものを1年後密着強度Aとした。
(4)非凹凸部に対する保護フィルムの密着強度の測定
(3)と同様にして、非凹凸部と保護フィルムが貼着している箇所において180°引き剥がし試験を行うことで、非凹凸部に対する保護フィルムの密着強度Bを測定した。
なお、保護フィルム付き成形体の製造後1時間以内に測定したものを初期密着強度Bとし、保護フィルム付き成形体を1年間高温常湿(40℃、50%)の環境下で保管した後に測定したものを1年後密着強度Bとした。
(5)保護フィルムの保護面のガラス転移温度(Tg)の測定方法
保護フィルムの粘着剤層をスパチュラでかきとり、これを試料とした。試料を動的粘弾性試験機(レオバイブロン社製、「DDVシリーズ」)にセットし、測定周波数10Hz、昇温速度3℃/分の条件で保護面のTgを測定した。
(6)保護フィルムの保護面の融点(Tm)の測定方法
保護フィルムの粘着剤層をスパチュラでかきとり、これを試料とした。試料を示差熱量計(パーキンエルマー社製、「DSC−2C」)にセットし、一旦200℃まで昇温させ融解させた後、140℃まで冷却し、再度2.5℃/分の速度にて昇温する過程で発生する発熱スペクトルのピークの温度を保護面のTmとした。
[実施例1]
<ロール状モールドの作製>
純度99.90%のアルミニウムインゴットに鍛造処理を施して、直径200mm、内径155mm、厚さ350mmに切断した圧延痕のない円筒状アルミニウム原型に羽布研磨処理を施した後、これを過塩素酸、エタノール混合溶液中(体積比1:4)で電解研磨し鏡面化した。
ついで、表面が鏡面化されたアルミニウム原型を、0.3Mシュウ酸水溶液中で、浴温16℃において直流40Vの条件下で30分間陽極酸化を行い、厚さ3μmの酸化皮膜を形成した(工程(a))。形成された酸化皮膜を、6質量%のリン酸と1.8質量%のクロム酸混合水溶液中で一旦溶解除去した(工程(b))後、再び工程(a)と同一条件下において、30秒間陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した(工程(c))。その後、5質量%リン酸水溶液(30℃)中に8分間浸漬して、酸化皮膜の細孔を拡径する孔径拡大処理(工程(d))を施した。
さらに工程(c)と工程(d)を繰り返し、これらを合計で5回追加実施することで(工程(e))、細孔の開口部の長さ:100nm、深さ:230nmの略円錐形状のテーパー状細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状モールドを得た。
ついで、離形剤であるダイキン工業社製、「オプツールDSX(商品名)」の0.1質量%溶液にロール状モールドを10分間ディッピングし、24時間風乾して離形処理し、酸化皮膜表面のフッ素化処理を行った。
<保護フィルム付き成形体の製造>
得られたロール状モールドを図3に示す保護フィルム付き成形体の製造装置30に設置し、以下のようにして成形体を作製し、連続して保護フィルム付き成形体を製造した。
まず、図3に示すように、ロール状モールド31を冷却水用の流路を内部に設けた機械構造用炭素鋼製の軸芯にはめ込んだ。ついで、下記の組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’をタンク32から室温で供給ノズルを介して、ニップロール34とロール状モールド31の間にニップされている基材(東洋紡社製PETフィルム、「A4300(商品名)」、フィルム幅360mm、長さ400m)11上に供給した。この際、空気圧シリンダ33によりニップ圧が調整されたニップロール34によりニップされ、ロール状モールド31の凹部内にも活性エネルギー線硬化性組成物12’が充填される。このとき、硬化・賦形される微細凹凸構造が、基材11の幅(フィルム幅)に対して300mm幅になるように、かつ、基材11の両端から中央部にかけてそれぞれ30mmの範囲に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’が行渡らないように、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’の供給量を調整した。
ついで、毎分7.0mの速度でロール状モールド31を回転させながら、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’がロール状モールド31と基材11の間に挟まれた状態で240W/cmの紫外線照射装置35から紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物12’を硬化・賦型して硬化物12とした後、剥離ロール36によりでロール状モールド31から剥離して、図2(a)に示すような、表面に微細凹凸構造を有する凹凸部13と、微細凹凸構造を有さない非凹凸部14を備えた成形体(透明シート)10を得た。
ついで、成形体10の裏面(微細凹凸構造が形成されていない側の面)が剛性ロール38bに接触するように、成形体10を弾性ロール38aと剛性ロール38bの間に送り込んだ。
一方、保護フィルム20としてポリオレフィン系フィルム(サンエー化研社製、「PAC−4−50」)の粘着面(保護面)が、成形体10の表面(微細凹凸構造が形成された側の面)に貼着するようにして、保護フィルム20を弾性ロール38aと成形体10の間に送り込んだ。
そして、一対のニップロール38の温度を73℃に設定し、空気圧シリンダ37によって一対のニップロール38のニップ圧を0.8MPaに調整しながら、成形体10の表面に保護フィルム20を貼着し、図1に示すような保護フィルム付き成形体1を得た。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
トリメチロールエタンアクリル酸・無水コハク酸縮合エステル:45質量部
ヘキサンジオールジアクリレート:45質量部
信越化学社製商品名「x−22−1602」:10質量部
チバ・スペシャリティケミカルズ社製商品名「イルガキュア184」:2.7質量部
チバ・スペシャリティケミカルズ社製商品名「イルガキュア819」:0.18質量部
<評価>
製造直後(製造から60分以内)の保護フィルム付き成形体1について、保護フィルム20を成形体10から剥離し、微細凹凸構造を測定した。結果を表1に示す。
また、保護フィルム付き成形体1について、凹凸部および非凹凸部に対する保護フィルムの密着強度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005133190
表1より明らかなように、実施例1で得られた保護フィルム付き成形体は、初期密着強度Aおよび1年後密着強度Aは共に0.05N/25mmであり、初期密着強度Bおよび1年後密着強度Bは共に0.1N/25mmであった。
さらに、製造直後の保護フィルム付き成形体から保護フィルムを剥離し成形体の表面を確認したところ、凹凸部には周期100nm、高さ230nmの凸部が形成され、ロール状モールドの微細凹凸構造が良好に転写された微細凹凸構造が形成されていた。
実施例1は、初期密着強度A、Bの測定結果から示唆されるように、保護フィルムが成形体に貼着した状態で1年間高温常湿の環境下で保管しても、成形体の凹凸部における保護フィルムの密着強度は変化せず、保護フィルムを容易に剥離することができた。
なお、実施例1で得られた保護フィルム付き成形体は、成形体の凹凸部においては貼着面積が小さいので保護フィルムが貼着しにくかったものの、成形体の非凹凸部においては十分な貼着面積を確保できたので、保護フィルムが剥離できる程度に貼着できた。また、時間が経過しても非凹凸部における保護フィルムの密着強度は変化せず、容易に保護フィルムを剥離できた。
本発明の保護フィルム付き成形体の一例を示す縦断面図である。 (a)は本発明の保護フィルム付き成形体に用いる成形体の一例を示す縦構成図であり、(b)は成形体の他の例を示す縦構成図である。 本発明の保護フィルム付き成形体に用いる成形体の製造装置の一例を示す概略構成図である。 表面に陽極酸化アルミナを有するモールドの製造工程を示す断面図である。
符号の説明
1 保護フィルム付き成形体
10 成形体
11 基材
12 硬化物
20 保護フィルム
21 フィルム基材
22 粘着剤層

Claims (2)

  1. 表面に可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を有する成形体に、該成形体の表面を保護する保護フィルムが貼着した保護フィルム付き成形体であって、
    前記保護フィルムは、融点(Tm)が50℃〜100℃である保護面を有し、該保護面と前記成形体の表面が貼着した、保護フィルム付き成形体。
  2. 請求項1に記載の保護フィルム付き成形体の製造方法であって、
    前記保護面の融点(Tm)より5〜20℃高い温度で、前記保護フィルムと成形体を貼着する、保護フィルム付き成形体の製造方法。
JP2008258395A 2008-10-03 2008-10-03 保護フィルム付き成形体、およびその製造方法 Active JP5133190B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008258395A JP5133190B2 (ja) 2008-10-03 2008-10-03 保護フィルム付き成形体、およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008258395A JP5133190B2 (ja) 2008-10-03 2008-10-03 保護フィルム付き成形体、およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010091604A JP2010091604A (ja) 2010-04-22
JP5133190B2 true JP5133190B2 (ja) 2013-01-30

Family

ID=42254414

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008258395A Active JP5133190B2 (ja) 2008-10-03 2008-10-03 保護フィルム付き成形体、およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5133190B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20130097225A (ko) * 2010-12-27 2013-09-02 미쯔비시 레이온 가부시끼가이샤 적층 구조체 및 가공품의 제조방법
JP2012160378A (ja) * 2011-02-01 2012-08-23 Sumitomo Chemical Co Ltd 導光板の製造方法
JP5838668B2 (ja) * 2011-09-02 2016-01-06 三菱レイヨン株式会社 微細凹凸構造を表面に有する物品、および保護フィルム付き物品
JP5840448B2 (ja) * 2011-10-12 2016-01-06 株式会社タムロン 反射防止膜及び反射防止膜の製造方法
CN104483721B (zh) * 2011-12-02 2016-09-07 夏普株式会社 层叠体
JP5927902B2 (ja) * 2011-12-26 2016-06-01 三菱レイヨン株式会社 微細凹凸構造を表面に有する物品、および保護フィルム付き物品
JPWO2018025818A1 (ja) 2016-08-02 2019-02-28 富士フイルム株式会社 積層体、反射防止物品、及びそれらの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010091604A (ja) 2010-04-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5243188B2 (ja) 保護フィルム付き成形体
JP5898719B2 (ja) スタンパの製造方法、成形体の製造方法
JP4658129B2 (ja) 鋳型、鋳型の製造方法及びシートの製造方法
JP5742220B2 (ja) フィルムの製造方法
JP5605223B2 (ja) 反射防止物品およびディスプレイ装置
JP5133190B2 (ja) 保護フィルム付き成形体、およびその製造方法
JP6052164B2 (ja) 積層構造体
JP5673534B2 (ja) モールド、その製造方法、微細凹凸構造を表面に有する物品およびその製造方法
JP2009174007A (ja) 鋳型とその製造方法、および成形体の製造方法
JP2011026449A (ja) 積層体、およびこれを有する物品
JP5474401B2 (ja) スタンパ製造用アルミニウム基材およびスタンパの製造方法
JP2009271782A (ja) 導電性透明基材およびタッチパネル
JP5133465B2 (ja) 積層構造体および加工品の製造方法
JP2011026648A (ja) スタンパの製造方法、および成形体の製造方法
JP5425516B2 (ja) スタンパ製造用アルミニウム基材およびスタンパの製造方法
JP2009271298A (ja) 防曇性透明部材、およびこれを具備した物品
JP2016210150A (ja) 積層体およびその製造方法と、物品
JP2009109572A (ja) 反射防止物品
JP2015163995A (ja) 保護フィルム付き成形体
JP2009271205A (ja) 光学ミラー
JP5768833B2 (ja) 保護フィルム付き成形体
JP2011245767A (ja) 積層体、およびこれを有する物品
JP2011224900A (ja) モールド、その製造方法ならびに処理方法、および物品の製造方法
JP2015052724A (ja) 微細凹凸フィルム
JP2013222074A (ja) 積層体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110926

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120724

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120913

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121023

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121107

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151116

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5133190

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151116

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151116

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250