JP5239159B2 - タンパク分解活性を有するキノコ抽出物の製造方法 - Google Patents

タンパク分解活性を有するキノコ抽出物の製造方法 Download PDF

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本発明は、キノコからタンパク分解活性を有する抽出液を抽出し、タンパク分解活性を有する抽出物を製造する技術に関する。詳細には、食品分野で使用できる、タンパク分解活性が良好で、菌の汚染、着色やキノコ特有の臭いの問題がないキノコ抽出物の製造方法に関する。
キノコ類は我が国において食物として広く浸透しているが、その含有する多糖類の薬効に注目され、抗腫瘍作用、免疫増強作用等について研究が盛んに行われている。多糖類は一般には、熱水にて抽出し、これを減圧にて濃縮した後、有機溶媒による沈殿工程、透析工程による低分子物質の除去及び脂溶性有機溶媒による不純物の抽出、除去工程を組み合わせ抽出されている(例えば、特許文献1)。
このような多糖類を含むキノコエキスは、もちろんそれ自身に、抗腫瘍作用、免疫増強作用等の効果があり、このようなキノコエキスの製造方法として、水または熱水抽出物にアルコールを加えて不溶物質を除きこれを噴霧乾燥する方法(特許文献2)、キノコと食塩を摂食させエキスを抽出する方法(特許文献3)が開示されている。
最近、マイタケにタンパク質を分解する酵素が存在することが明らかになり注目されている(特許文献4)。また、タンパク質分解酵素は他のキノコにも存在し、その特異的な効果が確認されている(特許文献5)。このような現状の下、タンパク分解活性を有するキノコからの抽出物の効率的な製造方法の開発が望まれている。
特開昭41−33873号公報 特開平11−75768号公報 特開平2004−248531号公報 特開平2002−78486号公報 特願2005−200277号
しかし、キノコからタンパク分解活性を有する抽出物を製造する際に、酵素は多糖類とは異なり、化学安定性に乏しいことが問題となる。酵素を熱水やアルコールで抽出すると酵素が失活し、タンパク分解活性を有するキノコからの抽出物を製造できなくなる。また、キノコには多くの生菌が付着しており、熱、アルコール、塩などで処理しなければ、その抽出物において菌が増殖してしまうことがあるが、このような処理は酵素を失活させる。
菌を除去する方法として、除菌フィルターの使用は知られているが、キノコの抽出エキスには多糖類等が含まれていることから、そのままフィルターに通過させると目詰まりにより、生産効率が下がる。
また、キノコの抽出エキスは着色し、またキノコ臭を有する場合があるので、食品等の分野において、着色、臭いが商品価値を低下させ、これをそのまま使用できない場合がある。
さらに、キノコからタンパク分解活性を有する抽出物におけるタンパク分解活性の主体はタンパク分解酵素であるが、その性質上、相互作用によって自己失活し、抽出物におけるタンパク分解活性を長期間に維持することが難しくなる。
本発明は、下記の発明である。
(1)下記の工程1〜3を含む、タンパク分解活性を有するキノコ抽出物の製造方法。
工程1:キノコから、PH5〜7及び塩濃度10〜300mMの緩衝液でキノコ抽出物を抽出する工程。
工程2:前記工程で抽出した抽出液を、珪藻土を濾過助剤に使用して濾過する工程。
工程3:前記工程で濾過した抽出液を、孔径0.25〜0.8μmのフィルターに通過させ除菌する工程。
(2)下記の工程1〜4を含む、タンパク分解活性を有するキノコ抽出物の製造方法。
工程1:キノコから、PH5〜7及び塩濃度10〜300mMの緩衝液でキノコ抽出物を抽出する工程。
工程2:前記工程で抽出した抽出液を、珪藻土を濾過助剤に使用して濾過する工程。
工程3:前記工程で濾過した抽出液を、孔径0.25〜0.8μmのフィルターに通過させ除菌する工程。
工程4:前記工程でフィルターを通過させた抽出液に賦形剤を添加し乾燥する工程。
本発明のタンパク分解活性を有するキノコ抽出物の製造方法によれば、タンパク分解活性を有するキノコ抽出物を生産効率よく製造できる。抽出物のタンパク分解活性は高く、除菌されており菌を含まない。着色が殆どなく、キノコ臭が除かれていることから、食品用途の使用に適する。
さらに、本発明のタンパク分解活性を有するキノコ抽出物に賦形剤を添加し凍結乾燥すると、タンパク分解活性を有する粉体で長期間に渡りタンパク分解活性を有するキノコ抽出物を含む粉末を製造することができる。粉末にすると操作性が向上し、食品等の分野での使用が容易になる。
(キノコ)
本発明において、キノコ抽出物の製造に用いるキノコとしては、例えば、しいたけ、エノキタケ、ブナシメジ(シメジ)、ホンシメジ、マイタケ、なめこ、ヤマブシタケ、マツタケ、エリンギ、マッシュルーム、ショーロ、タモギタケ、ヒラタケ、アワビタケ、キクラゲ等のキノコが挙げられる。これらのキノコの中でも、ホンシメジ、ブナシメジおよびエノキタケなどハラタケ目キシメジ科に属するキノコは、マイタケ、ホウキタケなどヒダナシタケ目 多孔菌科などに属するキノコに比べ、タンパク質をする活性を有する酵素を有するので、食肉加工等の食品分野での使用には適している。
本発明においては、きのこの全体を用いてもよく、一部分のみを用いてもよい。例えば椎茸の場合、従来廃棄されていた「柄」の部分のみでも利用が可能である。
種、原産国、収穫時期等は限定されず、適度にタンパク質分解酵素が存在していれば、キノコの子実体及び菌糸体いずれも使用することができる。
最近ではブナシメジ、エノキタケ及びマイタケの子実体が人工栽培されており、容易に入手できるので、本発明における原料として好適である。タンパク質分解酵素は子実体に多く含まれており、子実体の使用が経済的には適している。キノコは採取したての生のもの、半乾燥品、乾燥品いずれも使用しうる。半乾燥品、乾燥品においては、凍結乾燥品など熱風で乾燥されていない製品の使用が好ましい。これらの子実体をそのまま用いてもよく、ペーストあるいはエキスなどの加工物も使用しうる。生のものを液体窒素あるいはドライアイスを用いて凍結粉砕したもの、カッターミルやフードプロセッサー等で粉砕したものも使用できる。
(工程1)
本発明においては、キノコ抽出物は、PH5〜7及び塩濃度10〜300mMの緩衝液を用いて抽出する。工程1でのキノコ抽出液は、そのままで、工程2〜4において原料として使用できる。いずれの工程においても液温は3〜20℃であることが好ましい。液温が30℃を超えるとタンパク分解酵素が失活することがあるので好ましくない。
本発明で使用する緩衝液はPH5〜7及び塩濃度10〜300mMの緩衝液である。このPHの範囲から外れるに従い緩衝液のもつ緩衝能が低くなり、有効な緩衝作用が得られないため、好ましくない。
さらに塩濃度が10mM未満の場合、有効な緩衝能の領域よりも小さくため、タンパク質の安定化させることが難しい。一方、300mMを超える高濃度では、逆に塩による悪影響を受けるおそれがあり、好ましくない。
本発明に使用するこのような緩衝液としては、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、リンゴ酸緩衝液、グリシン緩衝液挙げることができるが、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液は、広域なPH領域さ緩衝能力を有するため使用に適している。塩濃度の調整は、各塩の適正量分を緩衝液に溶解させることにより調整することができる。
緩衝液の調整には、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸Na、グリシン等が使用できる。
緩衝液の使用量は、抽出効率および抽出工程での使用のし易さの観点で、キノコに対して質量100部当り、100〜500質量部であることが好ましい。
好ましい抽出方法は、以下のとおりである。
まず、キノコの子実体を上記の緩衝液で均質化処理を行う。処理にはミキサーを使用するが、酵素の失活が起こらないような条件であれば、ミキサーの種類、攪拌・混合手法、時間等は特に限定されない。攪拌・混合の時間は、例えば家庭用のミキサーを用いた場合、一般的には、1〜10分間程度が適しており、温度制御が可能なミキサーを用いれば、20℃以下に保持するとよい。
キノコの子実体を1mm幅にスライスし、これを上記の緩衝液に浸して、2時間放置しても効率よくキノコ抽出物を抽出することができる。
抽出液は、そのままに工程2に使用してもよいが、固液分離により固体部を除いて使用してもよい。固液分離には、遠心分離等の公知の手段を採用することができる。遠心分離を行う場合の条件は、相対遠心加速度2000〜10000×gで3〜30分間が適当であり、冷却高速遠心分離機を用いて、4000〜8000×gで5〜20分間遠心分離を行うのが好ましい。また、固体部を除くために濾過しても構わない。
(工程2)
工程1で製造される抽出液には、キノコの可食部部分および石づき部分等に付着した菌類が含まれている。菌等を除くには、加熱処理、アルコール処理をおこなうことが多いが、タンパク分解酵素はこれらの処理により失活しやすく、本発明においては工程3において、フィルターの使用による除菌工程にて除菌する。
しかし、工程1での抽出液を直接に、工程3にて除菌すると目詰まりが生じ、生産効率が悪くなる。また、工程3を通過する抽出液は着色しており、キノコ特有の臭いがする。
本発明は、工程1と工程3の間において工程2を導入し、工程1で抽出した抽出液を、珪藻土を濾過助剤に使用して濾過することにより、これらの問題を同時に解決する。
本発明において、使用する珪藻土は藻類の化石からなる堆積物である。例えば、珪藻土としてハイフロスパーセル、セルピュア、ラヂオライト、セライト等の製品名で販売されている製品を使用できる。
濾過助剤として珪藻土を使用する方法は、抽出液に珪藻土を混合しこれを濾過するボディーフィード法、また濾過助剤スラリーを循環し、濾材の表面に珪藻土の薄い被膜を形成し、抽出液を濾過させるプレコート法のいずれも採用できるが、本発明においてはプレコート法が、濾過材の目詰まり防止と清澄度の高い処理液を得ることができるので適している。
珪藻土の使用量は、ボディーフィード法では、抽出液100質量部に対して0.5〜5質量部が適している。
プレコートに要する珪藻土の使用量は、ろ材の単位面積当り0.5〜2.0kg/mが好ましい。
プレコート法の前に、ボディーフィード法により工程1での抽出液を濾過することもできる。ボディーフィード法の濾過助剤として珪藻土、パーライト、活性炭、セルロース等が挙げられる。ろ過性能を上げるためには、本発明においてはセルロースの使用が適している。
この際のセルロースの使用量は工程1での抽出液100質量部に対して、セルロース0.5〜5質量部を混合することが好ましい。セルロースとしては、KCフロック、ソルカフロック、アルボセル、ファイブラセル等が挙げられる。
ろ材としては、ろ布、ろ紙が挙げられるが、カートリッジ式フィルターが好ましい。材質は、セルロースアセテート/ポリエステル、ポリエーテルサルホン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニールアルコール/ポリプロピレン、ポリビニールアルコール、ポリオレフィン繊維、コットン等が挙げられる。
濾過工程において、減圧濾過、0.05MPa〜1.0MPaの圧力での加圧濾過をしてもよい。
工程2において、工程1での抽出液をそのまま使用できるが、さらに緩衝液を加え、希釈しても構わない。
工程2において、濾過後のキノコ抽出物を含む抽出液は、脱色され、キノコ臭が軽減された抽出液となる。
(工程3)
工程3において、フィルターに求める濾過孔径や除菌性能から、工程2での濾過後のキノコ抽出物を含む抽出液を、孔径0.25〜0.8μmのフィルターに通過させ除菌する。
0.25μm未満のフィルターを使用すると濾過効率の作業性に影響し、0.8μmを超えるフィルターに通過させても十分な除菌を行うことができない。
フィルターの材質としては、が好ましい。市販されている除菌フィルターとしては、ビバシュアII(商品名:キュノ(株)製、30インチの円筒型カートリッジタイプ)などが挙げられる。
工程4において製造されるキノコ抽出物を含む抽出液は、その用途にもよるが、10単位/g以上のタンパク分解活性を有することが好ましい。
(工程4)
工程3により得られるキノコ抽出物を含む抽出液において、タンパク分解活性の主体はタンパク分解酵素であるが、その性質上、相互作用によって自己失活し、抽出物におけるタンパク分解活性を長期間に維持することが難しくなる
本発明で、抽出液に賦形剤を添加して乾燥し粉末化すると、長時間に保存することができる。賦形剤として乳糖、マルトオリゴ糖、デキストリン等の糖質類が好ましい。粉末化する際は、賦形剤を添加した酵素液を乾燥した後、粉砕用ブレンダーを使用して粉末化することが好ましい。乾燥方法は、減圧乾燥等が挙げられ、酵素が失活しないように低温で乾燥する必要がある。このため、凍結乾燥が好ましい。凍結乾燥の温度は、−3℃〜−40℃、特に−20℃付近が好ましい。
賦形剤の使用量は、キノコ抽出物100質量部に対して20〜40質量部が好ましい。
賦形剤としては、デキストリンが好ましい。
工程4により製造される粉末は、その用途にもよるが、30〜300単位/gのタンパク分解活性を有することが好ましい。
本発明について、実施例を用いて以下に説明する。
なお、各例におけるタンパク質分解酵素活性の測定は次の方法で行った。
(活性測定法)
0.6質量%カゼイン溶液(PH6.0)5mlに試験(酵素)溶液1mlを混合し、38℃、60分反応させた後、400mMトリクロロ酢酸溶液5mlを加え攪拌し38℃、30分間放置後、上清2mlを0.55M炭酸ナトリウム溶液5mlに加えさらに2倍希釈したフェノール試薬を1ml添加攪拌後、38℃、30分間放置し、660nmの吸光度を測定する。上記の測定条件下で1秒間に1molのチロシンに相当する吸光度を増加させる酵素量を、酵素活性1単位(1unit)と定義する。
キノコ由来のタンパク質分解酵素活性を有する抽出物を粉末化した場合は、粉末を約1g精密に秤り、2質量%塩化カリウム溶液50mlを加え攪拌溶解し、適宜希釈した液を試験溶液とし、活性を測定した。
参考例
(安定PH)
ブナシメジ(雪国まいたけ(株))の子実体500gをフードプロセッサーで粉砕したものに、各PHを調整した1000mlの緩衝液を加え、攪拌しながら2時間抽出した。緩衝液として50mMのGlycine−HCl(PH1.0〜3.0)、Citrate−NaOH(PH3.0〜5.5)、Phosphate−NaOH(PH5.5〜7.5)、Tris−HCl(PH7.5〜9.0)、Glycine-NaOH(PH9.0〜10.5)を使用した。各PHで抽出した抽出液の上清液を上記の活性測定法に基づき、本発明のタンパク質分解酵素に及ぼすPHの影響を調べた。結果を図1に示した。図1により、本酵素は上記処理条件下においてPH5〜7までのPH領域で安定であることが分かる。
(緩衝液の最適濃度)
クエン酸およびクエン酸三ナトリウムからなるクエン酸緩衝液を10mM、30mM、50mM、75mM、100mM、300mM、500mM(すべてPH6.0に設定)になるように調整した。ブナシメジ(雪国まいたけ(株))の子実体500gをフードプロセッサーで粉砕したものに、各濃度の1000mlの緩衝液を加え、攪拌しながら2時間抽出した。こうして得られた抽出液の上清液を上記の酵素活性に基づき測定した。図2により、本酵素は上記処理条件下において塩濃度10〜300mMの緩衝液で安定であることが分かる。
実施例1
クエン酸およびクエン酸三ナトリウムからなる50mMクエン酸緩衝液(PH6.0)を調整した。ブナシメジ(雪国まいたけ(株))の子実体500gを1mm幅にスライスし、これを1000mlのクエン酸緩衝液に浸して、2時間攪拌し抽出した。
こうして得られた抽出液を25gの珪藻土(ハイフロスパーセル)でプレコートしたフィルター(東洋濾紙No2、直径18.5cm)を用いて減圧濾過し、その濾液10mlを除菌フィルター(孔径0.45μm、ポリエーテルサルホン製)を通過した抽出液について、酵素活性を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
マイタケ(雪国まいたけ(株))の子実体500gを1mm幅にスライスし、これを1000mlのクエン酸緩衝液に浸して、2時間攪拌し抽出した。
こうして得られた抽出液を25gの珪藻土(ハイフロスパーセル)でプレコートしたフィルター(東洋濾紙No2、直径18.5cm)を用いて減圧濾過し、その濾液10mlを除菌フィルター(孔径0.45μm、ポリエーテルサルホン製)を通過した抽出液について、酵素活性を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
ブナシメジ(雪国まいたけ(株))の子実体500gを1mm幅にスライスし、これを1000mlの水に浸して、2時間攪拌し抽出した。
こうして得られた抽出液を25gの珪藻土(ハイフロスパーセル)でプレコートしたフィルター(東洋濾紙No2、直径18.5cm)を用いて減圧濾過し、その濾液10mlを除菌フィルター(孔径0.45μm、ポリエーテルサルホン製)を通過した抽出液について、酵素活性を測定した。結果を表1に示す。
比較例2
マイタケ(雪国まいたけ(株))の子実体500gを1mm幅にスライスし、これを1000mlの水に浸して、2時間攪拌し抽出した。
こうして得られた抽出液を25gの珪藻土(ハイフロスパーセル)でプレコートしたフィルター(東洋濾紙No2、直径18.5cm)を用いて減圧濾過し、その濾液10mlを除菌フィルター(孔径0.45μm、ポリエーテルサルホン製)を通過した抽出液について、酵素活性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005239159
表1の実施例及び比較例を対比すると、本発明において緩衝剤を含まない条件(水)で抽出すると酵素活性が低下することがわかる。
実施例3
実施例1と同様の方法でクエン酸緩衝液に浸して、ブナシメジから抽出物を抽出した。この抽出液100質量部に対して、珪藻土(ハイフロスーパーセル)を1質量部添加し、ボディーフィードにより、フィルター(東洋濾紙No2、直径18.5cm)を用いて減圧濾過し、助剤の濾過性能を評価した。次に、その濾液10mlをシリンジに入れ、除菌フィルター(孔径0.45μm、ポリエーテルサルホン製)を通過させたときの濾過性を評価した。また、この工程の脱色及びキノコ臭に対する効果を評価した。結果を表2に示す。
比較例3
実施例1と同様の方法でクエン酸緩衝液に浸して、ブナシメジから抽出物を抽出した。この抽出液100質量部に対して、セルロース(KCクロックW−100)を1質量部添加し、ボディーフィードにより、フィルター(東洋濾紙No2、直径18.5cm)を用いて減圧濾過し、その濾液10mlをシリンジに入れ、除菌フィルター(孔径0.45μm、ポリエーテルサルホン製)に通過させ、実施例3と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例4
ブナシメジ(雪国まいたけ(株))の子実体500gを1mm幅にスライスし、これを1000mlのクエン酸緩衝液に浸して、2時間攪拌し抽出した。
こうして得られた抽出液を25gの珪藻土(ハイフロスパーセル)でプレコートしたフィルター(東洋濾紙No2、直径18.5cm)を用いて減圧濾過し、その濾液10mlをシリンジに入れ、除菌フィルター(孔径0.45μm、ポリエーテルサルホン製)を通過させ、実施例3と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例5
実施例1と同様の方法でクエン酸緩衝液に浸して、ブナシメジから抽出物を抽出した。この抽出液100質量部に対して、珪藻土(ハイフロスーパーセル)を1質量部添加し、ボディーフィードにより、フィルター(東洋濾紙No2、直径18.5cm)を用いて減圧濾過した。得られた濾液を25gの珪藻土(ハイフロスパーセル)でプレコートしたフィルター(東洋濾紙No2、直径18.5cm)を用いて減圧濾過し、その濾過液10mlをシリンジに入れ、除菌フィルター(孔径0.45μm、ポリエーテルサルホン製)を通過させ、実施例3と同様に評価した。結果を表2に示す。
比較例4
実施例1と同様の方法でクエン酸緩衝液に浸して、ブナシメジから抽出物を抽出した。この抽出液をフィルター(東洋濾紙No2、直径18.5cm)を用いて減圧濾過した。次に、その濾液10mlをシリンジに入れ、除菌フィルター(孔径0.45μm、ポリエーテルサルホン製)を通過させたときの濾過性を評価した。また、この工程の脱色及びキノコ臭に対する効果を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0005239159
濾過性能:
◎ 全体量が迅速に濾過できる。
○ 濾過速度が遅くなるが良好に濾過できる。
△ やや目詰るが濾過できる。
× 目詰る。
除菌フィルターの濾過性:
◎ 抵抗なく濾過できる。
○ やや抵抗あり。
△ 抵抗あるが濾過できる。
× 濾過できず。
脱色性(濾液の色):
◎ 殆ど着色なし。
○ やや着色。
△ 薄い茶色。
× 濃い茶色。
脱臭性(キノコ臭):
◎ 臭いが殆どなし。
○ 臭いがややある。
△ 臭いがある。
× 臭いが強い。
表2より、濾過助剤として珪藻土を使用すると、濾過性能を向上させ、その後の除菌フィルターの通過時の抵抗を軽減でき、抽出液の脱色及び脱臭ができることがわかる。
セルロースおよび珪藻土の濾過助剤を併用させることにより、効果を高めることができることがわかった。
実施例6
実施例1で珪藻土でプレコートしたフィルターを用いて濾過した濾液に対して、フィルター処理の前後の酵素活性と一般生菌数を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0005239159
除菌フィルター処理しても、酵素活性の低下が見られず、問題はなかった。またフィルター処理することで、十分に除菌することができた。
実施例7
クエン酸およびクエン酸三ナトリウムからなる50mMクエン酸緩衝液(PH6.0)を調整した。ブナシメジ(雪国まいたけ(株))の子実体1kgを1mm幅にスライスし、これを10000mlのクエン酸緩衝液に浸して、2時間攪拌し抽出した。
この抽出液100質量部に対して、珪藻土(ハイフロスーパーセル)を1質量部添加し、ボディーフィードにより、フィルター(東洋濾紙No2、直径18.5cm)を用いて減圧濾過した。得られた濾液を25gの珪藻土(ハイフロスパーセル)でプレコートしたフィルター(東洋濾紙No2、直径18.5cm)を用いて減圧濾過した。
濾液を除菌フィルター(30インチ円筒型カートリッジタイプ、孔径0.45〜0.8μm、キュノ(株)製、商品名:ビバシュアII)を通過させ抽出液を作製した。この抽出液1kgに対してデキストリン(松谷化学工業(株)製、商品名:パインデックス♯2)を300g添加した後、−20℃にて凍結乾燥を2日間行い、キノコ抽出物を含む粉末を作製した。このタンパク質分解酵素を含む粉末について、20℃の保存条件において3カ月後の安定性について調べた。結果を表4に示す。
実施例8
クエン酸およびクエン酸三ナトリウムからなる50mMクエン酸緩衝液(PH6.0)を調整した。マイタケ(雪国まいたけ(株))の子実体1kgを1mm幅にスライスし、これを10000mlのクエン酸緩衝液に浸して、2時間攪拌し抽出した。
この抽出液100質量部に対して、珪藻土(ハイフロスーパーセル)を1質量部添加し、ボディーフィードにより、フィルター(東洋濾紙No2、直径18.5cm)を用いて減圧濾過した。得られた濾液を25gの珪藻土(ハイフロスパーセル)でプレコートしたフィルター(東洋濾紙No2、直径18.5cm)を用いて減圧濾過した。
濾液を除菌フィルター(30インチ円筒型カートリッジタイプ、孔径0.45〜0.8μm、キュノ(株)製、商品名:ビバシュアII)を通過させ抽出液を作製した。この抽出液1kgに対してデキストリン(松谷化学工業(株)製、商品名:パインデックス♯2)を300g添加した後、−20℃にて凍結乾燥を2日間行い、キノコ抽出物を含む粉末を作製した。このタンパク質分解酵素を含む粉末について、20℃の保存条件において3カ月後の安定性について調べた。結果を表4に示す。
Figure 0005239159
図4の結果より、ブナシメジおよびマイタケともに、本発明の抽出物の含む粉体は、3ヶ月経過後も酵素活性が低下せず安定性の高いことが分かる。
PHにおける安定性を示す図。図の縦軸は酵素活性(単位/1ml)。横軸はPH。 塩濃度における安定性を示す図。図の縦軸は酵素活性(単位/1ml)。横軸は塩濃度。

Claims (2)

  1. 下記の工程1〜3を含む、タンパク分解活性を有するキノコ抽出物の製造方法。
    工程1:キノコから、PH5〜7及び塩濃度10〜300mMの緩衝液でキノコ抽出物を抽出する工程。
    工程2:前記工程で抽出した抽出液を、珪藻土を濾過助剤に使用して濾過する工程。
    工程3:前記工程で濾過した抽出液を、孔径0.25〜0.8μmのフィルターに通過させ除菌する工程。
  2. 下記の工程1〜4を含む、タンパク分解活性を有するキノコ抽出物を含む粉末の製造方法。
    工程1:キノコから、PH5〜7及び塩濃度10〜300mMの緩衝液でキノコ抽出物を抽出する工程。
    工程2:前記工程で抽出した抽出液を、珪藻土を濾過助剤に使用して濾過する工程。
    工程3:前記工程で濾過した抽出液を、孔径0.25〜0.8μmのフィルターに通過させ除菌する工程。
    工程4:前記工程でフィルターを通過させた抽出液に賦形剤を添加し乾燥する工程。
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