JP5229464B2 - ポリエーテル系重合体の製造方法 - Google Patents

ポリエーテル系重合体の製造方法 Download PDF

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本発明は、ポリエーテル系重合体の製造方法とポリエーテル系重合体に関し、さらに詳しくは、従来製造することができなかった、高い分子量と狭い分子量分布とを兼ね備えた、ハロゲン原子やアルケニル基を有するオキシラン単量体単位を含有するポリエーテル系重合体を製造することを可能とする、ポリエーテル系重合体の製造方法に関する。
ポリエーテル系重合体は、通常、オキシラン単量体の開環重合により製造される重合体であり、界面活性剤材料、架橋性材料、耐油性ゴム材料、除電性材料、イオン伝導性材料などとして広く用いられている。ポリエーテル系重合体として、最も一般的なポリエチレンオキシドやエチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体は、界面活性剤材料などとして広く用いられる一方、種々のオキシラン単量体を用いて製造されるポリエーテル系重合体の性能も注目されている。例えば、特許文献1に示されるようなポリエピクロロヒドリン(エピクロロヒドリンゴム)は、耐油性、耐熱性、および耐寒性などを兼ね備えるゴムとして、自動車のゴム部品などとして利用されている。また、特許文献2には、アリルグリシジルエーテル単位を含有するポリエーテル系重合体を配合したゴム組成物が、耐発熱性、引張強度、および加工性に優れることが開示されている。さらに、特許文献3には、エピクロロヒドリン単位とアリルグリシジルエーテル単位とを含有するポリエーテル系重合体が、半導電性発泡ロールの材料として好適に用いられることが記載されている。
ところで、オキシラン単量体の開環重合の手法としては、アニオン重合、カチオン重合、配位アニオン重合などが知られている。アニオン重合は、アルカリ金属のアルコキシド、水素化物、水酸化物、アミドなどのアニオン重合開始剤を用いて行なわれる。界面活性剤材料として用いるポリエチレンオキシドやエチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体を得る場合には、上記のような、汎用的なアニオン重合開始剤を用いたアニオン重合が最も良く用いられるが、アニオン重合開始剤との反応性を有する官能基を持つ、エピクロロヒドリンやアリルグリシジルエーテルなどを単量体として用いる場合には、そのようなアニオン重合を適用することはできない。近年、アンモニウム化合物とトリアルキルアルミとを組み合わせてなる触媒を用いると、速い重合速度でオキシラン単量体のアニオン開環重合が行なえることが報告された(特許文献4参照)が、やはり、特許文献4においても、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの重合例のみが報告されている。
オキシラン単量体のカチオン重合は、ルイス酸などのカチオン重合開始剤を用いて行なわれ、エピクロロヒドリンなどの開環重合にも適用できることが知られている。しかし、オキシラン単量体の開環重合では、種々の副反応が起こるために、低分子量で、分子量分布が広いポリエーテル系重合体しか得ることができないという問題がある。
オキシラン単量体の配位アニオン重合は、特許文献2にも開示されているように、有機アルミニウム化合物や有機亜鉛化合物などの有機金属化合物と活性水素を有する化合物との混合触媒などにより行なわれ、アリルグリシジルエーテルやエピクロロヒドリンの開環重合にも適用でき、高分子量のポリエーテル系重合体が得られることが知られている。しかし、そのような配位アニオン重合では、重合の制御が困難であるために、多量の触媒が必要となり、また、分子量分布が広いポリエーテル系重合体しか得ることができないという問題がある。
特許文献5には、担体にスペーサーをして化学結合したポルフィリンのアルミニウムまたは亜鉛錯体と活性水素を有する化合物との混合触媒により、比較的に分子量分布が狭いポリエーテル系重合体が得られることが報告されていて、分子量分布が1.3程度のポリエピクロロヒドリンが得られることも報告されている。しかし、特許文献5で報告されているポリエーテル系重合体の数平均分子量は、いずれも10,000以下であるように、特許文献5に記載された触媒では、高い分子量を有するポリエーテル系重合体を得ることは困難であった。
特公昭47−8150号公報 国際公開第97/39055号パンフレット 国際公開第97/43698号パンフレット 米国特許出願公開第2007/0173576号明細書 特開平2−255805号公報
本発明の目的は、高い分子量と狭い分子量分布とを兼ね備えた、ハロゲン原子やアルケニル基を有するオキシラン単量体単位を含有するポリエーテル系重合体を製造することができる、ポリエーテル系重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、周期表第15族または第16の原子を含有する化合物のオニウム塩と、有するアルキル基が全て直鎖状のアルキル基であるトリアルキルアルミニウムとからなる触媒を用いることにより、エピクロロヒドリンやアリルグリシジルエーテルなどの開環重合がリビング性を伴って進行し、その結果として、高い分子量と狭い分子量分布とを兼ね備えた、エピクロロヒドリン単位やアリルグリシジルエーテル単位を含有するポリエーテル系重合体が得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
かくして、本発明によれば、ハロゲン原子およびアルケニル基から選ばれる官能基を少なくとも1つ有するオキシラン単量体を、周期表第15族または第16の原子を含有する化合物のオニウム塩、および有するアルキル基が全て直鎖状のアルキル基であるトリアルキルアルミニウムからなる触媒の存在下で開環重合する、ポリエーテル系重合体の製造方法が提供される。
本発明によれば、高い分子量と狭い分子量分布とを兼ね備えた、ハロゲン原子やアルケニル基を有するオキシラン単量体単位を含有するポリエーテル系重合体を製造することができる。
本発明のポリエーテル系重合体の製造方法は、ハロゲン原子およびアルケニル基から選ばれる官能基(なお、本願においては、ハロゲン原子も「官能基」の概念に含まれるものであるとする)を少なくとも1つ有するオキシラン単量体を、周期表第15族または第16の原子を含有する化合物のオニウム塩、および有するアルキル基が全て直鎖状のアルキル基であるトリアルキルアルミニウムからなる触媒の存在下で開環重合することを特徴とするものである。
本発明で用いられ得る、ハロゲン原子を有するオキシラン単量体としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれる少なくとも1つのハロゲン原子と3員環エーテル構造とを含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、β−メチルエピクロロヒドリンなどのエピハロヒドリンや、p−クロロスチレンオキシド、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、テトラフルオロエチレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、パーフルオロフェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、エピハロヒドリンが好ましく用いられ、エピクロロヒドリンが特に好ましく用いられる。
本発明で用いられ得る、アルケニル基を有するオキシラン単量体としては、アルケニル基と3員環エーテル構造とを含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテルなどのエチレン性不飽和グリシジルエーテル;ブタジエンモノエポキシド、4,5−エポキシ−2−ペンテン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンなどのジエンまたはポリエンのモノエポキシド;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセンなどのアルケニルエポキシド;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステルなどのエチレン性不飽和カルボン酸のグリシジルエステル;などが挙げられる。これらの中でも、アリルグリシジルエーテルが特に好ましく用いられる。
また、本発明では、ハロゲン原子とアルケニル基と3員環エーテル構造とを含有する化合物も、「ハロゲン原子およびアルケニル基から選ばれる官能基を少なくとも1つ有するオキシラン単量体」として、用いることができる。
本発明では、上述したような、ハロゲン原子およびアルケニル基から選ばれる官能基を少なくとも1つ有するオキシラン単量体の1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明のポリエーテル系重合体の製造方法では、重合反応がリビング性を伴って進行するので、2種以上の単量体を用いて共重合体を得る場合において、その結合様式を制御することが可能であり、例えば、2種以上の単量体が共存する状態で重合反応を行なうことでランダム共重合体を得ることもできるし、2種以上の単量体を逐次的に添加して重合反応を行なうことでブロック共重合体を得ることもできる。
また、本発明では、ハロゲン原子およびアルケニル基を有しないオキシラン単量体を併用しても良い。そのような単量体の具体例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシ−イソブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロドデカンなどのアルキレンオキシド;シクロヘキセンオキシドなどの環式脂肪酸エポキシド;メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテルなどのアルキルグリシジルエーテル;スチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテルなどの非エチレン性不飽和エポキシドが挙げられる。これらは2種以上を併用しても良い。これらの中でも、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタンが好ましく用いられ、エチレンオキシド、プロピレンオキシドが特に好ましく用いられる。
また、本発明においては、ブタジエンジオキシド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキシドなどのジエポキシ単量体を共重合して、重合体に分岐構造を導入させることもできる。これらのジエポキシ単量体は2種以上を併用しても良い。
さらに、本発明においては、オキシラン単量体以外のアニオン重合性を有する単量体を併用することも可能である。そのような単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルスチレン、ビニルトルエン、1,2−ジフェニルエチレン、1,1−ジフェニルエチレンなどの芳香族ビニル単量体や、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン単量体が挙げられる。これらの単量体は、2種以上を併用しても良い。
ハロゲン原子およびアルケニル基から選ばれる官能基を少なくとも1つ有するオキシラン単量体と他の単量体とを併用する場合において、用いる全単量体に対して、ハロゲン原子およびアルケニル基から選ばれる官能基を少なくとも1つ有するオキシラン単量体が占める割合は、特に限定されないが、0.1モル%以上であることが好ましく、0.3モル%以上であることがより好ましく、0.5モル%以上であることが特に好ましい。
本発明のポリエーテル系重合体の製造方法では、触媒として、周期表第15族または第16の原子を含有する化合物のオニウム塩と、有するアルキル基が全て直鎖状のアルキル基であるトリアルキルアルミニウムとの混合物を用いる。
本発明で用いる周期表第15族または第16の原子を含有する化合物のオニウム塩としては、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩が例示され、これらのなかでも、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩が好適に使用され、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩が特に好適に使用される。
本発明で好適に使用されるアンモニウム塩としては、下記の一般式(1)で表されるアンモニウム塩が挙げられる。
Figure 0005229464
一般式(1)において、R、R、RおよびRはそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表し、Nは窒素原子を表し、Xは無機または有機の基からなる対イオンを表す。また、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、ヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基であることが好ましく、メチル基、エチル基、ノルマルブチル基またはノルマルオクチル基であることが特に好ましい。Xが表す無機または有機の基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、水素化ホウ素基が例示され、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子のいずれかであることが好ましい。
本発明で、特に好ましく用いられるアンモニウム塩としては、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドとテトラノルマルブチルアンモニウムボロハイドライドが挙げられる。
本発明で好適に使用されるホスホニウム塩としては、下記の一般式(2)で表されるホスホニウム塩が挙げられる。
Figure 0005229464
一般式(2)において、Pはリン原子を表し、R、R、R、RおよびXは一般式(1)におけるものと同じ意味を表す。また、一般式(2)において好ましいR、R、R、RおよびXは、一般式(1)において好ましいものと同じである。
本発明で、特に好ましく用いられるホスホニウム塩としては、テトラノルマルブチルホスホニウムブロミドが挙げられる。
本発明で好適に使用されるスルホニウム塩としては、下記の一般式(3)で表されるスルホニウム塩が挙げられる。
Figure 0005229464
一般式(3)において、Sは硫黄原子を表し、R、R、RおよびXは一般式(1)におけるものと同じ意味を表す。また、R、RおよびRはそれぞれ独立して、ヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基であることが好ましく、メチル基、エチル基、ノルマルブチル基またはノルマルオクチル基であることが特に好ましい。Xが表す無機または有機の基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、水素化ホウ素基が例示され、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子のいずれかであることが好ましい。
本発明で、特に好ましく用いられるスルホニウム塩としては、トリノルマルブチルスルホニウムアイオダイドが挙げられる。
本発明で好適に使用されるピリジニウム塩としては、下記の一般式(4)で表されるピリジニウム塩が挙げられる。
Figure 0005229464
一般式(4)において、Nは窒素原子を表し、RおよびXは一般式(1)におけるものと同じ意味を表す。また、Rは、ヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基であることが好ましい。Xが表す無機または有機の基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、水素化ホウ素基が例示され、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子のいずれかであることが好ましい。
本発明で好適に使用されるイミダゾリウム塩としては、下記の一般式(5)で表されるイミダゾリウム塩が挙げられる。
Figure 0005229464
一般式(5)において、Nは窒素原子を表し、R、RおよびXは一般式(1)におけるものと同じ意味を表す。また、RおよびRは、ヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基であることが好ましい。Xが表す無機または有機の基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、水素化ホウ素基が例示され、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子のいずれかであることが好ましい。
本発明で、特に好ましく用いられるイミダゾリウム塩としては、2,5−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリドが挙げられる。
本発明のポリエーテル系重合体の製造方法において、周期表第15族または第16属の原子を含有する化合物のオニウム塩の使用量は、得るべきポリエーテル系重合体の目的とする分子量などに応じて決定すればよく、特に限定されないが、用いる全単量体に対して、通常0.0001〜50モル%であり、好ましくは0.0005〜20モル%であり、特に好ましくは0.001〜10モル%である。
本発明で用いるトリアルキルアルミニウムは、有するアルキル基が全て直鎖状のアルキル基であるトリアルキルアルミニウムである。このように、トリアルキルアルミニウムとして、有するアルキル基が全て直鎖状のものを用いることにより、高い分子量と狭い分子量分布とを兼ね備えた、ハロゲン原子やアルケニル基を有するオキシラン単量体単位を含有するポリエーテル系重合体を与えることが可能となる。本発明で好適に使用されるトリアルキルアルミニウムとしては、下記の一般式(6)で表されるトリアルキルアルミニウムが挙げられる。
Al (6)
一般式(6)において、R、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜18の直鎖状のアルキル基を表し、Alはアルミニウム原子を表す。また、R、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数1〜12の直鎖状のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基(すなわち、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基、ノルマルペンチル基、ノルマルヘキシル基、ノルマルヘプチル基またはノルマルオクチル基)であることが特に好ましい。さらに、R、RおよびRは、全て同じ基であることが特に好ましい。
本発明で、特に好ましく用いられるトリアルキルアルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムが挙げられ、そのなかでも、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムが最も好適に用いられる。
また、本発明のポリエーテル系重合体の製造方法において、周期表第15族または第16の原子を含有する化合物のオニウム塩と、有するアルキル基が全て直鎖状のアルキル基であるトリアルキルアルミニウムとの使用割合は、得るべきポリエーテル系重合体の目的とする分子量などに応じて決定すればよく、特に限定されないが、当該オニウム塩:当該トリアルキルアルミニウムのモル比が、1:1〜1:100の範囲であることが好ましく、1.0:1.1〜1.0:50.0の範囲であることがより好ましく、1.0:1.2〜1.0:10.0の範囲であることが特に好ましい。
なお、触媒として用いる、周期表第15族または第16の原子を含有する化合物のオニウム塩と、有するアルキル基が全て直鎖状のアルキル基であるトリアルキルアルミニウムとの混合物には、必要に応じて、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどのルイス塩基やクラウンエーテルなどの他の成分を添加することもできる。
周期表第15族または第16の原子を含有する化合物のオニウム塩と有するアルキル基が全て直鎖状のアルキル基であるトリアルキルアルミニウムとの混合方法は特に限定されないが、それぞれを溶媒に溶解または懸濁して、それらを混合することが好ましい。用いる溶媒は特に限定されないが、不活性の溶媒が好適に用いられ、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−へキサンなどの鎖状飽和炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチルエーテルなどのエーテル;あるいはこれらの混合溶媒;などが用いられる。触媒の成分を混合する際の温度や時間は特に限定されないが、−30〜50℃の条件下で10秒間〜30分間混合することが好ましい。
本発明のポリエーテル系重合体の製造方法では、以上のようにして得た、周期表第15族または第16の原子を含有する化合物のオニウム塩、および有するアルキル基が全て直鎖状のアルキル基であるトリアルキルアルミニウムからなる触媒の存在下で、ハロゲン原子およびアルケニル基から選ばれる官能基を少なくとも1つ有するオキシラン単量体の開環重合を行なう。触媒と単量体との混合方法は特に限定されず、例えば触媒を含む溶媒に単量体を添加しても良いし、単量体を含む溶媒に触媒を添加しても良い。本発明の重合方法は特に限定されないが、重合を良好に制御する観点からは、溶液重合法により重合を行なうことが好ましい。溶媒としては、不活性の溶媒が好適に用いられ、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−へキサンなどの鎖状飽和炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチルエーテルなどのエーテル;あるいはこれらの混合溶媒;などが用いられる。これらの溶媒のなかでも、重合反応速度が速くなることから、非極性の溶媒が特に好適に用いられる。溶媒の使用量は特に限定されないが、単量体濃度が1〜50重量%となるように用いることが好ましく、3〜40重量%になるように用いることが特に好ましい。
重合を行なう条件は、特に限定されず、用いる単量体や触媒の種類、目的とする分子量などに応じて決定すれば良い。重合時の圧力は、通常1〜500atmであり、好ましくは1〜100atmであり、特に好ましくは1〜50atmである。重合時の温度は、通常−70〜200℃であり、好ましくは−40〜150℃であり、特に好ましくは−20〜100℃である。重合時間は、通常10秒間〜100時間であり、好ましくは20秒間〜80時間であり、特に好ましくは30秒間〜50時間である。
単量体は、一度に全量を反応系に添加しても良いし、複数回に分けて添加しても良い。本発明のポリエーテル系重合体の製造方法では、重合反応がリビング性を伴って進行するので、異種の単量体を逐次的に添加し、添加するごとに重合反応を完結させることで、ブロック共重合体を得ることも可能である。
全ての単量体の重合反応が完結した後は、重合反応停止剤を反応系に添加することが好ましい。重合反応停止剤としては、例えば、水やアルコール類が使用できる。重合反応を停止した後は、例えば減圧乾燥などの常法に従い、重合体を回収すれば良い。また、重合反応停止剤に代えて、ハロゲン化アリルなどの変性剤を添加することにより、重合体末端に官能基を導入することも可能である。
本発明のポリエーテル系重合体の製造方法は、従来製造することができなかった、高い分子量と狭い分子量分布とを兼ね備えた、ハロゲン原子やアルケニル基を有するオキシラン単量体単位を含有するポリエーテル系重合体を製造することを可能とするものであり、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が10,000以上であるポリエーテル系重合体が製造可能であり、12,000〜800,000であるポリエーテル系重合体も製造可能である。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.0以下であるポリエーテル系重合体が製造可能であり、1.02〜1.5であるポリエーテル系重合体も製造可能である。
リエーテル系重合体は、ハロゲン原子およびアルケニル基の少なくとも一方を含有しているので、架橋して、架橋物を得ることが可能である。架橋する場合の架橋剤は、特に限定されず、ハロゲン原子を架橋点とする場合は、例えば、メルカプトトリアジン系架橋剤やチオウレア系架橋剤を用いることができ、アルケニル基を架橋点とする場合は、硫黄や有機過酸化物を用いることができる。架橋反応は、常法に従って行なえばよい。
リエーテル系重合体の用途は、特に限定されないが、好適な用途としては、以下のものが挙げられる。すなわち、ハロゲン原子を有するオキシラン単量体単位を含有するポリエーテル系重合体は、ホース、チューブ、ダイヤフラム、ガスケット、O−リング、タイヤのインナーライナーなどの自動車用ゴム部品;電線被覆材;プリンターや複写機などのOA機器に用いられる導電性ゴムロール;などに好適に用いられる。また、アルケニル基を有するオキシラン単量体単位を含有するポリエーテル系重合体は、プリンターや複写機などのOA機器に用いられる導電性ゴムロール;電池などに用いられる高分子固体電解質;吸水性水膨潤ゴム;タイヤなどに好適に用いられる。ハロゲン原子を有するオキシラン単量体単位とアルケニル基を有するオキシラン単量体単位との両方を有するポリエーテル系重合体は、ホース、チューブ、ダイヤフラム、ガスケット、O−リング、タイヤのインナーライナーなどの自動車用ゴム部品;電線被覆材;プリンターや複写機などのOA機器に用いられる導電性ゴムロール;電池などに用いられる高分子固体電解質;吸水性水膨潤ゴム;タイヤなどに好適に用いられる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例における分子量の測定は次のように行なった。すなわち、テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、重合体の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)を、ポリスチレン換算値として測定した。
〔実施例1〕(ポリエピクロロヒドリンの製造1)
攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドを0.040gとトルエン30mlを添加し、これを0℃に冷却した。さらにトリメチルアルミニウム0.0135gをノルマルヘキサン1mlに溶解したものを添加して、15分間反応した。かくして得られた混合物に、エピクロロヒドリン5.0gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。1時間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した後、50℃で12時間減圧乾燥した。得られた重合体の収量は1.7gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は13,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であった。
〔実施例2〕(ポリエピクロロヒドリンの製造2)
用いるトリメチルアルミニウムの量を0.0153gとしたこと以外は、実施例1と同様に操作をした。得られた重合体の収量は2.8gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は21,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。
〔実施例3〕(ポリエピクロロヒドリンの製造3)
用いるトリメチルアルミニウムの量を0.0171gとし、用いるエピクロロヒドリンの量を10.0gとしたこと以外は、実施例1と同様に操作をした。得られた重合体の収量は9.5gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は75,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.29であった。
〔実施例4〕(ポリエピクロロヒドリンの製造4)
トリメチルアルミニウムに代えてトリエチルアルミニウムを0.0214g用いたこと以外は、実施例1と同様に操作をした。得られた重合体の収量は4.0gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は32,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であった。
〔実施例5〕(ポリエピクロロヒドリンの製造5)
トリメチルアルミニウムに代えてトリエチルアルミニウムを0.0285g用いたこと以外は、実施例1と同様に操作をした。得られた重合体の収量は5.0gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は41,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.31であった。
〔実施例6〕(ポリエピクロロヒドリンの製造6)
トリメチルアルミニウムに代えてトリノルマルオクチルアルミニウムを0.0916g用いたこと以外は、実施例1と同様に操作をした。得られた重合体の収量は4.9gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は39,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.25であった。
〔実施例7〕(アリルグリシジルエーテルの開環重合体の製造1)
攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドを0.080gとトルエン30mlを添加し、これを0℃に冷却した。さらにトリメチルアルミニウム0.0360gをノルマルヘキサン1mlに溶解したものを添加して、15分間反応した。かくして得られた混合物に、アリルグリシジルエーテル5.0gを添加し、20℃に昇温して重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。30分間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した後、50℃で12時間減圧乾燥した。得られた重合体の収量は4.8gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は18,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.14であった。
〔実施例8〕(アリルグリシジルエーテルの開環重合体の製造2)
攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドを0.040gとトルエン30mlを添加し、これを0℃に冷却した。さらにトリメチルアルミニウム0.0180gをノルマルヘキサン1mlに溶解したものを添加して、15分間反応した。かくして得られた混合物に、アリルグリシジルエーテル5.0gを添加し、20℃に昇温して重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。30分間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した後、50℃で12時間減圧乾燥した。得られた重合体の収量は4.5gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は35,800、重量平均分子量(Mw)は39,700、分子量分布(Mw/Mn)は1.11であった。
〔実施例9〕(ポリエピクロロヒドリンの製造7)
攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムボロハイドライドを0.064gとトルエン30mlを添加し、これを0℃に冷却した。さらにトリメチルアルミニウム0.0270gをノルマルヘキサン1mlに溶解したものを添加して、15分間反応した。かくして得られた混合物に、エピクロロヒドリン5.0gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。1時間反応後、重合反応液に少量の水を注いで24時間の攪拌を行い、50℃で12時間減圧乾燥した。得られた重合体の収量は3.3gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は13,300、重量平均分子量(Mw)は15,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.19であった。さらに、得られた重合体についてH−NMRを測定したところ、水酸基に由来するプロトンと主鎖のプロトンとの積分比から、重合開始末端と重合停止末端に定量的に水酸基が導入されていることが確認された。
〔実施例10〕(エピクロロヒドリン/プロピレンオキシドランダム共重合体の製造)
攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドを0.080gとトルエン30mlを添加し、これを0℃に冷却した。さらにトリメチルアルミニウム0.0270gをノルマルヘキサン1mlに溶解したものを添加して、15分間反応した。かくして得られた混合物に、エピクロロヒドリン1.0gとプロピレンオキシド4.0gを添加し、0℃にて重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。1時間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した後、50℃で12時間減圧乾燥した。得られた重合体の収量は2.4gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は10,600、重量平均分子量(Mw)は12,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.15であった。また、H−NMRにより求めた、重合体の単量体単位組成比(モル比)は、エピクロロヒドリン単位:プロピレンオキシド単位=7:93であった。
〔実施例11〕(アリルグリシジルエーテル/プロピレンオキシドランダム共重合体の製造)
攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドを0.080gとトルエン30mlを添加し、これを0℃に冷却した。さらにトリメチルアルミニウム0.0360gをノルマルヘキサン1mlに溶解したものを添加して、15分間反応した。かくして得られた混合物に、アリルグリシジルエーテル1.0gとプロピレンオキシド4.0gを添加し、20℃に昇温して重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。30分間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した後、50℃で12時間減圧乾燥した。得られた重合体の収量は3.3gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は11,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であった。また、H−NMRにより求めた、重合体の単量体単位組成比(モル比)は、アリルグリシジルエーテル単位:プロピレンオキシド単位=5:95であった。
〔実施例12〕(アリルグリシジルエーテル/プロピレンオキシドブロック共重合体の製造)
攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドを0.080gとトルエン30mlを添加し、これを0℃に冷却した。さらにトリメチルアルミニウム0.0225gをノルマルヘキサン1mlに溶解したものを添加して、15分間反応した。かくして得られた混合物に、プロピレンオキシド2.5gを添加し、20℃に昇温して重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。30分間反応後、溶液の一部を抜き取り、溶液中の重合体について分子量の測定をしたところ、数平均分子量(Mn)は10,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.09であった。反応液には、さらにトリメチルアルミニウム0.013gをノルマルヘキサン1mlに溶解したものを添加して、15分間反応した。次いで、アリルグリシジルエーテル2.5gを添加し、二段目の重合反応を行った。重合反応開始後、さらに溶液の粘度が徐々に上昇した。30分間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止し、50℃で12時間減圧乾燥した。得られた重合体の収量は3.5gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は13,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.16であった。また、H−NMRにより求めた、重合体の単量体単位組成比(モル比)は、アリルグリシジルエーテル単位:プロピレンオキシド単位=11:89であった。
〔実施例13〕(ポリエピクロロヒドリンの製造8)
攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルホスホニウムブロミドを0.085gとトルエン30mlを添加し、これを0℃に冷却した。さらにトリメチルアルミニウム0.0226gをノルマルヘキサン1mlに溶解したものを添加して、15分間反応した。かくして得られた混合物に、エピクロロヒドリン5.0gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。1時間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した後、50℃で12時間減圧乾燥した。得られた重合体の収量は1.9gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は11,700、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。
〔実施例14〕(ポリエピクロロヒドリンの製造9)
攪拌機付きガラス反応器に、トリノルマルブチルスルホニウムアイオダイドを0.083gとトルエン30mlを添加し、これを0℃に冷却した。さらにトリメチルアルミニウム0.0226gをノルマルヘキサン1mlに溶解したものを添加して、15分間反応した。かくして得られた混合物に、エピクロロヒドリン5.0gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。1時間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した後、50℃で12時間減圧乾燥した。得られた重合体の収量は3.5gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は32,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.39であった。
〔実施例15〕(ポリエピクロロヒドリンの製造10)
攪拌機付きガラス反応器に、2,5−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリドを0.053gとトルエン30mlを添加し、これを0℃に冷却した。さらにトリメチルアルミニウム0.0171gをノルマルヘキサン1mlに溶解したものを添加して、15分間反応した。かくして得られた混合物に、エピクロロヒドリン5.0gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。1時間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した後、50℃で12時間減圧乾燥した。得られた重合体の収量は1.6gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は13,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.31であった。
〔比較例1〕(カリウムターシャリブトキシドをアニオン重合開始剤として用いたエピクロロヒドリンの重合の試み)
攪拌機付きガラス反応器に、カリウムターシャリブトキシドを0.027gとトルエン30mlを添加し、これを0℃に冷却した。ここに、エピクロロヒドリン5.0gを添加し、20℃において重合反応を行った。反応開始後、溶液が薄い黄色に変色した。24時間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した後、50℃で12時間減圧乾燥した。乾燥後に得られた不溶成分は痕跡量であった。乾燥前の反応溶液についてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーの測定を行なったところ、数平均分子量(Mn)300前後のピークが見られたのみで、重合体の存在は確認されなかった。
〔比較例2〕(カリウムターシャリブトキシドをアニオン重合開始剤として用いたアリルグリシジルエーテルの重合の試み)
攪拌機付きガラス反応器に、カリウムターシャリブトキシドを0.027gとトルエン30mlを添加し、これを0℃に冷却した。ここに、アリルグリシジルエーテル5.0gを添加し、20℃において重合反応を行った。反応開始後、重合系の粘度が上がったのちにゲル状になった。24時間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した後、50℃で12時間減圧乾燥した。乾燥後に得られた重合体は1.5gであったが、不溶性のために分子量の測定は行なえなかった。
〔比較例3〕(トリイソブチルアルミニウムを用いたポリエピクロロヒドリンの製造1)
攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドを0.040gとトルエン30mlを添加し、これを0℃に冷却した。さらにトリイソブチルアルミニウム0.037gをノルマルヘキサン1mlに溶解したものを添加して、15分間反応した。かくして得られた混合物に、エピクロロヒドリン5.0gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後の溶液の粘度上昇は確認できなかった。48時間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した後、50℃で12時間減圧乾燥した。得られた開環重合体の収量は0.7gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は5,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.51であった。
〔比較例4〕(トリイソブチルアルミニウムを用いたポリエピクロロヒドリンの製造2)
用いるトリイソブチルアルミニウムの量を0.047gとしたこと以外は、比較例3と同様に操作をした。得られた重合体の収量は4.7gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は27,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.46であった。なお、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)のチャートでは、分子量分布が2峰性であることが確認された。
以上のように、オキシラン単量体のアニオン重合において常用される、カリウムターシャリブトキシドを重合開始剤として用いると、エピクロロヒドリンは重合することができず(比較例1)、アリルグリシジルエーテルの重合ではアリル基の架橋反応による架橋構造の形成に起因すると推測される溶媒に不溶な重合体の生成が確認された(比較例2)。また、トリイソブチルアルミニウムとテトラノルマルブチルアンモニウムブロミドとを混合してなる触媒を用いてエピクロロヒドリンを重合する場合では、実施例1と同程度のモル量でトリアルキルアルミニウムを用いると、重合反応の進行が極めて遅くなり、分子量の低い重合体が少量得られるのみであった(比較例3)。トリイソブチルアルミニウムの使用量を増やすことで、重合反応の進行は速くなり、比較的高い分子量の重合体が得られたものの、その重合体は分子量分布が広いものとなった(比較例4)。
これに対して、有するアルキル基が全て直鎖状のアルキル基であるトリアルキルアルミニウムと、周期表第15族または第16の原子を含有する化合物のオニウム塩とを混合してなる触媒を用いて、エピハロヒドリンやアリルグリシジルエーテルを重合すると、高い分子量と狭い分子量分布とを兼ね備えた、ポリエーテル系重合体が得られた(実施例1〜15)。また、周期表第15族または第16の原子を含有する化合物のオニウム塩として、テトラノルマルブチルアンモニウムボロハイドライドを用いることにより、重合停止末端のみならず、重合開始末端にも水素化ホウ素基の加水分解に起因して生じたと考えられる水酸基が導入されることが分かった(実施例9)。さらに、エピハロヒドリンやアリルグリシジルエーテルに加えて、他のオキシラン単量体を併用することにより、ランダム共重合体やブロック共重合体を得ることもできた(実施例10〜12)。

Claims (3)

  1. ハロゲン原子およびアルケニル基から選ばれる官能基を少なくとも1つ有するオキシラン単量体を、周期表第15族または第16の原子を含有する化合物のオニウム塩、および有するアルキル基が全て直鎖状のアルキル基であるトリアルキルアルミニウムからなる触媒の存在下で開環重合する、ポリエーテル系重合体の製造方法。
  2. ハロゲン原子およびアルケニル基から選ばれる官能基を少なくとも1つ有するオキシラン単量体として、エピクロロヒドリンを用いる請求項1に記載のポリエーテル系重合体の製造方法。
  3. ハロゲン原子およびアルケニル基から選ばれる官能基を少なくとも1つ有するオキシラン単量体として、アリルグリシジルエーテルを用いる請求項1に記載のポリエーテル系重合体の製造方法。
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