JP2012158763A - ポリエーテル重合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オキシラン単量体100gに対して、有機アルミニウム3.00〜15.0ミリモル、リン酸0.3〜3.5ミリモル、及び有機リン化合物0.3〜6.0ミリモルを用い、有機アルミニウムにリン酸を反応させ、それに有機リン化合物を添加して重合触媒を得、その重合触媒の存在下に、オキシラン単量体を開環重合させることによって、重量平均分子量が5万以上且つ100万以下であり、重量平均分子量の値の3倍以上の分子量を有する重合体成分の含有量が15重量%以下であるポリエーテル重合体を得る。
【選択図】なし
Description
(1) 重量平均分子量が5万以上且つ100万以下であり、重量平均分子量の値の3倍以上の分子量を有する重合体成分の含有量が15重量%以下であるポリエーテル重合体。
(2) リンおよびアルミニウムを含有し、リンの含有量が0.10〜0.32重量%であり、アルミニウムに対する前記リンの重量比(P/Al)が0.2〜1.1である(1)に記載のポリエーテル重合体。
(3) エチレンオキシド単量体単位(A)80〜98モル%、およびエチレンオキシド単量体と共重合可能な他のオキシラン単量体単位(B)2〜20モル%からなる(1)または(2)に記載のポリエーテル重合体。
(4) オキシラン単量体単位(B)が、アリルグリシジルエーテル単量体単位およびエピクロルヒドリン単量体単位の少なくとも一種を含んでなる、(3)に記載のポリエーテル重合体。
該単量体100gに対し、有機アルミニウム3.0〜15.0ミリモル、リン酸0.3〜3.5ミリモル、及び有機リン化合物0.3〜6.0ミリモルの割合で用いることを特徴とするポリエーテル重合体の製造方法。
(7) 前記の(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエーテル重合体、及び充填剤を含有する水膨潤性組成物。
(9) 前記の(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエーテル重合体、ニトリルゴムおよび充填剤を含有してなる導電性ロール用組成物。
本発明のポリエーテル重合体は、押出成形時の加工性に優れており、表面平滑性が良好な成形体を提供できる。
本発明のポリエーテル重合体及び充填剤からなる水膨潤性組成物は、成形加工性に優れ、水膨潤後の表面状態や粘着性に優れている。
さらに、本発明のポリエーテル重合体、ニトリルゴム及び充填剤からなる導電性ロール用組成物は、体積固有抵抗値のバラツキが小さい成形体を提供できる。
本発明のポリエーテル重合体は上記のような効果を奏するものであるので、複写機や印刷機等に用いられる導電性材料、接着剤やコーティング剤、吸水性材料や水膨潤性材料などに利用することができる。
本発明のポリエーテル重合体は、重量平均分子量(Mw)が5万以上且つ100万以下、好ましくは7万以上且つ70万以下、より好ましくは8万以上且つ50万以下である。重量平均分子量が小さいと成形物の強度が不足し、逆に重量平均分子量が大きいと溶融粘度が上昇し、成形加工が困難となる。ポリエーテル重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグフラフィーにより標準ポリスチレン換算値として測定される、ポリエーテル重合体を構成する重合体成分個々の分子量の値であり、これらを重量平均して重量平均分子量(Mw)が求められる。
リンの含有量は、好ましくは0.10〜0.32重量%、より好ましくは0.11〜0.28重量%、さらに好ましくは0.12〜0.25重量%である。リンの含有量が前記範囲内にあると導電性ロールに接触する感光体を汚染しにくくなる。
また、アルミニウムに対するリンの重量比(P/Al)は、好ましくは0.2〜1.1、より好ましくは0.3〜1.0であり、さらに好ましくは0.4〜0.90である。アルミニウムに対するリンの重量比が前記範囲にあると、加工性に優れる。
これらの中でも、鎖状アルキレンオキシドが好ましく、重合反応性の高いプロピレンオキシド、1,2−エポキシブタンが最も好ましい。
オキシラン単量体(b)中にこれらジエポキシ化合物を含むと、重合体鎖に分岐構造を導入することができる。ジエポキシ化合物の含有量は、全単量体の、好ましくは0.1〜5モル%である。ジエポキシ化合物の含有量が多いと、押出成形時の圧力が高くなりすぎ成形加工性が低下したり、押出成形物の表面平滑性が低下したりする場合がある。
本発明のポリエーテル重合体は、重合体全繰り返し単位中に、架橋性オキシラン単量体単位(C)を、通常18モル%以下、好ましくは2〜15モル%、より好ましくは2〜13モル%含有している。
本発明のポリエーテル重合体の製造方法は、有機アルミニウムにリン酸を反応させ、それに有機リン化合物を添加して得られた重合触媒の存在下に、オキシラン単量体を開環重合させるポリエーテル重合体の製造方法であって、該オキシラン単量体100gに対し、有機アルミニウム3.0〜15.0ミリモル、リン酸0.3〜3.5ミリモル、有機リン化合物0.3〜6.0ミリモルの割合で用いることを特徴とするものである。
有機アルミニウムと有機リン化合物が上記範囲内であると、高分子量成分の含有量を減少させやすくなる。
重合反応は、通常0〜100℃、好ましくは30〜70℃で、回分式、半回分式、連続式などの任意の方式で行うことができる。
ゴムとしては、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴムなどが挙げられる。さらにスチレンブタジエンブロック共重合体、スチレンイソプレンブロック共重合体、及びこれらの水素添加物などの熱可塑性エラストマーが挙げられる。
樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
本発明の水膨潤性組成物は、本発明のポリエーテル重合体及び充填剤を含有するものである。水膨潤性組成物に用いられる充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、クレイなどが挙げられ、機械的強度と膨潤度の点で、カーボンブラック、シリカが好ましく、シリカが特に好ましい。水膨潤性組成物に用いられる充填剤の量は、ポリエーテル重合体100重量部に対して、通常5〜90重量部である。
架橋剤の使用量は、ポリエーテル重合体100重量部に対し、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは0.8〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。
架橋する場合の条件は、適宜選択することができる。
本発明の水膨潤性組成物は、機械的強度、圧縮強度、水保持性等に優れている。
本発明の導電性ロール用組成物は、本発明のポリエーテル重合体、ニトリルゴムおよび充填剤を含有するものである。
前記ニトリルゴムは、共役ジエン単量体とエチレン性不飽和ニトリル単量体と必要に応じて共重合させられるその他の単量体との共重合体である。
導電性ロール用組成物に用いられる充填剤の量は、ポリエーテル重合体とニトリルゴムとの合計量100重量部に対して、5〜70重量部であることが研磨性や押出成形性の点で好ましい。
架橋剤の使用量は、ポリエーテル重合体とニトリルゴムとの合計量100重量部に対し、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは0.8〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。
架橋する場合の条件は、適宜選択することができる。
装置:東ソー株式会社製GPCシステム
カラム:東ソー株式会社製G7000HHR+GMHHR−H
検出器:示差屈折計
溶媒:ジメチルホルアミド(リチウムブロマイド5mmol/L)
流速:1ml/min カラム温度:40℃
分子量標準物質:ポリマーラボラトリー社製標準ポリスチレン
原子吸光装置:SPS−5000(セイコーインスツルメンツ)
装置:JNM−EX400型(日本電子データム製)
(Tダイ押出し)
二軸押出機(スクリュー径25mm、スクリュー回転数100rpm、L/D=30)の先端にコートハンガーダイ(幅250mm、リップ間隙0.4mm)を取り付け、第1フィード口にポリエーテル重合体100部を、第二フィード口に、FEFカーボンブラック25部、シリカ(製品名トクシールGU、トクヤマ社製)15部、酸化亜鉛(亜鉛華1号)5部、ステアリン酸1部、及びジエチレングリコール2部からなる混合物を、それぞれ供給して、シートに押出した。押出成形時の入り口バレル温度は30℃、中央部バレルは100℃、ヘッドおよびダイ温度は120℃であった。表面の平滑度合いを目視で観察し、下記の判断基準で評価した。
◎:表面が平滑で、光沢がある
○:表面に若干凹凸があるが、大部分が平滑である
△:表面に凹凸がある
×:表面に多くの凹凸が見られ、一部波打ちが観察される。
ポリエーテル重合体75部、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(製品名DN401LL、日本ゼオン社製)25部、FEFカーボンブラック25部、シリカ(トクシールGU)15部、酸化亜鉛(亜鉛華1号)5部、ステアリン酸1部、及びジエチレングリコール2部をバンバリーミキサーにて混練し、さらにロールにてシートに成形した。このシートをガーベダイ式押出機にて押出し、ASTM D 2230−77記載のA法に準じて16点満点で評価した。ガーベダイ式押出機による押出時のスクリュー回転数は30rpm、設定温度はバレル60℃、ヘッド80℃である。
◎:13〜16点
○:10〜12点
△:7〜9点
×:6点以下
a)水膨潤率
前記Tダイ押出しで得られたシート148部に、加硫剤(粉末硫黄#325)0.8部並びに加硫促進剤としてテトラメチルチウラムジスルフィド(製品名ノクセラーTT、大内新興化学工業社製)1.5部及びN−シクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(製品名ノクセラーCZ、大内新興化学工業社製)1.2部を添加しながら6インチロールにて混練し、厚さが2.2±0.1mmのシートを得た。これを、所定の大きさに切り3枚重ね、150℃で30分間プレスして25mm×25mm×5mmの試験片を得た。この試験片を23℃の水道水に48時間浸漬し、その体積膨脹率を求めた。
体積膨潤率の測定を終えた前記試験片の表面の平滑度合いを目視で観察し、下記判断基準で表面状態を評価した。
○:均一に膨潤しており、表面がほぼ平滑である
△:若干不均一に膨潤しており、表面の一部に波打ちが観察される
×:かなり不均一に膨潤しており、大きな表面の波打ちが観察される
体積膨潤率の測定を終えた前記シートの表面を、天然ゴム手袋(アズワン社製、クアラテック手袋)を装着した手で触り、粘着度合いを下記判断基準で官能試験して粘着性を評価した。
○:ベタツキは若干ある。手袋を持ち上げると手袋に付いてシートが持ち上がるが、シートは自重ですぐに落下する。
△:ベタツキが若干ある。手袋を持ち上げると手袋に付いてシートが持ち上がる。しばらくしてシートは自重で落下する。
×:ベタツキがあり、手袋から剥がれにくい。
前記カーベダイ押出し評価用のためにバンバリーミキサーで混練して得られた物148部に、加硫剤(粉末硫黄#325)0.8部並びに加硫促進剤としてテトラメチルチウラムジスルフィド(TT)1.5部及びN−シクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(CZ)1.2部を添加しながら6インチロールで混練し、厚さが2.2±0.1mmのシートを得た。このシートを160℃で30分間プレスで加硫し、150mm×150mm×2mmのシートを得た。加硫されたシートの体積固有抵抗値を、JIS K6911に従って測定した。また、体積固有抵抗値のバラツキは、前記同様にして加硫シートを5枚製造し、それらの体積固有抵抗値をそれぞれ測定し、その測定値中の最大値と最小値の差を平均値で除し、%で表記した。
乾燥され、窒素置換された撹拌機付きオートクレープに、トリイソブチルアルミニウム10.08部、トルエン33.73部、およびジエチルエーテル18.82部を仕込んだ。オートクレーブ内の温度を30℃にし、撹拌しながらリン酸0.70部を10分間かけて一定速度で添加した。これにトリフェニルホスフィン5.33部を添加し、60℃で2時間熟成させて、重合触媒を得た。
重合触媒溶液に用いる、トリイソブチルアルミニウム、リン酸およびトリフェニルホスフィンの量、および重合反応に用いるエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)およびアリルグリシジルエーテル(AGE)の量を、表1に示す量に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエーテル重合体をそれぞれ得た。ポリエーテル重合体P−2、P−3、P−5の製造条件、重量平均分子量及び高分子量成分含有量、及び単量体単位組成などを表1に示す。また重合体P−5の評価結果を表2に示す。
重合触媒溶液に用いる、トリイソブチルアルミニウム、リン酸およびトリフェニルホスフィンの量、および重合反応に用いるエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)およびアリルグリシジルエーテル(AGE)の量を、表1に示す量に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエーテル重合体P−4を得た。ポリエーテル重合体P−4の製造条件、重量平均分子量及び高分子量成分含有量、及び単量体単位組成などを表1に示す。また重合体P−4の評価結果を表2に示す。
乾燥され窒素置換された撹拌機付きオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム10.08部、トルエン33.74部、およびジエチルエーテル18.83部仕込んだ。オートクレーブ内の温度を30℃にし、撹拌しながらリン酸1.49部を10分間かけて一定速度で添加した。これにトリエチルアミン1.03部を添加し、60℃で2時間熟成反応し、重合触媒の溶液を得た。
重合触媒溶液に用いる、トリイソブチルアルミニウム、リン酸およびトリフェニルホスフィンの量、および重合反応に用いるEO、POおよびAGEの量を、表1に示す量に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエーテル重合体P−7を得た。ポリエーテル重合体P−7の製造条件、重量平均分子量及び高分子量成分含有量、及び単量体単位組成などを表1に示す。また重合体P−7の評価結果を表2に示す。
Claims (7)
- 重量平均分子量が5万以上且つ100万以下であり、重量平均分子量の値の3倍以上の分子量を有する重合体成分の含有量が15重量%以下であり、且つエチレンオキシド単量体単位(A)80〜98モル%およびエチレンオキシド単量体と共重合可能な他のオキシラン単量体単位(B)2〜20モル%からなるポリエーテル重合体。
- リンおよびアルミニウムを含有し、リンの含有量が0.10〜0.32重量%であり、アルミニウムに対する前記リンの重量比(P/Al)が0.2〜1.1である請求項1に記載のポリエーテル重合体。
- 前記オキシラン単量体単位(B)が、アリルグリシジルエーテル単量体単位およびエピクロルヒドリン単量体単位の少なくとも一種を含んでなる、請求項1または2に記載のポリエーテル重合体。
- 有機アルミニウムにリン酸を反応させ、それに有機リン化合物を添加して得られた重合触媒の存在下に、オキシラン単量体を開環重合させるポリエーテル重合体の製造方法であって、該単量体100gに対し、有機アルミニウム3.0〜15.0ミリモル、リン酸0.3〜3.5ミリモル、及び有機リン化合物0.3〜6.0ミリモルの割合で用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエーテル重合体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエーテル重合体、及び充填剤を含有するポリエーテル重合体組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエーテル重合体、及び充填剤を含有する水膨潤性組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエーテル重合体、ニトリルゴムおよび充填剤を含有してなるポリエーテル重合体組成物。
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