JP5493554B2 - ポリエーテル重合体の製造方法、ならびにポリエーテル重合体組成物、架橋物、および導電性ロール - Google Patents

ポリエーテル重合体の製造方法、ならびにポリエーテル重合体組成物、架橋物、および導電性ロール Download PDF

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Description

本発明は、ポリエーテル重合体の製造方法、特に、導電性ロールなどに用いても感光体への汚染を引き起こさず、かつ、低電気抵抗性に優れたポリエーテルゴムの製造方法に関する。更に、該方法により製造されたポリエーテル重合体と、架橋剤とを含有するポリエーテル重合体組成物、およびその架橋物、ならびにその架橋物を用いてなる導電性ロールに関する。
プリンター、電子写真複写機、およびファクシミリ装置などの画像形成装置における導電性機構には、感光ドラムを一様に帯電させるための帯電ロール、トナーを搬送させるためのトナー供給ロール、トナーを感光体に付着させるための現像ロール、およびトナー像を感光体から用紙に転写するための転写ロールなどの種々の導電性ロールが用いられている。
このような導電性ロールは、一般的に、円柱状の芯金と、この芯金の周囲に同心円状に積層された架橋ゴム層とから構成されており、その用途に応じて、所望の範囲の導電性(電気抵抗値とそのばらつき、環境依存性、電圧依存性)、非汚染性、低硬度、および寸法安定性などの種々の性能が要求されている。一般に、導電性ロールに要求される導電性は、いわゆる半導電性の領域のものである。
このような導電性ロールを構成するゴムに導電性を付与する方法としては、カーボンブラック、または金属酸化物などの導電性付与剤をゴム中に少量練りこみ、分散させることにより、導電性ロールの電気抵抗を制御する方法がある。しかし、この方法では、少量の導電性付与剤の分散性をコントロールすることが難しく、また、成形・架橋時のゴム流動によって、導電性付与剤の分散状態が変化し、その結果、電気抵抗がばらつき、鮮明な画像を得にくいという問題があった。
そこで、電気抵抗のばらつきを解決する方法として、ポリマー自体が半導電性を有する材料であるエピクロロヒドリンゴムなどのポリエーテルゴムや、それとアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とのブレンド物などを用いる方法が提案されている。このような材料を用いることで、導電性付与剤を使用することなく所望の電気抵抗値を得ることができ、また、電気抵抗値のばらつきを小さくすることができる。例えば、特許文献1では、アルキレンオキサイド、エピハロヒドリン、およびエチレン性不飽和エポキシドを、ある特定の割合で共重合して得られる共重合体ゴムと、不飽和ゴムとを特定量含有するゴム組成物を架橋してなる導電性ロールが開示されている。
近年、画像形成装置においては高速化が要求され、導電性ロールには更なる低電気抵抗化が要求されている。電気抵抗を低くする方法としては、エピクロロヒドリンゴムの構成単位の一つであるエチレンオキサイド単位量を増やすことが有効であるが、エチレンオキサイド単位量を増やすと、感光体への汚染を引き起こすという問題がある。そのため、従来の方法では、エピクロロヒドリンゴム中のエチレンオキサイド単位をある一定量までしか増加することができず、また、エピクロロヒドリンゴム中のエチレンオキサイド単位量を増やした場合は、上記の理由から、その他のゴムと混合して使用する必要があるため、導電性ロール中のエチレンオキサイド単位量を増やすことには限界があった。
特開平08−292640号公報
本発明の目的は、導電性ロールなどに用いられるポリエーテルゴムの低電気抵抗化の要求に対し、ポリエーテルゴム中のエチレンオキサイド単位(a)を特定量まで増加しても、感光体への汚染を引き起こさず、画像への悪影響を引き起こさない、ポリエーテル重合体の製造方法が提供される。更に、該方法により製造されたポリエーテル重合体と、架橋剤とを含有するポリエーテル重合体組成物、およびその架橋物、ならびにその架橋物を用いてなる導電性ロールが提供される。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、溶液重合反応により、特定量のエチレンオキサイド単位(a)を含有するポリエーテル重合体の溶液を得た後、前記ポリエーテル重合体の溶液と、陰イオン性界面活性剤とを混合し、スチームストリッピングにより、前記ポリエーテル重合体を凝固し、その後、ろ別、乾燥させる工程を含有するポリエーテル重合体の製造方法により、前記目的を達成することを見出した。
かくして、本発明によれば、(1)溶液重合反応により、少なくともエチレンオキサイド単位(a)50〜80モル%を含有する、ポリエーテル重合体の溶液を得る工程、(2)前記ポリエーテル重合体の溶液と、陰イオン性界面活性剤とを混合する工程、(3)スチームストリッピングにより、前記ポリエーテル重合体の溶液から、前記ポリエーテル重合体を凝固する工程、(4)凝固された前記ポリエーテル重合体を含むスラリーから、液体成分をろ別し、得られる前記ポリエーテル重合体を乾燥させる工程、を含有する前記ポリエーテル重合体の製造方法が提供される。
前記陰イオン性界面活性剤が、有機基を有する硫酸の塩、有機基を有するスルホン酸の塩、または高分子界面活性剤から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記ポリエーテル重合体100重量部に対し、前記陰イオン性界面活性剤を0.5〜20重量部添加することが好ましい。
前記ポリエーテル重合体が、更に、エピハロヒドリン単位(b)49〜19モル%、および/または不飽和オキサイド単位(d)15〜1モル%を含有することが好ましい。
また、本発明によれば、前記製造方法により製造されたポリエーテル重合体と、架橋剤とを含有するポリエーテル重合体組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記ポリエーテル重合体組成物を架橋してなる架橋物が提供される。
また、本発明によれば、前記架橋物を用いてなる導電性ロールが提供される。
本発明によれば、ポリエーテル重合体を製造する方法において、導電性ロールなどに用いても感光体への汚染を引き起こさず、かつ、低電気抵抗性に優れたポリエーテル重合体が得られる。更に、該方法により製造されたポリエーテル重合体と、架橋剤とを含有するポリエーテル重合体組成物、およびその架橋物、ならびにその架橋物を用いてなる導電性ロールが得られる。
本発明のポリエーテル重合体の製造方法は、(1)溶液重合反応により、少なくともエチレンオキサイド単位(a)50〜80モル%を含有する、ポリエーテル重合体の溶液を得る工程、(2)前記ポリエーテル重合体の溶液と、陰イオン性界面活性剤とを混合する工程、(3)スチームストリッピングにより、前記ポリエーテル重合体の溶液から、前記ポリエーテル重合体を凝固する工程、(4)凝固された前記ポリエーテル重合体を含むスラリーから、液体成分をろ別し、得られる前記ポリエーテル重合体を乾燥させる工程、の四工程を含有することを特徴とする。
本発明のポリエーテル重合体の製造方法は、第一工程として、溶液重合反応により、少なくともエチレンオキサイド単位(a)50〜80モル%を含有する、ポリエーテル重合体の溶液を得ることを特徴とする。
ポリエーテル重合体
本発明のポリエーテル重合体は、少なくともエチレンオキサイド単位(a)50〜80モル%を含有する。エチレンオキサイド単位(a)は、エチレンオキサイドにより形成される単位である。本発明のポリエーテル重合体中における、エチレンオキサイド単位(a)の含有割合は、全単量体単位中、50〜80モル%であることが必要であり、50〜75モル%であることが好ましく、55〜75モル%であることがより好ましい。ポリエーテル重合体中における、エチレンオキサイド単位(a)の含有割合が前記範囲にあると、低電気抵抗性に優れたポリエーテル重合体が得られる。一方、エチレンオキサイド単位(a)の含有割合が少なすぎると、電気抵抗値の低減効果が得難くなる。また、エチレンオキサイド単位(a)の含有割合が多すぎると、ポリエーテル重合体の製造が困難になるおそれがある。
本発明のポリエーテル重合体は、エチレンオキサイド単位(a)の他に、エピハロヒドリン単位(b)、エチレンオキサイドを除いたアルキレンオキサイドの単位(c)、および不飽和オキサイド単位(d)の少なくともいずれかを共重合させた共重合体であることが好ましい。また、本発明のポリエーテル重合体においては、エピハロヒドリン単位(b)または不飽和オキサイド単位(d)が架橋点となるため、本発明のポリエーテル重合体を架橋する場合、エピハロヒドリン単位(b)を含有しない場合は不飽和オキサイド単位(d)を有し、不飽和オキサイド単位(d)を含有しない場合はエピハロヒドリン単位(b)を有する。なお、共重合体としては、特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイド単位(a)、エピハロヒドリン単位(b)、および不飽和オキサイド単位(d)を有する三元共重合体や、エチレンオキサイド単位(a)、エチレンオキサイドを除いたアルキレンオキサイドの単位(c)、および不飽和オキサイド単位(d)を有する三元共重合体が、架橋性の観点から好ましく、エチレンオキサイド単位(a)、エピハロヒドリン単位(b)、および不飽和オキサイド単位(d)を有する三元共重合体がより好ましい。
エピハロヒドリン単位(b)を形成するエピハロヒドリン単量体としては、特に限定されないが、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、エピフルオロヒドリンなどが挙げられ、これらのなかでも、エピクロロヒドリンが好ましい。エピハロヒドリン単量体は、2種以上を併用してもよい。エピハロヒドリン単位(b)の含有割合は、全単量体単位中、49〜19モル%であることが好ましく、48〜23モル%であることがより好ましく、43〜23モル%であることが特に好ましい。ポリエーテル重合体中における、エピハロヒドリン単位(b)の含有割合が前記範囲にあると、低電気抵抗性に優れたポリエーテル重合体が得られる。一方、エピハロヒドリン単位(b)の含有割合が少なすぎると、引張強さ、伸び、および圧縮永久歪み率に劣る場合がある。また、エピハロヒドリン単位(b)の含有割合が多すぎると、体積固有抵抗値が上昇する場合がある。
エチレンオキサイドを除いたアルキレンオキサイドの単位(c)を形成するアルキレンオキサイド単量体としては、特に限定されないが、例えば、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシ−4−クロロペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシイソブタン、2,3−エポキシイソブタンなどの直鎖状または分岐鎖状アルキレンオキサイド;1,2−エポキシクロロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロドデカンなどの環状アルキレンオキサイド;ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテルなどのアルキル長鎖または分岐鎖を有するグリシジルエーテル;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどのオキシエチレン側鎖を有するグリシジルエーテル;などが挙げられ、これらは、ハロゲン原子などの置換基を有するものであってもよい。これらのなかでも、直鎖状のアルキレンオキサイドが好ましく、プロピレンオキサイドがより好ましい。これらアルキレンオキサイド単量体は、2種以上を併用してもよい。エチレンオキサイドを除いたアルキレンオキサイドの単位(c)の含有割合は、全単量体単位中、30モル%以下であることが好ましく、25モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることが特に好ましい。ポリエーテル重合体中における、エチレンオキサイドを除いたアルキレンオキサイドの単位(c)の含有割合が多すぎると、体積固有抵抗値が上昇する場合がある。
不飽和オキサイド単位(d)を形成する不飽和オキサイド単量体としては、分子内に少なくとも一つの炭素−炭素不飽和結合(芳香環の炭素−炭素不飽和結合は除く)と、少なくとも一つのエポキシ基とを含有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテルなどのアルケニルグリシジルエーテル類;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセンなどのアルケニルエポキシド類;などが挙げられる。これらのなかでも、アルケニルグリシジルエーテル類が好ましく、アリルグリシジルエーテルがより好ましい。不飽和オキサイド単量体は、2種以上を併用してもよい。不飽和オキサイド単位(d)の含有割合は、全単量体単位中、15〜1モル%であることが好ましく、12〜2モル%であることがより好ましく、10〜2モル%であることが特に好ましい。ポリエーテル重合体中における、不飽和オキサイド単位(d)の含有割合が前記範囲にあると、低電気抵抗性に優れたポリエーテル重合体が得られる。一方、不飽和オキサイド単位(d)の含有割合が少なすぎると、耐オゾン性に劣る場合がある。また、不飽和オキサイド単位(d)の含有割合が多すぎると、重合反応中に、ゲル化反応などを起こし易くなって、成形加工性が低下するおそれがある。
本発明のポリエーテル重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記エチレンオキサイド単位(a)、エピハロヒドリン単位(b)、エチレンオキサイドを除いたアルキレンオキサイドの単位(c)、および不飽和オキサイド単位(d)以外の、共重合可能なその他の単量体の単位を有していても良い。共重合可能なその他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテルなどのアリールエポキシド類;などが挙げられる。共重合可能なその他の単量体単位の含有割合は、全単量体単位中、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、5モル%以下が特に好ましい。
本発明のポリエーテル重合体は、溶液重合法または溶媒スラリー重合法などにより、前記各単量体を開環重合することにより得ることができる。ただし、本発明のポリエーテル重合体の製造方法においては、ポリエーテル重合体が重合溶媒に溶解していることが好ましいため、生産性の観点から、溶液重合法が好ましい。
重合触媒としては、一般のポリエーテル重合用触媒であれば、特に限定されない。溶液重合法により開環重合する場合の重合触媒としては、例えば、有機アルミニウムに水とアセチルアセトンを反応させた触媒(特公昭35−15797号公報);トリイソブチルアルミニウムにリン酸とトリエチルアミンを反応させた触媒(特公昭46−27534号公報);トリイソブチルアルミニウムにジアザビアシクロウンデセンの有機酸塩とリン酸とを反応させた触媒(特公昭56−51171号公報);アルミニウムアルコキサイドの部分加水分解物と有機亜鉛化合物とからなる触媒(特公昭43−2945号公報);有機亜鉛化合物と多価アルコールとからなる触媒(特公昭45−7751号公報);ジアルキル亜鉛と水とからなる触媒(特公昭36−3394号公報);などが挙げられる。
重合溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−へキサンなどの直鎖状飽和炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの環状飽和炭化水素類;などが用いられる。これらのなかでも、溶液重合法により開環重合する場合は、ポリエーテル重合体の溶解性の観点から、芳香族炭化水素を用いることが好ましく、トルエンがより好ましい。
重合反応温度は、20〜150℃が好ましく、50〜130℃がより好ましい。重合様式は、回分式、半回分式、連続式などの任意の方法で行うことができる。
本発明のポリエーテル重合体は、ブロック共重合、ランダム共重合のいずれの共重合タイプでも構わないが、ランダム共重合体の方がよりポリエチレンオキサイドの結晶性を低下させ、得られるポリエーテル重合体のゴム弾性を損ないにくいために好ましい。
本発明のポリエーテル重合体の製造方法は、第二工程として、第一工程で得たポリエーテル重合体の溶液と、陰イオン性界面活性剤とを混合することを特徴とする。
本発明で用いる陰イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、有機基を有する硫酸の塩、有機基を有するスルホン酸の塩、または高分子界面活性剤が好ましい。陰イオン性界面活性剤として、有機基を有する硫酸の塩、有機基を有するスルホン酸の塩、または高分子界面活性剤を用いることにより、感光体への汚染を引き起こさず、画像への悪影響を引き起こさない、ポリエーテル重合体が得られる。なお、本発明において、有機基を有する硫酸の塩、有機基を有するスルホン酸の塩のなかには、高分子界面活性剤が含まれていてもよく、また、高分子界面活性剤のなかには、有機基を有する硫酸の塩、有機基を有するスルホン酸の塩が含まれていてもよい。
有機基を有する硫酸の塩、または有機基を有するスルホン酸の塩である陰イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩類;ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸塩;ジ(ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル)スルホコハク酸ナトリウムなどのジポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸塩;ラウリルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩;などが挙げられる。これらのなかでも、アルキル硫酸塩がこの好ましく、アルキル硫酸のナトリウム塩がより好ましく、ラウリル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウムが特に好ましい。
陰イオン性界面活性剤の高分子界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩などの芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩;カルボン酸型高分子界面活性剤;などが挙げられ、これらのなかでも、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩が好ましい。
芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩のなかでも、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩がより好ましい。ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物は、ナフタレンスルホン酸とホルマリンとを縮合反応して得られるものである。平均縮合度は、2〜20であることが好ましく、3〜10であることがより好ましい。ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩としては、特に限定されないが、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のトリメチルアミン塩、トリエタノールアミン塩などの有機アミン塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアンモニウム塩;などが挙げられる。これらのなかでも、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩が好ましく、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩がより好ましく、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩が特に好ましい。
カルボン酸型高分子界面活性剤のなかでは、炭素数5以上のビニル系炭化水素−無水マレイン酸共重合体、またはメタクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体からなる群より選ばれたポリカルボン酸類が好ましい。炭素数5以上のビニル系炭化水素としては、特に限定されないが、例えば、ヘキセン、ジイソブチレン、スチレンなどが挙げられる。メタクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどが挙げられる。これらのポリカルボン酸類のなかでも、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体がより好ましい。ポリカルボン酸類の平均分子量は1000〜10万であることが好ましく、2000〜5万の範囲であることがより好ましい。
これらの陰イオン性界面活性剤は、ポリエーテル重合体100重量部に対し、0.5〜20重量部添加することが好ましく、1〜15重量部添加することがより好ましく、1〜10重量部添加することが特に好ましい。陰イオン性界面活性剤の添加量が前記範囲にあると、感光体への汚染を引き起こさず、画像への悪影響を引き起こさない、ポリエーテル重合体が得られる。一方、陰イオン性界面活性剤の添加量が少なすぎると、非汚染性に劣る場合がある。また、陰イオン性界面活性剤の添加量が多すぎると、ポリエーテル重合体の溶液が泡立ってしまい、ポリエーテル重合体の製造が困難になるおそれがある。
ポリエーテル重合体の溶液と、陰イオン性界面活性剤とを混合する方法は、特に限定されない。例えば、ポリエーテル重合体の溶液に、陰イオン性界面活性剤を添加したり、スチームストリッピング時に使用する熱水に、陰イオン性界面活性剤を添加し、その後、ポリエーテル重合体の溶液と熱水とを混合したりできる。更には、スチームストリッピングの最中、およびスチームストリッピングにより、重合溶媒を揮発させた後のスラリー溶液に、陰イオン性界面活性剤を添加してもよい。つまり、第四工程である凝固されたポリエーテル重合体を含むスラリーから、液体成分をろ別する前の任意の段階に、陰イオン性界面活性剤を添加することが本願発明において好ましく、ポリエーテル重合体の溶液に、陰イオン性界面活性剤を添加することがより好ましい。ポリエーテル重合体の溶液と、陰イオン性界面活性剤とを混合することにより、感光体への汚染を引き起こさず、画像への悪影響を引き起こさないポリエーテル重合体が得られる。
陰イオン性界面活性剤は、粉末の状態でポリエーテル重合体の溶液などに直接添加したり、溶解させた状態でポリエーテル重合体の溶液などに添加したりできる。陰イオン性界面活性剤を溶解させる場合は、溶解液中の陰イオン性界面活性剤の濃度は、15〜60重量%であることが好ましい。溶解液中の陰イオン性界面活性剤の濃度が高いと、溶解液が泡だって、ポリエーテル重合体の製造が困難になるおそれがある。また、陰イオン性界面活性剤を添加する際は、ポリエーテル重合体の溶液などに、陰イオン性界面活性剤が均一に混合されるように、ポリエーテル重合体の溶液などを攪拌しながら行うことが好ましい。
本発明のポリエーテル重合体の製造方法は、第三工程として、スチームストリッピングにより、ポリエーテル重合体の溶液から、ポリエーテル重合体を凝固することを特徴とする。本発明のポリエーテル重合体の製造方法においては、第二工程の後に第三工程が行われることが好ましいが、上述したように、第三工程の後に第二工程を行うこともできる。
本発明で用いるスチームストリッピングは、重合体の溶液から、重合体と溶媒を分離する方法として常法である。スチームストリッピングの方法としては、特に限定されず、例えば、重合体の溶液をスチームを加えた熱水中に注入し、溶媒を水蒸気とともに蒸留し、温水中に重合体をクラム状に析出する方法などが挙げられる。特に、前記作業を減圧下において行うことが好ましい。また、スチームストリッピングを実施する前に、所望により、公知の老化防止剤、凝固クラム安定剤、スケール防止剤などを、ポリエーテル重合体の溶液に添加してもよい。
スチームストリッピングする際の重合体の濃度は、特に限定されないが、1〜30重量%が好ましく、2〜20重量%がより好ましく、3〜15%が特に好ましい。重合体濃度が前記範囲より低い場合は、溶媒除去効率が悪く、一方、重合体濃度が前記範囲より高い場合は、析出したクラム粒径が大きくなりすぎ、その後の工程に支障をきたすおそれがある。
スチームストリッピング時の温度は、重合時に用いた溶媒の沸点または該溶媒と水とが共沸する場合はその共沸温度以上が好ましく、溶媒の沸点または共沸温度より10℃以上高いことがより好ましい。スチームストリッピング時における温度が前記範囲より低い場合は、溶媒除去効率が悪く、クラム中の残存溶媒量が多くなる。
析出したクラム状重合体の粒径は、特に限定されないが、1〜25mmが好ましく、2〜20mmがより好ましく、3〜15mmが特に好ましい。析出したクラム状重合体の粒径が前記範囲内にあると、その後の工程に支障をきたすことなく、ポリエーテル重合体を製造することができる。
本発明のポリエーテル重合体の製造方法は、第四工程として、凝固された前記ポリエーテル重合体を含むスラリーから、液体成分をろ別し、得られる前記ポリエーテル重合体を乾燥させることを特徴とする。
本発明で用いるろ別の方法としては、特に限定されないが、必要に応じて、例えば、回転式スクリーン、振動スクリーンなどの篩;遠心脱水機;などを用いることができる。
本発明で用いる乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、ロール、バンバリー式脱水機、スクリュー押出機式脱水機などの圧縮水絞機を用いて脱水する方法、または、スクリュー型押出機、ニーダー型乾燥機、エキスパンダー乾燥機、熱風乾燥機、減圧乾燥機などの乾燥機を用いて、ポリエーテル重合体を乾燥させる方法を挙げることができる。これらの圧縮水絞機および乾燥機は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
乾燥後のポリエーテル重合体の含水率は、2重量%以下が好ましく、1.5重量%以下がより好ましく、1重量%以下が特に好ましい。乾燥後のポリエーテル重合体の含水率が前記範囲内にあると、安定した成形品が得られる。
なお、溶媒スラリー重合法でポリエーテル重合体を得た場合に、本発明と同様な効果を得るためには、クラム状のポリエーテル重合体を溶解させ、その後、上述した第二工程〜第四工程を実施するか、または、スラリーから液体成分をろ別し、得られるポリエーテル重合体を陰イオン性界面活性剤を含有している水で水洗し、改めてろ別、乾燥させればよい。
上述のようにして得られる本発明のポリエーテル重合体のムーニー粘度(ポリマームーニー粘度・ML1+4,100℃)は、10〜120であることが好ましく、20〜90であることがより好ましく、30〜70であることが特に好ましい。ムーニー粘度が高すぎると成形加工性に劣り、特にスウェル(押し出し成形時にダイの径より押出物の径が大きくなること)が発生し、寸法安定性が低下する場合がある。ムーニー粘度が低すぎると、得られる架橋物の機械的強度が低下する場合がある。
ポリエーテル重合体組成物
本発明のポリエーテル重合体組成物は、上述した本発明の製造方法により製造されたポリエーテル重合体と、架橋剤とを含有するものである。
架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄;一塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼノピン−2)、含リンポリスルフィド、高分子多硫化物などの含硫黄化合物;ジクミルペルオキシド、ジターシャリブチルペルオキシドなどの有機過酸化物;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのキノンジオキシム;トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4’−メチレンビス−o−クロロアニリンなどの有機多価アミン化合物;メチロール基を持つアルキルフェノール樹脂;などが挙げられる。これらのなかでも、硫黄または含硫黄化合物が好ましい。これらの架橋剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋剤の配合割合は、特に限定されないが、ポリエーテル重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜7重量部がより好ましく、0.3〜5重量部が特に好ましい。架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋速度が遅くなり、架橋物の生産性が低下したり、得られる架橋物を研磨して使用する場合に研磨性が低下したりするおそれがある。一方、架橋剤の配合量が多すぎると、得られる架橋物の硬度が高くなったり、架橋剤がブルームしたりする可能性がある。
架橋剤として、硫黄または含硫黄化合物を用いる場合には、架橋助剤および架橋促進剤を併用することが好ましい。架橋助剤としては、特に限定されないが、例えば、亜鉛華、ステアリン酸などが挙げられる。架橋促進剤としては、特に限定されないが、例えば、グアニジン系;アルデヒド−アミン系;アルデヒド−アンモニア系;チアゾール系;スルフェンアミド系;チオ尿素系;チウラム系;などの各架橋促進剤を用いることができる。架橋助剤および架橋促進剤は、それぞれ2種以上併用して用いてもよい。
架橋助剤および架橋促進剤の使用量としては、特に限定されないが、ポリエーテル重合体100重量部に対して、0.01〜15重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。架橋助剤および架橋促進剤が多すぎると、架橋速度が早くなりすぎたり、架橋物の表面にブルームしたりするおそれがある。
また、本発明のポリエーテル重合体組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、およびこれらゴムの部分水素添加物(例えば、水素化ニトリルゴム)などのジエン系ゴム;エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ポリエーテル系ゴム(本発明のポリエーテル重合体を除く)フッ素ゴム、シリコーンゴムなどのジエン系ゴム以外のゴム;オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマー;ポリ塩化ビニル、クマロン樹脂、フェノール樹脂などの樹脂;を含有していても良い。これらのゴム、熱可塑性エラストマーおよび樹脂は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、これらの合計含有量は、本発明のポリエーテル重合体100重量部に対して、100重量部以下が好ましく、50重量部以下がより好ましく、20重量部以下が特に好ましい。
さらに、本発明のポリエーテル重合体組成物には、公知の重合体に通常配合される添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、受酸剤;補強剤;充填剤;老化防止剤;紫外線吸収剤;耐光安定剤;粘着付与剤;界面活性剤;導電性付与剤;電解質物質;着色剤(染料・顔料);難燃剤;帯電防止剤;などが挙げられる。
本発明のポリエーテル重合体組成物は、ポリエーテル重合体、架橋剤、および必要に応じて用いられる各配合剤を、所望の方法により調合、混練することにより調製することができる。例えば、架橋剤および架橋促進剤を除く添加剤と、ポリエーテル重合体とを混練後、その混合物に架橋剤および架橋促進剤を混合して、ポリエーテル重合体組成物を得ることができる。調合、混練に際しては、例えば、ニーダー、バンバリー、オープンロール、カレンダーロール、押出機など任意の混練成形機を一つあるいは複数組み合わせて用いて混練成形してもよい。架橋剤および架橋促進剤を除く添加剤と、ポリエーテル重合体との混練温度は、20〜200℃が好ましく、20〜150℃がより好ましく、その混練時間は、30秒〜30分が好ましく、混練物と、架橋剤および架橋促進剤との混合温度は、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。
架橋物
本発明の架橋物は、前記ポリエーテル重合体組成物を架橋してなるものである。
本発明のポリエーテル重合体組成物を架橋する方法は、特に限定されないが、成形と架橋を同時に行っても、成形後に架橋してもよい。成形時の温度は、20〜120℃が好ましく、40〜110℃がより好ましい。架橋時の加熱温度は、130〜200℃が好ましく、140〜200℃がより好ましい。架橋時の温度が低すぎると、架橋時間が長時間必要となったり、得られる架橋物の架橋密度が低くなったりする場合がある。一方、架橋時の温度が高すぎると、成形不良となる場合がある。架橋時間は、架橋方法、架橋温度、形状などにより異なるが、1分以上、5時間以下の範囲が架橋密度と生産効率の面から好ましい。加熱方法としては、プレス加熱、オーブン加熱、蒸気加熱、熱風加熱などの方法を適宜選択すればよい。
また、ゴム加硫物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで充分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。二次架橋を行う際における、加熱温度は、100〜220℃が好ましく、130〜210℃がより好ましい。加熱時間は、30分〜5時間が好ましい。
本発明の架橋物の体積固有抵抗値は、1×105.0〜1×107.5Ω・cmであることが好ましく、1×106・0〜1×107.4Ω・cmであることがより好ましく、1×106.0〜1×107.3Ω・cmであることが特に好ましい。架橋物の体積固有抵抗値が前記範囲内にあると、感光体への汚染を引き起こさず、かつ、低電気抵抗性に優れた導電性ロールが得られる。
このようにして得られる本発明の架橋物は、上述した本発明のポリエーテル重合体を用いて得られるものであるため、感光体への汚染を引き起こさず、かつ、低電気抵抗性に優れたものである。
導電性ロール
本発明の導電性ロールは、前記架橋物を用いてなるものである。
本発明の架橋物は、その特性を活かして、各種工業ゴム製品用材料として有用である。本発明の架橋物は、特に限定はされないが、例えば、複写機や印刷機などに使用される、導電性ロールや導電性ブレードなどの導電性材料;靴底やホース用材料;コンベアーベルトやエスカレータのハンドレールなどのベルト用材料;シール、パッキン用材料;などとして用いることができる。特に、本発明の架橋物は、感光体への汚染を引き起こさず、かつ、低電気抵抗性に優れたものであるため、複写機や印刷機などに使用される導電性ロールや導電性ブレードに、特に好適に用いることができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例中の部および%は、特に断りのない限り、重量基準である。
各種の物性については、以下の方法に従って評価した。
[ムーニー粘度]
JIS K6300に従って、100℃で測定した。
[体積固有抵抗値(23℃、50%RH)]
ポリエーテル重合体組成物を温度160℃、30分間のプレスによって成形、架橋し、縦15cm、横15cm、厚さ2mmのシート状の架橋物を得た。そして、得られたシート状の架橋物を用いて、体積固有抵抗値をハイレスターIP(三菱化学社製)を用いて測定した。なお、体積固有抵抗値の測定条件は温度23℃、湿度50%とし、印加電圧は250Vで30秒後の値を測定した。
[感光体汚染による画像評価]
ポリエーテル重合体組成物を温度160℃、30分間のプレスによって成形、架橋し、縦15cm、横15cm、厚さ2mmのシート状の架橋物を得た。そして、得られたシート状の架橋物を、縦2cm、横2cmに切断し、次いで、市販のプリンターの感光体に貼り付け固定し、温度40℃、湿度95%雰囲気下で14日間保管後、次いで温度23℃、湿度50%の雰囲気下で24時間保管した。その後、感光体からシート状の架橋物を剥し、プリンターにてハーフトーン印字をして、印刷物の汚れ有無を目視にて確認し、以下の三段階の基準にて評価した。
1点:著しく画像欠陥を生じる。実用できないレベル。
2点:よく見ると若干画像欠陥がみられる。実用可能なレベル。
3点:画像欠陥は見られない。実用できるレベル。
[実施例1]
(触媒溶液の調製)
密栓した耐圧ガラスボトルを窒素置換して、トルエン184.8部およびトリイソブチルアルミニウム55.2部を仕込み、ガラスボトルを氷水に浸漬することにより冷却させた後、ジエチルエーテル103.1部をガラスボトルに添加し、攪拌した。次いで、ガラスボトルに、氷水で冷却を継続しながら、リン酸8.18部を添加し、さらに攪拌した。この際、トリイソブチルアルミニウムとリン酸との反応により、ガラスボトルの内圧が上昇するので、適時脱圧を実施した。次いで、ガラスボトルに1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7のギ酸塩8.27部を添加し、最後に、60℃の温水浴内で1時間熟成反応させることにより触媒溶液を得た。
(ポリエーテル重合体の製造)
オートクレーブに、エピクロロヒドリン212.4部、アリルグリシジルエーテル26.2部、エチレンオキサイド18.4部、およびトルエン2053.8部を入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら内溶液を70℃に昇温し、上記にて調製した触媒溶液を10部添加して、反応を開始した。次いで、反応開始直後から、エチレンオキサイド123.0部をトルエン287.0部に溶解した溶液を、5時間かけて等速度で連続添加した。同時に、上記にて調製した触媒溶液を、30分毎に7部ずつ、5時間にわたり添加した。そして、反応系に水15部を添加し、攪拌することにより反応を終了させ、更に老化防止剤としての4,4’−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)5重量%トルエン溶液を38部添加し攪拌した。次いで、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のNa塩(デモールT45、花王社製;有効成分45%)を25.3部添加し攪拌後、スチームストリッピングを実施し、その後、スラリーからポリエーテル重合体をろ別して得、60℃で15時間真空乾燥し、361.0部のポリエーテル重合体を得た。得られたポリエーテル重合体のムーニー粘度は45であった。また、H−NMR分析の結果、エチレンオキサイド単位56モル%、エピクロロヒドリン単位40モル%、アリルグリシジルエーテル単位4モル%を含有するものであることが確認できた。
(ポリエーテル重合体組成物、および架橋物の製造)
バンバリーミキサーに、上記にて得られたポリエーテル重合体100部、充填剤としてカーボンブラック(シーストSO、東海カーボン社製)10部、受酸剤としての亜鉛華1号(ZnO#1、正同化学社製)5部、架橋助剤としてのステアリン酸0.5部を投入し、50℃で5分間混練後、バンバリーミキサーからポリエーテル重合体組成物を排出させた。次いで、50℃のオープンロールに、このポリエーテル重合体組成物と、架橋剤としての硫黄(サルファックスPMC、鶴見化学工業社製)0.5部、架橋剤としてのモルホリンジスルフィド(バルノックR、大内新興化学工業社製)1部、架橋促進剤としてのテトラエチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTET、大内新興化学工業社製)1部、およびジベンゾチアジルジスルフィド(ノクセラーDM、大内新興化学工業社製)1.5部とを投入し、混練後、シート状のポリエーテル重合体組成物を取出した。このポリエーテル重合体組成物を、160℃で30分間プレス架橋して試験片を作製し、この試験片について、体積固有抵抗値(23℃、50%RH)、および感光体汚染による画像評価を行った。表1にその結果を示す。
Figure 0005493554
[実施例2]
添加するβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のNa塩(デモールT45、花王社製)を42.2部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリエーテル重合体357部を得た。得られたポリエーテル重合体のムーニー粘度は47であった。上記ポリエーテル重合体を用い、実施例1と同様に、ポリエーテル重合体組成物、および架橋物を得た。各種の測定結果を表1に示す。
[実施例3]
添加する陰イオン性界面活性剤を、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のNa塩(デモールT45、花王社製)の代わりに、デシル硫酸ナトリウム(エマール3F、花王社製;有効成分31%)98.1部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリエーテル重合体305部を得た。得られたポリエーテル重合体のムーニー粘度は48であった。上記ポリエーテル重合体を用い、実施例1と同様に、ポリエーテル重合体組成物、および架橋物を得た。各種の測定結果を表1に示す。
[実施例4]
添加する陰イオン性界面活性剤を、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のNa塩(デモールT45、花王社製)の代わりに、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤(デモールEP、花王社製;有効成分24%)190.0部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリエーテル重合体330部を得た。得られたポリエーテル重合体のムーニー粘度は47であった。上記ポリエーテル重合体を用い、実施例1と同様に、ポリエーテル重合体組成物、および架橋物を得た。各種の測定結果を表1に表す。
[実施例5]
オートクレープに添加するエピクロロヒドリンを196.9部、アリルグリシジルエーテルを27.0部、エチレンオキサイドを20.3部、およびトルエンを1947.3部とし、反応開始直後から添加するエチレンオキサイドを135.8部、トルエンを316.9部とした以外は、実施例2と同様の操作を行い、ポリエーテル重合体355部を得た。得られたポリエーテル重合体のムーニー粘度は46であった。上記ポリエーテル重合体を用い、実施例1と同様に、ポリエーテル重合体組成物、および架橋物を得た。各種の測定結果を表1に示す。
[実施例6]
オートクレーブに添加するエピクロロヒドリンを153.8部、アリルグリシジルエーテルを29.2部、エチレンオキサイドを25.6部、およびトルエンを1652.1部とし、反応開始直後から添加するエチレンオキサイドを171.4部、トルエンを399.9部とした以外は、実施例2と同様の操作を行い、ポリエーテル重合体356部を得た。得られたポリエーテル重合体のムーニー粘度は45であった。上記ポリエーテル重合体を用い、実施例1と同様に、ポリエーテル重合体組成物、および架橋物を得た。各種の測定結果を表1に示す。
[比較例1]
オートクレーブに添加するエピクロロヒドリンを272.1部、アリルグリシジルエーテルを23.2部、エチレンオキサイドを11.0部、およびトルエンを2462.3部とし、反応開始直後から添加するエチレンオキサイドを73.8部、トルエンを172.1部とし、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のNa塩(デモールT45、花王社製)を添加しない以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリエーテル重合体360部を得た。得られたポリエーテル重合体のムーニー粘度は48であった。上記ポリエーテル重合体を用い、実施例1と同様に、ポリエーテル重合体組成物、および架橋物を得た。各種の測定結果を表1に示す。
[比較例2]
β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のNa塩(デモールT45、花王社製)を添加しない以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリエーテル重合体358部を得た。得られたポリエーテル重合体のムーニー粘度は45であった。上記ポリエーテル重合体を用い、実施例1と同様に、ポリエーテル重合体組成物、および架橋物を得た。各種の測定結果を表1に示す。
[比較例3]
β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のNa塩(デモールT45、花王社製)の代わりに、硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製)19.0部を添加した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリエーテル重合体356部を得た。得られたポリエーテル重合体のムーニー粘度は46であった。上記ポリエーテル重合体を用い、実施例1と同様に、ポリエーテル重合体組成物、および架橋物を得た。各種の測定結果を表1に示す。
[比較例4]
β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のNa塩(デモールT45、花王社製)を添加しない以外は、実施例6と同様の操作を行い、ポリエーテル重合体350部を得た。得られたポリエーテル重合体のムーニー粘度は47であった。上記ポリエーテル重合体を用い、実施例1と同様に、ポリエーテル重合体組成物、および架橋物を得た。各種の測定結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明に基づいて製造されたポリエーテル重合体を用いた架橋物(実施例1〜6)は、エチレンオキサイド単位50〜80モル%を含有した場合において、低電気抵抗性に優れ、感光体汚染を引き起こさないため、導電性ロールの用途に適していた。そのなかでも、ポリエーテル重合体の溶液と、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のNa塩とを混合して製造されたポリエーテル重合体を用いた架橋物(実施例1、2、5、6)は、その他の陰イオン性界面活性剤を混合して製造されたポリエーテル重合体を用いた架橋物(実施例3、4)に比べ、少量の添加で、非汚染性に特に優れていた。
また、表1に示すように、本発明に基づかずに製造されたポリエーテル重合体を用いた架橋物(比較例1〜4)は、低電気抵抗性または非汚染性に劣っており、導電性ロールの用途には適していなかった。エチレンオキサイド単位が50%未満のポリエーテル重合体を用いた架橋物(比較例1)は、低電気抵抗性に劣っていた。ポリエーテル重合体の溶液と、陰イオン性界面活性剤とを混合せずに製造されたポリエーテル重合体を用いた架橋物(比較例2、4)、およびポリエーテル重合体の溶液と、陰イオン性界面活性剤の代わりに、無機塩を混合して製造されたポリエーテル重合体を用いた架橋物(比較例3)は、非汚染性に劣っていた。

Claims (7)

  1. (1)溶液重合反応により、少なくともエチレンオキサイド単位(a)50〜80モル%を含有する、ポリエーテル重合体の溶液を得る工程、
    (2)前記ポリエーテル重合体の溶液と、陰イオン性界面活性剤とを混合する工程、
    (3)スチームストリッピングにより、前記ポリエーテル重合体の溶液から、前記ポリエーテル重合体を凝固する工程、
    (4)凝固された前記ポリエーテル重合体を含むスラリーから、液体成分をろ別し、得られる前記ポリエーテル重合体を乾燥させる工程、
    を含有する前記ポリエーテル重合体の製造方法。
  2. 前記陰イオン性界面活性剤が、有機基を有する硫酸の塩、有機基を有するスルホン酸の塩、または高分子界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のポリエーテル重合体の製造方法。
  3. 前記ポリエーテル重合体100重量部に対し、前記陰イオン性界面活性剤を0.5〜20重量部添加する請求項1または2に記載のポリエーテル重合体の製造方法。
  4. 前記ポリエーテル重合体が、更に、エピハロヒドリン単位(b)49〜19モル%、および/または不飽和オキサイド単位(d)15〜1モル%を含有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリエーテル重合体の製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法により製造されたポリエーテル重合体と、架橋剤とを含有するポリエーテル重合体組成物。
  6. 請求項5記載のポリエーテル重合体組成物を架橋してなる架橋物。
  7. 請求項6記載の架橋物を用いてなる導電性ロール。
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