JP4123656B2 - ロール用ゴム組成物およびそれよりなるゴムロール - Google Patents

ロール用ゴム組成物およびそれよりなるゴムロール Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なロール用ゴム組成物、ロール用架橋性ゴム組成物およびそれを架橋してなるゴムロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−146345号公報には、エピハロヒドリン共重合体ゴム、不飽和ゴムおよび液状不飽和ゴムを必須成分とするゴム組成物が、帯電ロールの材料として適していることが開示されており、その効果として、このゴム組成物がロール材料として、表面摩擦係数が低く、低硬度であることが挙げられている。しかし、液状不飽和ゴムが5重量%より少ないと硬度が高くなり、ドラムとの接触性が悪くなる旨記載されている。
【0003】
特開平10−60179号公報には、ゴム成分、架橋剤およびポリエチレングリコール型界面活性剤を含有する自己潤滑ゴム組成物を防振ゴムに用いることが開示されており、その効果として、摩擦抵抗が低いことが挙げられている。しかし、低分子量のポリエーテルがブルームして摩擦抵抗を低減させてはいるが、摩耗の進行により表面にブルームしたポリエーテルが除かれるため、持続性に問題がある。また、用いるポリエーテルは低分子量(分子量はオキシエチレン基の重合度で5〜20であり、分子量900以下、ムーニー粘度では測定下限以下である。)であり、架橋サイトを持っていないため、架橋物の強度が劣る。
【0004】
再公表WO97−39055号公報には、ジエン系ゴム100重量部に対して、ポリエーテル系重合体0.1〜25重量部を含有するゴム組成物をタイヤに用いることが開示され、その効果として、低発熱性、引張強度、加工性に優れ、帯電防止性能も付与できることが挙げられている。しかし、摩擦抵抗が小さいとは記載されておらず、ポリエーテルを多量に配合しないと、摩擦抵抗は小さくならないのが実情である。
【0005】
特開平8−292640号公報には、アルキレンオキサイド28〜79モル%、エピハロヒドリン28〜70モル%、及びエチレン性不飽和エポキシド2〜15モル%を共重合して得られる重合体(a)25〜95重量%と、不飽和ゴム(b)5〜75重量%とを含有するゴム成分100重量部および硫黄系架橋剤または過酸化物から成る架橋剤(c)を0.1〜5重量部含有するゴムロール用ゴム組成物が開示されており、その効果として、感光体汚染がなく、低電気抵抗で、抵抗の環境依存性が小さく、かつ低硬度のロールが得られることが挙げられている。しかし、摩擦抵抗に関する開示はない。
【0006】
特開平4−372651号公報や特開平8−20715号公報には、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合ゴムの架橋物である水膨潤性ゴムが開示されているが、摩耗抵抗や電気抵抗については記載されておらず、ロールとして用いることも記載されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、表面摩擦抵抗と、体積固有抵抗を小さい範囲まで調整可能であり、また吸水性、水膨潤性をもち、かつその表面における水接触角が低い特性を有する新規なロール用ゴム組成物、ロール用架橋性ゴム組成物およびそれを架橋してなるゴムロールを提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、エチレンオキサイド単位70〜99モル%およびそれ以外の共重合可能なオキシラン化合物単位1〜30モル%を含有し、かつ反応性官能基を有するオキシラン化合物単位が15モル%以下であり、ムーニー粘度20〜200のポリエーテル系重合体(A)2〜100重量%およびエチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム(B)98〜0重量%を含有することを特徴とするロール用ゴム組成物に関する。
【0009】
本発明の第2は、請求項1記載のロール用ゴム組成物と架橋剤とを含有することを特徴とするロール用架橋性ゴム組成物に関する。
【0010】
本発明の第3は、請求項2記載のロール用架橋性ゴム組成物の架橋物よりなるゴム層を含有することを特徴とするゴムロールに関する。
【0011】
本発明で用いるポリエーテル系重合体(A)は、オキシラン化合物の開環重合体であり、全単量体単位中、エチレンオキサイド単位70〜99モル%、好ましくは75〜97モル%、とくに好ましくは80〜95モル%、およびそれ以外のオキシラン化合物単位1〜30モル%、好ましくは3〜25モル%、とくに好ましくは5〜20モル%を含有する共重合体である。
【0012】
エチレンオキサイド以外のオキシラン化合物は、エピハロヒドリン類、不飽和エポキサイド類などの反応性官能基を有するオキシラン単量体;アルキレンオキサイド類;などが挙げられる。これらは1種類でも2種類以上を併用してもよい。好ましくは反応性官能基を有するオキシラン単量体を含有する。本発明において、反応性官能基とは、ハロゲン原子または炭素−炭素不飽和結合を有する基のことであり、反応性官能基を有するオキシラン単量体としてはエピハロヒドリン類、不飽和エポキサイド類などが挙げられる。反応性官能基を有するオキシラン単量体を含有させると、得られたポリエーテル系重合体の架橋、もしくは不飽和ゴムとポリエーテル系重合体との共架橋により、架橋ゴム組成物の強度物性を向上させることができる。
【0013】
ポリエーテル系重合体(A)は、全単量体単位中、反応性官能基を有するオキシラン化合物単位が15モル%以下、好ましくは1〜13モル%、より好ましくは2〜11モル%である。反応性官能基を有する単量体が少なすぎるとポリエーテル系重合体の架橋ができず、得られた架橋物の強度物性が低くなる。反応性官能基を有する単量体が多すぎると架橋物の硬度が高くなりすぎて、伸びが低下する。
【0014】
エピハロヒドリン類の例としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、エピフルオロヒドリンなどが挙げられ、これらのなかでもエピクロロヒドリンが好ましい。エピハロヒドリン類は、2種以上を併用してもよい。
【0015】
不飽和エポキサイド類は、分子内に少なくとも一つの炭素−炭素不飽和結合と少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物であり、例えば、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテルなどのアルケニルグリシジルエーテル類;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセンなどのアルケニルエポキサイド類;スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテルなどのアリールエポキサイド類などが挙げられる。これらの中でも、アルケニルグリシジルエーテルが好ましく、アリルグリシジルエーテルが特に好ましい。不飽和エポキサイド類は、2種以上を併用してもよい。
【0016】
アルキレンオキサイド類としては、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシイソブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカンなどが挙げられる。これらの中でも、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、イソブチレンオキサイド等の低級アルキレンオキサイドが好ましく、重合反応性に優れるプロピレンオキサイドが特に好ましい。アルキレンオキサイド類は、2種以上を併用してもよい。
【0017】
その他のオキシラン化合物としては、例えば、シクロヘキセンオキサイド、ビニルシクロヘキセンオキサイド等の環式脂肪族エポキサイド類;メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のグリシジルエステル類;p−クロロスチレンオキサイド、ジブロモフェニルグリシジルエーテルのようなハロゲン置換オキシラン化合物が挙げられる。また、ブタジエンジオキサイド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイドなどの重合体に分岐構造を導入させるジエポキシ化合物などを共重合させてもよい。
【0018】
エチレンオキサイド単位が多すぎ、それ以外のオキシラン化合物単位量が少なすぎるとオキシエチレン鎖の結晶化を招き、組成物の電気抵抗低減効果が損なわれ、組成物の硬度が上昇しゴム弾性を損なう。エチレンオキサイド成分量が少なすぎると組成物の表面摩擦抵抗の低減効果と電気抵抗の低減効果が損なわれる。また、エチレンオキサイド単位量が少なすぎ、それ以外のオキシラン化合物単位量が多すぎると、ポリエーテル系重合体の性状がゴム状となるため、溶媒スラリー重合法によるこの重合体の製造において重合体を溶媒と分離する工程でクラム互着などの問題を生じたり、保存時に重合体粒子が固着するなどの問題を生じる。分子量の大きいオキシラン化合物単位の含有量が多いほど、クラム互着の問題は起こりやすく、分子量90以上のオキシラン化合物単位の含有量は、15モル%以下にすることが好ましい。
【0019】
ポリエーテル系重合体(A)は、エチレンオキサイド単位70〜99モル%およびそれ以外の共重合可能なオキシラン化合物単位1〜30モル%を含有し、かつ反応性官能基を有するオキシラン化合物単位が15モル%以下である共重合体であり、好ましくは、エチレンオキサイド単位75〜97モル%、プロピレンオキサイド単位0〜24モル%、反応性官能基を有するオキシラン化合物単位1〜13モル%からなる共重合体であり、特に好ましくは、エチレンオキサイド単位80〜95モル%、プロピレンオキサイド単位0〜18モル%、不飽和エポキシド単位2〜11モル%からなる共重合体である。
【0020】
ポリエーテル系重合体(A)のムーニー粘度は、20〜200、好ましくは30〜170、より好ましくは40〜150である。ムーニー粘度は高すぎると成形加工性が悪く、特にスウェルが大きくなり、寸法安定性が低下する。ムーニー粘度が低すぎると、架橋物の機械的強度が低下する。
【0021】
ポリエーテル系重合体(A)はブロック共重合、ランダム共重合何れの共重合タイプでも良いがランダム共重合体の方がよりポリエチレンオキシドの結晶性を低下させる効果が大きいので好ましい。
【0022】
ポリエーテル系重合体(A)は、溶液重合法または溶媒スラリー重合法などにより、所定のオキシラン化合物を開環重合することにより得ることができる。重合触媒としては、一般のポリエーテル重合用触媒であれば、特に限定されない。例えば、有機アルミニウムに水とアセチルアセトンを反応させた触媒(特公昭35−15797号公報)、トリイソブチルアルミニウムにリン酸とトリエチルアミンを反応させた触媒(特公昭46−27534号公報)、トリイソブチルアルミニウムにジアザビアシクロウンデセンの有機酸塩とリン酸を反応させた触媒(特公昭56−51171号公報)、アルミニウムアルコキサイドの部分加水分解物と有機亜鉛化合物とからなる触媒(特公昭43−2945号公報)、有機亜鉛化合物と多価アルコールからなる触媒(特公昭45−7751号公報)、ジアルキル亜鉛と水からなる触媒(特公昭36−3394号公報)などが挙げられる。
【0023】
重合方法は、特に限定されず、溶液重合法、溶媒スラリー法などが用いられる。重合溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−へキサンなどの直鎖状飽和炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;などが用いられる。好ましくは、貧溶媒を使用して、溶媒スラリー法で重合する。この場合、ポリエーテル系重合体(A)は水溶性を有するため、溶媒とポリマーの分離工程を効率よく行うことができる。例えば、n−ペンタン、n−へキサン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどは、エチレンオキサイドの開環重合体を溶解しないが、プロピレンオキサイドの開環重合体は溶解するというように、用いる単量体の種類、量比によって、得られるポリエーテル系重合体(A)の特性が異なるので、目的とするポリエーテル系重合体(A)の特性に応じて、貧溶媒を選択する。溶媒スラリー重合法は、重合は、貧溶媒中にて触媒成分と少量のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを混合し、0〜100℃、好ましくは30〜50℃の温度で10〜30分反応させることにより、反応器壁面などへの付着性の少ない触媒粒子を形成してから、単量体を加えて重合させる。
【0024】
重合反応は、0〜100℃、好ましくは30〜70℃で、回分式、半回分式、連続式などの任意の方法で行うことができる。
【0025】
エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム(B)は、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどのα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどの共役ジエン系単量体との共重合ゴム、上記2種の単量体およびこれらと共重合可能な単量体との共重合体ゴム、これらの共重合ゴムの部分水素添加物が挙げられる。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体および共役ジエン系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、メトキシメチルアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、エトキシアクリレート、エトキシメタクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステル;シアノメチルアクリレート、シアノメチルメタクリレート、1−シアノエチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、1−シアノエチルメタクリレート、2−シアノエチルメタクリレート、1−シアノプロピルアクリレート、1−シアノプロピルメタクリレートなどのアクリル酸シアノ置換アルキルエステルまたはメタクリル酸シアノ置換アルキルエステル;マレイン酸モノエチル、フマル酸モノブチルなどのブテンジオン酸モノエステル;などが挙げられる。これらの単量体は、各種類、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム(B)としては、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位が15〜60重量%のものが好ましく、20〜50重量%のものが特に好ましい。また、エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム(B)としては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体、これらの共重合体の部分水素添加物が好ましい。エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム(B)は、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0027】
本発明のロール用ゴム組成物中におけるポリエーテル系重合体(A)の使用量は、ゴム成分を基準にして2〜100重量%、好ましくは5〜95重量%、より好ましくは10〜75重量%、エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム(B)の使用量は、ゴム成分を基準にして0〜98重量%、好ましくは5〜95重量%、より好ましくは25〜90重量%である。
前者が少な過ぎ、後者が多すぎると架橋物の表面摩擦抵抗の低減効果および電気抵抗の低減効果が十分でない。前者が多く、後者が少ないほど、架橋物の表面摩擦抵抗と電気抵抗は低減する。ただし、架橋物が水分吸収により膨張しやすくなり、耐水性が必要とされる用途においては寸法安定性に問題を生じるので、前者が多すぎず、後者が少なすぎないものが好ましい。なお、「ゴム成分」とは、ポリエーテル系重合体(A)、エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体(B)および後述のようにゴム(A)、ゴム(B)以外のゴムであって本発明のゴム組成物に任意に配合されるゴムの総体をいう。
【0028】
架橋剤は、特に限定されず、硫黄架橋剤、有機過酸化物架橋剤、メルカプトトリアジン系架橋剤、チオウレア系架橋剤などを挙げることができる。硫黄架橋剤としては、硫黄のほか、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィドなどの含硫黄化合物を挙げることができる。有機過酸化物架橋剤としては、例えばシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;第三ブチルパーオキシイソブチレート、第三ブチルパーオキシベンゾエートなどのパーオキシエステル類;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイド、ジ第三ブチルパーオキサイド、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのアルキルパーオキサイド類などが挙げられる。チオウレア系架橋剤としては、チオウレア、ジブチルチオウレア、トリエチルチオウレアなどを挙げることができる。メルカプトトリアジン系架橋剤としては、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−エチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどを挙げることができる。ゴム成分中のハロゲン基に反応させて架橋する場合は、メルカプトトリアジン系架橋剤やチオウレア系架橋剤などが使用される。電気抵抗の低い架橋物を得る場合は、架橋剤として硫黄架橋剤を用いることが好ましい。圧縮永久歪みの小さい架橋物を得る場合は、架橋剤として有機過酸化物架橋剤を用いることが好ましい。ゴム成分100重量部に対し、架橋剤の配合量は0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜7重量部、より好ましくは0.3〜5重量部である。
【0029】
本発明においては、必要により、架橋促進剤や架橋助剤を配合してもよい。架橋促進剤、架橋助剤は、特に限定されず、架橋剤に応じて適宜選択して使用できる。有機過酸化物以外の架橋剤、例えば硫黄架橋剤、メルカプトトリアジン系架橋剤、チオウレア系架橋剤などを使用する場合には、架橋促進剤としては特に限定されないが、例えばチウラム系促進剤、チアゾール系促進剤、スルフェンアミド系促進剤などが挙げられる。チウラム系促進剤としてはテトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドなどが挙げられる。チアゾール系促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィドなどが挙げられる。スルフェンアミド系促進剤としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどが挙げられる。これらの架橋促進剤は2種以上を組み合わせて使用してもよい。架橋促進剤の使用量はゴム成分100重量部に対し15重量部以下、好ましくは12重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。架橋助剤としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの金属酸化物;水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛などの金属炭酸塩;ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩などが挙げられる。また、有機過酸化物を使用した場合には、架橋助剤として分子内に少なくとも2つの架橋性の不飽和結合を有する化合物を使用できる。具体例としては、エチレンジメタクリレート、ジアリルフタレート、N,N−m−フェニレンジマレイミド、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、液状ビニルポリブタジエンなどが挙げられる。これら架橋助剤を2種類以上組み合わせて使用することもできる。架橋助剤の使用量はゴム成分100重量部に対し20重量部以下、好ましくは15重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。架橋促進剤としては特に限定されず、例えばチウラム系促進剤、チアゾール系促進剤、スルフェンアミド系促進剤などが挙げられる。これらの架橋促進剤は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
本発明においては、組成物の電気抵抗を所望のレベルに調整するためにアルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩を含有させても良い。ポリエーテル系重合体(A)はイオン伝導性高分子でもあり、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を導入すると電気抵抗が大幅に低下する性質を有する。
【0031】
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、本発明のポリエーテル系重合体又はその架橋物に可溶であれば特に限定されない。例えば、アルキルスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ素酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、AsF 、PF 、CFSO 、N(CFSO 、CFCO などから選ばれた陰イオンと、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Ba等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の陽イオンとからなる塩が挙げられる。これらアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩は2種以上併用しても良い。
【0032】
アルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩の配合量はポリエーテル系重合体100重量部に対し0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部の範囲である。アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が少なすぎると組成物の電気抵抗変化が不十分であり、多すぎるとポリエーテル系重合体(A)中に溶融しきらず組成物の表面にブルームしたり、機械的強度が低下する。
【0033】
本発明では上記配合剤の他に、必要に応じて他の補強剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、難燃剤、老化防止剤、発泡剤、シランカップリング剤、安定剤及び活性剤などの如き通常の配合剤も適宜加えることができる。
【0034】
電気抵抗を低くするために界面活性剤等の帯電防止剤をポリエーテル系重合体(A)と併用する場合、界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が特に電気抵抗低減効果に優れるため好ましい。活性剤、発泡剤などのような通常の配合剤も適宜加えることができる。
界面活性剤の添加量は、ゴム成分100重量部に対して5重量部以下が好ましく、4重量部以下がより好ましい。界面活性剤を多く添加すると強度物性が低下したり、架橋物表面にブリードアウトしたりする場合がある。
【0035】
補強剤は、特に限定されないが、ポリエーテル系重合体(A)による電気抵抗低減効果を生かす点で、無機酸化物である明色配合系補強剤が好ましい。そのような補強剤としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、チタン、マグネシウムの酸化物などが挙げられる。なかでも、ポリエーテル系重合体(A)との親和性が高く、ゴム組成物の機械的強度が高くなるケイ素の酸化物であるシリカが好ましい。シリカのなかでもBET吸着表面積の値が100〜200m/gのシリカが組成物の加工性と架橋物の強度物性に優れた組成物が得られるため特に好ましい。pH値が高すぎると架橋速度が早くなり過ぎて、スコーチが生じやすい。pH値が低すぎると架橋物の電気抵抗が十分に小さくならない。具体的には、pH値が8〜12の範囲であるシリカが好ましく、より好ましくは9〜11の範囲が良い。シリカのpHが高すぎると加硫反応が早くなり過ぎて、スコーチ傾向となり好ましくない。無機酸化物の使用量は、ゴム成分100重量部に対して、好ましくは5〜200重量部、より好ましくは10〜150重量部、特に好ましくは20〜100重量部である。無機酸化物の量が少なすぎると架橋物の強度物性が低く、スウェルが大きいために押し出し成形加工性に劣り、無機酸化物の量が多すぎると、架橋物の硬度が上昇しゴム弾性を損なう。無機酸化物は2種以上併用してもよく、さらにシランカップリング剤を併用してもよい。
【0036】
また、本発明の組成物には、前記(A)、(B)以外のゴム、熱可塑性エラストマー、あるいは樹脂成分を加えても良い。前記(A)、(B)以外のゴム、熱可塑性エラストマー、あるいは樹脂成分の配合量によって、本発明のゴム組成物の架橋物の電気抵抗および表面摩擦抵抗の大きさが調整可能である。
【0037】
本発明の組成物は所望の方法により調合、混練することができる。例えば、ニーダー、バンバリー、オープンロール、カレンダーロール、押出機など任意の混練成形機を一つあるいは複数組み合わせて混練成形してもよいし、溶媒に溶解してから混合した後、溶媒を除去することによって成形してもよい。
【0038】
架橋は、成形と架橋を同時に行っても、成形後に架橋してもよい。本発明のゴム組成物は、加熱することにより架橋しうるものであるが、その際の加熱温度は、好ましくは130〜200℃、より好ましくは140〜200℃である。架橋温度が低すぎると架橋時間が長時間必要となったり、架橋密度が低くなる場合がある。架橋温度が高すぎる場合は、架橋速度が速く、成形不良を起こす場合がある。架橋時間は、架橋方法、架橋温度、形状などにより異なるが、1分以上、5時間以下の範囲が架橋密度と生産効率の面から好ましい。加熱方法としては、プレス加熱、オーブン加熱、蒸気加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。
【0039】
本発明のロールは、軸体の周囲に本発明の架橋性ゴム組成物の架橋物を有するゴム層が形成されている構造を有する。軸体は、剛性を有する限り、特に限定されず、好ましくは導電性を有する金属製の中実体あるいは中空体の真円柱状のものである。ゴム層は単層構造であっても多層構造であってもよく、その内、少なくとも一層が、本発明のゴム組成物の架橋物からなるものであればよい。
【0040】
ロールの最外層(その上に保護層を形成した場合も含む)に本発明のゴム組成物の架橋物を用いると、動摩擦係数で0.1〜1.5、好ましくは0.2〜1.4、より好ましくは0.3〜1.3の表面摩擦抵抗を有するゴムロールを得ることができる。最外層の表面摩擦係数が小さすぎるとこのロールとの接触物との間で滑りが生じやすく、例えば、OA機器用ロールの場合であれば、紙を搬送したり、他のロールへ回転を正確に伝達するといったロールの機械的機能を損なうことがある。最外層の表面摩擦係数が大きすぎると、例えば、OA機器用の帯電ロールなどにおいては、粘着性から感光体ドラムを汚染し易くなったり、トナーによりカブリといわれる現象が発生し易くなり、例えば、混紡用紡績ロールにおいては、ロール表面が偏摩耗を起こしやすくなる。
【0041】
また、本発明のゴム組成物の架橋物を用いたゴム層は、体積固有抵抗値で10〜1011Ω・cm、好ましくは105.5〜1010Ω・cm、より好ましくは10〜10Ω・cmの電気抵抗値を有し、OA機器用の帯電ロールのような、いわゆる半導電性のゴムロールを得ることができる。例えば、帯電ロールの場合、体積固有抵抗が小さすぎると帯電がリークしてしまい、大きすぎると帯電が高くなりすぎ、複写または印刷される画像が不鮮明になることがあり、混紡用紡績ロールにおいては、体積固有抵抗が大きすぎると、糸との摩擦による帯電から糸がロールに異常に巻きつきやすくなったり、糸くずがロール表面に付着しやすくなり、安定した作業ができなくなる場合がある。
【0042】
本発明のロールが多層構造の場合、目的に応じたロールの機能に応じて、他の層の材料を選択すればよい。例えば、本発明の半導電性ゴム層と軸体との間に導電性基層を有してもよい。導電性基層としては特に限定されないが、導電性弾性体が好ましい。例えば、本発明のゴム組成物の架橋物を用いてもよいし、ゴムに導電性付与剤を配合したものの架橋物を用いてもよく、また、発泡させたものであってもよい。ゴムを用いる場合は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリブタジエンゴムなどを単独でもしくは混合して用いることが好ましい。導電性付与剤としてはアセチレンブラックなどのカーボンブラック、導電性酸化スズ、導電性酸化亜鉛などの導電性金属化合物、界面活性剤などが挙げられる。
【0043】
本発明のロールが多層構造の場合、最外層に保護層を有してもよい。保護層は、ロール表面の摩耗を防止するためや、感光体と接触するOAロールから可塑剤のブリードや架橋剤のブルームなどによって、感光体表面が汚染されるのを防止するために用いられる。保護層には、樹脂層またはゴム層が用いられ、半導電性を有する樹脂層またはゴム層が好ましい。保護層を構成する樹脂としては、特に限定されず、一般の半導電性ゴムロールにおいて保護層として用いられる樹脂、例えば、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。保護層に樹脂層を用いた場合の層厚は耐久性において実用に耐えうるために好ましくは5〜200μm、より好ましくは7〜150μm、さらに好ましくは10〜100μmの範囲である。層厚が小さすぎると摩耗に対する耐久性が低下し、大きすぎると被膜にクラックが入りやすくなる。
【0044】
また、発明の架橋物をロール表層に用いた場合、摩擦抵抗を低減するために更に表面処理を行っても良い。表面処理としては、研磨、紫外線照射、オゾン暴露、反応性シリコーン化合物の塗布、反応性フッ素化合物の塗布などが挙げられる。このような表面処理を行うことにより、更に表面摩擦係数を減少させることが可能であり、OAロール表面の粘着による感光体汚染や、紡績ロールの偏摩耗などの不具合を防止できる。
【0045】
また、本発明のゴム組成物の架橋物は、親水性を付与することも可能であり、その低い水接触角の特性を生かして、連続給水式オフセット印刷機の給水ロールとしても好適に使用できる。本発明のゴム組成物の架橋物は、水接触角で5°〜100°、好ましくは10°〜80°、より好ましくは20°〜60°であり、連続給水式オフセット印刷機の給水ロールとして適度の保水性を有する。水接触角が低すぎるとゴムロール表面の保水量が多すぎて、給水量の細かい調整が困難となり、また吸水によって膨潤し易くなるため寸法安定性が損なわれる場合があり、水接触角が高すぎるとロール表面の保水量が少なく、充分な給水量が得られない。
【0046】
ロールの成形方法は、特に限定されないが、例えば、1軸や多軸の押出機を使用して軸体と同時に本発明のゴム組成物を押出成形して、軸体の外側に半導電性ゴム層を形成する方法や射出成形機、押出ブロー成形機、トランスファー成形機、プレス成形機などを使用して金型で成形する方法などが挙げられる。その中でも、押出成形機を用いて成形を行う方法が好ましい。
【0047】
本発明のロールはプリンターや複写機、FAXのようなOA機器用、グラビア印刷用などの給水ロール、紡績用ロールなどの材料として好適に使用できる。特に、電子写真方式のOA機器部品として使用されるロールに好適である。OA機器部品として使用されるロールとしては、感光体周辺のロールで具体的には、例えば、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、中間転写材として特に好適である。
【0048】
【実施例】
以下に、製造例、実施例、比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、製造例、実施例、比較例において、「部」はいずれも「重量基準」である。
(1)ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS K6300に準じて測定した。
(2)引張試験は、JIS K6251に従った。
(3)体積固有抵抗は、JIS K6911に従って測定した。
(4)動摩擦係数は、ASTM D1894に準じ、SUS製ボール圧子を用いて測定した。測定条件は、荷重100g、100mm/minとし、測定装置として新東科学社製表面測定機HEIDON−14Dを用いて測定した。
(5)反発弾性は、JIS K6255に準じて測定した。
(6)硬さは、JIS K6253に準じて測定した。
(7)水膨潤度は、JIS K6258に準じて測定した。
(8)水接触角は、「新実験化学講座」(日本化学会編、昭和52年10月20日、丸善株式会社発行)第18巻、第97頁の記載に準じて、協和界面科学社製、静的接触角測定機CA−Aを用いて測定した。
【0049】
製造例1(ポリエーテル系重合体No.1の製造)
(触媒溶液の調整)
内容量3リットルの攪拌機付きオートクレーブを乾燥して窒素置換し、トリイソブチルアルミニウム158.7g、トルエン1170g、及びジエチルエーテル296.4gを仕込んだ。内温を30℃に設定し、攪拌しながら正リン酸23.5gを徐々に添加した。これにトリエチルアミン12.1gを添加し60℃で2時間熟成反応し、触媒溶液を得た。
【0050】
内容量5リットルの攪拌機付きオートクレーブを乾燥して窒素置換し、n−ヘキサン2100gと前記で調整した触媒溶液73.1gを仕込んだ。内温を30℃に設定して、攪拌しながら、エチレンオキサイドを4g加えて反応させ、次いで、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=50/50重量%の混合単量体を8.5g加えて反応させ、シードを形成した。
【0051】
(重合体の調整)
上記の処理を行ったシードを含有する触媒分散溶液の内温を60℃に設定して、エチレンオキサイド347g(90.6モル%)、プロピレンオキサイド16.4g(3.3モル%)、アリルグリシジルエーテル59.8g(6.1モル%)、ノルマルヘキサン300gからなる混合溶液を5時間かけて連続的に添加した。添加終了後、2時間反応を行った。重合反応率は98%であった。得られた重合体はきれいなスラリー状態であり、オートクレーブ内壁及び攪拌翼は非常にきれいであった。得られたスラリーに老化防止剤として4,4′−チオビス(6−ターシャリーブチルクレゾール)の5%のトルエン溶液42.4gを添加攪拌した。粉体状の重合体を金網でろ過し、40℃で真空乾燥した。きれいな粉体状の重合体サンプルを得た。
【0052】
このようにして得られたポリエーテル系重合体No.1の組成(各単量体単位の含有量)は、エチレンオキサイド単位90.0モル%、プロピレンオキサイド単位4.0モル%、アリルグリシジルエーテル単位6.0モル%であった。また、この重合体のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、105.2であった。
【0053】
製造例2(ポリエーテル系重合体No.2の製造)
重合体の調整工程において、添加する単量体をエチレンオキシサイド94.4g(38モル%)、エピクロロヒドリン303g(58モル%)、アリルグリシジルエーテル25.7g(4モル%)に変えたこと以外は、製造例1と同様にして共重合を行った。
【0054】
このようにして得られたポリエーテル系重合体No.2の組成(各単量体単位の含有量)は、エチレンオキサイド単位39.8モル%、プロピレンオキサイド単位1.2モル%、エピクロロヒドリン単位56.0モル%、アリルグリシジルエーテル単位3.0モル%であった。また、この重合体のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、80.1であった。
【0055】
実施例1〜3、比較例1〜3
原料ゴムとして、製造例1で調製したポリエーテル系重合体1、製造例2で調製したポリエーテル系重合体2、ポリエーテル系重合体3(これらの重合体のモノマー組成は表1に示す)およびアクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン社製、DN206)を表2または表3に示す割合で混合したゴム100部とシリカ(株式会社トクヤマ製、トクシールGU)30部を、容量250mlのバンバリーミキサー中において、80℃で2分間混練した。続いて、可塑剤〔ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート〕5部、亜鉛華5部およびステアリン酸1部を加えて、8℃で2分間混練した。次に、得られた混合物と硫黄1.5部および架橋促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーDM)1.5部とを50℃のオープンロールで混練した後、150℃で30分間プレス架橋して、試験片を作製し、各物性を測定した。その結果を表2〜3に示す。
【0056】
【表1】
Figure 0004123656
【0057】
【表2】
Figure 0004123656
【0058】
【表3】
Figure 0004123656
【0059】
ポリエーテル系重合体(A)を含有しないゴム組成物の架橋物(比較例1)、ポリエーテル系重合体(A)としてエチレンオキサイド単位が少なすぎるものを含有するゴム組成物の架橋物(比較例2)およびポリエーテル系重合体(A)としてエチレンオキサイドのみの単独重合体を含有するゴム組成物の架橋物(比較例3)は、いずれも、引張強さ、100%引張応力および反発弾性に劣り、体積固有抵抗、表面摩擦係数が大きく、ロールに用いるには不適切であった。
【0060】
【発明の効果】
表2の結果から、本発明のゴム組成物(実施例1〜3)は、表面摩擦係数が低く、引張強度に優れ、反発弾性が高く、水接触角が小さく、且つ体積固有抵抗が低いことが判る。特に電気抵抗が中抵抗領域で安定であり、且つ表面摩擦係数が低い特徴を生かして、紡績用ゴムロール、OA機器用中抵抗ゴムロール材料として有用である。例えば、その架橋物を混紡用紡績ロールとして使用すると、糸の滑りが良好で、帯電による糸の巻き付きが防止できた。OA機器用半導電性ゴムロール材として使用すると、表面摩擦係数を有する表層にも、低電気抵抗の中間層として用いることもできる。また、印刷機用給水ロールにも使用できる。本発明の組成物は非塩素系材料とすることも可能であり、環境保全の面からも有用である。

Claims (3)

  1. エチレンオキサイド単位70〜99モル%およびそれ以外の共重合可能なオキシラン化合物単位1〜30モル%を含有し、かつ反応性官能基を有するオキシラン化合物単位が15モル%以下であり、ムーニー粘度20〜200のポリエーテル系重合体(A)2〜100重量%およびエチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム(B)98〜0重量%を含有することを特徴とするロール用ゴム組成物。
  2. 請求項1記載のロール用ゴム組成物と架橋剤とを含有することを特徴とするロール用架橋性ゴム組成物。
  3. 請求項2記載のロール用架橋性ゴム組成物の架橋物よりなるゴム層を含有することを特徴とするゴムロール。
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