JP6171267B2 - ゴム架橋物および導電性部材 - Google Patents
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Description
以下においては、まず、本発明のゴム架橋物を形成するためのゴム組成物を構成する各成分について説明する。
本発明で用いるポリエーテルゴム(以下、「カチオン化ポリエーテルゴム」ともいう。)は、下記一般式(1)で表される単位を0.1〜30モル%含有するゴムである。
オニウムイオン単位含有率(モル%)=100×B2/B1・・(4)
また、オニウム化剤として用いる上記一般式(2)で表される化合物が、上述した反応条件において、オニウムイオン含有基の置換反応以外の反応で消費されない場合には、オニウム化剤として用いる上記一般式(2)で表される化合物の消費モル量は、ハロゲン原子のオニウムイオン含有基の置換モル量と等しくなる。そのため、オニウム化剤として用いる上記一般式(2)で表される化合物の消費モル量を、反応開始前の添加モル量A1から反応終了後の残留モル量A2を減じることにより算出し、これを上記一般式(2)で表される化合物と反応させる前のポリエーテルゴム(ベースポリエーテルゴム)の全単量体単位のモル量Pにて除することにより、オニウムイオン単位含有率を、以下の一般式(5)により算出することも出来る。
オニウムイオン単位含有率(モル%)=100×(A1−A2)/P・・(5)
消費モル量の測定に関しては、公知の測定方法を用いて構わないが、例えば、その反応率をキャピラリーカラムと水素炎イオン化型検出器(FID)とを装備したガスクロマトグラフィー(GC)を用いて測定することができる。
本発明で用いるゴム組成物は、上述したカチオン化ポリエーテルゴムに加えて、金属酸化物を含有してなる。本発明で用いる金属酸化物は、特に限定されないが、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化カルシウム、鉛酸化物、酸化鉄、酸化銅、酸化錫、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化コバルト、および酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのなかでも、得られるゴム架橋物が低硬度で耐圧縮永久歪み性に優れるという点より、酸化亜鉛が好ましい。金属酸化物は、それぞれ1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
本発明のゴム架橋物は、上述した、カチオン化ポリエーテルゴムおよび金属酸化物を含有するゴム組成物を架橋することにより得られる。なお、この場合において、ゴム組成物としては、ポリエーテルゴムおよび金属酸化物に加えて、必要に応じて用いられる各添加剤を含有してなるものを用いてもよい。
オニウムイオン単位含有率の測定、および各種の物性については、以下の方法に従って評価した。
ムーニー粘度は、JIS K6300に従って、100℃で測定した。
実施例におけるオニウムイオン単位含有率の測定は、核磁気共鳴装置(1H−NMR)を用いて、以下のように行った。オニウム化反応後、凝固乾燥して得られたカチオン化ポリエーテルゴム30mgを、1.0mlのジメチルスルホキシドに加え、1時間振とうすることにより均一に溶解させた。この溶液を、1H−NMR測定することによりオニウムイオン単位含有率を算出した。まず、カチオン化ポリエーテルゴムの主鎖であるポリエーテル鎖に由来するプロトンの積分値から、ポリマー中の全単量体単位(オニウムイオン単位を含む)のモル数B1を算出した。次に、オニウムイオン含有基に由来するプロトンの積分値から、導入されているオニウムイオン単位(上記一般式(1)で表される単位)のモル数B2を算出した。そして、導入されているオニウムイオン単位(上記一般式(1)で表される単位)のモル数B2を、ポリマー中の全単量体単位(オニウムイオン単位を含む)のモル数B1で除することにより、オニウムイオン単位含有率を、以下の一般式(4)により算出した。
オニウムイオン単位含有率(モル%)=100×B2/B1・・(4)
得られたシート状のゴム架橋物(縦15cm、横10cm、厚さ2mm)を用いて、体積固有抵抗値を測定した。なお、体積固有抵抗値の測定は、JIS K6271の2重リング電極法に準拠して行い、測定条件は、温度23℃、湿度50%とし、印加電圧は1000Vとし、電圧の印加を開始してから30秒後の値を測定した。体積固有抵抗値は、数値が小さいほど、導電性に優れている。
体積固有抵抗値の通電上昇値は、上記の体積固有抵抗値の測定条件にて、電圧の印加を開始してから10分後のlog10(体積固有抵抗値)から、電圧の印加を開始してから30秒後のlog10(体積固有抵抗値)を減じたものとした。体積固有抵抗値の通電上昇値は、数値が小さいほど、連続使用した場合でも電気抵抗値の上昇が抑制されることを示す。
JIS K6262に従い、得られた円柱状のゴム架橋物(直径29mm、高さ12.7mmの円柱型)を25%圧縮させた状態で、70℃の環境下で22時間放置した後、圧縮を解放して圧縮永久歪率を測定した。圧縮永久歪み率は、その数値が小さいほど、ゴム弾性を保持しており、ゴムとして優れていると判断することができる。
硬度の測定は、JIS K6253に従い、タイプAデュロメータを使用し測定した。
密閉した耐圧ガラス容器を窒素置換して、トルエン200部およびトリイソブチルアルミニウム60部を供給した。このガラスボトルを氷水に浸漬して冷却後、ジエチルエーテル230部を添加し、攪拌した。次に、氷水で冷却しながら、リン酸13.6部を添加し、さらに攪拌した。この時、トリイソブチルアルミニウムとリン酸との反応により、容器内圧が上昇するので適時脱圧を実施した。次いで、得られた反応混合物を60℃の温水浴内で1時間熟成反応させて触媒溶液を得た。
オートクレーブにエピクロロヒドリン223.5部、アリルグリシジルエーテル27.5部、エチレンオキサイド19.7部、トルエン2585部を入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら内溶液を50℃に昇温し、上記で得た触媒溶液11.6部を添加して反応を開始した。次に、反応開始からエチレンオキサイド129.3部をトルエン302部に溶解した溶液を5時間かけて等速度で連続添加した。また、反応開始後30分毎に触媒溶液6.2部ずつを5時間にわたり添加した。次いで、水15部を添加して攪拌し、反応を終了させた。ここに更に、老化防止剤として4,4’−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)の5%トルエン溶液45部を添加し、攪拌した。スチームストリッピングを実施してトルエンを除去し、上澄み水を除去後、60℃にて真空乾燥し、ポリエーテルゴムA 400部を得た。このポリエーテルゴムAの単量体組成比は、エピクロロヒドリン単量体単位40モル%、エチレンオキサイド単量体単位56モル%、アリルグリシジルエーテル単量体単位4モル%であった。また、ムーニー粘度は60であった。
(カチオン化ポリエーテルゴム1の製造)
25℃のオープンロールに、製造例2で得られたポリエーテルゴムA 100部と、1−メチルイミダゾール1部(ポリエーテルゴムA中のエピハロヒドリン単量体単位を構成するハロゲン原子1モルに対し、0.02モルの割合)とを投入し、5分間混練した後、その混合物を、100℃に加熱したオーブンにセットし、24時間反応させた。その後、オーブンから、反応により得られたカチオン化ポリエーテルゴム1を、収量101部にて回収した。得られたカチオン化ポリエーテルゴム1を、上述した方法に従って、1H−NMR測定することにより、オニウムイオン単位含有率を算出した。得られたカチオン化ポリエーテルゴム1のオニウムイオン単位含有率は0.7モル%、ムーニー粘度は52であった。
40℃のオープンロールに、上記にて得られたカチオン化ポリエーテルゴム1 100部、酸化亜鉛(ZnO#1、正同化学社製)10部、充填剤としてカーボンブラック(シーストSO、東海カーボン社製)10部、架橋促進助剤としてのステアリン酸1部を投入し、10分間混練し混合することにより、ゴム組成物1を調製した。次いで、得られたゴム組成物を、170℃のプレス成形機で20分間プレス架橋して、ゴム架橋物1を得た。なお、ゴム架橋物1としては、シート状のゴム架橋物(縦15cm、横10cm、厚さ2mm)および円柱状のゴム架橋物(直径29mm、高さ12.7mmの円柱型)の2種類のゴム架橋物を得た(後述する各実施例、比較例においても同様。)。そして、得られたゴム架橋物1について、上述した方法にしたがって、各種の物性評価(体積固有抵抗値、体積固有抵抗値の通電上昇値、圧縮永久歪み率、および硬度の各評価)を行った。結果を表1に示す。
(カチオン化ポリエーテルゴム2の製造)
1−メチルイミダゾールの配合量を1部から2部(エピハロヒドリン単量体単位を構成するハロゲン原子1モルに対し、0.04モルの割合)に変更した以外は、実施例1と同様にして、カチオン化ポリエーテルゴム2を製造した(収量102部)。そして、得られたカチオン化ポリエーテルゴム2について、実施例1と同様にしてオニウムイオン単位含有率を測定したところ、オニウムイオン単位含有率は1.5モル%、ムーニー粘度は54であった。
カチオン化ポリエーテルゴム1 100部を用いる代わりに、上記にて得られたカチオン化ポリエーテルゴム2 100部を用いた以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物2およびゴム架橋物2を得て、同様にして各種の物性評価を行った。結果を表1に示す。
(カチオン化ポリエーテルゴム3の製造)
1−メチルイミダゾールの配合量を1部から3.5部(エピハロヒドリン単量体単位を構成するハロゲン原子1モルに対し、0.07モルの割合)に変更した以外は、実施例1と同様にして、カチオン化ポリエーテルゴム3を製造した(収量103.5部)。そして、得られたカチオン化ポリエーテルゴム3について、実施例1と同様にしてオニウムイオン単位含有率を測定したところ、オニウムイオン単位含有率は2.5モル%、ムーニー粘度は54であった。
カチオン化ポリエーテルゴム1 100部を用いる代わりに、上記にて得られたカチオン化ポリエーテルゴム3 100部を用い、酸化亜鉛の配合量を10部から5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物3およびゴム架橋物3を得て、同様にして各種の物性評価を行った。結果を表1に示す。
(カチオン化ポリエーテルゴム4の製造)
1−メチルイミダゾールの配合量を1部から6部(エピハロヒドリン単量体単位を構成するハロゲン原子1モルに対し、0.12モルの割合)に変更した以外は、実施例1と同様にして、カチオン化ポリエーテルゴム4を製造した(収量106部)。そして、得られたカチオン化ポリエーテルゴム4について、実施例1と同様にしてオニウムイオン単位含有率を測定したところ、オニウムイオン単位含有率は4.8モル%、ムーニー粘度は50であった。
カチオン化ポリエーテルゴム1 100部を用いる代わりに、上記にて得られたカチオン化ポリエーテルゴム4 100部を用い、酸化亜鉛の配合量を10部から2部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物4およびゴム架橋物4を得て、同様にして各種の物性評価を行った。結果を表1に示す。
(カチオン化ポリエーテルゴム5の製造)
1−メチルイミダゾールの配合量を1部から16部(エピハロヒドリン単量体単位を構成するハロゲン原子1モルに対し、0.32モルの割合)に変更した以外は、実施例1と同様にして、カチオン化ポリエーテルゴム5を製造した(収量116部)。そして、得られたカチオン化ポリエーテルゴム5について、実施例1と同様にしてオニウムイオン単位含有率を測定したところ、オニウムイオン単位含有率は10.2モル%、ムーニー粘度は49であった。
カチオン化ポリエーテルゴム1 100部を用いる代わりに、上記にて得られたカチオン化ポリエーテルゴム5 100部を用い、酸化亜鉛の配合量を10部から2部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物5およびゴム架橋物5を得て、同様にして各種の物性評価を行った。結果を表1に示す。
(ゴム組成物6の製造)
実施例3で得られたカチオン化ポリエーテルゴム3を用い、酸化亜鉛を配合しなかった以外は、実施例3と同様にして、ゴム組成物6を得た。そして、得られたゴム組成物6を用いて、実施例3と同様に架橋させるための操作を行ったが、架橋反応が進行せず、各種の物性評価が行えるようなゴム架橋物を得ることができなかった。
(ゴム組成物7、およびゴム架橋物7の製造)
40℃のオープンロールに、製造例2で得られたポリエーテルゴムA 100部、架橋剤として硫黄(サルファックスPMC、鶴見化学工業社製)0.5部、架橋促進剤としてテトラエチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTET、大内新興化学工業社製)1部、充填剤としてカーボンブラック(シーストSO、東海カーボン社製)10部、架橋促進助剤として、酸化亜鉛(ZnO#1、正同化学社製)5部、およびステアリン酸1部を投入し、10分間混練し混合することにより、ゴム組成物7を調製した。次いで、得られたゴム組成物7を、170℃のプレス成形機で20分間プレス架橋して、ゴム架橋物7を得た。そして、得られたゴム架橋物7について、実施例1と同様にして各種の物性評価を行った。結果を表1に示す。
(ゴム組成物8、およびゴム架橋物8の製造)
40℃のオープンロールに、製造例2で得られたポリエーテルゴムA 100部、架橋剤として4,4’−ジチオジモルホリン(バルノックR、大内新興化学工業社製)0.5部、架橋促進剤としてテトラエチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTET、大内新興化学工業社製)1.5部、ジベンゾチアジルジスルフィド(ノクセラーDM、大内新興化学工業社製)1.5部、充填剤としてカーボンブラック(シーストSO、東海カーボン社製)10部、架橋促進助剤として、酸化亜鉛(ZnO#1、正同化学社製)5部、およびステアリン酸1部を投入し、10分間混練し混合することにより、ゴム組成物8を調製した。次いで、得られたゴム組成物8を、170℃のプレス成形機で20分間プレス架橋して、ゴム架橋物8を得た。そして、得られたゴム架橋物8について、実施例1と同様にして各種の物性評価を行った。結果を表1に示す。
(ゴム組成物9、およびゴム架橋物9の製造)
実施例3で得られたカチオン化ポリエーテルゴム3を用い、酸化亜鉛5部の代わりに、水酸化カルシウム5部を用いた以外は、実施例3と同様にして、ポリエーテルゴム組成物9およびゴム架橋物9を得て、同様にして各種の物性評価を行った。結果を表1に示す。
また、ポリエーテルゴムとして、本発明所定の一般式(1)で表される単位を含有しないものを用いた場合には、得られるゴム架橋物は、体積固有抵抗値が高く、また、体積固有抵抗値の通電上昇値も大きくなる結果となった(比較例2,3)。
さらに、金属酸化物の代わりに、水酸化カルシウムを用いた場合には、得られるゴム架橋物は、硬度が高くなり、さらには、圧縮永久歪み率も大きくなる結果となった(比較例4)。
Claims (4)
- 前記金属酸化物が酸化亜鉛である請求項1に記載のゴム架橋物。
- 請求項1または2に記載のゴム架橋物を有してなる導電性部材。
- エピハロヒドリン単量体単位を含有するポリエーテルゴムに、下記一般式(2)で表される化合物を、前記エピハロヒドリン単量体単位を構成するハロゲン原子1モルに対し、0.001〜50モルの割合で混合し、40〜200℃で反応させることにより、下記一般式(1)で表される単位を0.1〜30モル%含有するポリエーテルゴムを得た後、
前記一般式(1)で表される単位を0.1〜30モル%含有するポリエーテルゴム100重量部に対し、少なくとも金属酸化物0.01〜20重量部を混合してゴム組成物を得、さらに前記ゴム組成物を架橋させることを特徴とするゴム架橋物の製造方法。
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