JP5222120B2 - 圧電磁器組成物、それを用いた圧電素子、及び非共振型ノッキングセンサ - Google Patents

圧電磁器組成物、それを用いた圧電素子、及び非共振型ノッキングセンサ Download PDF

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Description

本発明は、例えば、圧電効果を利用した圧力センサ、加速度センサ、ノックセンサ、ヨーレートセンサ、ジャイロセンサ、ショックセンサ等の圧電センサ等に使用可能な圧電磁器組成物、それを用いた圧電素子、及び非共振型ノッキングセンサに関する。
圧電磁器組成物の圧電効果を利用して機械エネルギーを電気エネルギーへ変換する圧電センサは、エレクトロニクスやメカトロニクスの分野で広く応用されている。上記圧電センサは、一般に、圧電セラミックスからなる焼結体(バルク)に少なくとも1対の電極を設けた圧電素子を有しており、この圧電素子を接着部材またはバネなどの圧接部材を介して保持部品で保持し、上記圧電素子からリード端子で電気信号を取り出す構造になっている。又、圧電素子は接着、モールド又はバネ等により圧接されるため、組付け状態において機械的な拘束力(プリセット負荷)が与えられている。
そして、圧電素子が検知すべき応力を受けると電荷又は電圧を発生し、この電荷又は電圧がセンサと接続する回路、又はセンサと一体化された回路に送られることにより、応力を電圧信号に変換することができる。
圧電センサは、使用環境の温度が変化すると、圧電セラミックスの圧電特性等が変化するため、圧電センサの感度(出力電圧)が変動する。又、使用環境の温度変化や、駆動による温度上昇により圧電センサの温度が変化すると、圧電セラミックスと、これに接する電極や保持部材等との間の熱膨張差に起因して熱応力が発生し、圧電センサにノイズを発生させ、感度のばらつきが生ずるという問題があった。また、圧電センサの温度が変化すると、焦電効果により圧電センサに電圧が発生し、圧電センサにノイズを発生させ、感度のばらつきが生ずるという問題があった。さらに、圧電素子にかかる加重により、圧電特性が低下し、圧電センサの出力の低下を招くという問題もあった。
このようなことから圧電センサの使用温度範囲は、通常、−40℃〜170℃程度とされているが、圧電センサは自動車部品等の過酷な用途に用いられるため、より広い温度範囲で温度特性のバラツキがない圧電素子が望まれている。
そこで、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)にSnを添加して熱的安定性を向上させ、さらにNb及びSbを添加してソフト化(結晶ひずみを大きくして圧電特性を向上させること)と低温焼結を可能とした圧電磁器組成物が開示されている(特許文献1〜3)。
特許第2789374号公報 特許第2964265号公報 特許第2957002号公報
しかしながら、従来の技術の場合、圧電特性や温度特性の改善の点で不充分である。例えば、圧電特性(感度)の指標である圧電定数d33が340以上であるものが要求されているが、このような高い圧電定数を有する組成物は報告されていない。又、自動車エンジン部付近に使用される圧力センサでは最高温度が170℃程度に達する場合もあり、耐熱性の指標であるキュリー温度が340℃以上であることが望ましいがこのような高いキュリー温度が得られる組成物は報告されていない。
すなわち、本発明は、圧電特性及び温度特性に優れた圧電磁器組成物、それを用いた圧電素子、及び非共振型ノッキングセンサの提供を目的とする。
本発明者らはPb-Zr-Ti-Sn-Sb-Nb系酸化物の組成、及びその結晶状態等を制御することにより、耐熱性が高く、高い圧電特性を有する圧電磁器組成物を見出した。
すなわち、本発明の圧電磁器組成物は、Pbm { Zr1-x-y-zTixSny(Sb1-nNbnz } O3(式中、1.000≦m≦1.075、0.470≦x<0.490、0.020≦y≦0.040、0<n<1.000、0<z≦0.025を満たす)で表され、結晶子径が30〜39nmである。
又、本発明の圧電磁器組成物は、Pbm { Zr1-x-y-zTixSny(Sb1-nNbnz } O3(式中、1.000≦m≦1.075、0.470≦x<0.490、0.020≦y≦0.040、0<n<1.000、0<z≦0.025を満たす)で表され、圧電定数d33が340pC/N以上である。
又、本発明の圧電素子は、前記圧電磁器組成物を用いたものである。
本発明の非共振型ノッキングセンサは、前記圧電磁器組成物および素子電極からなる圧電素子と、前記圧電素子を支持する支持本体部を有する支持部材と、前記圧電素子上に配置され、該圧電素子を前記支持本体部に向けて押圧する錘部材とを備え、前記素子電極の少なくとも一部は、前記錘部材と前記圧電素子とを当該圧電素子の厚み方向に沿って投影したときに、前記錘部材の前記圧電素子側を向く底面に向かい合っており、前記錘部材の前記底面の面積に対し、前記素子電極の当該底面に向かい合う表面の面積の割合が45%以上である。
この発明によれば、圧電特性及び温度特性に優れた圧電磁器組成物、それを用いた圧電素子、及び非共振型ノッキングセンサが得られる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の圧電磁器組成物は、PbTiO3-PbZrO3系(PZT(チタン酸ジルコン酸鉛))を基本組成としている。PbTiO3は正方晶系に属する強誘電体であり、結晶構造内のTiをZrで置換固溶すると、Zr固溶量が約53mol%で菱面体晶相へ変化する。このように組成により結晶系が変わる相境界をモルフォトロピック相境界(Morphotoropic Phase Boundary, MPB)と呼び、この近傍で圧電性が極大を示すことが知られている。一方、モルフォトロピック相境界の近傍では結晶の安定性が低下し、静電容量Cpの温度に対する変動が大きくなる。
そこで、本発明の圧電磁器組成物は、モルフォトロピック相境界領域から組成をずらし、さらに、Sn, Sb, Nbを含有(添加)した置換効果により、圧電性と静電容量Cpの温度に対する安定性を両立すべく、Pbm { Zr1-x-y-zTixSny(Sb1-nNbnz } O3(式中、1.000≦m≦1.075、0.470≦x<0.490、0.020≦y≦0.040、0<n<1.000、0<z≦0.025を満たす)で表される組成とする。
圧電磁器組成物の組成を上記範囲とすることにより、圧電定数d33を340 pC/N以上とすることができる。圧電定数d33[pC/N]は、圧電現象の正効果(圧力→電気)で応力を加え発生する電荷量で表される。圧電定数d33が大きいほど、負荷により発生する電荷量が大きく(センサ出力が大きく)なる。
m<1の場合、PZTの組成からずれ、圧電定数d33が小さくなる。m>1.075の場合、図1に示すように圧電磁器組成物内部にPbOが生成し、圧電定数d33が小さくなる。
x<0.470の場合、Ti含有量が少ないためにΔCp>2500ppm/Kとなるおそれがある。0.490≦xの場合、圧電定数d33が小さくなりがちで、熱に対するd33劣化率が大きくなる。
y<0.020の場合、Sn含有量が少ないためにキュリー温度Tcが低下することがある。
n=0の場合、Nbを含まないために結晶の安定性が低下する。n=1.000の場合、Sbを含まないために結晶の安定性が低下する。
z=0の場合、NbとSbの両方を含まないために、焼結温度が高くなり、後述する結晶子径を所定範囲に規定することができない。又、熱に対するd33劣化率も低下する。0.025≦zの場合、NbとSbの含有量が多くなり過ぎ、ΔCp>2500ppm/Kとなったり、キュリー温度Tcが低下したりすることがある。
本発明の圧電磁器組成物は、結晶子径が30〜39nmである。
結晶子径とは、単結晶とみなせる最大の領域をいい、結晶の完全性の指標となる。通常の物質は複数の結晶子から構成されている。
結晶子径が30nm未満であると結晶が同じ向きに揃うドメイン(領域)が小さくなり、圧電特性が向上しにくくなる。理論的には、焼成温度を高くすることで結晶子径が大きくすることができ、圧電特性は向上するが、実際には組成物中の揮発元素(Pb、Sn、Sb)が蒸発して組成が崩れ、かえって圧電特性が低下する。そのため、結晶子径が39nmを超えると圧電特性が低下する。
一方、組成物の結晶粒径は、必ずしも上記したドメインの大きさを反映するものではなく、組成物の結晶粒径を規定しても圧電特性を向上させることは難しい。但し、結晶粒径が大き過ぎると、粒間の隙間が大きくなり、負荷により発生する電荷量(センサ出力)が低下する傾向にある。
このようなことから、本発明においては、結晶粒径で制御するのでなく、実験的に結晶子径を30〜39nmと定めた。
結晶子径は、焼成温度、仮焼条件、原料の粉砕径等を変えることによって制御することができる。
結晶子径の測定は、試料のXRD(X線回折)を行い、入射X線の拡がりを表す半値幅(又は積分幅を)Scherrerの式に代入して求めることができる。Scherrerの式によれば、D=Kλ/(βcosθ)で表される(D:結晶子径、K:Scherrer定数、λ:X線波長、β:反射X線の半値半幅、θ:回折角)。
本発明の圧電磁器組成物において、キュリー温度(Tc)が340℃以上であることが好ましい。Tcが高いほど、耐熱性に優れ、自動車エンジン部等の高温環境用途に適する。
また、本発明の圧電磁器組成物は、20℃〜150℃での静電容量変化率(ΔCp)が2500ppm/K以下であることが好ましい。ΔCpが小さいほど静電容量の温度変化が少なく、センサ感度のばらつきが低減される。
さらに、本発明の圧電磁器組成物は、250℃で10時間の耐熱試験後の圧電定数d33の劣化率が-10%以内であることが好ましい。d33劣化率が小さいほど、耐熱性に優れる。d33劣化率は、{(耐熱試験後の圧電定数d33)-(初期の圧電定数d33)}/(初期の圧電定数d33)で表される。
本発明の圧電磁器組成物は、安定性、耐熱性および耐久性に優れ、例えば、感圧センサ、レゾネーター、圧電振動子、アクチュエータ、燃焼圧センサ、ノッキングセンサ、超音波モータ、圧電ジャイロセンサ、指紋認証用デバイス等の圧電素子に好適に用いることができる。
なお、本発明の圧電素子は、圧電磁器組成物に少なくとも正負の極性を有する1対の電極を設けたものである。
本発明の圧電磁器組成物は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩等からなる原料粉末を上記組成式になるように配合し、エタノール、水等の分散媒に添加した後、ボールミル等により湿式混合、粉砕を行い泥漿とする。得られた泥漿を、乾燥させ原料混合粉末とする。
次に、例えば大気雰囲気中、600℃〜1100℃、10分〜300分の間で原料混合粉末を仮焼し、仮焼物粉末とする。さらに、仮焼物粉末に対し、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の有機バインダ、水溶性バインダ、及びアルコール類、エーテル類、水等の分散媒を加え、ボールミル等により湿式粉砕を行い泥漿とする。得られた泥漿を乾燥させて造粒粉末とする。
さらに、この造粒粉末を所定の形状に成形して、成形体とする。成形体の形状は特に制限されず、必要に応じてリング状、円板状等の形状を適宜選択することができる。また、成形は例えば30MPa程度で一軸成形した後、150MPa程度で冷間等方静水圧プレス(CIP)処理することが好ましい。このようにして得られた成形体は、例えば900℃〜1250℃、1時間〜10時間の範囲で焼成して焼結体とする。
次に、得られた焼結体の対向する2面に素子電極を形成する。焼結体が例えば円板状であれば、その両面を平面研磨し、電極形成面とすればよい。又、素子電極は、素子電極形成面に導電性ペーストをスクリーン印刷等により塗布し、適宜焼き付けて形成することができる。
導電性ペーストとしては、例えば導電成分、ガラスフリットおよび有機媒体からなるものが挙げられる。導電成分としては、例えば銀、金、パラジウム又は白金等の貴金属からなる貴金属粉末、これらの貴金属の合金からなる合金粉末、または、これらの貴金属粉末の2種以上からなる混合粉末等を用いることができる。また、このような貴金属以外にも、銅、ニッケル等の金属からなる粉末、合金粉末、混合粉末等も用いることができる。ガラスフリットとしては、例えばSiO、Al、ZnOおよびTiOを含むものが使用できる。また、有機媒体としては、アルコール類、エーテル類等のこの種のペーストに用いられるものを使用することができる。
このようにして素子電極が形成された焼結体に、例えば室温〜200℃程度のシリコーンオイル等の絶縁オイル中で、3kV/mm〜20kV/mm程度の直流電圧を10分間〜100分間程度印加して分極処理を行い圧電磁器組成物とする。分極処理は、シリコーンオイル中でなく、過熱した素子に空中で高電圧を印加する方法でも良い。このようにして素子電極が形成された圧電磁器組成物は、素子電極が形成されたままの状態で用いてもよいし、表面に形成された素子電極を除去して用いてもよい。
このようにして分極処理され、所定の形状になった圧電磁器組成物は、圧電素子として利用できる。
上記した圧電素子を用いて非共振型ノッキングセンサを構成することができる。
図5は、本発明の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサ10の断面図である。図5において、ノッキングセンサ10は、内燃機関のシリンダブロック等へ取付けるための取付孔12fを中心部に有する、いわゆるセンターホール式非共振型のノッキングセンサである。ノッキングセンサ10は、センサ本体20を樹脂成形体11によって被覆して構成され、全体として短寸の円筒状に形成され、円筒の外周からコネクタ部11bが径方向外側に突出している。
センサ本体20は、圧電素子15と、圧電素子15を支持する支持本体部12bを有する支持部材(主体金具)12と、圧電素子15上に配置され、圧電素子を支持本体部12bに向けて押圧する錘部材17とを備えている。
又、コネクタ部11bの内側には、下部電極14及び上部電極16からそれぞれ延びる第1端子14a、第2端子16aが突出し(図5では第1端子14aのみ図示)、図示しない外部コネクタと接続されるようになっている。
そして、図6の分解斜視図に示すように、支持部材12は、筒状部12aと、筒状部12aの下端に鍔状に形成される支持本体部12bとを有し、さらに筒状部12aの上部外周面には雄ネジ部12xが形成されている。そして、筒状部12aの外周には、支持本体部12b側から順に、それぞれ円環状の第1絶縁板13、下部電極14、圧電素子15、上部電極16、第2絶縁板13t、錘部材17、及び皿バネ18が嵌め込まれ、第1絶縁板13が支持本体部12b上に載置されている。
さらに、内面に雌ネジ部19yが形成されているナット19を雄ネジ部12xに螺合することにより、第1絶縁板13から皿バネ18に至る積層体が支持本体部12bとナット19との間に挟まれて固定され、センサ本体20を構成している。又、これにより、錘部材17が圧電素子15を支持本体部12bに向けて押圧するようになっている。
なお、筒状部12aの外周面には円筒状の絶縁スリーブ13sが嵌められ、下部電極14、圧電素子15及び上部電極16が筒状部12aに電気的に接触するのを防止している。又、下部電極14及び上部電極16の径方向外側には、それぞれ電圧を取り出すための第1、第2端子14a、16aが片状に延びている。
この非共振型ノッキングセンサ10においては、圧電素子15を構成する素子電極15aの少なくとも一部(本実施形態では全部)が、錘部材17と圧電素子15とを当該圧電素子15の厚み方向に沿って投影したときに、錘部材17の圧電素子15側を向く底面SAに向かい合っている。そして、錘部材17の底面SAの面積S1に対し、素子電極15aの表面SBの面積S2の割合が45%以上であることが特徴となっている。なお、表面SBは、底面SAに向かい合っている。
ここで、面積S1より面積S2を小さくすることができれば、圧電素子15を構成する素子電極15aの電極材の使用量、さらにはその素子電極15aと対をなす素子電極15bの電極材の使用量を少なくして、非共振型ノッキングセンサ10のコストダウンを図ることができる。又、面積S1に対する面積S2の割合を変える自由度が高くなるので、圧電素子15の静電容量が最適な値になるように調整することができる。しかしながら、面積S1より面積S2を小さくし過ぎると、ノッキングセンサの出力が小さくなり感度が低下するおそれがあるので、面積S1に対する面積S2の割合を45%以上に規定する。
図7は、圧電素子15と錘部材17の近傍を示す部分断面図である。なお、図7において、理解をし易くするため、圧電素子15と錘部材17以外の構成部分の図示を適宜省略している。
本実施形態においては、圧電素子15側を向く錘部材17の底面SAの端が面取りされ、面取り部17fを形成している。このため、錘部材17の底面SAのうち上記した面取り部17fを除く圧電素子15に面するフラットな面を底面SAとし、面積S1を算出する。
同様に、本実施形態においては、錘部材側の圧電素子15(詳細には、圧電磁器組成物としての焼結体)の上面(即ち、錘部材17の底面SAに向かい合う面)の端が面取りされ、面取り部15fを形成している。そして、この面取り部を除く圧電磁器組成物としての焼結体の上面に素子電極15aが形成されている。そして、素子電極15aのうちで錘部材17の底面SAに向かい合う表面SBの面積を、素子電極15aの上記の面積S2として算出する。
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は勿論これらの例に限定されるものではない。
それぞれ酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化錫、酸化アンチモン、酸化ニオブの各原料粉末を準備し、焼結後の組成が表2の各発明例1〜9、比較例1〜15に示す割合となるように秤量し、混合粉末をエタノールに添加した後、ボールミルにより湿式混合、粉砕を行い、乾燥させて原料混合粉末を得た。
原料混合粉末を、大気雰囲気中、800℃、2〜3時間仮焼し、仮焼粉砕粒度約0.6〜1μmの仮焼物粉末とした。仮焼物粉末に有機バインダ、水溶性バインダおよびアルコール類を加え、ボールミルにより湿式粉砕を行い、乾燥させて造粒粉末とした。
さらに、この造粒粉末を19mm径、1.4mm厚の円盤状に加圧成形した。成形は、30MPa程度で一軸成形した後、150MPa程度で冷間等方静水圧プレス(CIP)処理した。得られた成形体を、大気雰囲気中、1100℃又は1300℃、2〜4時間焼成して焼結体とした。
焼結体の両面を平面研磨し、次いでこの面に銀ペーストをスクリーンし、焼き付けて電極を形成した。次いで、電極が形成された焼結体を、100〜150℃のシリコーンオイル中で、3〜5kV/mmの直流電圧を印加して分極処理を行い、圧電磁器組成物を得た。
得られた圧電磁器組成物について、以下の項目を評価した。
(1)ΔCp(20℃〜150℃での静電容量(Cp)変化率)
インピーダンスアナライザ(型式HP4194A、ヒューレットパッカード社製)を用い、20℃での静電容量Cp(20)と150℃での静電容量Cp(150)をそれぞれ測定した(単位:pF)。次式
[[(Cp(150)-Cp(20))/Cp(20)]/[150-20]]*1000000により、ΔCpを求めた。ΔCpが 2500ppm/K以下であれば実用上問題がない。
(2)キュリー温度(Tc)
インピーダンスアナライザ(型式HP4194A、ヒューレットパッカード社製)と電気炉を用いてTcを測定した。
(3)圧電定数d33
圧電定数d33の測定はEMAS-6100に記載の共振反共振法に従い測定し、d33メーター(型式ZJ-4B、中国科学院製)も併用して測定した。
(4)d33劣化率
初期のd33を測定した後、各試料を大気雰囲気下、250℃で10時間の耐熱試験を施し、同様にd33を測定した。次式
{(耐熱試験後の圧電定数d33)-(初期の圧電定数d33)}/(初期の圧電定数d33)によりd33劣化率を求めた。
得られた結果を表1に示す。
表1から明らかなように、Pbm { Zr1-x-y-zTixSny(Sb1-nNbnz } O3で表され、式中、1.000≦m≦1.075、0.470≦x<0.490、0.020≦y≦0.040、0<n<1.000、0<z≦0.025を満たす組成とした発明例1〜9の場合、ΔCpが 2500ppm/K以下、d33が340pC/N以上、Tcが340℃、d33劣化率が-10%以下となり、圧電特性及び温度特性に優れたものとなった。
一方、上記式において0.490≦xである比較例10の場合、d33が340pC/N未満で、d33劣化率が-10%を超え、圧電特性が大幅に劣った。
上記式においてz=0である比較例11の場合、d33劣化率が-10%を超え、圧電特性が大幅に劣ると共に、焼結温度が1300℃と高温となり、結晶粒が粗大となった。焼結温度が1300℃以上になると、以下の実施例2に示すように、d33が向上しなくなるので好ましくない。
上記式においてそれぞれn=0,1である比較例12,13の場合、ΔCpが 2500ppm/Kを超えた。これは、NbとSbのいずれか1種のみを含有するため、結晶の安定性が低下したためと考えられる。
上記式においてm>1.075である比較例14の場合、図1に示すように圧電磁器組成物内部にPbOが生成し(図1の白い筋状のもの)、圧電定数d33が340pC/N未満となって圧電特性が大幅に劣った。
上記式においてm<1である比較例15の場合も、圧電定数d33が340pC/N未満となって圧電特性が大幅に劣った。
実施例1の発明例1の組成について、焼結温度を変化させて圧電磁器組成物を製造した。得られた圧電磁器組成物のd33を実施例1と同様にして測定した。又、焼結後の試料の円盤面(電極を取り去った面)のXRD(X線回折)測定を行い、Scherrerの式により結晶子径を求めた。
得られた結果を表2及び図2に示す。
表2及び図2から明らかなように、焼結温度が1050℃〜1250℃の間にある場合、d33が340pC/N以上となり、このときの結晶子径は30〜39nmであった。一方、焼結温度が1050℃である場合、及び1250℃を超えた場合、d33が340pC/N未満となり、このときの結晶子径は30nm未満、又は39nmを超えた。
このことより、結晶子径を30〜39nmに制御することが必要である。
図3、図4は、焼結温度がそれぞれ1250℃、1300℃の場合の試料の結晶粒を示す走査顕微鏡写真を示す。
焼結温度が1300℃になると結晶粒が急激に成長し、粗大粒となることがわかる。
実施例1の発明例1の圧電磁器組成物を圧電素子15として用い、錘部材17の底面SAの面積S1、及び素子電極15aのうち底面SAに向かい合う表面SBの面積S2を種々に変え、図5〜図7に示す非共振型ノッキングセンサを製造した。
素子電極15aは、面取り後の圧電素子15の表面に、銀ペーストを印刷後、焼成して形成した。樹脂成形体11用の樹脂としてはポリアミドを用い、下部電極14及び上部電極16としては黄銅を用いた。又、第1絶縁板13、第2絶縁板13t、絶縁スリーブ13sとしてはPETを用いた。又、表3に示すように、試料番号5のノッキングセンサは、錘部材17として鉄材料を用いた。それ以外の試料番号のノッキングセンサは、錘部材17として黄銅を用いた。但し、すべての試料番号のノッキングセンサにおいて、錘部材17の質量を10.0gに統一した。なお、本実施例3においては、圧電素子15を構成する素子電極15aの全部が、錘部材17と圧電素子15とを当該圧電素子15の厚み方向に沿って投影したときに、錘部材17の圧電素子15側を向く底面SAに向かい合う条件のもと、上記面積S1,S2を種々変えたノッキングセンサを製造した。
得られたノッキングセンサについて、20℃での静電容量Cp(20)を、実施例1と同様にして測定した。又、第1、第2端子14a、16a間のセンサ出力を、加振器により3Gの衝撃を加えた条件のもとで測定した。
得られた結果を表3及び図8に示す。
表3及び図8から明らかなように、錘部材17の底面SAの面積S1に対し、圧電素子15の素子電極15aの底面SAに向かい合う表面SBの面積S2の割合が45%以上である試料番号3〜9の非共振型ノッキングセンサの場合、センサ出力が75mVを超え、実用上良好な感度を示した。
比較例14の圧電磁器組成物の表面の走査電子顕微鏡像を示す図である。 圧電磁器組成物の結晶子径とd33の関係を示す図である。 焼結温度が1250℃の試料の走査顕微鏡写真を示す図である。 焼結温度が1300℃の試料の走査顕微鏡写真を示す図である。 本発明の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサの軸方向に沿う断面図である。 本発明の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサの分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサの圧電素子と錘部材の近傍を示す部分断面図である。 錘部材の底面積に対し圧電素子の素子電極の面積の割合を変えたときの、センサ出力を示す図である。
符号の説明
15 圧電素子
15a 素子電極
10 非共振型ノッキングセンサ
12 支持部材
12a 支持本体部
17 錘部材
SA 錘部材の圧電素子側を向く底面
SB 素子電極の表面
S1 錘部材の底面の面積
S2 素子電極の表面の面積

Claims (4)

  1. Pbm { Zr1-x-y-zTixSny(Sb1-nNbnz } O3(式中、1.000≦m≦1.075、0.470≦x<0.490、0.020≦y≦0.040、0<n<1.000、0<z≦0.025を満たす)で表され、結晶子径が30〜39nmである圧電磁器組成物。
  2. Pbm { Zr1-x-y-zTixSny(Sb1-nNbnz } O3(式中、1.000≦m≦1.075、0.470≦x<0.490、0.020≦y≦0.040、0<n<1.000、0<z≦0.025を満たす)で表され、圧電定数d33が340pC/N以上である圧電磁器組成物。
  3. 請求項1又は2記載の圧電磁器組成物を用いた圧電素子。
  4. 請求項1又は2記載の圧電磁器組成物および素子電極からなる圧電素子と、
    前記圧電素子を支持する支持本体部を有する支持部材と、
    前記圧電素子上に配置され、該圧電素子を前記支持本体部に向けて押圧する錘部材とを備え、
    前記素子電極の少なくとも一部は、前記錘部材と前記圧電素子とを当該圧電素子の厚み方向に沿って投影したときに、前記錘部材の前記圧電素子側を向く底面に向かい合っており、前記錘部材の前記底面の面積に対し、前記素子電極の当該底面に向かい合う表面の面積の割合が45%以上である非共振型ノッキングセンサ。
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