JP2789374B2 - 圧電磁器組成物 - Google Patents

圧電磁器組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、低損失、高減衰量のラダー型フィルタ等に
好適な圧電磁器組成物に関する。
(従来技術) 近年、映像信号や音声信号など通信情報量の大容量化
や、自動車電話、移動体通信など通信端末の多様化に伴
い、低損失、高選択性のフィルタが求められ、このよう
なフィルタに適した圧電磁器組成物の開発が望まれてい
る。
従来、この種の圧電磁器組成物として、鉛(Pb)、ジ
ルコニウム(Zr)およびチタン(Ti)の複合酸化物から
なるいわゆるPZT系圧電磁器組成物が知られており、こ
のPZTに対し添加成分として錫(Sn)およびニオブ(N
b)の酸化物を添加し機械的品質係数(Qm)を高め共振
周波数の温度特性の変化を小さくした組成物が特公昭54
−34920号公報にて提案されている。
また、上記PTZに対しアンチモン(Sb)及び錫(Sn)
の酸化物を添加することにより誘電率(εr)、圧電定
数を改善し、電気機械結合係数(Kp)を高めることが特
公昭54−36756号公報にて提案されている。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、特公昭54−34920号の磁器は機械適品
質係数を高めることについて記載されるものの電気機械
結合係数については何ら改善されておらず、特公昭54−
36756号の磁器は電気機械的結合係数の改善については
言及されるものの機械的品質係数についてはなんら記載
されていない。
さらに、上記先行技術の磁器は実用上重要な特性であ
る温度変化に対する共振周波数の変化が大きいという問
題があった。これにより例えば環境変化の激しい車両搭
載用通信装置などのフィルタとして用いた場合、設定し
た送受信周波数が車内の温度変化により変動し安定した
送受信ができなくなるという問題があった。
これらの問題に対し、本出願人はPZTに対してSn、Sb
およびNbの酸化物を添加することにより低い機械的品質
係数(Qm)と高い電気機械結合係数(Kp)を達成すると
ともに温度サイクル前後の共振周波数の変動(ドリフ
ト)の小さい磁器が得られることを提案した。
しかし、この圧電磁器はGDT(群遅延時間)対応型で
低機械的品質係数(Qm)であるために低損失の高選択性
フィルタ用としてはその特性上適用できないという問題
があった。
(発明の目的) よって、本発明の目的は、高い機械的品質係数Qmを有
するとともに誘電率εrが大きい低損失で高減衰量を有
するラダー型フィルタ等に適した圧電磁器組成物を提供
するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者は、上記の問題点に対し検討を進めた結果、
先に本出願人が提案したPZTにSn、SbおよびNbの酸化物
を添加した系に対してさらに酸化クロムや酸化マンガン
を添加することにより適正な電気機械結合係数Kpおよび
共振周波数の温度特性を有しつつ機械品質係数Qmを高め
ることができ、高選択性に優れ且つ小型化が可能な圧電
磁器が得られることを知見し本発明に至った。
即ち、本発明の圧電磁器組成物は下記式 Pb Zr x Ti y(Sn a Nb b Sb c)zO3 ・・(1) 式中、x,y,zは 0.440≦x≦0.520 0.440≦y≦0.510 0.020≦z≦0.100 x+y+z=1 であり、a,b,cは、a=1に対し 0.1≦b≦4 0.1≦c≦4 で表される組成物を主成分とするもので、さらにCr2O3
および/またはMnO2を0.3〜1.0重量%の割合で添加する
ことを特徴とし、さらに前記組成物中、Pbの3〜10原子
%をBa、CaおよびSrから選ばれる少なくとも1種で置換
することを特徴とするものである。
本発明の磁器組成物の主成分である式(1)の組成物
の各金属元素の割合を上記の範囲に設定したのはx値が
0.450より小さいと電気機械結合係数が小さく、0.505よ
り大きいと共振周波数の温度係数が大きくなる。また、
y値が0.455より小さいと共振周波数の温度係数が大き
くなり、y値が0.510より大きいと電気機械結合係数が
小さく、z値が0.020より小さいと焼結性が悪く、0.150
より大きいとガラス転移点(Tc)が低くなる。
また、Sn、NbおよびSbの割合においてSnが1に対し、
Nbが0.1より小さいと誘電率が小さくなり、4より大き
いと温度サイクルの前後のfaドリフトが大きくなる。ま
た、Sbが0.1より小さいと温度サイクルの前後のfaドリ
フトが大きくなり、4より大きいとTcが低下する。
上記主成分はそれ単独では機械品質係数Qmは200以下
であり、高選択性フィルタ用としては低い。
そこで本発明では、上記の主成分に対し酸化クロム
(Cr2O3)および/または酸化マンガン(MnO3)を0.3〜
1.0重量%、特に0.3〜0.6重量%の割合で添加する。こ
れらの酸化物の添加により機械的品質係数Qmを大幅に向
上することができる。このCr2O3、MnO3の量を上記の範
囲に設定したのは、0.3重量%より少ないとQmの向上効
果が不十分であり、1.0重量%を越えると誘電率が低下
するからである。
また、本発明によればCr2O3、MnO3の添加によって機
械的品質係数が高くなる反面、誘電率εrが低下する傾
向にある。そこで本発明によれば、Cr2O3、MnO3を添加
した系に対しさらにBa、CaおよびSrの酸化物を添加する
ことにより何ら悪影響を及ぼすことなく誘電率εrを高
めることができる。Ba、CaおよびSrの酸化物はそれ自
体、前述した式(1)で表されるプロブスカイト型結晶
構造においてAサイトを形成する。本発明によれば、式
(1)においてAサイトであるPbに対し3〜10原子%、
特に3〜5原子%の割合でPbの一部を置換する。この置
換量が3原子%未満では誘電率の向上効果が期待でき
ず、10原子%を越えると耐熱性の劣化という問題が生じ
る。
本発明において磁器の製造に際しては、周知の方法が
採用でき、具体的には前述した組成を形成するPbO、TiO
2、ZrO2、Nb2O5、Sb2O3、SnO2等の構成金属元素の各金
属酸化物を原料粉末としてそれらの割合が前述の範囲に
なるように秤量混合する。この時、用いる原料は酸化物
粉末の他に炭酸化物やしゅう酸化物等も使用できる。ま
た、調合に当たっては上記の各酸化物粉末を組合せて仮
焼しPbTiO3やPbZrO3等の複合酸化物粉末を調整し混合す
ることも当然可能である。
秤量混合した混合粉末はプレス成形、ドクターブレー
ド法等により所望の形状に生成した後に焼成する。
焼成は、1200〜1340℃の酸化性雰囲気中で2〜6時間
行う。
得られる焼結体は相対密度95%以上の高密度体である
ことが波形不良を抑制する上で望ましく、例えば通常の
焼成法により得られた焼結体を熱間静水圧焼成法により
1000〜1200℃、500〜2000気圧下の酸化性雰囲気中で焼
成することにより相対密度97%以上の焼結体を得ること
ができる。
以下、本発明を次の例で説明する。
(実施例) 出発原料として、純度99.5%以上、平均粒径が1.0〜
2.0μmの市販のPbO、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Sb2O3、Sn
O2、Cr2O3、MnO2、BaCO3、CaCO3およびSrCO3の各粉末を
用いて第1表に示す割合で秤量し、ボールミルにて湿式
混合後乾燥してこれを900℃で仮焼した。
得られた仮焼物をボールミルにて24時間湿式粉砕した
後、有機系粘結剤を添加し、しかる後直径17mm、高さ1.
5mmの円柱状に加圧成形した。
得られた成形体を酸化性雰囲気にて1260〜1340℃で6
時間焼成した。
焼結体を直径15mm、高さ1mmに研磨加工しその両端面
に銀ペーストを焼き付けた。出来上がった素子を80℃の
絶縁油中に浸漬し、両端面に3KV/mmの直流電圧を印加し
て分極処理した。
分極後、24時間経過した素子の特性をインピーアナラ
イザーにより電気機械結合係数(Kp)、機械的品質係数
(Qm)、比誘電率(εr)を測定した。
結果は第1表に示した。
(発明の効果) 以上詳述した通り、本発明の圧電磁器組成物はPZTに
対し(Nb−Sb−Sn)系酸化物を添加した系に対しCr
2O3、MnO3を添加することにより機械的品質係数を大幅
に向上でき、さらにPbの一部をBa、CaあるいはSrで置換
することにより比誘電率を向上することができる。これ
によりフィルタ用として特に455KHz帯域の低損失型とし
て高選択性を付与することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−27672(JP,A) 特開 昭63−102283(JP,A) 特公 昭51−11798(JP,B2) 特公 昭54−36756(JP,B2) 特公 昭54−34920(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/42 - 35/49 CAS

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式 Pb{Zr x Ti y(Sn a Nb b Sb c)z}O3 式中、x,y,zは 0.440≦x≦0.520 0.400≦y≦0.510 0.020≦z≦0.150 x+y+z=1 であり、a,b,cは、a=1に対し 0.1≦b≦4 0.1≦c≦4 で表される組成物に対し、Cr2O3および/またはMnO2
    0.3〜1.0重量%を割合で添加することを特徴とする圧電
    磁器組成物。
  2. 【請求項2】前記組成物中、Pbの3〜10原子%をBa、Ca
    およびSrから選ばれる少なくとも1種で置換した請求項
    1記載の圧電磁器組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2099082A2 (en) 2008-03-05 2009-09-09 Ngk Spark Plug Co., Ltd. Piezoceramic material, piezoelectric element and non-resonance knock sensor
JP2009234904A (ja) * 2008-03-05 2009-10-15 Ngk Spark Plug Co Ltd 圧電磁器組成物、それを用いた圧電素子、及び非共振型ノッキングセンサ
JP2011085426A (ja) * 2009-10-13 2011-04-28 Ngk Spark Plug Co Ltd 非共振型ノッキングセンサ

Cited By (4)

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JP2009234904A (ja) * 2008-03-05 2009-10-15 Ngk Spark Plug Co Ltd 圧電磁器組成物、それを用いた圧電素子、及び非共振型ノッキングセンサ
US8040024B2 (en) 2008-03-05 2011-10-18 Ngk Spark Plug Co., Ltd. Piezoceramic material, piezoelectric element and non-resonance knock sensor
JP2011085426A (ja) * 2009-10-13 2011-04-28 Ngk Spark Plug Co Ltd 非共振型ノッキングセンサ

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