JP2011085426A - 非共振型ノッキングセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 圧電素子を備えた非共振型ノッキングであって、センサ使用環境の温度変化に対するセンサ出力の変化が小さく、センサ出力が従来よりも大きいセンサを提供する。
【解決手段】 非共振型ノッキングセンサ100は、銀を主体とする導電層が表裏面に形成された圧電セラミック153を有する圧電素子150と、圧電素子150の導電層のそれぞれに接触する第1,第2電極板140、160を備える。圧電素子150は、Pb{Zr1−x−y−zTiSn(Sb1−nNb}O(式中、1.000≦m≦1.075、0.470≦x<0.490、0.020≦y≦0.040、0<n<1.000、0<z≦0.025を満たす)で表され、結晶子径が30〜39nmの範囲内にある。また、第1、第2電極板140、160は、圧電素子150の導電層のそれぞれの形成面積に対して70%以上の割合で接触している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関のエンジンブロック等に取り付けられ、内燃機関で発生するノッキングを検知する非共振型ノッキングセンサに関する。
従来より、内燃機関のエンジンブロック等に取り付けられ、内燃機関で発生するノッキングを検知する非共振型ノッキングセンサ(以下、単に「ノッキングセンサ」ともいう)が知られている(特許文献1参照)。このようなノッキングセンサは、筒状部と、この基端側に位置すると共に径方向外側に突設された鍔部とからなる支持部材を備える。筒状部の外周には、圧電セラミックの表裏面に銀を主体とする導電層が形成された圧電素子、及び、導電層のそれぞれに接触して、圧電セラミック(圧電素子)の出力を外部に取り出すための一対の電極板、錘部材等の部材が配置され、これらの部材が鍔部に載置されている。そして、圧電素子等は、モールド成形された樹脂被覆体により覆われてシールされている。
ところで、内燃機関に取り付けられて使用に供されるノッキングセンサは、内燃機関が始動直後で冷えている冷間始動時から、高負荷で運転している高温時まで、幅広い温度範囲でも安定したセンサ出力(出力電圧)が得られる仕様が求められる。従って、ノッキングセンサを構成する部品の1つである圧電素子にも同様の仕様が求められる。
しかし、圧電素子を構成する圧電セラミックとしては、チタン酸ジルコン酸鉛(以下、単に「PZT」ともいう)が主流として用いられているが、この圧電素子を有するノッキングセンサでは、温度変化に対する出力変化が比較的大きい(換言すると、温度特性のばらつきが比較的大きい)傾向にある。そのため、幅広い温度範囲で温度特性のばらつきが小さい圧電素子が望まれている。
こういった状況において、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)にSnを添加して熱的安定性を向上させ、さらにNb及びSbを添加してソフト化(結晶ひずみを大きくして圧電特性を向上させること)と低温焼結を可能とした圧電磁器組成物が知られている(特許文献2〜4)。
特開2001−4476号公報 特許第2789374号公報 特許第2964265号公報 特許第2957002号公報
しかしながら、特許文献2〜4の圧電磁器組成物では、圧電特性や温度特性の改善の点で不充分である。例えば、ノッキングセンサでは、圧電特性(感度)の指標である圧電定数d33としては340以上であるものが望ましいが、このような高い圧電定数を有する圧電磁器組成物は報告されていない。また、ノッキングセンサでは、エンジンブロック等に取り付けられて使用されるが故に、最高温度が170℃程度に達する場合があり、耐熱性の指標であるキュリー温度が340℃以上であることが望ましいがこのような高いキュリー温度が得られる圧電磁器組成物は報告されていない。
そこで、本発明は、圧電特性及び温度特性に優れた圧電セラミックからなる圧電素子を備えた非共振型ノッキングであって、センサ使用環境の温度変化に対するセンサ出力の変化が小さく、センサ出力が従来よりも大きい非共振型ノッキングセンサを提供することを目的とする。
本発明者は、Pb−Zr−Ti−Sn−Sb−Nb系酸化物の組成、及び、その結晶子径を制御することにより、耐熱性が高く、高い圧電特性を有する圧電セラミックとなることを見出し、さらにこの圧電セラミックを有する圧電素子が非共振型ノッキングセンサとして最適な圧電素子であることを見出した。さらに、この圧電セラミックの表裏面に形成される導電層に対する一対の電極板の接触面積を規定することで、上記圧電セラミックの特性と相俟って、出力周波数特性が向上し、ノッキングの検出を高精度に行うことができることを見出した。
具体的に、本発明の非共振型ノッキングセンサは、板状の圧電セラミックの表裏面に銀を主体とする導電層が形成された圧電素子と、前記圧電セラミックの表裏面の導電層のそれぞれに接触し、前記圧電セラミックの出力を外部に取り出すための一対の電極板と、前記一対の電極板及び前記圧電素子からなるユニット体を載置する鍔部が、径方向外側に向かって突設された支持部材と、前記ユニット体上に配置され、該ユニット体を前記鍔部側に向けて押圧する錘部材と、を備える非共振型ノッキングセンサであって、前記圧電セラミックは、Pb{Zr1−x−y−zTiSn(Sb1−nNb}O(式中、1.000≦m≦1.075、0.470≦x<0.490、0.020≦y≦0.040、0<n<1.000、0<z≦0.025を満たす)で表されると共に、結晶子径が30〜39nmの範囲内にあり、前記一対の電極板のそれぞれは、前記圧電セラミックの表裏面の前記導電層それぞれの形成面積に対して70%以上の割合で接触してなることを特徴とする。
本発明の圧電素子を構成する圧電セラミックは、PbTiO−PbZrO系(チタン酸ジルコン酸鉛)を基本組成としている。PbTiOは正方晶系に属する強誘電体であり、結晶構造内のTiをZrで置換固溶すると、Zr固溶量が約53mol%で菱面体晶相へ変化する。このように組成により結晶系が変わる相境界をモルフォトロピック相境界(MPB)と呼び、この近傍で圧電性が極大を示すことが知られている。一方、モルフォトロピック相境界の近傍では結晶の安定性が低下し、静電容量Cpの温度に対する変動が大きくなる。
そこで、本発明の圧電素子を構成する圧電セラミックは、モルフォトロピック相境界領域から組成をずらし、さらに、Sn,Sb,Nbを含有(添加)した置換効果により、圧電性と静電容量Cpの温度に対する安定性を両立すべく、Pb{Zr1−x−y−zTiSn(Sb1−nNb}O(式中、1.000≦m≦1.075、0.470≦x<0.490、0.020≦y≦0.040、0<n<1.000、0<z≦0.025を満たす)で表される組成を有するものとする。
圧電セラミックの組成を上記範囲とすることで、圧電定数d33を340pC/N以上とすることができる。圧電定数d33は、圧電現象の正効果(圧力→電気)で応力を加え発生する電荷量で表される。圧電定数d33が大きいほど、負荷により発生する電荷量が大きくなり、その結果、ノッキングセンサのセンサ出力が大きくなる。
m<1の場合、PZTの組成からずれ、圧電定数d33が小さくなる。m>1.075の場合、圧電磁器組成物内部にPbOが生成され、圧電定数d33が小さくなる。
x<0.470の場合、Ti含有量が少ないために、ΔCp>2500ppm/Kとなるおそれがある。また、0.490≦xの場合、圧電定数d33が小さくなりがちで、熱に対するd33劣化率が大きくなる傾向がある。
y<0.020の場合、Sn含有量が少ないために、キュリー温度Tcが低下することがある。
n=0の場合、Nbを含まないために結晶の安定性が低下する。n=1.0000の場合、Sbを含まないために同様に結晶の安定性が低下する。
z=0の場合、NbとSbの両方を含まないために、焼結温度が高くなり、後述する結晶子径を所定範囲に規定することができない。また、熱に対するd33劣化率も低下する傾向にある。0.025≦zの場合、NbとSbの含有量が多くなり過ぎ、ΔCp>2500ppm/Kとなったり、キュリー温度Tcが低下したりすることがある。
さらに、本発明の圧電素子を構成する圧電セラミックは、結晶子径が30〜39nmである。結晶子径とは、単結晶とみなせる最大の領域をいい、結晶の完全性の指標となる。通常の物質は複数の結晶子から構成されている。
結晶子径が30nm未満であると結晶が同じ向きに揃うドメイン(領域)が小さくなり、圧電特性が向上しにくくなる。理論的には、焼成温度を高くすることで結晶子径が大きくすることができ、圧電特性は向上するが、実際には組成物中の揮発元素(具体的には、Pb,Sn,Sb)が蒸発して組成が崩れ、かえって圧電特性が低下する。そのため、結晶子径が39nmを超えると圧電特性が低下することがある。
一方、圧電セラミックの結晶粒径は、必ずしも上記したドメインの大きさを反映するものではなく、組成物の結晶粒径を規定しても圧電特性を向上させることは難しい。但し、結晶粒径が大き過ぎると、粒間の隙間が大きくなり、負荷により発生する電荷量(センサ出力)が低下する傾向にある。
このようなことから、本発明においては、圧電セラミックを、結晶粒径で制御するのでなく、結晶子径で30〜39nmと定めている。
この結晶子径は、焼成温度、仮焼条件、原料の粉砕径等を変えることによって制御することができる。なお、結晶子径の測定は、試料のXRD(X線回折)を行い、入射X線の拡がりを表す半値幅(又は積分幅)をScherrerの式に代入して求めることができる。Scherrerの式によれば、D=Kλ/(βcosθ)で表される(D:結晶子径、K:Scherrer定数、λ:X線波長、β:反射X線の半値半幅、θ:回折角)。
さらに、本発明のノッキングセンサでは、上記の圧電セラミックを圧電体に採用することでセンサ出力を大きくしているが、この圧電セラミックの表裏面に形成される銀を主体とする導電層それぞれの形成面積に対する、一対の電極板のそれぞれの接触割合を70%以上としている。このように圧電セラミックの表裏面に形成される導電層に対する一対の電極板の接触面積を70%以上とすることで、圧電素子の出力周波数特性を向上させることができる。そして、本発明のノッキングセンサでは、圧電セラミックの組成を特定することと、上記接触面積の割合を特定することとが相俟って、ノッキングの検出を高精度に行うことができるといった優れた効果がもたらされるのである。なお、圧電素子の出力周波数特性をより向上させる観点から、前記接触面積は90%以上とすることが好ましい。
本発明によれば、圧電特性及び温度特性に優れた圧電素子を備えた非共振型ノッキングが得られ、センサ使用環境の温度変化に対するセンサ出力の変化が小さく、さらにはセンサ出力が従来よりも大きく、且つ、出力周波数特性が向上したノッキングセンサが得られる。また、本発明の非共振ノッキングセンサによれば、センサ出力が従来よりも大きくなることから、センサ出力が従来と同じレベルで良い場合には、圧電素子を押圧する錘部材の重さを軽くすることができ、従来よりもノッキングセンサの軽量化、小型化を図ることも可能となる。
実施形態にかかる非共振型ノッキングセンサ100の断面図である。 実施形態にかかるノッキングセンサ100の組立部品の分解斜視図である。 実施形態にかかる非共振型ノッキングセンサ100を構成する圧電素子150の斜視図である。 圧電磁器組成物の結晶子径と圧電定数d33の関係を示す図である。
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。本実施形態の非共振型ノッキングセンサ100は、図1に断面図を示すように、中心部に取付孔120bを有する、いわゆるセンターホール式のノッキングセンサである。このノッキングセンサ100は、図2に分解斜視図に示すように、円筒状の筒状部121とこの基端121cに位置し、筒状部121の径方向外側に向かって突設された円環状の鍔部122とからなる支持部材120を有する。なお、支持部材120は、炭素鋼からなる。
この支持部材121の筒状部121の外周には、支持本体部122側から順に、円環状のPETからなる第1絶縁板130、円環状の黄銅からなる第1電極板140、円環状の圧電素子150、円環状の黄銅からなる第2電極板160、円環状のPETからなる第2絶縁板135、円環状の真鍮からなる錘部材170、及び皿バネ180が嵌め込まれている。さらに、内周面にネジ部185bが形成されたナット185が筒状部121の外周面に形成されたネジ部121bに螺合され、第1、第2絶縁板130、135、第1,第2電極板140、160、圧電素子150、錘部材170、及び皿バネ180が鍔部122とナット185との間に挟まれて固定され、センサ本体190を形成している。これにより、錘部材171が、所定の押圧力を圧電素子150及び一対の第1,第2電極板140、160からなるユニット体205(図2参照)に対して加え、このユニット体205を鍔部121側に向けて押圧することになる。
圧電素子150は、図3に示すように、円環状に形成されると共に、中央部に、支持部材120の筒状部121を内挿するための貫通孔151を有する圧電セラミック153と、この圧電セラミック153の表裏面の各々に導電性ペーストを塗布し、焼き付けてなる導電層155、157とを備える。なお、導電層155、157を構成する導電成分としては、銀を主体とする金属が挙げられる。なお、本実施形態では、導電性成分として銀を用いた導電層155、157を形成しているが、導電性成分としては、銀を主体とし、パラジウムを含む合金等を用いることもできる。
ここで、圧電素子150を構成する圧電セラミック153は、Pb{Zr1−x−y−zTiSn(Sb1−nNb}O(式中、1.000≦m≦1.075、0.470≦x<0.490、0.020≦y≦0.040、0<n<1.000、0<z≦0.025を満たす)で表される組成を有すると共に、結晶子径が30〜39nmの範囲にある。具体的に、本実施形態では、圧電セラミック153は、Pb1.025{Zr0.473Ti0.480Sn0.030(Sb0.400Nb0.6000.017}Oで表される組成を有しており、結晶子径が32.1nmとなっている。本実施形態の圧電セラミック153は、圧電特性及び温度特性に優れ、その結果、この圧電セラミック153からなる圧電素子150を備えたノッキングセンサ100は、センサ出力が従来よりも大きく、センサ使用環境の温度変化に対するセンサ出力の変化が小さいものとなった。
図1に戻り、筒状部121と第1、第2電極板140、160及び圧電素子150との間には、円筒状のPETからなる絶縁スリーブ131が介在しており、これらの絶縁を保っている。また、第1、第2電極板140、160には、両電極間に発生したセンサ出力(電圧)を外部に出力するための第1、第2端子141、161がそれぞれ延設されている。このようなセンサ本体190が、図1に示すように、樹脂被覆体150によって被覆され、ノッキングセンサ100を内燃機関のエンジンブロックへ取り付けるための取付孔120bについては、樹脂被覆体150によって被覆されないで露出している。なお、この樹脂被覆体150によってコネクタ部113が形成され、第1,第2電極板140、160の第1,第2端子141、161の一部がコネクタ部113の内側に突出する形態で配置されている。このコネクタ部113を介してノッキングセンサ100が外部装置(例えば、エンジン制御装置)と接続される。
ここで、ノッキングセンサ100では、圧電セラミック153として上記の組成から構成されると共に、この圧電セラミック153の表裏面に形成された銀からなる導電層155、157のそれぞれの形成面積に対して、第1,第2電極板140、160のそれぞれが70%以上の割合で接触するように構成されている。なお、本実施形態のノッキングセンサ100では、導電層155、157のそれぞれの形成面積(それぞれ142mmに設定)に対して、第1,第2電極板140、160のそれぞれが100%で接触している。このように、第1,第2電極板140、160の導電層155、157に対する接触面積を特定することにより、圧電素子150の出力周波数特性を向上させることができる。
このようなノッキングセンサ100は、以下のようにして製造する。
まず、圧電素子150の製造について説明する。酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩等からなる原料粉末を、Pb1.025{Zr0.473Ti0.480Sn0.030(Sb0.400Nb0.6000.017}Oで表される組成となるように適宜配合し、エタノール、水等の分散媒に添加した後、ボールミル等により湿式混合、粉砕を行い泥漿とする。得られた泥漿を、乾燥させ原料混合粉末とする。
次に、例えば大気雰囲気中、600℃〜1100℃、10分〜300分の間で原料混合粉末を仮焼し、仮焼物粉末とする。さらに、仮焼物粉末に対し、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の有機バインダ、水溶性バインダ、及びアルコール類、エーテル類、水等の分散媒を加え、ボールミル等により湿式粉砕を行い泥漿とする。得られた泥漿を乾燥させて造粒粉末とする。さらに、この造粒粉末を円環状に成形して、成形体とする。この成形は、例えば30MPa程度で一軸成形した後、150MPa程度で冷間等方静水圧プレス(CIP)処理することで行える。このようにして得られた成形体を、例えば大気雰囲気下、1100℃、2時間〜4時間の範囲で焼成し、焼結体を得た。
そして、この焼結体に、例えば室温〜200℃程度のシリコーンオイル等の絶縁オイル中で、3kV/mm〜20kV/mm程度の直流電圧を10分間〜100分間程度印加して分極処理を行い、圧電セラミック153を得た。
次に、上記のようにして得た圧電セラミック153の表裏面を平面研磨して電極形成面を形成し、この電極形成面に導電成分として銀を用いた導電性ペーストを塗布し、焼き付けて銀からなる導電層155、157を形成する。このようにして圧電素子150を得た。
そして、所定の形状に形成された支持部材120の筒状部121の外周に、絶縁スリーブ131、第1絶縁板130、第1電極板140、圧電素子150、第2電極板160、第2絶縁板135、錘部材170、及び皿バネ180をこの順に嵌め込む。次いで、ナット185を筒状部121のネジ部121bに螺合し、圧電素子150に錘部材170の押圧によって所定の荷重が加わるまで締め付ける。このとき、センサ本体190が形成される。なお、第1、第2電極板140、160は、導電層155、157に接触する(換言すれば、積層される)部位が、当該導電層155、157の形成面積に対して100%の割合で接触するように、予め大きさが調整されている。また、錘部材170の圧電素子150に面する側の表面(底面)の面積は、第1,第2電極板140、160の導電層155、157に接触する部位の面積よりも大きく設定され、錘部材170の荷重が第1,第2電極板140、160の導電層155、157に接触する部位に加わるように適宜形成されている。
そして、センサ本体190の形成後、ポリアミド樹脂を公知の樹脂モールド成形手法によって射出成形し、図1に示すような、コネクタ部113を有する樹脂被覆体110を形成する。このとき、センサ本体190が樹脂被覆体110によって被覆される。このようにして、図1に示すような非共振型ノッキングセンサ100が完成する。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は勿論これらの例に限定されるものではない。なお、以下では、非共振型ノッキングセンサを構成する圧電素子単体を用いて、その特性を評価した。
(実施例1)
それぞれ酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化錫、酸化アンチモン、酸化ニオブの各原料粉末を準備し、焼結後の組成が表1の各発明例1〜9、比較例1〜15に示す割合となるように秤量し、混合粉末をエタノールに添加した後、ボールミルにより湿式混合、粉砕を行い、乾燥させて原料混合粉末を得た。
原料混合粉末を、大気雰囲気中、800℃、2〜3時間仮焼し、仮焼粉砕粒度約0.6〜1μmの仮焼物粉末とした。仮焼物粉末に有機バインダ、水溶性バインダおよびアルコール類を加え、ボールミルにより湿式粉砕を行い、乾燥させて造粒粉末とした。
さらに、この造粒粉末を19mm径、1.4mm厚の円環状に加圧成形した。成形は、30MPa程度で一軸成形した後、150MPa程度で冷間等方静水圧プレス(CIP)処理した。得られた成形体を、大気雰囲気中、1100℃または1300℃、2〜4時間焼成して焼結体とした。
焼結体の表裏面を平面研磨し、次いでこの表裏面の各々に銀ペーストをスクリーン印刷し、焼き付けて銀からなる導電層を形成した。次いで、導電層が形成された焼結体(圧電セラミック)を、100〜150℃のシリコーンオイル中で、3〜5kV/mmの電界を与えて分極処理を行い、図3に示す形態の圧電素子を得た。
得られた圧電素子について、以下の項目を評価した。
(1)ΔCp(20℃〜150℃での静電容量(Cp)変化率)
インピーダンスアナライザ(型式:HP4194A、ヒューレットパッカード社製)を用い、20℃での静電容量Cp(20)と150℃での静電容量Cp(150)をそれぞれ測定した(単位:pF)。次式[[(Cp(150)−Cp(20))/Cp(20)]/[150−20]]*1000000により、ΔCpを求めた。ΔCpが2500ppm/K以下であれば、実用上問題がない。
(2)キュリー温度(Tc)
上記インピーダンスアナライザと電気炉を用いてTcを測定した。
(3)圧電定数d33
圧電定数d33の測定は、EMAS−6100に記載の共振反共振法に従い測定し、d33メーター(型式:ZJ−4B、中国科学院製)も併用して測定した。
(4)d33劣化率
初期のd33を測定した後、各試料を大気雰囲気下、250℃で10時間の耐熱試験を施し、同様にd33を測定した。次式
{(耐熱試験後の圧電定数d33)−(初期の圧電定数d33)}/(初期の圧電定数d33)により、d33劣化率を求めた。
得られた結果を表1に示す。
表1から明らかなように、Pb{Zr1−x−y−zTiSn(Sb1−nNb}Oで表され、当該式中、1.000≦m≦1.075、0.470≦x<0.490、0.020≦y≦0.040、0<n<1.000、0<z≦0.025を満たす組成とした発明例1〜9の場合、ΔCpが2500ppm/K以下、d33が340pC/N以上、Tcが340℃以上、d33劣化率が−10%以下となり、圧電特性及び温度特性に優れたものとなった。
一方、上記式において0.490≦xである比較例10の場合、d33が340pC/N未満で、d33劣化率が−10%を超え、圧電特性が大幅に劣った。
上記式においてz=0である比較例11の場合、d33劣化率が−10%を超え、圧電特性が大幅に劣ると共に、焼結温度が1300℃と高温となり、結晶粒が粗大となった。焼結温度が1300℃以上になると、以下の実施例2に示すように、d33が向上しなくなるので好ましくない。
上記式においてそれぞれn=0,1である比較例12、13の場合、ΔCpが2500ppm/Kを超えた。これは、NbとSbのいずれか1種のみを含有するため、結晶の安定性が低下したためと考えられる。
上記式においてm>1.075である比較例14の場合、圧電セラミック内部にPbOが生成し、圧電定数d33が340pC/N未満となって圧電特性が大幅に劣った。
上記式においてm<1である比較例15の場合も、圧電定数d33が340pC/N未満となって圧電特性が大幅に劣った。
(実施例2)
実施例1の発明例1の組成について、焼結温度を変化させて圧電素子を製造した。得られた圧電素子のd33を実施例1と同様にして測定した。又、圧電素子の電極を取り去った面のXRD(X線回折)測定を行い、Scherrerの式により結晶子径を求めた。
得られた結果を表2及び図4に示す。
表2及び図4から明らかなように、焼結温度が1050℃〜1250℃の間にある場合、圧電定数d33が340pC/N以上となり、このときの結晶子径は30〜39nmであった。一方、焼結温度が1050℃である場合、及び1250℃を超えた場合、圧電定数d33が340pC/N未満となり、このときの結晶子径は30nm未満、または39nmを超えた。このことより、結晶子径を30〜39nmに制御することが必要である。
(実施例3)
実施例1の発明例1の組成について、焼結温度1100℃にて焼成して圧電セラミック153を得、この圧電セラミック153の表裏面を平面研磨して電極形成面を形成し、この電極形成面に導電成分として銀を用いた導電性ペーストを塗布し、焼き付けて銀からなる導電層155、157を形成した圧電素子150を得た。なお、導電層155、157の形成面積はそれぞれ142mmとなるように形成した。そして、この圧電素子150を用いつつ、上述した製造ステップに沿って、図1に示す非共振型ノッキングセンサ100を製造した。このとき、第1,第2電極板140、160のそれぞれの圧電素子150の導電層155、157に対する接触面積が、55%、65%、70%、80%、90%、100%となるように複数の第1、第2電極板140、160を予め準備し、計6個の非共振型ノッキングセンサ100を製造した。
そして、この6個の非共振型ノッキングセンサ100を所定の治具を介して加振器に順にセットし、セットされたノッキングセンサ110に周波数7kHz、20kHzの正弦波を増幅器を介して入力すると共に、加振器の振動を3Gとした際の各ノッキングセンサ100の出力電圧を測定した。その後、α=(20kHzの加振時のセンサ出力値/7kHzの加振時のセンサ出力値)により表される平坦度αを、6個の非共振型ノッキングセンサ100に対して求めた。非共振型ノッキングセンサにおいては、この平坦度αの値が小さいほど出力周波数特性が良好となり、ノッキング検出特性に優れることを意味する。
6個の非共振型ノッキングセンサ100の測定された平坦度は、上記の接触面積が55%、65%のときは、平坦度αが1.10より大きい値となったが、上記の接触面積が70%、80%のときは、平坦度αが1.03以下と良好な値を示した。さらに、上記の接触面積が90%、100%のときは、平坦度αが1.00以下とより良好な値を示した。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。例えば、圧電素子150や錘部材170を支持する支持部材150は炭素鋼といった金属製のものに限らず、セラミックや樹脂にて形成しても良い。
100 非共振型ノッキングセンサ
110 樹脂被覆体
120 支持部材
121 筒状部
122 鍔部
140 第1電極板
150 圧電素子
155、157 導電層
160 第2電極板
170 錘部材
205 ユニット体

Claims (2)

  1. 板状の圧電セラミックの表裏面に銀を主体とする導電層が形成された圧電素子と、
    前記圧電セラミックの表裏面の導電層のそれぞれに接触し、前記圧電セラミックの出力を外部に取り出すための一対の電極板と、
    前記一対の電極板及び前記圧電素子からなるユニット体を載置する鍔部が、径方向外側に向かって突設された支持部材と、
    前記ユニット体上に配置され、該ユニット体を前記鍔部側に向けて押圧する錘部材と、
    を備える非共振型ノッキングセンサであって、
    前記圧電セラミックは、Pb{Zr1−x−y−zTiSn(Sb1−nNb}O(式中、1.000≦m≦1.075、0.470≦x<0.490、0.020≦y≦0.040、0<n<1.000、0<z≦0.025を満たす)で表されると共に、結晶子径が30〜39nmの範囲内にあり、
    前記一対の電極板のそれぞれは、前記圧電セラミックの表裏面の前記導電層それぞれの形成面積に対して70%以上の割合で接触してなる、
    ことを特徴とする非共振型ノッキングセンサ。
  2. 請求項1に記載の非共振型ノッキングセンサであって、
    前記一対の電極板のそれぞれは、前記圧電セラミックの表裏面の前記導電層それぞれの形成面積に対して90%以上の割合で接触してなる、
    ことを特徴とする非共振型ノッキングセンサ。
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