JP2004093197A - 非共振型ノッキングセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】非共振型ノッキングセンサにおいて、センサ使用環境の温度変化に対するセンサの出力変化が小さく、比較的温度特性の良いセンサを提供する。
【解決手段】非共振型ノッキングセンサ1は、主体金具20、その上に載置される圧電素子21、錘24を備えている。圧電素子21には、(Bi0.5Na0.5)TiO3と(Bi0.5K0.5)TiO3とBaTiO3の三成分を主成分とするものを使用する。この結果、従来のセンサに比べて、使用環境温度の変化に対する出力変化が小さく、温度特性の良い非共振型ノッキングセンサを提供することができた。また、BNT−BKT−BT系成分を主成分として焼成した圧電素子21には、鉛が含まれていないので、鉛が焼成時に大気中に揮散することもなく、環境に与える影響が少なくなるという効果もある。
【選択図】 図1
【解決手段】非共振型ノッキングセンサ1は、主体金具20、その上に載置される圧電素子21、錘24を備えている。圧電素子21には、(Bi0.5Na0.5)TiO3と(Bi0.5K0.5)TiO3とBaTiO3の三成分を主成分とするものを使用する。この結果、従来のセンサに比べて、使用環境温度の変化に対する出力変化が小さく、温度特性の良い非共振型ノッキングセンサを提供することができた。また、BNT−BKT−BT系成分を主成分として焼成した圧電素子21には、鉛が含まれていないので、鉛が焼成時に大気中に揮散することもなく、環境に与える影響が少なくなるという効果もある。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に生じる振動を検出する非共振型ノッキングセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、内燃機関に取り付けられ、内燃機関に発生するノッキングを検出する様々な形態のノッキングセンサが開発されている。そして、その中の1つに、押圧した状態で内部に保持された圧電素子により、内燃機関に生じる振動を検出し、検出信号を外部に出力する非共振型ノッキングセンサがある。
【0003】
一般的な非共振型ノッキングセンサは、特開2001−004476号公報等で知られている。
非共振型ノッキングセンサの構成は、以下に述べるとおりである。
ノッキング振動を電気信号に変換する圧電素子と、該圧電素子に所定の押圧力を加えるための錘と、主体金具とを備えている。
【0004】
該主体金具は、前記圧電素子および前記錘を順に載置するための載置部を有しており、前記錘との間に、前記圧電素子を狭持した状態で、内燃機関に固定される。
このように構成された非共振型ノッキングセンサは、内燃機関に発生する振動と一体となって振動し、内燃機関に発生する振動と同様の波形を有する検出信号が外部に出力されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
内燃機関に取り付けられて使用する非共振型ノッキングセンサは、内燃機関が始動直後で冷えている冷間時から、高負荷で運転している高温時まで、幅広い使用環境でも安定した出力が得られる仕様が求められる。したがって、非共振型ノッキングセンサを構成する部品の一部である圧電素子にも同様の仕様が求められる。
【0006】
従来から使用されている、PbTiO3(以下、「PT」と言う。)やPbZrTiO3(以下、「PZT」と言う。)から構成された圧電素子を非共振型ノッキングセンサに使用した場合、温度変化に対する出力変化が比較的大きいので、取付場所や検出回路に対策を必要とし、取り扱いが面倒であるという問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、センサ使用環境の温度変化に対するセンサの出力変化が小さく、温度特性の良い非共振型ノッキングセンサを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、圧電素子と、該圧電素子に所定の押圧力を加えるための錘と、該圧電素子および該錘を順に載置するための載置部を有し、該載置部に該圧電素子および該錘を載置した状態で内燃機関に固定可能な主体金具と、を備えた非共振型ノッキングセンサであって、前記圧電素子は、(Bi0.5Na0.5)TiO3(以下、「BNT」と言う。)と(Bi0.5K0.5)TiO3(以下、「BKT」と言う。)とBaTiO3(以下、「BT」と言う。)との三成分(以下、「BNT−BKT−BT系成分」と言う。)を主成分として焼成した圧電体セラミックスから成ることを特徴としている。
【0009】
本発明において、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子を使用したのは、後述する実験結果によって、従来から実用化されている鉛系の化合物であるPZTを主成分とする圧電素子よりも、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子の方が、温度特性が良いと分かったからである。
【0010】
このため、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子を使用することにより、センサ使用環境の温度変化に対するセンサ出力変化が小さく、温度特性が良い非共振型ノッキングセンサが得られる。
さらに、BNT−BKT−BT系成分を主成分として焼成した圧電体セラミックスには、鉛が含まれていない(本明細書において「鉛が含まれていない」とは、圧電体セラミックスを蛍光X線分析した時に鉛が測定限界値未満(圧電体セラミックスを100質量%とした場合に、鉛の含有量が0.001質量%未満)であることを意味する。)ので、鉛が焼成時に大気中に揮散することもなく、環境に与える影響が少なくなるという効果もある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された実施例の非共振型ノッキングセンサ1全体の外観図(a)と断面図(b)である。断面図(b)において非共振型ノッキングセンサ1は、外周に雄ネジ部20cが形成された本体部20aとその雄ネジ部20cの切り終わりよりも軸方向下方にて外側に張り出した鍔部20bとを有し内燃機関に取り付け可能な主体金具20と、圧電素子21と、錘としての効果を発揮する程度の比重を持った金属材料(例えば黄銅)からなる錘24と、電極端子29を一端に有し、導電性材料(例えば黄銅)からなる一対の検出電極22と、絶縁性を有するフィルム状の合成樹脂(例えばPET)からなる一対の絶縁部材23と、外部に電気信号を取り出す箇所となる電極端子29と、合成樹脂(例えば66ナイロン)からなり全体を保護するためのケース27とを備えている。
【0012】
この内、主体金具20は非共振型ノッキングセンサ固定用挿通孔28を備えている。また、圧電素子21、錘24、検出電極22および絶縁部材23は、本体部20aを挿通するための挿通孔を備えている。
次に非共振型ノッキングセンサ1を組み立てる手順について、図1(b)を用いて説明する。
【0013】
(1)まず、主体金具20の鍔部20b上に圧電素子21、錘24および座金25を順に載置する。この時、圧電素子21を上下から一対の検出電極22で挟み、鍔部20bと圧電素子21の下側に載置した検出電極22との間および、錘24と圧電素子21の上側に載置した検出電極22との間には、絶縁部材23を挟む。尚、鍔部20bに載置した下側の絶縁部材23は、圧電素子21と本体部20aとを絶縁するために、圧電素子21の底面(鍔部20b側の面)を覆う部材と、圧電素子21の内側の側面(本体部20a側の面)を覆う部材との2部材から成る。
【0014】
(2)次にナット26を主体金具20の雄ネジ部20cに螺合し、圧電素子21、錘24等を主体金具20に締め付ける。尚、この時の締め付けトルクは、圧電素子21に所定の圧力がかかるように締め付ける。
(3)そして最後に、センサ全体をケース27で覆う。以上のような手順により、非共振型ノッキングセンサ1を組み立てることができる。
【0015】
一方、非共振型ノッキングセンサ1の内燃機関への取り付けは、非共振型ノッキングセンサ固定用挿通孔28を使用して内燃機関のエンジンブロック等に固定することにより行う。内燃機関より支持棒が突出している場合は、その支持棒に非共振型ノッキングセンサ固定用挿通孔28を嵌め込み、上方よりナット等で固定する。また、内燃機関にボルト用の雌ネジがある場合は、ボルトを非共振型ノッキングセンサ固定用挿通孔28の上部より挿通させ締め付けることにより固定する。電極端子29については、本装置(非共振型ノッキングセンサ1)より発生する検出電圧を処理するためのエンジン制御装置に接続する。
【0016】
ここで、本実施例では、圧電素子21の材料には、従来から使用されてきた鉛系の化合物であるPTやPZTではなく、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする材料を使用した。
BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子21の製法について以下に簡単に説明する。
【0017】
出発原料に、BaCO3粉末、Bi2O3粉末、K2CO3粉末、Na2CO3粉末、およびTiO2粉末を用い、BNT−BKT−BT系成分の比率(モル比)が表1に示す組成になるように秤量し、エタノールを加えて、ボールミルにより15時間の湿式混合を行う。
【0018】
【表1】
次に、得られた混合物を湯煎乾燥し、800℃で2時間仮焼した後、これに有機バインダとエタノールとを加え、ボールミルにより15時間の湿式粉砕を行う。
【0019】
次に、得られた粉砕物を湯煎乾燥して造粒子とした後、1GPaの一軸加圧により所定の大きさの成形体を作製する。
得られた成形体は、15GPaの圧力でCIP(等方静水圧プレス)処理を行う。
【0020】
その後、1050〜1250℃で2時間焼成を行い、銀電極を形成し、分極処理を行うことで、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子21が得られる。
このようにして得られたBNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子21を使用することで、センサ使用環境の温度変化に対するセンサの出力変化が小さく、比較的温度特性の良い非共振型ノッキングセンサを得ることができた。
【0021】
以上の結果を裏付けるために、本装置(非共振型ノッキングセンサ1)を用いた実験を行った。実験結果を以下に述べる。
まず、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子21(表1の「実施例1」および「実施例2」に示す組成のもの)と、PZTを主成分とする圧電素子21(比較例)とを準備し、それぞれの圧電素子21を用いて非共振型ノッキングセンサ1を組み立てた。
【0022】
次に、常温(25℃)および125℃において、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子21を用いた非共振型ノッキングセンサ1に、2.5〜15kHzの周波数の振動を加え、出力を測定した。
そして、常温における出力をVl、125℃における出力をVhとし、温度差1℃あたりの出力差の百分率(%/℃)である変化率を次式で求めた。
【0023】
変化率=(Vh−Vl)/Vl
次に、PZTを主成分とする圧電素子21を用いた非共振型ノッキングセンサ1においても同様の条件で実験を行った。
次に変化率の値と振動周波数との関係を図2に示す。
【0024】
図2から解るように、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子21を使用した場合の変化率(実施例1および実施例2)は、PZTを主成分とする圧電素子21を使用した場合の変化率(比較例)と比べて、0.05(%/℃)程度小さくなっている。したがって、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子21を使用することにより、従来からのPZTを主成分とする圧電素子21を使用した場合に比べて、センサ使用環境の温度変化に対するセンサの出力変化が小さく、温度特性の良い非共振型ノッキングセンサを提供することができる。
【0025】
さらに、BNT−BKT−BT系成分を主成分として焼成した圧電素子21には、鉛が含まれていないので、鉛が焼成時に大気中に揮散することもなく、環境に与える影響が少なくなるという効果もある。
ここで、圧電素子21の主成分であるBNT−BKT−BT系成分の構成比(モル比)としては、その一般式をxBNT−yBKT−zBTと表したときに、0.5≦x≦0.9、0<y≦0.5、0<z≦0.5(但し、x+y+z=1)とすることが好ましい。こうすることで、検知性能および耐熱性が高い圧電素子とすることができ、結果的に、検知性能および耐熱性が高い非共振型ノッキングセンサ1とすることができる。
【0026】
以上、本発明の一実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば上記実施例では、図1に示す形状の非共振型ノッキングセンサ1に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は圧電素子を用いた非共振型ノッキングセンサであれば、どのような形状のセンサにも適用することができ、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0027】
つまり、例えば、非共振型ノッキングセンサとして、従来より図3に示す形状の非共振型ノッキングセンサ2が知られているが、このような形状の非共振型ノッキングセンサ2に本発明を適用しても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0028】
尚、図3に示す非共振型ノッキングセンサ2において、構造を以下に説明する。
主体金具40は、上面が開口し、構成部品を収納するための凹部40cを有している。この凹部40cの底面の中心には、雌ネジ部40bを有し、凹部40cの底面の中心に、円環状の圧電素子41および円環状の錘42が順に載置されている。
【0029】
そして、締付けネジ43を絶縁チューブ49に挿通した状態で、錘42および圧電素子41に挿通し、雌ネジ部40bと螺合させることにより、圧電素子41および錘42は主体金具40に締結されている。
次に、ゴムダンパ44は凹部40cの底面を覆うように載置されていて、抵抗45、端子部47、および電極48は所定の場所に半田付けで固定されている。
【0030】
そして、凹部40cの全体に流し込まれた樹脂46によって、外部からの衝撃や水の浸入から保護されていて、主体金具40の下部に設けられた雄ネジ部40aによって内燃機関に固定されている。
このような構造を有する非共振型ノッキングセンサ2に、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子41を使用することにより、従来からのPZTを主成分とする圧電素子41を使用した場合に比べて、図1に示した非共振型ノッキングセンサ1と同様に、センサ使用環境の温度変化に対するセンサの出力変化が小さく、比較的温度特性の良い非共振型ノッキングセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の非共振型ノッキングセンサの概略構成を示す説明図である。
【図2】非共振型ノッキングセンサにおいて振動周波数と出力変化率との関係を示すグラフである。
【図3】別形状の非共振型ノッキングセンサの概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1…非共振型ノッキングセンサ、2…非共振型ノッキングセンサ、20…主体金具、20a…本体部、20b…鍔部、20c…雄ネジ部、21…圧電素子、22…検出電極、23…絶縁部材、24…錘、25…座金、26…ナット、27…ケース、28…非共振型ノッキングセンサ固定用挿通孔、29…電極端子、40…主体金具、40a…雄ネジ部、40b…雌ネジ部、40c…凹部、41…圧電素子、42…錘、43…締付けネジ、44…ゴムダンパ、45…抵抗、46…樹脂、47…端子部、48…電極、49…絶縁チューブ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に生じる振動を検出する非共振型ノッキングセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、内燃機関に取り付けられ、内燃機関に発生するノッキングを検出する様々な形態のノッキングセンサが開発されている。そして、その中の1つに、押圧した状態で内部に保持された圧電素子により、内燃機関に生じる振動を検出し、検出信号を外部に出力する非共振型ノッキングセンサがある。
【0003】
一般的な非共振型ノッキングセンサは、特開2001−004476号公報等で知られている。
非共振型ノッキングセンサの構成は、以下に述べるとおりである。
ノッキング振動を電気信号に変換する圧電素子と、該圧電素子に所定の押圧力を加えるための錘と、主体金具とを備えている。
【0004】
該主体金具は、前記圧電素子および前記錘を順に載置するための載置部を有しており、前記錘との間に、前記圧電素子を狭持した状態で、内燃機関に固定される。
このように構成された非共振型ノッキングセンサは、内燃機関に発生する振動と一体となって振動し、内燃機関に発生する振動と同様の波形を有する検出信号が外部に出力されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
内燃機関に取り付けられて使用する非共振型ノッキングセンサは、内燃機関が始動直後で冷えている冷間時から、高負荷で運転している高温時まで、幅広い使用環境でも安定した出力が得られる仕様が求められる。したがって、非共振型ノッキングセンサを構成する部品の一部である圧電素子にも同様の仕様が求められる。
【0006】
従来から使用されている、PbTiO3(以下、「PT」と言う。)やPbZrTiO3(以下、「PZT」と言う。)から構成された圧電素子を非共振型ノッキングセンサに使用した場合、温度変化に対する出力変化が比較的大きいので、取付場所や検出回路に対策を必要とし、取り扱いが面倒であるという問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、センサ使用環境の温度変化に対するセンサの出力変化が小さく、温度特性の良い非共振型ノッキングセンサを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、圧電素子と、該圧電素子に所定の押圧力を加えるための錘と、該圧電素子および該錘を順に載置するための載置部を有し、該載置部に該圧電素子および該錘を載置した状態で内燃機関に固定可能な主体金具と、を備えた非共振型ノッキングセンサであって、前記圧電素子は、(Bi0.5Na0.5)TiO3(以下、「BNT」と言う。)と(Bi0.5K0.5)TiO3(以下、「BKT」と言う。)とBaTiO3(以下、「BT」と言う。)との三成分(以下、「BNT−BKT−BT系成分」と言う。)を主成分として焼成した圧電体セラミックスから成ることを特徴としている。
【0009】
本発明において、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子を使用したのは、後述する実験結果によって、従来から実用化されている鉛系の化合物であるPZTを主成分とする圧電素子よりも、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子の方が、温度特性が良いと分かったからである。
【0010】
このため、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子を使用することにより、センサ使用環境の温度変化に対するセンサ出力変化が小さく、温度特性が良い非共振型ノッキングセンサが得られる。
さらに、BNT−BKT−BT系成分を主成分として焼成した圧電体セラミックスには、鉛が含まれていない(本明細書において「鉛が含まれていない」とは、圧電体セラミックスを蛍光X線分析した時に鉛が測定限界値未満(圧電体セラミックスを100質量%とした場合に、鉛の含有量が0.001質量%未満)であることを意味する。)ので、鉛が焼成時に大気中に揮散することもなく、環境に与える影響が少なくなるという効果もある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された実施例の非共振型ノッキングセンサ1全体の外観図(a)と断面図(b)である。断面図(b)において非共振型ノッキングセンサ1は、外周に雄ネジ部20cが形成された本体部20aとその雄ネジ部20cの切り終わりよりも軸方向下方にて外側に張り出した鍔部20bとを有し内燃機関に取り付け可能な主体金具20と、圧電素子21と、錘としての効果を発揮する程度の比重を持った金属材料(例えば黄銅)からなる錘24と、電極端子29を一端に有し、導電性材料(例えば黄銅)からなる一対の検出電極22と、絶縁性を有するフィルム状の合成樹脂(例えばPET)からなる一対の絶縁部材23と、外部に電気信号を取り出す箇所となる電極端子29と、合成樹脂(例えば66ナイロン)からなり全体を保護するためのケース27とを備えている。
【0012】
この内、主体金具20は非共振型ノッキングセンサ固定用挿通孔28を備えている。また、圧電素子21、錘24、検出電極22および絶縁部材23は、本体部20aを挿通するための挿通孔を備えている。
次に非共振型ノッキングセンサ1を組み立てる手順について、図1(b)を用いて説明する。
【0013】
(1)まず、主体金具20の鍔部20b上に圧電素子21、錘24および座金25を順に載置する。この時、圧電素子21を上下から一対の検出電極22で挟み、鍔部20bと圧電素子21の下側に載置した検出電極22との間および、錘24と圧電素子21の上側に載置した検出電極22との間には、絶縁部材23を挟む。尚、鍔部20bに載置した下側の絶縁部材23は、圧電素子21と本体部20aとを絶縁するために、圧電素子21の底面(鍔部20b側の面)を覆う部材と、圧電素子21の内側の側面(本体部20a側の面)を覆う部材との2部材から成る。
【0014】
(2)次にナット26を主体金具20の雄ネジ部20cに螺合し、圧電素子21、錘24等を主体金具20に締め付ける。尚、この時の締め付けトルクは、圧電素子21に所定の圧力がかかるように締め付ける。
(3)そして最後に、センサ全体をケース27で覆う。以上のような手順により、非共振型ノッキングセンサ1を組み立てることができる。
【0015】
一方、非共振型ノッキングセンサ1の内燃機関への取り付けは、非共振型ノッキングセンサ固定用挿通孔28を使用して内燃機関のエンジンブロック等に固定することにより行う。内燃機関より支持棒が突出している場合は、その支持棒に非共振型ノッキングセンサ固定用挿通孔28を嵌め込み、上方よりナット等で固定する。また、内燃機関にボルト用の雌ネジがある場合は、ボルトを非共振型ノッキングセンサ固定用挿通孔28の上部より挿通させ締め付けることにより固定する。電極端子29については、本装置(非共振型ノッキングセンサ1)より発生する検出電圧を処理するためのエンジン制御装置に接続する。
【0016】
ここで、本実施例では、圧電素子21の材料には、従来から使用されてきた鉛系の化合物であるPTやPZTではなく、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする材料を使用した。
BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子21の製法について以下に簡単に説明する。
【0017】
出発原料に、BaCO3粉末、Bi2O3粉末、K2CO3粉末、Na2CO3粉末、およびTiO2粉末を用い、BNT−BKT−BT系成分の比率(モル比)が表1に示す組成になるように秤量し、エタノールを加えて、ボールミルにより15時間の湿式混合を行う。
【0018】
【表1】
次に、得られた混合物を湯煎乾燥し、800℃で2時間仮焼した後、これに有機バインダとエタノールとを加え、ボールミルにより15時間の湿式粉砕を行う。
【0019】
次に、得られた粉砕物を湯煎乾燥して造粒子とした後、1GPaの一軸加圧により所定の大きさの成形体を作製する。
得られた成形体は、15GPaの圧力でCIP(等方静水圧プレス)処理を行う。
【0020】
その後、1050〜1250℃で2時間焼成を行い、銀電極を形成し、分極処理を行うことで、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子21が得られる。
このようにして得られたBNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子21を使用することで、センサ使用環境の温度変化に対するセンサの出力変化が小さく、比較的温度特性の良い非共振型ノッキングセンサを得ることができた。
【0021】
以上の結果を裏付けるために、本装置(非共振型ノッキングセンサ1)を用いた実験を行った。実験結果を以下に述べる。
まず、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子21(表1の「実施例1」および「実施例2」に示す組成のもの)と、PZTを主成分とする圧電素子21(比較例)とを準備し、それぞれの圧電素子21を用いて非共振型ノッキングセンサ1を組み立てた。
【0022】
次に、常温(25℃)および125℃において、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子21を用いた非共振型ノッキングセンサ1に、2.5〜15kHzの周波数の振動を加え、出力を測定した。
そして、常温における出力をVl、125℃における出力をVhとし、温度差1℃あたりの出力差の百分率(%/℃)である変化率を次式で求めた。
【0023】
変化率=(Vh−Vl)/Vl
次に、PZTを主成分とする圧電素子21を用いた非共振型ノッキングセンサ1においても同様の条件で実験を行った。
次に変化率の値と振動周波数との関係を図2に示す。
【0024】
図2から解るように、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子21を使用した場合の変化率(実施例1および実施例2)は、PZTを主成分とする圧電素子21を使用した場合の変化率(比較例)と比べて、0.05(%/℃)程度小さくなっている。したがって、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子21を使用することにより、従来からのPZTを主成分とする圧電素子21を使用した場合に比べて、センサ使用環境の温度変化に対するセンサの出力変化が小さく、温度特性の良い非共振型ノッキングセンサを提供することができる。
【0025】
さらに、BNT−BKT−BT系成分を主成分として焼成した圧電素子21には、鉛が含まれていないので、鉛が焼成時に大気中に揮散することもなく、環境に与える影響が少なくなるという効果もある。
ここで、圧電素子21の主成分であるBNT−BKT−BT系成分の構成比(モル比)としては、その一般式をxBNT−yBKT−zBTと表したときに、0.5≦x≦0.9、0<y≦0.5、0<z≦0.5(但し、x+y+z=1)とすることが好ましい。こうすることで、検知性能および耐熱性が高い圧電素子とすることができ、結果的に、検知性能および耐熱性が高い非共振型ノッキングセンサ1とすることができる。
【0026】
以上、本発明の一実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば上記実施例では、図1に示す形状の非共振型ノッキングセンサ1に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は圧電素子を用いた非共振型ノッキングセンサであれば、どのような形状のセンサにも適用することができ、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0027】
つまり、例えば、非共振型ノッキングセンサとして、従来より図3に示す形状の非共振型ノッキングセンサ2が知られているが、このような形状の非共振型ノッキングセンサ2に本発明を適用しても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0028】
尚、図3に示す非共振型ノッキングセンサ2において、構造を以下に説明する。
主体金具40は、上面が開口し、構成部品を収納するための凹部40cを有している。この凹部40cの底面の中心には、雌ネジ部40bを有し、凹部40cの底面の中心に、円環状の圧電素子41および円環状の錘42が順に載置されている。
【0029】
そして、締付けネジ43を絶縁チューブ49に挿通した状態で、錘42および圧電素子41に挿通し、雌ネジ部40bと螺合させることにより、圧電素子41および錘42は主体金具40に締結されている。
次に、ゴムダンパ44は凹部40cの底面を覆うように載置されていて、抵抗45、端子部47、および電極48は所定の場所に半田付けで固定されている。
【0030】
そして、凹部40cの全体に流し込まれた樹脂46によって、外部からの衝撃や水の浸入から保護されていて、主体金具40の下部に設けられた雄ネジ部40aによって内燃機関に固定されている。
このような構造を有する非共振型ノッキングセンサ2に、BNT−BKT−BT系成分を主成分とする圧電素子41を使用することにより、従来からのPZTを主成分とする圧電素子41を使用した場合に比べて、図1に示した非共振型ノッキングセンサ1と同様に、センサ使用環境の温度変化に対するセンサの出力変化が小さく、比較的温度特性の良い非共振型ノッキングセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の非共振型ノッキングセンサの概略構成を示す説明図である。
【図2】非共振型ノッキングセンサにおいて振動周波数と出力変化率との関係を示すグラフである。
【図3】別形状の非共振型ノッキングセンサの概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1…非共振型ノッキングセンサ、2…非共振型ノッキングセンサ、20…主体金具、20a…本体部、20b…鍔部、20c…雄ネジ部、21…圧電素子、22…検出電極、23…絶縁部材、24…錘、25…座金、26…ナット、27…ケース、28…非共振型ノッキングセンサ固定用挿通孔、29…電極端子、40…主体金具、40a…雄ネジ部、40b…雌ネジ部、40c…凹部、41…圧電素子、42…錘、43…締付けネジ、44…ゴムダンパ、45…抵抗、46…樹脂、47…端子部、48…電極、49…絶縁チューブ。
Claims (1)
- 圧電素子と、
該圧電素子に所定の押圧力を加えるための錘と、
該圧電素子および該錘を順に載置するための載置部を有し、該載置部に該圧電素子および該錘を載置した状態で内燃機関に固定可能な主体金具と、
を備えた非共振型ノッキングセンサであって、
前記圧電素子は、(Bi0.5Na0.5)TiO3と、(Bi0.5K0.5)TiO3と、BaTiO3と、の三成分を主成分として焼成した圧電体セラミックスから成ることを特徴とする、非共振型ノッキングセンサ。
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- 2002-08-29 JP JP2002251320A patent/JP2004093197A/ja active Pending
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