JP3910030B2 - 内燃機関のノッキング検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に発生したノッキングを検出するノッキング検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来ノッキング検出装置としては、様々な種類が存在するが、そのうちの一つに、内燃機関のシリンダヘットに装着するタイプがある。
この種のノッキング検出装置は、一般に、外周に雄ネジ部が形成された内燃機関に取り付け可能な挿通孔を有した本体部と、その雄ネジ部の切り終わりよりも軸方向下方にて外側に張り出した鍔部とを有した支持部材を備えている。
【0003】
この支持部材は、鍔部の上に圧電材料からなる検出素子と金属製材料からなる錘が載置されており、錘に一定の圧力を加えつつ検出素子と錘を固定するために、上部から座金とナットにより締め付けられている。尚、検出素子と錘は、支持部材の本体部を挿通するための挿通孔を有している。
【0004】
また、このノッキング検出装置は、検出素子からの信号を外部に引き出すために、検出素子と支持部材の鍔部との間及び、検出素子と錘との間に配置された検出電極を備え、更にこれら全てを外側から保護するカバーを備えている。
このようにして構成されたノッキング検出装置は、内燃機関のシリンダヘッドに、ボルトを用いて支持部材の挿通孔に通して締め付ける等の方法で装着して使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来のノッキング検出装置は、支持部材、検出素子、検出電極、錘、座金及びナットというように多数の部品により構成されており、またこれらを決められた順に載置し適当な加重をかけて固定する必要があるため、組立にも手間を要した。したがって従来のノッキング検出装置には、コスト高を招く問題があった。
【0006】
そこで本発明では、従来のノッキング検出装置に比較し、部品点数を減らし、組立の手間を軽減し、ひいてはコストが抑えられた内燃機関のノッキング検出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、外周に雄ネジ部が形成された本体部と、該雄ネジ部の切り終わりよりも軸方向下方において前記本体部から外側に張り出した鍔部とを有する支持部材と、前記本体部を挿通するために挿通孔が形成され、前記鍔部の上に載置される圧電材料からなる検出素子と、前記本体部を挿通するために挿通孔が形成され、前記検出素子に所定の圧力を加えるために前記検出素子に載置される錘と、前記検出素子からの信号を外部に引き出すために、前記検出素子と前記鍔部との間及び前記検出素子と前記錘との間に配置された検出電極と、を備えた内燃機関用ノッキング検出装置であって、前記錘の挿通孔には、前記雄ネジ部に螺合する雌ねじ部が形成されており、前記支持部材は絶縁性材料からなることを特徴とする。
【0008】
このように本発明では、錘自体に雌ねじ部が形成されているために錘単独で支持部材に固定することができる。また、この錘により所定の圧力をかけた状態で検出素子や検出電極も固定することができる。そのため、従来必要であったナットと座金が不要となる。
【0009】
したがって本発明によるノッキング検出装置によれば、従来のそれに比べ部品点数を減らし、組立の手間を軽減することができる。よって本発明によれば、従来と同様の機能を有するノッキング検出装置を低コストで製造し、安価に供給できる。
また、前記支持部材に絶縁性材料を使用しているため、検出素子から得られる検出電流が前記支持部材により短絡されることがなく絶縁部材を用いる必要がない。そのため、部品点数が減り、組立も容易となる。また、前記支持部材にプラスチック等の材質を使用することが可能となり、ノッキングセンサの軽量化及び、材質上製作が容易であるため形状の自由度も向上する効果が得られる。
【0013】
一方、錘の雌ネジ部と本体部の雄ネジ部が完全に密着している場合、錘自身が前記本体部に完全に固定されることとなり振動特性が悪化する場合がある。そこで、請求項2に記載のように、前記錘において、挿通孔の一方の開放端側が雌ネジ部よりも拡径させることにより、前記支持部材の本体部との間に隙間を形成するとよい。このようにすれば、錘の固定箇所が挿通孔全体でなくなり、部分的に錘自身の自由運動が容易となる。この結果、加速運動による前記錘の前記検出素子に対しての加圧が増加するために、ノッキング検出装置としての性能が向上する効果が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の参考例を図面と共に説明する。
図1は、参考例のノッキング検出装置全体の外観図(a)と断面図(b)である。断面図(b)においてノッキング検出装置は、金属製の材質(例えばSWCH35K)からなり外周に雄ネジ部が形成された本体部20aとその雄ネジ部の切り終わりよりも軸方向下方にて外側に張り出した鍔部20bとを有し内燃機関に取り付け可能な支持部材20と、圧電材料からなる検出素子21と、錘としての効果を発揮する程度の比重を持った金属材料(例えばSGD3)からなる錘24と、導電性材料(例えば黄銅)からなる検出電極22と、フィルム状の絶縁性を有する合成樹脂(例えばPET)からなる絶縁部材23と、外部に電気信号を取り出す箇所となる電極端子25と、合成樹脂(例えば66ナイロン)からなり全体を保護するためのカバー26とを備えている。
【0015】
この内、支持部材20はノッキング検出装置固定用挿通孔27を備えている。また、検出素子21、錘24、検出電極22及び絶縁部材23は、本体部20aを挿通するための挿通孔を備えている。
一方、図2は錘24を示し、(a)は平面図、(b)は一部破断側面図、(c)は底面図である。図2に示すように、錘24は前記支持部材20に取り付け用の挿通孔243を有した円盤状の形状で、その軸方向上部の外周には固定時に使用するための六角ナット部242が形成され、挿通孔243の内壁には支持部材20に固定するための雌ネジ部241が形成されている。本参考例では、挿通孔243内にある雌ネジ部241は挿通孔243内の上部内壁にのみあり、それ以外の部位の挿通孔の径は雌ネジ部241の径に比較し大きくなっている。
【0016】
次にノッキング検出装置2を組み立てる手順の一例について図1(b)を用いて説明する。
(1)まず、支持部材20の上に検出素子21及び錘24を載置する。この時、検出素子21の上下に検出電極22を挟み、支持部材20と検出素子21の間及び、錘24と検出素子21の間には絶縁部材23を挟む。
【0017】
(2)次に錘の雌ネジ部241を支持部材20の雄ネジ部20cに螺合し、更に六角ナット部242利用して錘24を支持部材20に締め付ける。尚、この時の締め付けトルクは、検出素子22に所定の圧力がかかるように締め付ける。なぜならば、検出素子22の実体である圧電素子が、所定の圧力下にて望む結果が得られる性質を有するからである。
【0018】
(3)そして最後に、電極端子25及び、カバー26を取り付ける。以上のような手順によりノッキング検出装置2を組み立てることができる。
一方、本ノッキング検出装置の内燃機関への取り付けは、ノッキング検出装置固定用挿通孔27を使用して内燃機関のシリンダヘッド等に固定することにより行う。内燃機関より支持棒が突出している場合は、その支持棒にノッキング検出装置固定用挿通孔27を差し、上部よりナット等で固定する。また、内燃機関にボルト用の雌ネジがある場合は、ボルトをノッキング検出装置固定用挿通孔27の上部より挿通させ締め付けることにより固定する。電極端子25については、本装置より発生する検出電圧を処理するための装置に接続する。
【0019】
このように、内燃機関にノッキング検出装置を取り付け、内燃機関からノッキング検出装置2に振動が伝わると、錘24によって加重のかかった検出素子21に、振動に対応した検出電圧が発生する。その検出電圧は検出電極22及び電極端子25を通って、外部の検出電圧を処理するための装置に出力され、この装置でノッキングの判定が行われる。
【0020】
以上説明したように、本参考例では錘24自体に雌ネジ部241が形成されているので、従来装置のようにナットや座金を用いることなく、検出素子21に対して所定の加重をかけた状態で支持部材20に固定できる。このため本参考例によるノッキング検出装置によれば、従来のそれに比べ部品点数を減らし、組立の手間を軽減することができる。よって本参考例によれば、従来と同様の機能を有するノッキング検出装置を低コストで製造し、安価に供給できる。
【0021】
また、本参考例では、支持部材20に金属を用いているため、強度、耐熱性や耐久性に優れたノッキング検出装置となっている。
また、本参考例では、挿通孔243内にある雌ネジ部241は挿通孔243内の上部にのみあり、それ以外の部位の挿通孔243の径は雌ネジ部241の径に比較し大きくなっている。そのため挿通孔全体によって錘24は、支持部材20に固定されていないため、部分的に錘24自身の自由運動が容易となる。したがって、内燃機関からノッキング検出装置に振動が伝わると、錘24が容易に加速運動をし、その加速度運動に応じた検出電圧が得られ、結果的にノッキング検出装置としての性能が向上する効果が得られる。
【0022】
以上、本発明の参考例について説明したが、本発明は上記参考例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記参考例は支持部材20に導電性材料を使用しているが絶縁性材料を使用することも可能である(このようにしたものが本発明の実施例に相当する)。支持部材20に絶縁性材料を使用すれば、検出素子22で発生する検出電流が支持部材20によって短絡されることがなくなり、絶縁部材23は不要となる。したがって、ノッキング検出装置の組立がより容易になるととともに、前記支持部材にプラスチック等の材質を使用することが可能となり、前記支持部材の軽量化及び、材質上製作が容易であるため形状の自由度も向上する効果が生まれる。
【0023】
また、図2の挿通孔243において、参考例では雌ネジ部241がない部分の径は一定であるが、この径を軸方向に対して漸次的に増加及び減少させることも考えられる。また挿通孔243内を全て雌ネジ部で構成することも考えられる。これらのことにより振動特性が変化し、加速運動による検出素子21に対しての加圧の状態も変化するため、種々の特性を持ったノッキング検出装置が得られる。
【0024】
また、図3(a)及び(b)は、図1における錘24の別の形状である。図3(a)(b)に示す各錘は共に雌ネジ部241、締め付け時に使用するための六角ナット部242を備えている。図3(a)に示す錘24は全体が六角ナットの形状を有している。このような形状を採れば、図1に示した錘24と同様の効果を有した上で、錘の締め付け時の作業性が向上する効果が得られる。
【0025】
また、図3(b)に示す錘24は、雌ネジ部241が軸方向下方にあり、図1に示した錘24とは雌ネジ部241の位置が異なる。このような形状をしていても、支持部材20に固定することができ、検出素子21に加重をかけるという錘本来の役割も果たすことが可能である。そして、図3(b)に示す錘24の自由運動の特性が、図1に示した錘24とは異なるので、ノッキング検出装置の検出特性も異なる特性が得られる。
【0026】
また、検出素子の圧電材料としては、チタン酸鉛や、チタン酸バリウム等の通常の圧電材料を用いることが出来る。また、環境負荷軽減のための鉛フリー材料としては、BNT、BT、BKTの様な3種の酸化物からなるペロブスカイト型の結晶構造を含む圧電材料セラミックスを用いることも出来る。ここで、BNTは(Bi0.5Na0.5)TiO3を、BTはBaTiO3を、BKTは(Bi0.5K0.5)TiO3を、それぞれ示す。この鉛フリー材料は150℃という高温下で長時間使用しても熱劣化が少ないというノッキングセンサに利用した場合に有利な効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のノッキング検出装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】 錘24の概略構成を示す説明図である。
【図3】 錘24の別形状の概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
2…ノッキング検出装置、20…支持部材、21…検出素子、22…検出電極、23…絶縁部材、24…錘、25…電極端子、26…カバー、27…ノッキング検出装置固定用挿通孔、241…雌ネジ部、242…六角ナット部、243…挿通孔。
Claims (2)
- 外周に雄ネジ部が形成された本体部と、該雄ネジ部の切り終わりよりも軸方向下方において前記本体部から外側に張り出した鍔部とを有する支持部材と、
前記本体部を挿通するために挿通孔が形成され、前記鍔部の上に載置される圧電材料からなる検出素子と、
前記本体部を挿通するために挿通孔が形成され、前記検出素子に所定の圧力を加えるために前記検出素子に載置される錘と、
前記検出素子からの信号を外部に引き出すために、前記検出素子と前記鍔部との間及び前記検出素子と前記錘との間に配置された検出電極と、
を備えた内燃機関用ノッキング検出装置であって、
前記錘の挿通孔には、前記雄ネジ部に螺合する雌ねじ部が形成されており、
前記支持部材は絶縁性材料からなることを特徴とする内燃機関用ノッキング検出装置。 - 前記錘は、前記挿通孔の軸方向一方の開放端側が雌ネジ部よりも拡径しており、前記支持部材の本体部との間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項1の内燃機関用ノッキング検出装置。
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