JP5022926B2 - 圧電磁器組成物,及び圧電素子 - Google Patents
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成分系磁器が用いられてきた。上記PZTは、大きな圧電性を示し、かつ高い機械的品質係数を有しており、センサ、アクチュエータ、フィルター等の各用途に要求される様々な特性の材料を容易に作製できるからである。
また、上記PZTは高い比誘電率を有するためコンデンサ等としても利用することができる。
"Journal of the American Ceramic Society"、米国、1962、Vol.45、No.5、p.209
該圧電磁器組成物は,Agを添加元素として含有してなり,
上記添加元素の含有量は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.001mol〜0.15molであることを特徴とする圧電磁器組成物にある(請求項1)。
本発明の圧電磁器組成物は、その組成中に鉛を含有していない。
そのため、上記圧電磁器組成物は、その廃棄物等から有害な鉛が自然界に流出することがなく、安全である。
そのため,上記圧電磁器組成物は,圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,圧電g31定数等の圧電特性,比誘電率ε33T/ε0,誘電損失tanδ等の誘電特性,またキュリー温度Tcに優れている。
なお,上記添加元素を含有しておらず,上記一般式{Lix(K1-yNay)1-x}a(Nb1-z-wTazSbw)bO3で表される組成を,以下適宜,「基本組成」という。
なお、上記圧電磁器組成物において、上記添加元素は、上記一般式で表される化合物に対して置換添加により含有されていてもよく、また、上記一般式で表される化合物に対して外添加により含有されていてもよい。
また、上記圧電磁器組成物は、上記圧電特性に加えて比誘電率及び誘電損失等の誘電特性にも優れている。そのため、高性能な誘電素子としても利用することができる。即ち、上記第1の発明における圧電磁器組成物は、圧電特性を有する圧電磁器組成物に限らず、誘電特性を有する誘電磁器組成物をも含む概念である。
また,上記圧電素子は,上記圧電磁器組成物が有する,圧電d31定数等の圧電特性が優れるという性質をそのまま利用することができる。そのため,上記圧電素子は,感度の高い圧電センサ素子,高い電気機械エネルギー変換効率を有する圧電振動子及びアクチュエータ素子等として利用することができる。
ここで,x>0.2,z>0.4,w>0.2,z=0,又はw=0の場合には,圧電d31定数などの圧電特性及び誘電特性が低下し,所望の特性の圧電磁器組成物を得ることができないおそれがある。
また,上記一般式{Lix(K1-yNay)1-x}a(Nb1-z-wTazSbw)bO3で表される化合物において,yの範囲は,0.05≦y≦0.75であることが好ましい。この場合には,上記圧電磁器組成物の圧電d31定数及び電気機械結合係数Kpを一層向上させることができる。さらに一層好ましくは,0.05≦y<0.75がよく,さらには0.35≦y≦0.65がよく,さらには0.35≦y<0.65がより好ましい。また,最も好ましくは,0.42≦y≦0.60がよい。
したがって,本発明においては,上記一般式{Lix(K1-yNay)1-x}a(Nb1-z-wTazSbw)bO3で表される化合物は,これをペロブスカイト構造の組成式ABO3にあてはめたときに,Aサイト原子とBサイト原子の構成比を1:1に対してそれぞれ±5モル%程度までずれた構成比とすることができる。なお,構成される結晶中の格子欠陥をより少なくし,高い電気的特性を得るためには,好ましくは±3%程度までの組成がよい。
即ち,上記圧電磁器組成物の主成分としての上記一般式で表される化合物は,[Lix(K1-yNay)1-x]a(Nb1-z-wTazSbw)bO3(0<x≦0.2,0.05≦y≦0.75,0<z≦0.4,0<w≦0.2,0.95≦a,b≦1.05)となる範囲を含むものである。また,上述のごとく,上記の式において,a及びbの範囲は0.97≦a,b≦1.03であることが好ましい。
この場合には,Liが必須成分となるので,上記圧電磁器組成物は,その作製時の焼成を一層容易に行うことができると共に,圧電特性をより向上させ,キュリー温度Tcを一層高くすることができる。これはLiを上記の範囲内において必須成分とすることにより,焼成温度が低下すると共に,Liが焼成助剤の役割を果たし,空孔の少ない焼成を可能とするからである。
なお、上記添加元素の含有量は、Agのモル数である。
上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物(以下適宜基本圧電磁器組成物という)の圧電d31定数よりも大きい場合には,上記添加元素の効果を充分に得ることができ,圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等の圧電素子への適用がより容易になる。
上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物(基本圧電磁器組成物)の電気機械結合係数Kpよりも大きい場合には,上記添加元素の効果を充分に得ることができ,圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等の圧電素子への適用がより容易になる。
上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物(基本圧電磁器組成物)の圧電g31定数よりも大きい場合には,上記添加元素の効果を充分に得ることができ,圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等の圧電素子への適用がより容易になる。
上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物(基本圧電磁器組成物)の比誘電率よりも大きい場合には,上記添加元素の効果を充分に得ることができ,コンデンサ等の誘電素子への適用がより容易になる。
上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物(基本圧電磁器組成物)の誘電損失よりも小さい場合には,上記添加元素の効果を充分に得ることができ,コンデンサ等の誘電素子への適用がより容易になる。
上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物(基本圧電磁器組成物)のキュリー温度よりも大きい場合には,上記添加元素の効果を充分に得ることができ,例えば自動車のエンジン付近等のように100℃を超える高温度の環境下における利用がより容易になる。
この場合には,30pm/V以上という高い圧電d31定数を生かして,上記圧電磁器組成物を,圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等として利用することができる。
上記圧電d31定数が30pm/V未満の場合には,実用に充分耐えうる特性の圧電素子として利用できないおそれがある。
この場合には,0.30以上という高い電気機械結合係数Kpを生かして,上記圧電磁器組成物を機械エネルギーと電気エネルギーの変換効率に優れた圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等として利用することができる。
また、機械エネルギーと電気エネルギーの変換効率がより一層優れたものを得るためには、上記電気機械結合係数Kpは0.34以上であることがより好ましい。さらに好ましくは0.4以上がよい。さらに一層好ましくは、0.5以上がよい。
この場合には,上記7×10-3Vm/N以上という高い圧電g31定数を活かして,上記圧電磁器組成物を昇圧比の優れた圧電トランス,超音波モータ素子,センサ素子等として利用することができる。
また、さらに昇圧比の優れたものを得るために、上記圧電g31定数は、8×10-3Vm/N以上であることがより好ましい。
この場合には,400以上という高い比誘電率を活かして,上記圧電磁器組成物を静電容量の大きなコンデンサなどの誘電素子として利用することができる。
また、上記比誘電率は、430以上であることが好ましい。さらに好ましくは、600以上がよい。
この場合には,0.09以下という低い誘電損失を生かして,上記圧電磁器組成物をコンデンサ等の誘電素子,圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等として利用することができる。
この場合には,200℃以上という高いキュリー温度Tcを活かして,上記圧電磁器組成物を,例えば自動車のエンジン付近等のように100℃を超える高温度の環境下にて利用することができる。
上記キュリー温度Tcが200℃未満の場合には,上記圧電磁器組成物を例えば自動車のエンジン付近のように高温の場所に用いると,その圧電d31定数や電気機械結合係数Kp等の特性が低下するおそれがある。そのため,より好ましくは,上記キュリー温度Tcは250℃以上であることがよい。
この場合には,温度100℃を超える高温度環境下において,上記圧電磁器組成物を感度の高いセンサ素子,超音波モータ素子,アクチュエータ素子,圧電トランス素子,圧電振動子等として利用することができる。
また,より感度の優れた圧電センサ特性又はより大きな圧電アクチュエータ特性を得るために,上記圧電d31定数は40pm/V以上であることが好ましい。さらに好ましくは80pm/V以上がよい。さらに一層好ましくは,上記圧電d31定数は100pm/V以上がよい。
また,上記キュリー温度Tcは250℃以上であることがより好ましい。
この場合には,温度100℃を超える高温度環境下において,上記圧電磁器組成物を昇圧比の優れた圧電トランス,超音波モータ素子,センサ素子等として利用することができる。
また,さらに昇圧比の優れたものを得るために,上記圧電g31定数は8×10-3Vm/N以上であることがより好ましい。
また,上記キュリー温度Tcは250℃以上であることがより好ましい。
この場合には,温度100℃を超える高温度環境下において,上記圧電磁器組成物を機械エネルギーと電気エネルギーの変換効率に優れた圧電アクチュエータ素子,圧電振動子,センサ素子,圧電トランス素子,超音波モータ素子等として利用することができる。
また,機械エネルギーと電気エネルギーの変換効率がより一層優れたものを得るためには,上記電気機械結合係数Kpは0.34以上であることがより好ましい。さらに好ましくは,0.4以上がよい。
また,上記キュリー温度Tcは250℃以上であることがより好ましい。
この場合には,温度100℃を超える高温度環境下において,上記圧電磁器組成物をコンデンサ等の誘電素子,圧電トランス素子,超音波モータ素子,センサ素子等として利用することができる。
また,上記誘電損失は0.035以下であることがより好ましい。更に好ましくは,0.02以下がよい。
また,上記キュリー温度Tcは250℃以上であることがより好ましい。
この場合には,上記圧電磁器組成物を,温度100℃を超える高温度環境下において使用することができ,感度及び機械エネルギーと電気エネルギーの変換効率に優れたものとすることができる。
また,より感度の優れた圧電センサ特性,又はより大きな圧電アクチュエータ特性を得るために,上記圧電d31定数は40pm/V以上であることがより好ましい。また,上記電気機械結合係数Kpは,0.34以上であることがより好ましい。
また,上記圧電磁器組成物は,例えばLiを含有する化合物と,Naを含有する化合物と,Kを含有する化合物と,Nbを含有する化合物と,Taを含有する化合物と,Sbを含有する化合物とを,焼成後に一般式{Lix(K1-yNay)1-x}a(Nb1-z-wTazSbw)bO3で表され,かつx,y,z,w,a,bがそれぞれ0<x≦0.2,0.05≦y≦0.75,0<z≦0.4,0<w≦0.2,0.95≦a,b≦1.05の組成範囲にある化合物となるような化学量論比にて,又は下記の添加物に含有されるAgによる置換を考慮した化学量論比にて混合し,さらに,Agを含む添加物を上記一般式で表される化合物1molに対する上記Ag元素量が0.001mol〜0.15molとなるように混合し,焼成することにより製造することができる。
このとき,Liを含有する化合物と,Naを含有する化合物と,Kを含有する化合物と,Nbを含有する化合物と,Taを含有する化合物と,Sbを含有する化合物と,上記添加物とを,該添加物に含有されるAgによる置換を考慮した化学量論比にて混合した場合には,上記一般式で表される化合物中のLi,Na,K,Nb,Ta,及びSbのいずれか1種以上の少なくとも一部を,上記添加物が含有するAgに積極的に置換させることができる。
上記の「添加物に含有されるAgによる置換を考慮した化学量論比にて混合」は,例えば上記一般式で表される化合物のLiに,上記添加物のAgを置換させる場合には,Liを含む化合物の量を減らし,その減らした分だけ上記添加物を添加して混合すると共に,全体としては,焼成後に一般式{Lix(K1-yNay)1-x}a(Nb1-z-wTazSbw)bO3で表される化合物が合成されるような化学量論比にて混合すること等により,実現することができる。上記一般式中の,K,Na,Nb,Ta,Sbという他の原子に置換させる場合にもこれらを含む化合物の量を減らし,その分だけ置換させたい金属元素を含む添加物を添加すること等により実現することができる。例えばAgを置換添加する場合は,{Lix(K1-yNay)1-x-uAgu}a(Nb1-z-wTazSbw)bO3のようになる。
一方,焼成後に上記一般式{Lix(K1-yNay)1-x}a(Nb1-z-wTazSbw)bO3で表される化合物となるような化学量論比にて,Liを含有する化合物と,Naを含有する化合物と,Kを含有する化合物と,Nbを含有する化合物と,Taを含有する化合物と,Sbを含有する化合物とを混合し,ここに上記添加物をさらに混合し,これを焼成することにより,上記Ag又はこれを含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等として上記添加物を含有する圧電磁器組成物を積極的に作製することができる。
上記添加物としては,Ag又はこれを含む化合物等がある。
上記添加物を添加した結果,その添加物に含まれるAgは添加元素として,上記焼成後に一般式{Lix(K1-yNay)1-x}a(Nb1-z-wTazSbw)bO3で表される化合物のLi,K,Na,Nb,Ta,及びSbの少なくとも一部に置換して,圧電磁器組成物中に含有される場合がある。また,上記金属元素又は該金属元素を含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,上記圧電磁器組成物中の粒内乃至は粒界に含有される場合もある。
この場合には,上記圧電磁器組成物を容易に作製することができる。
次に,本発明の実施例にかかる圧電磁器組成物について説明する。
本例では,上記圧電磁器組成物を製造し,その特性を測定する。
本例の圧電磁器組成物は,一般式{Lix(K1-yNay)1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0<x≦0.2,0.05≦y≦0.75,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物を主成分とする圧電磁器組成物である。該圧電磁器組成物は,Pd,Ag,Au,Ru,Rh,Re,Os,Ir,Ptから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を添加元素として含有してなる。そして,上記添加元素の含有量の合計は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.001mol〜0.15molである。
まず、圧電磁器組成物の基本組成の原料として、純度99%以上の高純度のLi2CO3、Na2CO3、K2CO3、Nb2O5、Ta2O5、Sb2O5、及び上記添加物としてのPdO2、Ag2O、Au、RuO2、Re2O7、IrO2、PtO2を準備した。
そして、上記の各配合物をそれぞれボールミルによりアセトン中で24時間混合して混合物を作製した。
造粒後の各粉体を圧力2ton/cm2にて、直径13mm、厚さ2mmの円盤状に加圧成形し、得られる成形体を温度1000〜1300℃にて1時間焼成し、焼成体を作製した。なお、このときの具体的な焼成温度は、上記の1000℃〜1300℃という温度範囲のうち、1時間の焼成によって最大密度の焼成体が得られる温度を選定した。そしてこのとき、上記焼成体は、すべて相対密度98%以上に緻密化されていた。
このようにして、7種類の圧電磁器組成物(試料E1〜E7)を作製した。各試料における原料及び添加物の配合比を表1に示す。表1における各試料は、上記添加物中の各金属元素を外添加する方法で作製されたものである。
まず、比較品の原料として、純度99%以上の高純度のLi2CO3、Na2CO3、K2CO3、Nb2O5、Ta2O5、及びSb2O5を準備した。
るような化学量論比、即ち上記一般式が(K0.5Na0.5)NbO3となるような化学量論比にて、配合し、ボールミルによりアセトン中で24時間混合して混合物を得た。
この混合物を上記試料E1〜E7と同様にして、仮焼、造粒、成形、焼成し、分極を施して、比較品としての圧電磁器組成物(試料C1)を作製した。
試料C1は、(K0.5Na0.5)NbO3を含有してなる圧電磁器組成物である。
まず、上記にて準備した原料のLi2CO3、Na2CO3、K2CO3、Nb2O5、Ta2O5、及びSb2O5を、焼成後に上記一般式{Lix(K1-yNay)1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3において、x=0.04、y=0.5、z=0.1、及びw=0.04となるような化学量論比、即ち上記一般式が{Li0.04(K0.5Na0.5)0.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3で表される化合物となるような化学量論比にて、混合し、ボールミルによりアセトン中で24時間混合して混合物を得た。
試料C2は、上記試料E1〜E7と同様に化合物{Li0.04(K0.5Na0.5)0.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3を主成分として含有するが、その一方で上記添加元素を含有してない圧電磁器組成物である。
上記試料C1及び試料C2の組成比を表1に示す。
また、上記誘電損失tanδ及び比誘電率ε33T/ε0は、上記と同様のインピーダンスアナライザーを用いて、測定周波数1kHzにて測定した。
また、キュリー温度Tcは、比誘電率ε33T/ε0が最も高いときの温度をもってキュリー温度Tcとした。
その結果を表2に示す。
また、上記試料E1〜試料E7は、試料C2に比較しても、圧電d31定数、電気機械結合係数Kp、圧電g31定数、比誘電率ε33T/ε0、誘電損失tanδ、キュリー温度Tcにおいて、同程度以上の優れた特性を有していた。
特に、圧電d31定数、電気解決合計数Kp、及び比誘電率ε33T/ε0については、試料E1〜E7のほとんどが試料C1及び試料C2よりも優れており、また誘電損失tanδについては、試料E1〜E7のすべてが試料C1及び試料C2よりも優れていた。
加速度センサ、加重センサ、衝撃センサ及びノックセンサ等の圧電型センサの出力電圧に比例する。その点からみると、圧電d31定数が高い圧電磁器組成物ほど電荷センサ出力の大きなセンサ素子を作ることができる。そして、比較品としての試料C1と同等以上の特性を有するセンサ素子を作製するには、少なくとも30pm/V以上の圧電d31定数を有することが好ましいといえる。さらに信号雑音比(SN比)及び出力電圧を高めて高感度なセンサ素子を作製するためには、上記圧電d31定数は80pm/V以上のものがよい。さらに好ましくは100pm/V以上のものがよい。
また、上記高温用のセンサ部品、アクチュエータ部品、超音波モータ部品等としてさらに長時間安定に使用するためには、上記キュリー温度Tcは、200℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは、250℃以上のものがよい。
は、8.94×10-3Vm/Nというもっとも高い値を示した。
波モータ素子等の出力電圧に比例する。そのため、圧電g31定数が高い圧電磁器組成物ほ
ど電圧センサ出力の大きなセンサを作ることができる。そして、比較品と同等以上の特性を有するセンサを作製するには、少なくとも7×10-3Vm/N以上の圧電g31定数を有することが好ましいといえる。さらに好ましくは、8×10-3Vm/N以上のものがよい。
本例は、上記添加物の含有量の臨界域を決定するために、上記一般式{Lix(K1-yNay)1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される化合物に、上記添加物としてのAg2Oを、その量を変化させて含有させた例である。
した。
これらの原料のうち、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、Nb2O5、Ta2O5、Sb
2O5を焼成後に上記一般式{Lix(K1-yNay)1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3にお
いて、x、y、z、wがそれぞれx=0.04、y=0.5、z=0.1、w=0.06となるような化学量論比にて配合し、さらに上記添加物としてのAg2Oを、その添加量
を変えて配合し16種類の配合物を得た。
そして、上記の各配合物をそれぞれボールミルによりアセトン中で24時間混合して混合物を作製した。
本例では、Agを添加したときの効果を明らかにする目的で、{Li0.04(K0.5Na0.5)0.96}(Nb0.84Ta0.1Sb0.06)O3で表される化合物中のK及びNaに対してAgが置換添加される添加方法で各試料を作製した。即ち、例えば試料X8においては、その組成が{Li0.04(K0.5Na0.5)0.86Ag1.0}(Nb0.84Ta0.1Sb0.06)O3となるようにした。
具体的には、まず純度99%以上の高純度のLi2CO3、Na2CO3、K2CO3、Nb2O5、Ta2O5、及びSb2O5を準備し、これらの原料を、焼成後にLi0.04(K0.5Na0.5)0.96}(Nb0.84Ta0.1Sb0.06)O3で表される化合物となるような化学量論比にて、混合し、ボールミルによりアセトン中で24時間混合して混合物を得た。続いて、この混合物を実施例1の試料E1〜試料E7と同様にして、仮焼、造粒、成形、焼成し、分極を施して、圧電磁器組成物(試料Y1)を得た。試料Y1の組成比を表3に示す。
すなわち、表3及び表4より知られるごとく、添加物としてのAg2Oの添加量が、上記一般式で表される化合物1molに対して、添加元素Agの含有量で、0.001mol〜0.15molであるとき、上記圧電磁器組成物は、圧電d31定数、比誘電率ε33T/ε0、誘電損失tanδに特に優れることがわかる。
また、表4により知られるごとく、上記試料X1〜X9は、その電気機械結合係数Kp、圧電g31定数、及びキュリー温度Tcにおいても、試料Y1と同程度の優れた特性を示した。
Claims (8)
- 一般式{Lix(K1-yNay)1-x}a(Nb1-z-wTazSbw)bO3で表され,かつx,y,z,w,a,bがそれぞれ0<x≦0.2,0.05≦y≦0.75,0<z≦0.4,0<w≦0.2,0.95≦a,b≦1.05の組成範囲にある化合物を主成分とする圧電磁器組成物であって,
該圧電磁器組成物は,Agを添加元素として含有してなり,
上記添加元素の含有量は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.001mol〜0.15molであることを特徴とする圧電磁器組成物。 - 請求項1において,上記圧電磁器組成物は,圧電d31定数が30pm/V以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
- 請求項1又は2において,上記圧電磁器組成物は,圧電g31定数が7×10-3Vm/N以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物は,キュリー温度Tcが200℃以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
- 請求項1において,上記圧電磁器組成物は,圧電d31定数が30pm/V以上で,かつキュリー温度Tcが200℃以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
- 請求項1において,上記圧電磁器組成物は,圧電g31定数が7×10-3Vm/Nで,かつキュリー温度Tcが200℃以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
- 請求項1において,上記圧電磁器組成物は,圧電d31定数が30pm/V以上で,かつ電気機械結合係数Kpが0.3以上で,かつキュリー温度Tcが200℃以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の圧電磁器組成物を有することを特徴とする圧電素子。
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