JP6531394B2 - 複合圧電磁器および圧電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、複合圧電磁器および圧電素子に関するものである。
電界を加えると機械的な歪み及び応力を発生する、いわゆる圧電現象を示す圧電磁器が知られている。このような圧電磁器は、アクチュエータや圧電ブザー、発音体、センサなどの各種圧電素子に用いられている。また、最近では振動発電にも利用されている。
圧電磁器を利用したアクチュエータは、微量な変位を高精度に得ることができると共に、発生応力が大きい等の特徴を有しており、例えば、精密工作機械や光学装置の位置決めに用いられている。アクチュエータに用いられる圧電磁器としては、優れた圧電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が最も多く利用されている。しかし、PZTは鉛(Pb)を多く含んでいるので、最近では、酸性雨によるPbの溶出など地球環境に及ぼす影響が懸念されている。そこで、PZTに代わる、Pbの量が十分に低減された圧電磁器の材料が求められている。かかる要求に応じて、Pbを含有しない様々な圧電磁器の材料が提案されている。
Pbを含有しない圧電磁器の材料としては、チタン酸バリウム(BaTiO)やニオブ酸カリウム(KNbO)が知られている。そして、これらの圧電特性を改善するために、BaTiOとKNbO等が固溶した圧電磁器の材料が提案されている。
例えば、x(Ba1−aCa)TiO−yKNbO−zNaNbOの化学式で表される圧電磁器組成物が提案されている(特許文献1参照)。
複数の成分が固溶している圧電磁器は、例えば、正方晶/斜方晶の結晶相境界、即ち、MPB(Morphotropic Phase Boundary)が存在することにより、高い圧電特性を示すことが一般的に知られている。このため、2成分系や3成分系の固溶体における結晶相境界付近での研究が頻繁に行われている。
特許文献2では、KNbOとBaTiOの2成分系の固溶した固溶体を主成分として含有し、2成分の合計に対する前記KNbOのモル比率が0.5〜0.9である圧電セラミックスが開示されている。
しかし、特許文献2のような2成分系では、一方の成分の割合が極端に高く、他方の成分の割合が極端に低い組成に結晶構造の相境界があると認識されていた。そのため、一方の成分の割合が極端に高い、偏った組成でのみ圧電性を示すと考えられていた。
また、KNbOとBaTiOの2成分系は、焼成可能な温度領域が非常に狭いため、焼成温度が低い場合には、焼結せず圧電特性が十分に得られなく、焼成温度が高い場合には、カリウム(K)等が蒸発するため組成変動が生じる等の問題が生じる。
また特許文献3には、BaTiO結晶粒子成形体の表面にKNbO、NaNbO等を形成する複合圧電セラミックスが開示されている。
特許文献3に示される構造にした場合、BaTiO結晶粒子成形体をベースとしている材料のため、BaTiOのキュリー温度(Tc)付近で正方晶から立方晶へと構造が変化してしまう。そのため、誘電率、圧電特性が大きく変化する。一度キュリー温度(Tc)以上で立方晶の構造になった場合、温度を下げても圧電特性が十分に得られないという不具合があった。
特開2003−252681号公報 特開2009−227482号公報 特開2012−254913号公報
BaTiOのキュリー温度(Tc)は約120℃と低いため、BaTiOのみからなる圧電セラミックス、またはBaTiOを主成分とする圧電セラミックスでは、使用温度が100℃以下に限定されてしまう。
また、これまで提案されているBaTiOと他の成分との固溶体は、Pb系の材料に比べて圧電特性が低く、十分に大きな発生変位量を得ることができない。このため、Pbを含まない材料で構成され、前述のように使用温度が100℃以下に限定されることなく、かつ十分に優れた圧電特性を有する圧電磁器およびその製造方法が求められている。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、本発明の構造にすることでPbを使用することなく、アクチュエータとしての変位量を高くすることが可能となる。さらにBaTiO量を抑えたことにより、複合圧電磁器のキュリー温度(Tc)をBaTiOよりも高くすることができ、変位量の温度特性を改善することが可能となる。しかも成形体を300℃以下の低温で容易に製造することが可能である、圧電磁器及び圧電素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)のうち少なくともいずれか一種を含む固溶体表面に、チタン酸バリウム(BaTiO)を含む化合物層を有し、その界面がヘテロ接合されている複合圧電磁器を見出した。
キュリー温度(Tc)の高いKNbO等の固溶体である成形体表面に、BaTiOを含むヘテロ接合を有する層を薄く設けることにより、キュリー温度(Tc)を高温側にすることができる。BaTiO層は、10nm以上500nm以下の厚みにするが好ましい。前記の厚みにすることで、BaTiOの持つキュリー温度(Tc)の影響が小さくなり、100℃を超える温度においても圧電特性(変位)を有する複合圧電磁器とすることが出来る。
それにより、100℃を超える温度においても圧電特性(変位)を有する複合圧電磁器が可能である。また焼成温度が300℃以下の低温で製造することも可能である。
さらに前記固溶体に、ニオブ酸リチウム(LiNbO)を含む複合圧電磁器を提供する。
結晶粒子成形体に、さらにLiNbOを含ませることで、さらに圧電特性(変位)が高くなる効果がある。
本発明は、ヘテロ接合を有する層を構成するBaTiOのモル比率が、KNbO、NaNbO、LiNbOの合計に対し、0.05〜1.0である複合圧電磁器を提供する。
KNbO、NaNbO、LiNbOの合計に対するBaTiOのモル比率が0.05未満の場合は、BaTiO相が十分に成長しないため、圧電特性(変位)が高くならない。
またBaTiOのモル比率が1.0を超えた場合は、BaTiOの比率が高くなるため、キュリー温度(Tc)の高いコア部、すなわちKNbO、NaNbOのいずれか一種を含む固溶体の影響が小さくなり100℃以上の高温領域で相変化を起こし、圧電特性(変位)が大きく低下する。
本発明は、一対の電極と、該一対の電極の間に前記複合圧電磁器を用いる事を特徴とする圧電素子である。
本発明は、複合圧電磁器と内部電極とを交互に積層された構造である素体と、素体を挟むように両端面に、それぞれ端子電極が設けられ、前記内部電極と電気的に接続されている一対の該端子電極とを備えることを特徴とする圧電素子である。
本発明では、BaTiOとは異なる化学組成の酸化物、すなわち、KNbO、NaNbOのうち、少なくともいずれか一種を含む固溶体である成形体の表面に、BaTiOを含むヘテロ接合を有する層を形成することで、Pbを使用しなくても優れた圧電特性、温度特性を示す圧電磁器を備える圧電素子を提供する事ができる。
キュリー温度(Tc)の高いKNbO等の固溶体である成形体表面に、BaTiOを含むヘテロ接合を有する層を薄く設けることにより、キュリー温度(Tc)を高温側にすることができ、100℃を超える温度においても圧電特性(変位)を有する複合圧電磁器が可能である。また焼成温度が300℃以下の低温で製造することも可能である。
本発明の圧電素子の一実施形態を示す斜視図である。 本発明の反応の進行を示すラメール図である。 本発明のヘテロ接合を有する層を示すX線回折であり、表1の◎印(実施例3)の説明図である。 本発明のヘテロ接合を有する層を示すX線回折であり、表1の○印(実施例1)の説明図である。 本発明のヘテロ接合を有する層が正しく形成されていない時のX線回折であり、表1の×印(比較例2)の説明図である。 本発明のヘテロ接合を有する層を示すSTEM−EDS画像であり、表1の◎印(実施例3)の説明図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。 さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
図1は本発明の圧電素子の一実施形態を示す斜視図である。圧電素子4は、複合圧電磁器1と、この複合圧電磁器1の対向する一対の面上にそれぞれ設けられた一対の電極2,3とを備えている。
複合圧電磁器1は、例えば、厚さ方向、すなわち一対の電極2,3が対向する方向に分極されており、電極2,3を介して電圧が印加されることにより、厚み方向に縦振動および径方向に広がり振動することができる。電極2,3は、例えば、金(Au)などの金属により構成されている。電極2,3には、ワイヤなどを介して外部電源と電気的に接続することができる(図示しない)。
すなわち、複合圧電磁器1は、複合酸化物であるKNbO、NaNbO、LiNbOのうち、少なくともKNbO、NaNbOのいずれか一種を含む結晶粒子成形体表面において、KNbO、NaNbO、LiNbOの合計に対するBaTiOのモル比率(z)は0.05〜1.0である。
当該モル比率は、0.2〜1.0であることが好ましく、0.2〜0.8であることが特に好ましい。
組成式としては一般式(1)のように表すことができる。
(1−x−y)KNbO−xNaNbO−yLiNbO−zBaTiO (1)
NaNbOのモル比率(x)は、0〜1.0の範囲で効果がみられる。一方、LiNbOのモル比率(y)は0〜0.1であることが好ましく、0〜0.05であることが特に好ましい。
一般式(1)で表わされる、ニオブ(Nb)の一部がタンタル(Ta)で、チタン(Ti)の一部がジルコニウム(Zr)及び/又はハフニウム(Hf)で、バリウム(Ba)の一部がマグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr)で置換されていてもよい。
複合圧電磁器1の製法としては、例えばソルボサーマル法がある。ソルボサーマル法とは溶媒に有機溶媒を用い、高圧下で反応させる方法である。この手法を用いると、300℃以下の低温での合成が可能である。セラミック粒子、焼成体、成形体等の表面に別の化合物層を成長させる場合、低温で成長(反応)させることで、相互の反応(固溶)を抑制した磁器が作製可能となる。本件は、ソルボサーマル法に限定されるのでなく、その他の製造方法としては、一般的な水熱合成法でもよい。
図2は、ソルボサーマル反応の進行に関するラメール図で温度を横軸にとり、縦軸に反応する元素の濃度(本発明の場合はBa(OH))をとったものである。
臨界過飽和曲線を超えることで核が生成するようになり、準安定領域では核生成が起こらず、核成長のみが起こる。まずBaTiOの核が生成(発生)する条件、準安定領域の条件を調べる。この準安定領域(温度、濃度)で反応させることで、KNbO粒子を核としてその表面にヘテロ接合を有するBaTiO層を成長させて人工的なヘテロ接合を有する層(MPB構造)を持つ複合圧電磁器1を作製することが可能となる。
複合圧電磁器1の相対密度は30%以上であることが好ましい。圧電発電素子に利用する場合は、相対密度が通常の圧電磁器に比べて低くすることで大きな発電量を得ることができる。
一方、アクチュエータのような圧電磁器の場合は、複合圧電磁器1の相対密度は90%以上であることが好ましい。なお、複合圧電磁器1の相対密度は、アルキメデス法によって測定することができる。複合圧電磁器1の相対密度は、結晶粒子成形体の密度(バインダ種、バインダ量、成形圧力等)、ソルボサーマル反応の条件(濃度、反応温度、反応時間等)で調整することができる。
複合圧電磁器1は副成分として、マンガン(Mn)酸化物などのMn化合物や銅(Cu)酸化物などのCu化合物を含んでいてもよい。
Mn化合物やCu化合物を含むことによって、複合圧電磁器1の機械的品質係数(Qm)を向上させることができる。
複合圧電磁器1はKNbO、BaTiOで示されるような化学量論組成であるが、必ずしも化学量論組成ではなくてもよい。これは化学量論組成で製造することは困難であるとともに、例えば意図的にカリウム(K)を減らすことで信頼性を向上することもできる。
複合圧電磁器1は、Pbを含んでいてもよいが、その含有量は1質量%以下であることが好ましく、Pbを全く含んでいないことがより好ましい。
Pbの含有量が十分に低減された圧電磁器は、焼成時におけるPbの揮発、および圧電素子などの圧電部品として市場に流通し廃棄された後に、環境への放出を最小限に抑制することができる。
このような複合圧電磁器1は、例えば、圧電素子である圧電発電素子、アクチュエータなどの振動素子、発音体またはセンサなどの材料として好ましく用いることができる。
次に図1に示す圧電素子4の製造方法について以下に説明する。
まず、複合圧電磁器1の主成分の原料として、例えば、KNbO粉末を準備して十分乾燥させる。また、KNbO表面にBaTiOを形成するための原料となるTiO2粉末も同様に乾燥させる。これらのKNbO粉末とTiO粉末を量りとり、ボールミルにより混合し、乾燥させ、バインダを加えた有機溶媒中で混合した後、乾燥し、ディスク状に成形を行った。ディスク状に成形されたKNbO、TiO混合成形体を、500℃〜800℃で2〜12時間脱バインダを行い混合粉末成形体とした。
容器に、溶媒と所定量のBa(OH)等を入れてよく攪拌し、その中に混合粉末成形体を入れ、オートクレーブ中で170℃〜250℃で、2〜24時間反応させた(ソルボサーマル法)。反応後、混合粉末成形体をエタノールおよび純水で洗浄して150℃〜300℃で乾燥させてKNbO−BaTiO複合圧電磁器1とした
次に、得られた複合圧電磁器1を、必要に応じて加工して、複合圧電磁器1の一対の面上に電極2,3を設け、加熱したシリコーンオイル中で電界を印加して分極処理を行う。これにより、図1に示す複合圧電磁器1、及び複合圧電磁器1と該複合圧電磁器1を挟むように設けられる電極2、3とを備える圧電素子4を得る事ができる。電極2、3は、金(Au)などをスパッタリング法で形成することができる。
(実施例1〜6)
<KNbO−BaTiO複合圧電磁器の作製>
KNbO粉末およびTiO粉末を準備してよく乾燥させ、表1に示したKNbO/BaTiO比率(反応後)となるように秤量後、フッ素加工された樹脂製容器にジルコニアボール(φ3mm)とともに入れてエチルアルコールで16時間混合した。
混合したスラリーはジルコニアボールと分離し80℃で乾燥後、乳鉢、乳棒で粉砕し、バインダであるポリビニルブチラール(PVB)を乾燥試料の2wt%加えて良く混合した。混合後、目開き250μmのふるいで分級を行った。
分級後の粉末約0.5gを秤量し直径10mmの金型で油圧プレスを用いて2tonの圧力でディスク状に成形を行った。ディスク状に成形されたKNbO−TiO成形体を600℃で10時間脱バインダを行い混合粉末成形体とした。
内容量25mlの容器中に、溶媒となる水10mlおよび表1に示す、所定量のBa(OH)を入れてよく攪拌し、その中に脱バインダ後のKNbO−TiO混合粉末成形体を入れ、オートクレーブ中で180℃、20時間反応させた。反応後、混合粉末成形体をエタノールおよび純水で洗浄して200℃で乾燥させてKNbO−BaTiO複合圧電磁器1とした。
<KNbO−BaTiO複合圧電磁器の電気的評価>
実施例1から6で作製した試料に、図1の2,3のように金(Au)電極をスパッタリング法で形成し、図1の圧電素子4を作製した。この圧電素子4に北本電子株式会社製の電界誘起歪み測定器(JP005−SE)で周波数0.1Hz、1〜30kV/cmの電界を印加して圧電歪(変位)を測定、その値からd33を計算してその結果も表1に示した。その結果、BaTiO比が0.05から1.5の範囲で大きな圧電特性を持つことを確認した。
さらに、恒温槽およびアジレント・テクノロジー株式会社製のインピーダンスアナライザ(4294A)を使用して、これらの試料の−40℃から150℃まで比誘電率の温度
特性を測定した。25℃のときの比誘電率を基準として、この温度範囲で最も大きな比誘電率の変化率も表1に示した。その結果、BaTiO比が0.05から1.0の範囲では比誘電率の変化率の最大値は10%以内と良好であったが、BaTiO比が1.5の場合は比誘電率の変化率は20%以上となった。
<BaTiO相の確認>
作製したKNbO−BaTiO複合圧電磁器1をリガク製XRD装置によりCuKα線を使用して、管電圧50kV、管電流40mA、走査速度20°/分でXRD測定を行った。
複合圧電磁器1の結晶構造は、斜方晶であるKNbOを含む固溶体の、特に(220)、(002)面のピーク形状は反応前後で変化がみられる。KNbO、BaTiOは、ともに格子定数の近いペロブスカイト構造であるため、これらの面のピークの形状によりKNbOの結晶粒子のほかに、BaTiOが成長しているかを確認することできる。
例えば図3は実施例3のXRDピークである。斜方晶であるKNbOの(220)、(002)面ピークであるが、ソルボサーマル反応後は、反応前のKNbOのピークと比較すると、KNbOの(220)、(002)ピークが低くなり、45.2度付近に正方晶であるBaTiOの(200)のピークが現れてくるため、ピークの形状が歪んでくる。この変化が、BaTiOが形成したことを示している。このようにしてBaTiOの生成を確認した結果を表1に示した。図3のようにBaTiOの(200)ピーク強度がKNbOの(220)ピーク強度の0.7から2倍程度のものには、表1に◎印で示した。
また、図4は実施例1の斜方晶のKNbOの(220)、(002)面ピークであるが、図3と比較して斜方晶のKNbO(220)、(002)面ピークの低下が小さく、BaTiOの(200)のピークも小さいことがわかる。これはBaTiOの生成量が少ないことを意味している。このようにBaTiOの(200)ピーク強度がKNbOの(220)ピーク強度の0.7倍よりも小さくなったものには、表1に○印で示した。
斜方晶のKNbO3の表面に正方晶であるBaTiOが形成されると、それぞれの格子定数がわずかに違うため、これらの界面で格子定数の不整合により歪が発生することで誘電特性、圧電特性が向上すると考えられる。
実施例3に示したKNbO−BaTiO複合圧電磁器1を集束イオンビーム(FIB)により薄膜形状に加工して、微細構造および組成分析測定の試料とした。株式会社日立ハイテクノロジーズ製STEMを使用して、加速電圧200kV、視野サイズ約1×1μmで、この試料の走査透過像を撮影した。また、BaはLβ2線、TiはKα線、KはKα線、NbはLα線をそれぞれの特性X線として付属するEDSによる各元素のマッピングを行った。その結果を図6に示す。図6の(A)はSTEM像を示し、(B)はBa、(C)はTi、(D)はK、(E)はNbの元素マッピングをそれぞれ示しており、図中の白色が濃い部分に各元素が多く分布している。図6の(B)、(C)、(D)および(E)によりKNbOを核とし、その核の周りを覆うようにBaTiOが形成されていることがわかる。
また、STEMにより格子像を観察して、KNbOのまわりに形成されたBaTiOがヘテロ接合されていることを確認した。
(実施例7〜11)
KNbO粉末の代わりにNaNbO粉末を使用したもの、KNbO粉末にNaNbO粉末を加えたもの、またKNbOにNaNbOとLiNbO粉末を加えたものを実施例1〜6と同様にして試料を作製し、評価した結果も表1に示した。その結果、いずれの試料とも高い圧電特性を示し、比誘電率の温度特性が10%以内で、良好なものとなった。このときBaTiOが生成していることをXRDで確認した。
(比較例1〜3)
表1に示すようにKNbO、NaNbO、LiNbOとBaTiOのモル比率を変えた以外は実施例1から11と同様の方法でKNbO、NaNbO、LiNbO−BaTiO複合圧電磁器1を作製し、同様にして電極を形成して圧電歪(変位)を測定、d33を求めて表1に示した。BaTiOがヘテロ接合を有する層を形成しなかった場合は、d33を測定することはできず、またBaTiO比が0.02の場合はd33が小さいことを確認した。また、LiNbOを0.12とした場合はd33が大きく低下した。
また、実施例1から11と同様の方法でBaTiO相の確認を行い、その結果も表1に示した。比較例2についてはソルボサーマル反応後においても、図5に示すように斜方晶のKNbOの(220)、(002)面ピークのみであり、BaTiOのピークは確認されなかった(表1の×印)。
(比較例4、5)
従来のセラミックスの製造工程(固相法)を用いて1150℃で焼成して作製したKNbO−BaTiO圧電セラミックスを実施例1から11と同様の評価方法によりd33を求め表1に示した。BaTiO比が0.2の場合、d33は128pm/Vと低くいが、BaTiO比を0.5とすると、d33は260pm/Vと高い値を示す。しかし、合成(焼成)温度が高く、焼成時に大きなエネルギーを使うということでコストが高くなる要因となる。
電界を加えると機械的な歪み及び応力を発生する、いわゆる圧電現象を示す圧電磁器が知られている。このような圧電磁器は、アクチュエータや圧電ブザー、発音体、センサ、などの各種圧電素子に用いられている。また、最近では振動発電にも利用されている。
1 複合圧電磁器
2,3 電極
4 圧電素子

Claims (3)

  1. ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)のうち少なくともいずれか一種を含む固溶体を核として、その核の周りを覆うように、チタン酸バリウム(BaTiO)を含む化合物層を有し、前記固溶体には、ニオブ酸リチウム(LiNbO)がモル比率で0.01以上0.12未満含まれており、
    前記固溶体成分の全量に対するBaTiOの比率が、0.02超0.5以下であり、
    33が128pm/V超であり、−40℃から150℃までの比誘電率の温度変化の絶対値が8.9未満であることを特徴とする、複合圧電磁器。
  2. 一対の電極と、該一対の電極の間に、請求項1に記載の複合圧電磁器よりなる圧電材料を含有することを特徴とする圧電素子。
  3. 請求項1に記載複合圧電磁器と内部電極とを交互に積層された構造である素体と、前記内部電極と電気的に接続されている一対の該端子電極とを備えることを特徴とする圧電素子。
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