JP3692092B2 - ノッキングセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用ノッキングセンサに関し、特に、圧電素子を用いた非共振型ノッキングセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等の燃焼室内のノッキング現象を検出する装置として、圧電素子を用いたノッキングセンサが知られており、このノッキングセンサを用いた制御システムによって点火プラグの点火時期を最適な時期に調節している。このようなノッキングセンサとしては、例えば、図3に断面図を示すような、中心部に内燃機関のシリンダブロック等へ取付けるための取付孔320bを有する、いわゆるセンターホール式非共振型のノッキングセンサ300が挙げられる。
【0003】
このノッキングセンサ300は、図4に分解斜視図を示すように、円筒状の筒状部321とこの一端321cに位置する円環状の鍔部322とからなる主体金具320を有する。この主体金具320の筒状部321の外周には、鍔部322側から順に、円環状の第1絶縁板330、円環状の第1電極板340、円環状の圧電素子350、円環状の第2電極板360、円環状の第2絶縁板335、円環状のウエイト370、及び皿バネ380が嵌め込まれている。さらに、内周面にネジ部385bが形成されたナット385が筒状部321の外周面に形成されたネジ部321bに螺挿され、第1,第2絶縁板330,335、第1,第2電極板340,360、圧電素子350、ウエイト370、及び皿バネ380が鍔部322とナット385との間に挟まれて固定され、センサ本体390を形成している。なお、筒状部321と第1,第2電極板340,360及び圧電素子350との間には円筒状の絶縁スリーブ331が介在している。
【0004】
このセンサ本体390が樹脂成形体310によって被覆され、ノッキングセンサ300を形成している。なお、ノッキングセンサ300を内燃機関のシリンダブロック等へ取付けるための取付け孔320bについては、樹脂成形体310によって被覆されないで露出している。また、樹脂成形体310はナイロン樹脂によって形成されており、密度が約1.5g/cm3となっている。また、ウエイト370は真鍮によって形成されており、密度が約8.0g/cm3となっている。なお、本明細書で示す密度は、室温下での密度である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このノッキングセンサ300は、ウエイト370の質量を調整することによって圧電素子350への荷重を調整し、センサ出力特性の調整を可能としている。従って、ノッキングセンサ300の高出力化の要請に応えるべくセンサ出力特性を向上させるためには、ウエイト370を大きくしてウエイト370の質量を増大させる方法が考えられる。しかし、ノッキングセンサの取付けスペースが限られているためにウエイト370を大きくすることはできず、従って、センサ出力特性を向上させることが困難であった。
【0006】
また、センサ本体390を被覆する樹脂成形体310についても圧電素子350への荷重となり、センサ出力特性に寄与することが知られている。例えば、特開平2−173530号では、予め大きく形成した樹脂を、形成後に切削することによって圧電素子への荷重を調整し、センサ出力特性を調整する方法が開示されている。しかしながら、この発明は、樹脂成形体の大きさを調整することによってセンサ出力特性を調整するものであるため、センサ出力特性を向上させるには、やはりセンサを大きくしなければならなかった。
【0007】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、自身の大きさを変えることなく圧電素子への荷重を増大させ、センサ出力特性を向上させることが可能なノッキングセンサを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
その解決手段は、筒状部とこの筒状部の一端に位置する鍔部とを含む主体金具、上記主体金具の上記筒状部の外周に嵌め込まれた環状の圧電素子、及び上記主体金具の上記筒状部の外周に嵌め込まれ、上記鍔部との間に上記圧電素子を挟む環状のウエイト、を有するセンサ本体と、上記センサ本体を被覆する樹脂成形体と、を備えるノッキングセンサであって、上記樹脂成形体のうち少なくとも上記圧電素子の厚さ方向について上記圧電素子よりも上記ウエイト側に位置するウエイト側部は、金属粉末及び金属酸化物粉末の少なくともいずれかからなる粉末を混入した樹脂からなり、密度が2.0g/cm3以上であるノッキングセンサである。
【0009】
従来の樹脂成形体の材質としては、例えば、ナイロン樹脂が用いられており、その密度は1.5g/cm3程度であった。これに対し、本発明では、樹脂成形体の材質に着目し、この樹脂成形体のうち少なくとも圧電素子の厚さ方向(換言すれば筒状部の軸線方向)について圧電素子よりもウエイト側に位置するウエイト側部については、金属粉末及び金属酸化物粉末の少なくともいずれかからなる粉末を混入させた樹脂を用いて形成し、密度が2.0g/cm3以上となるようにしている。樹脂成形体のウエイト側部は圧電素子への荷重に寄与していると考えられるため、本発明のノッキングセンサでは、少なくともこの部分の密度を2.0g/cm3以上としている。
【0010】
従って、本発明の樹脂成形体は、従来と同じ大きさに形成しても、少なくとも上記ウエイト側部の密度が大きくなっているため、従来に比して圧電素子への荷重を増大させることができる。かくして、本発明のノッキングセンサでは、その大きさを変えることなく圧電素子への荷重を増大させ、センサ出力特性を向上させることが可能となる。また、センサ出力特性を従来と同程度に確保した状態で、センサの小型化を図ることが可能となる。
なお、金属粉末としては、例えば、タングステン、モリブデン、鉛、鉄、ステンレス等の粉末が挙げられ、金属酸化物粉末としては、酸化タングステン、酸化モリブデン、フェライト等の粉末が挙げられる。ただし、人体への影響を考慮すれば、金属粉末及び金属酸化物粉末には鉛が含まれていないのが好ましい。
【0011】
また、環境保護に対する規制が高まりつつある近年では、鉛を含まない圧電素子を用いたノッキングセンサが検討されているが、鉛を含まない圧電素子を用いると、鉛を含む圧電素子と比較してセンサ出力特性が低下する傾向にある。そこで、この鉛を含まない圧電素子を用いる構造のノッキングセンサにおいては、本発明のように、樹脂成形体のうち少なくともウエイト側部について、金属粉末及び金属酸化物粉末の少なくともいずれかからなる粉末を混入させた樹脂を用いて形成し、密度が2.0g/cm3以上とすることが有用となる。このようにすることで、鉛を含む圧電素子を用いたノッキングセンサと同等ないしそれ以上のセンサ出力特性を得ることが可能となる。
【0012】
さらに、上記ノッキングセンサであって、前記樹脂に混入した粉末は導電性を有し、前記樹脂成形体は、前記圧電素子の表裏面間の絶縁性を保つ絶縁性を有するノッキングセンサとすると好ましい。
本発明では、密度が2.0g/cm3以上となるように、粉末を混入させた樹脂を用いて樹脂成形体を形成するが、センサ本体部の外周を導電性の粉末を含有する樹脂成形体で被覆する場合には、圧電素子の表裏面間の絶縁性を確保するように、導電性の粉末の混入量、粒径、粒形状等を調整・制限して樹脂成形体の密度を設定すると良い。例えば、圧電素子の表裏面間の絶縁抵抗として、1MΩ以上を保てるようにするのが好ましい。
【0013】
さらに、上記ノッキングセンサであって、前記樹脂に混入した粉末は、真密度が10.0g/cm3以上の粉末であるノッキングセンサとすると良い。
【0014】
前述したように、本発明のノッキングセンサでは、少なくとも樹脂成形体のウエイト側部については、金属粉末及び金属酸化物粉末の少なくともいずれかからなる粉末を混入した樹脂を用いて成形する。このため、樹脂に対する粉末の体積比率が大きくなれば、樹脂成形体の成形が困難となる虞がある。
そこで、本発明のノッキングセンサでは、樹脂に混入する粉末について、真密度が10.0g/cm3以上の粉末を用いることにした。真密度が10.0g/cm3以上との粉末を用いることで、少なくとも樹脂成形体のウエイト側部の密度を2.0g/cm3以上とするために必要な粉末の樹脂に対する体積比率を小さくすることができるので、樹脂成形体の成形に支障が生じることはない。なお、真密度とは、粉末の粒子を構成している固体物質の密度をいう。
【0015】
さらに、上記いずれかに記載のノッキングセンサであって、前記樹脂に混入した粉末は、絶縁性の金属酸化物粉末であるノッキングセンサとすると良い。
【0016】
ノッキングセンサは、とりわけ単一の材質からなる樹脂成形体にてセンサ本体の外周全体を被覆する構造のノッキングセンサは、樹脂成形体が絶縁性を有しているのが好ましい。樹脂成形体の絶縁性を確保するには、樹脂に混入する粉末が絶縁性であることが好ましい。そこで、本発明のノッキングセンサでは、樹脂に混入する粉末として、絶縁性の金属酸化物粉末を用いることにした。絶縁性の金属酸化物粉末を用いることで樹脂成形体の絶縁性を確保できるので、樹脂成形体を介して第1電極板と第2電極板とが導通する虞がない。さらに、本発明のノッキングセンサでは、樹脂に混入する粉末の割合に関係なく樹脂成形体の絶縁性を確保することができるため、樹脂成形が可能な範囲で樹脂成形体の密度が調節でき、圧電素子への荷重の調整が可能となる。
なお、このような金属酸化物粉末としては、例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化鉛、フェライト等の粉末が挙げられる。
【0017】
さらに、上記いずれかに記載のノッキングセンサであって、前記ウエイトの密度は10.0g/cm3以上であるノッキングセンサとすると良い。
【0018】
従来のノッキングセンサのウエイトとしては、例えば、真鍮が用いられており、その密度は8.0g/cm3程度であった。これに対し、本発明のノッキングセンサでは、密度が10.0g/cm3以上のウエイトを用いることにしたので、従来と同じ大きさのウエイトを用いても、ウエイトによる圧電素子への荷重を増大させることができる。従って、本発明のノッキングセンサは、大きさを変えずに樹脂成形体及びウエイトによる圧電素子への荷重を増大させることができ、さらに、センサ出力特性を向上させることが可能となる。密度が10.0g/cm3以上となるウエイトの材質としては、例えば、タングステン、モリブデン、鉛等の密度が10.0g/cm3以上の重金属、これら重金属の合金、及びこれら重金属の焼結金属等が挙げられる。なお、人体への影響を考慮すれば、ウエイトには鉛が含まれていないのが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
(実施形態)
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。本実施形態のノッキングセンサ100は、図1に断面図を示すように、中心部に取付孔120bを有する、いわゆるセンターホール式非共振型のノッキングセンサである。このノッキングセンサ100は、図2に分解斜視図を示すように、円筒状の筒状部121とこの一端121cに位置し、筒状部121の径方向外側に向かって突出する円環状の鍔部122とからなる主体金具120を有する。この主体金具120の筒状部121の外周には、鍔部122側から順に、円環状の第1絶縁板130、円環状の第1電極板140、円環状の圧電素子150、円環状の第2電極板160、円環状の第2絶縁板135、円環状のウエイト170、及び皿バネ180が嵌め込まれている。さらに、内周面にネジ部185bが形成されたナット185が筒状部121の外周面に形成されたネジ部121bに螺挿され、第1,第2絶縁板130,135、第1,第2電極板140,160、圧電素子150、ウエイト170、及び皿バネ180が鍔部122とナット185との間に挟まれて固定され、センサ本体190を形成している。
【0020】
なお、筒状部121と第1,第2電極板140,160及び圧電素子150との間には円筒状の絶縁スリーブ131が介在しており、これらの絶縁を保っている。また、第1,第2電極板140,160には、両電極間に発生した電圧を外部に出力するための第1,第2端子141,161がそれぞれ延設されている。このようなセンサ本体190が、図1に示すように、樹脂成形体110によって被覆され、ノッキングセンサ100を構成している。ただし、ノッキングセンサ100を内燃機関のシリンダブロック等へ取付けるための取付け孔120bについては、樹脂成形体110によって被覆されないで露出している。なお、この樹脂成形体110によってコネクタ部113が形成され、第1,第2電極板140,160の第1,第2端子141,161の一部がコネクタ部113の内側に突出する形態で配置される。このコネクタ部113を介してノッキングセンサ100が外部と接続される。また、ノッキングセンサ100の各構成部品は、従来のノッキングセンサ300の各構成部品と同等の大きさに形成されている。
【0021】
この樹脂成形体110は、タングステン粉末をナイロン樹脂に混入しつつ分散させたタングステン粉末入り樹脂を用いて形成されており、樹脂成形体110全体の密度が約2.1g/cm3となっている。従って、樹脂成形体110のウエイト側部111についても密度が約2.1g/cm3となっており、従来の樹脂成形体310の密度(約1.5g/cm3)に比して大きくなっている。このため、本実施形態の樹脂成形体110は、従来の樹脂成形体310と同じ大きさに形成しても、従来に比して圧電素子150への荷重を増大させることができた。かくして、本実施形態のノッキングセンサ100では、その大きさを変えることなく圧電素子150への荷重を増大させ、センサ出力特性を向上させることができた。
【0022】
ところで、本実施形態では、タングステン粉末をナイロン樹脂に混入している。タングステンの真密度は約19.2g/cm3であるため、極めて少量のタングステン粉末によって、樹脂成形体110のウエイト側部111の密度を約2.1g/cm3とすることができた。従って、ナイロン樹脂に対するタングステン粉末の体積比率が極めて小さいために、樹脂成形体110の成形に支障が生じることがなかった。
【0023】
また、ウエイト170についてもタングステンによって形成されており、密度が約19.2g/cm3となっている。従って、従来の真鍮製のウエイト370の密度(約8.0g/cm3)に比して大きくなっている。このため、本実施形態のウエイト170は、従来のウエイト370と同じ大きさに形成しても、従来に比して圧電素子150への荷重を増大させることができた。
従って、本実施形態のノッキングセンサ100は、その大きさを変えずに樹脂成形体110及びウエイト170による圧電素子150への荷重を増大させることができ、センサ出力特性を向上させることができた。しかも、本実施形態のタングステン粉末の混入量では、圧電素子の表裏面間の絶縁性を低下させることがなかった。
【0024】
このようなノッキングセンサ100は、次のようにして製造する。
まず、タングステンを円筒状に加工して、図2に示すような、ウエイト170を形成する。また、図2に示すような、円筒状の筒状部121とこの一端121cに円環状の鍔部122を有する、軟鉄製の主体金具120を用意する。次いで、主体金具120の筒状部121の外周に、PET製の絶縁スリーブ131、PET製の第1絶縁板130、42Ni−Fe合金製の第1電極板140、PZT製の圧電素子150、42Ni−Fe合金製の第2電極板160、PET製の第2絶縁板135、タングステン製のウエイト170、及び皿バネ180をこの順に嵌め込む。次いで、軟鉄製のナット185を筒状部121のネジ部121bに螺挿し、圧電素子150に所定の荷重が加わるまで締付けると共に、第1,第2絶縁板130,135、第1,第2電極板140,160、圧電素子150、ウエイト170、及び皿バネ180を鍔部122とナット185との間に挟んで固定する。このとき、センサ本体190が形成される。
【0025】
一方、タングステン粉末をナイロン樹脂に混入しつつ分散させ、密度を約2.1g/cm3としたタングステン粉末入り樹脂を用意する。次いで、このタングステン粉末入り樹脂を公知の樹脂モールド成形手法によって射出成形し、図1に示すような、コネクタ部113を有する樹脂成形体110を形成する。このとき、センサ本体190が樹脂成形体110によって被覆される。ただし、ノッキングセンサ100を内燃機関のシリンダブロック等へ取付けるための取付け孔120bについては被覆しないで露出させる。このようにして、図1に示すような、ノッキングセンサ100が完成する。
【0026】
(変形形態)
実施形態のノッキングセンサ100の変形形態であるノッキングセンサ200について、図面を参照しつつ説明する。本変形形態のノッキングセンサ200は、実施形態のノッキングセンサ100と比較して樹脂成形体の材質が異なり、その他については同様である。従って、実施形態のノッキングセンサ100と異なる部分を中心に説明し、同様な部分については説明を省略または簡略化する。
【0027】
上述したノッキングセンサ100では、タングステン粉末をナイロン樹脂に混入したタングステン粉末入り樹脂を用いて樹脂成形体110を形成した。これに対し、図1に示すように、本変形形態のノッキングセンサ200では、タングステン粉末の代わりに酸化タングステン(WO3)粉末を用いてコネクタ部213を有する樹脂成形体210を形成した。その他の部品については、図1に示すように、実施形態のノッキングセンサ100と同じ部品を使用している。
なお、樹脂成形体210は、実施形態と同様に、酸化タングステン(WO3)粉末をナイロン樹脂に混入しつつ分散させ、密度を約2.1g/cm3とした酸化タングステン粉末入り樹脂を射出成形して形成した。従って、樹脂成形体210全体の密度が約2.1g/cm3となっており、ウエイト側部211についても密度が約2.1g/cm3となっている。
【0028】
本変形形態のノッキングセンサ200では、樹脂に混入する粉末として、絶縁性の酸化タングステン(WO3)粉末を用いた。絶縁性の酸化タングステン(WO3)粉末を用いることで、樹脂成形体210を介して第1電極板140と第2電極板160とが導通する虞、コネクタ部213の絶縁性が低下する虞が全くなかった。さらに、本変形形態のノッキングセンサ200では、樹脂に混入する粉末の割合に関係なく樹脂成形体210の絶縁性を確保することができるので、樹脂成形が可能な範囲で樹脂成形体210の密度が調節でき、圧電素子150への荷重の調整が可能となった。
【0029】
以上において、本発明を実施形態及び変形形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態及び変形形態で用いたウエイト170,皿バネ180,ナット185の3部品を1部品に構成して、部品点数を削減したノッキングセンサとしても良い。
【0030】
また、実施形態では、ナイロン樹脂にタングステン粉末を混入したが、真密度が10.0g/cm3以上の粉末、例えば、モリブデン、鉛、鉄、ステンレス等を含んだ粉末を用いても良い。ただし、人体への影響を考慮すれば、鉛が含まれていないのが好ましい。また、混入する粉末の真密度が10.0g/cm3以上である必要はなく、樹脂成形体全体の密度が2.0g/cm3以上となれば良い。さらに、実施形態では、粉末入り樹脂成形体110の密度を2.1g/cm3としたが、この密度は2.0g/cm3以上とすれば良く、一例として、絶縁性樹脂にタングステン粉末を含有させたカネボウ株式会社製の高比重樹脂MC102K07を用いて樹脂成形体110の密度を6.0g/cm3としても良い。
【0031】
また、粉末入りの樹脂成形体の密度は2.0g/cm3以上であれば良いが、センサ本体の外周全体を導電性の粉末を含有する樹脂成形体によって被覆する場合には、圧電素子の表裏面に配置される電極板間の絶縁性、及びコネクタ部の端子金具同士の絶縁性を確保することができるように、導電性の粉末の混入量、粒径、粒形状等を調整・制限して樹脂成形体の密度を設定すれば良い。
また、変形形態では、ナイロン樹脂に酸化タングステン(WO3)粉末を混入したが、絶縁性の粉末であれば良い。例えば、酸化モリブデン、酸化鉛、フェライト等を含んだ粉末を用いても良い。ただし、人体への影響を考慮すれば、鉛が含まれていないのが好ましい。
【0032】
また、実施形態では金属粉末であるタングステン粉末を混入し、変形形態では金属酸化物粉末である酸化タングステン(WO3)粉末を混入したが、金属粉末と金属酸化物粉末との混合粉末を樹脂に混入するようにしても良い。
また、実施形態及び変形形態では、粉末をナイロン樹脂に混入しつつ分散させ、密度を約2.1g/cm3とした粉末入り樹脂を射出成形して樹脂成形体を形成しており、樹脂成形体全体の密度が約2.1g/cm3となっている。しかし、樹脂成形体のうち少なくともウエイト側部について粉末入り樹脂を用いて形成すれば良く、例えば、ウエイト側部を密度が約2.1g/cm3の粉末入り樹脂によって形成し、鍔部側を粉末を含有しない樹脂によって形成した2層からなる樹脂成形体としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態にかかるノッキングセンサ100の断面図である。
【図2】実施形態にかかるノッキングセンサ100の組立部品の分解斜視図である。
【図3】従来のノッキングセンサ300の断面図である。
【図4】従来のノッキングセンサ300の組立部品の分解斜視図である。
【符号の説明】
100,200,300 ノッキングセンサ
120,320 主体金具
121,321 筒状部
122,322 鍔部
150,350 圧電素子
170,370 ウエイト
110,210,310 樹脂成形体
190,390 センサ本体
Claims (4)
- 筒状部とこの筒状部の一端に位置する鍔部とを含む主体金具、
上記主体金具の上記筒状部の外周に嵌め込まれた環状の圧電素子、及び
上記主体金具の上記筒状部の外周に嵌め込まれ、上記鍔部との間に上記圧電素子を挟む環状のウエイト、
を有するセンサ本体と、
上記センサ本体を被覆する樹脂成形体と、
を備えるノッキングセンサであって、
上記樹脂成形体のうち少なくとも上記圧電素子の厚さ方向について上記圧電素子よりも上記ウエイト側に位置するウエイト側部は、金属粉末及び金属酸化物粉末の少なくともいずれかからなる粉末を混入した樹脂からなり、密度が2.0g/cm3以上である
ノッキングセンサ。 - 請求項1に記載のノッキングセンサであって、
前記樹脂に混入した粉末は、真密度が10.0g/cm3以上の粉末である
ノッキングセンサ。 - 請求項1または請求項2に記載のノッキングセンサであって、
前記樹脂に混入した粉末は、絶縁性の金属酸化物粉末である
ノッキングセンサ。 - 請求項1〜請求項3に記載のノッキングセンサであって、
前記ウエイトの密度は10.0g/cm3以上である
ノッキングセンサ。
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