JP5219885B2 - 染料受容層組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱転写受像シートの染料受容層に用いられる組成物、及び該組成物を含む染料受容層を有する熱転写受像シートに関する。
昇華性染料を記録剤とし、これを基材に担持させた熱転写シートを用いて、昇華性染料で染着可能な熱転写受像シート上にカラー画像を形成する方法が提案されている。これは加熱手段としてプリンターのサーマルヘッドなどを使用し、加熱によって染料を受像シートに転写させてカラー画像を得るものである。このようにして形成された画像は、染料を用いることから非常に鮮明であり、且つ透明性に優れているため、中間色の再現性や階調性に優れ、高品質の画像が期待できる。
このような熱転写シートにおいては、熱転写時における受像シートへの染料の染着性、又は受像シートと熱転写シートとの熱融着に伴う離型性に改善の余地を残し、その結果、得られる転写画像の画像性能が十分でないという課題があった。
画像濃度を高めるために、例えば特許文献1におけるようにビスフェノールAをアルコール成分として有する飽和ポリエステル樹脂を使用することが知られている。また、染料の染着性や画像保存性などの観点から、脂肪族ジオールを使用したポリエステルを使用することが開示されている(特許文献2)。更に、耐光性の観点から、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物と脂環族ジカルボン酸よりチタン触媒存在下で得られるポリエステル樹脂(特許文献3)も知られている。
特開平2−92592号公報 特開平6−305268号公報 特開2002−19306号公報
しかし、近年の高画質化の要望に対しては、前記特許文献1〜3の技術では、いずれも熱転写時における受像シートへの染料の染着性、又は受像シートと熱転写シートとの熱融着に伴う離型性が不十分となる場合があり、その結果、得られる転写画像の画像性能が必ずしも満足のいくものではないという課題があった。
すなわち、画像濃度を高めるためには、例えば特許文献1におけるようにビスフェノールAをアルコールとして使用することは効果的であるとされているが、画像濃度を高めていくと染料の付着量が高くなるものの、離型性が劣る場合、画像部の表面状態が不均一となり乱反射が生じるため、高画像濃度が得られないという問題があった。さらに、芳香環を有する化合物は耐光性に劣るという問題があった。
一方、特許文献2や特許文献3に開示された技術では、染着性、離型性、耐光性のいずれかが不十分であり、これらすべてを満足する受容層組成物は未だ得られていない。
本発明は、熱転写時の染料の染着性に優れるとともに、転写シートとの離型性にも優れ、かつ耐光性に優れた熱転写受像シートの染料受容層用組成物、及び該組成物から得られる染料受容層を有する熱転写受像シートを提供する。
本発明は、
[1](a)式(1)
Figure 0005219885
(式中、R1O及びR2Oは各々オキシアルキレン基を表し、x及びyはそれぞれR1O及びR2Oの付加モル数を示す正の数であり、かつxとyの和の平均値は2〜7である。但し、x個のR1Oは各々同一でも異なっていてもよく、またy個のR2Oは各々同一でも異なっていてもよい。)
で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)前記2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加物中における、プロピレンオキサイド付加物の含有量が50〜100モル%であるアルコール成分と、脂環族カルボン酸及び/又は脂肪族カルボン酸を含有し、かつこれらを総量で80モル%以上含有するカルボン酸成分とを縮重合して得られるポリエステル、及び脂肪族系ポリイソシアネート化合物を含有する染料受容層組成物、及び
[2]基材と、基材の少なくとも一方の面に染料受容層とを有する熱転写受像シートであって、前記染料受容層が、前記[1]記載の染料受容層組成物を含有する、熱転写受像シート、
に関する。
本発明によれば、熱転写時の染料の染着性に優れるとともに、転写シートとの離型性にも優れ、かつ耐光性に優れた熱転写受像シートの染料受容層用組成物、及び該組成物から得られる染料受容層を有する熱転写受像シートを提供することができる。
[染料受容層組成物]
本発明の染料受容層組成物は、(a)前記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)前記2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加物中におけるプロピレンオキサイド付加物の含有量が50〜100モル%であるアルコール成分と、脂環族カルボン酸及び/又は脂肪族カルボン酸を含有し、かつこれらを総量で80モル%以上含有するカルボン酸成分とを縮重合して得られるポリエステル、及び脂肪族系ポリイソシアネート化合物を含有するものである。
ポリエステル
本発明の染料受容層組成物に含有されるポリエステルは、(a)前記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)前記2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加物中における、プロピレンオキサイド付加物の含有量が50〜100モル%であるアルコール成分と、脂環族カルボン酸及び脂肪族カルボン酸を総量で80%以上含有するカルボン酸成分とを縮重合して得られる。
ポリエステルの原料モノマーとしては、(a)前記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)前記2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加物中における、プロピレンオキサイド付加物の含有量が50〜100モル%であるアルコール成分を用いる。
一般式(I)において、R1O、R2Oはいずれもオキシアルキレン基であり、好ましくは、それぞれ独立に炭素数1〜4のオキシアルキレン基であり、より好ましくは、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基である。また、x個のR1O又はy個のR2Oは、各々同一であっても異なっていてもよいが、熱転写受像シートの染着性及び中間層と染料受容層の密着性の観点から、同一であることが好ましい。
x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数に相当し、それぞれ正の数である。さらに、カルボン酸成分との反応性の観点から、xとyの和の平均値は2〜7が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜3がさらに好ましい。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物としては、同様の観点から、具体的には、x及びyが前記定義の範囲内であり、かつR1O及びR2Oが共にオキシエチレン基であるポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、x及びyが前記定義の範囲内であり、かつR1O及びR2Oが共にプロピレンオキシ基であるポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましく挙げられる。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、アルキレンオキサイド付加物中にプロピレンオキサイド付加物を含有するが、前記プロピレンオキサイド付加物の含有量は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物中、50〜100モル%であり、前記含有量が、前記範囲内であれば熱転写受像シートの離型性に優れる。前記観点から、前記含有量は、60〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは70〜100モル%であり、更に好ましくは実質的に100モル%である。
なお、本発明の効果を損しない範囲で、前記2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、プロピレンオキサイド付加物の一部が他のオキシアルキレン基で置換されていてもよい。例えば、前記プロピレンオキサイド付加物の一部が、他のオキシアルキレン基、例えば、オキシエチレン基、オキシトリメチレン基等で置換されていてもよいが、熱転写受像シートの染料の染着性の観点から、オキシエチレン基が好ましい。
式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、原料アルコール成分中に80モル%以上含有されるが、好ましくは90モル%以上含有され、より好ましくは95モル%以上含有され、更に好ましくは実質的に100モル%である。
なお、本発明において、アルキレンオキサイド付加物とは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンにオキシアルキレン基を付加したアルコール全体を意味するものである。
ポリエステルの原料成分であるアルコール成分として、前記式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物とともにこれ以外の公知のアルコール成分を使用することができる。例えば、式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物以外の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)等が挙げられる。熱転写受像シートの離型性の観点からは、前記アルコール成分として、3価以上のアルコールを用いることが好ましく、具体的には、グリセリン、ペンタエリスリトールを用いることがより好ましい。前記アルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステルの原料モノマーであるカルボン酸成分としては、脂環族カルボン酸及び/又は脂肪族カルボン酸が用いられ、これらはカルボン酸成分中に総量で80モル%以上含有される。
脂環族カルボン酸としては脂環族ジカルボン酸あるいはその酸無水物やアルキルエステルが好ましく、ポリエステル合成時のアルコールとの反応性および該ポリエステルの耐熱性の観点から、より好ましくはシクロヘキサンジカルボン酸類、デカリンジカルボン酸類、あるいはこれら酸の無水物である。
具体的には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−プロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−t−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジエチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジプロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−エチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−3−プロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−3−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−t−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、3−エチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−プロピル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,4−ジプロピル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,4−ジブチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,8−ジメチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,8−ジブチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチル−4−エチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチル−4−プロピル−2,6−デカリンジカルボン酸等、あるいはこれらの酸の酸無水物が挙げられる。前記カルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、その酸無水物であるヘキサヒドロ無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく、熱転写受像シートの離型性の観点から1,4−シクロヘキサンジカルボン酸がより好ましい。
脂肪族カルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ステアリン酸などのカルボン酸;それらの酸の酸無水物及びアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。前記カルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、脂肪族カルボン酸として、熱転写受像シートへの染料の染着性の観点から、アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸を用いることができ、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数2〜22のアルケニル基で置換されたコハク酸を用いることが好ましく、炭素数8〜22、好ましくは炭素数10〜20の、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、又は炭素数8〜22、好ましくは炭素数10〜20の、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルケニル基が用いられる。
具体的には、アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸において、アルキル基としては、例えば各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種イコシル基などを挙げることができる。
また、アルケニル基としては、例えば各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、各種イコセニル基などを挙げることができる。
アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸は、カルボン酸成分中に5〜50モル%含有されることが好ましい。
本発明においては、熱転写受像シートの離型性及び耐湿性の観点から、ポリエステルの原料酸成分として、前記脂環族カルボン酸が好ましく用いられる。
前記脂環族カルボン酸及び脂肪族カルボン酸は、熱転写受像シートの耐光性等の観点から、原料カルボン酸成分中に総量で80モル%以上含有され、好ましくは90モル%以上含有され、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは実質100モル%含有される。
本発明においては、ポリエステルの原料成分であるカルボン酸成分として、脂環族カルボン酸及び/又は脂肪族カルボン酸とともにこれ以外の公知のカルボン酸成分を使用することができる。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸等の2価のカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の酸無水物及びアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。前記カルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステルは、例えば、前記アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。染料の染着性及び熱転写受像シートの離型性の観点から、原料のポリエステルはブロードな分子量分布を有するものであることが好ましく、エステル化触媒を用いて縮重合をすることが好ましい。エステル化触媒としては、錫触媒、チタン触媒、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、2酸化ゲルマニウム等の金属化合物等が挙げられるが、ポリエステルの合成におけるエステル化反応の反応効率の観点から、錫触媒が好ましい。錫触媒としては、酸化ジブチル錫、ジオクチル酸錫、これらの塩等が好ましく用いられる。
これらのエステル化触媒は、前記アルコール成分とカルボン酸成分モノマーの総量100重量部に対して、0.1〜1.0重量部使用することが好ましく、0.3〜0.7重量部使用することがより好ましい。
染料の染着性、熱転写受像シートの離型性の観点から、ポリエステルの軟化点は75〜130℃であることが好ましく、80〜125℃がより好ましく、85〜120℃がさらに好ましい。また、ガラス転移点は35〜65℃が好ましく、より好ましくは35〜60℃である。ポリエステルの水酸基価としては、本発明におけるポリイソシアネートとの反応性の観点から、10mgKOH/g以上であることが好ましく、20〜80mgKOH/gがより好ましい。また、ポリエステルの酸価としては、1〜35mgKOH/gが好ましく、5〜25mgKOH/gがより好ましい。また、ガラス転移点、軟化点、酸価及び水酸基価は、いずれも用いるモノマーの種類、配合比率、縮重合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを得ることができる。
また、熱転写受像シートを得る際の造膜性の観点から、ポリエステルの数平均分子量は1,000〜8,000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましく、2,000〜7,000が更に好ましい。
尚、本発明において、ポリエステルとしては、未変性のポリエステルを用いることができるが、前記範囲内において、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも使用できる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
その他の樹脂
本発明の染料受容層組成物には、前記ポリエステル以外にその他の樹脂を含有することができる。
その他の樹脂としては、熱転写受像シートの染料受容層として用いられる公知の樹脂、例えば、前記組成(a)及び(b)を有するポリエステル以外のポリエステル、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル、ポリビニルアセタール等のビニルポリマー、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等を挙げることができ、本発明の熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートが好ましい。
本発明の染料受容層組成物においては、ポリエステル及びその他の樹脂(以下、「ポリエステルを含む樹脂」ということがある)は、有機溶剤に溶解して、あるいはこれを除去した形で含有することができるが、樹脂粒子として含有することもできる。樹脂粒子は、具体的には粉体粒子、分散液中の分散粒子等のいずれの形態でもよいが、環境性の観点から、水性媒体中に分散した分散体の樹脂粒子として含有することが好ましい。
ポリエステル又はポリエステルを含む樹脂は、本発明の熱転写受像シートへの染料の染着性の観点から、本発明の染料受容層組成物の固形分中に、60〜100重量%含有されることが好ましく、70〜100重量%含有されることがより好ましく、さらに好ましくは80〜100重量%含有される。尚、ポリエステルを含む樹脂の固形分中における含有割合は、染料受容層組成物を製造する際の仕込み量より計算する。
脂肪族系ポリイソシアネート化合物
本発明に使用される脂肪族系ポリイソシアネート化合物としては、分子内にイソシアネート基を複数含有するものが使用可能であり、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環族ポリイソシアネートをいずれも包含することができる。脂肪族系ポリイソシアネート化合物としては、例えば、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ビス(4,4′−イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジイソシアネートメチル等の脂環族ポリイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート等の二官能性イソシアネートが挙げられる。
また、イソシアネート基を3個又はそれ以上有するポリイソシアネートとしては、前記イソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体、TMPアダクト体、ビュレット体、アロファネート体が挙げられ、特にイソシアヌレート環含有トリイソシアネートを好ましく使用できる。ポリエステルを含有する樹脂との架橋反応による架橋効果が効果的に発現しうる観点から、その具体例としては、イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート、イソシアヌレート変性イソホロンジイソシアネート、イソシアヌレート変性トリレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらは1種又はそれ以上を組み合わせて使用することができる。
本発明においては、ポリエステルを含む樹脂との架橋反応による架橋効果が効果的に発現しうる観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、又はこれらのイソシアヌレート変性体がより好ましい。脂肪族系ポリイソシアネート化合物として、官能価の高いポリイソシアネート、例えばイソシアネートモノマーの多分散連鎖延長体を用いることで複数の新たな架橋を形成することができ、また、二官能性イソシアネートを含有させることで、新たな架橋を形成することなく網状構造を延長することもできる。これらのポリイソシアネート化合物を用いることにより、熱転写受像シートと熱転写シートとの離型性、熱転写受像シートの染着性、耐光性が改善されるものと考えられる。
脂肪族系ポリイソシアネート化合物の一般的な市販品としては、三井化学ポリウレタン株式会社製のタケネート127N、170Nなどが使用可能である。
前記脂肪族系ポリイソシアネート化合物の添加量あるいは含有量は、ポリエステルを含む樹脂との架橋反応性の観点から、本発明の染料受容層組成物中、ポリエステル100重量部に対して、5〜45重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜35重量部、さらに好ましくは10〜30重量部、よりさらに好ましくは10〜25重量部である。なお、前記肪族系ポリイソシアネート化合物の含有量には、ポリエステルを含む樹脂と未反応の肪族系ポリイソシアネート化合物の量とともに、ポリエステルと反応した前記肪族系ポリイソシアネート化合物の量も含むものとする。
また、染料受容層組成物における脂肪族系ポリイソシアネート化合物の添加量あるいは含有量としては、ポリエステルを含む樹脂との架橋反応性の観点から、ポリエステルを含む樹脂の水酸基に対するイソシアネート基のモル比[(NCO基/OH基)×100]が25〜100となる量であることが好ましく、25〜75となる量であることがより好ましい。
染料受容層組成物
本発明の染料受容層組成物は、前記ポリエステルと、前記脂肪族系ポリイソシアネート化合物とを含有するものであり、好ましくは、前記各成分を混合してなるものである。
本発明の染料受容層組成物には、前記ポリエステルと前記脂肪族系ポリイソシアネート化合物とを混合した際の、それらの混合物、分散体、及び、それらを染料受容層として塗布した際の塗布層構成物、これを乾燥した後の塗布層構成物等のいずれも包含するものとする。
本発明の染料受容層組成物は、本発明の課題の解決の観点から、前記脂肪族系ポリイソシアネート化合物が、前記ポリエステルを架橋してなる架橋ポリエステルを含有することが好ましく、脂肪族系ポリイソシアネート化合物により架橋された架橋ポリエステルは、前記ポリエステルと前記脂肪族系ポリイソシアネート化合物とを前述の量で混合し架橋反応させて得られるものであることがより好ましい。
本発明の熱転写受像シートの染料受容層は、本発明におけるポリエステルを含む樹脂を有機溶剤に溶解して得られた塗工液形態の組成物、あるいは、本発明におけるポリエステルを含む樹脂を有機溶剤や水に分散させて得られた樹脂分散液からなる塗工液形態の組成物を用いて製造することができる。本発明においては、ワイヤーバー等により簡便に塗工できるという観点から、前者の方法が好ましい。
ポリエステルを含む樹脂を溶解するための溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤が挙げられる。これらの中でも、樹脂の溶解性及び乾燥時の溶剤の揮発性の観点から、メチルエチルケトン、トルエンが好ましく、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤がより好ましい。
ポリエステルを含む樹脂を有機溶剤に溶解して樹脂溶解液を製造する方法としては、該ポリエステルを含む樹脂と有機溶剤とを混合して、常温又は加温状態、すなわち20〜50℃、好ましくは20〜35℃で攪拌して溶解させる方法が挙げられる。
ポリエステルを含有する樹脂を分散粒子として調製する方法としては、前記ポリエステルを含む樹脂をケトン系溶剤に溶解させ、中和剤を加えて該ポリエステルを含む樹脂のカルボキシル基をイオン化し、次いで水性媒体を加えた後、ケトン系溶剤を留去して水系に転相する方法が挙げられる。より具体的には、例えば、攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下ロート、窒素ガス導入管のついた反応器を準備し、ケトン系溶剤に溶解したポリエステルを含む樹脂に、中和剤等を加え、カルボキシル基をイオン化し(すでにイオン化されている場合は不要)、次いで水を加えた後、ケトン系溶剤を留去して水系に転相する。ケトン系溶剤への溶解、中和剤の添加は、通常ケトン系溶剤の沸点以下の温度で行い、また、ここで用いられる水としては、例えば脱イオン水等が挙げられる。
用いられるケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン等が挙げられ、樹脂の溶解性及び溶剤の留去の容易性の観点から、好ましくは、メチルエチルケトンである。
また中和剤としては、例えばアンモニア水、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液、アリルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、トリ−n−オクチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、n−プロパノールアミン、ブタノールアミン、2−アミノ−4−ペンタノール、2−アミノ−3−ヘキサノール、5−アミノ−4−オクタノール、3−アミノ−3−メチル−2−ブタノール、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ネオペンタノールアミン、ジグリコールアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサン、1,9−ジアミノノナン、二量体脂肪酸ジアミン、ピペラジン等のアミン類等を挙げることができる。これらの中和剤の使用量は、少なくともポリエステルを含む樹脂の酸価を中和できる量であればよい。
前記ポリエステルを分散させる水性媒体は水を主成分とするもの、すなわち、水が50%以上のものである。環境性の観点から、水性媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。
ポリエステルを含有する樹脂粒子は、熱転写受像シートを得る際の造膜性の観点から、その体積中位粒径(D50)が20nm〜1μmであることが好ましく、より好ましくは、50〜800nmであり、更に好ましくは80〜500nmである。ここで「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。得られる樹脂分散液中の固形分濃度は、操作性と生産性の観点から、10〜45重量%が好ましく、15〜40重量%がより好ましい。
なお、上述のようにして得られた本発明の染料受容層組成物には、得られるポリエステルが自己分散性を有すること、及び該染料受容層組成物を用いて得られる熱転写受像シートの疎水性を向上させる観点から、界面活性剤を含有しないことが好ましい。
脂肪族系ポリイソシアネート化合物によるポリエステルの架橋の存在は、架橋によって生成するウレタン結合の分析により同定することができる。
本発明においては、アルコール成分として用いた2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物の反応性が低いために分子量が極端には高くならず、得られるポリエステルには末端基が多く存在することになる。そのため、脂肪族系ポリイソシアネート化合物による架橋効果が有効に発現できると考えられる。なお、架橋していないポリエステルの存在は、例えば酸価の存在により確認できる。
本発明の染料受容層組成物には、熱転写時における熱転写受像シートの離型性を更に良好にする観点から、離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、分散性あるいは水溶性の変性シリコーンオイル及び/又は無水珪酸の微粒子のコロイド溶液(例えば、コロイダルシリカ)等を適宜使用することができる。前記無水珪酸の微粒子のコロイド溶液中の平均粒径は、熱転写受像シート中の分散性の観点から、100nm以下が好ましく、20nm以下のコロイダルシリカを使用することがより好ましい。これらの離型剤は、染料受容層組成物中に、ポリエステルを含む樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部含有することができる。
また、前記染料受容層組成物には、染料受容層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を高める観点から、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等の顔料や充填剤を含有することができる。これらの顔料や充填剤は、本発明の熱転写受像シートの白色度の観点から、染料受容層組成物中に、ポリエステルを含む樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部含有することができる。なお、本発明の染料受容層組成物には、更に必要に応じて、例えば、触媒等他の添加剤を含有することもできる。
本発明の染料受容層組成物は、前記ポリエステルと前記脂肪族系ポリイソシアネート化合物とを、各々前記添加量あるいは含有量となるように混合し染料受容層を形成する際に架橋反応させて、転写シートからの熱転写の際の該転写シート受像シートとの剥離性を向上させることができる。
架橋反応は、両成分の混合後、いずれの段階でも行うことができるが、染料受容層組成物の基材への塗工性及び造膜性を高める観点から、前記混合液あるいは分散液の塗布後に行うことが好ましく、より好ましくは乾燥時に行う。この時の架橋反応温度は60〜100℃であることが好ましく、より好ましくは70〜98℃である。前記温度に加熱することで、ポリエステルが脂肪族系ポリイソシアネート化合物により適度に架橋される。
ポリエステル及び脂肪族系ポリイソシアネート化合物を含むポリエステル架橋物は、染料受容層組成物の保存安定性及び本発明の熱転写受像シートの保存安定性、染料の染着性の観点から、そのガラス転移点が40〜80℃であることが好ましく、より好ましくは50〜75℃である。また軟化点は80〜250℃であることが好ましく、より好ましくは120〜220℃である。
[熱転写受像シート]
本発明の熱転写受像シートは、基材の少なくとも一方の面に、前記ポリエステルを含む樹脂及び脂肪族系ポリイソシアネート化合物、更に必要に応じて造膜剤、硬化剤や前記他の添加剤を含むポリエステル/架橋剤混合液を塗工液として、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等により塗布及び乾燥して染料受容層を形成することによって得られる。
以上の如く形成される染料受容層の厚さは、一般には1〜50μmの厚さであり、画質及び生産性の観点から、3〜15μmであることが好ましい。また、乾燥後の固形分量としては、受容層1m2当たり3〜15gであることが好ましい。
前記基材としては、例えば合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート等の各種の樹脂のフイルム又はシート等が使用でき、また、これらの樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フイルムあるいは発泡させた発泡シート等も使用できる。また、前記基材を組み合わせた積層体も使用できる。
これらの基材の厚みは、例えば、10〜300μm程度が一般的である。前記の如き基材には、染料受容層との密着力を向上する観点から、その表面にプライマー処理やコロナ放電処理を施すことが好ましい。
前記の如き本発明の熱転写受像シートを使用して熱転写を行う際に使用する転写シートは、通常、紙やポリエステルフイルム上に昇華性染料を含む染料層を設けたものであり、従来公知の転写シートをいずれも使用することができる。
本発明の熱転写受像シートに好適に使用できる昇華性染料としては、例えばイエロー染料では、ピリドンアゾ系、ジシアノスチリル系、キノフタロン系、メロシアニン系;マゼンタ染料では、ベンゼンアゾ系、ピラゾロンアゾメチン系、イソチアゾール系、ピラゾロトリアゾール系;シアン染料では、アントラキノン系、シアノメチレン系、インドフェノール系、インドナフトール系が挙げられる。
また、熱転写時の熱エネルギーの付与手段としては、従来公知の付与手段がいずれも使用でき、例えば、サーマルプリンター等の記録装置によって、記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm2程度の熱エネルギーを付与することによって行うことが出来る。
以下に実施例等により、本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例等においては、各性状値は次の方法により測定、評価した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒は、エタノールとエーテルの混合溶媒を、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
[樹脂の水酸基価]
JIS K0070に従って測定する。
[ポリエステルの軟化点及びガラス転移点]
(1)フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製、Pyris6DSC)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
[樹脂の数平均分子量]
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業社製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、THFを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
製造例1〜3(ポリエステルa〜cの製造)
表1に示す原料モノマー及び触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃で反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が表1に示す温度に達するまで反応させて、ポリエステルa〜cをそれぞれ得た。得られたポリエステルa〜cの物性等を表1に示す。
製造例4(ポリエステルdの製造)
表1に示す原料モノマー及び触媒の内、無水トリメリット酸以外を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃で10時間反応させ、更に減圧(8.3kPa)下で反応した。次いで、210℃で無水トリメリット酸を加え、1時間反応させた後、減圧(20kPa)下にて、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が表1に示す温度に達するまで反応させて、ポリエステルdを得た。得られたポリエステルdの物性等を表1に示す。
製造例5(ポリエステルeの製造)
表1に示す原料モノマー及び触媒の内、無水トリメリット酸以外を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃で8時間反応させ、更に減圧(8.3kPa)下で反応した。次いで、210℃で無水トリメリット酸を加え、1時間反応させた後、減圧(20kPa)下にて、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が表1に示す温度に達するまで反応させて、ポリエステルeを得た。得られたポリエステルeの物性等を表1に示す。
Figure 0005219885
実施例1〜6及び比較例1〜2
熱転写受像シートの製造
表2に示す種類、配合で25℃で混合し塗工液A〜Hをそれぞれ作製した。この塗工液A〜Hの各々を合成紙YUPO FGS−250(厚さ250μm、坪量200g/m2)にワイヤーバーにより乾燥後に5.0g/m2になるように塗布し、75℃で12時間乾燥させて熱転写受像シートを得た。この熱転写受像シートに市販の昇華型プリンタ(キヤノン社製、SELPHY)を用いて各色(黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、グリーン(G)、レッド(R)、ブルー(B))の階調パターン(全18階調)を印画し、染着性(印字感度、最高濃度)、耐光性を評価した。また、5×5cmの黒ベタを印画し、印画時のインクリボンとの熱融着性を評価した。それぞれ下記のように測定し評価した。結果を表2に示す。
評価方法
[染着性(印字感度)]
低濃度印画(9階調目)での転写色濃度をグレタグ濃度計「Spectro Eye」(GRETAG-MACBETH製)で測定し、染着性の指標とした。数値が高いほど印字画像の濃度が高く、染着性に優れることを示す。
[染着性(最高濃度)]
高濃度印画(18階調目)での転写色濃度をグレタグ濃度計「Spectro Eye」(GRETAG-MACBETH製)で測定し、染着性の指標とした。数値が高いほど印字画像の最高濃度が高く、染着性に優れることを示す。
[離型性(熱融着性)]
黒べた印画時のインクリボンと熱転写受像シートの剥離音から熱融着性の有無を、下記基準によって離型性を判断した。熱融着少なく異音が小さいほど離型性に優れることを示す。
A:剥離時に異音はなく、剥離できる。
B:若干の異音があるが、剥離できる。
C:熱融着しており、剥離が困難である。
[耐光性]
下記条件のキセノンウェザーメーターにより耐光性試験を行なった。
・照射試験機:スガ試験機社製SX75
・光源:キセノンランプ
・フィルター:内側=石英フィルター、外側=#275
・パネル温度:50℃
・槽内湿度:35〜50%RH
・照射強度:50(W/m2)……300〜400(nm)での測定値
・積算照度:10000(kJ/m2)……300〜400(nm)での積算値
・色相変化量:光学濃度計(グレタグで測定)を用い、階調パターン印画物の黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、グリーン(G)、レッド(R)、ブルー(B)の光学反射濃度を測定し、照射前の光学反射濃度が1.0近傍のステップについて、照射前後におけるL* a* b* を色彩色差計(グレタグで測定)を用い測定し、下記式により、色相変化量を算出して、黒(K)及び有彩色の各印画物の耐光性を評価した。なお、黒+有彩色の耐光性とは、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、グリーン(G)、レッド(R)、ブルー(B)の各色の色相変化を、合計した値である。
・色相変化量=[((a* 1 −a* 22+(b* 1−b* 221/2
照射前L*** 値:L* 1 、a* 1 、b* 1
照射後L* ** 値:L* 2 、a* 2 、b* 2
Figure 0005219885
本発明の染料受容層組成物は、染料の染着性に優れるとともに、転写シートとの離型性にも優れていることから、優れた画像性能が得られる熱転写受像シートとして好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. (a)式(1)
    Figure 0005219885
    (式中、R1O及びR2Oは各々オキシアルキレン基を表し、x及びyはそれぞれR1O及びR2Oの付加モル数を示す正の数であり、かつxとyの和の平均値は2〜7である。但し、x個のR1Oは各々同一でも異なっていてもよく、またy個のR2Oは各々同一でも異なっていてもよい。)
    で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)前記2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加物中における、プロピレンオキサイド付加物の含有量が50〜100モル%であるアルコール成分と、脂環族カルボン酸及び/又は脂肪族カルボン酸を含有し、かつこれらを総量で80モル%以上含有するカルボン酸成分とを縮重合して得られるポリエステル、及び脂肪族系ポリイソシアネート化合物を含有する染料受容層組成物。
  2. 前記脂肪族系ポリイソシアネート化合物が前記ポリエステルを架橋してなる架橋ポリエステルを含有する、請求項1記載の染料受容層組成物。
  3. 前記ポリエステルの数平均分子量が1,000〜8,000である、請求項1又は2に記載の染料受容層用組成物。
  4. 前記ポリエステルの水酸基価が10mgKOH/g以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の染料受容層用組成物。
  5. 前記ポリエステルが、錫触媒の存在下、縮重合反応により得られたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の染料受容層用組成物。
  6. 基材と、基材の少なくとも一方の面に染料受容層とを有する熱転写受像シートであって、前記染料受容層が、請求項1〜5のいずれかに記載の染料受容層組成物を含有する、熱転写受像シート。
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