JP5097009B2 - 熱転写受像シート用ポリエステル - Google Patents

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Description

本発明は、熱転写受像シート用ポリエステル、及び該ポリエステルを用いた熱転写受像シートに関する。
昇華性染料を記録剤とし、これを基材に担持させた熱転写シートを用いて、昇華性染料で染着可能な熱転写受像シート上にカラー画像を形成する方法が提案されている。これは加熱手段としてプリンターのサーマルヘッドなどを使用し、加熱によって染料を受像シートに転写させてカラー画像を得るものである。このようにして形成された画像は、染料を用いることから非常に鮮明であり、且つ透明性に優れているため、中間色の再現性や階調性に優れ、高品質の画像が期待できる。
上記熱転写受像シートの染料受容層としては、染料の染着性に優れる点から、ポリエステルが使用されることがある。このようなポリエステルを用いた熱転写受像シートとしては、例えば、直鎖脂肪族ジカルボン酸が50モル%より多くと脂環族ジカルボン酸が50モル%未満からなる多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とを重縮合し
てなる熱転写記録用受容シート用のポリエステル樹脂(特許文献1)、酸成分としてコハク酸を70モル%以上、アルコール成分として1,4−ブタンジオールを70モル%以上含む熱転写記録媒体用ポリエステル樹脂(特許文献2)、50〜100モル%の脂肪族ジカルボン酸および0〜50モル%の脂環族ジカルボン酸を含む多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分との重縮合反応により生成した熱転写受容シート用のポリエステル樹脂(特許文献3)、50〜100モル%の直鎖脂肪族ジカルボン酸および0〜50モル%の脂環族ジカルボン酸を含む多価カルボン酸成分と、アルコール成分との重縮合反応により生成したポリエステル樹脂を含有する熱転写受容シート(特許文献4)等が開示されている。
特開2001−329054号公報 特開2004−314403号公報 特開2006−347148号公報 特開2007−21959号公報
前記特許文献1〜4の技術では、いずれも熱転写時における受像シートへの染料の染着性、又は受像シートと転写シートとの熱融着に伴う離型性が十分でなく、その結果、得られる転写画像の画像性能が十分でないという課題があった。特に、高い熱エネルギーをかけて染料の転写量を多くした場合、画像濃度が高くなるが、受像シートと転写シートの離型性が低下し、画像部の表面状態が不均一となり乱反射が生じるため、高い画像濃度が得られないという問題があった。
本発明は、得られる熱転写受像シートの熱転写時の染料の染着性に優れるとともに、転写シートとの離型性にも優れる熱転写受像シート用ポリエステル、及び該ポリエステルを用いた熱転写受像シートを提供する。
本発明は、
[1](a)アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸5〜40モル%と、芳香族カルボン酸50〜90モル%とを含有するカルボン酸成分と、(b)式(1)
Figure 0005097009
(式中、ROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、かつxとyの和の平均値が2〜7である。)
で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有するアルコール成分とを、縮重合して得られる熱転写受像シート用ポリエステル、
[2](1)上記[1]記載のポリエステルを有機溶媒に溶解又は分散、又は水性媒体に分散させて受容層組成物を調製する工程、及び(2)基材の少なくとも一方の面に、工程(1)で得られた受容層組成物を用いて染料受容層を形成する工程、を含む熱転写受像シートの製造方法、及び
[3]基材の少なくとも一方の面に染料受容層を有する熱転写受像シートであって、上記染料受容層が、上記(1)記載のポリエステルを含有する受容層組成物を用いて形成される、熱転写受像シート、
に関する。
本発明のポリエステルを用いて製造される熱転写受像シートは、熱転写時の染料の染着性に優れるとともに、転写シートとの離型性にも優れる。
[熱転写受像シート用ポリエステル]
本発明の熱転写受像シート用ポリエステル(以下、「本発明のポリエステル」ということがある)は、(a)アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸5〜40モル%と、芳香族カルボン酸50〜90モル%とを含有するカルボン酸成分と、(b)式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有するアルコール成分とを、縮重合して得られる。
本発明のポリエステルは、カルボン酸成分とアルコール成分を原料モノマーとして得られるものであり、カルボン酸成分はアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸5〜40モル%と、芳香族カルボン酸50〜90モル%とを含有する。
本発明においては、カルボン酸成分とアルコール成分の主成分として、いずれも芳香族モノマーを使用していることから、樹脂の耐熱性が向上し、かつアルキル又はアルケニルコハク酸が存在することから、ポリエステル間の相互作用が弱まり、染料がポリエステル内部に染み込むため、熱転写受像シートの離型性及び染料の染着性が向上すると推察される。
すなわち、従来、熱転写受像シートにおいては、染着性が良好なポリエステルは離型性に劣ることが課題であったが、本発明においては、剛直な主鎖を持つポリエステルの側鎖にソフトセグメントを導入することにより、得られる熱転写受像シートにおいて染着性と離型性を両立させたポリエステルを提供することができると推定される。
アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸としては、熱転写受像シートへの染料の染着性の観点から、ドデシルコハク酸、オクチルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数2〜22のアルケニル基で置換されたコハク酸を用いることが好ましい。具体的には、アルキル基としては、染料の浸透性の観点から、好ましくは炭素数8〜22の、より好ましくは炭素数10〜20の、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、例えば各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種イコシル基などを挙げることができる。
また、アルケニル基としては、同様の観点から、好ましくは炭素数8〜22の、より好ましくは炭素数10〜20の、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基であり、例えば各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、各種イコセニル基などを挙げることができる。
アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸は、カルボン酸成分中に5〜40モル%含有されることが好ましく、これにより、熱転写受像シートへの染料の染着性が向上する。これは、上記のコハク酸の側鎖にあるアルキル基及び/又はアルケニル基の存在により、ポリエステル間の相互作用が弱まり、染料がポリエステル内部に染み込むためと推察される。染料の浸透性、すなわち、熱転写受像シートへの染料の染着性の観点から、上記コハク酸は、カルボン酸成分中に5〜40モル%含有され、10〜40モル%含有されることが好ましく、20〜40モル%含有されることがより好ましい。
なお、本発明において、アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸には、これらの酸の無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステルが含まれる。
芳香族カルボン酸としては、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられるが、熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、芳香族ジカルボン酸が好ましく、より好ましくは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸である。
上記芳香族カルボン酸は、カルボン酸成分中、50〜90モル%含有され、熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、60〜90モル%含有されることが好ましく、60〜85モル%含有されることがより好ましい。
また、カルボン酸成分としては、上記アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸と芳香族カルボン酸と共に、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸、その他ポリエステルの原料成分として通常用いられる公知のカルボン酸成分をいずれも用いることもできる。上記カルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明のポリエステルは、アルコール成分として、上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有する。
一般式(1)において、Rはエチレン基又はプロピレン基を表わす。x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を表わし、各々正の数である。各Rは同一でも異なっていてもよい。xとyの和の平均値は、カルボン酸との反応性を高める観点から、2〜7であり、好ましくは2〜5、より好ましくは2以上4未満である。
上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物としては、具体的には、上記付加モル数を有するポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、そのエチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の含有比率(エチレンオキサイド付加物/プロピレンオキサイド付加物)はモル比で50/50〜0/100であることが好ましい。離型性の観点から、上記含有比率は、40/60〜0/100であることがより好ましく、更に好ましくは30/70〜0/100である。
上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、原料アルコール成分中に80モル%以上含有されるが、好ましくは90モル%以上含有され、より好ましくは100モル%含有される。
本発明においては、原料成分であるアルコール成分として、上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物とともにこれ以外の公知のアルコール成分を使用することができる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。このアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステルは、例えば、上記アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができるが、熱転写受像シートの離型性の観点から、原料のポリエステルはシャープな分子量分布を有することが好ましく、エステル化触媒を用いて縮重合をすることが好ましい。エステル化触媒としては、錫触媒、チタン触媒、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、2酸化ゲルマニウム等の金属化合物等が挙げられる。
熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、ポリエステルの軟化点は80〜165℃が好ましく、より好ましくは100〜150℃であり、ガラス転移点は55〜75℃が好ましく、より好ましくは55〜70℃である。酸価は、熱転写受像シートの離型性および染料の染着性の観点から、1〜35mgKOH/gが好ましく、5〜35mgKOH/gがより好ましい。ガラス転移点、軟化点及び酸価は、いずれも用いるモノマーの種類・配合比率、縮重合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを得ることができる。
また、染料の染着性および熱転写受像シートを得る際の観点から、ポリエステルの数平均分子量は1,000〜10,000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましい。
尚、本発明において、ポリエステルには、上記範囲内において、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
本発明において、ポリエステルは、ポリエステル以外の他の樹脂とともに用いることができる。ポリエステル以外の樹脂としては、熱転写受像シートの受容層として用いられる公知の樹脂、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル、ポリビニルアセタール等のビニルポリマー、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等を挙げることができ、熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートが好ましい。ポリエステルの含有量は、染料の染着性の観点から、ポリエステルを含む樹脂中、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、100重量%であることが更に好ましい。
[熱転写受像シート及びその製造方法]
本発明の熱転写受像シートは、基材の少なくとも一方の面に染料受容層を形成してなり、上記染料受容層は本発明のポリエステルを含有する受容層組成物を塗布して形成される。
受容層組成物
本発明の受容層組成物は、例えば、本発明のポリエステルを有機溶剤に溶解、あるいは、有機溶剤や水に分散させて製造される。
上記ポリエステルを溶解する有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤が挙げられる。この中でも樹脂の溶解性、乾燥時の揮発性の観点からメチルエチルケトン(MEK)、トルエンが好ましく、より好ましくはメチルエチルケトン/トルエンの混合溶剤である。
ポリエステルを有機溶剤に溶解する方法としては、ポリエステルと有機溶剤を混合して、常温又は加温状態、すなわち、20〜50℃の温度下で攪拌することで溶解させる方法が挙げられる。得られる塗工液中の固形分濃度は操作性と生産性の観点から、10〜45重量%が好ましく、20〜40重量%がより好ましい。
受容層組成物には、熱転写受像シートの離型性の観点から、上記ポリエステルとともに離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイル等を使用することが好ましい。受容層組成物には、上記離型剤以外に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の離型剤を含有することができる。これらの離型剤は、熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、受容層組成物中に、ポリエステルを含む樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部含有することが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部含有することができる。
また、受容層組成物には、染料受容層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を高める観点から、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等の顔料や充填剤を含有することができる。これらの顔料や充填剤は、熱転写受像シートの白色度の観点から、受容層組成物中に、ポリエステルを含む樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部含有することができる。
受容層組成物には、更に必要に応じて、架橋剤、硬化剤、触媒等の添加剤を含有することもできる。
上記離型剤等は、例えば、有機溶剤や水性媒体と混合して使用することができる。
染料受容層
本発明の熱転写受像シート用受容層は、熱転写受像シートの基材の少なくとも一方の面に、上記受容層組成物を有機溶剤に溶解して、あるいは有機溶剤や水に分散して、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等により塗布し乾燥して形成することができる。
以上の如く形成される染料受容層の厚さは、一般には1〜50μmの厚さであり、画質及び生産性の観点から、3〜15μmであることが好ましい。また、乾燥後の固形分量としては、受容層1m2当たり3〜15g/m2であることが好ましい。
染料受容層には、転写時に熱転写シートとの離型性を更に向上させる観点から、離型剤を含む離型層を形成することができる。好ましい離型層としては、ヒドロキシ変性、アミノ変性、カルボキシ変性、メルカプト変性等の各反応性シリコーンを用いることが好ましく、この反応性シリコーンは、必要に応じて架橋剤を用いて架橋させてもよい。
熱転写受像シート
本発明の熱転写受像シートは、基材の少なくとも一方の面に上記染料受容層を有するものであるが、上記基材としては、例えば合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート等の各種の樹脂のフイルム又はシート等が使用でき、また、これらの樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フイルムあるいは発泡させた発泡シート等も使用できる。また、上記基材を組み合わせた積層体も使用できる。
これらの基材の厚みは、例えば、10〜300μm程度が一般的である。上記の如き基材には、染料受容層との密着力を向上する観点から、その表面にプライマー処理やコロナ放電処理を施すことが好ましい。
上記の如き本発明の熱転写受像シートを使用して熱転写を行う際に使用する転写シートは、通常、紙やポリエステルフイルム上に昇華性染料を含む染料層を設けたものであり、従来公知の転写シートをいずれも使用することができる。
本発明の熱転写受像シートに好適に使用できる昇華性染料としては、例えばイエロー染料では、ピリドンアゾ系、ジシアノスチリル系、キノフタロン系、メロシアニン系;マゼンタ染料では、ベンゼンアゾ系、ピラゾロンアゾメチン系、イソチアゾール系、ピラゾロトリアゾール系;シアン染料では、アントラキノン系、シアノメチレン系、インドフェノール系、インドナフトール系が挙げられる。
また、熱転写時の熱エネルギーの付与手段としては、従来公知の付与手段がいずれも使用でき、例えば、サーマルプリンター等の記録装置によって、記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm2程度の熱エネルギーを付与することによって行うことが出来る。
熱転写受像シートの製造方法
本発明の熱転写受像シートは、(1)請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルを有機溶媒に溶解又は分散、又は水性媒体に分散させて受容層組成物を調製する工程、及び(2)基材の少なくとも一方の面に、工程(1)で得られた受容層組成物を用いて染料受容層を形成する工程、を含む製造方法により製造することができる。
工程(1)におけるポリエステル、有機溶媒、水性媒体及び受容層組成物の詳細については、前述の通りである。本発明の熱転写受像シートは、前記基材の少なくとも一方の面に、前記工程(1)で得られた受容層組成物を用いて染料受容層を形成して得られる。基材、染料受容層の詳細についても前述の通りである。
以下に実施例等により、本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例等においては、各性状値は次の方法により測定、評価した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒は、エタノールとエーテルの混合溶媒を、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
[ポリエステルの軟化点及びガラス転移点]
(1)フローテスター(島津製作所製、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製、Pyris6DSC)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
[ポリエステルの数平均分子量]
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業(株)製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、THFを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
製造例1(ポリエステルaの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2800g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2600g、テレフタル酸1673g、ドデセニルコハク酸無水物257g、トリメリット酸無水物706g及びジオクチル酸錫25gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステルaを得た。得られたポリエステルaの軟化点は125℃、ガラス転移点は65℃であり、酸価は19mgKOH/g、数平均分子量は3580であった。
製造例2(ポリエステルbの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)―2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3920g、ポリオキシエチレン(2.0)―2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1560g、ドデセニルコハク酸無水物1672g、テレフタル酸1354g、ジオクチル酸錫25gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、更に減圧(8.3kPa)下で反応をした。無水トリメリット酸307gを加え、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステルbを得た。得られたポリエステルbの軟化点は115℃、ガラス転移点は57℃、酸価は15mgKOH/g、数平均分子量は4200であった。
製造例3(ポリエステルcの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1960g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3380g、テレフタル酸2443g、ジオクチル酸錫25gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、更に減圧(8.3kPa)下で反応をし、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が112℃に達するまで反応させて、ポリエステルcを得た。得られたポリエステルcの軟化点は110℃、ガラス転移点は70℃、酸価は6mgKOH/g、数平均分子量は4090であった。
製造例4(ポリエステルdの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン5544g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン52g、テレフタル酸1248g、ジオクチル酸錫25gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、更に減圧(8.3kPa)下で反応をした。温度を210℃に冷却し、フマル酸631g、無水トリメリット酸31g、ハイドロキノン1gを加え、5時間反応した後に更に減圧(8.3kPa)下でASTM D36−86に従って測定した軟化点が105℃に達するまで反応させて、ポリエステルdを得た。得られたポリエステルdの軟化点は106℃、ガラス転移点は61℃、酸価は11mgKOH/g、数平均分子量は4310であった。

製造例1〜4で得られたポリエステルa〜dの各々の組成及び性状を下記表1に示す。製造例1,2が本発明のポリエステルである。
Figure 0005097009
実施例1〜2及び比較例1〜2(熱転写受像シートの製造)
熱転写受像シートの製造
ポリエステル、溶剤及び離型剤を表2に示す種類、配合で25℃で混合し塗工液A〜Dを作製した。この塗工液A〜Dの各々を合成紙YUPO FGS−250(ユポコーポレーション製、厚さ250μm、坪量200g/m2)にワイヤーバーにより乾燥後に5.0g/m2になるように25℃で塗布し、50℃15時間で乾燥させて熱転写受像シートを得た。この熱転写受像シートに昇華型プリンタ(キヤノン社製、SELPHY)を用いてモノクロの階調パターン(18階調)を印画した。モノクロの階調パターンとは、L値を0から255まで15刻みで変化させた0.6cm四方のベタ画像である。評価項目は、印字感度、最高濃度、印画時のインクリボンとの熱融着性であり、それぞれ下記のように測定し評価した。結果を表2に示す。なお、表2に示す各成分に対する数字は各成分の配合量を示す。
評価方法
[印字感度(染料の染着性の評価)]
低濃度印画(9階調目(L=120))での転写色濃度をグレタグ濃度計(GRETAG-MACBETH製)で測定した。転写色濃度が高い程染料の染着性に優れることを意味する。
[最高濃度(染料の染着性及び転写シートとの離型性の評価)]
高濃度印画(18階調目(L=0))での転写色濃度をグレタグ濃度計(GRETAG-MACBETH製)で測定した。画像濃度が高い程染料の染着性に優れることを意味する。濃度が高くなるに従い染料の付着量が高くなるが、離型性が劣る場合、画像部の表面状態が不均一となり乱反射が生じるため、高画像濃度が得らない。
[熱転写受像シートの離型性の評価]
階調パターン印画時のインクリボンと熱転写受像シートの剥離音から、下記基準で熱融着性を判断した。
A:剥離時に異音はなく、熱転写受像シートとインクリボンとの剥離性は良好である。
B:剥離時に若干の異音が聞こえるものの、熱転写受像シートとインクリボンとの剥離性は良好である。
C:熱融着しており、熱転写受像シートとインクリボンとの剥離が困難である
Figure 0005097009
本発明のポリエステルは、得られる熱転写受像シートへの染料の染着性に優れるとともに、離型性にも優れていることから、画像性能に優れた熱転写受像シートに好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 基材の少なくとも一方の面に染料受容層を有する熱転写受像シートであって、
    前記染料受容層が、(a)アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸5〜40モル%と、芳香族カルボン酸50〜90モル%とを含有するカルボン酸成分と、(b)式(1)
    Figure 0005097009
    (式中、ROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、かつxとyの和の平均値が2〜7である。)
    で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有するアルコール成分とを、縮重合して得られる熱転写受像シート用ポリエステルを含有する受容層組成物を用いて形成される、熱転写受像シート
  2. アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸が、炭素数8〜22のアルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸である、請求項1記載の熱転写受像シート
  3. 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物における、エチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物のアルコール成分中の含有比率(エチレンオキサイド付加物/プロピレンオキサイド付加物)がモル比で50/50〜0/100である、請求項1又は2に記載の熱転写受像シート
  4. 前記受容層組成物が、さらに離型剤を含有し、該離型剤の含有量が、該受容層組成物中の前記ポリエステルを含む樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱転写受像シート。
  5. 前記染料受容層の乾燥後の固形分量が、3〜15g/m 2 である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱転写受像シート。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の熱転写受像シートの製造方法であって、
    (1)前記熱転写受像シート用ポリエステルを有機溶媒に溶解又は分散、又は水性媒体に分散させて前記受容層組成物を調製する工程、及び(2)基材の少なくとも一方の面に、工程(1)で得られた受容層組成物を用いて染料受容層を形成する工程、を含む熱転写受像シートの製造方法。
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