JP5249083B2 - 染料受容層用分散液 - Google Patents

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Description

本発明は、熱転写受像シートの染料受容層を形成させる際に用いられる染料受容層用分散液、及び該分散液を用いて得られる染料受容層を有する熱転写受像シートに関する。
昇華性染料を記録剤とし、これを基材に担持させた熱転写シートを用いて、昇華性染料で染着可能な熱転写受像シート上にカラー画像を形成する方法が提案されている。これは加熱手段としてプリンターのサーマルヘッドなどを使用し、加熱によって染料を受像シートに転写させてカラー画像を得るものである。このようにして形成された画像は、染料を用いることから非常に鮮明であり、且つ透明性に優れているため、中間色の再現性や階調性に優れ、高品質の画像が期待できる。
このような熱転写シートにおいては、熱転写時における受像シートへの染料の染着性、又は受像シートと熱転写シートとの熱融着に伴う離型性に改善の余地があり、その結果、得られる転写画像の画像性能が十分でないという課題があった。
一方、染料の染着性を改善する観点から、熱転写受像シートの染料受容層としてポリエステルが使用されることがある。また、離型性の観点から、コロイダルシリカを使用する技術が開示されている(特許文献1〜4)
特開2000−289349号公報 特許平7−17150号公報 特開平2−277693号公報 特開平6−135170号公報
しかし、前記特許文献1〜4の各々の技術では、近年の高速高画質印字においては、染着性及び離型性の両立が困難である。また、染料を熱転写で昇華させ画像を形成した後、その上にラミネートフィルムによる保護層(ラミネート層)を転写する場合、保護層が十分転写されないために耐光性が劣るという結果も生じている。
本発明は、優れた染料の染着性を維持しつつ、転写シートとの離型性に優れ、かつ転写シートのラミネート層の転写性に優れた熱転写受像シートを与える染料受容層用分散液、及び該分散液から得られる染料受容層を有する熱転写受像シートを提供する。
本発明は、
[1]水系媒体中にポリエステルを分散してなる樹脂分散液と、前記樹脂分散液中の固形分に対して8〜35重量%のシリカ粒子とを混合して得られる染料受容層用分散液であって、前記ポリエステルが、式(I)
Figure 0005249083
(式中、R1O及びR2Oは各々オキシアルキレン基をを表し、x及びyはそれぞれR1O及びR2Oの付加モル数を示す正の数であり、かつxとyの和の平均値は2〜7である。但し、x個のR1Oは各々同一でも異なっていてもよく、またy個のR2Oは各々同一でも異なっていてもよい。)
で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を50モル%以上含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して得られるものであり、かつ、前記シリカ粒子の体積中位粒径(D50)が10〜50nmであり、下記式(1)で表されるSF−1が130以上であり、下記式(2)で表されるSF−2が115以上である染料受容層用分散液、
SF−1=(ML2/PA)×(π/4)×100 (1)
(式中、MLはシリカ粒子の最大径を示し、PAはシリカ粒子の投影面積を示す。)
SF−2=(PL2/PA)×(1/4π)×100 (2)
(式中、PLはシリカ粒子の周長を示し、PAはシリカ粒子の投影面積を示す。)、及び
[2]基材と、基材の少なくとも一方の面に染料受容層とを有する熱転写受像シートであって、前記染料受容層が、前記[1]記載の染料受容層用分散液を用いて得られる、熱転写受像シート、
に関する。
本発明によれば、熱転写時の優れた染料の染着性を維持しつつ、転写シートとの離型性に優れ、かつ転写シートのラミネート層の転写性に優れた熱転写受像シートを与える染料受容層用分散液、及び該分散液を例えば塗布することにより得られる染料受容層を有する熱転写受像シートを提供することができる。
[染料受容層用分散液]
本発明の染料受容層用分散液は、前記式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を50モル%以上含むアルコール成分を用いて得られるポリエステルを分散してなる樹脂分散液と、体積中位粒径(D50)が10〜50nmであり、前記式(1)で表されるSF−1が130以上であり、前記式(2)で表されるSF−2が115以上である特定量のシリカ粒子とを混合して得られるものである。
前述のように、本発明においては、特定のポリエステルを使用し、シリカ粒子の形状を凹凸表面状、すなわち、上記SF−1及びSF−2の値の範囲内とすることにより、本発明の課題を解決することができた。特に、コロイダルシリカは、一般に球状であり、また、通常、比表面積が大きいと受容層樹脂との接触面積が増加するため受容層の強度が低下することから球状のものがよいと考えられていたところ、本発明においては、あえて、シリカ粒子を異形粒子にすることで、特定のポリエステルの使用と相まって、熱転写時の優れた染料の染着性を維持しつつ、転写シートとの離型性に優れ、かつ転写シートのラミネート層の転写性に優れた熱転写受像シート、及びその染料受容層用分散液を得ることができる。
(ポリエステル)
本発明において、ポリエステルは、原料成分として、前記式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を50モル%以上含むアルコール成分を用いて得られる。
一般式(I)において、R1O、R2Oはいずれもオキシアルキレン基であり、好ましくは、それぞれ独立に炭素数1〜4のオキシアルキレン基であり、より好ましくは、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基である。また、x個のR1O又はy個のR2Oは、各々同一であっても異なっていてもよいが、熱転写受像シートの染料の染着性及び中間層と染料受容層の密着性の観点から、同一であることが好ましい。
x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数に相当し、それぞれ正の数である。さらに、カルボン酸成分との反応性の観点から、xとyの和の平均値は2〜7が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜3がさらに好ましい。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物としては、前記観点から、具体的には、x及びyが前記定義の範囲内であり、かつR1O及びR2Oが共にオキシエチレン基であるポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、x及びyが前記定義の範囲内であり、かつR1O及びR2Oが共にプロピレンオキシ基であるポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましく挙げられる。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物においては、熱転写受像シートの離型性に優れる点から、前記プロピレンオキサイド付加物の含有量が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物中、50〜100モル%であることが好ましく、60〜100モル%であることがより好ましく、さらに好ましくは70〜100モル%であり、更により好ましくは実質的に100モル%である。
なお、プロピレンオキサイド付加物を含有する場合は、本発明の効果を損しない範囲で、前記2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、プロピレンオキサイド付加物の一部が他のオキシアルキレン基で置換されていてもよい。例えば、前記プロピレンオキサイド付加物の一部が、他のオキシアルキレン基、例えば、オキシエチレン基、オキシトリメチレン基等で置換されていてもよいが、熱転写受像シートの染料の染着性の観点から、オキシエチレン基が好ましい。
前記式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、原料アルコール成分中に50モル%以上含有されるが、熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、原料アルコール成分中に好ましくは70モル%以上含有され、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは実質100モル%含有される。なお、本発明において、アルキレンオキサイド付加物とは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンにオキシアルキレン基を付加したアルコール全体を意味するものである。
ポリエステルの原料成分であるアルコール成分として、前記式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物とともにこれ以外の公知のアルコール成分を使用することができる。例えば、式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物以外の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)等が挙げられる。前記アルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリエステルの原料成分としてのカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸類、デカリンジカルボン酸類等の脂環族カルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記カルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、カルボン酸成分として、熱転写受像シートへの染料の染着性の観点から、アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸を用いることができ、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数2〜22のアルケニル基で置換されたコハク酸を用いることが好ましく、炭素数8〜22、好ましくは炭素数10〜20の、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数8〜22、好ましくは炭素数10〜20の、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基が用いられる。
具体的には、アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸において、アルキル基としては、例えば各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種イコシル基などを挙げることができる。
また、アルケニル基としては、例えば各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、各種イコセニル基などを挙げることができる。
アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸は、カルボン酸成分中に5〜50モル%含有されることが好ましい。
ポリエステルは、例えば、前記アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができるが、本発明の熱転写受像シートの離型性の観点から、原料のポリエステルはシャープな分子量分布を有することが好ましく、エステル化触媒を用いて縮重合をすることが好ましい。エステル化触媒としては、錫触媒、チタン触媒、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、2酸化ゲルマニウム等の金属化合物等が挙げられるが、
ポリエステルの合成におけるエステル化の反応化反応の反応効率の観点から、錫触媒が好ましい。錫触媒としては、酸化ジブチル錫、ジオクチル酸錫、これらの塩等が好ましく用いられる。
染料受容層用分散液の保存安定性、及び、熱転写受像シートの離型性、保存安定性の観点から、ポリエステルの軟化点は80〜165℃が好ましく、ガラス転移点は50〜85℃が好ましい。酸価は1〜35mgKOH/gが好ましく、5〜35mgKOH/gがより好ましく、10〜35mgKOH/gが更に好ましい。ガラス転移点、軟化点及び酸価はいずれも用いるモノマーの種類、配合比率、縮重合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを得ることができる。
また、染料受容層用分散液の造膜性の観点から、ポリエステルの数平均分子量は1,000〜10,000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましい。
尚、本発明において、ポリエステルには、前記範囲内において、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
(樹脂分散液)
本発明における樹脂分散液は、前記ポリエステルを水系媒体中に分散してなるものである。すなわち、本発明の染料受容層用分散液においては、ポリエステルは、ポリエステルを含有する樹脂粒子として含有されることが好ましく、環境性の観点から、水系媒体中に分散してなる樹脂分散液の樹脂粒子として含有されることが好ましい。
前記樹脂粒子は、ポリエステル以外の樹脂を含有することができる。全樹脂中のポリエステルの含有量は、染料の染着性の観点から、50重量%以上であり、75重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましく、実質100重量%であることがよりさらに好ましい。
前記樹脂粒子に含有されうるポリエステル以外の樹脂としては、熱転写受像シートの染料受容層として用いられる公知の樹脂、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル、ポリビニルアセタール等のビニルポリマー、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等を挙げることができ、熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートが好ましい。
前記ポリエステルを分散させる水系媒体とは、水を主成分とするもの、すなわち、水が50%以上のものである。環境性の観点から、水性媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。
ポリエステルを含有する樹脂粒子は、熱転写受像シートを得る際の造膜性の観点から、その体積中位粒径(D50)が20nm〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは、50〜800nmであり、更に好ましくは80〜500nmである。ここで「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。その測定方法は後述の通りである。
本発明におけるポリエステル、あるいはポリエステル及びポリエステル以外の樹脂を含有する樹脂(以下、「ポリエステルを含む樹脂」ということがある)は、本発明の熱転写受像シートへの染料の染着性の観点から、樹脂分散液の固形分中に、50〜100重量%含有されることが好ましく、より好ましくは75〜100重量%含有され、更に好ましくは80〜100重量%含有される。尚、前記樹脂の固形分中における含有割合は、樹脂分散液又は染料受容層用分散液を製造する際の仕込み量より計算することができる。
前記樹脂分散液は、熱転写の際の転写シートと熱転写受像シートの離型性を向上させる観点から、さらにオキサゾリン基を有する化合物(以下、「オキサゾリン化合物」ということがある)を添加してなるものであることが好ましく、また、該オキサゾリン化合物の少なくとも一部が、前記ポリエステルの少なくとも一部を架橋してなる架橋ポリエステルを含有することが好ましい。オキサゾリン化合物により架橋された架橋ポリエステルを含む樹脂は、水系媒体中で、前記ポリエステルを含有する樹脂と前記オキサゾリン化合物とを混合し架橋反応させて得られるものであることが好ましい。
オキサゾリン化合物としては、分子内にオキサゾリン基を複数含有するものが使用可能である。分子内にオキサゾリン基を複数含有する化合物としては、2,2−(1,3−フェニレン)−ビス2−オキサゾリン、2,2−(1,4−フェニレン)−ビス2−オキサゾリンなどの2官能タイプ;オキサゾリン基を含有する重合性単量体を重合した多官能タイプ(重合体)が挙げられる。
オキサゾリン化合物としては、ポリエステルとの架橋反応による架橋効果が効果的に発現しうる観点から、オキサゾリン基を含有する重合体が好ましく用いられる。オキサゾリン基を含有する重合体は、例えば、オキサゾリン基を含有する重合性単量体を重合することによって得られる。必要に応じて、オキサゾリン基を有する重合性単量体と共重合可能な、オキサゾリン基を有しない重合性単量体との共重合によって得られる。
オキサゾリン基を有する重合性単量体としては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5− メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2− オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2− オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2− オキサゾリン等が挙げられる。これらは1種類のみを用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが、工業的に入手しやすいため好ましい。
オキサゾリン基を有しない重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、(メタ)アクリル酸−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N −(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン含有α,β−不飽和脂肪族炭化水素;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等のα,β−不飽和芳香族炭化水素;等を挙げることができる。これらは1種類のみで用いても、2種類以上を併用してもよい。
オキサゾリン基を含有する重合体は、その重量平均分子量は、ポリエステルとの架橋反応性および生産性の観点から、500〜2,000,000であることが好ましく、1,000〜1,000,000であることがより好ましい。
樹脂分散液において、オキサゾリン化合物は粉体粒子として用いることもできるが、ポリエステルとの架橋反応性及び生産性の観点から、水性媒体中に分散若しくは溶解されたものとして含有されることが好ましい。水性媒体中に分散されたものである場合、オキサゾリン化合物の分散粒子は、ポリエステルを含有する樹脂との架橋反応性の観点から、その体積中位粒径(D50)が0.02〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8μmである。また、オキサゾリン化合物が分散若しくは溶解される水性媒体としては、前述のものが同様に用いられる。
尚、オキサゾリン基を含有する重合体の一般的な市販品としては、日本触媒社製のエポクロスWSシリーズ(水溶性タイプ)、Kシリーズ(エマルションタイプ)などが使用可能である。
前記オキサゾリン化合物の含有量あるいは添加量は、ポリエステルとの架橋反応性及び生産性の観点から、樹脂分散液中、ポリエステルを含む樹脂100重量部に対して、固形分として0.1〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20重量部である。
ポリエステルを含む樹脂にオキサゾリン化合物が適量添加され、かつ所定温度で混合することにより、樹脂分散液に分散しているポリエステルを含む樹脂粒子の一部が架橋される。この時の温度は、60〜100℃であることが好ましく、より好ましくは70〜98℃である。前記温度に加熱して混合することで、ポリエステルの少なくとも一部がオキサゾリン化合物により適度に架橋される。オキサゾリン化合物によるポリエステルの架橋の存在は、架橋によって生成するアミド基の分析により同定することができる。
水系媒体中にポリエステルを分散させる方法としては、前記ポリエステルを含む樹脂をケトン系溶剤に溶解させ、中和剤を加えて該ポリエステルを含む樹脂のカルボキシル基をイオン化し、次いで水を加えた後、ケトン系溶剤を留去して水系に転相する方法が好ましく挙げられる。より具体的には、例えば、攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下ロート、窒素ガス導入管のついた反応器を準備し、ケトン系溶剤に溶解したポリエステルを含む樹脂に、中和剤等を加え、カルボキシル基をイオン化し(すでにイオン化されている場合は不要)、次いで水を加えた後、ケトン系溶剤を留去して水系に転相する。ケトン系溶剤への溶解、中和剤の添加は、通常ケトン系溶剤の沸点以下の温度で行い、また、ここで用いられる水としては、例えば脱イオン水等が挙げられる。
用いられるケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン等が挙げられ、樹脂の溶解性及び溶剤の留去の容易性の観点から、好ましくは、メチルエチルケトンである。
また中和剤としては、例えばアンモニア水、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液、アリルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、トリ−n−オクチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、n−プロパノールアミン、ブタノールアミン、2−アミノ−4−ペンタノール、2−アミノ−3−ヘキサノール、5−アミノ−4−オクタノール、3−アミノ−3−メチル−2−ブタノール、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ネオペンタノールアミン、ジグリコールアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサン、1,9−ジアミノノナン、二量体脂肪酸ジアミン、ピペラジン等のアミン類等を挙げることができる。これらの中和剤の使用量は、少なくともポリエステルを含む樹脂の酸価を中和できる量であればよい。
なお、前述のようにして得られた樹脂分散液には、前記ポリエステルが自己分散性を有すること、及び該樹脂分散液を用いて得られる熱転写受像シートの疎水性を向上させる観点から、界面活性剤を含有しないことが好ましい。
前記水系媒体中に、ポリエステルを分散してなる樹脂分散液は、染料受容層用分散液の保存安定性及び、熱転写受像シートの保存安定性、染料の染着性の観点から、該樹脂分散液の固形分のガラス転移点が40〜80℃であることが好ましく、より好ましくは50〜75℃である。また軟化点は80〜250℃であることが好ましく、より好ましくは120〜220℃である。
前記樹脂分散液中の固形分濃度は、樹脂粒子の分散性及び生産性の観点から、20〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは25〜40重量%、更に好ましくは30〜40重量%である。また、前記分散液の25℃におけるpHは、樹脂分散液の保存安定性の観点から、5〜10であることが好ましく、より好ましくは6〜9、更に好ましくは7〜9である。
また、本発明におけるポリエステルは、染料の染着性の観点から、染料容層用分散液中に、染料受容層用分散液の固形分に対し、45〜99重量%の量で含有されることが好ましく、55〜99重量%の量で含有されることがより好ましい。
(シリカ粒子)
本発明の染料受容層用分散液には、シリカ粒子を前記樹脂分散液中の固形分に対して8〜35重量%含有する。
シリカ粒子としては、例えばコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、表面修飾したシリカ等がいずれも挙げられるが、染料受容層用分散液中でのシリカ粒子の分散性の観点から、コロイダルシリカが好ましい。シリカ粒子の分散性が高まることで、前記、離型性に優れた染料受容層分散液を得ることができる。シリカ粒子は、1種からなるものであってもよいが、2種以上のシリカ粒子を組み合わせて用いるものであってもよい。
本発明において、シリカ粒子は、下記式(1)で表されるSF−1が130以上であり、下記式(2)で表されるSF−2が115以上のものである。
SF−1=(ML2/PA)×(π/4)×100 (1)
(式中、MLはシリカ粒子の最大径を示し、PAはシリカ粒子の投影面積を示す。)
SF−2=(PL2/PA)×(1/4π)×100 (2)
(式中、PLはシリカ粒子の周長を示し、PAはシリカ粒子の投影面積を示す。)
本発明において、「SF−1」とは、粒子の丸さの度合いを示すものであって、電子顕微鏡観察で得られる粒子の最大径を直径とする円の面積を、電子顕微鏡観察で得られる該粒子の投影面積で除して100を乗じた値であり、この値が100に近い程、球状に近い形状であることを示す。
また、本発明において、「SF−2」とは、粒子表面の滑らかさ、すなわち凹凸の度合いを示すものであって、電子顕微鏡観察で得られる粒子の周長を円周とする円の面積を、電子顕微鏡観察で得られる該粒子の投影面積で除して100を乗じた値であり、この値が100に近い程、表面が滑らかな形状であることを示す。
前記SF−1及びSF−2の測定に用いられる電子顕微鏡としては、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)が使用できる。SF−1及びSF−2は、具体的には、後述のような方法で測定できる。なお、SF−1及びSF−2の値は、いずれも個数基準の平均値である。前記平均値は、特に制限されないが、100個以上の粒子数を用いて測定することが好ましい。
本発明において、前記シリカ粒子のSF−1及びSF−2は、離型性とラミネート層の転写性の両立の観点から、SF-1の値が130以上であるが、好ましくは135以上であり、より好ましくは140以上、更により好ましくは145以上である。その上限値は、比表面積増大による受容層の強度低下を抑制する観点から、一般に、180が好ましい。
また、SF−2の値は115以上であるが、好ましくは118以上であり、より好ましくは120以上であり、さらにより好ましくは122以上である。その上限値は特に限定されないが、比表面積増大による受容層の強度低下を抑制する観点から、一般に、160が好ましい。
SF−1およびSF−2が前記範囲にあるシリカ粒子を調製する方法としては、特に限定されないが、例えば、市販の球状コロイダルシリカに凝集剤(例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどのアルミニウム化合物等)を添加して凝集二次粒子を作製し、必要に応じて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリによりpHを8〜12に調節し、ケイ酸水溶液を添加して50〜100℃の任意の温度で0.5〜50時間維持して凝集粒子を一体化させる方法;市販の球状コロイダルシリカに、強酸の塩からなる電解質(例えば、硫酸、硝酸、塩酸などのNa塩、Ca塩、K塩、Mg塩、アンモニウム塩)の存在下、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどのケイ酸塩の水溶液を添加して50〜100℃の任意の温度で0.5〜50時間維持してシリカ粒子表面にケイ酸アルカリを析出させる方法、等が挙げられる。さらに、反応時間や反応温度を高めることで、SF−1およびSF−2の値を大きくする等の調整を行うことができる。
本発明におけるシリカ粒子を調整する前記方法において使用し得る市販のコロイダルシリカとしては、スノーテックスXS、スノーテックスS、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスC、スノーテックスN(日産化学工業社製)、カタロイドSI550、カタロイドSI350、カタロイドSI30、カタロイドSI40、カタロイドSI50(日揮触媒化成社製)などが挙げられる。
本発明において、シリカ粒子の体積中位粒径(D50)は10〜50nmであり、前記SF−1およびSF−2の値を、前記範囲に調整した後の粒径が前記範囲内にあればよく、染料の染着性及び熱転写受像シートの離型性に優れる観点から、前記体積中位粒径(D50)が10〜40nmであることが好ましく、10〜30nmであることがより好ましい。前記体積中位粒径(D50)は後述の方法で測定することができる。
本発明において、シリカ粒子は、通常、シリカ粒子が分散媒中に分散したシリカ粒子分散液の形で使用される。本発明において使用できる市販のコロイダルシリカとしては、例えば、Bindzil2040(Eka Chemicals社)が挙げられる。
前記シリカ粒子は、本発明の染料受容層分散液中に、樹脂分散液中の固形分に対して8〜35重量%の量で含有される。染料の染着性及び熱転写受像シートの離型性に優れる観点から、シリカ粒子は、本発明の染料受容層分散液中に、前記樹脂分散液中の固形分に対して、好ましくは8〜30重量%の量で含有され、より好ましくは8〜25重量%の量で含有される。
以上のように、本発明においては、特定のポリエステルを使用し、シリカ粒子の形状を、非球状かつ凹凸表面状、すなわち、上記SF−1及びSF−2の値の範囲内とすることにより、本発明の課題を解決することができた。
[染料受容層用分散液]
本発明の染料受容層用分散液は、水系媒体中に前記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を50モル%以上含むアルコール成分を用いて得られるポリエステルを分散してなる樹脂分散液と、前記特定の性状を有するシリカ粒子とを前記含有量となるように混合して得られる。
本発明の染料受容層用分散液には、熱転写時における熱転写受像シートの離型性を更に良好にする観点から、さらに離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、分散性あるいは水溶性の変性シリコーンオイル等を適宜使用することができる。これらの離型剤は、染料受容層用分散液中に、ポリエステルを含む樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部含有することができる。
また、前記染料受容層用分散液には、染料受容層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を高める観点から、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウム等の顔料や充填剤を含有することができる。これらの顔料や充填剤は、本発明の熱転写受像シートの白色度の観点から、染料受容層用分散液中に、ポリエステルを含む樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部含有することができる。なお、本発明の染料受容層用分散液には、更に必要に応じて、例えば、触媒等他の添加剤を含有することもできる。
[染料受容層用分散液の製造方法]
本発明の染料受容層用分散液の製造方法は、本発明における樹脂分散液と、シリカ粒子とを混合する工程を含む製造方法により製造することができるが、前記シリカ粒子は、シリカ粒子が分散媒中に分散したシリカ粒子分散液として混合することが好ましい。
また、前記離型剤、顔料及び充填剤等は、予め、前記樹脂分散液及び/又は前記シリカ粒子分散液に含有しても良いし、樹脂分散液とシリカ粒子とを混合する工程により得られた分散液と混合してもよい。
[熱転写受像シート]
本発明の熱転写受像シートは、基材と、基材の少なくとも一方の面に染料受容層とを有するものであるが、基材の少なくとも一方の面に、前記ポリエステルを含む樹脂分散液及びシリカ粒子に、必要に応じて、前記離型剤や顔料とともにブチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトールなどの造膜剤、硬化剤や前記他の添加剤を加えた本発明の染料受容層用分散液を、染料受容層用の塗工液として、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等により塗布及び乾燥して染料受容層を形成することによって得ることが好ましい。
以上の如く形成される染料受容層の厚さは、一般には1〜50μmであり、画質及び生産性の観点から、3〜15μmであることが好ましい。また、乾燥後の固形分量としては、受容層1m2当たり3〜15gであることが好ましい。
前記基材としては、例えば合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート等の各種の樹脂のフイルム又はシート等が使用でき、また、これらの樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フイルムあるいは発泡させた発泡シート等も使用できる。また、前記基材を組み合わせた積層体も使用できる。
これらの基材の厚みは、例えば、10〜300μm程度が一般的である。前記の如き基材には、染料受容層との密着力を向上する観点から、その表面にプライマー処理やコロナ放電処理を施すことが好ましい。
[転写シート]
前記の如き本発明の熱転写受像シートを使用して熱転写を行う際に使用する転写シートは、通常、紙やポリエステルフイルム上に昇華性染料を含む染料層、及び染料を受像して得られた画像上に転写される保護層等からなるラミネート層を設けたものであり、従来公知の転写シートをいずれも使用することができる。
本発明の熱転写受像シートに好適に使用できる昇華性染料としては、例えばイエロー染料では、ピリドンアゾ系、ジシアノスチリル系、キノフタロン系、メロシアニン系;マゼンタ染料では、ベンゼンアゾ系、ピラゾロンアゾメチン系、イソチアゾール系、ピラゾロトリアゾール系;シアン染料では、アントラキノン系、シアノメチレン系、インドフェノール系、インドナフトール系が挙げられる。
保護層は、熱転写で形成される画像を保護するために、基材上に形成されるものであり、熱転写の際に印字画像に転写され画像保護シートとして機能するものである。
保護層は、熱可塑性樹脂、熱架橋性樹脂、電離放射線架橋樹脂等、公知の保護層形成用樹脂から形成することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、ウレタン、エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル系樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂等が挙げられる。
前記保護層は、層全体で、通常0.1〜30μm、好ましくは0.5〜5μmの厚みとすることができる。
また、熱転写時の熱エネルギーの付与手段としては、従来公知の付与手段がいずれも使用でき、例えば、サーマルプリンター等の記録装置によって、記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm2程度の熱エネルギーを付与することによって行うことが出来る。
[熱転写受像シートの製造方法]
本発明の熱転写受像シートは、(1)染料受容層用分散液を調製する工程、及び(2)基材の少なくとも一方の面に、工程(1)で得られた染料受容層用分散液を用いて染料受容層を形成する工程、を含む製造方法により製造することができる。
工程(1)におけるポリエステル、水系媒体、シリカ粒子及び染料受容層用分散液の詳細については、前述の通りである。本発明の熱転写受像シートは、前記基材の少なくとも一方の面に、前記工程(1)で得られた染料受容層用分散液を用いて染料受容層を形成して得られる。基材、染料受容層の詳細についても前述の通りである。
以下に実施例等により、本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例等においては、各性状値は次の方法により測定、評価した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒は、エタノールとエーテルの混合溶媒を、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
[ポリエステルの軟化点及びガラス転移点]
(1)フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製、Pyris6DSC)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
[樹脂の数平均分子量]
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業社製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、THFを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
[樹脂粒子の粒径]
レーザー回折型粒径測定機(HORIBA製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で、体積中位粒径(D50)を測定する。
[樹脂分散液、シリカ粒子分散液の固形分濃度]
赤外線水分計(ケツト科学研究所社製:FD−230)を用いて、分散液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
[シリカ粒子の体積中位粒径(D50)]
スラリー状のシリカ粒子を試料として用い、日本電子製透過型電子顕微鏡「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍)により、当該顕微鏡のメーカーが添付した説明書に従って試料を観察し、TEM像を写真撮影した。この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて個々のシリカ粒子の円相当径を求め、それを粒径とした。このようにして、1000個以上のシリカ粒子の粒径を求めた後、その結果をもとに表計算ソフト「EXCEL」(マイクロソフト社製)にて粒径から粒子体積に換算し、粒径分布を得た。そして、得られたシリカ粒子の粒径分布データに基づき、体積中位粒径(D50)を算出する。
[シリカ粒子のSF−1およびSF−2]
スラリー状のシリカ粒子を試料として用い、日本電子製透過型電子顕微鏡「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍)により、当該顕微鏡のメーカーが添付した説明書に従って試料を観察し、TEM像を写真撮影した。この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて粒子一個の最大径と投影面積を計測してSF−1を算出し、粒子一個の周長と投影面積を計測してSF−2を算出した。なお、下記表4に示す数値は、100個のシリカ粒子の各々のSF−1、SF−2を求めた後これらの平均値を算出したものを示す。
製造例1(ポリエステルaの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 3500g、イソフタル酸1245g及びジオクチル酸錫21gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で5時間反応させ、更に減圧(8.3kPa)下で反応した。210℃で無水トリメリット酸307gを加え、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が125℃に達するまで反応させて、ポリエステルaを得た。得られたポリエステルaの軟化点は122℃、ガラス転移点は71℃であり、酸価は23mgKOH/g、数平均分子量は3820であった。
製造例2(ポリエステルbの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2859g、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸1462g、ジオクチル酸錫塩22gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧(101.3kPa)下200℃で8時間反応させ、更に減圧(8.3kPa)下で反応をした。ASTM D36−86に従って測定した軟化点が90℃に達するまで反応させて、ポリエステルbを得た。得られたポリエステルbの軟化点は88℃、ガラス転移点は51℃、酸価は6mgKOH/g、数平均分子量は3560であった。
Figure 0005249083
製造例3(樹脂分散液Aの製造)
窒素導入管、還流冷却管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに表2に示す配合で、ポリエステルaを入れ、25℃でメチルエチルケトンに溶解させた。次いで、25%アンモニア水を添加して、攪拌下で脱イオン水を加えた後、減圧下50℃でメチルエチルケトンを留去し、樹脂分散液Aを得た。得られた樹脂分散液Aの組成及びポリエステル粒子の体積中位粒径、固形分、pHを表2に示す。
製造例4(樹脂分散液Bの製造)
製造例3において、各成分の配合を表2に示すように代えた以外は同様にして、樹脂分散液Bを得た。得られた樹脂分散液Bの組成及びポリエステル粒子の体積中位粒径、固形分、pHを表2に示す。
Figure 0005249083
製造例5[樹脂分散液Cの製造]
表3に示す配合で、樹脂分散液A、水溶性のオキサゾリン含有重合体(日本触媒社製 エポクロスWS−700)を窒素導入管、還流冷却管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、攪拌下95℃で4時間反応させ、樹脂分散液Cを得た。得られた樹脂分散液Cの組成及び樹脂粒子の体積中位粒径、固形分、pHを表3に示す。
製造例6[樹脂分散液Dの製造]
製造例5において、樹脂分散液とエポクロスWS−700を図3に示すように代えた以外は同様にして、樹脂分散液Dを得た。得られた樹脂分散液Dの組成及び樹脂粒子の体積中位粒径、固形分、pHを表3に示す。
Figure 0005249083
実施例1〜4及び比較例1〜7(熱転写受像シートの製造)
表5に示す組成、配合で25℃で混合し塗工液A〜Kをそれぞれ作製した。コロイダルシリカとしては、それぞれ下記表4に示すものを用いた。この塗工液の各々を合成紙YUPO FGS−250(厚さ250μm、坪量200g/m2)にワイヤーバーにより乾燥後に5.0g/m2になるように塗布し、50℃で2分間乾燥させて熱転写受容シートを得た。この熱転写受容シートに市販の昇華型プリンタ(キヤノン社製、SELPHY)を用いて各色(黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、グリーン(G)、レッド(R)、ブルー(B))の階調パターンを印画し、下記の方法で染着性(印字感度、最高濃度)を評価した。また、5×5cmの黒ベタを3枚連続で印画し、印画時のインクリボンとの離型性を下記のように測定し評価した。さらに、印画の際のラミネート転写性を下記のように評価した。結果を表5に示す。
Figure 0005249083
評価方法
[染料の染着性の評価]
高濃度印画(18階調目(L=0))での転写色濃度をグレタグ濃度計(GRETAG-MACBETH製)で測定した。画像濃度が高い程染料の染着性に優れることを意味する。濃度が高くなるに従い染料の付着量が高くなるが、離型性が劣る場合、画像部の表面状態が不均一となり乱反射が生じるため、高画像濃度が得られない。
[転写シートとの離型性の評価]
黒ベタ連続印画時のインクリボンと染料受像シートの剥離音から、下記基準で離型性を判断した。
A:剥離音の発生なく、連続で3枚印画可能であった
B:連続で3枚印画可能であるが、剥離音が発生した
C:紙づまり発生により、連続で3枚印画することができなかった
[ラミネート転写性]
印画物(黒ベタ)の表面を目視にて観察し、下記基準でラミネート転写性を評価した。
A:全面に転写可能である
B:部分的にしか転写できない
C:全く転写できない
Figure 0005249083
*1:KF615A(信越化学工業社製 ポリエーテル変性シリコーン)
本発明の染料受容層用分散液は、これにより優れた染料の染着性維持しつつ、転写シートとの離型性に優れ、かつ転写シートのラミネート層の転写性に優れた熱転写受像シートを得ることができることから、熱転写受像シートの染料受容層用分散液として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 水系媒体中にポリエステルを分散してなる樹脂分散液と、前記樹脂分散液中の固形分に対して8〜35重量%のシリカ粒子とを混合して得られる染料受容層用分散液であって、前記ポリエステルが、式(I)
    Figure 0005249083
    (式中、R1O及びR2Oは各々オキシアルキレン基を表し、x及びyはそれぞれR1O及びR2Oの付加モル数を示す正の数であり、かつxとyの和の平均値は2〜7である。但し、x個のR1Oは各々同一でも異なっていてもよく、またy個のR2Oは各々同一でも異なっていてもよい。)
    で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を50モル%以上含有し、かつ、当該2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加物中における、プロピレンオキサイド付加物の含有量が50〜100モル%であるアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して得られるものであり、かつ、前記シリカ粒子の体積中位粒径(D50)が10〜50nmであり、下記式(1)で表されるSF−1が130以上であり、下記式(2)で表されるSF−2が115以上である染料受容層用分散液。
    SF−1=(ML2/PA)×(π/4)×100 (1)
    (式中、MLはシリカ粒子の最大径を示し、PAはシリカ粒子の投影面積を示す。)
    SF−2=(PL2/PA)×(1/4π)×100 (2)
    (式中、PLはシリカ粒子の周長を示し、PAはシリカ粒子の投影面積を示す。)
  2. 樹脂分散液が、さらにオキサゾリン基を有する化合物を添加してなるものである、請求項1に記載の染料受容層用分散液。
  3. 基材と、基材の少なくとも一方の面に染料受容層とを有する熱転写受像シートであって、前記染料受容層が、請求項1又は2に記載の染料受容層用分散液を用いて得られる、熱転写受像シート。
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