JP5249083B2 - 染料受容層用分散液 - Google Patents
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Description
このような熱転写シートにおいては、熱転写時における受像シートへの染料の染着性、又は受像シートと熱転写シートとの熱融着に伴う離型性に改善の余地があり、その結果、得られる転写画像の画像性能が十分でないという課題があった。
一方、染料の染着性を改善する観点から、熱転写受像シートの染料受容層としてポリエステルが使用されることがある。また、離型性の観点から、コロイダルシリカを使用する技術が開示されている(特許文献1〜4)
本発明は、優れた染料の染着性を維持しつつ、転写シートとの離型性に優れ、かつ転写シートのラミネート層の転写性に優れた熱転写受像シートを与える染料受容層用分散液、及び該分散液から得られる染料受容層を有する熱転写受像シートを提供する。
[1]水系媒体中にポリエステルを分散してなる樹脂分散液と、前記樹脂分散液中の固形分に対して8〜35重量%のシリカ粒子とを混合して得られる染料受容層用分散液であって、前記ポリエステルが、式(I)
で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を50モル%以上含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して得られるものであり、かつ、前記シリカ粒子の体積中位粒径(D50)が10〜50nmであり、下記式(1)で表されるSF−1が130以上であり、下記式(2)で表されるSF−2が115以上である染料受容層用分散液、
(式中、MLはシリカ粒子の最大径を示し、PAはシリカ粒子の投影面積を示す。)
SF−2=(PL2/PA)×(1/4π)×100 (2)
(式中、PLはシリカ粒子の周長を示し、PAはシリカ粒子の投影面積を示す。)、及び
[2]基材と、基材の少なくとも一方の面に染料受容層とを有する熱転写受像シートであって、前記染料受容層が、前記[1]記載の染料受容層用分散液を用いて得られる、熱転写受像シート、
に関する。
本発明の染料受容層用分散液は、前記式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を50モル%以上含むアルコール成分を用いて得られるポリエステルを分散してなる樹脂分散液と、体積中位粒径(D50)が10〜50nmであり、前記式(1)で表されるSF−1が130以上であり、前記式(2)で表されるSF−2が115以上である特定量のシリカ粒子とを混合して得られるものである。
本発明において、ポリエステルは、原料成分として、前記式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を50モル%以上含むアルコール成分を用いて得られる。
一般式(I)において、R1O、R2Oはいずれもオキシアルキレン基であり、好ましくは、それぞれ独立に炭素数1〜4のオキシアルキレン基であり、より好ましくは、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基である。また、x個のR1O又はy個のR2Oは、各々同一であっても異なっていてもよいが、熱転写受像シートの染料の染着性及び中間層と染料受容層の密着性の観点から、同一であることが好ましい。
x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数に相当し、それぞれ正の数である。さらに、カルボン酸成分との反応性の観点から、xとyの和の平均値は2〜7が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜3がさらに好ましい。
なお、プロピレンオキサイド付加物を含有する場合は、本発明の効果を損しない範囲で、前記2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、プロピレンオキサイド付加物の一部が他のオキシアルキレン基で置換されていてもよい。例えば、前記プロピレンオキサイド付加物の一部が、他のオキシアルキレン基、例えば、オキシエチレン基、オキシトリメチレン基等で置換されていてもよいが、熱転写受像シートの染料の染着性の観点から、オキシエチレン基が好ましい。
また、アルケニル基としては、例えば各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、各種イコセニル基などを挙げることができる。
アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸は、カルボン酸成分中に5〜50モル%含有されることが好ましい。
ポリエステルの合成におけるエステル化の反応化反応の反応効率の観点から、錫触媒が好ましい。錫触媒としては、酸化ジブチル錫、ジオクチル酸錫、これらの塩等が好ましく用いられる。
また、染料受容層用分散液の造膜性の観点から、ポリエステルの数平均分子量は1,000〜10,000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましい。
本発明における樹脂分散液は、前記ポリエステルを水系媒体中に分散してなるものである。すなわち、本発明の染料受容層用分散液においては、ポリエステルは、ポリエステルを含有する樹脂粒子として含有されることが好ましく、環境性の観点から、水系媒体中に分散してなる樹脂分散液の樹脂粒子として含有されることが好ましい。
前記樹脂粒子に含有されうるポリエステル以外の樹脂としては、熱転写受像シートの染料受容層として用いられる公知の樹脂、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル、ポリビニルアセタール等のビニルポリマー、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等を挙げることができ、熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートが好ましい。
本発明におけるポリエステル、あるいはポリエステル及びポリエステル以外の樹脂を含有する樹脂(以下、「ポリエステルを含む樹脂」ということがある)は、本発明の熱転写受像シートへの染料の染着性の観点から、樹脂分散液の固形分中に、50〜100重量%含有されることが好ましく、より好ましくは75〜100重量%含有され、更に好ましくは80〜100重量%含有される。尚、前記樹脂の固形分中における含有割合は、樹脂分散液又は染料受容層用分散液を製造する際の仕込み量より計算することができる。
オキサゾリン化合物としては、ポリエステルとの架橋反応による架橋効果が効果的に発現しうる観点から、オキサゾリン基を含有する重合体が好ましく用いられる。オキサゾリン基を含有する重合体は、例えば、オキサゾリン基を含有する重合性単量体を重合することによって得られる。必要に応じて、オキサゾリン基を有する重合性単量体と共重合可能な、オキサゾリン基を有しない重合性単量体との共重合によって得られる。
前記オキサゾリン化合物の含有量あるいは添加量は、ポリエステルとの架橋反応性及び生産性の観点から、樹脂分散液中、ポリエステルを含む樹脂100重量部に対して、固形分として0.1〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20重量部である。
前記樹脂分散液中の固形分濃度は、樹脂粒子の分散性及び生産性の観点から、20〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは25〜40重量%、更に好ましくは30〜40重量%である。また、前記分散液の25℃におけるpHは、樹脂分散液の保存安定性の観点から、5〜10であることが好ましく、より好ましくは6〜9、更に好ましくは7〜9である。
また、本発明におけるポリエステルは、染料の染着性の観点から、染料容層用分散液中に、染料受容層用分散液の固形分に対し、45〜99重量%の量で含有されることが好ましく、55〜99重量%の量で含有されることがより好ましい。
本発明の染料受容層用分散液には、シリカ粒子を前記樹脂分散液中の固形分に対して8〜35重量%含有する。
シリカ粒子としては、例えばコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、表面修飾したシリカ等がいずれも挙げられるが、染料受容層用分散液中でのシリカ粒子の分散性の観点から、コロイダルシリカが好ましい。シリカ粒子の分散性が高まることで、前記、離型性に優れた染料受容層分散液を得ることができる。シリカ粒子は、1種からなるものであってもよいが、2種以上のシリカ粒子を組み合わせて用いるものであってもよい。
SF−1=(ML2/PA)×(π/4)×100 (1)
(式中、MLはシリカ粒子の最大径を示し、PAはシリカ粒子の投影面積を示す。)
SF−2=(PL2/PA)×(1/4π)×100 (2)
(式中、PLはシリカ粒子の周長を示し、PAはシリカ粒子の投影面積を示す。)
また、本発明において、「SF−2」とは、粒子表面の滑らかさ、すなわち凹凸の度合いを示すものであって、電子顕微鏡観察で得られる粒子の周長を円周とする円の面積を、電子顕微鏡観察で得られる該粒子の投影面積で除して100を乗じた値であり、この値が100に近い程、表面が滑らかな形状であることを示す。
前記SF−1及びSF−2の測定に用いられる電子顕微鏡としては、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)が使用できる。SF−1及びSF−2は、具体的には、後述のような方法で測定できる。なお、SF−1及びSF−2の値は、いずれも個数基準の平均値である。前記平均値は、特に制限されないが、100個以上の粒子数を用いて測定することが好ましい。
また、SF−2の値は115以上であるが、好ましくは118以上であり、より好ましくは120以上であり、さらにより好ましくは122以上である。その上限値は特に限定されないが、比表面積増大による受容層の強度低下を抑制する観点から、一般に、160が好ましい。
本発明において、シリカ粒子は、通常、シリカ粒子が分散媒中に分散したシリカ粒子分散液の形で使用される。本発明において使用できる市販のコロイダルシリカとしては、例えば、Bindzil2040(Eka Chemicals社)が挙げられる。
以上のように、本発明においては、特定のポリエステルを使用し、シリカ粒子の形状を、非球状かつ凹凸表面状、すなわち、上記SF−1及びSF−2の値の範囲内とすることにより、本発明の課題を解決することができた。
本発明の染料受容層用分散液は、水系媒体中に前記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を50モル%以上含むアルコール成分を用いて得られるポリエステルを分散してなる樹脂分散液と、前記特定の性状を有するシリカ粒子とを前記含有量となるように混合して得られる。
また、前記染料受容層用分散液には、染料受容層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を高める観点から、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウム等の顔料や充填剤を含有することができる。これらの顔料や充填剤は、本発明の熱転写受像シートの白色度の観点から、染料受容層用分散液中に、ポリエステルを含む樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部含有することができる。なお、本発明の染料受容層用分散液には、更に必要に応じて、例えば、触媒等他の添加剤を含有することもできる。
本発明の染料受容層用分散液の製造方法は、本発明における樹脂分散液と、シリカ粒子とを混合する工程を含む製造方法により製造することができるが、前記シリカ粒子は、シリカ粒子が分散媒中に分散したシリカ粒子分散液として混合することが好ましい。
また、前記離型剤、顔料及び充填剤等は、予め、前記樹脂分散液及び/又は前記シリカ粒子分散液に含有しても良いし、樹脂分散液とシリカ粒子とを混合する工程により得られた分散液と混合してもよい。
本発明の熱転写受像シートは、基材と、基材の少なくとも一方の面に染料受容層とを有するものであるが、基材の少なくとも一方の面に、前記ポリエステルを含む樹脂分散液及びシリカ粒子に、必要に応じて、前記離型剤や顔料とともにブチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトールなどの造膜剤、硬化剤や前記他の添加剤を加えた本発明の染料受容層用分散液を、染料受容層用の塗工液として、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等により塗布及び乾燥して染料受容層を形成することによって得ることが好ましい。
以上の如く形成される染料受容層の厚さは、一般には1〜50μmであり、画質及び生産性の観点から、3〜15μmであることが好ましい。また、乾燥後の固形分量としては、受容層1m2当たり3〜15gであることが好ましい。
これらの基材の厚みは、例えば、10〜300μm程度が一般的である。前記の如き基材には、染料受容層との密着力を向上する観点から、その表面にプライマー処理やコロナ放電処理を施すことが好ましい。
前記の如き本発明の熱転写受像シートを使用して熱転写を行う際に使用する転写シートは、通常、紙やポリエステルフイルム上に昇華性染料を含む染料層、及び染料を受像して得られた画像上に転写される保護層等からなるラミネート層を設けたものであり、従来公知の転写シートをいずれも使用することができる。
本発明の熱転写受像シートに好適に使用できる昇華性染料としては、例えばイエロー染料では、ピリドンアゾ系、ジシアノスチリル系、キノフタロン系、メロシアニン系;マゼンタ染料では、ベンゼンアゾ系、ピラゾロンアゾメチン系、イソチアゾール系、ピラゾロトリアゾール系;シアン染料では、アントラキノン系、シアノメチレン系、インドフェノール系、インドナフトール系が挙げられる。
保護層は、熱可塑性樹脂、熱架橋性樹脂、電離放射線架橋樹脂等、公知の保護層形成用樹脂から形成することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、ウレタン、エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル系樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂等が挙げられる。
前記保護層は、層全体で、通常0.1〜30μm、好ましくは0.5〜5μmの厚みとすることができる。
また、熱転写時の熱エネルギーの付与手段としては、従来公知の付与手段がいずれも使用でき、例えば、サーマルプリンター等の記録装置によって、記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm2程度の熱エネルギーを付与することによって行うことが出来る。
本発明の熱転写受像シートは、(1)染料受容層用分散液を調製する工程、及び(2)基材の少なくとも一方の面に、工程(1)で得られた染料受容層用分散液を用いて染料受容層を形成する工程、を含む製造方法により製造することができる。
工程(1)におけるポリエステル、水系媒体、シリカ粒子及び染料受容層用分散液の詳細については、前述の通りである。本発明の熱転写受像シートは、前記基材の少なくとも一方の面に、前記工程(1)で得られた染料受容層用分散液を用いて染料受容層を形成して得られる。基材、染料受容層の詳細についても前述の通りである。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒は、エタノールとエーテルの混合溶媒を、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
(1)フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製、Pyris6DSC)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業社製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、THFを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
レーザー回折型粒径測定機(HORIBA製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で、体積中位粒径(D50)を測定する。
赤外線水分計(ケツト科学研究所社製:FD−230)を用いて、分散液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
スラリー状のシリカ粒子を試料として用い、日本電子製透過型電子顕微鏡「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍)により、当該顕微鏡のメーカーが添付した説明書に従って試料を観察し、TEM像を写真撮影した。この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて個々のシリカ粒子の円相当径を求め、それを粒径とした。このようにして、1000個以上のシリカ粒子の粒径を求めた後、その結果をもとに表計算ソフト「EXCEL」(マイクロソフト社製)にて粒径から粒子体積に換算し、粒径分布を得た。そして、得られたシリカ粒子の粒径分布データに基づき、体積中位粒径(D50)を算出する。
スラリー状のシリカ粒子を試料として用い、日本電子製透過型電子顕微鏡「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍)により、当該顕微鏡のメーカーが添付した説明書に従って試料を観察し、TEM像を写真撮影した。この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて粒子一個の最大径と投影面積を計測してSF−1を算出し、粒子一個の周長と投影面積を計測してSF−2を算出した。なお、下記表4に示す数値は、100個のシリカ粒子の各々のSF−1、SF−2を求めた後これらの平均値を算出したものを示す。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 3500g、イソフタル酸1245g及びジオクチル酸錫21gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で5時間反応させ、更に減圧(8.3kPa)下で反応した。210℃で無水トリメリット酸307gを加え、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が125℃に達するまで反応させて、ポリエステルaを得た。得られたポリエステルaの軟化点は122℃、ガラス転移点は71℃であり、酸価は23mgKOH/g、数平均分子量は3820であった。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2859g、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸1462g、ジオクチル酸錫塩22gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧(101.3kPa)下200℃で8時間反応させ、更に減圧(8.3kPa)下で反応をした。ASTM D36−86に従って測定した軟化点が90℃に達するまで反応させて、ポリエステルbを得た。得られたポリエステルbの軟化点は88℃、ガラス転移点は51℃、酸価は6mgKOH/g、数平均分子量は3560であった。
窒素導入管、還流冷却管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに表2に示す配合で、ポリエステルaを入れ、25℃でメチルエチルケトンに溶解させた。次いで、25%アンモニア水を添加して、攪拌下で脱イオン水を加えた後、減圧下50℃でメチルエチルケトンを留去し、樹脂分散液Aを得た。得られた樹脂分散液Aの組成及びポリエステル粒子の体積中位粒径、固形分、pHを表2に示す。
製造例3において、各成分の配合を表2に示すように代えた以外は同様にして、樹脂分散液Bを得た。得られた樹脂分散液Bの組成及びポリエステル粒子の体積中位粒径、固形分、pHを表2に示す。
表3に示す配合で、樹脂分散液A、水溶性のオキサゾリン含有重合体(日本触媒社製 エポクロスWS−700)を窒素導入管、還流冷却管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、攪拌下95℃で4時間反応させ、樹脂分散液Cを得た。得られた樹脂分散液Cの組成及び樹脂粒子の体積中位粒径、固形分、pHを表3に示す。
製造例5において、樹脂分散液とエポクロスWS−700を図3に示すように代えた以外は同様にして、樹脂分散液Dを得た。得られた樹脂分散液Dの組成及び樹脂粒子の体積中位粒径、固形分、pHを表3に示す。
表5に示す組成、配合で25℃で混合し塗工液A〜Kをそれぞれ作製した。コロイダルシリカとしては、それぞれ下記表4に示すものを用いた。この塗工液の各々を合成紙YUPO FGS−250(厚さ250μm、坪量200g/m2)にワイヤーバーにより乾燥後に5.0g/m2になるように塗布し、50℃で2分間乾燥させて熱転写受容シートを得た。この熱転写受容シートに市販の昇華型プリンタ(キヤノン社製、SELPHY)を用いて各色(黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、グリーン(G)、レッド(R)、ブルー(B))の階調パターンを印画し、下記の方法で染着性(印字感度、最高濃度)を評価した。また、5×5cmの黒ベタを3枚連続で印画し、印画時のインクリボンとの離型性を下記のように測定し評価した。さらに、印画の際のラミネート転写性を下記のように評価した。結果を表5に示す。
[染料の染着性の評価]
高濃度印画(18階調目(L=0))での転写色濃度をグレタグ濃度計(GRETAG-MACBETH製)で測定した。画像濃度が高い程染料の染着性に優れることを意味する。濃度が高くなるに従い染料の付着量が高くなるが、離型性が劣る場合、画像部の表面状態が不均一となり乱反射が生じるため、高画像濃度が得られない。
黒ベタ連続印画時のインクリボンと染料受像シートの剥離音から、下記基準で離型性を判断した。
A:剥離音の発生なく、連続で3枚印画可能であった
B:連続で3枚印画可能であるが、剥離音が発生した
C:紙づまり発生により、連続で3枚印画することができなかった
印画物(黒ベタ)の表面を目視にて観察し、下記基準でラミネート転写性を評価した。
A:全面に転写可能である
B:部分的にしか転写できない
C:全く転写できない
Claims (3)
- 水系媒体中にポリエステルを分散してなる樹脂分散液と、前記樹脂分散液中の固形分に対して8〜35重量%のシリカ粒子とを混合して得られる染料受容層用分散液であって、前記ポリエステルが、式(I)
で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を50モル%以上含有し、かつ、当該2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加物中における、プロピレンオキサイド付加物の含有量が50〜100モル%であるアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して得られるものであり、かつ、前記シリカ粒子の体積中位粒径(D50)が10〜50nmであり、下記式(1)で表されるSF−1が130以上であり、下記式(2)で表されるSF−2が115以上である染料受容層用分散液。
SF−1=(ML2/PA)×(π/4)×100 (1)
(式中、MLはシリカ粒子の最大径を示し、PAはシリカ粒子の投影面積を示す。)
SF−2=(PL2/PA)×(1/4π)×100 (2)
(式中、PLはシリカ粒子の周長を示し、PAはシリカ粒子の投影面積を示す。) - 樹脂分散液が、さらにオキサゾリン基を有する化合物を添加してなるものである、請求項1に記載の染料受容層用分散液。
- 基材と、基材の少なくとも一方の面に染料受容層とを有する熱転写受像シートであって、前記染料受容層が、請求項1又は2に記載の染料受容層用分散液を用いて得られる、熱転写受像シート。
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