JP5390843B2 - 熱転写受像シート用樹脂 - Google Patents
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Description
熱転受像写シートには、熱転写受像シートへの染料の染着性の観点から、染料受容層にポリエステルが用いられ、その原料モノマーとしてビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を用いることが知られている。例えば、染料受容層が、脂環族ジカルボン酸化合物を40モル%以上含むジカルボン酸成分と、ビスフェノールA骨格を有するジオール化合物を15モル%以上含むジオール成分とから生成したポリエステル樹脂を染料受容性樹脂として含有する熱転写受像シート(特許文献1)が開示されている。しかし、このような熱転写受像シートは染料の染着性に優れる反面、熱転写受像シートの離型性が劣る結果となる。一方、熱転写受像シートの離型性の観点から染料受容層にスチレン樹脂やアクリル系樹脂を用いる方法が提案されている(特許文献2)が、逆に、染料の染着性に劣る結果となり、十分な画像性能を得ることができない。
また、ポリエステルとポリスチレン等の熱可塑性樹脂との混合樹脂や、主鎖が不飽和結合を有するポリエステル、側鎖がラジカル重合性不飽和単量体の重合体である樹脂を染料受容層に用いる技術(特許文献3、4)等が知られている。
本発明は、染料の染着性と熱転写受像シートの離型性のいずれにも優れた熱転写受像シートに用いられる樹脂、該樹脂の製造方法、該樹脂を用いた樹脂分散液の製造方法、及び熱転写受像シートを提供することを課題とする。
[1](a)ポリエステルの原料モノマー、(b)スチレン及びスチレン誘導体の少なくとも1種を含有する付加重合系樹脂の原料モノマー、及び(c)アクリル酸、メタアクリル酸及びこれら酸の誘導体の少なくとも1種からなる化合物、を重合させることにより得られる、熱転写受像シート用樹脂であって、前記(a)ポリエステルの原料モノマーが、式(I)
(2)主として付加重合反応により、前記(c)の化合物由来の官能基を有する付加重合系樹脂成分を得る工程、及び
(3)主として縮重合反応により、ポリエステルの原料モノマー及び前記(c)の化合物由来の官能基を有する付加重合系樹脂成分とを反応させる工程、
を有し、前記(a)ポリエステルの原料モノマーが、上記式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含むアルコール成分を含有する、熱転写受像シート用樹脂の製造方法、
[3]水性媒体中に、上記[1]に記載の熱転写受像シート用樹脂を含む樹脂を分散させる、熱転写受像シート用樹脂分散液の製造方法、及び
[4]基材、及び上記[1]に記載の熱転写受像シート用樹脂を含む染料受容層を有する熱転写受像シート、
に関する。
本発明の熱転写受像シート用樹脂は、(a)ポリエステルの原料モノマー、(b)スチレン及びスチレン誘導体の少なくとも1種を含有する付加重合系樹脂の原料モノマー、及び(c)アクリル酸、メタアクリル酸及びこれら酸の誘導体の少なくとも1種からなる化合物、を付加重合及び縮重合させることにより得られる、熱転写受像シート用樹脂であって、前記(a)ポリエステルの原料モノマーが、上記式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含むアルコール成分を含有するものである。
ポリエステルの原料モノマーとしては特に制限はなく、通常ポリエステルの原料モノマーとして知られる公知のアルコール成分と公知のカルボン酸成分をいずれも使用することができる。
前記ポリエステルの原料モノマーであるアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。このアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物としては、具体的には、前記付加モル数を有するポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸は、同様の観点から、ポリエステルの原料モノマーであるカルボン酸成分におけるジカルボン酸中、50モル%以上含有することが好ましく、70モル%以上含有することがより好ましく、90モル%以上含有することがより好ましく、実質100モル%がよりさらに好ましい。前記カルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記3価以上のカルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステルは、前記観点から、全カルボン酸成分中、10〜40モル%含有することが好ましく、10〜35モル%含有することがより好ましく、10〜25モル%がよりさらに好ましい。
具体的には、アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸において、アルキル基としては、例えば各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種アイコシル基などを挙げることができる。
また、アルケニル基としては、例えば各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、各種アイコセニル基などを挙げることができる。
(b)付加重合系樹脂の原料モノマーは、スチレン及びスチレン誘導体の少なくとも1種を含有する。
付加重合系樹脂としては、付加重合反応の反応性の観点から、好ましくはラジカル重合反応により得られるビニル系樹脂等が挙げられる。付加重合系樹脂の原料モノマーは、スチレン又はスチレン誘導体の少なくとも一種を含有する。スチレン誘導体としては、メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレ、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、スチレンスルホン酸又はその塩等が挙げられる。
なお、付加重合系樹脂の原料モノマーの付加重合には、公知の重合開始剤、架橋剤等を必要に応じて使用してもよい。上記付加重合の際の温度は、用いられる重合開始剤の種類にもよるが、例えば、ジブチルパーオキサイド等の開始剤を用いる場合には、反応系内の粘度を下げ付加重合反応を効率的に行う観点から、好ましくは100〜180℃、より好ましくは140〜170℃である。
(c)両反応性モノマーとは、分子内に、カルボキシル基とエチレン性不飽和結合とを有する化合物であり、アクリル酸、メタアクリル酸及びこれら酸の誘導体の少なくとも1種からなる。アクリル酸、メタアクリル酸の誘導体としては、
クロトン酸、チグリン酸、2−ペンテン酸、4−ペンテン酸、2−メチル2−ペンテン酸、4−メチル2−ペンテン酸、2−ヘキセン酸、5−ヘキセン酸などが挙げられる。このような両反応性モノマーを用いることにより、染料の染着性と熱転写受像シートの離型性に優れた熱転写受像シート用樹脂が得られる。
本発明において(c)両反応性モノマーの使用量は、ポリエステル樹脂成分への付加重合系樹脂成分の分散性と、付加重合反応及び縮重合反応の反応制御の観点から、(a)ポリエステルの原料モノマーであるカルボン酸成分に対し、1〜40モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましい。
本発明の熱転写受像シート用樹脂は、上記(a)ポリエステルの原料モノマー、(b)付加重合系樹脂の原料モノマー、及び(c)両反応性モノマー、の各モノマーを、付加重合および縮重合することにより得られる。すなわち、本発明においては、(a)ポリエステルの原料モノマーと(b)付加重合系樹脂の原料モノマーに加えて、さらに上記(a)ポリエステルの原料モノマー及び前記(b)付加重合系樹脂の原料モノマーのいずれとも反応し得る(c)両反応性モノマーを用いる。これにより、本発明の熱転写受像シート用樹脂は、ポリエステル成分と付加重合系樹脂成分とが、その少なくとも一部で両反応性モノマーを介して結合する。
(熱転写受像シート用樹脂の製造方法)
本発明の熱転写受像シート用樹脂は、(1)(a)ポリエステルの原料モノマー、(b)スチレン及びスチレン誘導体の少なくとも1種を含有する付加重合系樹脂の原料モノマー、及び(c)アクリル酸、メタアクリル酸及びこれら酸の誘導体の少なくとも1種からなる両反応性モノマー、を混合する工程、(2)主として付加重合反応により、両反応性モノマー由来の官能基を有する付加重合系樹脂成分を得る工程、及び(3)主として縮重合反応により、ポリエステルの原料モノマー及び前記両反応性モノマー由来の官能基を有する付加重合系樹脂成分とを反応させる工程、を有し、前記(a)ポリエステルの原料モノマーが、前記式(I)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含むアルコール成分を含有する、熱転写受像シート用樹脂の製造方法により得ることが好ましい。なお、前記付加重合反応、縮重合反応はそれぞれ独立して行われる必要はなく、並行して行われてもよいが、工程(2)では主として付加重合反応が、工程(3)では主として縮重合反応が行われることが好ましい。
このような方法は、具体的には、(a)ポリエステルの原料モノマーを、好ましくは触媒を添加して、混合し、好ましくは150〜250℃、より好ましくは170〜240℃で主として縮重合反応によりポリエステル成分を得た後、反応温度を好ましくは100〜180℃、より好ましくは140〜170℃に低下させた後、付加重合系樹脂の原料モノマー及び両反応性モノマーを混合し、主として付加重合反応により両反応性モノマー由来の官能基を有する付加重合系樹脂成分を形成させ、前記ポリエステル成分と付加重合系樹脂成分の両反応性モノマー由来の官能基とを反応させて行うことができる。
また、(b)付加重合系樹脂の原料モノマーの(c)両反応性モノマーに対する重量比[(b)/(c)]はポリエステル樹脂成分中の付加重合系樹脂成分の分散性と、反応の制御の観点から、80/20〜99/1であることが好ましく、89/11〜98/2がより好ましく、93/7〜97/3がさらに好ましく、95/5〜97/3がよりさらに好ましい。
熱転写受像シート用樹脂は、(a)ポリエステルの原料モノマー、(b)スチレン及びスチレン誘導体の少なくとも1種を含有する付加重合系樹脂の原料モノマー、及び(c)アクリル酸、メタアクリル酸及びこれら酸の誘導体の少なくとも1種からなる両反応性モノマー、を付加重合及び縮重合させることにより得られるものであるが、前述の製造方法により得ることが好ましい。
また、熱転写受像シートを得る際の造膜性等の観点から、本発明の熱転写受像シート用樹脂の数平均分子量は1,000〜10,000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましい。
本発明における熱転写受像シート用樹脂分散液の製造方法は、水性媒体中に、前述の熱転写受像シート用樹脂を含む樹脂を分散させるものである。
本発明において、上記製造方法としては、上記熱転写受像シート用樹脂を含む樹脂を乳化して行う方法が好ましい。
前記熱転写受像シート用樹脂を含む樹脂を分散させる水性媒体としては、水を主成分とするもの、すなわち、水が50重量%以上のものである。環境性の観点から、水性媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。
オキサゾリン基を有する化合物(以下、「オキサゾリン化合物」ということがある)としては、分子内にオキサゾリン基を複数含有するものが使用可能である。分子内にオキサゾリン基を複数含有する化合物としては、2,2−(1,3−フェニレン)−ビス2−オキサゾリン、2,2−(1,4−フェニレン)−ビス2−オキサゾリンなどの2官能タイプ;オキサゾリン基を含有する重合性単量体を重合した多官能タイプ(以下、「オキサゾリン重合体」ということがある)が挙げられるが、熱転写受像シート用樹脂を含む樹脂との架橋反応性の観点から、オキサゾリン重合体が好ましい。
前記オキサゾリン化合物の樹脂分散液中における含有量あるいは添加量は、熱転写受像シート用樹脂との架橋反応性及び生産性の観点から、熱転写受像シート用樹脂を含む樹脂100重量部に対して、固形分として0.1〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20重量部である。
熱転写受像シート用樹脂を含む樹脂は、熱転写受像シートへの染料の染着性の観点から、前記樹脂分散液の固形分中に、80〜100重量%含有されることが好ましく、より好ましくは85〜100重量%含有され、更に好ましくは90〜100重量%含有される。
樹脂分散液中の固形分濃度は、生産性の観点から、20〜45重量%であることが好ましく、より好ましくは25〜40重量%、さらに好ましくは30〜40重量%である。また、樹脂分散液の25℃におけるpHは樹脂分散液の保存安定性の観点から、5〜10であることが好ましく、より好ましくは6〜9、さらに好ましくは7〜9である。
前記熱転写受像シート用樹脂分散液は、水性媒体中に、前述の熱転写受像シート用樹脂を含む樹脂を分散させる方法、好ましくは、さらにこれにオキサゾリン化合物を添加する工程を有する方法により製造することができる。
前記樹脂分散液は、例えば、前記熱転写受像シート用樹脂を含む樹脂をケトン系溶剤に溶解させ、中和剤を加えて該熱転写受像シート用樹脂を含む樹脂のカルボキシル基をイオン化し、次いで水を加えた後、ケトン系溶剤を留去して水系に転相する方法により得ることができる。具体的には、攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下ロート、窒素ガス導入管を備えた反応器を準備し、ケトン系溶剤に溶解した熱転写受像シート用樹脂を含む樹脂に、中和剤等を加え、カルボキシル基をイオン化し(すでにイオン化されている場合は不要)、次いで水を加えた後、ケトン系溶剤を留去して水系に転相して得ることができる。ケトン系溶剤への溶解、中和剤の添加は、通常ケトン系溶剤の沸点以下の温度で行い、また、ここで用いられる水としては、例えば脱イオン水等が挙げられる。
用いられるケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン等が挙げられ、樹脂の溶解性及び溶剤の留去の容易性の観点から、好ましくは、メチルエチルケトンが用いられる。
本発明の熱転写受像シートは、基材、及び前述の熱転写受像シート用樹脂を含む染料受容層を有するものである。
基材としては、例えば合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、セルロース繊維紙、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート等の各種の樹脂のフイルム又はシート等が使用でき、また、これらの樹脂に白色顔料や充填剤を加えて造膜した白色不透明フイルムあるいは発泡させた発泡シート等も使用できる。また、前記基材を組み合わせた積層体も使用できる。
これらの基材の厚みは、例えば、10〜300μm程度が一般的である。前記の如き基材には、染料受容層との密着力を向上する観点から、その表面にプライマー処理やコロナ放電処理を施すことが好ましい。
染料受容層は、前述の樹脂分散液を含む塗工液を、前記基材上に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等により塗布及び乾燥して形成することによって得られる。以上の如く形成される染料受容層の厚さは、一般には1〜50μmの厚さであり、画質及び生産性の観点から、3〜15μmであることが好ましい。また、乾燥後の固形分量としては、染料受容層1m2当たり3〜15gであることが好ましい。
塗工液には、さらに必要に応じて、例えば、グリコールエーテル類等の造膜助剤、架橋剤、硬化剤、触媒等の添加剤を含有することもできる。
なお、前記塗工液には、得られる熱転写受像シート用樹脂を含む樹脂が自己分散性を有すること、及び熱転写受像シートの疎水性を向上させる観点から、界面活性剤を含有しないことが好ましい。
本発明においては、前述の基材に前記染料受容層を設けてなる熱転写受像シートの該受容層面に、昇華性染料を有する転写シートを、加熱下圧着し、染料の転写を行って、転写画像を得る。
本発明の熱転写受像シートを使用して熱転写を行う際に使用する転写シートは、通常、紙やポリエステルフィルム上に昇華性染料を含む染料層を設けたものであり、従来公知の転写シートをいずれも使用することができる。
また、熱転写時の熱エネルギーの付与手段としては、従来公知の付与手段がいずれも使用でき、例えば、サーマルプリンター等の記録装置によって、記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm2程度の熱エネルギーを付与することによって行うことが出来る。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒は、エタノールとエーテルの混合溶媒を、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
(1)フローテスター(島津製作所製、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製、Pyris6DSC)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
レーザー回折型粒径測定機(HORIBA社製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で、体積中位粒径(D50)を測定する。
赤外線水分計(ケツト科学研究所社製:FD−230)を用いて、分散液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
表1に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、マントルヒーター中で、窒素雰囲気にて160℃の温度で攪拌しつつ、表1に示す付加重合系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下ロートより72ml/minの滴下速度にて1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間熟成させた後、200℃まで昇温して、8.0kPaにて1時間、ビニル系樹脂単量体の除去を行った。その後、表1に示すエステル化触媒を加え、230℃にて常圧(101.3kPa)で6時間反応後、8.0kPaにて1時間、反応を行った。200℃まで冷却後、表1に示す無水トリメリット酸を投入し、ASTM D36−86に従って軟化点を追跡しながら、所定の軟化点になるまで反応を行い、樹脂aを得た。
表1に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、マントルヒーター中で、窒素雰囲気にて160℃の温度で攪拌しつつ、表1に示す付加重合系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下ロートより72ml/minの滴下速度にて1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間熟成させた後、200℃まで昇温して、8.0kPaにて1時間、付加重合系樹脂の原料モノマーの除去を行った。その後、表1に示すエステル化触媒を加え、180℃にて常圧(101.3kPa)で6時間反応後、200℃にて常圧で2時間反応させ、その後、8.0kPaにて1時間、反応を行った。表1に示す無水トリメリット酸を投入し、ASTM D36−86に従って軟化点を追跡しながら、所定の軟化点になるまで反応を行い、樹脂bを得た。
表1に示すポリエステルの原料モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、マントルヒーター中で、窒素雰囲気にて160℃の温度で攪拌しつつ、表1に示す付加重合系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下ロートより70ml/minの滴下速度にて1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間熟成させた後、200℃まで昇温して、8.0kPaにて1時間、付加重合系樹脂の原料モノマーの除去を行った。その後、表1に示すエステル化触媒を加え、230℃にて常圧(101.3kPa)で6時間反応後、210℃まで冷却し、ASTM D36−86に従って軟化点を追跡しながら、所定の軟化点になるまで8.0kPaにて反応を行い、樹脂cを得た。
表1に示すポリエステルの原料モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、マントルヒーター中で、窒素雰囲気にて160℃の温度で攪拌しつつ、表1に示す付加重合系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下ロートより68ml/minの滴下速度にて1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間熟成させた後、200℃まで昇温して、8.0kPaにて1時間、付加重合系樹脂の原料モノマーの除去を行った。その後、表1に示すエステル化触媒を加え、180℃にて常圧で6時間反応後、200℃にて常圧(101.3kPa)で2時間反応させ、ASTM D36−86に従って軟化点を追跡しながら、所定の軟化点になるまで8.0kPaにて反応を行い、樹脂dを得た。
表1に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、マントルヒーター中で、窒素雰囲気にて160℃の温度で攪拌しつつ、表1に示す付加重合系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下ロートより50ml/minの滴下速度にて1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間熟成させた後、200℃まで昇温して、8.0kPaにて1時間、付加重合系樹脂の原料モノマーの除去を行った。その後、表1に示すエステル化触媒を加え、230℃にて常圧(101.3kPa)で7時間反応後、8.0kPaにて1時間、反応を行った。200℃まで冷却後、表1に示す無水トリメリット酸を投入し、ASTM D36−86に従って軟化点を追跡しながら、所定の軟化点になるまで反応を行い、樹脂eを得た。
表1に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、マントルヒーター中で、窒素雰囲気にて160℃の温度で攪拌しつつ、表1に示す付加重合系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下ロートより72ml/minの滴下速度にて1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間熟成させた後、200℃まで昇温して、8.0kPaにて1時間、付加重合系樹脂の原料モノマーの除去を行った。その後、表1に示すエステル化触媒を加え、230℃にて常圧(101.3kPa)で6時間反応後、8.0kPaにて1時間、反応を行った。200℃まで冷却後、表1に示す無水トリメリット酸を投入し、ASTM D36−86に従って軟化点を追跡しながら、所定の軟化点になるまで反応を行い、樹脂fを得た。
表1に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマーとエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、230℃にて常圧で6時間反応後、8.0kPaにて1時間、反応を行った。200℃まで冷却後、表1に示す無水トリメリット酸を投入し、ASTM D36−86に従って軟化点を追跡しながら、所定の軟化点になるまで反応を行い、樹脂gを得た。
表1に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマーとエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、180℃にて常圧で6時間反応後、200℃にて常圧(101.3kPa)で2時間反応させ、その後、8.0kPaにて1時間、反応を行った。表1に示す無水トリメリット酸を投入し、ASTM D36−86に従って軟化点を追跡しながら、所定の軟化点になるまで反応を行い、樹脂hを得た。
各実施例及び比較例において使用したモノマー組成及び得られた樹脂の性状を表1にまとめて示す。
窒素導入管、還流冷却管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに表2に示す配合で、樹脂a〜hを入れ、25℃でメチルエチルケトンに溶解させた。次いで、25%アンモニア水を添加して、攪拌下で脱イオン水を加えた後、減圧下50℃でメチルエチルケトンを留去し、樹脂分散液A〜Hを得た。得られた樹脂分散液A〜Hの各々の組成及び樹脂粒子の体積中位粒径、固形分、pHを表2に示す。
表3に示す配合で、それぞれ樹脂分散液A〜H、水溶性のオキサゾリン含有重合体(日本触媒社製 エポクロスWS−700)を窒素導入管、還流冷却管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、攪拌下95℃で4時間反応させ、樹脂分散液I〜Pを得た。得られた樹脂分散液I〜Pの各々組成及び分散粒子の体積中位粒径、固形分、pHを表3に示す。
窒素導入管、還流冷却管、滴下ロート、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、水100g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.7g、過硫酸ナトリウム0.08を仕込み、窒素気流下、撹拌を行い、80℃に昇温した。一方、ガラス製ビーカーに、スチレン100g、水86g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6.0g、過硫酸ナトリウム0.3を仕込み、攪拌、溶解させ、ホモミキサーで10分処理し、乳化物を調整した。この乳化物を滴下ロートに仕込み、四つ口フラスコに3時間かけて一定速度で滴下し、滴下終了後、さらに2時間かけて熟成を行った。室温まで冷却後、200メッシュの金網で濾過し、ポリスチレン分散液を得た。得られたポリスチレン分散液の分散粒子の体積中位粒径は114nm、固形分33.4%であった。
表4に示す組成、配合で25℃にて混合し、塗工液A1〜J1を作製した。この塗工液の各々を合成紙YUPO FGS−250(厚さ250μm、坪量200g/m2)にワイヤーバーにより乾燥後に5.0g/m2になるように塗布し、50℃2分で乾燥させて熱転写受像シートを得た。この熱転写受像シートに市販の昇華型プリンタ(キヤノン社製、SELPHY)を用いて各色(黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、グリーン(G)、レッド(R)、ブルー(B))の階調パターンを印画し、下記の方法で染着性(最高濃度)を評価した。また、5×5cmの黒ベタを3枚連続で印画し、印画時のインクリボンとの離型性(熱融着性)を評価した。それぞれ下記のように測定し評価した。結果を表4に示す。
[染着性-(最高濃度)]
黒の高濃度印画(18階調目)で熱転写した印字画像の濃度をグレタグで測定した。
[離型性―(熱転写受像シートとの離型性の評価)]
黒ベタ印画時のインクリボンと熱転写受像シートの剥離音から熱融着性の有無を判断した。
A:連続3枚の印画で異音なく剥離できる。
B:連続3枚の印画で若干の異音があるが、剥離できる。
C:連続3枚の印画が困難である。
Claims (6)
- (a)ポリエステルの原料モノマー、(b)スチレン及びスチレン誘導体の少なくとも1種を含有する付加重合系樹脂の原料モノマー、及び(c)アクリル酸、メタアクリル酸及びこれら酸の誘導体の少なくとも1種からなる化合物、を付加重合及び縮重合させることにより得られる、熱転写受像シート用樹脂であって、前記(a)ポリエステルの原料モノマーと(b)スチレン及びスチレン誘導体の少なくとも1種を含有する付加重合系樹脂の原料モノマーの重量比[(a)/(b)]が20/80〜80/20であり、前記(a)ポリエステルの原料モノマーが、式(I)
- (a)ポリエステルの原料モノマーにおけるジカルボン酸成分が、芳香族ジカルボン酸を50モル%以上含有する、請求項1に記載の熱転写受像シート用樹脂。
- (1)(a)ポリエステルの原料モノマー、(b)スチレン及びスチレン誘導体の少なくとも1種を含有する付加重合系樹脂の原料モノマー、及び(c)アクリル酸、メタアクリル酸及びこれら酸の誘導体の少なくとも1種からなる化合物、を混合する工程、
(2)主として付加重合反応により、前記(c)の化合物由来の官能基を有する付加重合系樹脂成分を得る工程、及び
(3)主として縮重合反応により、ポリエステルの原料モノマー及び前記(c)の化合物由来の官能基を有する付加重合系樹脂成分とを反応させる工程、
を有し、前記(a)ポリエステルの原料モノマーと(b)スチレン及びスチレン誘導体の少なくとも1種を含有する付加重合系樹脂の原料モノマーの重量比[(a)/(b)]が20/80〜80/20であり、前記(a)ポリエステルの原料モノマーが、式(I)
- 水性媒体中に、請求項1又は2に記載の熱転写受像シート用樹脂を含む樹脂を分散させる、熱転写受像シート用樹脂分散液の製造方法。
- 水性媒体中に、さらにオキサゾリン化合物を添加する工程を有する、請求項4に記載の熱転写受像シート用樹脂分散液の製造方法。
- 基材、及び請求項1又は2に記載の熱転写受像シート用樹脂を含む染料受容層を有する熱転写受像シート。
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